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特許拒絶査定不服審判

2018-008469

半導体装置の製造方法

審判番号
2018-008469
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-548517外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年06月20日
審決日
2019年06月05日
公報発行日
2019年07月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (C23F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-548517「半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月24日国際公開、WO2016/042667、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件は、2014年(平成26年)9月19日を国際出願日とする出願であって、平成29年11月20日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年1月10日付けで意見書が提出され、同年4月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年6月20日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本件発明 本件請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 エッチング使用前のアンモニア過水液に予めチタンを溶かした液体をエッチング液として準備する準備工程と、 前記準備工程の後に、処理槽の中での前記エッチング液の濃度を均一にするように、前記エッチング液の流動を行う流動工程と、 前記流動工程を開始した後に、レジスト膜および金属膜を備えた半導体ウェハを前記処理槽内に入れることで、前記エッチング液で前記金属膜をエッチングする処理工程と、 を備える半導体装置の製造方法。 【請求項2】 前記金属膜がチタンで形成された請求項1に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項3】 温度調節器を経由して流れるように前記エッチング液を流動させることで前記エッチング液の温度を調節する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項4】 前記処理槽が、前記エッチング液が貯留される第1槽と、前記第1槽から溢れた前記エッチング液が流入する第2槽と、前記第1槽と前記第2槽とを接続する流路と、を備え、 前記流動工程は、前記流路を介して前記第2槽から前記第1槽へと前記エッチング液を循環させる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。 【請求項5】 前記半導体ウェハがSiCウェハであり、前記金属膜は前記SiCウェハにショットキー接合した請求項1に記載の半導体装置の製造方法。」 第3 原査定の概要 原査定(平成30年4月6日付け拒絶査定)の概要は、以下のとおりである。 本件請求項1~5に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の引用文献1~6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2004-266207号公報 2.特開2006-210778号公報 3.特開平9-42600号公報(周知技術を示す文献) 4.特開2014-11342号公報(周知技術を示す文献) 5.特開平10-223595号公報(新たに引用した文献、周知技術を示す文献) 6.特開2004-153164号公報(新たに引用した文献、周知技術を示す文献) 第4 引用文献及び引用発明 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 本件の出願前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。「・・・」は記載の省略を表す。以下同様。)。 (1a)「【請求項1】 基板(1)の上に抵抗体材料(10)およびバリアメタル(4)を連続的に配置したのち、前記バリアメタル(4)および前記抵抗体材料(10)をパターニングすることで、抵抗体(3)を形成する半導体装置の製造方法において、 前記バリアメタル(4)をウェットエッチングによりパターニングする工程と、 前記バリアメタル(4)と前記抵抗体材料(10)との界面に形成された前記抵抗体材料(10)と前記バリアメタル(4)との合金層内における前記抵抗体材料(10)を除去する工程と、 前記バリアメタル(4)のウェットエッチングを再度行うことにより、前記抵抗体材料(10)の表面に残った前記バリアメタル(4)を除去する工程と、 前記抵抗体材料(10)をドライエッチングすることで前記抵抗体(3)をパターニングする工程と、を備えていることを特徴とする抵抗体を備えた半導体装置の製造方法。 ・・・ 【請求項3】 前記バリアメタル(4)はTiWで構成され、前記ウェットエッチングには、過酸化水素もしくは過酸化水素水とアンモニア加水の混合液が用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の抵抗体を備えた半導体装置の製造方法。」 (1b)「【0017】 [図1(a)に示す工程] まず、単結晶シリコン基板1上に、周知の方法により、MOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体素子を作り込む。続いて、単結晶シリコン基板1の上に層間絶縁膜となるシリコン酸化膜2をCVD法等により形成したのち、そのシリコン酸化膜2の上にCrSiNで構成される抵抗体材料10およびTiWで構成されるバリアメタル3を順に積層形成する。この時、抵抗体材料10やバリアメタル3の形成工程は、同一の真空チャンバー内において連続して行われる。このため、バリアメタル3を構成するTiWがCrSiNで構成される抵抗体材料10の表層部に拡散し、バリアメタル3と抵抗体材料10との界面にTiWとCrSiNとによる合金層が形成される。 