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特許拒絶査定不服審判

2019-002482

未加硫ゴムシートのくり抜き装置および方法

審判番号
2019-002482
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-128484
請求日
2019年02月25日
審決日
2019年10月16日
公報発行日
2019年11月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】横浜ゴム株式会社
  • 【請求人代理人】清流国際特許業務法人
  • 【請求人代理人】昼間 孝良
  • 【請求人代理人】境澤 正夫
審判長/審判官
  • 審判長 刈間 宏信
  • 審判官 大山 健
  • 審判官 青木 良憲
分類
P18 .121-WY (B26F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-128484「未加硫ゴムシートのくり抜き装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年1月18日出願公開、特開2016-7657、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年6月23日の出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 6月20日付け:拒絶理由通知書 平成30年 8月21日  :意見書、手続補正書の提出 平成30年 8月29日付け:拒絶理由通知書 平成30年11月 2日  :意見書、手続補正書の提出 平成30年11月16日付け:拒絶査定 平成31年 2月25日  :審判請求書と同時に手続補正書(以下この手続補正書による補正を「本件補正」という。)の提出 平成31年 3月26日付け:前置報告書 平成31年 4月 8日  :上申書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成30年11月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1、6に係る発明は、以下の引用文献1、8-11に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 同様に、本願請求項2、7に係る発明は以下の引用文献1、7-11に基づき、本願請求項3、8に係る発明は以下の引用文献1、6、8-11に基づき、本願請求項4、9に係る発明は以下の引用文献1-2、8-11に基づき、本願請求項5、10に係る発明は以下の引用文献1-5、8-11に基づき、それぞれ当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開昭63-156699号公報 2.特開平8-229899号公報 3.特許第2591914号公報 4.特開平5-104881号公報 5.実公平6-5117号公報 6.特開2010-30008号公報 7.米国特許第3778179号明細書 8.特開平9-1258号公報 9.実願昭60-82026号(実開昭61-199399号)のマイクロフィルム 10.登録実用新案第3005190号公報 11.特許第5295145号公報(周知技術文献) 第3 本願発明 本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、6は、以下のとおりの発明である。 また、本願発明2-5、7-10は、概略、本願発明1、6を減縮した発明である。 <本願発明1> 「【請求項1】 未加硫ゴムシートが載置される載置台と、この載置台の上方位置で下端を刃先として配置されたくり抜き刃と、前記載置台の上面に対して前記刃先を近接離反させる上下移動機構と、前記載置台の上面に直交して上下に延びる前記くり抜き刃の軸芯方向を回転軸方向にして前記刃先を回転させる回転機構とを備え、前記載置台が前記くり抜き刃に対して相対的に任意の平面位置に移動するとともに、その移動させた任意の平面位置で相対位置が固定され、前記刃先が平面視で円環状刃または周方向に間隔をあけて円周上に配置された複数の分割刃であり、この刃先の内周側に配置されて、平面視円形で平坦な下面を有する押出部と、この押出部を下方に付勢する付勢部材とを備え、前記載置台に載置された前記未加硫ゴムシートの目的とする部位をくり抜く際には、前記付勢部材により付勢された前記押出部が前記刃先よりも下方に突出した状態になっていて、前記目的とする部位を前記押出部の前記下面に当接させて前記押出部を前記未加硫ゴムシートによって上方に押圧することにより前記刃先よりも上方に移動させる構成にして、前記刃先によって前記目的とする部位をくり抜いた後は、くり抜いた前記目的とする部位を、前記付勢部材により付勢されて前記刃先よりも下方に突出した前記押出部の前記下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にすることを特徴とする未加硫ゴムシートのくり抜き装置。」 <本願発明6> 「【請求項6】 未加硫ゴムシートを載置台に載置し、この載置台の上方位置で下端を刃先として配置されたくり抜き刃をこの載置台に対して相対的に平面移動させて前記未加硫ゴムシートの目的とする部位を前記刃先の下方位置に位置決めして固定し、前記刃先が平面視で円環状刃または周方向に間隔をあけて円周上に配置された複数の分割刃であり、この刃先の内周側に付勢部材により下方に付勢されて、平面視円形で平坦な下面を有する押出部を配置して、この押出部を前記刃先よりも下方に突出した状態にして、次いで、この状態で前記刃先を前記未加硫ゴムシートに向かって下方移動させるとともに、この刃先を前記載置台の上面に直交して上下に延びる前記くり抜き刃の軸芯方向を回転軸方向にして回転させて、この刃先によって前記目的とする部位をくり抜き、このくり抜きの際には前記目的とする部位を前記押出部の前記下面に当接させて前記未加硫ゴムシートによって前記押出部を付勢部材による付勢力に対抗して前記刃先よりも上方に移動させ、前記くり抜きを終えて前記刃先を上方に移動させた際に、前記押出部を前記付勢部材による付勢力によって前記刃先よりも下方に突出させることにより、くり抜いた前記目的とする部位を前記押出部の前記下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にして前記刃先から下方に排出することを特徴とする未加硫ゴムシートのくり抜き方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「この発明は、ゴム等のシート材料を切り抜いて円柱状のサンプルを採取するサンプリング方法および装置に関する。」(第1ページ右下欄第6-8行) イ 「シート材料が例えば未加硫ゴムのような高粘着性のものの場合には、切断の度に前記開口にシート材料の一部が少量ずつ付着し、これにより、クリアランスが塞がって切れ味が低下してしまうのである。このため、一定時間毎に付着シート材料を除去しなければならず、作業能率が低くなるという問題点がある。」(第2ページ左上欄第1-7行) ウ 「前記回動プレート33の下面には第2、5図に詳示するように、中間ブロック41が固定され、この中間ブロック41には略円筒状の垂直なカッター42の上部がねじ込み固定されている。このカッター42の下部は下端に向かうに従い肉厚が徐々に薄くなり、その下端、即ち先端には円周方向に延びる切刃43が形成されている。44は回動プレート33にねじ込み固定された垂直なシリンダであり、このシリンダ44のピストンロッド45の先端には、前記カッター42内に収納された円柱状のプッシャー46が連結されている。この結果、シリンダ44が作動するとプッシャー46はカッター42内で昇降する。51は中間ブロック41とプッシャー46との間のカッター42内に収納された保持ブロックであり、この保持ブロック51には前記プッシャー46を貫通しその下端が切刃43とほぼ同一高さに位置する保持針52が固定されている。」(第3ページ左上欄第17行-右上欄第13行) エ 「第1、5図において、前記採取機構15、16がサンプリング位置に停止しているとき、各採取機構15、16直下のフレーム 1にはそれぞれ上面が平担な受台56、57が設置され、これら受台56、57上にはサンプルを採取する未加硫ゴム等のシート材料Sが載置されている。前述した円筒体21、回動プレート32、33、伝達ロッド34、シリンダ36および中間ブロック41は全体としてカッター42をその軸線回りに回動させる回動手段66を構成し、また、前記シリンダ19は円筒体21、回動プレート32、33、伝達ロッド34、カッター42を一体的にカッター42の軸線に沿って昇降させ、これによりカッター42をシート材料Sに接近離隔させる接離手段67を構成する。また、前記レール2、3、支持プレート 5、駆動モータ 6、チェーン11は全体として前述したカッター42、回動手段66、接離手段67を一体的に水平に、即ちカッター42の軸線に垂直な方向に移動させる移動手段68を構成し、前述したシリンダ44、プッシャー46は全体としてシート材料Sから切り離された円柱状のサンプルPをカッター42内から排出する排出手段69を構成する。」(第3ページ右上欄第17行-左下欄第18行) オ 「今、サンプルPを採取するシート材料Sがサンプリング装置に搬入され、受台56、57上に載置されているとする。