特許拒絶査定不服審判
2018-010584
直線縁部を有する形状用の高性能回転切断装置
- 審判番号
- 2018-010584
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-560509
- 請求日
- 2018年08月02日
- 審決日
- 2019年08月19日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ハイペリオン マテリアルズ アンド テクノロジーズ (スウェーデン) アクティエボラーグ
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 大山 健
- 審判官 小川 悟史
- 分類
- P18 .121-WY (B26D) / P18 .55 -WY (B26D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-560509「直線縁部を有する形状用の高性能回転切断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月8日国際公開、WO2015/150851、平成29年4月6日国内公表、特表2017-509502、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)4月3日を国際出願日とする出願であって、平成29年11月30日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年3月5日に手続補正がされ、同平成30年3月5日に意見書が提出され、平成30年3月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成30年8月2日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年12月6日に上申書が提出されたものである。
第2 補正の却下の決定
1.補正の却下の決定の結論
平成30年8月2日にされた手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。
2.補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、補正前の請求項1及び請求項7を、補正後の請求項1及び請求項7に変更する補正事項を含むものである。
補正前の請求項1及び請求項7と、補正後の請求項1及び請求項7とは、それぞれ以下のとおりである。
(A) 本件補正前の請求項1及び請求項7
「【請求項1】
ウェブ材料(26)を切断する回転切断装置(10)であって、
支持部(14)と、
前記支持部(14)に移動可能に設けられた切断ユニット(12)と、
前記切断ユニット(12)に回転可能に設けられ、縦軸(38)を有する回転カッター(30)と、
前記回転カッター(30)に設けられた少なくとも1つの刃先(40)と
を備え、前記少なくとも1つの刃先(40)が、前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)に対して角度(α)を成して配向され、前記切断ユニット(12)が、前記ウェブ材料の送り方向(F)に対して可変角度(β)で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニット(12)が、前記支持部(14)に取り付けられた各支柱(24)を収容する湾曲したスロット(22)をそれぞれ備える一対の対向する側部(20)を有する基部(18)を有し、前記支柱(24)が前記スロット(22)の内部で摺動することで前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して回転できるようになっていることを特徴とする、回転切断装置(10)。」
「【請求項7】
ウェブ材料(26)を切断する回転切断ユニット(12)であって、
フレーム(16)と、
前記フレーム(16)に回転可能に設けられ、縦軸(38)を有する回転カッター(30)と、
前記回転カッター(30)に設けられた少なくとも1つの刃先(40)と
を備え、前記少なくとも1つの刃先(40)が、前記回転カッターの前記縦軸(38)に対して角度(α)を成して配向され、前記回転切断ユニット(12)が、前記ウェブ材料(26)の送り方向(F)に対して可変角度(β)で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニット(12)が、支持部(14)に取り付けられた各支柱(24)を収容する湾曲したスロット(22)をそれぞれ備える一対の対向する側部(20)を有する基部(18)を有し、前記支柱(24)が前記スロット(22)の内部で摺動することで前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して回転できるようになっていることを特徴とする、回転切断ユニット。」
(B) 本件補正後の請求項1及び請求項7(下線部は、補正箇所について審判請求人が付したものである。)
「【請求項1】
ウェブ材料(26)を切断する回転切断装置(10)であって、
支持部(14)と、
前記支持部(14)に移動可能に設けられた切断ユニット(12)と、
