審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2019-011743

コイル部品

審判番号
2019-011743
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-125560外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年09月06日
審決日
2020年08月14日
公報発行日
2020年10月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-125560「コイル部品」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月12日出願公開、特開2017- 11117、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年6月23日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成31年 1月21日付け:拒絶理由通知 平成31年 3月20日  :意見書、手続補正書の提出 令和 1年 6月21日付け:拒絶査定 令和 1年 9月 6日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和1年6月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項 1-3、7 ・引用文献等 1、5 ・請求項 4-6 ・引用文献等 1、2、5 ・請求項 8 ・引用文献等 1-3、5 ・請求項 9 ・引用文献等 1-5 引用文献等一覧 1.特開2013-247265号公報 2.特開2007-128951号公報 3.特開2007-281186号公報 4.特開昭58-197704号公報 5.特開2013-12664号公報 第3 本願発明 本願の請求項1-9に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、令和1年9月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 第1方向に所定の間隔で互いに平行に配置された一対の第1コア部と、 前記第1コア部の端面に接続され、前記第1コア部の端部同士を連結して閉磁路を形成する一対の第2コア部と、 前記第1コア部に夫々巻回されるコイルと、 樹脂成型体と、を備え、 前記第1コア部の各々は、零磁場において第1透磁率を有する第1コア材部を少なくとも1つ含み、 前記第2コア部の各々は、零磁場において前記第1透磁率よりも高い第2透磁率を有する第2コア材部を少なくとも一つ含み、 前記第2コア材部は、少なくとも前記第1コア部と前記第2コア部との境界に配置され、 前記第1コア材部の高さと第1方向長さの比は3以下であり、 前記第1コア部及び前記第2コア部は、前記樹脂成型体の内部に配置されており、 前記コイルは、前記樹脂成型体に装着されており、 前記第2コア部は、柱状体であり、 前記第2コア部の前記第1コア部の端面と接する面は平面である コイル部品。 【請求項2】 前記第1コア材部の高さと第1方向長さの比は2以下である請求項1に記載のコイル部品。 【請求項3】 前記第1コア材部の高さと第1方向長さの比は1以下である請求項2に記載のコイル部品。 【請求項4】 前記第1コア部の断面積は、前記第2コア部の断面積よりも大きい請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコイル部品。 【請求項5】 前記第1コア部の断面積は、前記第2コア部の断面積の1.2倍以上2倍以下である請求項4に記載のコイル部品。 【請求項6】 前記第1コア部の断面積は、前記第2コア部の断面積の1.3倍である請求項5に記載のコイル部品。 【請求項7】 前記第1コア部の各々は、前記第1コア材部で構成され、前記第2コア部の各々は、前記第2コア材部で構成されている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のコイル部品。 【請求項8】 前記第1コア部の各々は、一対の前記第1コア材部と、それらの間に挟まれた前記第2透磁率に等しい透磁率を有する第3コア材部とで構成され、前記第2コア部の各々は、前記第2コア材部で構成されている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のコイル部品。 