特許拒絶査定不服審判
2019-002141
人への光及び音インパクトをモニタするシステム、方法及びデバイス
- 審判番号
- 2019-002141
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-518913外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年02月15日
- 審決日
- 2019年10月15日
- 公報発行日
- 2019年11月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
- 【請求人代理人】笛田 秀仙
- 【請求人代理人】五十嵐 貴裕
- 分類
- P18 .121-WY (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-518913「人への光及び音インパクトをモニタするシステム、方法及びデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月18日国際公開、WO2014/198570、平成28年 9月 8日国内公表、特表2016-526961、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)6月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年 6月11日 (EP)欧州特許庁 2013年 6月11日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成30年4月2日付けで拒絶理由が通知され、同年7月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月7日付けで拒絶査定(原査定)がされたところ、平成31年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし14に係る発明は、以下の引用文献1ないし6に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2013-66704号公報
2.特表2009-520551号公報
3.特開2002-62186号公報
4.特開2007-276766号公報
5.特表2001-515755号公報
6.Wim Verkruysee et al.、"Remote plethysmographic imaging using ambient light."、Optics Express、Vol. 16、Issue 26、2008年12月22日、pp. 21434-21445
第3 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明14」という。)は、平成30年7月11日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものであり、本願発明1及び12は以下のとおりである。
「 【請求項1】
人に関する光及び音インパクトをモニタするシステムであって、
時間にわたり前記人の環境光をキャプチャする光キャプチャユニットと、
時間にわたり前記人の周囲音をキャプチャする音キャプチャユニットと、
キャプチャされた環境光の輝度が輝度閾値を超える場合及び/又はキャプチャされた周囲音の音レベルが音閾値を超える場合、トリガ信号を生成して出す閾値ユニットと、
前記人のストレスレベルを決定するストレスレベルプロセッサと、
前記トリガ信号を受信するとき、前記トリガ信号を受信する時間の周りでキャプチャされる環境光及び周囲音の断片と、前記トリガ信号を受信する時間の周りでの前記人のストレスレベル情報の断片とを格納する格納ユニットと、
前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にするレビューユニットとを有する、システム。」
「 【請求項12】
人に関する光及び音インパクトをモニタするデバイスであって、
時間にわたりキャプチャされる前記人の環境光の輝度が輝度閾値を超える場合及び/又時間にわたりキャプチャされる前記人の周囲音の音レベルが音閾値を超える場合、トリガ信号を生成して出す閾値ユニットと、
前記人のストレスレベルを決定するストレスレベルプロセッサと、
前記トリガ信号を受信するとき、前記トリガ信号を受信する時間の周りでキャプチャされる環境光及び周囲音の断片と、前記トリガ信号を受信する時間の周りでの前記人のストレスレベル情報の断片とを格納する格納ユニットと、
前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にするレビューユニットとを有する、デバイス。」
なお、本願発明2ないし11、13及び14の概要は以下のとおりである。
本願発明2ないし10は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明13は、本願発明12に対応する方法の発明であり、本願発明12とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明14は、本願発明13をコンピュータで実行させるためのコンピュータプログラムに対応する発明である。
第4 引用文献の記載事項、引用発明
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下同様。)。
(引1-ア)「【技術分野】
【0001】
本開示は、乳児監視の分野に関する。より詳細には、本開示は、新生児のストレスインジケータを監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレスは、新生児において生理学的に望ましくない。ストレスレベルが上昇すると、新生児に余計なカロリーを消費させて、ストレス反応をもたらす。この余計なカロリーの消費には、新生児の生存に欠かせない基礎的かつ発育上の努力からのカロリー消費が回される。
【発明の概要】
【0003】
ストレス反応に対する新生児の生理学的状態を検出することは、追加の診断ツールを医師にもたらす可能性があり、医師の介入または対応の方向付けにつながる。」
(引1-イ)「【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、乳児12の生理学的状態を監視するためのシステム10の実施形態を示している。乳児治療ステーション14は、乳児を支持する概して水平な面16を含む。乳児12がその内部に置かれる微環境18は、水平面16および少なくとも1つの壁20によって少なくとも部分的に画定される。少なくとも1つの壁20は、可動式であってもよく、あるいはそうでなければ、アームポート22を含んでもよい。可動式壁20またはアームポート22により、医師24は乳児12に近づくことが可能になる。
【0009】
本明細書において例示的に説明し示す乳児治療ステーション14は、より詳細に開示される可動式キャノピを備えた結合型乳児治療ステーションである。この乳児治療ステーション14の一例は、General Electric Companyから入手可能なOmniBedである。しかしながら、代替の実施形態において、乳児治療ステーション14が、保育器、ラジアントウォーマ、およびバシネットを含むが、それらに限定されない様々な乳児治療ステーション構造物のうちのいずれであってもよいことを認識すべきである。これらの乳児治療ステーションそれぞれの実施形態は、少なくとも、概して水平な面と壁とにより、乳児向けの微環境を画定する。
【0010】
微環境18は、微環境18内の温度および医療用ガス濃度などの環境状態を管理するように、乳児治療ステーション14によって調整される。乳児治療ステーション14において管理される1つの共通する環境状態は、温度である。微環境18および乳児12の温度は、1つまたは組合せのやり方で管理される。キャノピ26は、乳児12および水平面16に対して垂直方向に調節可能である。キャノピ26は、乳児12および水平面16上に下向きの熱を放出する放射ヒータを含む。対流型ヒータ28が乳児治療ステーション14のベース30内に配設される。対流型ヒータ28は、周囲空気を引き込み、加熱コイル(図示せず)または他の加熱素子により周囲空気を加熱し、加熱した空気を微環境18内に吹き込む。
【0011】
乳児治療ステーション14は、水平面16を垂直方向に調節させる調節可能柱脚32を含む。乳児治療ステーション14は、キャスタ34をさらに備える。これは、乳児治療ステーション14を移動可能にし、それにより乳児治療ステーション14は、乳児を受け入れ、処置するための所望の場所に移動可能になる。あるいは、乳児治療ステーション14は、乳児12をある場所から別の場所に移動させるためにも使用することができる。
【0012】
乳児治療ステーション14は、医師24によって乳児12を治療し易くし、処置し易くする様々な検知器および出力を含む。例示的な実施形態においては、乳児治療ステーション14は、1つまたは複数の生理学的トランスデューサ36を含む。生理学的トランスデューサ36は、乳児12から生理学的パラメータを取得する。生理学的トランスデューサ36によって取得される生理学的パラメータは、心電計(ECG)、筋電計(EMG)、および脳波計(EEG)などの生体電位であってもよいが、それらに限定されない。あるいは、生理学的トランスデューサによって得られる生理学的パラメータは、酸素飽和度(SPO2)または非侵襲的に得られる血圧(NIBP)などの他のタイプの生理学的値であってもよい。当業者には理解されるであろうように、他の生理学的パラメータが生理学的トランスデューサ36によって得ることができることは認識される。
【0013】
