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特許拒絶査定不服審判

2019-000701

基板検査のための基準データ生成方法

審判番号
2019-000701
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-542637外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年01月18日
審決日
2019年09月02日
公報発行日
2019年10月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G01N) / P18 .537-WY (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-542637「基板検査のための基準データ生成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月19日国際公開、WO2015/037918、平成28年11月10日国内公表、特表2016-535279、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)9月11日の出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年9月12日 韓国)を国際出願日とする出願であって、平成29年3月1日付けの拒絶理由の通知に対し、同年6月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年11月6日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年4月12日に意見書が提出されたが、同年9月13日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対して平成31年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、令和元年7月31日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和元年8月13日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 ベーア基板をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する段階と、 前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する段階と、 前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する段階と、を含み、 前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであることを特徴とする基板検査のための基準データ生成方法。」 なお、本願発明2-7の概要は以下のとおりである。 本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明7は、本願発明1-6を遂行するためのコンピュータで駆動可能であるプログラムが貯蔵された記録媒体の発明であり、本願発明1-6とカテゴリー表現が異なるだけの発明である。 第3 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2008-185514号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下同様。) ア 「【技術分野】 【0001】 この発明は、プリント配線基板や実装基板の外観検査を行うための基板外観検査装置に関する。」 イ「【0070】 (実施の形態1) 図1~図6を参照して、実施の形態1の基板外観検査装置について説明する。 【0071】 <基板> まず、図1を参照して、基板外観検査装置10の検査対象である基板について説明する。 【0072】 図1に、基板外観検査装置10が撮影した、基板S表面の一部領域の写真を示す。図1に示すように、基板Sは、好ましくは、例えばプリント基板とする。基板Sには、配線パターン、ランド、パッド及びシルクなどの基板構成要素が所定のパターンをなして配置されている。基板外観検査装置10は、このパターンから、形状及び色の違いにより複数の被検査領域を抽出する。基板外観検査装置10は、外観検査に当って、これらの被検査領域ごとに色を検査して、基板の良否を判定する。 【0073】 以降、基板外観検査装置10が撮影した、この基板Sのパターンを「基板画像」と称する。 【0074】 基板Sは、基板Sの厚み方向に積層された複数のレイヤーから構成されている。これらのレイヤーのそれぞれには、レイヤーごとに異なるパターンが形成されている。また、これらのレイヤーのそれぞれは、透明材料(例えば、プリプレグやゾルダーレジストなど)、又は非透明材料(例えば、銅配線層など)から形成されている。なお、ここで、「透明」とは、無色透明のみでなく有色透明をも含む概念とする。また、以降、各レイヤーに形成されたパターンを「レイヤーパターン」と称する。 【0075】 その結果、基板画像に含まれるパターンの色及び形状は、基板Sを構成する各レイヤーの色と透明性、及び各レイヤーのレイヤーパターン形状の兼ね合いにより決定される。 【0076】 例えば、基板Sにおいて、“透明材料層/非透明材料層”との積層構造をなす領域では、透明材料層を透かして、透明材料層の下側に存在する非透明材料層のレイヤーパターンが目視される。そして、この領域の色は、透明材料層の色と非透明材料層の色とを足し合わせとなる。 