特許拒絶査定不服審判
2018-006820
更新プログラム及び方法、及び、管理プログラム及び方法
- 審判番号
- 2018-006820
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-528666外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月18日
- 審決日
- 2019年07月17日
- 公報発行日
- 2019年09月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (H04L) / P18 .536-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-528666「更新プログラム及び方法、及び、管理プログラム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月23日国際公開、WO2015/193945、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2014年6月16日を国際出願日とする出願であって,平成29年6月30日付けで拒絶理由通知がされ,平成29年9月11日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成30年2月9日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成30年5月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,平成30年12月26日付けで当審より拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知1」という。)がされ,平成31年3月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,令和元年5月28日付けで当審より拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知2」という。)がされ,令和元年6月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成30年2月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-18に係る発明は,以下の引用文献1ないし4に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2006-60779号公報
2.盛合志帆,インターネットにおけるコンテンツ保護技術,映像情報メディア学会誌,映像情報メディア学会,2005年4月1日,Vol. 59, No. 4,pp. 532-537
3.特開2009-118350号公報
4.相澤英孝,他,暗号と特許,日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ,日本銀行金融研究所,1998年 6月,No.98-J-9,pp.34-36,79-82
第3 当審拒絶理由の概要
当審でなされた拒絶理由の概要は次のとおりである。
1.当審拒絶理由通知1
(1)(明確性)この出願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)(サポート要件)この出願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(3)(委任省令要件)この出願は,発明の詳細な説明の記載が,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
(4)(進歩性)本願請求項1-18に係る発明は,以下の引用文献AないしGに基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2006-60779号公報(原査定の引用文献1)
B.盛合志帆,インターネットにおけるコンテンツ保護技術,映像情報メディア学会誌,映像情報メディア学会,2005年4月1日,Vol. 59, No. 4,pp. 532-537(原査定の引用文献2)
C.特開2009-118350号公報(原査定の引用文献3)
D.相澤英孝,他,暗号と特許,日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ,日本銀行金融研究所,1998年 6月,No.98-J-9,pp.34-36,79-82(原査定の引用文献4)
E.特開2001-320356号公報
F.特開2002-297548号公報
G.特開2001-111538号公報
2.当審拒絶理由通知2
(1)本件出願は,請求項1-17に係る特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願請求項1-17に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明17」という。)は,令和元年6月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバに対し一時的に利用する一時サーバ公開鍵を要求し,
一時的に利用する一時クライアント鍵ペアを生成し,該一時クライアント鍵ペアのうち一時クライアント秘密鍵と前記サーバから前記セキュアな通信により受信した前記一時サーバ公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い,
前記サーバから,前記一時共通鍵で暗号化された前記第2の公開鍵証明書を前記セキュアな通信により受領し,該一時共通鍵で該第2の公開鍵証明書を復号し,
前記第1の公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合は,前記セキュアな通信において,前記第2の公開鍵証明書に対応する第2のクライアント秘密鍵による電子署名をメッセージに付与して前記サーバと通信する
処理をコンピュータに実行させる更新プログラム。
【請求項2】
前記一時クライアント公開鍵を前記サーバに送信することで,該サーバとの間で一時共通鍵が共有され,前記第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵を送信することで,該サーバに前記第2の公開鍵証明書の発行要求を行うことを特徴とする請求項1記載の更新プログラム。
【請求項3】
前記第2の公開鍵証明書の取得後においても,前記第1の公開鍵証明書は前記有効期限まで使用可能とし,該有効期限が過ぎたことにより該第2の公開鍵証明書へと切り替えられ前記サーバへ初めて送出したタイミングで,次の公開鍵証明書の発行要求を行う請求項1記載の更新プログラム。
【請求項4】
メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバに対し一時的に利用する一時サーバ公開鍵を要求し,
一時的に利用する一時クライアント鍵ペアを生成し,該一時クライアント鍵ペアのうち一時クライアント秘密鍵と前記サーバから前記セキュアな通信により受信した前記一時サーバ公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した,第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とをメッセージに含め,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い,
前記サーバから,前記一時共通鍵で暗号化された前記第2の公開鍵証明書を前記セキュアな通信により受領し,該一時共通鍵で該第2の公開鍵証明書を復号し,
前記第1の公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合は,前記セキュアな通信において,前記第2の公開鍵証明書に対応する第2のクライアント秘密鍵による電子署名をメッセージに付与して前記サーバと通信する
処理をコンピュータが行う更新方法。
【請求項5】
プロセッサと,
要求元及びデータの正当性の確認に用いられる第1の公開鍵証明書を記憶した記憶部と,
を有する端末装置であって,
前記プロセッサは,
メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,前記第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバに対し一時的に利用する一時サーバ公開鍵を要求し,
一時的に利用する一時クライアント鍵ペアを生成し,該一時クライアント鍵ペアのうち一時クライアント秘密鍵と前記サーバから前記セキュアな通信により受信した前記一時サーバ公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した,第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い
