特許拒絶査定不服審判
2019-003051
画像処理方法および画像処理装置
- 審判番号
- 2019-003051
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-559561
- 請求日
- 2019年03月05日
- 審決日
- 2020年05月29日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】華為技術有限公司
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】木内 敬二
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 渡辺 努
- 審判官 須田 勝巳
- 分類
- P18 .572-WY (G06T) / P18 .575-WY (G06T) / P18 .121-WY (G06T) / P18 .113-WY (G06T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-559561「画像処理方法および画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月 3日国際公開、WO2015/180659、平成29年 6月29日国内公表、特表2017-517794、請求項の数(26)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)5月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年5月28日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年12月 2日:手続補正書の提出
平成30年 2月 6日:拒絶理由通知
平成30年 5月21日:意見書、手続補正書の提出
平成30年10月29日:拒絶査定
平成30年11月 6日:拒絶査定の謄本の送達
平成31年 3月 5日:審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成30年10月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(新規性)本願請求項1-3、7、10、15-17、21、24に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)本願請求項1-28に係る発明は、以下の引用文献1-4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.高橋桂太,久保田彰,苗村健,Light Field Renderingにおける合焦判定と全焦点画像合成,電子情報通信学会論文誌,日本,社団法人電子情報通信学会,2005年3月1日,J88-D-II, No.3,pp,573-584
2.PERTUZ,Said et al.,Generation of All-in-Focus Images by Noise-Robust Selective Fusion of Limited Depth-of-Field Images,IEEE TRANSACTIONS ON IMAGE PROCESSING,2013年3月1日,vol.22,No.3,pp.1242-1251
3.特開2014-014071号公報
4.久保田彰,児玉和也,相澤清晴,羽鳥光俊,焦点画像処理のための複数焦点画像間のレジストレーションとぼけ推定,電子情報通信学会1998年情報・システムソサイエティ大会講演論文集,1998年9月7日,p.222
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1に
「前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップは、
前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分および非合焦部分を直接生成するステップと、
前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせるステップと、
を含む」
という事項を追加する補正、
請求項14に
「前記生成モジュールは、前記複数の深度面の前記深度情報に従って前記複数の焦点変更画像の前記生データを決定し、前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分および非合焦部分を直接生成し、前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせる」
という事項を追加する補正は、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本願の請求項1-26に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1-26に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明26」という。)は、平成31年3月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-26に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
なお、A~Hについては、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成A」~「構成H」という。)
ここで、審判請求時の補正により請求項1に追加された構成である「前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップ」は、「前記ステップ」との記載からみて、当該記載より前に記載されたステップのいずれかであり、「前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成するステップ」を指すものといえる。
よって、「前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップ」と「前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成するステップ」は、同じ符号(構成E)を付した。
(本願発明1)
A 複数の深度面の深度情報を決定するステップであって、
A1 前記複数の深度面の前記深度情報は前記複数の深度面を指示するのに用いられ、
A2 前記複数の深度面は前記複数の深度面の複数の焦点変更画像にそれぞれ対応し、
A3 前記複数の焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の生データに基づいて生成される、
A 複数の深度面の深度情報を決定するステップと、
B 前記深度情報に従って前記複数の深度面の焦点変更画像を生成するステップであって、
B1 前記複数の深度面の前記焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の合焦部分を含む、
B 前記深度情報に従って前記複数の深度面の焦点変更画像を生成するステップと、
を含み、
C 前記複数の深度面は前記複数の焦点変更画像の前記生データにそれぞれ対応し、
B 前記深度情報に従って前記複数の深度面の焦点変更画像を生成する前記ステップは、
D 前記複数の深度面の前記深度情報に従って前記複数の焦点変更画像の前記生データを決定するステップと、
E 前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成するステップであって、
B1 前記複数の深度面の前記焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の前記合焦部分を含む、
E 前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成するステップと、
を含み、
E 前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップは、
F 前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分および非合焦部分を直接生成するステップと、
G 前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせるステップと、
を含む、
H 画像処理方法。
なお、本願発明2-26の概要は以下のとおりである。
本願発明2-13は、本願発明1を直接的もしくは間接的に引用する発明である。
本願発明14-26は、それぞれ本願発明1-13に対応する装置の発明であり、本願発明1-13とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第5 引用文献、引用発明等
原査定で引用された引用文献のうち引用文献1及び3について以下で検討する。
1.引用文献1について
ア 引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、説明のために当審で付したものである。
(ア)「あらまし (略)本論文では,LFRの合成画像における“合焦”の度合を,安定に判定する新しい尺度を提案する.また,この尺度を用いて,“合焦”距離が異なる多数枚の画像から,“焦点”が合っている領域を統合することで,シーン全体を鮮明にとらえた“全焦点”画像を合成する手法を提案する.」(573頁5~10行)
(イ)「3.2 “合焦”判定による奥行推定と“全焦点”画像合成
あらかじめ,N個の“合焦”距離の候補,zn(n=0,1,2....,N-1)を定める.(略)
まず,ユーザに与えられた視点位置に対して,“多焦点”画像を合成する.フィルタhkによって,“合焦”距離znで合成された画像をIk<n>(x,y)と表す.(x,y)は画素位置を表す.(略)こうして得られたF<n>(x,y)を,点(x,y)における“合焦”尺度として定義する.