次に、駆動モータ 6を作動してチェーン11を走行させ、採取機構15、16が受台56、57直上に到達するまで、即ちサンプリング位置に到達するまで支持プレート 5をレール2、 3に沿って水平移動させる。次に、各採取機構15、16のシリンダ19を作動してピストンロッド22を突出させ、円筒体21、伝達ロッド34、カッター42を一体的にカッター42の軸線に沿って下降させ、カッター42をシート材料Sに接近させる。そして、各カッター42の切刃43がシート材料Sに接触した後もカッター42をさらに下降させ、切刃43によってシート材料Sを円筒状に押し切っていく。このとき、各保持針52の下端部はシート材料Sに突き刺さる。次に、切刃43が第5図に示すように受台56、57にそれぞれ当接すると、前記シリンダ19の作動を停止する。」(第3ページ右下欄第1-18行) カ 「このため、この実施例ではシリンダ36を作動してピストンロッド39を突出させ、伝達ロッド34、円筒体21、中間ブロック41を介して、カッター42を受台56、 57に当接させたままその軸線回りに所定角度回動させる。これにより、前述した薄皮状の切れ残り部が切断され、カッター42内に収納された円柱状のサンプルPがシート材料Sから完全に切り離される。」(第4ページ左上欄第1-8行) キ 「次に、各シリンダ19のピストンロッド22を引っ込め円筒体21、カッター42を上昇させた後、駆動モータ 6を作動して支持プレート 5を第1図において右方に移送し、排出位置で停止させる。この移送の際、前記サンプルPには保持針52が突き刺さっているため、このサンプルPはカッター42から抜け落るようなことはない。次に、シリンダ44のピストンロッド45を突出し、プッシャー46を下降させる。これにより、カッター42内に収納されていたサンプルPはプッシャー46によって押し出され排出される。このようにして排出されたサンプルPは図示していないシューター上を滑り落た後収納缶に収納される。」(第4ページ左上欄第15行-右上欄第8行) ク 上記エ、オの記載からみて、サンプリング位置において、カッター42と受台56、57との相対位置が固定されていることは明らかである。 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「未加硫ゴム等のシート材料Sが載置される受台56、57と、この受台56、57の上方位置で下端を切刃43として配置されたカッター42と、前記受台56、57の上面に対して前記切刃43を近接離反させる接離手段67と、前記受台56、57の上面に直交して上下に延びる前記カッター42の軸芯方向を回転軸方向にして前記切刃43を回転させる回動手段66とを備え、前記カッター42、回動手段66、接離手段67が前記受台56、57に対して相対的にサンプリング位置に移動するとともに、その移動させたサンプリング位置で相対位置が固定され、前記切刃43が円周方向に延びる切刃43であり、この切刃43の内周側に配置された、シリンダ44で昇降する円柱状のプッシャー46及び保持針52とを備える、未加硫ゴム等のシート材料Sのサンプリング装置。」 2.引用文献11について また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献11には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「この発明は、ゴムシートからゴムサンプルを採取する採取方法および装置に関する。」(段落[0001]) イ 「・・・ 図1、2、3において、11は前後方向に延びる水平な第1コンベアであり、この第1コンベア11は、図示していないモータから駆動力が付与されると、走行して押出し機から押出された薄肉帯状の未加硫ゴムからなるゴムシート12を前方に向かって搬送する。・・・」(段落[0012]) ウ 「19は前記カッター16の直上に設置され上下方向に延びる移動機構としてのシリンダであり、このシリンダ19のピストンロッド20の先端(下端)は前記カッター16の上端に連結されている。そして、前記シリンダ19が作動してピストンロッド20が突出すると、カッター16が下降するが、このカッター16の下降の途中で切刃18がゴムシート12に接触すると、該切刃18はゴムシート12を切刃18の平面形状と同一形状、ここでは円形に切断し、該ゴムシート12から円板状のゴムサンプル21を切り出す。このとき、切刃18が波打っているため、切刃18によるゴムシート12の切断が周方向に徐々に進行し、その切断が円滑となる。」(段落[0014]) エ 「前記円筒体29より上方(基端側)のカッター16内には上下方向に延びる接続通路38が形成され、この接続通路38内には前記中空パイプ32の上端部が突出している。この結果、前記接続通路38の下端部と中空パイプ32の中空通路とは常時連通していることになる。