乳児治療ステーション14は、生理学的トランスデューサ36によって得られた生理学的パラメータを処理し、生理学的値を医師24にグラフィックディスプレイ38において示す。グラフィックディスプレイ38をキャノピ26の一部であると、またはキャノピ26と一体であると例示的には示しているが、様々なグラフィックディスプレイ38およびディスプレイの場所は、当業者には理解されるであろうように、乳児治療ステーション14内で使用可能であることを認識すべきである。
【0014】
システム10の実施形態は、1つまたは複数の環境検知器40を含む。環境検知器40の例は、音検知器42および光検知器44である。音検知器42は、微環境18内の周囲音を測定する。ある実施形態において、音検知器42は、デジベル単位で音レベルを測定する。音検知器によって拾われる音は、乳児治療ステーション14の機械的動作に起因する場合も、医師24による介入に起因する場合も、または乳児治療ステーション14の外部の周囲音からの場合もある。
【0015】
光検知器44は、微環境18の周囲光を検出し、ルーメン単位で発光を測定する。光検知器44によって検出される光は、乳児12の状態を監視または処置するために、乳児治療ステーション14とともに使用される1つまたは複数の外部装置(図示せず)に起因する場合もある。あるいは、光検知器44によって監視される微環境18の周囲光は、乳児治療ステーション14の外側の光源からのものである。さらには、キャノピ26のいくつかの実施形態は、具体的には医師12の照明を強めることを可能にするために、医師24によって作動可能な1つまたは複数のライト(図示せず)を含む。これらの発生源の光または他の発生源の光はすべて、光検知器44によってとらえられ、登録される。
【0016】
システム10は、複数の運動検知器46をさらに備える。運動検知器46は、様々な運動検知実装形態のうちのいずれであってもよい。運動検知器46の第1の非限定例は、ビデオカメラなど、デジタルビデオキャプチャデバイスである。より具体的な実施形態において、ビデオカメラは、電荷結合素子(CCD)であり、可視光、紫外光、または赤外光のスペクトルのうちの1つまたは複数で動作することが可能である。代替の実施形態においては、運動検知器46は、レーザなど、ビームを投射し、そのビームを運動検知器46に対向する光学トランスデューサ(図示せず)を用いて受け、ただし、光学トランスデューサによって得られる信号がないとき、そのビームの破壊が検出される。さらなる別の実施形態において、運動検知器46は、レーザなど、電磁エネルギーにより、その対象を「ペイント」し、乳児12からの反射された電磁エネルギーを受け取る。この反射は、乳児12の位置を決定するために使用される。
【0017】
システム10の実施形態において、複数の運動検知器が微環境18の周りに配設される。図1に例示的に示すように、複数の運動検知器46が、運動検知器配列48で配置可能である。諸実施形態において、配列48は、乳児12または水平面16の長さに沿って延在する。あるいは、運動検知器46は、キャノピ26内に配置可能であり、微環境18および乳児12に下向きに方向付け可能である。
【0018】
使用される運動検知器46の数が、使用される具体的な運動検知技術に部分的に左右されることに気付くであろう。例えば、運動検知器46がビデオカメラである場合、実施形態は、単に1台のカメラしか必要としない場合がある。あるいは、レーザまたは他の電磁エネルギーベースの運動検知器には、様々な乳児の動作を検出するために、複数の検知器が必要である場合がある。
【0019】
図2は、複数の乳児52の状態を監視するためのシステム50の実施形態を示している。複数の乳児のそれぞれの乳児52は、乳児治療装置54内に置かれる。乳児治療装置54は、例示的には、図1を参照して説明した乳児治療ステーション14であってもよい。
【0020】
乳児治療装置54は、乳児52の周りに微環境56を画定する。乳児治療装置54はそれぞれ、微環境56の周りに配設された少なくとも1つの環境検知器58と、少なくとも1つの運動検知器60とをさらに備える。少なくとも1つの環境検知器58の実施形態は、光検知器62および音検知器64のうちの1つまたは両方の組合せを含むことが可能である。光検知器62および音検知器64は、図1に関して上述したものと類似していてもよい。少なくとも1つの環境検知器58は、微環境56の環境状態、例示的には微環境56の照明または微環境56の音レベルを監視する。少なくとも1つの運動検知器60は、微環境56内の乳児52の運動を検出する。さらなる別の実施形態において、少なくとも1つの運動検知器60は、微環境56内の乳児52への介入の過程でさらに医師の運動を検出することが可能である。このような介入は、乳児52を調節し、処置し、または診断するためであり得る。
【0021】
環境検知器58および運動検知器60からの出力は、乳児治療ステーション54の構成要素である処理装置66に供給される。処理装置66は、少なくとも1つの環境検知器58および少なくとも1つの運動検知器60からの信号を受け取り、受け取った信号において初期の信号処理を行う。処理装置66は、微環境56内での検出された環境状態および乳児の運動をローカルで示すグラフィックディスプレイ(図示せず)を動作させることが可能である。このようなディスプレイの例が、図1に関してより詳細に提供される。
【0022】
乳児治療ステーション54の処理装置66はそれぞれ、監視された環境状態および乳児運動を中央処理装置68に供給する。中央処理装置68は、乳児治療ステーション54の処理装置66のそれぞれに通信可能に接続されている。システム50の例示的な実施形態において、中央処理装置68は、院内インターネットを通じて乳児治療ステーション54のそれぞれに通信可能に接続されている院内情報サーバである。その実施形態において、乳児治療ステーション54はそれぞれ、新生児病棟または新生児集中治療室(NICU)など、同じ室内に場所決めされる場合がある。乳児治療ステーション54はそれぞれ、有線または無線の通信接続によって、院内インターネットおよび中央処理装置68と通信することが可能である。さらなる別の実施形態において、乳児治療ステーション54は、互いから遠隔に場所決めされており、インターネットを通じて、監視された環境状態および乳児の運動を中央処理装置68に送信する。
【0023】
中央処理装置68はさらに、コンピュータ可読媒体70に通信可能に接続されている。例示的な実施形態において、コンピュータ可読媒体70は、FLASHメモリなどの読取り専用メモリ(ROM)であるが、コンピュータ可読媒体の代替の形態が本開示の範囲内で使用可能であることを当業者は理解するであろう。
【0024】
コンピュータ可読媒体70は、中央処理装置68によって実行されるコンピュータ可読コードによりプログラミングされ、それにより、中央処理装置68は本明細書に開示するように動作する。代替の実施形態においては、コンピュータ可読媒体70は、中央処理装置68に通信可能に接続された別個の構成要素ではなく、中央処理装置68との一体部分である。
【0025】
中央処理装置68は、処理装置66のそれぞれによって取得される環境検知器58からの信号、および運動検知器60からの信号を受け取るように動作する。中央処理装置は、乳児治療ステーション54のそれぞれから受け取った環境検知器信号および運動検知器信号を比較するようにして分析する。この乳児分析に対する交差は、乳児治療ステーション54ごとに体験される環境状態について、および乳児治療ステーション54における乳児52のそれぞれの結果的に生じるストレスレベルについて追加の情報をもたらす。中央処理装置68は、環境状態と乳児ストレスレベルとの間の相関関係を決定する。
【0026】
例示的な実施形態において、環境検知器信号は、医師が乳児52のうちの1人と対話することと関連付けられる環境変化を示す。これらの環境変化には、NICUのライトをつけること、またはNICU内に雑音をもたらすことが含まれる場合がある。光および雑音の変化は、介入を受けていないNICU内のその他の乳児のストレスレベルが上がる原因になり得る。医師の介入を受けていない乳児52のこの残りのストレスレベルの上昇を識別すると、他の乳児52によって体験されるストレスレベルを抑えようとする目的で、医師の介入に関する手順の変更が促される可能性がある。
【0027】
代替の実施形態において、システム50における乳児治療ステーション54は、複数の室内に物理的に場所決め可能である。より大きい乳児ストレスを引き起こす部屋のうちの1つの中で環境状態の指標を識別しようとする目的で、環境検知器信号および乳児ストレスレベルを異なる室内の乳児52同士の間で比較することが可能である。これらの悪い環境状態を識別すると、これらの状態の影響または存在を抑えるために、したがって、特定の室内の乳児のストレスレベルを抑えるために医師の努力が払われることがあり得る。
【0028】
集中処理装置68は、グラフィックディスプレイ72に通信可能に接続され、それを動作させる。グラフィックディスプレイは、受け取った環境状態および乳児ストレスレベルを示す。グラフィックディスプレイ72はさらに、環境状態と乳児ストレスレベルとの間の決定された相関関係を示すように動作する。
【0029】
システム50の代替の実施形態において、乳児治療ステーション54はそれぞれ、1つまたは複数の生理学的検知器74をさらに含む。生理学的検知器74は、乳児52から生理学的データを得る。生理学的データは、生体電位、SPO2、NIBP、または呼吸数を含むが、それらに限定されない様々な既知の生理学的データのうちのいずれであってもよい。この例示的な実施形態において、中央処理装置68は、乳児治療ステーション54の処理装置66のそれぞれから生理学的検知器信号を受け取り、生理学的検知器信号は、乳児ストレスレベルを決定する際にさらに使用される。
【0030】