点(x,y)に対する,最適な“合焦”距離のインデックスn(x,y)は,“合焦”尺度F<n>(x,y)を最小化するnとして,次のように求められる.(略)
すべての点(x,y)についてn(x,y)を求めることにより,所望の視点位置から見た距離画像が得られる.最後に,点(x,y)ごとに,最適な“合焦”距離n(x,y)における合成画像I1<n(x,y)>から画素値を読み出すことにより,“全焦点”画像I(x,y)が得られる(注4).」(577頁左欄6行~右欄12行)
(ウ)「“合焦”判定の様子を,図8(a)に示した2点(A,B)を用いて説明する.図8(b)は,奥行のインデックスnに対して,式(6)によって定義される“合焦”尺度F<n>の値をプロットしたものである.点Aはn=4(Z=622mm),点Bはn=9(Z=341mm)で,“合焦”尺度が最小となり,最も“焦点”が合う,と判定される.」(578頁右欄5~11行)
イ 引用発明
上記アに摘記した引用文献1の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、符号a~hについては、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成a」~「構成h」という。)
(引用発明)
a N個の“合焦”距離の候補、zn(n=0,1,2....,N-1)を定め、
b “合焦”距離znで合成された画像をIk<n>(x,y)と表し、ここで、(x,y)は画素位置を表すものであり、
c F<n>(x,y)を、点(x,y)における“合焦”尺度として定義すると、
d 点(x,y)に対する、最適な“合焦”距離のインデックスn(x,y)は、“合焦”尺度F<n>(x,y)を最小化するnとして求められ、
e すべての点(x,y)についてn(x,y)を求めることにより、所望の視点位置から見た距離画像が得られ、
f 最後に、点(x,y)ごとに、最適な“合焦”距離n(x,y)における合成画像I1<n(x,y)>から画素値を読み出すことにより、“全焦点”画像I(x,y)が得られ、
g “合焦”判定は、奥行のインデックスnに対して、“合焦”尺度F<n>の値をプロットし、点Aはn=4(Z=622mm)、点Bはn=9(Z=341mm)で、“合焦”尺度が最小となり、最も“焦点”が合うと判定されるものである、
h 合成画像における“合焦”の度合を、安定に判定する尺度を用いて、“合焦”距離が異なる多数枚の画像から、“焦点”が合っている領域を統合することで、シーン全体を鮮明にとらえた“全焦点”画像を合成する手法。
2.引用文献3について
ア 引用文献3の記載事項
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
なお、下線は、説明のために当審で付したものである。
【実施例3】
【0118】
実施例1、2では、リフォーカス画像を生成する際に、焦点を合わせる(以下合焦)対象に着目した場合の例を示した。しかし、リフォーカス画像を生成する際には、焦点を合わせない(以下非合焦)対象に着目した場合の方がユーザーの意図をよく表現できる場合も考えられる。
【0120】
本実施例では、非合焦状態にさせたい場所の指定に基づき特定の被写体を合焦から外した画像を生成する例、及び非合焦状態にさせたい場所を簡便に指定する方法に関する例を示す。
【実施例4】
【0169】
実施例3では焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を指定し、指定に基づいたリフォーカス画像を生成する方法を示した。実施例3における焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を個々の画像データと別に記憶、管理することで、例えば特定の人物に焦点を合わせたリフォーカス画像を一括で生成できればユーザーの操作の負荷を軽減することが可能である。なぜならば、現行の画像処理装置では複数の視点から撮影した画像を合成する際のピント面を生成する際に、画像毎にユーザーの操作に応じて操作を行う必要があるため、ユーザーにとって煩わしい場合があるからである。本実施例では焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を記憶、管理する手法の例を示す。以降では、焦点を合わせる対象を合焦対象、焦点を合わせない対象を非合焦対象と記述する。
【0175】
図20においてグループ1(家族)2005は、グループ1.1(旅行)2006とグループ1.2(運動会)2007を包含するグループである。グループ1(家族)2005内の合焦・非合焦対象リスト2002に基づくリフォーカス位置情報付加処理は、次の保存画像に対して適用する。すなわち、グループ1.1(旅行)内の保存画像2004と、グループ1.2(運動会)2007内とその包含するグループ内に存在する図示しない保存画像に対して適用される。一方、グループ1.1(旅行)内の合焦・非合焦対象リスト2003に基づくリフォーカス位置情報付加処理は、グループ1.1(旅行)内の保存画像2004にのみ適用される。なお、グローバル合焦・非合焦対象リスト2001は、グループに依存せず全ての保存画像にリフォーカス位置情報を付加する合焦・非合焦対象リストである。このような階層構造のグループ内にそれぞれ合焦・非合焦対象リストと保存画像とを含めることにより、ユーザーの利便性が向上する。例えば、グループ1(家族)2005の合焦・非合焦対象リストでは、家族の人物を合焦する対象物として設定する。一方で、グループ1.1(旅行)2005の合焦・非合焦対象リストでは、例えばツアー旅行に行った場合における、同行者の人物を非合焦する対象物として設定する。このように設定することにより、グループ1.1内の保存画像については、家族の人物に合焦し、かつツアーの同行者の人物には合焦しない画像データが生成されることになる。
イ 文献3技術