前記サーバから,前記一時共通鍵で暗号化された前記第2の公開鍵証明書を前記セキュアな通信により受領し,該一時共通鍵で該第2の公開鍵証明書を復号し,
前記第1の公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合は,前記セキュアな通信において,前記第2の公開鍵証明書に対応する第2のクライアント秘密鍵による電子署名をメッセージに付与して前記サーバと通信する端末装置。
【請求項6】
データを送信したクライアントの正当性と,該データの正当性の確認に用いられる公開鍵証明書の管理プログラムであって,
メッセージを暗号化して送受信する前記クライアントとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該クライアントからの接続のときに,一時的に利用する一時サーバ公開鍵を新たに生成し,前記クライアントに送信し,
前記セキュアな通信により,前記クライアントから,前記第1の公開鍵証明書を用い,一時クライアント公開鍵と,前記一時サーバ公開鍵と一時クライアント秘密鍵から生成された一時共通鍵によって暗号化されたクライアント公開鍵とを含む第2の公開鍵証明書の発行要求を受信し,
前記一時サーバ公開鍵とペアとなる一時サーバ秘密鍵と,前記クライアントから受信した前記一時クライアント公開鍵とで前記一時共通鍵を生成し,生成した該一時共通鍵を用いて前記クライアント公開鍵を復号し,
前記セキュアな通信による前記クライアントからの第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,復号した前記クライアント公開鍵を用いて該第2の公開鍵証明書を生成し,該第2の公開鍵証明書を前記一時共通鍵で暗号化して該クライアントに送信する
処理をコンピュータに実行させる管理プログラム。
【請求項7】
クライアント毎に,前記第1の公開鍵証明書と,該第1の公開鍵証明書を更新する前記第2の公開鍵証明書とを関連付けてテーブルに記憶する
処理を前記コンピュータに実行させる請求項6記載の管理プログラム。
【請求項8】
前記発行要求の回数をカウントし,該発行要求の回数が規定値を超えたら,不正な要求であると判断してエラーにする
処理を前記コンピュータに実行させる請求項6記載の管理プログラム。
【請求項9】
前記クライアントから,前記第2の公開鍵証明書に対応する,暗号化された前記クライアント公開鍵を受信し,
前記クライアント公開鍵を前記一時共通鍵で復号し,
復号された前記クライアント公開鍵に対して前記第2の公開鍵証明書を生成する
処理を前記コンピュータに実行させる請求項6記載の管理プログラム。
【請求項10】
データを送信したクライアントの正当性と,データの正当性の確認に用いられる公開鍵証明書の管理方法であって,
メッセージを暗号化して送受信する前記クライアントとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該クライアントからの接続のときに,一時的に利用する一時サーバ公開鍵を新たに生成し,前記クライアントに送信し,
前記セキュアな通信により,前記クライアントから,前記第1の公開鍵証明書を用い,一時クライアント公開鍵と,前記一時サーバ公開鍵と一時クライアント秘密鍵から生成された一時共通鍵によって暗号化されたクライアント公開鍵とを含む第2の公開鍵証明書の発行要求を受信し,
前記一時サーバ公開鍵とペアとなる一時サーバ秘密鍵と,前記クライアントから受信した前記一時クライアント公開鍵とで前記一時共通鍵を生成し,生成した該一時共通鍵を用いて前記クライアント公開鍵を復号し,
前記セキュアな通信による前記クライアントからの第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,復号した前記クライアント公開鍵を用いて該第2の公開鍵証明書を生成し,該第2の公開鍵証明書を前記一時共通鍵で暗号化して該クライアントに送信する
処理をコンピュータが行う管理方法。
【請求項11】
プロセッサと,
データを送信したクライアントの正当性と,該データの正当性の確認に用いられる第1の公開鍵証明書を記憶する記憶部とを有するサーバであって,
前記プロセッサは,
メッセージを暗号化して送受信する前記クライアントとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該クライアントからの接続のときに,一時的に利用する一時サーバ公開鍵を新たに生成し,前記クライアントに送信し,
前記セキュアな通信により,前記クライアントから,前記第1の公開鍵証明書を用い,一時クライアント公開鍵と,前記一時サーバ公開鍵と一時クライアント秘密鍵から生成された一時共通鍵によって暗号化されたクライアント公開鍵とを含む第2の公開鍵証明書の発行要求を受信し,
前記一時サーバ公開鍵とペアとなる一時サーバ秘密鍵と,前記クライアントから受信した前記一時クライアント公開鍵とで前記一時共通鍵を生成し,生成した該一時共通鍵を用いて前記クライアント公開鍵を復号し,
前記セキュアな通信により,前記クライアントからの第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,復号した前記クライアント公開鍵を用いて該第2の公開鍵証明書を生成し,該第2の公開鍵証明書を前記一時共通鍵で暗号化して該クライアントに送信する
処理を実行するサーバ。
【請求項12】
メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバとでそれぞれの一時公開鍵を交換し,クライアントの一時秘密鍵と該サーバの一時公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記セキュアな通信において,前記サーバに対し,前記第1の公開鍵証明書を用い,生成した前記一時共通鍵で暗号化したクライアント公開鍵を含む第2の公開鍵証明書の発行要求を行い,
前記セキュアな通信において,前記クライアント公開鍵を用いて生成され,前記一時共通鍵で暗号化された前記第2の公開鍵証明書を受領し,
前記第1の公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合は,前記セキュアな通信において,前記一時共通鍵で復号した前記第2の公開鍵証明書に対応する第2のクライアント秘密鍵による電子署名をメッセージに付与して前記サーバとセキュアな通信を行う
処理をコンピュータに実行させる更新プログラム。
【請求項13】
メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバとでそれぞれの一時公開鍵を交換し,クライアントの一時秘密鍵と該サーバの一時公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記セキュアな通信において,前記サーバに対し,前記第1の公開鍵証明書を用い,生成した前記一時共通鍵で暗号化したクライアント公開鍵を含む第2の公開鍵証明書の発行要求を行い,
前記セキュアな通信において,前記クライアント公開鍵を用いて生成され,前記一時共通鍵で暗号化された前記第2の公開鍵証明書を受領し,
前記第1の公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合は,前記一時共通鍵で復号した前記第2の公開鍵証明書を用いて前記サーバとセキュアな通信を行う
処理をコンピュータが行う更新方法。
【請求項14】
プロセッサと,
要求元及びデータの正当性の確認に用いられる第1の公開鍵証明書を記憶した記憶部と,
を有する端末装置であって,
前記プロセッサは,
メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,前記第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバとでそれぞれの一時公開鍵を交換し,クライアントの一時秘密鍵と該サーバの一時公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記セキュアな通信において,前記サーバに対し,前記第1の公開鍵証明書を用い,生成した前記一時共通鍵で暗号化したクライアント公開鍵を含む第2の公開鍵証明書の発行要求を行い,
前記セキュアな通信において,前記クライアント公開鍵を用いて生成され,前記一時共通鍵で暗号化された前記第2の公開鍵証明書を受領し,
前記第1の公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合は,前記一時共通鍵で復号した前記第2の公開鍵証明書を用いて前記サーバとセキュアな通信を行う端末装置。