【0018】 [図1(b)に示す工程] バリアメタル3の表面にマスクパターン11を形成したのち、このマスクパターン11を用いてウェットエッチングを例えば45分間行う(図2(a)のステップ100)。このウェットエッチング工程は、過酸化水素水もしくは過酸化水素水とアンモニア加水の混合液を用いて行われ、最後の20秒間ほどはアンモニア成分を濃くした混合液を使用して行われる。 【0019】 これにより、マスクパターン11にて覆われていない部分においてバリアメタル3が除去される。」(当審注:上記「バリアメタル3」は、「バリアメタル4」の誤記と認められる。) (2)引用発明 上記記載事項(1a)及び(1b)から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「単結晶シリコン基板1上に、TiWで構成されるバリアメタル(4)を積層形成し、バリアメタル(4)の表面にマスクパターン11を形成したのち、このマスクパターン11を用いて、過酸化水素水とアンモニア加水の混合液が用いられるウェットエッチングによりパターニングする工程を備えている、抵抗体を備えた半導体装置の製造方法。」 2 引用文献2の記載事項 本件の出願前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、以下の事項が記載されている (2a)「【請求項1】 半導体基板の上部にTiW膜を設ける工程と、 薬液を用いて前記TiW膜を選択的に除去する工程と、を含み、 前記薬液が、過酸化水素と遷移金属イオンとを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 ・・・ 【請求項3】 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、 TiW膜を設ける前記工程の後、TiW膜を選択的に除去する前記工程の前に、前記TiW膜の上部に絶縁性の保護膜を設ける工程を含み、 TiW膜を選択的に除去する前記工程は、前記保護膜をマスクとして前記TiW膜の一部を選択的に除去する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。」 (2b)「【実施例】 【0073】 以下、シリコン基板上に形成されたTiW膜のエッチング速度のエッチング液組成に対する影響について検討した。 (実験例1) シリコンウェーハ上にTiW膜が形成されたダミーウェーハを用いて所定の時間ダミーランを行った後、別のウェーハにTiW膜が形成された別のウェーハのエッチングを行った。そして、ダミーラン終了後におけるエッチング液中のTi濃度およびW濃度とTiW膜のエッチング速度との関係を調べた。エッチングは液体循環式の枚葉処理とした。ダミーラン開始時のエッチング液は30質量%の過酸化水素水とし、ダミーラン終了後のエッチング液を別のウェーハのエッチングにそのまま用いた。また、エッチング温度は20℃とした。結果を図9および図10に示す。 【0074】 図9および図10に示したように、ダミーランにより、エッチング液中にTiおよびWが微量に溶出することにより、TiW膜のエッチング速度が上昇することがわかる。なお、エッチング液中に遷移金属イオンが含まれない場合、TiW膜のエッチングの進行が遅く、200nmのTiW膜をエッチングするのに約3000sかかった。また、ダミー処理で金属イオンを溶かし込んだ方が、エッチングレートが早くなるとともに、再現性の高い結果となった。」 3 引用文献3の記載事項 本件の出願前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、以下の事項が記載されている (3a)「【請求項1】 ワークを薬液に浸漬して該ワークに所定の処理を施す処理槽と、 前記処理槽に薬液を供給する薬液供給管と、 前記薬液供給管の途中に設けられ、前記薬液を前記処理槽に向かって流すポンプと、 前記薬液供給管を包囲するようにして取り付けられ、流入口より前記薬液供給管の外周に沿って流れて流出口から流出する溶液により前記薬液を所定の温度に調節する温度調節部と、 前記温度調節部に設置され、前記溶液の特性の変化から前記薬液供給管を流れる前記薬液の漏洩を検知する液漏れセンサとを有することを特徴とする薬液供給装置。」 (3b)「【0002】 【従来の技術】たとえば半導体ウエハ(ワーク)の表面上に形成された薄膜をウエット・エッチングする場合には、この半導体ウエハを薬液供給装置の処理槽に入れられたエッチング液つまり薬液に浸漬して行っている。そして、エッチング液は薬液供給管によって処理槽に供給される。」 (3c)「【図1】 」 4 引用文献4の記載事項について 本件の出願前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、以下の事項が記載されている (4a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、ショットキーバリアダイオード(以下、SBDという)などの半導体素子を備えた炭化珪素(以下、SiCという)半導体装置に関するものである。」 (4b)「【0023】 続いて、開口部3a内を含めて絶縁膜3の上にチタンおよびアルミニウムを順に蒸着して積層することでショットキー電極4を形成したのち、パターニングして所望部分にのみショットキー電極4を残す。このショットキー電極4の形成の際に絶縁膜3に形成してある溝部3bにもショットキー電極材料が入り込むことになる。しかしながら、溝部3bの幅をパターニングの際にエッチング液が入り込むようにしておけば残渣が生じることもなく、残渣による素子特性の劣化も生じないようにできる。」 5 引用文献5の記載事項 本件の出願前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、以下の事項が記載されている。 (5a)「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、半導体ウエハや液晶パネル等の薄板状基板(以下、「基板」という)に対して複数の液体が調合された処理液を用いて洗浄やエッチング等の処理を施す基板処理装置に関する。」 (5b)「【0027】過酸化水素水,アンモニア水,純水の各液体は、それぞれの液体供給管によって処理槽PBに供給される。そして、各液体の液体供給管には、開閉バルブV1,V2,V3がそれぞれ設けられており、この開閉バルブV1,V2,V3を開閉動作させることによって各液体を処理槽PBに供給したり、供給を停止したりする。