【0077】 逆に、“非透明材料層/透明材料層”との積層構造をなす領域では、上側に存在する非透明材料層のレイヤーパターンのみが目視され、下側に存在する透明材料層のレイヤーパターンは目視できない。そして、この領域は、非透明材料層の色のみを呈する。 【0078】 各レイヤーのレイヤーパターンは、予め記憶されたレイヤーごとのCADデータ(以降、「レイヤー別CADデータ」と称する。)に基づいて形成される。つまり、レイヤー別CADデータは、各レイヤーに一対一の関係で対応していて、各レイヤーの、言わば設計図として機能する。 【0079】 なお、レイヤー別CADデータには、色及び透明性に関する情報は含まれていない。レイヤー別CADデータには、飽くまで各レイヤーのレイヤーパターン形状に関する情報のみが含まれている。 【0080】 全てのレイヤーのレイヤー別CADデータを、位置合わせの上、重畳することにより、撮影された基板画像(図1)に対応するCADデータが得られる。以降、この重畳されたCADデータから作成された基板Sの画像を、「設計画像」と称する。設計画像は、言わば基板画像の設計図である。 【0081】 <基板外観検査装置の構成及び動作> 続いて、図2を参照して、基板外観検査装置の構造及び動作について説明する。図2は、基板外観検査装置のブロック図である。 【0082】 図2を参照すると、基板外観検査装置10は、構成要素として、撮影部102と、基板観測手段100と、設計値算出手段200と、変形パラメータ算出手段20と、参照画像作成手段30と、画像重畳手段40とを備えている。更に、基板外観検査装置10は、構成要素として、CADデータ記憶手段50と、検査手段70と、出力部80とを備えている。 【0083】 基板観測手段100は、機能手段として、補正手段104と、基板基準領域抽出手段106と、観測値算出手段108とを含む。設計値算出手段200は、機能手段として、CADデータ読み込み手段202と、設計画像作成手段204と、設計基準領域抽出手段206と、計算値算出手段208とを含む。CADデータ記憶手段50は、機能手段として、基準領域記憶部52を含む。検査手段70は、機能手段として、領域特徴データ抽出手段72と、検査部74と、基準特徴データ記憶手段76とを含む。 【0084】 これらの構成要素のうち、撮影部102と出力部80を除く残りの各手段は、コンピュータの機能手段として構成される。また、CADデータ記憶手段50及び基準特徴データ記憶手段76は、コンピュータの内部メモリ又は外部メモリとして共通に又は別個に設けられ、任意に構成できる。さらに、図示はしないが、所要に応じてCADデータ記憶手段50及び基準特徴データ記憶手段76に記憶する情報以外の所要の情報又はデータを記憶するための記憶手段を設けてもよい。 【0085】 なお、個別の説明は省略するが、各手段において生成された情報又はデータは、所要の記憶手段に読み出し自在に格納される。このように情報又はデータを保存しておけば、以下に説明する各処理に際して、記憶手段から、これらの情報又はデータを読み出して利用 できる。 【0086】 また、基板外観検査装置10は、入力部(図示せず)を備える。入力部は、キーボード、マウスなど、更には電気的、磁気的又は光学的な読み取り装置を含んでいてもよい。 【0087】 以下、上述した各機能手段の構成及び動作を詳細に説明する。 【0088】 撮影部102は、入力部の一部を構成しており、ステージT上を搬送される基板Sを撮影して原基板画像を作成する。撮影部102は、好ましくは、例えばRGB(Red,Green及びBlue)ラインセンサとして構成される。撮影部102において作成された原基板画像は、補正手段104に出力される。 【0089】 基板観測手段100は、撮影された基板Sの画像である基板画像の物理量に関する観測データであって、内因又は外因に起因する基板画像の変形を反映した観測値Aを求める機能を有する。 【0090】 ここで、「内因又は外因に起因する基板画像の変形」について説明しておく。(発明が解決しようとする課題)の項で説明したように、基板画像は変形する(ゆがむ)ことがある。基板画像の変形は、大きく分けて内因性のものと外因性のものとに分類される。内因性の変形の原因としては、例えば、基板Sの製造過程の間に生じる基板Sの反りや、製造誤差による基板構成要素(パッドなど)の位置ズレが挙げられる。外因性の変形の原因としては、例えば、撮影時における基板Sの搬送速度変動や、撮影用カメラのレンズ収差などが挙げられる。 【0091】 この基板観測手段100は、機能手段として、補正手段104と、基板基準領域抽出手段106と、観測値算出手段108とを備えている。 【0092】 補正手段104は、撮影部102で撮影された原基板画像に補正を施し、基板画像を作成する。より具体的には、補正手段104は、主に原基板画像のスキュー補正を行う。なお、「スキュー」とは、原基板画像の画像上での傾きを意味する。 【0093】 より詳細には、基板Sには、基板Sの傾きを表すために、2本の互いに直交する直線状のアライメントマークが予め設けられている。補正手段104は、一方のアライメントマークが画像上のX軸と平行となり、及び、他方のアライメントマークが画像上のY軸と平行となるように、原基板画像を回転させることでスキューを補正する。 【0094】 このようにして作成された基板画像は、基板基準領域抽出手段106及び画像重畳手段40の双方に出力される。 【0095】 基板基準領域抽出手段106は、基板画像及び設計画像の両者に共通した3個以上の基準領域を、基板画像から抽出する。 【0096】 より詳細には、基板基準領域抽出手段106は、CADデータ記憶手段50の基準領域記憶部52に接続されている。基準領域記憶部52には、基準領域の形状を示す座標が、基準領域ごとに記憶されている。