39は一端が前記接続通路38の上端部に、他端が切換弁40に接続された第1通路であり、この切換弁40には第2通路41を通じて真空源42が、また、第3通路43を通じて圧縮エア等の圧縮気体源44が共に接続されている。そして、前記切換弁40が切換えられて真空源42と吸着パッド36の吸着室37とが接続されると、吸着室37内の圧力が低下するため、該吸着パッド36は先端において前記切り出されたゴムサンプル21を吸着保持することができる。」(段落[0020]) オ 「そして、吸着パッド36が図1のように、切刃18より先端側に突出しているとき、シリンダ19が作動してカッター16が下降し、吸着パッド36が受け体24上のゴムシート12に押し付けられると、該吸着パッド36はゴムシート12により下降が規制されるため、ゴムシート12に押され収納穴17内に押し込まれて収納される一方、スプリング46は基端フランジ31とスプリング受け33とが接近することで、これらに押されて圧縮される。このとき、切換弁40が切換えられて真空源42と吸着パッド36の吸着室37とが接続され、これにより、吸着パッド36は前記ゴムシート12を上方から吸着保持する。この状態でカッター16がさらに下降すると、図2に示すように、カッター16の切刃18および受け体24の切刃26は協働して、吸着パッド36に吸着保持されている部位の周囲のゴムシート12を切断し、円板状のゴムサンプル21を切り出す。」(段落[0022]) カ 「このように切刃18、26によりゴムシート12からゴムサンプル21を切り出すときには、吸着パッド36はゴムシート12を吸着保持しながら該ゴムシート12に押されて収納穴17内に押し込まれるのである。ここで、前述のようにゴムシート12からゴムサンプル21を切り出すとき、吸着パッド36により切刃18に囲まれた部位のゴムシート12を吸着保持するようにすれば、切断時におけるゴムシート12のずれを規制することができ、ゴムサンプル21の形状が安定する。そして、前述のようにゴムシート12からゴムサンプル21が切り出されると、ゴムサンプル21はゴムシート12からの規制から解放されてフリーとなるため、吸着パッド36はゴムサンプル21を吸着保持した状態で中空パイプ32と共にスプリング46の付勢力により下降限まで移動して、図3に示すように、カッター16の切刃18より先端側に突出する。この結果、ゴムサンプル21はカッター16から容易かつ確実に離脱することができる。」(段落[0023]) キ 「・・・このようにゴムシート12からゴムサンプル21が切り出されると、ゴムサンプル21はゴムシート12との連続性がなくなるため、スプリング46が切り出されたゴムサンプル21を吸着保持している吸着パッド36に対し弾性復元力(付勢力)を付与し、該吸着パッド36をゴムサンプル21と共に下降限まで移動させて、少なくとも先端部、ここでは吸着パッド36全体を切刃18より先端側に突出させる。」(段落[0030]) ク 「そして、前記吸着パッド36、ゴムサンプル21が貫通孔25を通過した後も、さらにカッター16をシリンダ19によって吸着パッド36に吸着保持されているゴムサンプル21が搬送コンベア50(下フィルム54)の上流端部に当接あるいはこれから僅かに離れた位置まで下降させる。その後、切換弁40を切換え、圧縮気体源44と吸着室37とを接続して該吸着室37に圧縮気体を供給すると、吸着パッド36に吸着保持されていたゴムサンプル21は吸着室37に導かれた圧縮気体に押されて吸着パッド36による吸着保持から強制的に解放離脱され、搬送コンベア50(下フィルム54)上に供給される。なお、前記圧縮気体の圧力を複数種類、例えば高圧、低圧の2種類とし、吸着パッド36に対するゴムサンプル21の粘着力の強さ(外れ難さ)に対応して、その圧力を適宜変更するようにしてもよい。」(段落[0032]) ケ 図3(点線は、審判合議体が付した。)から、ゴムサンプル21を切り出した後に、ゴムサンプル21は吸着パッド36の下面に付着された状態となっていることが看取される。 したがって、上記引用文献11には次の技術的事項(以下、「引用文献11の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 <引用文献11の技術的事項> 「切刃18によって未加硫ゴムからなるゴムシート12からゴムサンプル21を切り出した後は、切り出したゴムサンプル21を、スプリング46により付勢されて切刃18よりも下方に突出した吸着パッド36の下面に吸着手段を用いて付着させた状態にすること。」 3.その他の文献について また、前置報告書で引用された引用文献12には、図面とともに次の事項が記載されている。 引用文献12.