【請求項9】 前記第1コア部と前記第2コア部との境界の一部にギャップ材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のコイル部品。」 第4 審判請求時の補正について 審判請求時の補正によって請求項1に「前記第2コア部は、柱状体であり、前記第2コア部の前記第1コア部の端面と接する面は平面である」という事項を追加する補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「第2コア部」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、前記追加された事項は当初明細書等の図2に記載されているから、新規事項を追加するものではないといえる。 そして、「第5 引用文献、引用発明等」から「第7 判断」までに示すように、補正後の請求項1-9に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 よって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0007】 そこで、上記課題に鑑み、本発明は、大電流用途等のリアクトルにおいて、小型化に有利であるとともに、磁気飽和しにくく、騒音低減に好適なリアクトルの構成を提供することを目的とした。」 「【0016】 (リアクトルの第1の実施形態) 図1(a)は本発明のリアクトルの実施形態を示す図である。図1(a)に示すリアクトル100は、平行に対置された一組の柱状の磁心脚部1a、1bと、磁心脚部1a、1bにそれぞれ巻装されたコイル2a、2bと、磁心脚部1a、1bの一端同士および他端同士を磁気的に繋ぐ一対の磁心継部3a、3bとを備える。磁心脚部1a、1bと、磁心継部3a、3bによって、環状の磁路が構成される。図1(a)では、柱状の磁心脚部1a、1bの対置方向に切断した状態の断面図でリアクトル100を示してある。柱状の磁心脚部の形状としては、円柱、楕円柱、角柱等、種々のものを適用できるが、コイルを形成する導線の全長を小さくすることができる点で、柱方向(長手方向)に垂直な断面が真円である円柱が優れる。図1に示す実施形態を含め、以下円柱状の磁心脚部を用いたリアクトルを例として説明する。」 「【0019】 各磁心継部3a、3bは、磁心脚部1a、1bの一端または他端を支持するための段差4を、少なくとも対置された一対の磁心脚部1a、1bの間に備える。すなわち、磁心継部3a、3bは、対置された磁心脚部1a、1bを結ぶ方向(x方向)において、磁心脚部1a、1bの端面が対向する左右両端側の面よりも中央側の面が高くなっている。段差4の側面(段差面)は、磁心脚部1a、1bの端面に対向する面、すなわち該磁心脚部1a、1bを支持する面に垂直に立ち上がっている。磁心継部3a、3bに段差4を設けることで、磁心継部3a、3bは磁心脚部1a、1bの端面近傍の側面とも対向するようになる。上述のように、磁心継部は、磁心脚部に比べて相対的に飽和磁束密度が低い磁性材料で構成されており、磁心脚部に比べて磁気飽和しやすい。そこで、磁心継部3a、3bが、磁心脚部1a、1bの円形の端面と対向する部分に加えて、磁心脚部1a、1bの側面の一部とも対向する部分を有することによって、磁心脚部との対向面積を増やし、磁気飽和しにくくなる。また、段差4を設けることで、磁心継部3a、3bに対する磁心脚部1a、1bの位置決めが容易になる。 ・・・中略・・・ 【0021】 上述の段差を設けた磁心継部の例を図2に示す。図2(a)は磁心脚部を支持するための主面の法線方向から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)のy方向から見た正面図である。図2に示した磁心継部200は、磁心脚部を支持するための一対の支持面7を長手方向両端に有し、各支持面7の、他方の支持面側には円弧状に形成された段差4が設けられている。各支持面の段差4に挟まれた中央部6の表面は、支持面7よりもz方向に、一段高くなっている。図中の点線の円は、磁心脚部の端面8を表している。円柱状の磁心脚部の側面との磁気ギャップが磁心脚部の周囲で一定に形成できるように、円弧状の段差4は、磁心脚部の端面の円と同心になるように形成されている。