特許拒絶査定不服審判
2018-003239
相補型バックエンドオブライン(BEOL)キャパシタ
- 審判番号
- 2018-003239
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-558082外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月06日
- 審決日
- 2019年09月30日
- 公報発行日
- 2020年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クアルコム,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】黒田 晋平
- 分類
- P18 .121-WZ (H01L) / P18 .536-WZ (H01L) / P18 .537-WZ (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-558082「相補型バックエンドオブライン(BEOL)キャパシタ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月28日国際公開、WO2014/130299、平成28年 4月21日国内公表、特表2016-511941〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、2014年2月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年2月19日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年10月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成30年3月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年5月23日に上申書が提出された。その後当審において、平成31年4月10日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何の応答もない。
2 当審の拒絶理由
当審において平成31年4月10日付けで通知した拒絶の理由の概要は、
「●理由1(進歩性)
本件出願の請求項1~6に係る発明は、その優先日前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、「米国特許出願公開第2009/0014832号明細書(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1)」に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というもの、
「●理由2(サポート要件)
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」というもの、
「●理由3(明確性)
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」というもの、
「●理由4(実施可能要件)
本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」というものである。
3 本願発明
本願の請求項1~10に係る発明は、平成30年3月6日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載されている事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
金属酸化物金属(MOM)キャパシタ構造であって、前記MOMキャパシタ構造の上位レイヤが集積回路(IC)デバイスの相互接続スタックの第1の上位相互接続層であり、前記MOMキャパシタ構造は前記相互接続スタックの少なくとも1つの下位相互接続層を備え、前記MOMキャパシタ構造は異なる極性の横方向に配置された導電性フィンガを備える、MOMキャパシタ構造と、
前記MOMキャパシタ構造に結合された前記相互接続スタックの第2の上位相互接続層、
前記第1の上位相互接続層と前記第2の上位相互接続層との間の少なくとも1つの金属絶縁体金属(MIM)キャパシタ層と、
前記MOMキャパシタ構造に結合されたMIMキャパシタ構造であり、前記第1の上位相互接続層の一部のみから成る第1のキャパシタプレートと、前記少なくとも1つのMIMキャパシタ層の少なくとも一部を含む第2のキャパシタプレートとを備えるMIMキャパシタ構造と、
前記相互接続スタックの前記第1の上位相互接続層と前記第2の上位相互接続層との間の追加のMIMキャパシタ構造であって、前記追加のMIMキャパシタ構造が、第1のキャパシタプレートと、誘電体層と、第2のキャパシタプレートとしての前記MIMキャパシタ構造の前記第2のキャパシタプレートとを備え、前記追加のMIMキャパシタ構造の前記誘電体層は、前記追加のMIMキャパシタ構造の第1のキャパシタプレートと前記追加のMIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートとの間の、前記追加のMIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートの表面全体に形成されている、追加のMIMキャパシタ構造と、
を備え、
前記MIMキャパシタ構造の第1のキャパシタプレートと、前記MIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートとが物理的に接続されていない、キャパシタ。」
4 引用例の記載と引用発明
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
引用文献1には、FIG 1~FIG 3Bとともに、以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下同じ。)。
「TECHNICAL FIELD
[0001] The present invention relates to a semiconductor device that includes a capacitance, such as an analog/digital converter device or filter device, a device function of which is significantly influenced by a numerical value of the capacitance.」
(「技術分野
[0001] 本発明は、アナログ/デジタル変換デバイスまたはフィルタデバイスのような、静電容量を含む半導体デバイスに関するものであり、そのデバイス機能は静電容量の数値によって有意に影響されたものである。」)(審決注:翻訳は合議体による。以下、同じ。)
「[0004] A second relevant type of capacitor element is a so-called MIM capacitor element, which is a specifically designed capacitor element, formed from a dedicated dielectric layer and metal layer. These layers are formed in the so-called BEOL (back-end-off-line) process for electrically connecting the respective transistor and resistor elements that beforehand were produced in the so-called FEOL (front-and-off-line) process.)