前記切断ユニット(12)に回転可能に設けられ、縦軸(38)を有する回転カッター(30)と、
前記回転カッター(30)に設けられた少なくとも1つの刃先(40)と
を備え、前記少なくとも1つの刃先(40)が、前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)に対して角度(α)を成して配向され、前記切断ユニット(12)が、前記ウェブ材料の送り方向(F)に対して可変角度(β)で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニット(12)が、前記支持部(14)に取り付けられた各支柱(24)を収容する湾曲したスロット(22)をそれぞれ備える一対の対向する側部(20)を有する基部(18)を有し、前記支柱(24)が前記スロット(22)の内部で摺動することで前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して、前記刃先(40)の長さ方向の位置において前記縦軸(38)に垂直な軸について回転できるようになっており、前記刃先(40)の長さ方向の前記位置が前記垂直な軸上から見て前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)が前記刃先(40)と交差する位置であることを特徴とする、回転切断装置(10)。」
「【請求項7】
ウェブ材料(26)を切断する回転切断ユニット(12)であって、
フレーム(16)と、
前記フレーム(16)に回転可能に設けられ、縦軸(38)を有する回転カッター(30)と、
前記回転カッター(30)に設けられた少なくとも1つの刃先(40)と
を備え、前記少なくとも1つの刃先(40)が、前記回転カッターの前記縦軸(38)に対して角度(α)を成して配向され、前記回転切断ユニット(12)が、前記ウェブ材料(26)の送り方向(F)に対して可変角度(β)で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニット(12)が、支持部(14)に取り付けられた各支柱(24)を収容する湾曲したスロット(22)をそれぞれ備える一対の対向する側部(20)を有する基部(18)を有し、前記支柱(24)が前記スロット(22)の内部で摺動することで前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して、前記刃先(40)の長さ方向の位置において前記縦軸(38)に垂直な軸について回転できるようになっており、前記刃先(40)の長さ方向の前記位置が前記垂直な軸上から見て前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)が前記刃先(40)と交差する位置であることを特徴とする、回転切断ユニット。」
(2)本件補正に関する請求人の主張
請求人は、本件補正後の請求項1及び請求項7についての補正は、出願時明細書の段落[0007]および図7に記載されていた内容に基づくものであり、当該補正は新規事項追加には該当しない旨を主張している。
(3)本件補正の適否の判断
請求項1及び請求項7についての本件補正は、「前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して、前記刃先(40)の長さ方向の位置において前記縦軸(38)に垂直な軸について回転できるようになっており、前記刃先(40)の長さ方向の前記位置が前記垂直な軸上から見て前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)が前記刃先(40)と交差する位置である」との補正事項、すなわち、「切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して、回転できるようになって」いることに関して、「刃先(40)の長さ方向の位置において前記縦軸(38)に垂直な軸について」回転できるようになっていることを特定するとともに、該「刃先(40)の長さ方向の位置」について、「刃先(40)の長さ方向の前記位置が前記垂直な軸上から見て前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)が前記刃先(40)と交差する位置である」と特定する補正事項を含むものと解釈できる。
そこで、切断ユニット(12)が回転する軸(以下、「回転軸」という。)について、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書、図面(以下、「当初明細書等」という。)を検討すると、切断ユニット(12)は、支持部(14)と一体的な支柱(24)に対して、湾曲したスロット(22)が摺動するように回転すると理解できる。
そうすると、湾曲したスロット(22)は円弧であり、当該円弧の中心が、切断ユニット(12)の回転軸に該当するということができるものの、当初明細書等には湾曲したスロット(22)の円弧の中心が、刃先(40)の長さ方向において、縦軸(38)と交差する位置に存在することについて、記載も示唆もされていない。