段差4の円弧は円周の50%以下で構成すればよい。円弧の比率は小さくすることも可能であるが、磁路断面積の確保、位置決めの効果の確保の観点からは、円周の40%以上にすることが好ましい。なお、段差4は円弧状に形成しないで、磁心脚部の対置方向(x方向)に垂直な方向に延びる直線状に形成することもできる。また、磁心脚部を角柱で構成し、段差4をその側面形状に倣って、互いに直交する三つの直線で構成されたコの字状にしてもよいし、磁心脚部の対置方向(x方向)に垂直な方向に延びる直線状に形成してもよい。ただし、磁心脚部の側面形状に倣った円弧やコの字状のように、磁心脚部の対置方向(x方向)に垂直な方向(y方向)で磁心脚部を挟むように段差4を構成することで、磁心脚部の対置方向(x方向)のみならず、それに垂直な方向(y方向)においても、磁心脚部の位置決めを行うことができる。また、図2に示す磁心継部では、長方形の主面の四隅を直線に沿って落として、全体の小型化を図っているが、曲線に沿って落としてもよい。また、磁心継部の主面の形状は、図2に示す実施形態のような多角形に限らず、長方形や楕円形等でもよい。」 「【0026】 (リアクトルの第2の実施形態) 磁心脚部の構成が図1に示す実施形態と異なる他のリアクトル(第2の実施形態)を図3に示す。磁心脚部以外の部分は図1に示す実施形態と同じであるので説明を省略する。図3に示すリアクトル300では、一組の磁心脚部5a、5bは、それぞれ材質が異なる複数の磁性材料ブロック5a-1~3、5b-1~3を接着して構成されている。例えば、コイルの外部では磁束の漏れがリアクトルの特性に影響する。そこで、コイルの外部に位置する磁性材料ブロックとして、コイル内部の磁性材料ブロックよりも透磁率が高いものを用いてもよい。また、磁路断面積の自由度の高さに応じて、すなわち磁心継部、磁心継部に隣接する磁性材料ブロック、コイル内部に位置する磁性材料ブロックの順に、飽和磁束密度が高い材料を配置してもよい。一組の磁心脚部を、それぞれ材質が異なる複数の磁性材料ブロックで構成すれば、磁心脚部の構成の自由度が高く、特性、コストに照らして磁心脚部の構成の最適化を図ることができる。各磁性材料ブロックは接着剤を用いて一体化されており、該接着部分には実質的な磁気ギャップは形成されていない。また、各磁性材料ブロックの接着部分は全てコイルの内側になるように配置してある。」 「【0030】 (リアクトルの第3の実施形態) 磁心脚部と磁心継部を備えたリアクトルは、これらを互いに固定して用いる。図4には固定部材の一部も含めてリアクトルの実施形態を示す(第3の実施形態)。固定部材以外の部分は図3に示す実施形態と同じであるので説明を省略する。図4に示すリアクトル400は、磁心脚部5a、5bを支持した一対の磁心継部3a、3bを、磁心脚部5a、5bを挟む方向から押圧する締め付け具9a、9bを有する。図4においては、締め付け具9a、9bは磁心継部3a、3bを押圧するプレート部分のみ図示してあり、磁心継部のy方向の両側で、かかるプレート間に掛架してプレート同士を締め付ける部材は、図示を省略している。締め付け具9a、9bと磁心継部3a、3bとの間には、弾性シート10a、10bが介在している。弾性シートは、締め付け具による締め付けで寸法変化するものであり、例えば、不織布やゴムシートなどを用いることができる。不織布の場合であれば、例えばアラミド、ナイロン、ポリエステル等の材料を用いた不織布などを用いることができる。かかる弾性シートを配置することで、弾性シートを配置しない場合や樹脂スペーサのように締め付け具による締め付けでは寸法変化しないような硬い材料を配置する場合に比べて、騒音を低減することが可能である。弾性シートの大きさはこれを限定するものではないが、締め付け具9a、9bと磁心継部3a、3bとが直接接触しないように、押圧面で、十分広く配置するか、複数箇所に離間して配置する。」 「【実施例】 【0032】 磁心継部を図2に示す形状のMn-Zn系フェライトを用い、図4に示すリアクトルを構成した。使用したMn-Zn系フェライトの25℃での飽和磁束密度は0.48T、100kHzでの初透磁率は2400、100kHz/100mTでの損失が200kW/m3であった。一組の磁心脚部5a、5bは、Fe-Si系圧粉磁心(磁性材料ブロック5a-2、5b-2)と、それを挟むように配置されたFe-Al-Si系圧粉磁心(磁性材料ブロック5a-1/5a-3、5b-1/5b-3)で構成した。