【請求項15】
データを送信したクライアントの正当性と,該データの正当性の確認に用いられる公開鍵証明書の管理プログラムであって,
メッセージを暗号化して送受信する前記クライアントとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該クライアントからの接続のときに,該クライアントとでそれぞれの一時公開鍵を交換し,
サーバの一時秘密鍵と該クライアントの一時公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記クライアントからの,前記第1の公開鍵証明書を用い,該クライアントの一時秘密鍵と前記サーバの一時公開鍵とで生成した一時共通鍵で暗号化されたクライアント公開鍵を含む第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,前記サーバの一時秘密鍵と該クライアントの一時公開鍵とで生成した前記一時共通鍵で該クライアント公開鍵を復元して,該第2の公開鍵証明書を生成し,該第2の公開鍵証明書を前記一時共通鍵で暗号化して該クライアントに送信する
処理をコンピュータに実行させる管理プログラム。
【請求項16】
データを送信したクライアントの正当性と,データの正当性の確認に用いられる公開鍵証明書の管理方法であって,
メッセージを暗号化して送受信する前記クライアントとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘
密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該クライアントからの接続のときに,該クライアントとでそれぞれの一時公開鍵を交換し,
サーバの一時秘密鍵と該クライアントの一時公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記クライアントからの,前記第1の公開鍵証明書を用い,該クライアントの一時秘密鍵と前記サーバの一時公開鍵とで生成した一時共通鍵で暗号化されたクライアント公開鍵を含む第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,前記サーバの一時秘密鍵と該クライアントの一時公開鍵とで生成した前記一時共通鍵で該クライアント公開鍵を復元して,該第2の公開鍵証明書を生成し,該第2の公開鍵証明書を前記一時共通鍵で暗号化して該クライアントに送信する
処理をコンピュータが行う管理方法。
【請求項17】
プロセッサと,
データを送信したクライアントの正当性と,該データの正当性の確認に用いられる第1の公開鍵証明書を記憶する記憶部とを有するサーバであって,
前記プロセッサは,
メッセージを暗号化して送受信する前記クライアントとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該クライアントからの接続のときに,該クライアントとでそれぞれの一時公開鍵を交換し,
サーバの一時秘密鍵と該クライアントの一時公開鍵とで一時共通鍵を生成し,
前記クライアントからの,前記第1の公開鍵証明書を用い,該クライアントの一時秘密鍵と前記サーバの一時公開鍵とで生成した一時共通鍵で暗号化されたクライアント公開鍵を含む第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,前記サーバの一時秘密鍵と該クライアントの一時公開鍵とで生成した前記一時共通鍵で該クライアント公開鍵を復元して,該第2の公開鍵証明書を生成し,該第2の公開鍵証明書を前記一時共通鍵で暗号化して該クライアントに送信する
処理を実行するサーバ。」
第5 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され,当審拒絶理由通知1にも引用された引用文献1(特開2006-60779号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同様。)
A 「【0004】
ここで,このSSLに従った相互認証を行う場合の通信手順について,認証処理の部分に焦点を当てて説明する。図21は,通信装置Aと通信装置BとがSSLに従った相互認証を行う際に各装置において実行する処理のフローチャートを,その処理に用いる情報と共に示す図である。
図21に示すように,SSLに従った相互認証を行う際には,まず双方の通信装置に,ルート鍵証明書及び,私有鍵と公開鍵証明書を記憶させておく必要がある。この私有鍵は,認証局(CA:certificate authority)が各装置に対して発行した私有鍵であり,公開鍵証明書は,その私有鍵と対応する公開鍵にCAがデジタル署名を付してデジタル証明書としたものである。また,ルート鍵証明書は,CAがデジタル署名に用いたルート私有鍵と対応するルート鍵に,デジタル署名を付してデジタル証明書としたものである。
【0005】
図22にこれらの関係を示す。
図22(a)に示すように,公開鍵Aは,私有鍵Aを用いて暗号化された文書を復号化するための鍵本体と,その公開鍵の発行者(CA)や有効期間等の情報を含む書誌情報とによって構成される。そして,CAは,鍵本体や書誌情報が改竄されていないことを示すため,公開鍵Aをハッシュ処理して得たハッシュ値を,ルート私有鍵を用いて暗号化し,デジタル署名としてクライアント公開鍵に付す。またこの際に,デジタル署名に用いるルート私有鍵の識別情報を署名鍵情報として公開鍵Aの書誌情報に加える。そして,このデジタル署名を付した公開鍵証明書が,公開鍵証明書Aである。
【0006】
この公開鍵証明書Aを認証処理に用いる場合には,ここに含まれるデジタル署名を,ルート私有鍵と対応する公開鍵であるルート鍵の鍵本体を用いて復号化する。この復号化が正常に行われれば,デジタル署名が確かにCAによって付されたことがわかる。また,公開鍵Aの部分をハッシュ処理して得たハッシュ値と,復号して得たハッシュ値とが一致すれば,鍵自体も損傷や改竄を受けていないことがわかる。
また,受信したデータを公開鍵Aを用いて正常に復号化できれば,そのデータは,私有鍵Aの持ち主から送信されたものであることがわかる。
【0007】
ここで,認証を行うためには,ルート鍵を予め記憶しておく必要があるが,このルート鍵も,図22(b)に示すように,CAがデジタル署名を付したルート鍵証明書として記憶しておく。このルート鍵証明書は,自身に含まれる公開鍵でデジタル署名を復号化可能な自己署名形式である。そして,ルート鍵を使用する際に,そのルート鍵証明書に含まれる鍵本体を用いてデジタル署名を復号化し,ルート鍵をハッシュ処理して得たハッシュ値と比較する。これが一致すれば,ルート鍵が破損等していないことを確認できるのである。
【0008】
図21のフローチャートの説明に入る。なお,この図において,2本のフローチャート間の矢印は,データの転送を示し,送信側は矢印の根元のステップで転送処理を行い,受信側はその情報を受信すると矢印の先端のステップの処理を行うものとする。また,各ステップの処理が正常に完了しなかった場合には,その時点で認証失敗の応答を返して処理を中断するものとする。相手から認証失敗の応答を受けた場合,処理がタイムアウトした場合等も同様である。
【0009】
ここでは,通信装置Aが通信装置Bに通信を要求するものとするが,この要求を行う場合,通信装置AのCPUは,所要の制御プログラムを実行することにより,図21の左側に示すフローチャートの処理を開始する。そして,ステップS111で通信装置Bに対して接続要求を送信する。
一方通信装置BのCPUは,この接続要求を受信すると,所要の制御プログラムを実行することにより,図21の右側に示すフローチャートの処理を開始する。そして,ステップS121で第1の乱数を生成し,これを私有鍵Bを用いて暗号化する。そして,ステップS122でその暗号化した第1の乱数と公開鍵証明書Bとを通信装置Aに送信する。
【0010】
通信装置A側では,これを受信すると,ステップS112でルート鍵証明書を用いて公開鍵証明書Bの正当性を確認する。
そして確認ができると,ステップS113で,受信した公開鍵証明書Bに含まれる公開鍵Bを用いて第1の乱数を復号化する。ここで復号化が成功すれば,第1の乱数は確かに公開鍵証明書Bの発行対象から受信したものだと確認できる。
その後,ステップS114でこれとは別に第2の乱数及び共通鍵の種を生成する。共通鍵の種は,例えばそれまでの通信でやり取りしたデータに基づいて作成することができる。そして,ステップS115で第2の乱数を私有鍵Aを用いて暗号化し,共通鍵の種を公開鍵Bを用いて暗号化し,ステップS116でこれらを公開鍵証明書Aと共にサーバ装置に送信する。共通鍵の種の暗号化は,通信相手以外の装置に共通鍵の種を知られないようにするために行うものである。
また,次のステップS117では,ステップS114で生成した共通鍵の種から以後の通信の暗号化に用いる共通鍵を生成する。
