特許拒絶査定不服審判
2019-003767
干渉処理方法、装置、ネットワーク制御ユニット及び端末
- 審判番号
- 2019-003767
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-542966
- 請求日
- 2019年03月20日
- 審決日
- 2020年02月03日
- 公報発行日
- 2020年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中興通訊股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】特許業務法人筒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 菅原 道晴
- 審判官 中木 努
- 審判官 相澤 祐介
- 分類
- P18 .113-Z (H04W) / P18 .121-Z (H04W) / P18 .575-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第126条第7項、特許法第159条第1項、特許法第53条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-542966「干渉処理方法、装置、ネットワーク制御ユニット及び端末」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月 6日国際公開、WO2014/177094、平成29年 1月19日国内公表、特表2017-502600〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)5月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年12月26日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 2月23日付け 拒絶理由通知書
平成30年 6月 6日 意見書の提出
平成30年11月12日付け 拒絶査定
平成31年 3月20日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提
出
第2 平成31年3月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年3月20日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の概要
本件補正は、出願当初の特許請求の範囲の請求項23に記載された
「 ネットワーク側により物理下り共有チャネルPDSCHを介して伝送した第2アクセスノード及び/又は第1アクセスノードの第2端末の下り伝送パラメータ指示情報を受信するように構成される受信モジュールと、
受信した前記下り伝送パラメータ指示情報に基づいて前記第2アクセスノード及び/又は前記第1アクセスノードの第2端末について干渉除去処理を行うように構成される処理モジュールと、を含む干渉処理装置。」
という発明(以下、「本願発明」という。)を、
「 ネットワーク側により物理下り共有チャネルPDSCHを介して伝送した第2アクセスノード及び/又は第1アクセスノードの第2端末の下り伝送パラメータ指示情報を受信するように構成される受信モジュールと、
受信した前記下り伝送パラメータ指示情報に基づいて前記第2アクセスノード及び/又は前記第1アクセスノードの第2端末について干渉除去処理を行うように構成される処理モジュールと、を含み、
前記下り伝送パラメータ指示情報が、第2端末が存在するか否かを指示する指示情報、第2端末の伝送モード情報の中の少なくとも一つを含む干渉処理装置。」
という発明(以下、「本願補正発明」という。)とすることを含むものである(下線は新たに追加された補正箇所を示すものとして請求人が付与したものである。)。
2.補正の適否
(1)新規事項の有無、シフト補正の有無、目的要件
請求項23についての上記補正は、本件補正前の「下り伝送パラメータ指示情報」について、「前記下り伝送パラメータ指示情報が、第2端末が存在するか否かを指示する指示情報、第2端末の伝送モード情報の中の少なくとも一つを含む」との限定を付して特許請求の範囲を減縮するものである。
そして、上記補正は、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
(2)独立特許要件
請求項23についての上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項23に係る本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて、以下検討する。
ア.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.補正の概要」の項の「本願補正発明」のとおりのものと認める。
イ.引用発明
原査定の拒絶の理由で引用されたEricsson,On signaling and coordination aspects of NAICS(当審訳:NAICSのシグナリングと調整の側面について), 3GPP TSG-RAN WG1#75,R1-135772,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_75/Docs/R1-135772.zip>,2013年11月2日アップロード(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
(ア)「Proposal 1: If considering network assisted signaling of aggressor information that may change dynamically, it should be provided by the aggressor cells due to backhaul constraints
Aggressor information to be signaled dynamically would basically correspond to the contents of multiple DCIs as in general more than one user is being scheduled DL data in a subframe. In principle, a victim UE could with knowledge of aggressor C-RNTIs (and TMs) detect and decode the aggressor PDCCHs and by then derive the transmission parameters needed for cancellation of PDSCHs.」(1葉下から23~18行)
(当審訳:
提案1:動的に変化する可能性のある攻撃者情報のネットワーク支援シグナリングを検討する場合、バックホールの制約のために攻撃者セルによって提供される必要がある
一般に、1つのサブフレームに複数のユーザがDLデータをスケジュールされているため、動的に通知される攻撃者情報は、基本的に複数のDCIの内容に対応する。原則として、被害者UEは、攻撃者C-RNTI(及びTM)の知識と共に、攻撃者PDCCHを検出及びデコードし、それによってPDSCHのキャンセルに必要な送信パラメータを導出できる。)
(イ)「Blind detection of physical layer transmission parameters of aggressors are considered by RAN4 in which the transmission parameters required by a NAICS receiver are blindly detected from the aggressor PDSCHs instead of being derived from aggressor PDCCHs, or by other means. Examples of transmission parameters to be considered for blind detection are modulation scheme, RB allocations, TM,precoder information (including number of layers) and DL power allocations.