したがって、「前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して、回転できるようになって」いることに関して、「前記刃先(40)の長さ方向の位置において前記縦軸(38)に垂直な軸について」回転できるようになっていること、すなわち、切断ユニット(12)の支持部(14)に対する回転軸が、「刃先(40)の長さ方向の位置において前記縦軸(38)に垂直な軸について」設定されていることは、当初明細書等に記載がなく、当初明細書等から自明でもない。
さらに、切断ユニット(12)の支持部(14)に対する回転軸に関する、上記「刃先(40)の長さ方向の位置」が「垂直な軸上から見て前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)が前記刃先(40)と交差する位置である」ことも当初明細書等に記載がなく、また当初明細書等から自明でもない。
そして、上記の補正事項により、切断ユニット(12)の支持部(14)に対する回転軸が、刃先(40)の長さ方向の位置において縦軸(38)に垂直な軸について設定されていること及び当該回転軸の刃先(40)の長さ方向の位置が、垂直な軸上から見て回転カッター(30)の縦軸(38)が刃先(40)と交差する位置であることという新たな技術事項が導入されることとなった。
(4)本件補正についての請求人の主張の検討
上記(2)で示したとおり、請求人は、補正事項は明細書の段落[0007]および図7に基づく旨を主張しているため、該主張について検討する。
本願明細書の段落[0007]には、本件補正に関連して、「支柱24は、スロット22の内部で摺動して、切断ユニット12が支持部14の周りで回転できるようにし、切断ユニットをウェブの送り方向F(図3)に対して予め設定された配向で配置することを可能にする。」(審判注:下線部は当審が付したものである。)ことが記載されている程度であり、該[0007]には、切断ユニット(12)の支持部(14)に対する回転軸が具体的にどのように設定されているのか記載されていない。さらに、図7(回転カッターの上面図:段落[0006])には、「垂直な軸上から見て前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)が前記刃先(40)と交差する位置」は看取できるものの、切断ユニット(12)及び支持部(14)は図示されておらず、当然に、該図7から切断ユニット(12)の支持部(14)に対する回転軸が、「垂直な軸上から見て前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)が前記刃先(40)と交差する位置」において「縦軸(38)に垂直な軸について」設定されることは読み取れない。
なお、図2及び4では、湾曲したスロット(22)の円弧の中心が刃先(40)の中央位置に存在するように示され、図7では、縦軸(38)が刃先(40)の中央の位置において交差するように示されていることから、切断ユニット(12)の回転軸の刃先(40)の長さ方向の位置が、回転カッター(30)の縦軸(38)が刃先(40)と交差する位置であることが記載されているといい得る余地がある。
しかし、本願において角度(α)を説明する図7では、縦軸(38)が刃先(40)の中央位置において交差するように示されているのに対して、同様に角度(α)を説明する図8では、縦軸(38)が刃先(40)の中央から外れた位置において交差するように示されているように、本願の全ての図面が、寸法や角度を正確に表すように記載されているとはいえないから、図2、4及び7の記載のみから、切断ユニット(12)の回転軸の刃先の長さ方向の位置が、回転カッター(30)の縦軸(38)が刃先(40)と交差する位置であることが記載されているということはできない。
以上から、本件補正の上記補正事項は、当初明細書等に記載がなく、当初明細書等から自明でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので、上記のとおり本件補正を却下する。
第3 原査定の概要
原査定(平成30年3月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-13に係る発明は、引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願請求項6,12-13に係る発明は、引用文献1及び引用文献2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特公昭49-26550号公報
引用文献2:特開昭61-90898号公報
第4 本願発明
本件補正は、上記「第2 補正の却下の決定」のとおり、却下された。
したがって、本願請求項1ないし請求項13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、平成30年3月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明7は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
ウェブ材料(26)を切断する回転切断装置(10)であって、
支持部(14)と、
前記支持部(14)に移動可能に設けられた切断ユニット(12)と、