基準領域としては、好ましくは、例えば基板Sの各所に設けられたランドやパッドを好適に用いることができる。 【0097】 CADデータ記憶手段50の基準領域記憶部52には、設計画像における基準領域の座標及びその重心の位置座標が記憶されている。なお、基準領域については後述する。 【0098】 CADデータ記憶手段50は、さらに、上述したレイヤー別CADデータを記憶している。 【0099】 基板基準領域抽出手段106は、基準領域記憶部52から読み出した座標の近傍で、基板画像上での基準領域(以下、「画像内基準領域」と称する。)を探索する。具体的には、基準領域記憶部52から読み出した基準領域の形状との一致度が高い基板画像上の領域を、画像内基準領域として確定する。このようにして確定された画像内基準領域の座標は、観測値算出手段108へと出力される。 【0100】 観測値算出手段108は、3個以上の画像内基準領域のそれぞれの間の距離としての“第1基板距離~第n基板距離(nは3以上の整数)”を、観測値Aとして算出する。 【0101】 より詳細には、観測値算出手段108は、画像内基準領域の重心を、画像内基準領域ごとに算出する。そして、これらの重心間の距離としての“第1基板距離~第n基板距離”を算出する。 【0102】 ここで、図3(A)を参照して、観測値算出手段108の行う観測値Aの算出について、例を挙げて説明する。図3(A)は、基板画像の模式的な平面図である。なお、図面の複雑化を回避するために、図3(A)では、画像内基準領域としてのパッド以外の基板構成要素の図示を省略している。 【0103】 基板画像には、例えば、その4隅と中央部とに画像内基準領域として、5個のパッドPm1~Pm5が存在しているとする。観測値算出手段108は、各パッドPm1~Pm5の重心座標を読み取るとともに、図示しない記憶手段から距離の計算式を読み出してきて、パッドPm1~Pm5の重心間距離としての第1基板距離Lm12,第2基板距離Lm23,第3基板距離Lm34,第4基板距離Lm14,第5基板距離Lm15,第6基板距離Lm25,第7基板距離Lm35,及び第8基板距離Lm45をそれぞれ算出する。 【0104】 このようにして算出された第1~第8基板距離Lm12~Lm45は、図2に示した変形パラメータ算出手段20へと出力される。 【0105】 一方、設計値算出手段200は、基板Sの設計用のCADデータから作成された設計画像から、観測値Aに対応する設計値aを求める機能を有する。 【0106】 設計値算出手段200のCADデータ読み込み手段202は、CADデータ記憶手段50から、基板Sの設計用のCADデータを読み込む機能を有する。具体的には、CADデータ読み込み手段202は、CADデータ記憶手段50から、上述したレイヤー別CADデータを読み込む。 【0107】 CADデータ読み込み手段202により読み込まれたレイヤー別CADデータは、設計画像作成手段204へと出力される。 【0108】 設計画像作成手段204は、CADデータ読み込み手段202から入力されたレイヤー別CADデータから設計画像を作成する。具体的には、設計画像作成手段204は、レイヤー別CADデータを、基板Sにおける各レイヤーの積層順序と同じ順序で、位置合わせの上、重畳する。これにより、基板画像に対応する設計画像が得られる。 【0109】 設計画像作成手段204により作成された設計画像は、設計基準領域抽出手段206及び参照画像作成手段30の双方へと出力される。 【0110】 設計基準領域抽出手段206は、設計画像及び基板画像の両者に共通した3個以上の基準領域を、設計画像から抽出する。 【0111】 より詳細には、設計基準領域抽出手段206は、CADデータ記憶手段50の基準領域記憶部52に接続されている。既に説明したとおり、基準領域記憶部52には、基準領域の形状を示す座標が、基準領域ごとに記憶されている。設計基準領域抽出手段206は、読み出された座標から、設計画像上で基準領域(以下、「設計基準領域」と称する。)を確定する。このようにして確定された設計基準領域の座標は、計算値算出手段208へと出力される。 【0112】 計算値算出手段208は、図示しない記憶手段から距離算出式を読み出してきて、3個以上の設計基準領域間の距離としての“第1設計距離~第n設計距離”を、設計値aとして算出する。 【0113】 より詳細には、計算値算出手段208は、設計基準領域の重心の座標を、設計基準領域ごとに算出する。そして、これらの重心間の距離としての“第1設計距離~第n設計距離”を算出する。 【0114】 ここで、図3(B)を参照して、計算値算出手段208の行う設計値aの算出について例を挙げて説明する。図3(B)は、設計画像の模式的な平面図である。なお、図面の複雑化を回避するために、図3(B)では、設計基準領域としてのパッド以外の要素の図示を省略している。 【0115】 設計画像には、例えば、上述したパッドPm1~Pm5(基板基準領域:図3(A))に対応する設計基準領域として、5個のパッドPs1~Ps5が存在しているとする。計算値算出手段208は、観測値算出手段108と同様にして、パッドPs1~Ps5の重心間距離としての第1設計距離Ls12,第2設計距離Ls23,第3設計距離Ls34,第4設計距離Ls14,第5設計距離Ls15,第6設計距離Ls25,第7設計距離Ls35及び第8設計距離Ls45をそれぞれ算出する。 【0116】 このようにして算出された第1~第8設計距離Ls12~Ls45は、変形パラメータ算出手段20へと出力される。 【0117】 変形パラメータ算出手段20には、観測値算出手段108から観測値Aとしての第1~第8基板距離Lm12~Lm45が入力される。さらに、変形パラメータ算出手段20には、計算値算出手段208から設計値aとしての第1~第8設計距離Ls12~Ls45が入力される。 