(中略)
Hence, to reduce the number of blind detection hypothesis the network could signal to the UE which TMs it should assume that the interfering signals could have been configured with.」(1葉下から8~2葉2行)
(当審訳:
攻撃者の物理層送信パラメータのブラインド検出は、RAN4によって考慮される。RAN4では、NAICS受信機が必要とするその送信パラメータは、攻撃者PDCCHから導出される代わりに攻撃者PDSCHから、又は他の手段から盲目的に検出される。ブラインド検出で考慮される送信パラメータの例は、変調方式、RB割り当て、TM、プリコーダー情報(レイヤー数を含む)及びDL電力割り当てである。
(中略)
したがって、ブラインド検出仮説の数を減らすために、ネットワークは、干渉信号が構成されている可能性があると想定すべきTMをUEに伝えることができる。)
上記の摘記した引用例の記載及び当業者における技術常識からみて、
a.上記(ア)に「被害者UEは、・・・PDSCHのキャンセルに必要な送信パラメータを導出できる」と記載され、上記(イ)に「攻撃者の物理層送信パラメータ」及び「NAICS受信機が必要とする送信パラメータは、・・・攻撃者PDSCHから・・・盲目的に検出される。」と記載されている。ここで、攻撃者PDSCHの送信元は攻撃者セルであることは技術常識であり、PDSCHのキャンセルとは攻撃者セルのPDSCHを被害者UEの受信信号からキャンセルすることであることはNAICS受信機において技術常識である。してみると、被害者UEは、「攻撃者セルにより攻撃者PDSCHを介して伝送した、攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行うための攻撃者セルの送信パラメータを検出」し、「検出した送信パラメータに基づいて攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行」うといえる。
b.上記(イ)に「ブラインド検出で考慮される送信パラメータの例は、変調方式、RB割り当て、TM、プリコーダー情報(レイヤー数を含む)及びDL電力割り当てである。」と記載されていることから、「送信パラメータがTMを含む」といえる。
したがって、上記の摘記した引用例の記載及び当業者における技術常識からみて、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
「 攻撃者セルにより攻撃者PDSCHを介して伝送した、攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行うための攻撃者セルの送信パラメータを検出し、ここで送信パラメータがTMを含み、
検出した送信パラメータに基づいて攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行う、
被害者UE。」
ウ.対比及び判断
本願補正発明と引用発明を対比すると、
a.引用発明の「攻撃者セル」は、「ネットワーク側」といえる。
また、本願の発明の詳細な説明の段落39に「図1に示すように、まず、第1端末はターゲット端末で、第1アクセスノードが属するセルは第1端末のサービングセルであって、第2端末は第1端末の干渉端末で、第2アクセスノードは第1端末の干渉セルであって、即ち、第2アクセスノードが属するセルに第1端末の干渉端末が存在する。」と記載されていることから、本願補正発明の「第2アクセスノード」は干渉セルを含む。よって、引用発明の「攻撃者セル」は、本願補正発明と同様に、「第2アクセスノード」といえる。
そして、引用発明の「攻撃者PDSCH」は、本願補正発明の「物理下り共有チャネルPDSCH」に含まれる。
また、引用発明の「攻撃者セルの送信パラメータ」は、攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行うためのパラメータであるから、攻撃者セルの下り信号であるPDSCHのパラメータである。そして、下り信号であるPDSCHは攻撃者セル内の端末であるUEに向けた信号であることは技術常識である。更に、攻撃者セル内の端末を第2の端末と称することは任意である。よって、引用発明の「攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行うための攻撃者セルの送信パラメータ」は、本願補正発明と同様に、「第2アクセスノードの第2端末の下り伝送パラメータ指示情報」といえる。
そして、引用発明の「攻撃者セルの送信パラメータを検出し」は、本願補正発明と同様に、「下り伝送パラメータ指示情報を受信する」といえ、引用発明がそのための手段を有することは明らかであり、当該手段をモジュール化することは常套手段にすぎない。