実願昭57-32774号(実開昭58-136298号)のマイクロフィルム ア 「本考案はデザイン図面および設計図面用スタンプカッターに関する。」(明細書第1ページ第12-13行) イ 「本考案は上記従来技術の欠点を解消した取扱いが簡便で安価なデザイン図面および設計図面用スタンプカッターを提供することを目的とする。」(明細書第3ページ第11-13行) ウ 「第1図には、本考案の1実施例であるデザイン図面および設計図面用スタンプカッター1が示されている。このスタンプカッター1は、デザイン図面および設計図面用マークと同形状の断面を有する筒状カッター刃3が貫通孔4を有する四角柱状の支持体5に一部埋設されて支持され、かつ上記貫通孔4には押し棒6が進退可能に弾持されて嵌挿されている構成を有する。カッター刃3は設計図用マークと同形状の断面を有する筒状であるが、断面形状としては例えば、丸、三角、四角形状、アルファベット、数字等が挙げられる。」(明細書第4ページ第1-11行) エ 「押し棒6は支持体5の貫通孔4を貫通して設けられており、その先端部7はカッター刃3内部に臨んでいる。先端部7は貫通孔4より大きくカッター刃3より若干小さく構成されており、またその断面形状はカッター刃3内部を進退できるように同様の形状を有する。貫通孔4内にはスプリング8が適宜の固定手段により装着されており、このスプリング8によって押し棒6は弾持され、かつその進退移動を制御されている。」(明細書第4ページ第19行-第5ページ第7行) オ 「本考案のデザイン図面および設計図面用スタンプカッター1を実際に使用するに当っては、例えば第3図に示すように基材9、粘着剤10および剥離紙11よりなるシール12に、カッター刃3を押し付けることによりシール12をカッター刃3の形状どおりに切取線を付け、これを切取ってデザイン図面及び設計図面用スタンプ2を得るが、この作業を繰り返すとカッター刃3に粘着剤10が付着するためカッター刃3をシール12に押し付けたときにデザイン図面および設計図面用スタンプ2がカッター刃3に付着する。このスタンプ2を押し棒6で押してデザイン図画および設計図面用スタンプ2を得ることができる。」(明細書第5ページ第16行-第6ページ第8行) カ 上記オの事項及び第3図(点線は、審判合議体が付した。)には、シール12は、上から基材9、粘着剤10および剥離紙11を備え、デザイン図面および設計図面用スタンプ2は、上から基材9及び粘着剤10を備えることが図示されている。 キ 第3図(点線は、審判合議体が付した。)には、押し棒6の先端部7の下面にデザイン図面および設計図面用スタンプ2が当接していることは図示されている。 ク 上記オの事項及び図3から、カッター刃3をシール12に押し付けたときにカッター刃3に粘着剤10が付着するため、カッター刃3内にあるデザイン図面および設計図面用スタンプ2を、押し棒6の先端部7で押すことで、カッター刃3内からデザイン図面および設計図面用スタンプ2を取り除くことが読み取れる。 したがって、上記引用文献12には次の技術的事項(以下、「引用文献12の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 <引用文献12の技術的事項> 「カッター刃3によって、上から基材9、粘着剤10及び剥離紙11により構成されるシール12からデザイン図面および設計図面用スタンプ2を切り取った後は、切り取った前記デザイン図面および設計図面用スタンプ2を、スプリング8により付勢されて前記カッター刃3よりも下方に突出した前記押し棒6の先端部7の下面に当接させて、カッター刃3内から前記デザイン図面および設計図面用スタンプ2を取り除くこと。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明における「未加硫ゴム等のシート材料S」は、本願発明1における「未加硫ゴムシート」に相当し、以下同様に、「受台56、57」は「載置台」に、「切刃43」は「刃先」に、「カッター42」は「くり抜き刃」に、「接離手段67」は「上下移動機構」に、「サンプリング位置」は「任意の平面位置」に、「円周方向に延びる切刃43」は「平面視で円環状刃」に、「回動手段66」は「回転機構」に、「サンプリング装置」は「くり抜き装置」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「カッター42、回動手段66、接離手段67が受台56、57に対して相対的にサンプリング位置に移動する」ことと、本願発明1の「載置台が前記くり抜き刃に対して相対的に任意の平面位置に移動する」こととは、「載置台とくり抜き刃とが相対的に任意の平面位置に移動する」限りでは共通している。