【0118】 変形パラメータ算出手段20は、図示しない記憶手段から変形パラメータA/aを読み出してきて、(第1基板距離Lm12/第1設計距離Ls12)~(第8基板距離Lm45/第8設計距離Ls45)を算出する。 【0119】 以降、変形パラメータA/aである(第1基板距離Lm12/第1設計距離Ls12)~(第8基板距離Lm45/第8設計距離Ls45)を、単に、(Lm12/Ls12)~(Lm45/Ls45)とも称する。 【0120】 ここで、変形パラメータA/aは、基板画像の設計画像に対する変形の程度を表している。例えば、(Lm12/Ls12)は、基板画像におけるパッドPm1とPm2との距離(第1基板距離Lm12)を、設計画像の対応するパッドPs1とPs2間の距離(第1設計距離Ls12)で除したものである。 【0121】 したがって、仮に、第1基板距離Lm12が第1設計距離Ls12よりも伸びるように、基板画像が変形していれば、変形パラメータ(Lm12/Ls12)は1よりも大きくなる(Lm12/Ls12>1)。逆に、第1基板距離Lm12が第1設計距離Ls12よりも縮むように、基板画像が変形していれば、変形パラメータ(Lm12/Ls12)は1未満となる(Lm12/Ls12<1)。 【0122】 このようにして算出された変形パラメータとしての(Lm12/Ls12)~(Lm45/Ls45)は、参照画像作成手段30へと出力される。 【0123】 参照画像作成手段30には、設計画像作成手段204から設計画像が入力される。さらに、参照画像作成手段30には、変形パラメータ算出手段20から変形パラメータ(Lm12/Ls12)~(Lm45/Ls45)が入力される。 【0124】 参照画像作成手段30は、変形パラメータ(Lm12/Ls12)~(Lm45/Ls45)を、設計値aとしての第1~第8設計距離Ls12~Ls45にそれぞれ乗じることにより、設計画像を変形させた参照画像を作成する。 【0125】 より詳細には、設計画像において第1~第8設計距離Ls12~Ls45の長さを、変形パラメータ(Lm12/Ls12)~(Lm45/Ls45)のそれぞれに応じて、短縮又は伸張させる。これにより、基板画像のゆがみに応じて変形された設計画像、すなわち変形画像が参照画像として生成される。 【0126】 ここで、図4を参照して、参照画像作成手段30による参照画像の作成について説明する。図4は、参照画像の作成の説明に供する模式図である。 【0127】 図4において、破線で示したパッドは、設計画像におけるパッドPs1~Ps5を示している。実線で示したパッドは、参照画像におけるパッドPr1~Pr5を示している。 【0128】 設計画像において、第1~第8設計距離Ls12~Ls45のそれぞれに変形パラメータ(Lm12/Ls12)~(Lm45/Ls45)を乗じる。これにより、参照画像作成手段30は、パッドPs1~Ps5の位置がパッドPr1~Pr5へと変位するように、設計画像全体を変形させる。 【0129】 このようにして得られた画像、つまり、設計画像全体が変形パラメータ(Lm12/Ls12)~(Lm45/Ls45)に応じて変形された画像が参照画像である。 【0130】 このようにして作成された参照画像は、画像重畳手段40へと出力される。 【0131】 画像重畳手段40には、補正手段104から基板画像が、及び参照画像作成手段30から参照画像が、それぞれ入力される。 【0132】 画像重畳手段40は、基板画像と参照画像とを暫定的に重ね合わせ、基板画像と参照画像とに共通した属性であって、基板画像と参照画像のそれぞれの画像内位置に関係づけられた基板属性と参照属性との一致度を、基板画像及び参照画像の相対的位置を変化させながら算出し、一致度が最大となる点で基板画像と参照画像とを重ね合わせる機能を有する。 【0133】 より詳細には、画像重畳手段40は、基板画像と参照画像とに共通した属性(基板属性及び参照属性)として、例えばパッドの形状を採用する。 【0134】 そして、画像重畳手段40は、これらのパッド同士が重なり合うように、基板画像と参照画像とを暫定的に重ね合わせる。その上で、基板画像又は参照画像のどちらか一方を変位させながら、パッドの形状の一致度、すなわちパッドの重複面積を算出する。そして、パッドの重複面積が最大となった点、つまり一致度が最大となった点において、基板画像と参照画像との重ね合わせ位置を確定する。 【0135】 ここで、図5を参照して、画像重畳手段40の動作について具体的に説明する。図5は、参照画像と基板画像との重ね合わせ位置の確定動作の説明に供する模式図である。 【0136】 図5に示すように、画像重畳手段40は、参照画像と基板画像とを暫定的に重ね合わせる。この際、基板画像上のパッドPmと、このパッドPmに対応する参照画像上のパッドPsとを少なくとも一部分で重複させる。 【0137】 そして、画像重複手段40は、パッドPmとパッドPsとの重複面積を計算しながら、図中矢印Aで示すように参照画像をX軸方向及びY軸方向の双方に移動、すなわち走査する。この走査は、言わばラスタスキャン方式で行われる。 【0138】 その結果、図6(A)及び(B)に示すようなグラフが得られる。図6(A)は、縦軸がパッドPmとPsとの重複面積を示し、横軸が、X方向における参照画像の変位量を示す。同様に、図6(B)は、縦軸がパッドPmとPsとの重複面積を示し、横軸が、Y方向における参照画像の変位量を示す。 【0139】 図6(A)において曲線C1が最大値を取る点が、X方向でのパッドPmとPsとの最大一致度を与える変位量X0である。同様に図6(B)において曲線C2が最大値を取る点が、Y方向でのパッドPmとPsとの最大一致度を与える変位量Y0である。 