(「[0004] 第2の関連するタイプのキャパシタ素子は、いわゆるMIMキャパシタ素子であり、専用の誘電体層および金属層から形成された、特別に設計されたキャパシタ素子である。いわゆるFEOL(フロント及びオフライン)プロセスで製造された予めのそれぞれのトランジスタや抵抗素子を電気的に接続するために、これらの層は、いわゆるBEOL(バック・エンド・オフライン)プロセスで形成される。」)
「[0005] A third type of relevant capacitor element is formed by using existing wiring layers, e.g., VPP structures, GRID structures or sandwich structures.」
(「[0005] 第3のタイプの関連するキャパシタ素子は、既存の配線層、例えVPP構造、グリッド構造、またはサンドイッチ構造を利用して形成される。」)
「[0014] Furthermore, in an embodiment of the invention the above mentioned combinations of capacitor elements being formed in different process steps or capacitor elements being formed basically at the same process stage but, with different dielectric materials or oxides, respectively, may be combined with each other in sophisticated multi-capacitor semiconductor devices with essentially reduced total capacitance value fluctuation.」
(「[0014] さらに、本発明の実施形態において、異なるプロセスステップで形成されたキャパシタ素子の上述の組み合わせ、あるいは同じプロセスステップで基本的に形成されたキャパシタ素子は、しかしながら、異なる誘電体材料または酸化物を用いて、それぞれ、本質的に減少した全静電容量値の変動を有する、高度なマルチキャパシタ型の半導体デバイスにおいて、互いに組み合わせてもよい。」)
「[0018] FIGS. 2A to 2E show several cross-sections of a BEOL metallization structure of a semiconductor device according to a first embodiment of the invention, and FIG. 2F is a schematic circuit diagram of the resulting total capacitance;」
(「[0018] 図2Aから図2Eは、本発明の第1の実施形態に係る半導体デバイスの後工程(BEOL)メタライゼーション構造のいくつかの断面を示し、図2Fは、結果的に得られる全静電容量の概略回路図である。」)
「[0024] FIGS. 2A to 2E show several vertical cross-sections of the metallization layer structure (VPP capacitors and MIM capacitors) of a semiconductor device, not showing those layers that belong to the so-called FEOL. In all of these figures, only the respective metal (e.g., aluminum) layers and vias of the VPP structure are shown, whereas any for the MIM capacitor the dielectric layer is shown (see the description below).」
(「図2Aから図2Eは、半導体デバイスのメタライゼーション層構造(VPPキャパシタとMIMキャパシタ)のいくつかの垂直な断面を示し、いわゆるFEOLに属するそれらの層を示すものではない。これらの図面の全てにおいて、VPP構造のそれぞれの金属(例えば、アルミニウム)層とビアのみが示されているのに対して、MIMキャパシタのためのいずれかの誘電体層が示されている(以下の説明を参照されたい)。」)
「[0025] The BEOL structure of the semiconductor element is shown in FIG. 2A in a first vertical cross-sectional view and in FIG. 2B to 2E in further vertical cross-sectional views, in several sectional planes orthogonal to the sectional plane of FIG. 2A. The several metal layers are connected to form a parallel connection of a first capacitor C 1 (MIM capacitor) and a second capacitor C 2 (VPP capacitor), see especially FIGS. 2A and 2F. It is a design option of the specific layout, to adequately determine the numerical values of C 1 and C 2 such as to achieve the best possible reduction of the capacitance variation, i.e., the most precise total capacitance that may be realized under the given process step fluctuations of the BEOL steps.)
([0025] 半導体素子のBEOL構造が、第1の垂直断面図である図2Aと、図2Aの断面と直交するいくつかの断面の平面における、さらなる垂直断面図である図2Bから2Eとに示される。いくつかの金属層は、第1のキャパシタC1(MIMキャパシタ)と第2のキャパシタC2(VPPキャパシタ)の並列接続を形成するように接続される、特に図2A及び2Fを参照されたい。静電容量の変化量の最大限可能な低減、すなわち、BEOL工程のプロセス工程変動の下で実現することができる最も正確な全静電容量を達成するように、C1およびC2の値を適切に決定することは、特定のレイアウトの設計オプションである。
([0026] The BEOL metallization structure comprises a basically conventional VPP capacitor structure C 2 comprising alternating columns 4 or 5, respectively, of horizontally arranged and vertically stacked strip-shaped metal layers being electrically connected by comprising vias. A metal top layer 6, which is connected to the respective columns 4, in this example. On the other hand, columns 5 are connected to each other and to a superimposed second metal top layer 11 by means of an external wire connection 12 (FIG. 2A ). Thus, as can best be seen in FIG.2A , the VPP capacitor is of a basically comb-like structure of alternating, vertically aligned capacitor "plates" formed by the respective metal strip/via columns 4 and 5.)
