意匠拒絶査定不服審判
2018-017510
包装用缶
- 審判番号
- 2018-017510
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-002634
- 登録番号
- 意匠登録第1630414号(D1630414)
- 請求日
- 2018年12月28日
- 審決日
- 2019年03月12日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東洋製罐グループホールディングス株式会社
- 【請求人】東洋製罐株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 橘 崇生
- 審判官 正田 毅
- 分類
- D18 .113-WY (F4-7)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018-2634「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2018年)2月9日の意匠登録出願であって,平成30年7月13日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月27日に意見書が提出されたが,同年10月15日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「水色に着色された部分以外が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。
1 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用缶」である。
2 本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願意匠は,包装用缶の部分についての意匠であり,本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,包装用缶における肩部であり,包装用缶における肩部の位置,大きさ及び範囲であって,包装用缶における肩部の用途及び機能を有している。
3 本願部分の形状
本願部分の形状は,ベース(土台。以下同じ。)が,上側直径・下側直径・高さの比率を,おおむね1:2:1弱とした略円錐台形状であって,その周側面に,隣り合う縦長の二等辺三角形の面を,それぞれの底辺が上下互い違いになるよう規則的に32面配列した装飾を施したものである。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。
引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1225568号
(意匠に係る物品,包装用缶)の意匠であって,「なお,主な類否判断の対象となるのは,引例の意匠の,本願意匠が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に対応する部分です。」と付記されたものである。
1 意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「包装用缶」である。
2 引用部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
引用意匠中,本願部分に対応する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,包装用缶における肩部であり,包装用缶における肩部の位置,大きさ及び範囲であって,包装用缶における肩部の用途及び機能を有している。
3 引用部分の形状
引用部分の形状は,ベースが,上側直径・下側直径・高さの比率を,おおむね1:2:1弱とした略円錐台形状であって,その周側面に,隣り合う縦長の二等辺三角形の面を,それぞれの底辺が上下互い違いになるよう規則的に16面配列した装飾を施したものである。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
両意匠の意匠に係る物品は,いずれも「包装用缶」である。
2 両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比
両部分は,いずれも包装用缶における肩部であり,包装用缶における肩部の位置,大きさ及び範囲であって,包装用缶における肩部の用途及び機能を有している。
3 両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(1)共通点について
ア ベースの形状を,上側直径・下側直径・高さの比率を,おおむね1:2:1弱とした略円錐台形状とした点。
イ 肩部周側面に,隣り合う縦長の二等辺三角形の面を,それぞれの底辺が上下互い違いになるよう規則的に多数配列した装飾を施している点。
(2)相違点について
肩部周側面の,二等辺三角形の面につき,本願意匠は,32面であるのに対して,引用意匠は,16面である点。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「包装用缶」であるから,一致している。
2 両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価
両部分は,いずれも包装用缶における肩部であり,包装用缶における肩部の位置,大きさ及び範囲であって,包装用缶における肩部の用途及び機能を有しているから,一致している。
3 両部分における形状の評価
(1)共通点について
共通点アについては,若干の共通感を生じさせているが,両意匠のみの特徴ある共通点とはいえず,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。
共通点イについては,概念的共通点であるから,両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。
(2)相違点について
本願意匠は,一見しては(具体的な数が分からず)多数の細い三角形の面が並んでいるといった印象を得るものであるのに対して,引用意匠は,8方向の面を基にして成る立体といった印象を得るものであるから,その印象は異なり,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(3)両部分における形状の類否判断
以上のとおり,共通点ア及び同イは,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまるか,または限定的であり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点は,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
よって,本願部分の形状と引用部分の形状は,部分における全体観察においては類似しないと認められる。
4 両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致しているが,上記のとおり本願部分と引用部分の形状は類似しないものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しない。
第6 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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