Fe-Si系圧粉磁心はFe-6.5%Siの磁性粉を用いて構成されたものであり、飽和磁束密度Bsは1.65T、100kHzでの初透磁率が50、100kHz/100mTでの損失が1600kW/m3のものを用いた。一方、Fe-Al-Si系圧粉磁心は、飽和磁束密度Bsは0.9T、100kHzでの初透磁率80、100kHz/100mTでの損失が850kW/m3のものを用いた。円柱状の各圧粉磁心の断面の直径は24mm、Fe-Si系圧粉磁心の長さは20mm、Fe-Al-Si系圧粉磁心の長さは21mmとした。また、磁心脚部5a、5bの一端および他端の端面と磁心継部3a、3bとの磁気ギャップは0.75mm、磁心脚部5a、5bの一端および他端の側面と段差4の側面との磁気ギャップは0.75mmとした。コイルは、PET製のボビンに導線を巻回して構成し、一対の磁心脚部にそれぞれ配した。さらに、締め付け具9a、9bと磁心継部3a、3bとの間に、弾性部材としてポリエステル製の不織布を配置した。 【0033】 また、比較のために、以下のリアクトルを作製した。磁心脚部の全ての磁性材料ブロックとしてFe-Al-Si系圧粉磁心を用いるとともに、Fe-Al-Si系圧粉磁心間には樹脂スペーサを配置して0.35mmの磁気ギャップを設けた。Fe-Al-Si系圧粉磁心の断面形状は実施例と同じとし、中央のFe-Al-Si系圧粉磁心の長さは18mm、その両側のFe-Al-Si系圧粉磁心の長さは21mmとした。また、磁心継部と磁心脚部との間の磁気ギャップも0.35mmとした。締め付け具9a、9bと磁心継部3a、3bとの間には、樹脂スペーサを配置した。その他の構成は実施例と同様にした。」 ・段落【0016】、【0026】によれば、「リアクトルは、平行に対置された一組の柱状の磁心脚部と、磁心脚部にそれぞれ巻装されたコイルと、磁心脚部の一端同士および他端同士を磁気的に繋ぐ一対の磁心継部とを備え、磁心脚部と、磁心継部によって、環状の磁路が構成され、柱状の磁心脚部の形状としては、柱方向(長手方向)に垂直な断面が真円である円柱であり、磁心脚部は、それぞれ材質が異なる複数の磁性材料ブロックを接着して構成された」ものである。 ・段落【0019】、【0021】によれば、「各磁心継部は、磁心脚部の一端または他端を支持するための段差を、少なくとも対置された一対の磁心脚部の間に備え、磁心継部の主面の形状は、長方形」である。 ・段落【0032】によれば、「磁心継部はMn-Zn系フェライトを用い、Mn-Zn系フェライトの100kHzでの初透磁率は2400」である。 ・段落【0032】によれば、「一組の磁心脚部は、Fe-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロックと、それを挟むように配置されたFe-Al-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロックで構成され、Fe-Si系圧粉磁心は100kHzでの初透磁率が50、Fe-Al-Si系圧粉磁心は100kHzでの初透磁率80」である。 ・段落【0032】によれば、「各圧粉磁心の断面の直径は24mm、Fe-Si系圧粉磁心の長さは20mm、Fe-Al-Si系圧粉磁心の長さは21mmであり、また、磁心脚部の一端および他端の端面と磁心継部との磁気ギャップは0.75mm」である。 したがって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「平行に対置された一組の柱状の磁心脚部と、磁心脚部にそれぞれ巻装されたコイルと、磁心脚部の一端同士および他端同士を磁気的に繋ぐ一対の磁心継部とを備え、磁心脚部と、磁心継部によって、環状の磁路が構成され、柱状の磁心脚部の形状としては、柱方向(長手方向)に垂直な断面が真円である円柱であり、磁心脚部は、それぞれ材質が異なる複数の磁性材料ブロックを接着して構成されたリアクトルであり、 各磁心継部は、磁心脚部の一端または他端を支持するための段差を、少なくとも対置された一対の磁心脚部の間に備え、磁心継部の主面の形状は、長方形で、 磁心継部はMn-Zn系フェライトを用い、Mn-Zn系フェライトの100kHzでの初透磁率は2400、 一組の磁心脚部は、Fe-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロックと、それを挟むように配置されたFe-Al-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロックで構成され、Fe-Si系圧粉磁心は100kHzでの初透磁率が50、Fe-Al-Si系圧粉磁心は100kHzでの初透磁率80であり、 各圧粉磁心の断面の直径は24mm、Fe-Si系圧粉磁心の長さは20mm、Fe-Al-Si系圧粉磁心の長さは21mmであり、また、磁心脚部の一端および他端の端面と磁心継部との磁気ギャップは0.75mmである リアクトル。