(「[0026] BEOLメタライゼーション構造は、ビアを含むことにより電気的に接続され、それぞれ、水平に配置され、垂直方向に重ねられたストリップ状の金属層の交互の列4または5を含む、基本的に従来のVPPキャパシタ構造C2を含む。金属頂部層6は、この例では、それぞれの列4に接続される。一方、列5は、互いに接続され、そして、外部ワイヤ接続手段12によって、重畳された第2の金属頂部層11に接続される(図2A)。このように、図2Aで最もよく分かるように、VPPキャパシタは、それぞれの金属ストリップ/ビアの列4と5によって形成された、交互に、垂直方向に整列されたキャパシタ“プレート”である、基本的に櫛状構造のものである。」)
([0027] On the surface of the lower top metal layer 6, a first conductive layer is arranged, which serves as a bottom electrode 7 of the MIM capacitor C 1. In one example, the top metal layer 6 is aluminum, while the conductive layer is TiN. On this lower MIM capacitor plate 7 an insulating layer 8 is provided, and thereon a second conductive layer 9 serving as a second (top) electrode of the MIM capacitor C 1, is arranged. This top capacitor electrode 9 is connected to the top metal layer 11 by vias 10. Continuing with the example, the conductive layer 9 can be TiN, while the metal layer 11 and vias 10 are Al.)
(「[0027] 下位の頂部金属層6の表面には、第1の導電層が配置されており、MIMキャパシタC1の下部電極7としての役割を果たす。1つの例では、頂部金属層6はアルミニウムであるが、導電層はTiNである。この下位のMIMキャパシタプレート7上に絶縁層8が設けられ、その上にMIMキャパシタC1の第2の(頂部)電極となる第2の導電層9が配置されている。この頂部キャパシタ電極9はビア10によって頂部金属層11に接続される。例を続けると、導電層9はTiNであるが、金属層11とビア10はAlである。」)
([0028] The details (including dimensions) of such structure, as well as the process steps for making the same are basically conventional, and therefore detailed description thereof is left out.」
(「[0028] このような構造体、および同様にそれを作るためのプロセス工程の(寸法を含む)詳細は、基本的に従来のものであり、従ってその詳細な説明は省略される。」)
「What is claimed is:
1. A semiconductor device, comprising a capacitance, the numerical value of which is relevant for a device function, wherein the capacitance comprises a parallel connection of at least a first capacitor element and a second capacitor element, wherein the first and second capacitor elements are formed in respective manufacturing steps that exhibit uncorrelated process fluctuations. 」(3ページ左欄第18~25行)
(「請求項:
1. 半導体デバイスであって、静電容量を含み、その数値は装置の機能と関連し、静電容量は、少なくとも第1のキャパシタ素子と第2のキャパシタ素子との並列接続を含み、第1および第2のキャパシタ素子は、無相関のプロセス変動を示すそれぞれの製造工程で形成されていることを特徴とする半導体デバイス。)
「6. The semiconductor device of claim 1, wherein the first capacitor element comprises an MIM capacitor element and the second capacitor element comprises a BEOL capacitor element. 」(3ページ左欄第46~49行)
(「6. 第1のキャパシタ素子はMIMキャパシタ素子からなり、第2のキャパシタ素子は、BEOLキャパシタ素子からなることを特徴とする、請求項1に記載の半導体デバイス。」)
FIG 2Aは、以下のとおりである。
FIG 2Aから、MIMキャパシタC1とVPPキャパシタC2は積層されていることが見てとれる。
イ 引用発明
引用文献1の上記アの摘記事項及びFIG 1~FIG 3Bを参酌してまとめると、引用文献1には、FIG 2A~FIG 2Fに示された「第1の実施形態に係る半導体デバイス」に関し、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「半導体デバイスであって、