【0140】 画像重畳手段40は、基板属性と参照属性との一致度が最大となる点、すなわち、変位量がX0及びY0の点で、基板画像と参照画像とを重ね合わせる。 【0141】 このように基板画像と参照画像とが重ね合わされた画像(以下、「被検査画像」と称する。)は、検査手段70へと出力される。 【0142】 検査手段70は、被検査画像を用いて、基板外観検査を行う機能を有する。 【0143】 検査手段70の領域特徴データ抽出手段72は、被検査画像において、画像の形状及び色の違いに基づいて、複数の被検査領域を確定し、それぞれの被検査領域に領域番号を付与する。そして、領域特徴データ抽出手段72は、各被検査領域から、1画素ずつ特徴データを読み込む。ここで、特徴データは、例えば画素ごとの色(RGBの階調値)とする。 【0144】 つまり、領域特徴データ抽出手段72は、各被検査領域に領域番号を付与するとともに、各被検査領域の特徴データを1画素ずつ読み込む。 【0145】 このようにして得られた特徴データは、領域番号及び画素位置とともに検査部74へと出力される。 【0146】 検査部74は、被検査領域ごとの特徴データと、予め記憶されている基準特徴データとの比較を行い、各被検査領域が良品であるか不良品であるかの検査を行う。 【0147】 より詳細には、検査部74は、基準特徴データ記憶手段76に接続されている。基準特徴データ記憶手段76には、特徴データの基準値(基準特徴データ)として、被検査領域ごとの色(RGBの階調値)が領域番号と一対一で関係づけられて記憶されている。 【0148】 検査部74は、基準特徴データ記憶手段76から読み出された基準特徴データと、領域特徴データ抽出手段72から入力された特徴データとを、領域番号が等しい領域ごとに、画素単位で比較する。 【0149】 そして、特徴データと基準特徴データが一致するか否かを検査する。両者が一致すれば、検査部74は、その画素においては不良がないと判断する。逆に、両者が不一致の場合には、その画素を不一致画素と判断して、不一致画素の座標を記憶する。 【0150】 検査部74は、一つの被検査領域での検査が終了したならば、不一致画素の空間的広がりを評価する。つまり、検査部74は、不一致画素が所定面積以上に連続して存在している場合に、その被検査領域に不良箇所が存在すると判断する。 【0151】 検査部74により検出された不良箇所の位置は、出力部80へと送信される。」 ウ 「【0154】 <効果> (1)基板外観検査装置10は、変形パラメータ算出手段20が、CADデータ由来の設計画像に対する、基板を撮影した基板画像の変形度を、変形パラメータとして算出する。そして、参照画像作成手段30が、設計画像を変形パラメータに応じて変形させた参照画像を作成する。これにより、基板画像のゆがみが、CADデータ由来の参照画像に反映される。 【0155】 その結果、たとえ、基板画像にゆがみが存在したとしても、CADデータ由来の参照画像を基板画像に正確に重ね合わせることができる。よって、基板外観検査に当って虚報を低減することができる。 【0156】 (2)基板外観検査装置10は、画像重畳手段40が、基板属性としてのパッドPmの形状と、参照属性としてのパッドPsの形状との一致度が最も高くなる点で、基板画像と参照画像とを重ね合わせる。その結果、参照画像を基板画像に正確に重ね合わせることができる。よって、基板外観検査に当って虚報を低減することができる。 【0157】 (3)基板外観検査装置10は、後述する基板Sの搬送速度変動により生じる基板画像のゆがみ(実施の形態3)をも反映した参照画像を作成することができる。 【0158】 <設計条件> (1)この実施の形態では、基板Sがプリント基板である場合について説明した。しかし、基板Sはプリント基板には限定されない。例えば、基板Sは、プリント基板に各種電子部品が実装された実装基板であってもよい。 【0159】 (2)この実施の形態では、参照画像が、設計画像の変形により作成される場合について説明した。しかし、基板画像を設計画像に合わせて変形させることにより参照画像を作成してもよい。 【0160】 このようにすることによっても、参照画像と設計画像とを最大の一致度で重ね合わせることができる。」 エ 上記図2として、以下の図面が記載されている。 「 」 (2)引用発明について ア 記載事項の整理 上記(1)イで摘記した【0103】に 「基板画像には、例えば、その4隅と中央部とに画像内基準領域として、5個のパッドPm1~Pm5が存在しているとする。観測値算出手段108は、各パッドPm1~Pm5の重心座標を読み取るとともに、図示しない記憶手段から距離の計算式を読み出してきて、パッドPm1~Pm5の重心間距離としての第1基板距離Lm12,第2基板距離Lm23,第3基板距離Lm34,第4基板距離Lm14,第5基板距離Lm15,第6基板距離Lm25,第7基板距離Lm35,及び第8基板距離Lm45をそれぞれ算出する。」、 【0115】に 「設計画像には、例えば、上述したパッドPm1~Pm5(基板基準領域:図3(A))に対応する設計基準領域として、5個のパッドPs1~Ps5が存在しているとする。計算値算出手段208は、観測値算出手段108と同様にして、パッドPs1~Ps5の重心間距離としての第1設計距離Ls12,第2設計距離Ls23,第3設計距離Ls34,第4設計距離Ls14,第5設計距離Ls15,第6設計距離Ls25,第7設計距離Ls35及び第8設計距離Ls45をそれぞれ算出する。」と記載されていることから、 画像内基準領域及び設計基準領域は、いずれも具体的にはパッドの領域である。 