(ア)引用文献3の実施例3及び実施例4について
段落0169には、実施例4の説明として、「実施例3では焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を指定し、指定に基づいたリフォーカス画像を生成する方法を示した。実施例3における焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を個々の画像データと別に記憶、管理することで、例えば特定の人物に焦点を合わせたリフォーカス画像を一括で生成できればユーザーの操作の負荷を軽減することが可能である。」と記載されている。
すなわち、段落0169以降に記載された実施例4は、実施例3における「焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を指定」するという構成に代えて、「焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を個々の画像データと別に記憶、管理する」構成としたものであるといえる。
そして、引用文献3で実施例3の説明として記載された段落0118の「リフォーカス画像を生成する際には、焦点を合わせない(以下非合焦)対象に着目した場合の方がユーザーの意図をよく表現できる場合も考えられる」ことは、実施例4の場合についても考えられることである。
(イ)文献3技術
したがって、引用文献3には、以下の技術(以下、「文献3技術」という。)が記載されている。
(文献3技術)
リフォーカス画像を生成する際には、焦点を合わせない(以下非合焦)対象に着目した場合の方がユーザーの意図をよく表現できる場合も考えられるため、
焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を個々の画像データと別に記憶、管理するものであり、
合焦・非合焦対象リストでは、家族の人物を合焦する対象物として設定し、同行者の人物を非合焦する対象物として設定することにより、保存画像については、家族の人物に合焦し、かつ同行者の人物には合焦しない画像データが生成される技術。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
ア 対比
(ア)構成A~構成A3について
(ア-1)構成Aについて
構成b、構成d~構成hより、引用発明は、「点(x,y)ごとに」、「最も“焦点”が合うと判定される」「最適な“合焦”距離のインデックス」を求め、「最適な“合焦”距離のインデックス」における「“合焦”距離」で合成された「合成画像から」「画素値を読み出す」ものである。
ここで、「最も“焦点”が合うと判定される」「最適な“合焦”距離のインデックス」は、「点(x,y)ごとに」異なるものであるから、「最適な“合焦”距離のインデックス」を求める際には、複数の“合焦”距離のインデックスを決定しているものである。
また、「“合焦”距離のインデックス」は、当該“合焦”距離に位置する合成画像までの“合焦”距離のインデックスであり、合成画像の“合焦”距離のインデックスといえるから、引用発明は、『複数の合成画像の“合焦”距離のインデックスを決定する』構成を有するものといえる。
そして、引用発明の『“合焦”距離のインデックス』は、焦点までの距離に関する情報、すなわち、深度に関する情報といえ、構成Aの「深度情報」に相当する。
さらに、引用発明の『合成画像』は、「“合焦”距離」で合成された「合成画像」、すなわち、“合焦”距離に位置する面といえるから、構成Aの「深度面」に相当する。
そうすると、引用発明が有する『複数の合成画像の“合焦”距離のインデックスを決定する』構成は、構成Aの「複数の深度面の深度情報を決定する」ことに相当する。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成Aを有する点で一致する。
(ア-2)構成A1について
上記(ア-1)で検討したように、引用発明は、『複数の合成画像の“合焦”距離のインデックスを決定する』構成を有するものといえる。
また、引用発明は、「最適な“合焦”距離のインデックス」を求めると、「最適な“合焦”距離のインデックス」における「“合焦”距離」で合成された「合成画像から」「画素値を読み出す」ものであるから、“合焦”距離のインデックスが決定されると、当該“合焦”距離のインデックスに対応する合成画像における点(x,y)の画素値を読み出すものである。すなわち、“合焦”距離のインデックスは、当該インデックスに対応する合成画像を指示するために用いられるものといえる。
そうすると、引用発明は、構成A1の「前記複数の深度面の前記深度情報は前記複数の深度面を指示するのに用いられ」る構成を有するものである、
したがって、本願発明1と引用発明は、構成A1を有する点で一致する。
(ア-3)構成A2について
上記(ア-1)で検討したように、引用発明は、『複数の合成画像の“合焦”距離のインデックスを決定する』構成を有するものといえる。
ここで、引用発明の『複数の合成画像』のそれぞれの合成画像は、焦点が変更されている画像であるから、構成A2の「焦点変更画像」に相当する。
そうすると、引用発明は、構成A2の「前記複数の深度面は前記複数の深度面の複数の焦点変更画像にそれぞれ対応」する構成を有するものである。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成A2を有する点で一致する。
(ア-4)構成A3について
構成fより、引用発明は「点(x,y)ごとに、」「画素値を読み出すことにより、“全焦点”画像」が得られるものであるから、引用発明のそれぞれの『合成画像』は、点(x,y)ごとの画素値を含むものである。
そして、画素値は、各画素の生データに基づく値であるから、それぞれの『合成画像』は、生データに基づいて生成されるものであるといえる。