【0011】
通信装置B側では,通信装置AがステップS116で送信してくるデータを受信すると,ステップS123でルート鍵証明書を用いて公開鍵証明書Aの正当性を確認する。そして確認ができると,ステップS124で,受信した公開鍵証明書Aに含まれる公開鍵Aを用いて第2の乱数を復号化する。ここで復号化が成功すれば,第2の乱数は確かに公開鍵証明書Aの発行対象から受信したものだと確認できる。
その後,ステップS125で私有鍵Bを用いて共通鍵の種を復号化する。ここまでの処理で,通信装置A側と通信装置B側に共通鍵の種が共有されたことになる。そして,この共通鍵の種は,生成した通信装置Aと,私有鍵Bを持つ通信装置B以外の装置が知ることはない。ここまでの処理が成功すると,通信装置B側でもステップS126で復号化で得た共通鍵の種から以後の通信の暗号化に用いる共通鍵を生成する。
【0012】
そして,通信装置A側のステップS117と通信装置B側のステップS126の処理が終了すると,相互に認証の成功と以後の通信に使用する暗号化方式とを確認し,生成した共通鍵を用いてその暗号化方式で以後の通信を行うものとして認証に関する処理を終了する。なお,この確認には,通信装置Bからの認証が成功した旨の応答も含むものとする。以上の処理によって互いに通信を確立し,以後はステップS117又はS126で生成した共通鍵を用い,共通鍵暗号方式でデータを暗号化して通信を行うことができる。
【0013】
このような処理を行うことにより,通信装置Aと通信装置Bが互いに相手を認証した上で安全に共通鍵を共有することができ,通信を安全に行う経路を確立することができる。
なお,片方向認証を採用し,例えば通信装置Bが通信要求元の通信装置Aを認証するのみでよいのであれば,図21に示した認証処理において,第1の乱数の暗号化及び送信を省略することができる。この場合でも,共通鍵の種を通信装置Aから通信装置Bに安全に送信するために,通信装置Bの公開鍵Bを用いた暗号化を行うとよいが,公開鍵Bに付されたデジタル署名の正当性を確認することは行わなくてよい。そして,この場合の認証処理は,図23に示すように簡略化されたものになる。すなわち,通信装置A側のステップS112及びS113の処理は不要となり,通信装置B側のステップS121の処理も不要となる。また,その他の処理も一部簡略化することができる。
【0014】
以上のような認証処理においては,公開鍵で暗号化された内容は対応する私有鍵を持つ装置でしか復号できず,また,私有鍵で暗号化された内容は対応する公開鍵でしか復号できないことを利用して,通信相手が公開鍵証明書にその発行先として記載されている装置である(又はその装置の利用者が公開鍵証明書にその発行先として記載されている利用者である)と認証することになる。」
B 「【0016】
ところで,公開鍵暗号方式においては,鍵長にもよるが,時間をかければ公開鍵から私有鍵を導くことができる。そして,私有鍵がわかってしまえば,第3者がその私有鍵の持ち主になりすますことが可能になるので,認証の確実性や通信の安全性が保たれない。そこで,上述のように鍵に有効期限を設け,所定期間毎に鍵のセットを更新するというセキュリティポリシーを採用するユーザが増えている。このため,例えば上記のような相互認証を利用した遠隔管理システム等を提供する場合には,顧客に対し,鍵の更新が可能なシステムであるという保証を行う必要が生じている。
【0017】
また,第3者機関により公開鍵証明書を発行するサービスも提供されているが,このような機関が発行する公開鍵証明書は,安全性を考慮し,有効期間が1~3年程度と短い。そして,この期間が過ぎた証明書では認証が失敗するようにしてある。そこで,このような第3者機関が発行した公開鍵証明書を利用しようとする場合には,有効期間が経過する前に証明書を新しいものに更新する必要がある。
なお,上述した特許文献3及び4に記載の技術は,他の装置から受信したその送信元装置の公開鍵を,単にその送信元装置の情報と対応させて管理したり有効性を検証したりすることが記載されているのみであり,新たな公開鍵証明書の発行については特に記載されていない。
【0018】
公開鍵証明書を用いて認証を受ける通信装置にこのような更新用の新しい公開鍵証明書を配布する方式としては,使用中の公開鍵証明書の有効期限が切れる前に,CAが通信装置に対して新たな公開鍵証明書と私有鍵を発行し,これらとルート鍵証明書のセットを,CAあるいはそれに代わる管理装置が,使用中の公開鍵証明書を用いて確立したSSLによる通信経路で更新対象の装置に送信して設定させる方式が考えられる。
このようにすれば,通信装置が認証に使用する公開鍵証明書等を,有効期限が切れる前に自動的に更新することができるので,ユーザの手を煩わせることなく,通信装置を認証可能な状態に保つことができる。また,インターネットを介して送信を行う場合でも,安全な通信経路を確保して公開鍵証明書等の転送を行うことができる。
【0019】
しかしながら,SSLを用いて安全な通信経路を確保したとしても,インターネットを経由して通信する場合,どのようなサーバを介して情報が転送されるかわからないのであるから,転送する情報を盗み見られたり,改竄されたりする可能性はゼロではない。そして,万一私有鍵を盗み見られてしまうと,なりすましが可能になってしまうので,このような危険性は例え僅かなものであっても排除したいという要求があった。
この発明は,このような要求に応え,通信装置が認証に使用する公開鍵証明書を自動的に更新することを可能としながら,私有鍵の漏洩の可能性を低下させ,安全な更新を実現させることを目的とする。」
C 「【0067】
まず,図10のシーケンス図に,更新処理全体の流れを示す。
図10に示すとおり,この処理においては,管理対象機器40は,管理装置30との間の認証処理に使用する公開鍵証明書の有効期限の一定期間前(例えば1ヶ月前)になったことを検出すると(S11),公開鍵証明書の更新時期になったと判断し,以下の証明書更新に関する処理を行う。なお,公開鍵更新に関する処理を開始する条件は,別の基準で定めるようにしてもよい。
そして,ステップS12以下においては,まず鍵生成部48の機能により,新たな公開鍵と私有鍵のペアを,更新用鍵ペアとして生成する(S12)。その後,管理装置30に通信を要求して通常通り認証処理に使用するものとして設定されている証明書を用いた認証処理を行い(S13),認証が成功したら,鍵通知部49の機能により,ステップS12で生成した新たな公開鍵を更新用公開鍵として記載した自己生成公開鍵通知を管理装置30に送信する(S14)。なお,自己生成公開鍵通知は,管理装置30に対して,送信した公開鍵にデジタル署名を付して公開鍵証明書を発行することを要求するコマンドであると考えることもできる。また,ステップS13での認証は,相互認証が好ましいが,少なくとも管理装置30が管理対象機器40を認証できれば,相互認証でも片方向認証でも構わない。
【0068】
管理装置30は,管理対象機器から自己生成公開鍵通知を受信すると,要求通り公開鍵証明書を発行してよいかどうか判断するため,証明書審査部36の機能により,通知の送信元である管理対象機器40を審査する(S15)。この審査は,受信した公開鍵自体の情報の他,ステップS13での認証処理時に管理対象機器40から受信した公開鍵証明書に記載されている事項も用いて行うが,その内容に付いては後に詳述する。
【0069】
そして,管理対象機器40が審査に合格した場合,証明書発行部37の機能により,受信した更新用公開鍵にデジタル署名を付して更新用公開鍵証明書を作成して発行し,これを証明書記憶部34のデータベースに登録する(S16)。そして,作成した更新用公開鍵証明書を管理対象機器40に送信する(S17)。この送信は,ステップS14で受信したコマンドに対する応答であると考えることができる。また,更新用公開鍵証明書の有効期限は,通常は少なくとも管理対象装置40に現在設定されている証明書の有効期限よりは後である。
そして,更新用公開鍵証明書を受信した管理対象機器40は,その受信した更新用公開鍵証明書と,ステップS12で生成した更新用私有鍵とを,管理装置30との間の認証処理に使用する公開鍵証明書及び私有鍵として設定する(S18)。
【0070】
以上の処理により,管理対象機器40は,それまで使用していた公開鍵証明書よりも有効期限までの期間が長い公開鍵証明書を取得し,以後これを用いて管理装置30との間の認証処理を行うことができるようにするとことができる。そして,このような処理を行うことにより,管理対象機器40が管理装置30と通信可能な状態である場合には公開鍵証明書の更新が可能となる。この処理は,管理対象機器40に設定されている証明書がオリジナル証明書である場合にも,既に更新が行われた証明書である場合(2回目以降の更新を行う場合)でも,同様に行うことができる。
以下,このような更新処理を行う場合に管理装置30及び管理対象機器40が実行する処理について,より詳細に説明する。」