イ 引用発明 上記(1)の摘記事項(特に下線部)及び上記アを踏まえると、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 画像重畳手段40が、基板画像と参照画像とを重ね合わせて被検査画像を作成し、検査部74が、前記被検査画像において確定した複数の被検査領域ごとの特徴データと基準特徴データとの比較を行い、各被検査領域が良品であるか不良品であるかの検査を行う、基板外観検査において、 配線パターン、ランド、パッド及びシルクなどの基板構成要素が所定のパターンをなして配置されているプリント基板をラインセンサとして構成される撮影部102により撮影して原基板画像を作成し、前記原基板画像を補正手段104に出力し、前記補正手段104は、前記撮影部102で撮影された原基板画像にスキュー補正を施し、前記基板画像を作成し、 前記基板画像は、基板基準領域抽出手段106及び前記画像重畳手段40に出力され、 前記基板基準領域抽出手段106は、画像内基準領域としてパッドの領域を前記基板画像上で確定し、確定されたパッドの領域の座標は、観測値算出手段108へと出力され、前記観測値算出手段108は、各パッドの重心座標を読み取り、パッドの重心間距離として観測値Aを算出する一方、 設計基準領域抽出手段206は、CADデータ記憶手段50の基準領域記憶部52から読み出されたパッドの座標から、設計画像上で設計基準領域としてパッドの領域を確定し、確定された前記設計基準領域の座標は計算値算出手段208へと出力され、前記計算値算出手段208は、記憶手段から距離算出式を読み出してきて、前記設計基準領域間の距離として計測値aを算出し、 変形パラメータ算出手段20に、前記観測値A及び前記計測値aを入力し、前記変形パラメータ算出手段20は、変形パラメータA/aを算出し、 参照画像作成手段30に、前記設計画像及び前記変形パラメータを入力し、前記参照画像作成手段30は、前記変形パラメータを設計値aにそれぞれ乗じることにより前記設計画像を変形させ、前記設計画像全体が変形パラメータに応じて変形された画像である前記参照画像を作成する、 基板外観検査における参照画像作成方法。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2012-108131号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0039】 図3は図1の検査方法において基準データの一例を示す平面図である。 【0040】 図3を参照すると、前記基準データRIは、一例で前記基板100の仮想的な平面図(theoretical plan view)でも良い。 【0041】 一実施形態として、前記基準データRIは前記基板100の形状を記録したキャド(CAD)情報やガーバ形式のデータ等のガーバ情報(gerber information)から獲得される。前記キャド情報やガーバ情報は前記基板100の設計情報を含み、一般的にパッド10、回路パターン30、ホールパターン40等に関する配置情報を含む。 【0042】 他の実施形態として、前記基準データRIは、学習モードによって得られた学習情報から獲得しても良い。前記学習モードは、例えば、データベースから基板情報を検索し、前記データベース検索結果、基板情報がなければベア基板の学習を実施し、前記ベア基板の学習によってベア基板のパッド及び配線情報などのような基板情報が算出されると前記基板情報を前記データベースに保存する方式等の方法によって具現できる。即ち、前記学習モードで印刷回路基板のベア基板を学習して印刷回路基板の設計基準情報が獲得され、前記学習モードを通じて学習情報を獲得することで前記基準データRIを獲得することができる。」 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2012-112961号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0038】 前記基準データRIは、例えば、図2に示すように、前記基板100の仮想的な平面図(theoretical plan view)でもよい。 【0039】 一実施形態として、前記基準データRIは、前記基板100の形状を記録したCAD情報やガーバ形式のデータ等のガーバ情報(gerber information)から取得することもできる。前記CAD情報やガーバ情報は、前記基板の設計情報を含み、一般的にパッド10、回路パターン30、ホールパターン40等に関する配置情報を含み得る。 【0040】 他の実施形態において、前記基準データRIは、学習モードによって得られた学習情報から取得することもできる。前記学習モードは、例えば、データベースで基板情報を検索して前記データベース検索結果基板情報がなければベア基板の学習を実施し、前記ベア基板の学習によって基板情報が生成された後、前記基板情報を前記データベースに保存する等の処理によって実現される。即ち、前記学習モードにおいて、印刷回路基板のベア基板を学習して印刷回路基板の設計基準情報が取得され、前記学習モードを通じて学習情報を取得することによって前記基準データRIを取得することが可能である。」 4 引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2010-237210号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0039】 前記測定対象物10は、例えば、プリント回路基板またはプリント回路基板上に形成された部品やパターンなどである。 その後、前記測定対象物10に対する基準データを呼び出す(S120)。 【0040】 前記基準データは、前記測定対象物10の設計基準になる理論的な情報を含むことができる。前記基準データは、前記測定対象物10に形成または配置される多様な回路素子の基準位置と形態などを含む。すなわち、前記基準データは、前記測定対象物10上に配置された回路素子の理論上の位置と形態などを含む。 