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「未加硫ゴムシートが載置される載置台と、この載置台の上方位置で下端を刃先として配置されたくり抜き刃と、前記載置台の上面に対して前記刃先を近接離反させる上下移動機構と、前記載置台の上面に直交して上下に延びる前記くり抜き刃の軸芯方向を回転軸方向にして前記刃先を回転させる回転機構とを備え、前記載置台と前記くり抜き刃とが相対的に任意の平面位置に移動するとともに、その移動させた任意の平面位置で相対位置が固定され、前記刃先が平面視で円環状刃である、未加硫ゴムシートのくり抜き装置。」 (相違点) (相違点1)本願発明1では、載置台とくり抜き刃とが相対的に任意の平面位置に移動する際に、「前記載置台が前記くり抜き刃に対して」移動するのに対し、引用発明では、カッター42、回動手段66、接離手段67が、受台56、57に対して移動する点。 (相違点2)本願発明1では、刃先の内周側に配置されている押出部に関して、「この刃先の内周側に配置されて、平面視円形で平坦な下面を有する押出部と、この押出部を下方に付勢する付勢部材とを備え」との構成を有しているのに対し、引用発明では、円周方向に延びる切刃43の内周側に、シリンダ44で昇降される円柱状のプッシャー46と、保持針52とを備えている点。 (相違点3)本願発明1では、「前記載置台に載置された前記未加硫ゴムシートの目的とする部位をくり抜く際には、前記付勢部材により付勢された前記押出部が前記刃先よりも下方に突出した状態になっていて、前記目的とする部位を前記押出部の前記下面に当接させて前記押出部を前記未加硫ゴムシートによって上方に押圧することにより前記刃先よりも上方に移動させる構成にして」いるのに対し、引用発明では、受台56、57に載置された未加硫ゴム等のシート材料SのサンプルPをくり抜く際には、円柱状のプッシャー46及び保持針52とが、切刃43よりも下方に突出した状態になっていない点。 (相違点4)本願発明1は、「前記刃先によって前記目的とする部位をくり抜いた後は、くり抜いた前記目的とする部位を、前記付勢部材により付勢されて前記刃先よりも下方に突出した前記押出部の前記下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にする」との構成を備えるのに対し、引用発明では、切刃43によってサンプルPをくり抜いた後に、サンプルPが、円柱状のプッシャー46及び保持針52の下面に吸着手段を用いることなく付着された状態とはなっていない点。 (2)相違点についての判断 ア.本願の事案に鑑みて、先ず相違点4について検討する。 上記「第4 引用文献、引用発明等」の2.で述べたとおり、引用文献11には、「切刃18によって未加硫ゴムからなるゴムシート12からゴムサンプル21を切り出された後は、切り出したゴムサンプル21を、スプリング46により付勢されて切刃18よりも下方に突出した吸着パッド36の下面に吸着手段を用いて付着させた状態にすること」との技術的事項が記載されている。 また、上記「第4 引用文献、引用発明等」の3.で述べたとおり、引用文献12には、「カッター刃3によって、上から基材9、粘着剤10及び剥離紙11により構成されるシール12からデザイン図面および設計図面用スタンプ2を切り取った後は、切り取った前記デザイン図面および設計図面用スタンプ2を、スプリング8により付勢されて前記カッター刃3よりも下方に突出した前記押し棒6の先端部7の下面に当接させて、カッター刃3内から前記デザイン図面および設計図面用スタンプ2を取り除くこと」との技術的事項が記載されている。 ここで、引用文献11の技術事項における「吸着パッド36」、「切刃18」、「ゴムサンプル21」、及び、引用文献12の技術事項における「押し棒6の先端部7」、「カッター刃3」、「デザイン図面および設計図面用スタンプ2」が、本願発明1の「押出部」、「刃先」、「目的とする部位」に相当する。 イ.しかしながら、刃先によって目的とする部位をくり抜いた後において、くり抜いた目的とする部位を、刃先よりも下方に突出した押出部の下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にするとの構成は、上記引用文献11、12の技術的事項のいずれにも開示されていない。 すなわち、引用文献11の吸着パッドは吸着手段を用いているし、引用文献12には、以下に示すように、押し棒6の先端部7の下面にデザイン図面及び設計図面用スタンプ2を付着させることが記載されていると認めることはできない。 まず、引用文献12には、押し棒6の先端部7の下面にデザイン図面及び設計図面用スタンプ2を付着させることについて、具体的な記載はない。