D 「【0085】
次に,図18に,図10に示した処理を実行する場合の管理対象機器40側の処理のフローチャートを示す。この図に示す処理は,管理対象機器40のCPUが所要の制御プログラムを実行することにより行うものである。
そして,管理対象機器40のCPUは,管理装置30との間の認証処理に使用する公開鍵証明書の有効期限が近づいたことを検知すると,図18のフローチャートに示す処理を開始する。なお,上述したように,この処理の開始条件すなわち公開鍵証明書の更新処理を行う条件は,別の基準で定めるようにしてもよい。
【0086】
そして,まずステップS41で,更新用の一対の鍵ペアとして,更新用公開鍵と,その公開鍵と対応する更新用私有鍵を生成する。この生成の際には,図12に示したように,鍵本体の他,必要な書誌情報も付すものとする。
その後,ステップS42で管理装置30に通信を要求し,ステップS43で管理装置30との間でSSLによる認証処理を行う。このとき,少なくとも管理対象機器40が管理装置に認証を受けるが,逆に管理対象機器40も管理装置30を認証するようにするとよく,この場合,例えば背景技術の項で図21を用いて説明した認証処理を採用することができる。
そして,ステップS43での認証処理が成功すると,ステップS44で更新用公開鍵を記載した自己生成公開鍵通知を生成し,この通知により更新用公開鍵を管理装置30に送信する。そして,管理装置30からの応答を待ち,ステップS45でこの応答を受信する。
【0087】
図11を用いて説明した通り,管理装置30からの応答には,管理装置30が更新用公開鍵にデジタル署名を付して発行した更新用公開鍵証明書及びその正当性を確認するためのルート鍵証明書か,またはエラー通知が記載されているはずである。そこで,次のステップS46で,更新用公開鍵証明書を受信したか否か判断する。
ここで受信していればステップS47に進み,受信した更新用公開鍵証明書の正当性を,共に受信したルート鍵証明書を用いて確認する。そして,これが確認できると,ステップS48からS49に進み,受信した更新用公開鍵証明書と,ステップS41で生成した更新用私有鍵とを,管理装置30との通信に使用するものとして設定して処理を終了する。
【0088】
一方,ステップS46で更新用公開鍵証明書を受信していない(エラー通知を受信した)場合,あるいはステップS48で更新用公開鍵証明書の正当性が確認できなかった場合には,ステップS50でエラー処理をして終了する。
なお,エラー処理の内容はエラー通知の内容や更新用公開鍵証明書の確認結果に応じて異なるものであり,例えば更新用公開鍵証明書の正当性を確認できなかった場合には,証明書が破損していたと判断して再度図18のフローチャートの処理を繰り返したり,管理契約期間が延長されていなかった場合には延長の案内メッセージを表示部に表示させたりといった動作が考えられる。
また,図16及び図17に示した例のように応答に審査結果を記載するようにした場合には,ステップS47でその審査結果がOKかNGかを判断するようにしてもよい。この場合,OKがYESに,NGがNOに該当する。
【0089】
以上の処理により,更新が成功した場合には,管理対象機器40自身が生成した公開鍵に管理装置30がデジタル署名を付して作成した公開鍵証明書を,管理装置30との間の認証に使用する公開鍵証明書として設定することができる。また,私有鍵についても,管理対象機器40自身が生成した公開鍵と対応する私有鍵を,管理装置30との間の認証に使用するものとして設定することができる。
この場合において,図9に示したような更新前の証明書メモリの内容は,公開鍵証明書及び私有鍵の部分が更新後のものに置き換えられる。」
上記Aの「この発明は,このような要求に応え,通信装置が認証に使用する公開鍵証明書を自動的に更新することを可能としながら,私有鍵の漏洩の可能性を低下させ,安全な更新を実現させることを目的とする。」との記載,及び,上記Cの「管理対象機器40のCPUが所要の制御プログラムを実行することにより行うものである。」との記載から,引用文献1には,“認証に使用する公開鍵証明書を自動的に更新することを,管理対象機器のCPUにより実行する制御プログラム”について記載されているといえる。
また,上記管理対象機器の処理として,上記Cの記載から,
“管理対象機器のCPUが,管理装置との間の認証処理に使用する公開鍵証明書の有効期限が近づいたことを検知すると,
更新用の一対の鍵ペアとして,更新用公開鍵と,その公開鍵と対応する更新用私有鍵を生成し,
管理装置に通信を要求し,管理装置との間でSSLによる認証処理を行い,
認証処理が成功すると,更新用公開鍵を記載した自己生成公開鍵通知を生成し,この通知により更新用公開鍵を管理装置に送信し,
管理装置からの応答として,更新用公開鍵証明書を受信したか否か判断し,
ここで受信していれば,受信した更新用公開鍵証明書の正当性を,共に受信したルート鍵証明書を用いて確認し,これが確認できると,受信した更新用公開鍵証明書と,生成した更新用私有鍵とを,管理装置との通信に使用するものとして設定する”
ことが読み取れる。
また,上記“管理装置との間”で行う“認証処理”に関し,上記Bの「管理装置30に通信を要求して通常通り認証処理に使用するものとして設定されている証明書を用いた認証処理を行い」との記載から,上記“認証処理は,現在設定されている公開鍵証明書を用いて行われるものであ”ることが読み取れる。
また,上記“認証処理”の成功後に生成される上記“自己生成公開鍵通知”に関し,上記Bの「自己生成公開鍵通知は,管理装置30に対して,送信した公開鍵にデジタル署名を付して公開鍵証明書を発行することを要求するコマンドであると考えることもできる」との記載から,上記“自己生成公開鍵通知は,管理装置に対して,送信した公開鍵にデジタル署名を付して公開鍵証明書を発行することを要求するコマンドであると考えることもできる”ことが読み取れる。
また,上記“SSLによる認証処理”の成功後の“管理装置”との情報のやり取りに関し,上記Aの「SSLに従った相互認証を行う場合の通信手順について,認証処理の部分に焦点を当てて説明する」との記載,同じく上記Aの「通信装置A側のステップS117と通信装置B側のステップS126の処理が終了すると,相互に認証の成功と以後の通信に使用する暗号化方式とを確認し,生成した共通鍵を用いてその暗号化方式で以後の通信を行うものとして認証に関する処理を終了する。・・・以上の処理によって互いに通信を確立し,以後はステップS117又はS126で生成した共通鍵を用い,共通鍵暗号方式でデータを暗号化して通信を行うことができる。このような処理を行うことにより,通信装置Aと通信装置Bが互いに相手を認証した上で安全に共通鍵を共有することができ,通信を安全に行う経路を確立することができる。」との記載から,上記“SSLによる認証処理”の成功後の“管理装置”との“自己生成公開鍵通知に記載された更新用公開鍵”及び“更新用公開鍵証明書”のやり取りは,“生成した共通鍵を用いてデータを暗号化して行う”ことが読み取れる。
また,上記Bの「管理対象機器40が管理装置30と通信可能な状態である場合には公開鍵証明書の更新が可能となる。この処理は,管理対象機器40に設定されている証明書がオリジナル証明書である場合にも,既に更新が行われた証明書である場合(2回目以降の更新を行う場合)でも,同様に行うことができる」との記載から,“更新処理は,既に更新が行われた証明書である場合(2回目以降の更新を行う場合)でも,同様に行うことができる”ことが読み取れる。
以上の検討から,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
認証に使用する公開鍵証明書を自動的に更新することを,管理対象機器のCPUにより実行する制御プログラムであって,
前記管理対象機器の処理として,
前記管理対象機器のCPUが,管理装置との間の認証処理に使用する公開鍵証明書の有効期限が近づいたことを検知すると,
更新用の一対の鍵ペアとして,更新用公開鍵と,その公開鍵と対応する更新用私有鍵を生成し,
前記管理装置に通信を要求し,前記管理装置との間でSSLによる認証処理を行い,
認証処理が成功すると,更新用公開鍵を記載した自己生成公開鍵通知を生成し,この通知により更新用公開鍵を前記管理装置に送信し,
前記管理装置からの応答として,更新用公開鍵証明書を受信したか否か判断し,
ここで受信していれば,受信した更新用公開鍵証明書の正当性を,共に受信したルート鍵証明書を用いて確認し,これが確認できると,受信した更新用公開鍵証明書と,生成した更新用私有鍵とを,前記管理装置との通信に使用するものとして設定する,
ことを行わせ,
上記認証処理は,現在設定されている公開鍵証明書を用いて行われるものであり,
上記自己生成公開鍵通知は,前記管理装置に対して,送信した公開鍵にデジタル署名を付して公開鍵証明書を発行することを要求するコマンドであると考えることもでき,