前記切断ユニット(12)に回転可能に設けられ、縦軸(38)を有する回転カッター(30)と、
前記回転カッター(30)に設けられた少なくとも1つの刃先(40)と
を備え、前記少なくとも1つの刃先(40)が、前記回転カッター(30)の前記縦軸(38)に対して角度(α)を成して配向され、前記切断ユニット(12)が、前記ウェブ材料の送り方向(F)に対して可変角度(β)で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニット(12)が、前記支持部(14)に取り付けられた各支柱(24)を収容する湾曲したスロット(22)をそれぞれ備える一対の対向する側部(20)を有する基部(18)を有し、前記支柱(24)が前記スロット(22)の内部で摺動することで前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して回転できるようになっていることを特徴とする、回転切断装置(10)。」
「【請求項7】
ウェブ材料(26)を切断する回転切断ユニット(12)であって、
フレーム(16)と、
前記フレーム(16)に回転可能に設けられ、縦軸(38)を有する回転カッター(30)と、
前記回転カッター(30)に設けられた少なくとも1つの刃先(40)と
を備え、前記少なくとも1つの刃先(40)が、前記回転カッターの前記縦軸(38)に対して角度(α)を成して配向され、前記回転切断ユニット(12)が、前記ウェブ材料(26)の送り方向(F)に対して可変角度(β)で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニット(12)が、支持部(14)に取り付けられた各支柱(24)を収容する湾曲したスロット(22)をそれぞれ備える一対の対向する側部(20)を有する基部(18)を有し、前記支柱(24)が前記スロット(22)の内部で摺動することで前記切断ユニット(12)が前記支持部(14)に対して回転できるようになっていることを特徴とする、回転切断ユニット。」
本願発明2-6は、概略、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8-13は、概略、本願発明7を減縮した発明である。
第5 引用文献、引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「本発明者はナイフを担持する回転式シリンダとその刃先が回転する切断刃と帯状体との通路の合致線上に位置する固定ナイフとを具えた回転式スリット形成装置を提供する。」(明細書第3欄第3行~第6行)
(イ)「回転ナイフはシリンダ上にややらせん状に取付けることが望ましく、又固定ナイフとシリンダとは角度をなして食違い、その結果形成されるスリットは帯状体の長手方向軸線に対して垂直となる。
ナイフシリンダと固定ナイフとの食違い角度は調節可能で、シリンダ及び固定ナイフに等しい制御された調節を徐々に行う装置が具えられている。」(明細書第3欄第16行~第23行)
(ウ)「第2図及び第3図において、本発明の回転式スリット形成装置は複数の回転ナイフ16を具えた回転ナイフシリンダ14を含み、帯状体の下方には単一の固定即ち静止ナイフ18が配設されている。帯状体は第3図に破線20で示されている。シリンダ14(第2図)及び固定ナイフ18は、第2図に鎖線20で示された帯状体の幅より長い。
回転及び固定ナイフは共に帯状体線上に位置し、回転ナイフが帯状体速度で回転する時でさえも、回転及び固定ナイフは互いに接近して帯状体に切断作用を及ぼす。」(明細書第4欄第16行~第26行)
(エ)「せん断切込みのためには、ナイフ16はナイフシリンダ14上に角度をなして即ちらせん状に配置することが望ましい。この角度は小さく例えば1度であり、図面では誇張されている。軸22を観察すれば明らかなように、シリンダはその軸に角度をなさせ、即ち食違って位置している。固定ナイフ18は、シリンダ軸線と同一角度、例えば1度だけずれており、この角度はらせん角に反対である。それ等は第2図においては同じように見える。それは同図においては、回転ナイフは切断するシリンダ底部ではなくシリンダ頂部のものが示されているからである。帯状体が矢の方向に移動していると、その結果切込みは帯状体の長手方向軸線に対して垂直に行われ、スリットが形成される。
回転ナイフシリンダは、26の歯車装置を介して主駆動軸24によって駆動される。同歯車装置は回り接手28を介して軸22に接続することが望ましい。この回り接手は自在接手でもよい。」(明細書第4欄第39行~第5欄第13行)
(オ)「ずらし角度は適当な手段によって調節する。第3図において、シリンダ14用の軸受ブロック30が固定ナイフ18をも担持していることがわかる。第2図及び第3図において、軸受ブロック30に耳34において接続された螺糸リンク32によって上記調節を制御して徐々に行うことができる。このリンクは移動させた後に、機枠に固定された耳40の両側面上にナット36,38によって緊締する。この調節を行うため、軸受支持体30の共通基部44を保持するボルト42,43を予め緩め、調節終了後に再び締付ける。基部44はずれ角を形成させる長孔45を有する。ボルト3(※審判注:図2から「ボルト43」の誤記と認める)は可撓接手28下方の孔内に位置し、支点の作用を行う。実際には各端に複式ボルトが取付けられ支点はボルト孔に嵌合したボルトよりむしろ正確なパイロットであろう。」(明細書第5欄第19行~第34行)