図3Aおよび図3Bは、生理学的検知器信号および運動検知器信号の例示的なグラフを示している。図3および図3Bはともに、SPO2のグラフ76、心拍数のグラフ78、および呼吸数のグラフ80を含む。さらには、図3Aおよび図3Bは、検出された運動強度82のグラフを含む。
【0031】
図3Aおよび図3Bは、検出された医師の介入に対する2人の別々の乳児の反応を示している。グラフ3Aおよびグラフ3Bは、乳児ストレスレベルの監視における3つの相を示している。第1相84において、ベースラインの乳児運動強度が決定される。当然ながら、乳児は生き物であり、したがって、ある程度の随意および不随意運動を示すことになる。生まれながらの乳児の運動の例には、呼吸、または他の自発的な動作もしくは仕草を挙げることが可能である。実際、いくつかの実施形態における最小閾値レベルの運動欠如は、患者の危険因子と解釈される。
【0032】
次に、参照86は、医師介入と関連付けられる運動強度の上昇を示す。微環境の中への医師の介入は、乳児治療装置の運動検知器によってとらえられ、したがって、高強度または高変動性運動の周期として登録される。運動検出システムが改善されると、一実施形態はさらに、医師が行う乳児との対話を識別する。このようなシステムは、パターン認識を使用して、医師の対話を識別することが可能である。この対話は、ひとたび識別されると、乳児の電子医療記録に記録することができる。
【0033】
最終相は、回復相88であり、ここでは、運動強度のグラフ82がベースラインの運動レベルに戻るはずである。医師の介入中に検出された追加の運動強度がひとたび終了した後は、回復相88中に検出される運動強度は、乳児による運動に起因する。乳児による運動は、本明細書に説明する乳児ストレスレベルと相関性がある場合がある。乳児は、様々な随意および不随意動作によりストレスを示す場合がある。乳児は、たとえ早産児であっても、驚愕反射を呈し、それらは、具体的には目または口の顔面攣縮により示される。識別されたこれらの顔面攣縮は、このような驚愕反応および乳児ストレスの上昇の指標である。別のストレス動作は、乳児が脚部を真っ直ぐに突き出す意味の足部の突っ張り動作である。乳児の股関節は、わずかに外に広がり、足部および脚部の近くにあり得る任意の種類のおくるみまたは他の構造物を押しやる傾向がある。
【0034】
乳児ストレスを示すさらなる動作は、乳児の腕部の横への広がりである。早産児は、しばしば、例えば正中面に向かって快適な位置の中に碗部を引き戻すためのエネルギー、筋力、または調整力をもっていないことがある。乳児は、この快適位置に自分の腕部を戻すことができないとき、伸ばすように、または離すように指を動かすことで指の広がりを示す場合がある。したがって、指の広がりは、乳児ストレスレベルのさらなる指標である。先に述べたように、乳児ストレスレベルは、全体的な運動強度によってのみ決定される必要はない。代替の実施形態において、これらの述べた乳児動作のうちの1つまたは複数を識別するためのパターン認識を使用して、乳児のストレスのレベルを識別することが可能である。
【0035】
図3Aおよび図3Bを参照すると、さらなる別の実施形態が、乳児のストレスレベルを診断する際に、乳児の運動強度ならびに乳児の生理学的パラメータの変化をともに分析する。
【0036】
図3Aにおいて、医師の介入86の間、乳児は、呼吸数80および心拍数78の上昇と組み合わせて運動強度の上昇を示すことが分かる。これらの上昇は、SPO2のグラフ76の下降と組み合わせられる。これらの傾向はすべて、乳児ストレスの上昇を示す。これらの指標のそれぞれが、医師の対話86と一致したので、その対話自体が乳児にストレスをもたらしていることと決定付けることが可能である。しかし、回復相88においては、運動強度82、呼吸数80、および心拍数78はすべて、ベースライン相84に見られたレベルまで下降し、戻る。同様に、SPO2のグラフ76は、SPO2のグラフ76が介入前のレベルに達するまで、回復相88全体にわたって上昇し続ける。したがって、図3Aは、医師介入に対する正常なまたは所望のストレス反応中に観察可能な生理学的および運動強度の値の例示的な実施形態である。
【0037】
図3Aのグラフは、図3Bに見られるグラフと比較され、乳児は、具体的には回復相88の間の呼吸数のグラフ80に何らかの回復を示す一方、医師の対話86の後、運動強度のグラフ82は高いままである。同様に、心拍数のグラフ78およびSPO2のグラフ76は、回復相88の間、それらのそれぞれの介入前のレベルまで戻ることができない。したがって、図3Bに見られるこのストレス反応は、医師介入後のストレスレベルの上昇を体験している乳児を例示的に示している。
【0038】
図3Bに示すように、図2のグラフィックディスプレイ72を使用して例示的に示す乳児ストレスレベルの上昇を表示することにより、医師は、乳児のさらなるストレスの原因を診断するように乳児の視診を促される可能性がある。このような追加のストレスは、乳児の位置決めの結果、または医師の介入中に開始された処置の結果からである場合がある。非限定例として、ストレスは、誤ったIV、カテーテル、または急激な注入液速度から生じる場合がある。
【0039】
図4Aおよび図4Bは、同様に、乳児治療ステーションによって取得される信号の例示的な出力を示している。図3と図4の間の同様の参照符号は、同様の生理学的可変グラフを示すために使用されることに留意されたい。図3および図4のグラフ間の違いのうちの1つは、図4Aおよび図4Bが、環境状態検知器のグラフ、すなわち光強度のグラフ90および音量のグラフ92をさらに含むことである。図4Aのグラフおよび図4Bのグラフは、環境状態の変化に応じて、乳児運動強度82の変化と、ストレスレベルの全体的な上昇とを示す例示的な実施形態を提供する。
【0040】
図4Aにおいて、光強度のグラフ90は、光強度が上昇した2つの周期を示す。光強度が上昇したこれらの2つの周期は、例示的には、医師が乳児のうちの1人または複数と対話するためにNICUに入り、ライトをつけたことからである可能性がある。本例においては、監視されている乳児は、医師が対話した乳児でないと見なすこともできる。検出した音レベル92は、監視された時間周期全体にわたって、比較的一定のままである。
【0041】
乳児は、第1の周期94の光強度の上昇に対して、運動強度82、呼吸数80、心拍数78、およびSPO2 76の各グラフにおいて正常なまたは特徴的な反応を見せる。これは、NICUのライトがついたことによって引き起こされる乳児への驚愕反応または他の混乱を示すことがあり得る。ひとたびライトが消されると、乳児は、回復周期に入り、運動強度82、呼吸数80、心拍数78、およびSPO2 76はすべて、以前のベースラインレベルに戻る。
【0042】
光強度が上昇した第2の周期96では、乳児は、同じ反応を示さない。反対に、光強度の外部刺激が取り除かれた後でさえも、乳児のSPO2 76は下降したままであると同時に、乳児の運動強度82、呼吸数80、および心拍数78は上昇したままである。これらは、乳児が追加のまたは継続的なストレスを体験していることを示している。第2の光周期96と、乳児の逆反応との一致する始まりは、この事象と乳児の状態との間の相関関係をもたらす。したがって、以前、光にさらされたときはそうではなかったが、追加的に光にさらされたことが乳児へのストレスにつながったと決定付けることができる。
【0043】
図4Bは、乳児治療ステーションによって監視された状態のグラフのさらなる別の例示的な実施形態を示している。図4Bに示すグラフがもたらすであろう1つの可能なシナリオは、医師の介入相86の間、乳児と対話する医師であることになる。乳児と対話するために、医師はNICUに入り、ライトをつけることになり、光強度のグラフ90の強度の上昇が生じる。同様に、医師と乳児との間の対話は、NICUの雑音の上昇をもたらすことがあり得、それは音量のグラフ92に示される。このような手順は、当業者には理解されるであろうように、例示的に、医師によって乳児に対して行われるカテーテル挿入、または撮像、あるいは他の手順であり得る。
【0044】
医師と乳児との間の対話の終了後、対話からの雑音は簡単になくなり、医師は、NICUのライトを消す。その後間もなく、NICU内で雑音レベルが98において再度上昇する。これは、例示的には、NICU内の他の乳児のうちの1人が泣いたことによる、またはNICU内の機械装置の動作または故障による可能性がある。回復相88の間、98における雑音の上昇と、運動強度のグラフ82によって識別される乳児の回復不足との間の相関関係が識別可能である。乳児の運動強度の上昇に加えて、乳児の呼吸数80および心拍数78は上昇したままであると同時に、乳児のSPO2 76は下降を続ける。雑音98がなくなった後でしか、乳児の測定されたパラメータは、正常への戻りを開始しない。したがって、図3A~図4Bに見られる例示的なグラフは、検出された乳児のストレスレベルの様々なシナリオを示している。
【0045】
図5は、乳児の生理学的状態を監視する方法100の実施形態を示す流れ図である。方法100は、102で開始し、そのとき、乳児の運動が検出される。図1および図2に関して上述したように、乳児の運動は、ビデオキャプチャ、または電磁付勢の他の使用を含む様々なやり方で検出可能である。
【0046】
104において、乳児のベースライン運動が抽出される。図3および図4に関して説明したように、乳児は、様々な随意動作および不随意動作を行うことになり、これは、異なる乳児がその正常な状態で様々な程度の運動を見せることがあるので、個々の乳児ごとにベースラインを確立することになる。
【0047】