【0041】 本発明の一実施形態において、前記基準データは、前記測定対象物10に対する形状を記録したCAD情報やガーバー(gerber)データから獲得することができる。前記CAD情報やガーバーデータは、前記測定対象物の設計情報を含む。 【0042】 他の実施形態において、前記基準データは、学習モードによって得られた学習情報から獲得することができる。前記学習モードは、例えば、順次に、データベースからボード情報を検索する段階、前記データベースを検索した結果、ボード情報がデータベースにない場合にベアボードの学習を実施する段階、およびベアボードの学習が完了してベアボードによるボード情報が算出されると、前記ボード情報をデータベースに保存する段階のような方式で具現されることが可能である。 【0043】 すなわち、前記学習モードにおいて、プリント回路基板のベアボードを学習してプリント回路基板の設計基準情報を獲得し、前記学習モードを通じて学習情報を獲得することによって前記基準データを獲得することができる。」 第4 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 画像情報を獲得する段階について (ア)引用発明の「プリント基板」は、電子部品をはんだ付けする前の、配線だけの状態の基板であり、本願発明1の「ベーア基板」に相当する。 (イ)また、引用発明の「ラインセンサ」は、物体をスキャンして撮像するカメラであり、引用発明の「基板画像」は、イメージデータであって情報を有するものである。 (ウ)してみれば、引用発明の「配線パターン、ランド、パッド及びシルクなどの基板構成要素が所定のパターンをなして配置されているプリント基板をラインセンサとして構成される撮影部102により撮影して原基板画像を作成し、前記原基板画像を補正手段104に出力し、前記補正手段104は、前記撮影部102で撮影された原基板画像にスキュー補正を施し、前記基板画像を作成」する段階は、本願発明1の「ベーア基板をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する段階」に相当する。 イ 補償マトリックスを生成する段階について (ア)引用発明の「前記基板画像上で確定」された「画像内基準領域としてパッドの領域」「の座標」は、本願発明1の「前記画像情報から抽出したパッド座標情報」に相当する。 (イ)引用発明の「CADデータ記憶手段50の基準領域記憶部52から読み出されたパッドの座標から、設計画像上で設計基準領域として」「確定された」「パッドの領域」「の座標」は、本願発明1の「予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報」に相当する。 (ウ)引用発明の「変形パラメータA/a」と、本願発明1の「補償マトリックス」とは、「変形変換手段」の点で共通する。 (エ)してみれば、引用発明の「前記基板基準領域抽出手段106は、画像内基準領域としてパッドの領域を前記基板画像上で確定し、確定されたパッドの領域の座標は、観測値算出手段108へと出力され、前記観測値算出手段108は、各パッドの重心座標を読み取り、パッドの重心間距離として観測値Aを算出する一方、 設計基準領域抽出手段206は、CADデータ記憶手段50の基準領域記憶部52から読み出されたパッドの座標から、設計画像上で設計基準領域としてパッドの領域を確定し、確定された前記設計基準領域の座標は計算値算出手段208へと出力され、前記計算値算出手段208は、記憶手段から距離算出式を読み出してきて、前記設計基準領域間の距離として計測値aを算出し、 変形パラメータ算出手段20に、前記観測値A及び前記計測値aを入力し、前記変形パラメータ算出手段20は、変形パラメータA/aを算出」する段階と、本願発明1の「前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する段階」とは、「前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて変形変換手段を生成する段階」の点で共通する。 ウ 基準データを生成する段階について (ア)引用発明の「配線パターン、ランド、パッド及びシルクなどの基板構成要素」は、本願発明1の「特徴客体」に相当する。 (イ)引用発明の「参照画像」は「設計画像全体が変形パラメータに応じて変形された画像」であるから、「配線パターン、ランド、パッド及びシルクなどの基板構成要素」も、それらに係る「設計値a」に「変形パラメータを」「乗じることにより」「変形さ」れているものと認められる。 そうすると、引用発明の「参照画像」は、「配線パターン、ランド、パッド及びシルクなどの基板構成要素」を含むものである。 (ウ)引用発明の「参照画像」と、本願発明1の「基準データ」とは、「画像データ」の点で共通する。 (エ)してみれば、引用発明の「参照画像作成手段30に、前記設計画像及び前記変形パラメータを入力し、前記参照画像作成手段30は、前記変形パラメータを設計値aにそれぞれ乗じることにより前記設計画像を変形させ、前記設計画像全体が変形パラメータに応じて変形された画像である前記参照画像を作成する」段階と、本願発明1の「前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する段階」とは、「前記変換手段を前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む画像データを生成する段階」の点で共通する。 エ 基板検査について (ア)引用発明の「基板外観検査」は、本願発明1の「基板検査」に相当する。 (イ)してみれば、引用発明の「基板外観検査における参照画像作成方法」と、本願発明1の「基板検査のための基準データ生成方法」とは、「基板検査のための画像データ生成方法」の点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) ベーア基板をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する段階と、 前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて変形変換手段を生成する段階と、 前記変形変換手段を前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む画像データを生成する段階と、を含む、 基板検査のための画像データ生成方法。」 (相違点1) 変形変換手段が、本願発明1では、「補償マトリックス」であり、その「補償マトリックス」を画像情報に適用して「基準データ」を生成するのに対し、引用発明では、「変形パラメータA/a」であり、その「変形パラメータA/a」を設計値aに乗じることにより参照画像を作成する点。 (相違点2) 特徴客体の座標情報を含む画像データが、本願発明では、「キャドデータを代替することのできるデータである」「基準データ」であるのに対し、引用発明では、「設計画像全体が」「変形された画像である」「参照画像」である点。 (2)相違点についての判断 ア 事案に鑑み、最初に上記相違点2について検討する。 (ア)上記第3の1(1)ウで摘記した【0159】に、「この実施の形態では、参照画像が、設計画像の変形により作成される場合について説明した。しかし、基板画像を設計画像に合わせて変形させることにより参照画像を作成してもよい。」と記載されていることから、引用発明において、「参照画像作成手段30に、前記基板画像及び前記変形パラメータを入力し、前記参照画像作成手段30は、前記変形パラメータを観測値にそれぞれ乗じることにより前記基板画像を変形させ、前記基板画像全体が変形パラメータに応じて変形された画像である前記参照画像を作成する」ようにすること、すなわち、参照画像を設計画像に準じたもの(以下「参照設計画像」という。)とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 しかしながら、上記のように参照画像を参照設計画像とした場合には、それに応じて、引用発明を、画像重畳手段40が参照設計画像と設計画像とを重ね合わせて被検査画像を作成するように変更する必要があることから、参照設計画像が、設計画像を代替することのできるデータ、すなわち、「キャドデータを代替することのできるデータ」であるとはいえない。 (イ)一方、文献2-4には、印刷回路基板のベア基板を学習することにより印刷回路基板の設計基準情報である基準データを獲得することが記載されているが、データベース検索以外の学習内容の詳細については記載されていない。 また、文献2-4には、キャドデータから取得した基準データが記載されているにせよ、参照設計画像をさかのぼって基準データとして用いることは記載されておらず、引用発明において、参照設計画像を、さかのぼって「設計画像」の代わりに用いること、すなわち、「参照設計画像」を「キャドデータを代替することのできるデータである」「基準データ」として用いることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 (ウ)以上のとおりであるから、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明及び引用文献2-4に記載された事項から、当業者が容易に想起し得た事項であるとは認められない。 イ したがって、相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 2 本願発明2-7について 本願発明2-6は、本願発明1の「キャドデータを代替することのできるデータである」「基準データを生成する段階」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本願発明7は、上記第2で述べたように、本願発明1-6を遂行するためのコンピュータで駆動可能であるプログラムが貯蔵された記録媒体の発明であり、本願発明1-6とカテゴリー表現が異なるだけの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第5 当審拒絶理由について 当審の拒絶の理由は、「基板検査のための基準データ」が、発明の詳細な説明に記載された「キャドデータを代替することのできる基準データ」のみを意味するのか、検査基板との比較対象となる、基板の変形分を含んだいわゆる参照データを含むのかが判然としないと述べた上で、請求項1~7に係る発明が明確でないことから、本件出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないことを通知したものである。 これについては、令和元年8月13日にされた手続補正で、請求項1の記載において、「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータである」と補正されたことにより、解消された。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1-7は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、当審の拒絶の理由によっても、本願を拒絶することはできない。 そして、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-000701

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