(カ)「ナイフはナイフシリンダにらせん状に取付け、瞬間的にではなくむしろ短い間隔をおいて切込みをつける。言い換ればらせん断を行う。しかしこのためには回転ナイフをらせん状に取付けるにもかかわらず、帯状体軸線に垂直に切込みを行うためにはシリンダ全体及び固定ナイフを食違わせることが必要となるが、しかしその食違い角度は非常に小さく例えば1度である。この食違い角度はナイフの送りとらせん角度によって異る。」(明細書第8欄第26行~第34行)
(キ)第2図から、長孔45は湾曲していることが看取される。
(ク)上記(エ)の摘記事項及び第2図から、軸受ブロック30は、帯状体20の送り方向に対して可変角度で調整可能に逆配向されていることが看取される。
(ケ)上記(オ)の摘記事項及び第2図から、軸受ブロック30の共通基部44は一対の対向する側部を有し、一方の側部には機枠に取り付けられたボルト42を収容する湾曲した長孔45を備え、他方の側部には軸受ブロック30の支点となるボルト43が挿入されたボルト孔を備えることが看取される。
(コ)第2-3図から、軸受ブロック30がフレームを含むことが看取される。
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明1>
「帯状体20を切断する回転式スリット形成装置であって、
機枠と、
前記機枠に移動可能に設けられた軸受ブロック30と、
前記軸受ブロック30に回転可能に設けられ、軸22を有する回転ナイフシリンダ14と、
前記回転ナイフシリンダ14に設けられた少なくとも1つの回転ナイフ16と
を備え、前記少なくとも1つの回転ナイフ16が、前記回転ナイフシリンダ14の前記軸22に対して角度を成して配向され、前記軸受ブロック30が、前記帯状体20の送り方向に対して可変角度で調整可能に逆配向されており、前記軸受ブロック30が、一対の対向する側部を有し、一方の側部には機枠に取り付けられたボルト42を収容する湾曲した長孔45を備え、他方の側部には軸受ブロック30の支点となるボルト43が挿入されたボルト孔を備える共通基部44を有し、前記ボルト42が前記長孔45の内部で摺動することで前記軸受ブロック30が前記機枠に対して回転できるようになっている、回転式スリット形成装置。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明1における「帯状体20」は、本願発明1における「ウェブ材料」に相当する。以下、同様に、「回転式スリット形成装置」は「回転切断装置」に、「機枠」は「支持部」に、「軸受ブロック30」は「切断ユニット」に、「軸22」は「縦軸」に、「回転ナイフシリンダ14」は「回転カッター」に、「回転ナイフ16」は「刃先」に、「ボルト42」は「支柱」に、「長孔45」は「スロット」に、「共通基部44」は「基部」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1において、「前記軸受ブロック30が、一対の対向する側部を有し、一方の側部には機枠に取り付けられたボルト42を収容する湾曲した長孔45を備え、他方の側部には軸受ブロック30の支点となるボルト43が挿入されたボルト孔を備える共通基部44を有」することは、切断ユニットの基部の一対の側部が、支持部に取り付けられた支柱を収容する湾曲したスロットを備える側部を含むことを意味するから、引用発明1において「前記切断ユニット(12)が、前記支持部(14)に取り付けられた各支柱(24)を収容する湾曲したスロット(22)をそれぞれ備える一対の対向する側部(20)を有する基部(18)を有」することと対比すると、「前記切断ユニットが、支持部に取り付けられた支柱を収容する湾曲したスロットを備える側部を含む一対の対向する側部を有する基部を有」する点で一致する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「ウェブ材料を切断する回転切断装置であって、
支持部と、
前記支持部に移動可能に設けられた切断ユニットと、
前記切断ユニットに回転可能に設けられ、縦軸を有する回転カッターと、
前記回転カッターに設けられた少なくとも1つの刃先と
を備え、前記少なくとも1つの刃先が、前記回転カッターの前記縦軸に対して角度を成して配向され、前記切断ユニットが、前記ウェブ材料の送り方向に対して可変角度で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニットが、支持部に取り付けられた支柱を収容する湾曲したスロットを備える側部を含む一対の対向する側部を有する基部を有し、前記支柱が前記スロットの内部で摺動することで前記切断ユニットが前記支持部に対して回転できるようになっている、回転切断装置。」
(相違点)
(相違点1)「切断ユニットの基部」の「一対の対向する側部」について、本願発明1は「支持部に取り付けられた各支柱を収容する湾曲したスロットをそれぞれ備える」という構成を備えるのに対し、引用発明1には、一方の側部には支持部に取り付けられた支柱を収容する湾曲したスロットを有することが記載されているものの、他方の側部には軸受ブロック30(切断ユニット)の支点となるボルト43が挿入されたボルト孔を備えている点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