また、引用文献12の第3図には、押し棒6の先端部7の下面にデザイン図面及び設計図面用スタンプ2が当接している旨が示されているものの、押し棒6の先端部7の下面の材質や、デザイン図面及び設計図面用スタンプ2の基材9の表面の材質が、粘着性や接着性あるいは静電気等を有するものであると認めるに足る証拠はないから、押し棒6の先端部7の下面にデザイン図面及び設計図面用スタンプ2が付着することの合理的な理由がない。したがって、当該図面の記載のみでは、押し棒6の先端部7の下面にデザイン図面及び設計図面用スタンプ2が付着していると認めることはできない。 さらに、他の引用文献を参酌しても、くり抜いた目的とする部位を、刃先よりも下方に突出した押出部の下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にすることについて、記載も示唆もないから、上記相違点4は、引用発明及び引用文献2-12に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。 ウ.そして、上記相違点4に係る本願発明1の構成により、未加硫ゴムの粘着性を積極的に利用して、未加硫ゴムシートの部位を、刃先よりも下方に突出した押出部の下面に付着させた状態にするとの格別顕著な作用効果を奏するものである。 エ.したがって、上記相違点1-3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-12に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-5について 本願発明2-5も、本願発明1の相違点4に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-12に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明6について 本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であり、「前記くり抜きを終えて前記刃先を上方に移動させた際に、前記押出部を前記付勢部材による付勢力によって前記刃先よりも下方に突出させることにより、くり抜いた前記目的とする部位を前記押出部の前記下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にして前記刃先から下方に排出する」との構成を有する。そして、この構成は、「前記刃先によって前記目的とする部位をくり抜いた後は、くり抜いた前記目的とする部位を、前記付勢部材により付勢されて前記刃先よりも下方に突出した前記押出部の前記下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にする」との本願発明1の相違点4に係る構成に対応するものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-12に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4.本願発明7-10について 本願発明7-10も、本願発明6の上記構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明6と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-12に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 1.理由(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により、本願発明1-5は「前記刃先によって前記目的とする部位をくり抜いた後は、くり抜いた前記目的とする部位を、前記付勢部材により付勢されて前記刃先よりも下方に突出した前記押出部の前記下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にする」という事項を有するものとなっており、本願発明6-10は「前記くり抜きを終えて前記刃先を上方に移動させた際に、前記押出部を前記付勢部材による付勢力によって前記刃先よりも下方に突出させることにより、くり抜いた前記目的とする部位を前記押出部の前記下面に吸着手段を用いることなく付着させた状態にして前記刃先から下方に排出する」という事項を有するものとなっている。そして、それらの事項は、上記「第5 対比・判断」で示したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-11及び前置報告で引用された引用文献12に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-002482

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