106において、補助パラメータの始まりまたは変化が監視される。補助パラメータは、本明細書において説明してきた、または当業者に理解されるであろうパラメータのうちのいずれであってもよい。補助パラメータは、SPO2、心拍数、呼吸数、または血圧など、しかしそれらに限定されない生理学的パラメータであってもよい。あるいは、補助パラメータは、光強度または雑音の音量などの本明細書に説明する環境状態であってもよい。補助パラメータのさらなる別の例は、乳児の電子医療記録に見られる表記など、医師の手順または他の対話を示すものであってもよい。106において、これらの補助パラメータのうちの1つまたは複数が、これらのパラメータのうちの1つまたは複数の始まりまたは変化を検出するために監視される。これらのパラメータの変化の始まりの例は、図3A~図4Bに見られる例に示される。
【0048】
補助パラメータの始まりまたは変化が106において検出された後、次いで、108において、補助パラメータの始まりまたは変化の後の乳児の運動が監視される。乳児の運動は、上述の開示した運動検知器によって検出される。
【0049】
110において、乳児のストレスレベルが、乳児の監視された運動から抽出される。上述したように、乳児ストレスレベルは、運動強度を診断することによって抽出可能であるが、あるいは、特定のタイプの乳児運動を識別するためのパターン照合を診断することによっても抽出可能である。ストレスの上昇を示す特定のタイプの乳児運動の非限定例には、顔面攣縮、足部の突っ張り、または指の広がりが挙げられる。さらには、図3A~図4Bに関して上述したように、乳児運動の診断と補助パラメータのうちの1つまたは複数との一緒の組合せもまた、乳児のストレスレベルを抽出するために使用することができる。さらには、運動強度の上昇と、心拍数または呼吸数の上昇、あるいはSPO2の下降などの生理学的兆候との一緒の組合せは、乳児がストレスを受けていることを示す。
【0050】
図6は、乳児12の生理学的状態を監視するためのシステム200の実施形態を示している。システム200の構成要素の多くは、図1に関して上述した構成要素と同一である。共通の参照符号が、図6のシステム200と図1のシステム10との間で同一の構成要素を識別するために使用されている。図1に関して上述した構成要素を図6に関しては詳細に説明しない。
【0051】
システム200は、いくつかの外部環境検知器を含む。ある実施形態によれば、外部環境検知器には、運動検知器202、光強度検知器204、音検出器206、および室温検知器208を挙げることができる。外部環境検知器202、204、206および208は、(図2に示す)微環境56内の環境状態を検出するために使用される(図2に示す)環境検知器58に類似する検知技法および技術を使用することが可能である。しかしながら、外部環境検知器は、微環境56の外側の領域からデータを取得するようになされている。外部環境検知器202、204、206、および208は、ある実施形態により、乳児治療ステーション14のキャノピ26上に取り付けられる。しかし、外部環境検知器202、204、206、および208は、乳児治療ステーション14の種々の部分に取り付けられても、または他の実施形態により、NICU内の他の場所、例えば、壁もしくは天井に取り付けられてもよい。NICUが複数の部屋を含む実施形態において、部屋ごとに外部環境検知器を有することは有利である場合があり、それにより、医師24は、乳児治療ステーションごとにおいて体験される外部環境状態を比較することが可能になる。
【0052】
図7は、複数の乳児52の生理学的状態を監視するためのシステム210の実施形態を示している。複数の乳児のそれぞれの乳児52は、乳児治療ステーション内に置かれる。乳児治療ステーションは、例示的には、図6を参照して説明した乳児治療ステーション212であってもよい。システム210の構成要素の多くは、図2に示すシステム50に関して上述した構成要素と同一である。共通の参照符号が、図7と図2の間で同一の構成要素を識別するために使用されている。図2に関して上述した構成要素を図7に関しては詳細に説明しない。
【0053】
システム210はまた、処理装置66に接続された複数の外部環境検知器214を含む。外部環境検知器214には、運動検知器216、光強度検知器218、および音検出器220を挙げることができる。他の実施形態は、種々の外部環境検知器を含むことが可能である。例えば、気圧、振動レベル、室温、および湿度を含む他のパラメータが、運動検知器216、光強度検知器218、および音検出器220によりそれぞれ測定される運動、光、および音に加えて、またはそれらの代わりに測定可能である。
【0054】
外部環境検知器214は、乳児治療ステーション212のそれぞれの中で処理装置66に通信可能に接続されているように示されている。しかし、他の実施形態によれば、外部環境検知器214は、乳児治療ステーション212のそれぞれと関連付けられた、処理装置66の代わりの中央処理装置68に通信可能に接続可能である。いずれかの実施形態によれば、中央処理装置68は、外部環境検知器214からの信号を環境検知器62、64からの信号と比較する。処理装置66もまた、乳児治療ステーション212のそれぞれにおいて乳児の運動を検出する運動検知器60からの信号を受信する。上述したように、光検知器62および音検知器64はともに、微環境56のそれぞれの内部の環境状態を検出し、一方、外部環境検知器214は、微環境56の外側ではあっても、NICUの内部である環境状態を検出する。中央処理装置68は、環境検知器62、64、および外部環境検知器214からの信号を比較し、相関付けることが可能である。
【0055】
図8Aおよび図8Bは、あるNICU内で異なる所に場所決めされた別個の乳児治療ステーションにおける2人の乳児に関する生理学的信号、運動検知器信号、環境信号、および外部環境信号の例示的なグラフを示している。図8Aおよび図8Bはともに、例示的な実施形態により、外部光のグラフ240、光のグラフ242、SPO2のグラフ244、心拍数のグラフ246、呼吸数のグラフ248、および運動のグラフ250を含む。外部光のグラフ240は、外部環境検知器により取得され、一方、光のグラフ242は、環境検知器により取得される。
【0056】
相252において、図8Aおよび図8Bの両方の乳児は、SPO2のグラフ244、心拍数のグラフ246、呼吸数のグラフ248、および運動のグラフ250が示すように、低ストレス状態にある。相254の間、図8Aおよび図8Bの両方の乳児は、より高いストレスレベルを示す兆候を見せる。例えば、SPO2レベルは下降し、心拍数および呼吸数はともに上昇し、どちらの乳児も、運動のグラフ250が示す、より高いレベルの運動を体験する。相256の間、どちらの乳児も、より高いレベルの運動、より高い心拍数、およびより高い呼吸数が示す、より高いレベルのストレスを引き続き呈する。
【0057】
図8Aにおいて、外部光のグラフ240および光のグラフ242はともに、相252から相254に移る間に急激な上昇を示す。これは、NICUの一部の中で医師がライトをつけたことに容易に対応する場合があり得、または図8Aに示す乳児の微環境に達することが可能な別の発生源による周囲光からの場合もあり得る。外部光のグラフ240および光のグラフ242はともに、互いに追いかけ、そのことは、外部光が、より高いレベルのストレスを体験している乳児に関与することになり得るストレッサーのうちの少なくとも1つであることを示すことができる。図8Aにおいて、乳児は、相256が示すように、ストレッサーが、すなわち光が取り除かれた後でも、より高いレベルのストレスを維持している。
【0058】
図8Bを参照すると、光のグラフ242、SPO2のグラフ244、心拍数のグラフ246、呼吸数のグラフ248、および運動のグラフ250はすべて、概して、図8Aに示すグラフと同様の傾向を示す。しかし、外部光のグラフ240は、図8Aと図Bとでは非常に異なる。図8Bの外部光のグラフは、ベースラインレベルから動いていない。しかし、光のグラフ242が示すように、微環境内には光が依然、存在する。乳児は、光のグラフ242に示される光に応答して、ストレスレベルの上昇を示す。しかし、外部光は存在しないので、乳児を混乱させている光の発生源は、図8Aの乳児を混乱させている光の発生源とは異なる可能性が高い。例えば、光のグラフ242をもたらす光源は、乳児を照らすことを目的とする乳児治療ステーション内に格納されたライトからである可能性がある。
【0059】
図8Aおよび図8Bの乳児による反応が非常に類似していても、(図7に示す)中央処理装置68は、図8Aおよび図8Bに表示されたデータに基づいて別の相関付けを行うことができるようになる。例えば、図8Aのグラフを作成するために使用されるデータは、乳児のストレスレベルの上昇の開始とともに、外部光のグラフ240と光のグラフ242との間の相関関係を示す。外部光のグラフ240と光のグラフ242との間の類似性は、外部光が、乳児のストレス反応の上昇に関与するストレッサーのうちの最も可能性があるストレッサーであることを意味する。比較すると、図8Bは、光のグラフ242の相254で明らかなように、微環境において可視であるライトのスイッチが入ったことを示している。しかし、相254における外部光のグラフ240には変化はない。したがって、中央処理装置68は、乳児のストレスレベルの上昇が、微環境内部からは目に見える光ではあっても、NICUにおける外部光からではない光と相関していると決定することができるようになる。
【0060】