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0018】 実施例1は、リアクトルのコアを、2つの棒状の圧粉コア11と2つの板状のフェライトコア12を組み合わせて構成し、コイル14が巻回されたボビン13の中空孔13aに前記圧粉コア11がそれぞれ組み込まれ、該圧粉コア11がコイル14の取付巻回軸となる。 【0019】 コイル14が施されたボビン13を装着した2つの圧粉コア11は、フェライトコア12に組み合い四辺形の複合コアを形成する。フェライトコア12の圧粉コア11との当接部は凹部12aを設け、また、圧粉コア11のフェライトコア12との当接部は、前記フェライトコア12の凹部12aに嵌め合う形を成し、圧粉コア11とフェライトコア12の組み合わせ時の、位置ずれ防止している。 【0020】 実施例1の形態おける特性評価として、圧粉コア11としてFe-Si-Al合金粉末を使用し、フェライトコア12としてはMn-Zn系ソフトフェライトを使用した。コイル部分を含むリアクトル全体の大きさは、78-72-高さ45(mm)である。コアの磁路断面積は、圧粉コア部分を255mm2、フェライトコア部分を300mm2の形状とした。また、室温における圧粉コアのBsは0.82T、フェライトコアのBsは0.49Tである。」 「 」 「【0026】 なお、本実施例1は出力定格電流8ArmsのDC/ACコンバータ用リアクトルとして設計しており、ピーク電流12A付近までは1.4mH程度のインダクタンスを必要され、先に述べた1-fのリアクトルであれば、出力定格電流8ArmsのDC/ACコンバータ用リアクトルと使用できものであり、コイルの取付巻回軸をなっている圧粉コア部分の総磁束量に対して、フェライトコア部分の総磁束量が40%以上あればリアクトルとして使用できるものである。」 したがって、引用文献2には、以下の技術的事項が記載されている。 「リアクトルのコアを、2つの棒状の圧粉コア11と2つの板状のフェライトコア12を組み合わせて構成し、圧粉コア11としてFe-Si-Al合金粉末を使用し、フェライトコア12としてはMn-Zn系ソフトフェライトを使用し、圧粉コアを255mm2、フェライトコアを200mm2とし、DC/ACコンバータ用リアクトルと使用」する技術。 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0032】 (比較例1) 図3に示すような、長円形状の複合磁心を製造した。長径、短径、高さ、平均磁路長とも実施例1と同じ寸法である。コーナー部は実施例1と同じ、鉄系非晶質磁性帯板(米国Metglas社製2605SA1材:厚さ25μm)の占積率82%の巻磁心を切断して作製した積層体である。 また、ストレート部は、圧粉磁心部41~45、51~55の間に、上記鉄系非晶質磁性帯板の積層体からなる同形状のブロック81~84が配置されるよう設置した。圧粉磁心部および高透磁率磁心部からなるブロックの寸法、およびそれらの間に形成するギャップの幅は実施例1と同様である。 このリアクトルは、直流電流160Aの時にインダクタンスが232μHであり、直流電流330Aの時にインダクタンスが64μHであることが確認された。ただし、実施例1と同様にしてリアクトル損失を測定したところ、高透磁率磁心部と圧粉磁心部が交互に配置されたリアクトルでは、46Wと大きな損失となることが解った。 【0033】 (比較例2) 図4に示すような、長円形状の複合磁心を製造した。長径、短径、高さ、平均磁路長とも実施例1と同じ寸法である。コーナー部は実施例1と同じ、鉄系非晶質磁性帯板(米国Metglas社製2605SA1材:厚さ25μm)の占積率82%の巻磁心を切断して作製した積層体である。 また、ストレート部は、実施例1とは異なり、全て同形状の圧粉磁心部41~47,51~57からなる構造とした。