いくつかの金属層が、第1のキャパシタC1(MIMキャパシタ)と第2のキャパシタC2(VPPキャパシタ)の並列接続を形成するように接続され、
MIMキャパシタC1とVPPキャパシタC2は、積層されており、
MIMキャパシタを形成する誘電体層および金属層は、いわゆるBEOL(バック・エンド・オフライン)プロセスで形成され、
VPPキャパシタは、既存の配線層を利用して形成されたものであり、
BEOLメタライゼーション構造は、ビアを含むことにより電気的に接続され、それぞれ、水平に配置され、垂直方向に重ねられたストリップ状の金属層の交互の列4または5を含む、基本的に従来のVPPキャパシタ構造C2を含み、
金属頂部層6は、それぞれの列4に接続され、
列5は、互いに接続され、そして、外部ワイヤ接続手段12によって、重畳された第2の金属頂部層11に接続され、
VPPキャパシタは、それぞれの金属ストリップ/ビアの列4と5によって形成された、交互に、垂直方向に整列されたキャパシタ“プレート”である、基本的に櫛状構造のものであり、
下位の頂部金属層6の表面には、MIMキャパシタC1の下部電極7としての第1の導電層が配置されており、
この下位のMIMキャパシタプレート7上に絶縁層8が設けられ、その上にMIMキャパシタC1の第2の(頂部)電極となる第2の導電層9が配置されており、
この頂部キャパシタ電極9はビア10によって頂部金属層11に接続されている、半導体デバイス。」
5 本願発明と引用発明との対比・判断
(1)本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明において、「第2のキャパシタC2(VPPキャパシタ)」、「第1のキャパシタC1(MIMキャパシタ)」は、それぞれ、本願発明の「金属酸化物金属(MOM)キャパシタ構造」、「MIMキャパシタ構造」に相当する。
引用発明の「半導体デバイス」は、「第2のキャパシタC2(VPPキャパシタ)」と「第2のキャパシタC1(MIMキャパシタ)」とを含むから、本願発明の「キャパシタ」に相当する。
イ 引用発明の「ストリップ状の金属層」、「下位の頂部金属層6」、「第2の金属頂部層11」、「下部電極7」、及び「頂部キャパシタ電極9」は、それぞれ、本願発明の「下位相互接続層」、「第1の上位相互接続層」、「第2の上位相互接続層」、「第1のキャパシタプレート」、及び「第2のキャパシタプレート」に相当する。
また、引用発明では、「下位のMIMキャパシタプレート7上に絶縁層8が設けられ、その上にMIMキャパシタC1の第2の(頂部)電極となる第2の導電層9が配置されて」いるから、下部電極7と頂部キャパシタ電極9とは、物理的に接続されていないものと認められる。
ウ 引用発明において、「VPPキャパシタは、それぞれの金属ストリップ/ビアの列4と5によって形成された、交互に、垂直方向に整列されたキャパシタ“プレート”である、基本的には櫛状の構造のもの」であるから、本願発明と引用発明とは、「前記MOMキャパシタ構造は異なる極性の横方向に配置された導電性フィンガを備える」点で一致する。
エ したがって、本願発明と引用発明との間は、次の一致点と相違点がある。
<一致点>
「金属酸化物金属(MOM)キャパシタ構造であって、前記MOMキャパシタ構造の上位レイヤが集積回路(IC)デバイスの相互接続スタックの第1の上位相互接続層であり、前記MOMキャパシタ構造は前記相互接続スタックの少なくとも1つの下位相互接続層を備え、前記MOMキャパシタ構造は異なる極性の横方向に配置された導電性フィンガを備える、MOMキャパシタ構造と、
前記MOMキャパシタ構造に結合された前記相互接続スタックの第2の上位相互接続層と、
前記第1の上位相互接続層と前記第2の上位相互接続層との間の少なくとも1つの金属絶縁体金属(MIM)キャパシタ層と、
前記MOMキャパシタ構造に結合されたMIMキャパシタ構造であり、第1のキャパシタプレートと、前記少なくとも1つのMIMキャパシタ層の少なくとも一部を含む第2のキャパシタプレートとを備えるMIMキャパシタ構造と、
を備え、
前記MIMキャパシタ構造の第1のキャパシタプレートと、前記MIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートとが物理的に接続されていない、キャパシタ。」
<相違点>
<相違点1>
MIMキャパシタ構造が備える第1のキャパシタプレートについて、本願発明では、「前記第1の上位相互接続層の一部のみから成る」のに対し、引用発明では、下部電極7は、下位の頂部金属層6の表面上に配置されており、「下位の頂部金属層6の一部のみから成る」ものではない点。
<相違点2>
本願発明では、「前記相互接続スタックの前記第1の上位相互接続層と前記第2の上位相互接続層との間の追加のMIMキャパシタ構造であって、前記追加のMIMキャパシタ構造が、第1のキャパシタプレートと、誘電体層と、第2のキャパシタプレートとしての前記MIMキャパシタ構造の前記第2のキャパシタプレートとを備え、前記追加のMIMキャパシタ構造の前記誘電体層は、前記追加のMIMキャパシタ構造の第1のキャパシタプレートと前記追加のMIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートとの間の、前記追加のMIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートの表面全体に形成されている、追加のMIMキャパシタ構造」を備えるものであるのに対し、引用発明では、そのような特定はなされていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
