特許拒絶査定不服審判
2019-015116
平面視制御ユニットを使用した立体視カメラシステム
- 審判番号
- 2019-015116
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-534661
- 請求日
- 2019年11月11日
- 審決日
- 2021年05月28日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コンメッド コーポレイション
- 【請求人代理人】浜田 治雄
- 審判長/審判官
- 審判長 五十嵐 努
- 審判官 千葉 輝久
- 審判官 樫本 剛
- 分類
- P18 .113-WZ (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2016-534661「平面視制御ユニットを使用した立体視カメラシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月 4日国際公開、WO2015/081174、平成29年 2月16日国内公表、特表2017-505561〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)11月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年(平成25年)11月26日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成31年1月15日付けで拒絶理由が通知され、平成31年4月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和1年7月5日付けで拒絶査定がされたものである。これを不服として、令和1年11月11日に本件審判請求がされ、同時に手続補正がされ、その後、当審により令和2年10月30日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年3月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がされた。
第2 本件発明
本件の請求項1ないし18に係る発明は、令和3年3月2日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18の記載により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、以下のとおりである。なお、説明のために、(A)~(E)の符号を付した。
[本件発明]
(A)立体視光学系、
(B)該立体視光学系から右画像を取得するための右画像センサと該立体視光学系から左画像を取得するための左画像センサ、
(C)該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする水平ラインの切替器、
および
(D)ディスプレイに提示するために該水平ラインの切替器から該合成画像を受信するための単一のカメラプロセッサ
を備える
(E)カメラシステム。
第3 当審により通知した拒絶の理由の概要
当審により通知した拒絶の理由のうち、請求項1に係る発明に対する拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。
記
1.特開平9-200804号公報
第4 引用発明
1 引用文献1の記載事項
当審により通知した拒絶の理由に引用された特開平9-200804号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は立体映像表示装置に係り、特に投射形立体映像表示装置において、一対のカメラでそれぞれピックアップされた一対の映像をそれぞれダブルスキャンし、ダブルスキャンされた映像をラインインタレ-シング方法で合成して一つの立体映像を形成することにより、一つの表示装置を介して立体映像を表示できる立体映像表示装置に関する。」
「【0011】【発明の実施の形態】以下、添付した図面に基づき本発明の望ましい実際例をさらに詳しく説明する。まず、本発明の一実施例は、図2に示されているように、被写体10から右側及び左側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を第1及び第2テレビジョン信号としてそれぞれ出力するために互いに所定の視差間隔をおいて配置される一対のビデオカメラ102、104から構成されたピックアップ手段100と、前記第1及び第2テレビジョン信号をそれぞれ受信して左側及び右側映像信号をそれぞれ発生するために一対の受信回路112、114から構成された受信手段110と、前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつ繰り返しスキャンしてテレビジョン信号の水平周波数(15.734KHz)の2倍の水平周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するために一対のダブルスキャン回路122、124から構成されたダブルスキャン手段120と、前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号の各ラインを前記水平周波数の2倍のスイッチング速度(31.5KHz)で交代に選択してラインインタレ-シングされた合成映像号(当審注:「合成映像信号」の誤記であると認める。)を発生するマルチプレキシング手段130と、信号調整手段140と、前記合成映像信号を一つのスクリ-ン20上に投射する投射形ディスプレイ手段150とを含む。