乳児治療ステーションを囲むNICUの環境状態について外部環境検知器から信号を取得することは、1人または複数の医師が、様々な乳児に影響をもたらすストレッサーを正確に識別するのに役立つ。これらのデータに基づいて、医師は、NICUの乳児が体験するストレスレベルを最小限に抑えるために、ルーチンおよび振る舞いを修正することができる。図8Aおよび図8Bに示す例は、1つの外部検知器、すなわち外部光検知器からの信号しか含んでいないので、比較的単純である。しかし、外部光検知器からのデータを使用することによって、中央処理装置は、図8Aの外部光レベルと乳児に対するストレスレベルとの間、および図8Bの光レベルと乳児に対するストレスレベルとの間の相関付けを行うことができる。外部検知器データなしでは、医師は、効果的にストレッサーを取り出すことができなくなる。図8Aおよび図8Bに示す例示的な実施形態からのデータに基づいて、医師は、NICUの状態を修正して、図8Aと関連する乳児によるNICUの外部光を抑え、図8Bと関連する乳児の微環境内の光を抑えることが可能になる。これらの2人の乳児は、NICUの別の場所、あるいはさらには別の部屋に場所決めされる可能性があるので、1つまたは複数の外部環境検知器からの追加の詳細が、医師らの負担を和らげ、乳児に対してより低いストレス環境を生み出すことになり、そのことは、早産児の生存率および長期的健康を上昇させるために重要であり得る。
【0061】
本明細書において上述した例示的実施形態は、1つのタイプの外部環境検知器からのみのデータを使用しているが、他の実施形態は、種々のタイプの外部環境検知器または複数の外部環境検知器を含むことができることを認識されたい。(図7に示す)中央処理装置68によって実行される相関付けは、いずれの外部環境状態が所与の乳児のストレスレベルの上昇に関与しているのかはすぐに明らかにならない場合があるので、さらなる変化に対処する際には尚更重要である。上述したように、中央処理装置68は、乳児の生理学的パラメータおよび運動を分析することによって、乳児のストレスレベルを決定することが可能である。例示の実施形態によれば、中央処理装置68は、乳児のストレスレベルが上昇する周期を外部環境検知器214および環境検知器の双方からの信号と相関付けることが可能である。次いで、中央処理装置68は、環境状態および外部環境状態のうちのいずれが、特定の乳児治療ステーションにおける所与の乳児の高いストレスレベルと最も高く相関付けられるのかに関して、具体的なデータを医師に提供することが可能になる。次いで、医師は、可能な限り乳児のそれぞれが体験したストレスを抑えるために、NICU内の自分の振る舞いおよび/または環境を修正することができる。
【0062】
図9は、NICU内の様々な場所および環境状態における乳児のストレスレベル間の相関関係を伝えるために使用可能なディスプレイ300の実施形態を示している。ディスプレイ300は、図7に示すグラフィックディスプレイ72などのグラフィックディスプレイにおいて見ることができる。ディスプレイ300は、NICU内に場所決めされた特定の乳児治療ステーションにそれぞれの集合データをリンクさせた乳児治療ステーション識別子302を含む。ディスプレイ300は、9台の乳児治療ステーションを示しているが、他の実施形態は種々の台数の乳児治療ステーションを含むことが可能である。乳児治療ステーションは、医師がストレッサーと特定の乳児治療ステーションとの間の追加の関係をより識別し易くするのに役立つように、NICU内で使用されているレイアウトに類似するレイアウトでディスプレイ300上に配置可能である。他の実施形態によれば、すべての乳児治療ステーションからのデータは、他の配向で配置され得る。
【0063】
ディスプレイ300は、インデックスとして表示されたデータを含む。図9に示す実施形態によれば、インデックスは、それぞれのパラメータまたは環境状態の相対強度を示す数値尺度を含むことが可能である。ディスプレイ300は、ストレスレベルのインデックス304、光のインデックス306、外部音のインデックス308、および外部光のインデックス310を含む。乳児治療ステーションごとにインデックスを比較することによって、医師は、どの乳児が高いストレスレベルを体験しているのか、およびどのストレッサーがその高いストレスレベルの原因になっている可能性が最も高いのかを容易に決定することができる。例示の実施形態は、数値のインデックスを含むが、他の実施形態は、ディスプレイ300において、色または位置を含む他の形態のインデックスを使用することができる。他の実施形態は、ストレッサー、または所望されるよりも高いストレスレベルを有する乳児治療ステーションをより明確に識別するために、数値または色など、インデックスの組合せを使用することができる。
【0064】
例えば、外部光のインデックス310の値を見ると、乳児治療ステーション2は、値9を有し、一方、治療ステーション1および3は、値8を有する。外部光インデックスの値は、乳児治療ステーション2から離れるにつれて減少する。この相関関係に基づいて、医師は、外部光の発生源が乳児治療ステーション2の近くに場所決めされた乳児に少なくとも何らかのストレスをもたらしていると決定できる場合がある。同様に、外部音のインデックス308の値を観察することによって、類似の関係を決定付けることが可能である。外部音のインデックス308の値は、ベッド7のそばで最も高く、ベッド7から離れるにつれて減少する。この相関関係に基づいて、医師は、音の発生源が乳児治療ステーション7の近くにあると決定できる場合がある。別の実施形態によれば、中央処理装置68は、様々なストレッサーと乳児治療ステーションのそれぞれとの間の相関関係を決定できる場合がある。例えば、中央処理装置68は、特定の乳児のストレスレベルと正に相関付けられる1つまたは複数の環境状態および/または1つまたは複数の外部環境状態を識別することが可能である。中央処理装置68は、ある実施形態により、環境検知器および外部環境検知器からの受信した信号に基づいて、特定の環境ストレッサーの疑わしい場所を識別するように構成可能である。中央処理装置68は、(図6に示す)グラフィックディスプレイ72においてこれらの相関関係を表示することが可能である。
【0065】
本明細書において開示するシステムおよび方法の実施形態は、乳児のストレスレベルを診断することによって、乳児の状態表示の改善を可能にする。ストレスレベルが上昇すると、早産児の前向きな予後が抑えられることにつながりかねない。したがって、医師の対話および新生児の状態は、本明細書に説明したようなやり方で乳児の状態を監視し、レポートすることによって改善することができる。」
(引1-ウ)【図4A】
「
」
(引1-エ)【図4B】
「
」
(引1-オ)【図5】
「
」
(引1-カ)【図6】
「
」
(引1-キ)【図7】
「
」
(引1-ク)【図8A】
「
」
(引1-ケ)【図8B】
「
」
(引1-コ)【図9】
「
」
(2)引用文献1の記載において、「中央処理装置68」及び「集中処理装置68」は、同じものを表すと認められることから、以下、表記を「中央処理装置68」に統一する。
上記(引1-ア)ないし(引1-コ)の記載から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 複数の乳児52の生理学的状態を監視するためのシステム210であって、
それぞれの乳児52は、個別の乳児治療ステーション212内に置かれ、
乳児治療ステーション212は、乳児52の周りに微環境56を画定し、微環境56の周りに配設された環境検知器58と、運動検知器60とを備え、
環境検知器58は、光検知器62及び音検知器64を含み、光検知器62及び音検知器64はともに、微環境56のそれぞれの内部の環境状態を検出し、
運動検知器60は、微環境56内の乳児52の運動を検出し、
環境検知器58及び運動検知器60からの出力は、乳児治療ステーション212の構成要素である処理装置66に供給され、
乳児治療ステーション212の処理装置66はそれぞれ、監視された環境状態及び乳児運動を中央処理装置68に供給し、
乳児治療ステーション212はそれぞれ、生理学的検知器74をさらに含み、
生理学的検知器74は、乳児52から生理学的データを得、
中央処理装置68は、乳児治療ステーション212の処理装置66のそれぞれから生理学的検知器信号を受け取り、生理学的検知器信号は、乳児ストレスレベルを決定する際にさらに使用され、乳児の生理学的パラメータ及び運動を分析することによって、乳児のストレスレベルを決定することが可能であり、
システム210はまた、処理装置66に接続された複数の外部環境検知器214を含み、
外部環境検知器214には、運動検知器216、光強度検知器218及び音検出器220が含まれ、
中央処理装置68は、グラフィックディスプレイ72に通信可能に接続され、それを動作させ、
中央処理装置68は、環境検知器58及び外部環境検知器214からの信号を比較し、相関付けることが可能であり、様々なストレッサーと乳児治療ステーションのそれぞれとの間の相関関係を決定でき、特定の乳児のストレスレベルと正に相関付けられる環境状態及び/又は外部環境状態を識別することが可能であり、環境検知器58及び外部環境検知器214からの受信した信号に基づいて、特定の環境ストレッサーの疑わしい場所を識別し、グラフィックディスプレイ72においてこれらの相関関係を表示することが可能である、
システム210。」
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。
(引2-ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッサー検出システムに関する。また、本発明は、ストレッサーを検出する方法に関する。」
(引2-イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ある人物の環境におけるストレッサー(stressor)に関する更に正確な情報を取得するシステムを提供することにある。」
(引2-ウ)「【0044】