MIMキャパシタを高密度化することは周知の課題であり、MIMキャパシタの構成において、MIMキャパシタの下部電極であるキャパシタプレートを、配線層の一部のみにより構成してMIMキャパシタを高密度化することは、下記の周知例1~3に記載されているように周知技術である。
そして、引用発明において、MIMキャパシタC1を高密度化するために、周知例1~3に記載の周知技術を採用し、MIMキャパシタC1の下部電極7を、下位の頂部金属層6の一部のみから成るキャパシタプレートとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
・周知例1:米国特許第6777777号明細書
「According to one embodiment of the invention, a structure comprises an electrode of a lower MIM capacitor situated in a first interconnect metal layer of a semiconductor die. The first interconnect metal layer can be, for example, aluminum or copper, and is situated over a first interlayer dielectric layer. The structure further comprises a shared electrode of the lower MIM capacitor and an upper MIM capacitor. The shared electrode is situated above the electrode of the lower MIM capacitor and can comprise, for example, titanium nitride, tantalum nitride, or a stack comprising aluminum and titanium nitride or tantalum nitride.」(第1欄第58行~第2欄第1行)
(「本発明の一実施形態によれば、構造体は、半導体ダイの第1の相互接続金属層に位置する下位のMIMキャパシタの電極を含む。第1の相互接続金属層は、例えば、アルミニウムまたは銅とすることができ、第1の層間誘電体層の上方に配置される。構造体は、下位のMIMキャパシタおよび上位のMIMキャパシタの共通電極を、さらに含む。共通電極は下位のMIMキャパシタの電極の上方に配置されており、例えば、窒化チタン、窒化タンタル、あるいは、アルミニウム、チタン窒化物またはタンタル窒化物を含む積層体を含むことができる。」)(審決注:翻訳は合議体による。以下、同じ。)
「FIG. 1 shows a cross-sectional view of a portion of a semiconductor die comprising an exemplary composite MIM capacitor in accordance with one exemplary embodiment of the present invention. As shown in FIG. 1, structure 100 includes, among other things, metal plate 128, dielectric segment 154, metal plate 126, dielectric segment 152 and metal plate 150 which is situated on interlayer dielectric 108. In structure 100, metal plate 128 and metal plate 126 form the two electrodes of an “upper” MIM capacitor and metal plate 126 and metal plate 150 form the two electrodes of a “lower” MIM capacitor. It is noted that, for the purpose of the present application, the “lower” MIM capacitor is defined as the MIM capacitor closer to interlayer dielectric 108 (i.e. closer to the substrate surface which is not shown) while the “upper” MIM capacitor is defined as the MIM capacitor further from interlayer dielectric 108 (i.e. further from the substrate surface which is not shown). Thus, metal plate 126 forms a shared electrode between the upper MIM capacitor (which is formed by metal plates 128 and 126) and the lower MIM capacitor (which is formed by metal plates 126 and 150 ).