したがって、引用発明の「攻撃者セルにより攻撃者PDSCHを介して伝送した、攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行うための攻撃者セルの送信パラメータを検出し」は、本願補正発明の「ネットワーク側により物理下り共有チャネルPDSCHを介して伝送した第2アクセスノードの第2端末の下り伝送パラメータ指示情報を受信するように構成される受信モジュールを含」むことに相当する。ここで、「及び/又は」は「第2アクセスノード」のみである発明を包含するから「第1アクセスノード」の点は差異とはならない。
b.引用発明は「攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行う」のであるから、第2アクセスノードの第2端末について干渉を除去する処理を行うといえ、引用発明がそのための手段を有することは明らかであり、当該手段をモジュール化することは常套手段にすぎない。
よって、引用発明の「検出した送信パラメータに基づいて攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行う」は、本願補正発明の「受信した前記下り伝送パラメータ指示情報に基づいて前記第2アクセスノードの第2端末について干渉除去処理を行うように構成される処理モジュールを含」むことに相当する。
c.引用発明のTMが伝送モードを表していることは技術常識であり、この伝送モードは攻撃者セルの攻撃者セル内の第2端末への伝送モードであることは明らかであるから、引用発明の「TM」は本願補正発明の「第2端末の伝送モード情報」に相当する。
よって、引用発明の「送信パラメータがTMを含み」は、本願補正発明と「下り伝送パラメータ指示情報が、第2端末の伝送モード情報を含む」点で差異はない。
d.引用発明の「被害者UE」は攻撃者セルのPDSCHのキャンセルを行うことから、攻撃者セルからの干渉を処理する装置といえる。よって、引用発明の「被害者UE」は、本願補正発明と同様に、「干渉処理装置」といえる。
以上を総合すると、本願補正発明と引用発明は、
「 ネットワーク側により物理下り共有チャネルPDSCHを介して伝送した第2アクセスノードの第2端末の下り伝送パラメータ指示情報を受信するように構成される受信モジュールと、
受信した前記下り伝送パラメータ指示情報に基づいて前記第2アクセスノードの第2端末について干渉除去処理を行うように構成される処理モジュールと、を含み、
前記下り伝送パラメータ指示情報が、第2端末の伝送モード情報を含む干渉処理装置。」の点で一致し、相違点はない。
したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
また、引用例に記載された発明から本願補正発明をすることには何ら困難性は見出せない。したがって、本願補正発明は、当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3.まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~27に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1~27に記載された事項により特定されるところ、その請求項23に係る発明は、上記「第2 平成31年3月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の「1.補正の概要」の項目で示した本願発明のとおりのものと認める。
2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」、
というものであり、本件補正前の請求項23に対して引用例が引用されている。
3.引用発明
引用発明は、上記「第2 平成31年3月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件について」の「イ.引用発明」の項で認定したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は上記「第2 平成31年3月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件について」の「ア.本願補正発明」で検討した上記本願補正発明から「下り伝送パラメータ指示情報」について、「第2端末が存在するか否かを指示する指示情報、第2端末の伝送モード情報の中の少なくとも一つを含む」との限定事項を削除したものである。
そうすると、両者は上記「第2 平成31年3月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件について」の「ウ.対比及び判断」で検討したとおりであるから、本願発明も同様の理由により、本願発明は引用発明と同一であり、また本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-003767