上記SSLによる認証処理の成功後の前記管理装置との自己生成公開鍵通知に記載された更新用公開鍵及び更新用公開鍵証明書のやり取りは,生成した共通鍵を用いてデータを暗号化して行うものであり,
上記更新処理は,既に更新が行われた証明書である場合(2回目以降の更新を行う場合)でも,同様に行うことができる,
制御プログラム。
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され,当審拒絶理由通知1にも引用された引用文献2(盛合志帆,インターネットにおけるコンテンツ保護技術,映像情報メディア学会誌,映像情報メディア学会,2005年4月1日,Vol. 59, No. 4,pp. 532-537)には,SSLにおいて鍵共有するための方式としてDiffie-Hellman方式を用いる,との技術事項が記載されている。
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用され,当審拒絶理由通知1にも引用された引用文献3(特開2009-118350号公報)の特に段落【0045】-【0058】には,処理要求を受信した回数を計数し,当該回数が閾値を超えたら当該処理要求を不正な要求と判断する,との技術事項が記載されている。
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用され,当審拒絶理由通知1にも引用された引用文献4(相澤英孝,他,暗号と特許,日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ,日本銀行金融研究所,1998年 6月,No.98-J-9,pp.34-36,79-82)の特に「5.鍵配送・共有方式」(34-35頁),脚注207(80頁)には,鍵共有のためのDiffie-Hellman方式として,利用者Aと利用者Bとが同一の鍵Kを得るために,利用者Aが,秘密の乱数XAを生成し,乱数XAからYA=α^XA(mod p)を生成し,利用者BにYAを送信し,利用者Bが,秘密の乱数XBを生成し,乱数XBからYB=α^XB(mod p)を生成し,利用者AにYBを送信し,利用者Aが鍵K=α^YBXA(mod p)を生成し,また,利用者Bが鍵K=α^YAXB(mod p)を生成する方式,が記載されている。
5.引用文献Eについて
当審拒絶理由通知1に引用された引用文献E(特開2001-320356号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
E 「【0133】図20は,ルート登録局(ルートRA)1601の管理下の登録局(RA)1701であるサービスプロバイダ(SP)が新たな公開鍵,秘密鍵を生成して,新たに生成した公開鍵の証明書の発行を行なう手続き,すなわち更新処理を示した図である。
【0134】まず,登録局(RA)1701は,新たな公開鍵,秘密鍵を生成する。次に登録局(RA)1701とルート登録局(ルートRA)1601との間で相互認証処理を実行する。これは,現鍵(現在(更新前)の公開鍵,秘密鍵)を用いた相互認証処理,すなわち図14で説明した非対象鍵暗号を用いた処理として実行できる。
【0135】次に,登録局(RA)1701は,登録局(RA)1701が新たに生成した公開鍵KpSP’を自己の秘密鍵で署名して,さらに相互認証時に生成したセッション鍵で暗号化してデータEKs({KpSp’}Sig・KsSP)を生成してルート登録局(ルートRA)1601に送信する。このデータを受領したルート登録局(ルートRA)1601は,失効チェックを実行する。失効チェックは,先の図9,図10で説明した失効リストに失効する公開鍵データを書き込む処理として実行される。」
6.引用文献Fについて
当審拒絶理由通知1に引用された引用文献F(特開2002-297548号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
F 「【0043】また,端末登録装置20に登録した端末10の公開鍵は,所定の時期に更新することができる。この鍵更新は,端末側の主導で行っても,端末登録装置側の主導で行っても良い。
【0044】この場合,端末10では,キーペア生成手段13が新公開鍵と新秘密鍵とのペアを生成し,図7に示すように,署名生成手段17が,新公開鍵と端末IDとから成るデータの一方向性ハッシュ値を計算し,このハッシュ値を旧秘密鍵で暗号化して署名データ(旧署名(新公開鍵,端末ID))を生成する。そして,この署名データと新公開鍵と端末IDとを含む更新登録要請データを送受信手段18から端末登録装置20に送信する。
【0045】端末登録装置20では,送受信手段23が更新登録要請データを受信すると,署名検証手段24は,更新登録要請データから,端末IDと新公開鍵とを取り出し,その一方向性ハッシュ値を計算する。また,認証端末記憶手段22から,端末IDに対応する旧公開鍵を読み出し,旧署名(新公開鍵,端末ID)を旧公開鍵を復号化し,その値と,計算したハッシュ値とが一致しているかどうかを判定する。一致しているときは,正当な端末10からの更新登録要求であると判断し,認証端末記憶手段22に格納している,その端末の端末IDに対応する公開鍵を新公開鍵に更新し,送受信手段23から,更新登録完了を示す更新登録確認データを端末10に返信する。この更新登録確認データを受信した端末10では,キーペア生成手段13が生成した新キーペアをキーペア格納手段14に格納する。
【0046】このように,一旦登録した端末の公開鍵の更新についても,安全に行うことができる。端末登録装置20は,鍵の有効期間を設定して,鍵の更新を定期的に行わせることにより,登録機関としての信頼性を高めることができる。」
7.引用文献Gについて
当審拒絶理由通知1に引用された引用文献G(特開2001-111538号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
G 「【0045】このような状態において,まず,ゲートウェイ10が使用する鍵を更新する処理について説明する。その場合,まずゲートウェイ10の計算機システムは,装着されているICカード40に対して新たなRSA鍵ペアの生成を要求する(○1(当審注:丸数字の1を意味する。以下,同様。))。ICカード40では,これに基づいて,RSA鍵生成部41でRSA鍵ペアを生成し,公開鍵(図中では,V溝を有するシンボルA2 )を新公開鍵記憶部42に,秘密鍵(図中では,V山を有するシンボルA2 )を新秘密鍵記憶部43に記憶する。新たな鍵の生成が終了したら,計算機システムは,ICカード40に対して,現在の秘密鍵で署名を行なった新たな公開鍵を要求する。その結果,ICカード40においては,署名部45において,新公開鍵記憶部42に記憶されている新たな公開鍵が,現秘密鍵記憶部44に記憶されている現在用いられている秘密鍵を用いて署名され,インターフェイス部46を介して計算機システムに送信される(○2)。
【0046】このようにして得られた現秘密鍵により署名された新公開鍵は,ゲートウェイ10より認証局30に送信され,認証局30に新公開鍵が通知されるとともに,新公開鍵に対する電子証明書の発行が要求される(○3)。認証局30においては,ゲートウェイ10の現公開鍵を用いて送信された内容を検査し,確かにゲートウェイ10から送信されたものであること確認すると,その新たなゲートウェイ10の公開鍵を記憶しておく。また,自分(認証局30)の秘密鍵によりゲートウェイ10の新公開鍵に署名を行なって電子証明書を作成し,ゲートウェイ10に送信する(○4)。ゲートウェイ10においては,送信された電子証明書を,認証局30の公開鍵を用いて検査し,確かに認証局30により作成された電子証明書であることを確認する。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「現在設定されている公開鍵証明書」,「更新用公開鍵」,「更新用公開鍵証明書」,「管理装置」は,それぞれ本願発明1の「第1の公開鍵証明書」,「第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵」,「第2の公開鍵証明書」,「サーバ」に相当する。
イ 引用発明は,「認証処理が成功すると,更新用公開鍵を記載した自己生成公開鍵通知を生成し,この通知により更新用公開鍵を前記管理装置に送信」するものであって,「上記自己生成公開鍵通知は,前記管理装置に対して,送信した公開鍵にデジタル署名を付して公開鍵証明書を発行することを要求するコマンドであると考えることもでき」るところ,この場合の「更新用公開鍵を記載した自己生成公開鍵通知」の送信は「SSLによる認証処理」の「成功」後であるから,データを暗号化して送信するセキュアな通信におけるものであるといえる。