Also shown in FIG. 1, metal plate 150 is situated on interlayer dielectric 108 in interconnect metal layer 110.」(第3欄第8~30行)
(「図1は、本発明の1つの例示的実施形態による、例示的な複合MIMキャパシタを含む半導体ダイの部分断面図を示す。図1に示すように、構造体100は、とりわけ、金属プレート128、誘電体セグメント154、金属プレート126、誘電体セグメント152および金属プレート150を含み、層間誘電体108上に配置される。構造体1000において、金属プレート128と金属プレート126は、“上位の”MIMキャパシタの2つの電極を形成し、金属プレート126と金属プレート150は、“下位の”MIMキャパシタの2つの電極を形成する。本出願の目的のため、“下位の”MIMキャパシタは、層間誘電体108に近い(すなわち、図示されていない基板表面に近い)、MIMキャパシタとして定義され、だが、“上位の”MIMキャパシタは、層間誘電体108から遠い(すなわち、図示されていない基板表面から遠い)、MIMキャパシタとして定義されることに注意されたい。このようにして、金属プレート126は、(金属プレート128及び126によって形成される)上位のMIMキャパシタ、および(金属プレート126及び150によって形成される)下位のMIMキャパシタとの間の共通電極を形成する。
図1にも示されているように、金属プレート150は、相互接続金属層110中において、層間誘電体108上に配置される。」)
「It is noted that, unlike metal plate 150, metal plate 126 is not formed in an interconnect metal layer. In other words, metal plate 126 is formed within interlayer dielectric 160, where conventionally no metal exists. As stated above, metal plate 126 forms a shared electrode between the upper and lower MIM capacitors. The shared electrode functions as an electrode of the lower MIM capacitor as well as an electrode of the upper MIM capacitor as discussed above. 」(第4欄第4~11行)
(「なお、金属プレート150とは異なり、金属プレート126は、相互接続金属層中には形成されていないことに注意されたい。換言すれば、金属プレート126は、層間誘電体160内部に形成され 、そこには通常は金属が存在しない。上述のように、金属プレート126は、上位および下位のMIMキャパシタの共通電極を形成する。共通電極は、上述したように、上位のMIMキャパシタの電極としてと同様に、下位のMIMキャパシタの電極として機能する。」)
「As discussed above, the composite MIM capacitor in structure 100 includes two MIM capacitors connected in parallel and formed perpendicular to the surface of the die. However, it is noted that the invention's composite MIM capacitor can include any number of MIM capacitors connected in parallel and formed perpendicular to the surface of the die. Such MIM capacitors can be formed perpendicular to the surface of the die in the space available between interconnect metal layers 110 and 114 . 」(第6欄第10~18行)
「上述したように、構造体100における複合MIMキャパシタは、並列に接続され、ダイの表面に垂直に形成された、2つのMIMキャパシタを含む。しかしながら、本発明の複合MIMキャパシタは、並列に接続され、ダイの表面に垂直に形成されたMIMキャパシタをいくつでも含むことができることに留意されたい。このようなMIMキャパシタは、相互接続金属層110と114との間の利用可能な空間中におけるダイの表面に垂直に形成することができる。」
FIG.1は、以下のとおりである。
・周知例2:特開2006-49486号公報
「【0003】
上記従来の技術で形成したMIM容量は、容量密度が小さいため、アナログフロントエンド回路のように回路特性上、容量の占める割合が大きい回路では、MIM容量形成面積を大きくしなければならない。そのため、チップサイズそのものが大きくなり、チップ原価が高くなるという問題があった。上記MIM容量の容量密度を高くする方法としては、容量絶縁膜の薄膜化が進められているが、絶縁破壊耐圧が減少するという信頼性的な問題で薄膜化は困難であり、結果的にMIM容量部分の面積縮小は困難である。また、携帯電話用システム電源に使用する半導体集積回路では、入/出力を内部回路よりも高電圧で使用する場合が多い。その際、MIM容量に高電圧が印加されないように、容量を直列に接続し、各容量部分にかかる電圧を下げる必要がある。何れの場合も容量部分の面積が大きくなることより、結果的にチップ原価が高くなる。
【0004】