圧粉磁心部の寸法、およびそれらの間に形成するギャップの幅は実施例1と同様である。 このリアクトルは、直流電流160Aの時にインダクタンスが222μHであり、直流電流330Aの時にインダクタンスが68μHであることが確認された。ただし、実施例1と同様にしてリアクトル損失を測定したところ、52Wと大きな値を示すことが解った。」 したがって、引用文献3には、以下の技術的事項が記載されている。 「コーナー部は、鉄系非晶質磁性帯板の巻磁心を切断して作製した積層体、また、ストレート部は、圧粉磁心部の間に、上記鉄系非晶質磁性帯板の積層体からなる同形状のブロックが配置されるよう設置し、直流電流160Aの時にインダクタンスが232μHのリアクトルとし、 コーナー部は鉄系非晶質磁性帯板の巻磁心を切断して作製した積層体、また、ストレート部は、全て同形状の圧粉磁心部からなる構造とし、直流電流160Aの時にインダクタンスが222μHのリアクトル」とする技術。 4 引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「第4図の場合には、EI型コア5の中央脚6の一部に切欠7を設けてエアギャップとしている。この構成により、コア左側の磁路lLと右側の磁路lRにおいてその飽和点に差ができ、第2図のようなコアを2個並列にした場合と同様の第3図(a)に示される特性を得るものである。」(第3頁右上欄第12-18行) したがって、引用文献4には、以下の技術的事項が記載されている。 「EI型コア5の中央脚6の一部に切欠7を設けてエアギャップとし、コアを2個並列にした場合と同様の特性を得る」技術。 5 引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0028】 図2に示されるように、コアモジュール20は、2つの略U字状に形成されたU型コアユニット20a及び20bのU字の先端同士を、ギャップ部材20gを介して突き合わせて、接着剤で貼り合わせて形成された略O字形のリングコアである。コアモジュール20は、平行に並べられた一対の直線コア部22a、22bと、その両端を連絡する一対の連結コア部21を有している。U型コアユニット20a及び20bは、それぞれ磁性体から形成されたU型コアを射出成形(インサート成形)により樹脂で被覆したものである。この樹脂被覆は、コアとコイルとを電気的絶縁するために従来使用されていた絶縁ボビンがコアと一体に成形されたものであり、電気絶縁性及び耐熱性を有する樹脂(例えばポリフェニレンサルファイド(PPS))から形成される。また、本実施形態では、積層ケイ素鋼板のコアが使用されるが、圧粉磁心やフェライト磁心を使用してもよい。ギャップ部材20gは、所定の厚さを有する非磁性体(例えば、アルミナ等のセラミックスや樹脂)の板材である。」 段落【0028】の記載によれば、引用文献5には、以下の技術的事項が記載されている。 「コアユニット20a及び20bを、それぞれ磁性体から形成されたコアを射出成形(インサート成形)により樹脂で被覆したものとし、この樹脂被覆は、コアとコイルとを電気的絶縁するための絶縁ボビンがコアと一体に成形されたもの」とする技術。 第6 対比 本願発明1と引用発明を対比する。 1 引用発明の「平行に対置された一組の柱状の磁心脚部」は、本願発明1の「第1方向に所定間隔で互いに平行に配置された一対の第1コア部」に相当する。 2 引用発明の「磁心脚部の一端同士および他端同士を磁気的に繋ぐ一対の磁心継部」は、「磁心脚部と、磁心継部によって、環状の磁路」を構成するから、本願発明1の「前記第1コア部の端面に接続され、前記第1コア部の端部同士を連結して閉磁路を形成する一対の第2コア部」に相当する。 3 引用発明の「磁心脚部にそれぞれ巻装されたコイル」は、本願発明1の「前記第1コア部に夫々巻回されるコイル」に相当する。 4 本願発明1は、「樹脂成型体」を備え、「前記第1コア部及び前記第2コア部は、前記樹脂成型体の内部に配置されており、前記コイルは、前記樹脂成型体に装着されて」いるのに対し、引用発明は、その旨特定されていない点で相違する。 5 引用発明の「一組の磁心脚部」が「Fe-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロック」と「Fe-Al-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロック」で構成され、「Fe-Si系圧粉磁心は100kHzでの初透磁率が50、Fe-Al-Si系圧粉磁心は100kHzでの初透磁率80」であることは、本願発明1の「前記第1コア部の各々は、零磁場において第1透磁率を有する第1コア部材を少なくとも1つ含」むことに相当する。 