上記引用発明1の認定及び相違点1に記載したとおり、「切断ユニットの基部」の「一対の対向する側部」について、引用発明1にも、一方の側部に支持部に取り付けられた支柱を収容する湾曲したスロットを有することが記載されているものの、他方の側部には軸受ブロック30(切断ユニット)の支点となるボルト43が挿入されたボルト孔を備えるものであり、当該ボルト孔を一方の側部と同様な湾曲したスロットに変更する動機がない。
してみると、相違点1に係る、「切断ユニットの基部」の「一対の対向する側部」について、本願発明1の「支持部に取り付けられた各支柱を収容する湾曲したスロットをそれぞれ備える」という構成は、引用発明1に基づいて当業者が容易に想到できるものではない。
なお、原査定においては、相違点1に関して、概ね、引用文献1に記載された支柱及びスロットを備える側部の果たす役割は、切断ユニットを支持部に対して回転できるようにすることであり、回転の安定性や回転対称性などを考慮して、支柱及びスロットをそれぞれ備える一対の対向する側部を有するように構成することは適宜設計すべき事項に過ぎないとの判断がされているが、回転切断装置の技術分野において、回転の安定性や回転対称性などを考慮して、切断ユニットの基部の一対の対向する側部に湾曲したスロットをそれぞれ設けることが通常行われている技術であると認めるに足る証拠はない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明7について
続いて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明7」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明7>
「帯状体20を切断する軸受ブロック30であって、
フレームと、
前記フレームに回転可能に設けられ、軸22を有する回転ナイフシリンダ14と、
前記回転ナイフシリンダ14に設けられた少なくとも1つの回転ナイフ16と
を備え、前記少なくとも1つの回転ナイフ16が、前記回転ナイフシリンダ14の前記軸22に対して角度を成して配向され、前記軸受ブロック30が、前記帯状体20の送り方向に対して可変角度で調整可能に逆配向されており、前記軸受ブロック30が、一対の対向する側部を有し、一方の側部には機枠に取り付けられたボルト42を収容する湾曲した長孔45を備え、他方の側部には軸受ブロック30の支点となるボルト43が挿入されたボルト孔を備える共通基部44を有し、前記ボルト42が前記長孔45の内部で摺動することで前記軸受ブロック30が前記機枠に対して回転できるようになっている、軸受ブロック30。」
(1)対比
上記1.(1)と同様に、本願発明7と引用発明7とを対比すると、次のことがいえる。
(一致点)
「ウェブ材料を切断する回転切断ユニットであって、
フレームと、
前記フレームに回転可能に設けられ、縦軸を有する回転カッターと、
前記回転カッターに設けられた少なくとも1つの刃先と
を備え、前記少なくとも1つの刃先が、前記回転カッターの前記縦軸に対して角度を成して配向され、前記回転切断ユニットが、前記ウェブ材料の送り方向に対して可変角度で調整可能に逆配向されており、前記切断ユニットが、一対の対向する側部を有し、一方の側部には支持部に取り付けられた支柱を収容する湾曲したスロットを備える側部を有する基部を有し、前記支柱が前記スロットの内部で摺動することで前記切断ユニットが前記支持部に対して回転できるようになっている、回転切断ユニット。」
(相違点)
(相違点2)「切断ユニットの基部」の「一対の対向する側部」について、本願発明7は「支持部に取り付けられた各支柱を収容する湾曲したスロットをそれぞれ備える」という構成を備えるのに対し、引用発明7は、一方の側部には支持部に取り付けられた支柱を収容する湾曲したスロットを有することが記載されているものの、他方の側部には軸受ブロック30(回転切断ユニット)の支点となるボルト43が挿入されたボルト孔を備えている点。
(2)相違点2についての判断
上記相違点2について検討すると、相違点2は相違点1と同一であり、該相違点1については上記相違点1について判断したとおりである。
してみると、相違点2に係る、「切断ユニットの基部」の「一対の対向する側部」について、本願発明7の「支持部に取り付けられた各支柱を収容する湾曲したスロットをそれぞれ備える」という構成は、引用発明7に基づいて当業者が容易に想到できるものではない。
3.本願発明2-6,8-13について
本願発明2-6,8-13も、本願発明1又は本願発明7と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1又は本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1又は引用文献1-2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-13は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-010584