そしてさらに、各液体の液体供給管には、流量計FS1,FS2,FS3がそれぞれ設けられている。 【0028】そして、開閉バルブV1,V2,V3が開いた状態の場合には、各液体は処理槽PBの外槽部に供給される。そして、この処理槽PBにおいて各液体が混合されて基板の処理に適した処理液が生成される。処理槽PBの外槽部に供給された液体は、ポンプPの作動によって循環系に導かれる。この循環系には処理液を清澄化するフィルタFや図示しない温度調整のためのヒータ等の温調器等が設けられる。そして、処理液はポンプPによって処理槽PBの底付近で処理槽PB内部に供給される。また、処理槽PB内部からオーバーフローする処理液は外槽部に流出し、再びポンプPによる循環が行われて、清澄化や温度調整等が行われる。そしてその後、処理対象の基板が処理槽PB内部の処理液に浸漬されて処理が行われる。」 (5c)「【図1】 」 6 引用文献6の記載事項について 本件の出願前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、以下の事項が記載されている。 (6a)「【請求項1】 薬液を収容する槽が加熱手段及び水等を補給する液補給手段等を有し、前記槽内で加熱沸騰されている薬液を、該薬液の沸騰状態を一定になるよう前記加熱手段や液補給手段等により調整する沸騰薬液の管理方法であって、 前記槽内薬液の定深さで不活性ガスをパージした際の背圧を検出する液面計を有し、該液面計の検出値により当該薬液の沸騰状態を評価して調整管理に利用することを特徴とする沸騰薬液の管理方法。」 (6b)「【0002】 【従来の技術】 図1(a)は下記文献1に開示されたエッチング処理例である。この処理では、エッチング液1を収容する溢流部3付きの槽2(以下、オーバーフロー式の槽と称する)と、溢流部3に接続された取出管4及び槽2の底部に接続された戻し管5を利用してエッチング液1を濾過・濃度調整・加熱処理等を施して循環する循環経路部6とを有している。エッチング液1は、ウエハSの窒化珪素膜をエッチングする燐酸水溶液である。槽2は、加熱手段7によりエッチング液1を沸騰状態に保つ。該沸騰蒸気は、不図示の蓋や槽周囲に設けられる排気機構により外部へ漏れないよう処理される。循環経路部6には、取出管4から戻し管5に向けてポンプ8、濾過器9、ラインヒーター10等が設けられ、又、ラインヒーター10の手前には水供給部11から純水Wを導入する水注入管14が接続されている。符号15と16は温度コントローラである。温度コントローラ15は、槽2のエッチング液1の温度を検出し、該検出値によって水供給部11を駆動制御したり加熱手段7を制御する。温度コントローラ16は、ラインヒーター10の出口付近のエッチング液1の温度を検出し、該検出値によってラインヒーター10を制御する。」 (6c)「【図1】 」 第5 対比・判断 1 本件発明1について (1)対比 ア 本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「マスクパターン11」、「TiWで構成されるバリアメタル(4)」、「単結晶シリコン基板1」及び「ウェットエッチングによりパターニング」は、本件発明1における「レジスト膜」、「金属膜」、「半導体ウェハ」及び「エッチング液で前記金属膜をエッチング」にそれぞれ相当する。 イ また、引用発明における「過酸化水素水とアンモニア加水の混合液」が、本件発明1における「アンモニア過水液」を意味するものであることは、当該技術分野において通常知られたことである。 ウ ここで、引用発明におけるウェットエッチングは、液体を用いて行うものであるから、液体を収納するための何らかの処理槽内で行われることは、自明のことである。 エ してみると、本件発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点1及び2があるといえる。 <一致点> レジスト膜および金属膜を備えた半導体ウェハを処理槽内に入れることで、エッチング液で前記金属膜をエッチングする処理工程、 を備える半導体装置の製造方法。 <相違点1> アンモニア過水液について、本件発明1は、「エッチング使用前」に「予めチタンを溶かした液体をエッチング液として準備する準備工程」を有するのに対し、引用発明は、上記「準備工程」に相当する工程を有していない点。 <相違点2> 本件発明1は、「前記準備工程の後に、処理槽の中での前記エッチング液の濃度を均一にするように、前記エッチング液の流動を行う流動工程」を有するのに対し、引用発明は、上記「流動工程」に相当する工程を有していない点。 (2)相違点についての判断 ア 上記相違点1について検討すると、上記第4の2における記載事項(2a)及び(2b)のとおり、引用文献2には、半導体装置の製造方法において、30質量%の過酸化水素水であるエッチング液中にTiを微量に溶出させたエッチング液でエッチングすることにより、半導体基板の上部に設けたTiW膜のエッチング速度を上昇させるという技術的事項が記載されている。 イ しかしながら、引用発明におけるエッチング液はアンモニア過水液であって、過酸化水素水からなるものではなく、引用文献2には、アンモニア過水液に予めチタンを溶かした液体をエッチング液とすることは記載されていないから、引用文献2に記載された上記アの技術的事項を引用発明に適用する動機付けは認められない。 ウ さらに、上記第4の3~6のとおり、引用文献3~6にも、アンモニア過水液に予めチタンを溶かした液体をエッチング液とすることは記載されていない。 エ そして、本件発明1は、予めチタンを溶かしておくことでアンモニア過水液における過酸化水素水の分解を抑制することができ、これにより長期間にわたってエッチングレートを均一に保つことができるという格別顕著な効果を奏するものであり、当該効果は、引用文献1~6に接した当業者であっても、予測することはできない。 (3)小括 したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1を引用するものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件発明2~5は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本件発明1~5は、当業者が引用文献1に記載された発明及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-008469

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