6 引用発明の「磁心継部はMn-Zn系フェライトを用い、Mn-Zn系フェライトの100kHzでの初透磁率は2400」であることは、本願発明1の「前記第2コア部の各々は、零磁場において前記第1透磁率よりも高い第2透磁率を有する第2コア部材を少なくとも一つ含」むことに相当する。 7 引用発明の「磁心継部」は「Mn-Zn系フェライトを用い」、「磁心脚部の一端同士および他端同士を磁気的に繋ぐ」ものであるから、「磁心継部」の「磁心脚部」との境界もMn-Zn系フェライトで形成されたものであり、このことは、本願発明1の「前記第2コア部材は、少なくとも前記第1コア部と前記第2コア部との境界に配置され」ることに相当する。 8 引用発明の「一組の磁心脚部」は、「Fe-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロックと、それを挟むように配置されたFe-Al-Si系圧粉磁心の磁性材料ブロックで構成され」、「各圧粉磁心の断面の直径は24mm、Fe-Si系圧粉磁心の長さは20mm、Fe-Al-Si系圧粉磁心の長さは21mm」である。 してみると、引用発明の「磁心脚部」の断面の直径は24mm、柱方向(長手方向)長さは62mm(21mm+20mm+21mm)で、長さと直径の比は約2.58であり、本願発明1の「前記第1コア部材の高さと第1方向長さの比は3以下」であることに相当する。 9 引用発明の「磁心継部の主面の形状は、長方形」であることは、本願発明1の「第2コア部は、柱状体」であることに相当する。ただし、本願発明1は「第2コア部の前記第1コア部の端面と接する面は平面である」のに対し、引用発明は「各磁心継部」は「段差を、少なくとも対置された一対の磁心脚部の間に備えている」点で相違する。 10 引用発明の「リアクトル」は「コイル」を備えるものであるから、「コイル部品」といい得るものである。 11 したがって、本願発明1と引用発明は以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 「第1方向に所定の間隔で互いに平行に配置された一対の第1コア部と、 前記第1コア部の端面に接続され、前記第1コア部の端部同士を連結して閉磁路を形成する一対の第2コア部と、 前記第1コア部に夫々巻回されるコイルと、を備え、 前記第1コア部の各々は、零磁場において第1透磁率を有する第1コア材部を少なくとも1つ含み、 前記第2コア部の各々は、零磁場において前記第1透磁率よりも高い第2透磁率を有する第2コア材部を少なくとも一つ含み、 前記第2コア材部は、少なくとも前記第1コア部と前記第2コア部との境界に配置され、 前記第1コア材部の高さと第1方向長さの比は3以下であり、 前記第2コア部は、柱状体である コイル部品。」 〈相違点1〉 本願発明1は「樹脂成型体」を備え、「前記第1コア部及び前記第2コア部は、前記樹脂成型体の内部に配置されており、前記コイルは、前記樹脂成型体に装着されて」いるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。 〈相違点2〉 本願発明1は「前記第2コア部の前記第1コア部の端面と接する面は平面である」のに対し、引用発明は「各磁心継部」は「段差を、少なくとも対置された一対の磁心脚部の間に備えている」点。 第7 判断 1 本願発明1について 事案に鑑み、相違点2について検討する。 引用発明は「大電流用途等のリアクトルにおいて、小型化に有利であるとともに、磁気飽和しにくく、騒音低減に好適なリアクトルの構成を提供することを目的」(引用文献1の【0007】参照)とし、「磁心継部3a、3bに段差4を設けることで、磁心継部3a、3bは磁心脚部1a、1bの端面近傍の側面とも対向する」ようになり、「磁心継部3a、3bが、磁心脚部1a、1bの円形の端面と対向する部分に加えて、磁心脚部1a、1bの側面の一部とも対向する部分を有することによって、磁心脚部との対向面積を増やし、磁気飽和しにくくなる」(引用文献1の【0019】参照)ものであるから、引用発明の「段差」は、引用発明の目的を達成するために必須の構成である。 