図1は、ストレッサー検出システム100の概念を表すブロック図である。ストレッサー検出システム100は、人がさらされている物理的な減少を表す信号を取得するセンサ手段101を有する。センサ手段101は、たとえばカメラ104、光センサ(図示せず)、マイクロフォン105、電子ノイズ(e-nose)106、バイブレーションセンサ(図示せず)、又は有利には3次元加速度計(図示せず)である加速度計を有する場合がある。センサにより生成された信号は、処理手段102に伝達される。処理は、典型的に、信号の複雑度を決定するか又は時間-周波数分析を実行するように信号処理ステップを含む。より複雑な信号は、比較的にストレスを誘発することが考えられる。信号分析により、ストレッサー値が得られる。ストレッサー値は、出力手段103に伝達され、この出力手段は、ストレッサー値をストレッサー検出システムに結合されるシステムに伝達する。たとえば、ユーザにアドバイスを提供するためにストレッサー値を使用するPDA又はパーソナルコンピュータとすることができる。出力手段103は、ストレッサー検出システムに結合されるシステムへの後の伝達のため、結果及び未処理の測定データを記憶する。また、出力103は、ディスプレイ又はラウドスピーカのような適切なレンダリング装置を使用して、ストレッサーレベルに関連するフィードバックを提供する。
【0045】
知覚のストレッサーセンサ100は、ユーザの知覚により捕らえられる環境信号を測定し、ユーザに関する身体的/生理的な負荷の測定値を計算する。」
(引2-エ)「【0052】
別の実施の形態は、光センサ又はカメラ104、及び、光又は画像処理ハードウェア及びソフトウェア102、出力手段103に結合される任意のディスプレイ、及び、人体に小型装置して取り付けることができる任意のインタラクション手段を有する装置により形成される。この装置は、上述されたように、マイクロフォン105、並びに、音声処理ハードウェア及びソフトウェア102を有する。日光及びフルスペクトル光は、ストレスレベルを低下するために良好であるが、蛍光灯のような非自然光は、任意の強度でストレッサーとして機能する。光スペクトルに関連する値は、スペクトル測定システムから取得される。かかるシステムの例は、アメリカ合衆国のカリフォルニア州サンディエゴのGamma Scientific社からGS-1253-LCDである。
【0053】
システムのような出力の1つは、カラーレンダリングインデックス(CRI)である。CRIは、光源により照らされている様々なオブジェクトの色を再現するための光源の能力の測度である。最良の可能な演色は、百のCRIにより規定され、非常に乏しい演色はゼロのCRIにより規定される。単色である低圧ナトリウム灯のような光源について、CRIがほぼゼロであり、品質的に黒体輻射を放出する白熱電球のような光源について、これはほぼ百である。CRIは、テスト光源のカラーレンダリングを、5000Kを超える色温度をもつ光源を除いて、一般に黒体輻射である「パーフェクト」な光源のカラーレンダリングに比較することで測定され、このケースでは、シミュレートされた昼間の光が使用される。たとえば、標準的な「白色」蛍光灯は、62に近いCRIを有する。低いCRIはストレスに関連されることが考えられる。ストレスに関連されると考えられるスペクトル測定システムの別の出力は、色温度(CT)である。
【0054】
光の安定したスペクトルを測定するよりはむしろ、ストレッサー検出システムとの使用のためのスペクトル測定システムは、連続モードで動作することが好ましい。そのように、CRI及び/又は色温度(CT)又は他の関連する量は、連続的に知られる。通常、スペクトル測定システムは、単色光源のスペクトルを測定する。ストレッサー検出システムとの使用のため、スペクトル測定システムは、CRI、色温度、又は(無指向性の)環境光の他の関連する量を測定することが好ましい。CRI又はCT若しくは環境光の他の関連する量を連続的に測定することで、それぞれの量を表す信号が得られる。処理手段102に日時を提供することで、信号は、測定が行われた時間と関連付けすることができる。好ましくは、日時の関数としてそれぞれの量を表す基準信号は、処理手段102にとって利用可能になる。基準信号は、理想的な状況下でそれぞれの量に対応する。代替的に、基準信号は、たとえばノーマル、平均、又は望まれない状況下でそれぞれの量に対応する。好ましくは、既知のストレッサー値に関連される1以上の係る信号は、処理手段102にとって利用可能となる。測定された信号を1以上の基準信号と比較することで、人の現在の環境と基準信号との間の比較を行うことができる。係る比較から、ストレッサー値を取得することができる。日時を考慮して現在測定された信号が80%について0.2のストレッサー値に関連される基準信号と比較され、現在測定された信号が20%について0.7のストレッサー値に関連される基準信号と比較される場合、処理手段は、0.3のストレッサー値を決定する。同様に、季節要因は、処理手段102に年の時間と、異なる年の時間に対応する基準信号とを処理手段102に供給することで組み込まれる。
【0055】
光強度における変化は、ストレッサーレベルに寄与する。てんかんは、ストロボスコープライトにより導入することができる。重みは、どの程度にまで、光のエンベロープがストレッサーレベルに寄与するかを判定する。別の実施の形態では、光は、一様な光源として扱われないが、その個々の色成分又は更に画像として扱われる。画像の固有の複雑さたとえばエッジ検出を使用し、個々の領域をカウントして決定することができる。時間を通した動きの量は、既知の動き予測技術を使用して計算される。画像の複雑さ及び時間を通した動きの量は、これらの画像を処理するために脳による更なる認識の努力が必要となるので、予め決定されたそれぞれの重みをもつストレッサーレベルを追加する。別の実施の形態では、オブジェクトを認識することができ、重みは、オブジェクトのタイプに起因させることができる。たとえば、武器は正の重みと関連付けされ、花は負の重みと関連付けされる。」
(引2-オ)「【0058】
ユーザへのダイレクトフィードバックとして、先に記載された実施の形態の何れかのストレッサーセンサの出力手段103は、その環境がどの位ストレスが多いかに関する測度を与え、これをある期間にわたり要約する。たとえば、最後の数分又は数秒の状況を報告することができる。これは、たとえば労働法の基準といった、ストレスに関連する基準を違反するエリアから離れるようにユーザに催促する。
【0059】
また、目覚める時間からの期間が使用される場合がある。これは、どのような外部ファクタが彼の感覚に影響を与えるかに気付くようになるので、ユーザが彼自身の整理を良好に理解するのを助ける。全体の睡眠時間を式に含むことができ、不十分な睡眠時間は、所定の前日のストレスレベルが次の日に持ち越されることを意味する。このケースでは、ストレッサーレベルは、目覚めの時間で全体的にゼロにリセットされていないが、前日の一部で開始し、その一部は、睡眠の期間及び品質に関連する。任意に、ストレッサーセンサは、ピアグループ又は友人のような他のユーザのストレッサーセンサとの比較を示し、これにより、現在のレベルが許容可能であるかをユーザが判定するのを助ける。ストレッサーセンサは、傾向及び履歴データを示すことができ、ユーザは、状況が改善されているか否かを知ることができる。
【0060】
ストレッサーセンサは、どの外部信号が現在のストレッサーレベルに最も寄与しているかを示し、個々の音、光/画像のレベル、並びに加速度を示すことができる。これは、どの環境の状況が変化される必要があるかに関してユーザに正確なフィードバックを与える。ストレッサーセンサは、保護メガネ又はイヤウェアといった、低い光の強度のようなストレッサーのレベルを低下する方法を指摘する。
【0061】
ストレッサーセンサを拡張してシンボリックストレッサーの態様を含むため、多数の異なるタスク及びデッドラインもストレスを誘発するので、デジタルアジェンダ及び/又はプロジェクトプランニングソフトウェアへのリンクを構築することができる。また、ワークペースプログラムは、ユーザのコンピュータでの活動を典型的にチェックするので、ワークペースプログラムを構築する場合があり、コンピュータでの活動は、重みを有することができる。旅行は認識の努力を必要とする多くの新たな経験を与え、ストレスが特定のロケーションと関連する場合があるので、グローバルポジショニングシステムには、ストレッサーの重みが同様に与えられる。運転に関連したシンボリックストレッサーを効果的に考慮することができるように、ストレッサーセンサは、車内のストレス管理システムにリンクすることができる。
【0062】
実施の形態では、ストレッサー検出システム100は、人により受けたストレスに関連するストレス値を取得するストレス検出手段105を更に有する。この値は、処理手段に通過される。ここでは、ストレス値と人により経験されたストレスとの間の関係が確立され、改善される。ストレス検出手段105は、ストレスセンサを有する(たとえばストレス検出手段105は、パルスレート、体温、GSR(galvanic skin reflex)、及び/又はボイスピッチを確定することを含む)。代替的に、ストレス検出手段105は、人が受けたストレスに関連される情報をストレッサー検出システムに彼が示すのを可能にするユーザインタフェースを有する。ストレスセンサとユーザインタフェースとの組み合わせを使用することができる。処理手段102は、ストレッサーセンサ101、ストレス検出手段105、及び/又は筋電図検査システム104からの入力を受け、たとえば割り当てられた重みに基づいて及び割り当てられた重みを変えることで、公知のパターン認識/人口学習技術を使用して、ユーザがどの位良好にストレスの多い環境及び状況に対処することができるかを長い期間をかけて学習する。前記重みは、上述された入力とストレッサー値との間の関係のモデルで現れるパラメータを含む。一度これが既知となると、ユーザは、不健康なストレスのレベルに(長い時間をかけて)つながる環境に入ったときに出力手段103を使用して警告される。また、たとえば、職務明細書は、「ストレスに抵抗力のある人を募集」を記載する場合がある。本発明は、変化した重みを、ストレスに抵抗力のある人の所望の特性に対応するために知られる予め決定された重みに比較することで、この要件を定量化する。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明とを対比する。