そうすると,後記する点で相違するものの,本願発明1の,「前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い」と,引用発明の,「認証処理が成功すると,更新用公開鍵を記載した自己生成公開鍵通知を生成し,この通知により更新用公開鍵を前記管理装置に送信」するものであって,「上記自己生成公開鍵通知は,前記管理装置に対して,送信した公開鍵にデジタル署名を付して公開鍵証明書を発行することを要求するコマンドであると考えることもでき」ることとは,“セキュアな通信において,第2の公開鍵証明書の発行要求を行い”である点で共通する。
ウ 引用発明は,「前記管理装置からの応答として,更新用公開鍵証明書を受信したか否か判断し,ここで受信していれば,受信した更新用公開鍵証明書の正当性を,共に受信したルート鍵証明書を用いて確認」するものであるから,後記する点で相違するものの,本願発明1の,「前記サーバから,前記一時共通鍵で暗号化された前記第2の公開鍵証明書を前記セキュアな通信により受領し,該一時共通鍵で該第2の公開鍵証明書を復号し」と,引用発明の,「前記管理装置からの応答として,更新用公開鍵証明書を受信したか否か判断し,ここで受信していれば,受信した更新用公開鍵証明書の正当性を,共に受信したルート鍵証明書を用いて確認」することとは,“サーバから,前記第2の公開鍵証明書を前記セキュアな通信により受領し”である点で共通する。
エ 引用発明である「管理対象機器のCPUにより実行する制御プログラム」は,本願発明1である「コンピュータに実行させる更新プログラム」に対応する。
オ 上記アないしエの検討から,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「セキュアな通信において,第2の公開鍵証明書の発行要求を行い,
サーバから,前記第2の公開鍵証明書を前記セキュアな通信により受領する
処理をコンピュータに実行させる更新プログラム。」
(相違点1)
本願発明1は,「メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバに対し一時的に利用する一時サーバ公開鍵を要求」するものであるのに対して,
引用発明は,そのような特定はなされていない点。
(相違点2)
本願発明1は,「一時的に利用する一時クライアント鍵ペアを生成し,該一時クライアント鍵ペアのうち一時クライアント秘密鍵と前記サーバから前記セキュアな通信により受信した前記一時サーバ公開鍵とで一時共通鍵を生成」するものであるのに対して,
引用発明は,共通鍵の生成についてそのような特定はなされていない点。
(相違点3)
第2の公開鍵証明書の発行要求に関し,
本願発明1は,「一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで」,第2の公開鍵証明書の発行要求を行うものであるのに対して,
引用発明は,公開鍵証明書を発行することを要求するコマンドである自己生成公開鍵通知についてそのような特定はなされていない点。
(相違点4)
サーバからの第2の公開鍵証明書の受領に関し,
本願発明1は,「一時共通鍵で暗号化された」第2の公開鍵証明書をセキュアな通信により受領し,「一時共通鍵で該第2の公開鍵証明書を復号」するものであるのに対して,
引用発明は,受信した更新用公開鍵証明書についてそのような特定はなされていない点。
(相違点5)
本願発明1は,「第1の公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合は,前記セキュアな通信において,前記第2の公開鍵証明書に対応する第2のクライアント秘密鍵による電子署名をメッセージに付与して前記サーバと通信する」ものであるのに対して,
引用発明は,受信した更新用公開鍵証明書を,管理装置との通信に使用するものの,受信した更新用公開鍵証明書の使用を開始するのが,現在設定されている公開鍵証明書の有効期限が過ぎた場合であるとは特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて,上記相違点1及び3について,まとめて検討する。
上記相違点1及び3に係る構成は,「有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバに対し一時的に利用する一時サーバ公開鍵を要求」するものであるとともに,「サーバ」に対する,「一時的に利用する一時サーバ公開鍵」の「要求」,及び,上記「第2の公開鍵証明書」の発行要求のいずれも,「1の公開鍵証明書を用い」て行うものであり,これにより,「現行世代クライアント秘密鍵6bが推定されるリスクを大幅に低減することができる。第1に,現行世代クライアント公開鍵証明書6kに対する長期間にわたる推定に対抗するために,本実施例では,現行世代クライアント公開鍵証明書6kが使用されてからなるべく早い時期において,現行世代クライアント公開鍵証明書6kがクライアント5からサーバ100に送信されたタイミングで,サーバ100から次世代クライアント公開鍵証明書6k'をセキュアにクライアント5に返信する。・・・従って,現行世代クライアント公開鍵6aが第三者に推定される前に,次世代クライアント公開鍵6a'に切り替えることが可能となる。」(【0257】~【0260】)との効果を奏するものである。
そして,上記相違点1及び3に係る構成は,上記引用文献2ないし4,並びに,EないしGのいずれにも記載されておらず,また,本願出願日前において周知技術であるともいえない。
そうすると,引用発明に基づいて,相違点1及び3に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得ることであるとはいえない。
したがって,本願発明1は,相違点2,4,5を検討するまでもなく,当業者であっても引用発明,引用文献2ないし4,並びに,EないしGに記載された技術的事項,及び,周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-17について
本願発明4-6,10-17は,本願発明1と実質同様の構成を有するか,カテゴリーが異なるだけであり,本願発明1の相違点1及び3に係る構成と同一または同様の構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,引用発明,引用文献2ないし4,並びに,EないしGに記載された技術的事項,及び,周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
本願発明2,3,7-9は,本願発明1,6を更に限定したものであるので,本願発明1と同様の理由により,引用発明,引用文献2ないし4,並びに,EないしGに記載された技術的事項,及び,周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
(特許法第29条第2項について)
原査定は,請求項1-18について上記引用文献1ないし4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら,令和元年6月20日付けの手続補正により補正された請求項1-17は,それぞれ相違点1及び3に係る構成を有するものとなっており,
上記第6のとおり,本願発明1-17は,上記引用発明,引用文献2ないし4,並びに,EないしGに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由について
1.特許法第29条第2項について
上記「第6 対比・判断」で検討のとおり,令和元年6月20日付けの手続補正により,この拒絶の理由は解消した。
2.特許法第36条第6項第2号について
(1)当審拒絶理由通知1では,請求項1-14,16-18の記載において,「第1の公開鍵証明書の有効期限まで,該第1の公開鍵証明書を用いた通信が可能な状態で」との語句がどこに係っているのか日本語として不明瞭であるとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,当該記載は削除された結果,この拒絶の理由は解消した。