【0012】従って、図5を参照するに、本発明の各ビデオカメラ102、104では水平ライン数がnである左側映像信号402と右側映像信号404をそれぞれ発生してテレビジョン信号として出力する。前記受信回路112、114ではそれぞれ受信されたテレビジョン信号を復調して左右側映像信号をそれぞれ発生し、これに前記ダブルスキャン回路122、124では左・右側映像信号402、404をライン毎に2回ずつ繰り返してスキャンすることにより2nの水平周波数を有するダブルスキャン映像信号412、414をそれぞれ出力する。前記マルチプレキシング手段130では該ダブルスキャン映像信号412、414を交代に一回ずつ選択して水平周波数が31.5KHzである図5の合成映像信号420を出力することになる。前記信号調整手段140はバッファとフィルタとからなっており、前記合成映像信号420のレベルを調整し、かつ、ノイズを取り除く。CRTのような前記ディスプレイ手段150では水平周波数が31.5KHzである合成映像信号をスクリ-ン上にディスプレイする。すなわち、一実施例では二つのビデオソ-スから発生された左右映像信号を表示装置で受信して合成された立体映像信号を形成することである。」
「【図2】
[図:0001397370000001.jpg]
」
「【図5】
[図:0001397370000002.jpg]
」
2 引用文献1に記載された発明
上記記載事項の特に下線部によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、説明のために(a)~(j)の符号を付した。
[引用発明]
(a)被写体10から右側及び左側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を第1及び第2テレビジョン信号としてそれぞれ出力するために互いに所定の視差間隔をおいて配置される一対のビデオカメラ102、104から構成されたピックアップ手段100と、
(b)前記第1及び第2テレビジョン信号をそれぞれ受信して左側及び右側映像信号をそれぞれ発生するために一対の受信回路112、114から構成された受信手段110と、
(c)前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつ繰り返しスキャンしてテレビジョン信号の水平周波数(15.734KHz)の2倍の水平周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するために一対のダブルスキャン回路122、124から構成されたダブルスキャン手段120と、
(d)前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号の各ラインを前記水平周波数の2倍のスイッチング速度(31.5KHz)で交代に選択してラインインタレ-シングされた合成映像信号を発生するマルチプレキシング手段130と、
(e)信号調整手段140と、
(f)前記合成映像信号を一つのスクリ-ン20上に投射する投射形ディスプレイ手段150とを含み、
(g)各ビデオカメラ102、104では水平ライン数がnである左側映像信号402と右側映像信号404をそれぞれ発生してテレビジョン信号として出力し、
(h)前記受信回路112、114ではそれぞれ受信されたテレビジョン信号を復調して左右側映像信号をそれぞれ発生し、これに前記ダブルスキャン回路122、124では左・右側映像信号402、404をライン毎に2回ずつ繰り返してスキャンすることにより2nの水平周波数を有するダブルスキャン映像信号412、414をそれぞれ出力し、前記マルチプレキシング手段130では該ダブルスキャン映像信号412、414を交代に一回ずつ選択して水平周波数が31.5KHzである合成映像信号420を出力することになり、
(i)前記信号調整手段140はバッファとフィルタとからなっており、前記合成映像信号420のレベルを調整し、かつ、ノイズを取り除き、CRTのような前記ディスプレイ手段150では水平周波数が31.5KHzである合成映像信号をスクリ-ン上にディスプレイする、
(j)立体映像表示装置。
第5 対比・判断
1 本件発明の(A)、(B)について
引用発明は、「(j)立体映像表示装置」であり、引用発明の「(a)被写体10から右側及び左側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を第1及び第2テレビジョン信号としてそれぞれ出力するために互いに所定の視差間隔をおいて配置される一対のビデオカメラ102、104から構成されたピックアップ手段100」における「一対のビデオカメラ102、104」は、立体映像を表示するために、被写体10から右側及び左側映像をそれぞれ撮像するためのカメラであるから、本件発明の「(A)立体視光学系、(B)該立体視光学系から右画像を取得するための右画像センサと該立体視光学系から左画像を取得するための左画像センサ」に相当するものである。
したがって、本件発明と引用発明は、「(A)立体視光学系、(B)該立体視光学系から右画像を取得するための右画像センサと該立体視光学系から左画像を取得するための左画像センサ」を備える点で一致する。
2 本件発明の(C)について
引用発明は、「(b)前記第1及び第2テレビジョン信号をそれぞれ受信して左側及び右側映像信号をそれぞれ発生するために一対の受信回路112、114から構成された受信手段110と、(c)前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつ繰り返しスキャンしてテレビジョン信号の水平周波数(15.734KHz)の2倍の水平周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するために一対のダブルスキャン回路122、124から構成されたダブルスキャン手段120と、(d)前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号の各ラインを前記水平周波数の2倍のスイッチング速度(31.5KHz)で交代に選択してラインインタレ-シングされた合成映像号を発生するマルチプレキシング手段130と」を含む。