ア
(ア)引用発明の、「乳児52」は、本願発明1の「人」に相当する。
(イ)引用発明の「光検知器62及び音検知器64はともに、微環境56のそれぞれの内部の環境状態を検出」するのであるから、検出される「環境状態」である「光」及び「音」が、「乳児52」に関連していることは明らかである。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「それぞれの乳児52は、個別の乳児治療ステーション212内に置かれ、乳児治療ステーション212は、乳児52の周りに微環境56を画定し、微環境56の周りに配設された環境検知器58」「を備え」、「環境検知器58は、光検知器62及び音検知器64を含み、光検知器62及び音検知器64はともに、微環境56のそれぞれの内部の環境状態を検出」する「複数の乳児52の生理学的状態を監視するためのシステム210」は、本願発明1の「人に関する光及び音インパクトをモニタするシステム」に相当する。
イ 引用発明の「光検知器62」が継続的に検出を行うことは明らかであるから、引用発明の「乳児52の周りに」「画定」された「微環境56の周りに配設され」、「微環境56の」「内部の環境状態を検出」する「光検知器62」は、本願発明1の「時間にわたり前記人の環境光をキャプチャする光キャプチャユニット」に相当する。
ウ 引用発明の「音検知器64」が継続的に検出を行うことは明らかであるから、引用発明の「乳児52の周りに」「画定」された「微環境56の周りに配設され」、「微環境56の」「内部の環境状態を検出」する「音検知器64」は、本願発明1の「時間にわたり前記人の周囲音をキャプチャする音キャプチャユニット」に相当する。
エ
(ア)引用発明の「中央処理装置68」は、「乳児の生理学的パラメータ及び運動を分析することによって、乳児のストレスレベルを決定することが可能であ」ることから、「乳児のストレスレベルを決定する」機能を有するものである。
(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「乳児の生理学的パラメータ及び運動を分析することによって、乳児のストレスレベルを決定することが可能であ」る「中央処理装置68」は、本願発明1の「前記人のストレスレベルを決定するストレスレベルプロセッサ」に相当する構成を備えているといえる。
オ
(ア)引用発明の「中央処理装置68は、乳児治療ステーション212の処理装置66のそれぞれから生理学的検知器信号を受け取り、生理学的検知器信号は、乳児ストレスレベルを決定する際にさらに使用され」、「環境検知器58及び外部環境検知器214からの信号を比較し、相関付けることが可能であり、様々なストレッサーと乳児治療ステーションのそれぞれとの間の相関関係を決定でき」ることから、引用発明が、「環境検知器58」に含まれる「光検知器62及び音検知器64」からの出力、生理学的検知器信号並びに乳児ストレスレベルを記憶する手段を有していることは明らかである。
(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記トリガ信号を受信するとき、前記トリガ信号を受信する時間の周りでキャプチャされる環境光及び周囲音の断片と、前記トリガ信号を受信する時間の周りでの前記人のストレスレベル情報の断片とを格納する格納ユニット」と、「キャプチャされる環境光及び周囲音のデータと、前記人のストレスレベル情報のデータとを格納する格納ユニット」で共通する構成を備えているといえる。
カ
(ア)引用発明の「環境検知器58は、光検知器62及び音検知器64を含」むこと、及び、上記オを踏まえると、引用発明の「環境検知器58及び外部環境検知器214からの信号を比較し、相関付けることが可能であり、様々なストレッサーと乳児治療ステーションのそれぞれとの間の相関関係を決定でき、特定の乳児のストレスレベルと正に相関付けられる環境状態及び/又は外部環境状態を識別することが可能であり、環境検知器58及び外部環境検知器214からの受信した信号に基づいて、特定の環境ストレッサーの疑わしい場所を識別」することと、本願発明1の「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別」することとは、「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納されたデータに基づき、前記環境光及び/又は周囲音について判断」することで共通する。
(イ)引用文献1の段落【0061】の「中央処理装置68は、環境状態および外部環境状態のうちのいずれが、特定の乳児治療ステーションにおける所与の乳児の高いストレスレベルと最も高く相関付けられるのかに関して、具体的なデータを医師に提供することが可能になる。次いで、医師は、可能な限り乳児のそれぞれが体験したストレスを抑えるために、NICU内の自分の振る舞いおよび/または環境を修正することができる。」との記載によれば、引用発明の「グラフィックディスプレイ72においてこれらの相関関係を表示することが可能である」ことは、表示を見た医師に光及び音を含む環境を修正するための手段を想起させる情報を提供することが可能であるといえる。
そして、係る「光及び音を含む環境を修正するための手段を想起させる情報を提供することが可能である」ことは、本願発明1の「光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にする」ことに相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「環境検知器58及び外部環境検知器214からの信号を比較し、相関付けることが可能であり、様々なストレッサーと乳児治療ステーションのそれぞれとの間の相関関係を決定でき、特定の乳児のストレスレベルと正に相関付けられる環境状態及び/又は外部環境状態を識別することが可能であり、環境検知器58及び外部環境検知器214からの受信した信号に基づいて、特定の環境ストレッサーの疑わしい場所を識別し、グラフィックディスプレイ72においてこれらの相関関係を表示することが可能である」「中央処理装置68」は、本願発明1の「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にするレビューユニット」と、「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納されたデータに基づき、前記環境光及び/又は周囲音について判断し、判断した結果に基づき、光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にするレビューユニット」で共通する構成を備えているといえる。
(2)よって、本願発明1と引用発明とは、
「 人に関する光及び音インパクトをモニタするシステムであって、
時間にわたり前記人の環境光をキャプチャする光キャプチャユニットと、
時間にわたり前記人の周囲音をキャプチャする音キャプチャユニットと、
前記人のストレスレベルを決定するストレスレベルプロセッサと、
キャプチャされる環境光及び周囲音のデータと、前記人のストレスレベル情報のデータとを格納する格納ユニットと、
前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納されたデータに基づき、前記環境光及び/又は周囲音について判断し、判断した結果に基づき、光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にするレビューユニットとを有する、システム。」
の発明である点で一致し、次の3点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、「キャプチャされた環境光の輝度が輝度閾値を超える場合及び/又はキャプチャされた周囲音の音レベルが音閾値を超える場合、トリガ信号を生成して出す閾値ユニット」を有しているのに対し、引用発明は、そのような特定はされていない点。
(相違点2)
格納ユニットが格納するキャプチャされる環境光及び周囲音のデータと、前記人のストレスレベル情報のデータについて、本願発明1においては、「前記トリガ信号を受信するとき、前記トリガ信号を受信する時間の周りでキャプチャされる環境光及び周囲音の断片と、前記トリガ信号を受信する時間の周りでの前記人のストレスレベル情報の断片」であるのに対し、引用発明においては、「トリガ信号を生成して出す閾値ユニット」を有することが特定されていないことから、「前記トリガ信号を受信するとき、前記トリガ信号を受信する時間の周りで」「の断片」であることの特定はされていない点。
(相違点3)
「レビューユニット」が「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納されたデータに基づ」いて行う「前記環境光及び/又は周囲音について」の「判断」が、本願発明1においては、「前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別」することであるのに対し、引用発明においては、「環境検知器58及び外部環境検知器214からの信号を比較し、相関付けること」、「様々なストレッサーと乳児治療ステーションのそれぞれとの間の相関関係を決定」し「特定の乳児のストレスレベルと正に相関付けられる環境状態及び/又は外部環境状態を識別すること」、及び、「特定の環境ストレッサーの疑わしい場所を識別」することである点。
(3)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、最初に上記相違点3について検討する。