(2)当審拒絶理由通知1では,請求項1-18の記載において,「前記第1の公開鍵証明書を最初に用いた,サーバに対するセキュアな通信接続が開始される毎に,」という語句がどこに係っているのかが明確でなく,当該セキュアな通信接続が開始される毎に行われる処理が,請求項1-18に記載された処理のうちどこまでを含むのかを明確に把握できないとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(3)当審拒絶理由通知1では,請求項1-18に記載の「公開鍵証明書を用いた」「セキュアな通信」は,具体的にどのような内容の通信を意味しているのかが明確でないとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバに対し一時的に利用する一時サーバ公開鍵を要求し」,及び,「前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(4)当審拒絶理由通知1では,請求項2,4に記載の「前記セキュアな通信接続」について,請求項2,4には「セキュアな通信接続」は前記されておらず,他方,請求項2,4が引用する請求項1には,文言として,「前記第1の公開鍵証明書を最初に用いた,サーバに対するセキュアな通信接続」,「前記第1の公開鍵証明書を用いたセキュアな通信」,「前記第2の公開鍵証明書を用いて前記サーバとセキュアな通信」の3つの「セキュアな通信(接続)」が記載されており,これらが対応しているようにも見受けられるが,上記「前記セキュアな通信接続」は,これらのうちいずれを表しているのか依然明確でないとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「前記一時クライアント公開鍵を前記サーバに送信することで,該サーバとの間で一時共通鍵が共有され,前記第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵を送信することで,該サーバに前記第2の公開鍵証明書の発行要求を行う」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(5)当審拒絶理由通知1では,請求項3の「前記第1の公開鍵証明書を前記サーバに送出するタイミング」は,どのタイミングであるのかが不明であるとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「該有効期限が過ぎたことにより該第2の公開鍵証明書へと切り替えられ前記サーバへ初めて送出したタイミング」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(6)当審拒絶理由通知1では,請求項4に記載の「前記第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵に,前記第1の公開鍵証明書に対応するクライアント秘密鍵を用いて電子署名を付与する処理」について,請求項4が引用する請求項1に記載の「第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用いたセキュアな通信により前記サーバへ送信する」こととの技術的関係が明確でないとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,請求項4を削除した結果,この拒絶の理由は解消した。
(7)当審拒絶理由通知1では,請求項7-12の「前記クライアントから第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,」との記載は誤記であるとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,請求項6について,「前記クライアントからの第2の公開鍵証明書の発行要求に対して,」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(8)当審拒絶理由通知2では,請求項1-17の「前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い」との記載は,「第2の公開鍵証明書の発行要求」を「第1の公開鍵証明書」を用いて行うことが明確に記載されておらず,当該「第2の公開鍵証明書の発行要求」がどのような態様で行われているのか不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(9)当審拒絶理由通知2では,請求項3の「該有効期限が過ぎたことにより該第2の公開鍵証明書へと切り替えられ前記サーバへ初めて送出たタイミングで,前記発行要求を行う」との記載は,「前記発行要求」が,「第2の公開鍵証明書」の発行要求であるのか,或いは,それ以外の公開鍵証明書の「発行要求」であるのか,不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「該有効期限が過ぎたことにより該第2の公開鍵証明書へと切り替えられ前記サーバへ初めて送出したタイミングで,次の公開鍵証明書の発行要求を行う」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(10)当審拒絶理由通知2では,請求項6-11の「前記セキュアな通信により,前記クライアントから,一時クライアント公開鍵と,一時共通鍵によって暗号化されたクライアント公開鍵とを受信し」との記載は,クライアント側における「一時共通鍵」がどのように生成されたのか記載されておらず,また,上記「受信」において受信する内容に「第2の公開鍵証明書の発行要求」が含まれておらず前後の記載との間で整合性を欠いており,不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「前記セキュアな通信により,前記クライアントから,前記第1の公開鍵証明書を用い,一時クライアント公開鍵と,前記一時サーバ公開鍵と一時クライアント秘密鍵から生成された一時共通鍵によって暗号化されたクライアント公開鍵とを含む第2の公開鍵証明書の発行要求を受信し」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
3.特許法第36条第6項第1号について
(1)当審拒絶理由通知1では,請求項1-18の記載においては,クライアントとサーバで送受信される全てのメッセージが「PKIに基づき暗号化され」たものであることは必ずしも特定されておらず,結果,請求項1-18に係る発明は,発明の詳細な説明に記載された実施例に対応しないものとなっているとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,「メッセージを暗号化して送受信するサーバとのセキュアな通信において,暗号化された該メッセージに対して,第1の公開鍵証明書に対応する第1のクライアント秘密鍵による電子署名を付与し,有効期限付きの該第1の公開鍵証明書を初めて用いた,該サーバへの接続のときに,該サーバに対し一時的に利用する一時サーバ公開鍵を要求し」,及び,「前記セキュアな通信において,前記一時クライアント秘密鍵とペアとなる一時クライアント公開鍵と,生成した前記一時共通鍵で暗号化した第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵とを,前記第1の公開鍵証明書を用い,前記第1の公開鍵証明書に対応する前記第1のクライアント秘密鍵による前記電子署名を付与して前記サーバへ送信することで,該第2の公開鍵証明書の発行要求を行い」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
(2)当審拒絶理由通知1では,請求項4の「前記第2の公開鍵証明書に対応付けられるクライアント公開鍵に,前記第1の公開鍵証明書に対応するクライアント秘密鍵を用いて電子署名を付与する」ことは,発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの手続補正において,請求項4を削除した結果,この拒絶の理由は解消した。
4.特許法第36条第4項第1号について
(1)当審拒絶理由通知1では,発明の詳細な説明に記載された実施例においては,クライアントとサーバで送受信されるメッセージは「PKIに基づき暗号化され」ており,具体的には,「送信元の公開鍵を示す公開鍵証明書6k(又は7k)と,メッセージ1mと,送信元の電子署名6e(又は7e)とを含む」データとして送受信されるものであるが(段落【0028】-【0039】,図2-3,8等),当該構成について,PKIに基づく暗号化として上記のように送受信されるメッセージに「送信元の公開鍵を示す公開鍵証明書」を付加して送信することにより,如何なる技術的課題を解決しようとしているのか,その技術的意義を理解することができないとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年6月20日付けの意見書において,暗号化して送受信されるメッセージに「送信元の公開鍵を示す公開鍵証明書」を付加して送信することが可能であり,それを提示したものである旨釈明された結果,この拒絶の理由は解消した。
第9 むすび
以上のとおり,本願発明1-17は,当業者が引用発明,引用文献2ないし4,並びに,EないしGに記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。
したがって,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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2018-006820