そして、引用発明の「磁心継部」は「磁心脚部の一端または他端を支持するための段差を、少なくとも対置された一対の磁心脚部の間に備え」るものであるから、引用発明の磁心継部は磁心脚部の一端または他端と対置する面(第1コア部の端面と接する面)に段差を備えたものである。 してみると、引用発明の「磁心継部」の「段差」をなくすことにより、磁心継部の磁心脚部の一端または他端と対置する面(第1コア部の端面と接する面)を平面とし、上記相違点2に係る構成とすることには阻害要因がある。 したがって、引用発明に引用文献5に記載された技術的事項を適用することによりコアを射出成形により樹脂で被覆し、上記相違点1に係る構成とすることが容易であったとしても、本願発明1は、当業者であっても引用発明、拒絶査定において引用された引用文献5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-9について 本願発明2-9は、本願発明1の構成を全て含み、更に他の構成を付加したものであるところ、上記相違点2に係る構成は上記のとおり容易に発明できたものとはいえないから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはてきない。 また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2019-011743

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決31件(株式会社トーキン)
  • 2025-007858拒絶査定不服審判 / 2026-02-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)圧粉磁心、及びインダクタ
    同じ当事者: 株式会社トーキン
  • 2023-020899拒絶査定不服審判 / 2024-12-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)インダクタ
    同じ当事者: 株式会社トーキン
  • 2024-001836拒絶査定不服審判 / 2024-10-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)インダクタ及びインダクタの製造方法
    同じ当事者: 株式会社トーキン
  • 2023-015965拒絶査定不服審判 / 2024-08-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)振動センサ
    同じ当事者: 株式会社トーキン
  • 2023-009056拒絶査定不服審判 / 2024-05-29 / 請求不成立インダクタ及びその製造方法
    同じ当事者: 株式会社トーキン
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)438件(121・H01F)
  • 2025-017220拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)コイル部品
    共通の審決分類: 121・H01F
  • 2025-015147拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)成形体の製造方法及び半導体装置の製造方法
    共通の審決分類: 121・H01F
  • 2025-007002拒絶査定不服審判 / 2026-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)FE-NIナノコンポジット合金
    共通の審決分類: 121・H01F
  • 2025-008850拒絶査定不服審判 / 2026-07-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)テーパ付きフェライトコアの製造方法
    共通の審決分類: 121・H01F
  • 2025-010005拒絶査定不服審判 / 2026-07-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)積層コア
    共通の審決分類: 121・H01F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存