(ア)環境変化をもたらした原因の識別に関する記載として、引用文献1には、次ぎの記載がある。
「【0057】
図8Aにおいて、外部光のグラフ240および光のグラフ242はともに、相252から相254に移る間に急激な上昇を示す。これは、NICUの一部の中で医師がライトをつけたことに容易に対応する場合があり得、または図8Aに示す乳児の微環境に達することが可能な別の発生源による周囲光からの場合もあり得る。外部光のグラフ240および光のグラフ242はともに、互いに追いかけ、そのことは、外部光が、より高いレベルのストレスを体験している乳児に関与することになり得るストレッサーのうちの少なくとも1つであることを示すことができる。・・・
【0058】
図8Bを参照すると、光のグラフ242、SPO2のグラフ244、心拍数のグラフ246、呼吸数のグラフ248、および運動のグラフ250はすべて、概して、図8Aに示すグラフと同様の傾向を示す。しかし、外部光のグラフ240は、図8Aと図Bとでは非常に異なる。図8Bの外部光のグラフは、ベースラインレベルから動いていない。しかし、光のグラフ242が示すように、微環境内には光が依然、存在する。乳児は、光のグラフ242に示される光に応答して、ストレスレベルの上昇を示す。しかし、外部光は存在しないので、乳児を混乱させている光の発生源は、図8Aの乳児を混乱させている光の発生源とは異なる可能性が高い。例えば、光のグラフ242をもたらす光源は、乳児を照らすことを目的とする乳児治療ステーション内に格納されたライトからである可能性がある。
【0059】
・・・外部光のグラフ240と光のグラフ242との間の類似性は、外部光が、乳児のストレス反応の上昇に関与するストレッサーのうちの最も可能性があるストレッサーであることを意味する。比較すると、図8Bは、光のグラフ242の相254で明らかなように、微環境において可視であるライトのスイッチが入ったことを示している。しかし、相254における外部光のグラフ240には変化はない。したがって、中央処理装置68は、乳児のストレスレベルの上昇が、微環境内部からは目に見える光ではあっても、NICUにおける外部光からではない光と相関していると決定することができるようになる。
【0060】
乳児治療ステーションを囲むNICUの環境状態について外部環境検知器から信号を取得することは、1人または複数の医師が、様々な乳児に影響をもたらすストレッサーを正確に識別するのに役立つ。これらのデータに基づいて、医師は、NICUの乳児が体験するストレスレベルを最小限に抑えるために、ルーチンおよび振る舞いを修正することができる。図8Aおよび図8Bに示す例は、1つの外部検知器、すなわち外部光検知器からの信号しか含んでいないので、比較的単純である。しかし、外部光検知器からのデータを使用することによって、中央処理装置は、図8Aの外部光レベルと乳児に対するストレスレベルとの間、および図8Bの光レベルと乳児に対するストレスレベルとの間の相関付けを行うことができる。外部検知器データなしでは、医師は、効果的にストレッサーを取り出すことができなくなる。図8Aおよび図8Bに示す例示的な実施形態からのデータに基づいて、医師は、NICUの状態を修正して、図8Aと関連する乳児によるNICUの外部光を抑え、図8Bと関連する乳児の微環境内の光を抑えることが可能になる。これらの2人の乳児は、NICUの別の場所、あるいはさらには別の部屋に場所決めされる可能性があるので、1つまたは複数の外部環境検知器からの追加の詳細が、医師らの負担を和らげ、乳児に対してより低いストレス環境を生み出すことになり、そのことは、早産児の生存率および長期的健康を上昇させるために重要であり得る。
【0061】
本明細書において上述した例示的実施形態は、1つのタイプの外部環境検知器からのみのデータを使用しているが、他の実施形態は、種々のタイプの外部環境検知器または複数の外部環境検知器を含むことができることを認識されたい。(図7に示す)中央処理装置68によって実行される相関付けは、いずれの外部環境状態が所与の乳児のストレスレベルの上昇に関与しているのかはすぐに明らかにならない場合があるので、さらなる変化に対処する際には尚更重要である。」
引用文献1の上記記載によれば、引用文献1は、中央処理装置が、微環境内の環境検知器の出力と外部環境検知器を比較することにより、環境検知器の出力のみが変化している場合はストレッサーが微環境内にあり、環境検知器の出力と外部環境検知の出力の双方が変化している場合はストレッサーが微環境の外部にあると判断することを開示していると解される。
しかしながら、ストレッサーが微環境の内部にあるか外部にあるかを判断することは、本願発明1の「根本原因」を識別することとは、技術的思想が異なることである。
また、引用文献1の上記記載には、微環境内外の光及び音といった環境を変化させた光及び音などの発生源(本願発明1の「根本原因」に相当する。)について、「乳児治療ステーション内に格納されたライト」の例示はあるものの、微環境内の光強度を増加させる可能性がある光源を例示したものにすぎず、光強度検知の出力を解析して微環境内の光強度を増加させた光源が「乳児治療ステーション内に格納されたライト」であると判断することを開示又は示唆するものではない。
そして、引用文献1全体の記載を見ても、環境変化をもたらした光又は音の発生源が何であるかを中央処理装置が判断することを開示又は示唆する記載は見当たらない。
(イ)引用文献2は、光センサ、マイクロフォン及び加速度計などのセンサ手段により得られる信号から、ストレッサーレベルに最も寄与している環境を判断することを開示している。
また、引用文献2は、日光及びフルスペクトル光と蛍光灯のような非自然光とはスペクトルが異なり、ストレスに対する影響も異なることを指摘し、カラーレンダリングインデックス(CRI)及び色温度(CT)といったスペクトル測定を行うことを開示している。
しかしながら、光センサの出力が増加したときに、その増加をもたらした光が日光によるものであるのか、蛍光灯によるものであるのかを判断することを、開示又は示唆する記載は見当たらない。
(ウ)さらに、引用文献3ないし6も、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を開示又は示唆するものではない。
(エ)そうすると、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、引用文献1ないし6に接した当業者といえども、容易に想起し得たとはいえない。
イ したがって、上記相違点1及び2について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2ないし6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2ないし10について
本願発明2ないし10は、本願発明1を減縮した発明であって、本願発明1の「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にするレビューユニット」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2ないし6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本願発明11について
本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にする」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2ないし6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本願発明12について
本願発明12は、システムに係る発明である本願発明1から、「光キャプチャユニット」及び「音キャプチャユニット」を除いたデバイスに係る発明に対応し、本願発明1の「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にするレビューユニット」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2ないし6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 本願発明13について
本願発明13は、本願発明12に対応する方法の発明であり、本願発明12と同様に本願発明1の「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にする」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2ないし6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 本願発明14について
本願発明14は、本願発明13をコンピュータで実行させるためのコンピュータプログラムに対応する発明であり、本願発明13と同様に本願発明1の「前記環境光、周囲音及びストレスレベル情報の格納された断片に基づき、前記トリガ信号をもたらした前記環境光及び/又は周囲音の根本原因を識別し、前記識別された根本原因に基づき、斯かる光及び/又は音を回避する方法を示すガイダンス情報を得ることを可能にする」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2ないし6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし14は、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1ないし6に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-002141