そうすると、引用発明は、構成A3の「前記複数の焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の生データに基づいて生成される」構成を有するものである。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成A3を有する点で一致する。
(イ)構成B~構成B1について
(イ-1)構成Bについて
構成d、構成f、構成hより、引用発明は、「点(x,y)ごとに、」「最適な“合焦”距離のインデックス」「における合成画像」「から画素値を読み出すことにより、」「“焦点”が合っている領域を統合することで、シーン全体を鮮明にとらえた“全焦点”画像を合成する」ものである。
ここで、「“全焦点”画像」は、「合成画像」から「“焦点”が合っている領域を統合することで」作られる画像、すなわち、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像であるから、引用発明は、『“合焦”距離のインデックスに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものといえる。
そして、引用発明の『“合焦”距離のインデックス』は、構成Bの「前記深度情報」に相当する。
また、引用発明の『複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像』は、複数の焦点までの距離が異なる画像を合成して、1つの画像としたものであり、当該1つの画像は、複数の合成画像を含む焦点が変更されている画像であるといえることから、構成Bの「前記複数の深度面の焦点変更画像」に相当する。
そうすると、引用発明は、構成Bの「前記深度情報に従って前記複数の深度面の焦点変更画像を生成する」構成を有するものである、
したがって、本願発明1と引用発明は、構成Bを有する点で一致する。
(イ-2)構成B1について
上記(イ-1)で検討したように、引用発明は、『“合焦”距離のインデックスに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものといえる。
ここで、『複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像』は、複数の合成画像それぞれの“合焦”部分を含んでいるといえる。
そうすると、引用発明は、構成B1の「前記複数の深度面の前記焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の合焦部分を含む」構成を有するものである。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成B1を有する点で一致する。
(ウ)構成Cについて
上記(ア-4)で検討したように、引用発明の『合成画像』は、生データに基づいて生成されるものといえるので、生データに対応するものである。
そうすると、引用発明は、構成Cの「前記複数の深度面は前記複数の焦点変更画像の前記生データにそれぞれ対応」する構成を有するものである。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成Cを有する点で一致する。
(エ)構成D及び構成Eについて
(エ-1)構成Dについて
上記(イ-1)で検討したように、引用発明は、『“合焦”距離のインデックスに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものといえる。
また、上記(ア-1)で検討したように、引用発明は、「点(x,y)ごとに」、「最も“焦点”が合うと判定される」「最適な“合焦”距離のインデックス」を求め、「最適な“合焦”距離のインデックス」における「合成画像から」「画素値を読み出す」ものである。
さらに、上記(ア-4)の検討より、引用発明の『合成画像』は、各画素の生データに基づく画素値を含むものであるから、画素値を読み出す際に、生データを決定する構成を有しているといえる。
以上より、引用発明は、『“合焦”距離のインデックスに従って、合成画像の生データを決定する』構成を有するものといえ、構成Dの「前記複数の深度面の前記深度情報に従って前記複数の焦点変更画像の前記生データを決定する」構成を有するものである。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成Dを有する点で一致する。
(エ-2)構成Eについて
上記(エ-1)の検討より、引用発明は、『“合焦”距離のインデックスに従って、合成画像の生データを決定する』構成を有するものであり、上記(イ-1)の検討より、引用発明は、『“合焦”距離のインデックスに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものである。
ここで、『複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像』は、『合成画像の生データ』から生成されるものであるから、引用発明は、『合成画像の生データを決定した後、当該決定された生データに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものといえる。
そうすると、引用発明は、構成Eの「前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する」構成を有するものである。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成Eを有する点で一致する。
(エ-3)構成Bのステップは、構成Dのステップと構成Eのステップとを含むことについて