これら(b)(c)(d)の3つの手段からなる構成において、(c)(d)の「前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつ繰り返しスキャンしてテレビジョン信号の水平周波数(15.734KHz)の2倍の水平周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生」し、「前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号の各ラインを前記水平周波数の2倍のスイッチング速度(31.5KHz)で交代に選択してラインインタレ-シングされた合成映像信号を発生する」動作は、本件発明の「該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする」動作に相当する。そして、(b)の「前記第1及び第2テレビジョン信号をそれぞれ受信」する動作は、本件発明の「該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信」する動作に相当し、(d)の「合成映像信号を発生」する動作は、本件発明の「合成画像を作成する」動作に相当するから、これらの動作は、本願発明でいう「右画像センサからの右画像と左画像センサからの左画像とを受信し、合成画像を作成するための」ものといえる。
そうすると、引用発明の上記3つの手段からなる構成は、本件発明の「(C)該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする水平ラインの切替器」に相当するものである。
したがって、本件発明と引用発明は、「(C)該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする水平ラインの切替器」を備える点で一致する。
3 本件発明の(D)について
引用発明は、「(e)信号調整手段140」を含み、「(i)前記信号調整手段140はバッファとフィルタとからなっており、前記合成映像信号420のレベルを調整し、かつ、ノイズを取り除き、CRTのような前記ディスプレイ手段150では水平周波数が31.5KHzである合成映像信号をスクリ-ン上にディスプレイ」する。
換言すれば、上記「2 本件発明の(C)について」で述べた上記3つの手段からなる構成(本件発明の「水平ラインの切替器」に相当)から合成映像信号420を受信し、バッファとフィルタによりレベルの調整やノイズの除去などの処理を行い、ディスプレイするものであり、該合成映像信号420は、各ビデオカメラ102、104で発生した左右側の映像信号を合成したものであるから、引用発明の信号調整手段140は、カメラからの映像信号に対して処理を行うカメラプロセッサといえるものである。また、該信号調整手段140は、左右の映像信号に対してそれぞれ別個に設けていないことから、単一のカメラプロセッサといえる。
したがって、引用発明の「(e)信号調整手段140」は、本件発明の「(D)ディスプレイに提示するために該水平ラインの切替器から該合成画像を受信するための単一のカメラプロセッサ」に相当するものである。
よって、本件発明と引用発明は、「(D)ディスプレイに提示するために該水平ラインの切替器から該合成画像を受信するための単一のカメラプロセッサ」を備える点で一致する。
4 本件発明の(E)について
本件発明のカメラシステムとは、その実施の形態として図3の立体視(3D)カメラシステム70を含むものであり、当該図3の立体視(3D)カメラシステム70は、立体視光学系40、右画像センサ10、左画像センサ15、水平ライン切替器75、および、単一のカメラプロセッサ85、マイクロ偏向ディスプレイ60を備えるシステムである。
引用発明は、上記1~3で述べたように、立体視光学系、右画像センサ、左画像センサ、水平ラインの切替器、および、単一のカメラプロセッサを備える装置であり、また、ディスプレイ手段150も備える「(j)立体映像表示装置」であるから、本件発明でいう「カメラシステム」といえるものである。
したがって、本件発明と引用発明は、「(E)カメラシステム」である点で一致する。
5 判断
以上、1~4の対比によれば、本件発明と引用発明は、
「立体視光学系、
該立体視光学系から右画像を取得するための右画像センサと該立体視光学系から左画像を取得するための左画像センサ、
該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする水平ラインの切替器、
および
ディスプレイに提示するために該水平ラインの切替器から該合成画像を受信するための単一のカメラプロセッサ
を備えるカメラシステム。」
である点で一致し、両者の間には相違する点はない。
よって、本件の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明である。
なお、請求人は、令和3年3月2日に提出した意見書により、引用文献1に記載された発明は、マルチプレキシング手段130を備えているのに対し、本件発明は、明細書の段落0016に記載されているように、マルチプレクサ構成要素を発明の要素から明確に取り除いているものであるから、両者は異なる旨を主張している。
しかしながら、請求人の主張する、明細書の段落0016に記載されている「マルチプレクサ(MPX)構成要素55」は、従来技術である図1について明細書の段落0006に「2つの同一カメラプロセッサ(すなわち、3D制御ユニット35の中に含まれている右カメラプロセッサ20と左カメラプロセッサ25)は、2つの完全な画像をマイクロ偏光ディスプレイ60のマルチプレクサ(MUX)構成要素55に送るのに使用される(次いで、このマルチプレクサ(MUX)構成要素55は、適切な信号をマイクロ偏光ディスプレイ60に供給する)。」と記載されているように、カメラプロセッサから画像を受け取り、ディスプレイに送るマルチプレクサであって、引用文献1に記載された発明の、信号調整手段140(本件発明の「カメラプロセッサ」に相当する。)に映像信号を出力するマルチプレキシング手段130とは異なるものである。すなわち、本件発明で取り除かれているというマルチプレクサ構成要素は、引用発明においても存在しない。(なお、上記「2」で検討したとおり、引用発明のマルチプレキシング手段130は、受信手段110とダブルスキャン手段120と合わせて、本件発明の「水平ライン切替器」に相当するものである。)
したがって、請求人の上記主張は当を得ないものである。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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