上記(イ-1)の検討より、引用発明は、『合焦”距離のインデックスに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものといえ、上記(エ-1)及び(エ-2)の検討より、引用発明は、『“合焦”距離のインデックスに従って、合成画像の生データを決定する』構成と、『当該決定された生データに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものといえる。
そうすると、『“合焦”距離のインデックスに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成は、『“合焦”距離のインデックスに従って、合成画像の生データを決定する』構成と、『当該決定された生データに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を含むものであるといえる。
したがって、本願発明1と引用発明は、構成Bのステップは、構成Dのステップと、構成Eのステップとを含む構成を有する点で一致する。
(オ)構成F及び構成Gについて
(オ-1)構成Fについて
上記(エ-2)で検討したように、引用発明は、『当該決定された生データに従って、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有するものといえる。
そして、『複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』際には、構成f及び構成hより、「“合焦”距離が異なる多数枚の」「合成画像」のうちの、「“合焦”判定」により「最適な“合焦”距離」「における合成画像」「から画素値を読み出す」ものであるから、引用発明は、『当該決定された生データに従って、“合焦”距離が異なる多数枚の合成画像のうちの、“合焦”判定により最適な“合焦”距離における合成画像から画素値を読み出すことにより、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』構成を有しているといえる。
ここで、『最適な“合焦”距離における合成画像から画素値を読み出すことにより、複数の合成画像の“焦点”が合っている領域を統合した画像を生成する』際には、“合焦”判定により画像を生成するものであるから、ユーザの指示無しに直接生成されているものといえる。
そうすると、引用発明と構成Fとは、「前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分を直接生成する」点で共通する。
しかし、直接生成する構成に関して、構成Fは、「合焦部分および非合焦部分」であるのに対して、引用発明は、「“焦点”が合っている領域」のみである点で相違する。
(オ-2)構成Gについて
上記(オ-1)で検討したように、直接生成する構成に関して、構成Fは、「合焦部分および非合焦部分」であるのに対して、引用発明は、「“焦点”が合っている領域」のみである点で相違するものであり、当該相違点を有することに起因して、構成Gが「前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせる」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するものでない点で相違する。
(オ-3)構成Eのステップは、構成Fのステップと構成Gのステップとを含むことについて
上記(オ-1)及び(オ-2)をまとめると、本願発明1と引用発明は、「前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップは、前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分を直接生成するステップと、を含む」点で共通する。
しかし、直接生成することに関して、本願発明1は、「合焦部分および非合焦部分」であるのに対して、引用発明は、「“焦点”が合っている領域」のみである点で相違し、当該相違点を有することに起因して、本願発明1が「前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせる」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するものでない点で相違する。
(カ)構成Hについて
構成hより、引用発明は、「“全焦点”画像を合成する手法」であり、画像を合成する際には、画像を処理する構成を有しているものであるから、本願発明1と引用発明は、「画像処理方法」である点で一致する。
イ 一致点・相違点
以上をまとめると、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
A 複数の深度面の深度情報を決定するステップであって、
A1 前記複数の深度面の前記深度情報は前記複数の深度面を指示するのに用いられ、
A2 前記複数の深度面は前記複数の深度面の複数の焦点変更画像にそれぞれ対応し、
A3 前記複数の焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の生データに基づいて生成される、
A 複数の深度面の深度情報を決定するステップと、
B 前記深度情報に従って前記複数の深度面の焦点変更画像を生成するステップであって、
B1 前記複数の深度面の前記焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の合焦部分を含む、
B 前記深度情報に従って前記複数の深度面の焦点変更画像を生成するステップと、
を含み、
C 前記複数の深度面は前記複数の焦点変更画像の前記生データにそれぞれ対応し、
B 前記深度情報に従って前記複数の深度面の焦点変更画像を生成する前記ステップは、
D 前記複数の深度面の前記深度情報に従って前記複数の焦点変更画像の前記生データを決定するステップと、
E 前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成するステップであって、
B1 前記複数の深度面の前記焦点変更画像は前記複数の焦点変更画像の前記合焦部分を含む、
E 前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成するステップと、
を含み、
E 前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップは、
F’ 前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分を直接生成するステップと、
を含む、
H 画像処理方法。
(相違点)
直接生成する構成に関して、本願発明1は、「合焦部分および非合焦部分」であるのに対して、引用発明は、「“焦点”が合っている領域」のみである点で相違し、当該相違点を有することに起因して、本願発明1が「前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせる」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するものでない点。
ウ 相違点についての判断
上記相違点について検討する。
上記第5の2.に記載されているとおり、「リフォーカス画像を生成する際には、焦点を合わせない(以下非合焦)対象に着目した場合の方がユーザーの意図をよく表現できる場合も考えられるため、焦点を合わせる対象、焦点を合わせない対象を個々の画像データと別に記憶、管理するものであり、合焦・非合焦対象リストでは、家族の人物を合焦する対象物として設定し、同行者の人物を非合焦する対象物として設定することにより、保存画像については、家族の人物に合焦し、かつ同行者の人物には合焦しない画像データが生成される技術。」、すなわち、画像を生成する際に、合焦したい対象物と合焦したくない対象物とが存在するために、対象物に応じて、合焦部分(合焦する対象物、家族の人物)および非合焦部分(非合焦する対象物、同行者の人物)を生成し、つなぎ合わせる技術については、文献3技術のように公知技術である。
ここで、引用発明は、「シーン全体を鮮明にとらえた“全焦点”画像を合成する手法」であり、点(x、y)ごと、すなわち、画素ごとに最適な“合焦”距離のインデックスを求め、“焦点”が合っている領域を統合するものであるから、画像内に含まれる対象物(例えば人物、動物、樹木)が何であるかに関係なく、焦点が合っている画素同士をつなぎ合わせているだけである。
したがって、引用発明には、文献3技術のような「合焦する対象物」、「非合焦する対象物」との概念がないので、そのような引用発明において、合焦したくない画素が存在し、合焦したくない画素については非合焦部分を生成し、合焦部分と非合焦部分をつなぎ合わせるようにしたいという動機がなく、文献3技術が公知技術であるとしても、本願発明1が、引用発明及び文献3技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-13について
本願発明2-13は、本願発明1を直接的もしくは間接的に引用する発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び拒絶査定において引用された引用文献に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明14-26について
本願発明14-26は、それぞれ本願発明1-13に対応する装置の発明であり、本願発明1-13とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び拒絶査定において引用された引用文献に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について
審判請求時の補正により、本願発明1-26は、
「前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップは、
前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分および非合焦部分を直接生成するステップと、
前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせるステップと、
を含む」
という事項、もしくは、
「前記生成モジュールは、前記複数の深度面の前記深度情報に従って前記複数の焦点変更画像の前記生データを決定し、前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分および非合焦部分を直接生成し、前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせる」
という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。
2.理由2(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1-26は、
「前記複数の焦点変更画像に従って前記複数の深度面の前記焦点変更画像を生成する前記ステップは、
前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分および非合焦部分を直接生成するステップと、
前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせるステップと、
を含む」
という事項、もしくは、
「前記生成モジュールは、前記複数の深度面の前記深度情報に従って前記複数の焦点変更画像の前記生データを決定し、前記複数の焦点変更画像の前記生データに従って、前記複数の焦点変更画像内の各焦点変更画像のものである合焦部分および非合焦部分を直接生成し、前記合焦部分と前記非合焦部分とをつなぎ合わせる」
という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-003051