本発明の目的は、MIM容量素子を有する集積回路の面積を縮小し、チップサイズを小型化し、チップ原価を下げることが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することである。」
「【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明による実施の形態1の半導体装置におけるMIM容量の構造を示す平面図であり、図2は図1のA-A’線断面図である。図1および図2において、符号1は第1導電型シリコン基板に公知の技術で、フォトリソグラフィー、イオン注入、熱処理、CVD、エッチング等を行うことにより、半導体集積回路に使用されるデバイスが形成されたシリコン基板を示す。符号2はシリコン基板1上に形成された保護膜を示す。符号301は保護膜2上に形成されて第1のMIM容量の下部電極を兼ねる第1層目金属膜配線を示す。符号401は第1層目金属膜配線301上に形成された第1のMIM容量の容量絶縁膜を示す。符号501は容量絶縁膜401上に形成された第1のMIM容量の上部電極を示す。符号201は保護膜2、第1層目金属膜配線301および上部電極501上に形成された金属膜配線間の層間絶縁膜を示す。符号302は層間絶縁膜201上に形成されて第2のMIM容量の下部電極を兼ねる第2層目金属膜配線を示す。符号601は層間絶縁膜201に形成されて上部電極501と第2層目金属膜配線302とを接続するタングステンプラグを示す。符号402は第2層目金属膜配線302上に形成された第2のMIM容量の容量絶縁膜を示す。符号502は容量絶縁膜402上に形成された第2のMIM容量の上部電極を示す。符号202は層間絶縁膜201、第2層目金属膜配線301および上部電極502上に形成された金属膜配線間の層間絶縁膜を示す。符号303は層間絶縁膜202上に形成された第3層目金属膜配線を示す。符号602は層間絶縁膜202に形成されて上部電極502と第3層目金属膜配線303とを接続するタングステンプラグを示す。符号2000は保護膜を示す。」
・周知例3:特表2006-522464号公報
「【背景技術】
【0002】
高性能の混合信号およびRF回路は、高密度の集積キャパシタを必要とする。金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタは、半導体ダイ上に集積混合信号およびRF回路を作製するのに使用することが考えられ得る。不利なことに、典型的なMIMキャパシタのキャパシタンス密度は低い。また、RFおよび混合信号の用途は高いキャパシタンス値を必要とするため、典型的なMIMキャパシタによって消費されるダイ領域は大きすぎて、ダイコストの増加を製造業者およびユーザにもたらす。」
「【0007】
本発明は、半導体ダイにおける、電圧依存性が低減した高密度複合MIMキャパシタに向けられている。本発明は、MIMキャパシタのキャパシタンス値がキャパシタ電極に印加された電圧にもそれほど依存しない、混合信号およびRFの用途において使用するための高密度MIMキャパシタに対する当該技術分野における要望に対処し、その要望を解決する。」
「【0012】
図1は、本発明の一実施例に従った、下部MIMキャパシタが上部MIMキャパシタと並列接続された例示的な複合MIMキャパシタを含む半導体ダイの一部の断面図を示す。図1に示すように、構造100は、金属板124、金属板120、金属板122、および金属板130を含み、それらは2つのMIMキャパシタ用の電極を形成している。構造100では、金属板124と金属板120とが「下部」MIMキャパシタの2つの電極を形成し、金属板122と金属板130とが「上部」MIMキャパシタの2つの電極を形成している。なお、本出願の目的のため、「下部」MIMキャパシタは、層間誘電体108に近いほう(すなわち、図示されていない基板表面に近いほう)のMIMキャパシタとして規定され、一方、「上部」MIMキャパシタは、層間誘電体108から遠いほう(すなわち、図示されていない基板表面から遠いほう)のMIMキャパシタとして規定される。
【0013】
図1に同様に示すように、金属板124は層間誘電体108の上に、相互接続金属層107に位置しており、それ(すなわち金属板124)は、アルミニウム、銅、または他の好適な金属を含み得る。金属板124は、当該技術分野において公知の態様で相互接続金属の層を堆積させ、パターニングすることによって形成可能である。一実施例では、金属板124は、たとえばアルミニウムのコア部分の上にたとえば窒化チタン、窒化タンタル、チタン、および/またはタンタルの積み重ねられた層を含む「金属積層物」である。さらに、この積層物の最上層は、酸素、窒素または水素化学において調整されてもよい。一例として、金属板124は約0.3ミクロン~約0.9ミクロンの厚みを有し得る。本実施例では、相互接続金属層107は、半導体ダイにおける第2の相互接続金属層であり得る。他の実施例では、相互接続金属層107は、半導体ダイにおける第1、第3、第4、またはそれ以上の相互接続金属層であってもよい。金属板124は下部MIMキャパシタの「下部」電極を形成する。なお、本出願の目的のため、「下部」電極は、層間誘電体108に近いほう(すなわち、図示されていない基板表面に近いほう)の電極として規定される。
…(略)…
【0018】
図1に同様に示すように、金属板122および金属セグメント128がそれぞれ、ビア114およびビア118の上の相互接続金属層115内に位置している。本実施例では、相互接続金属層115は、半導体ダイにおける第3の相互接続金属層であり得る。他の実施例では、相互接続金属層115は、半導体ダイにおける第2、第4、第5、またはそれ以上の相互接続金属層であってもよい。金属板122および金属セグメント128は、アルミニウム、銅、または他の好適な金属を含み得る。金属板122および金属セグメント128は、当該技術分野において公知の態様で相互接続金属の層を堆積させ、パターニングすることによって形成されてもよい。一実施例では、金属板122は、たとえばアルミニウムのコア部分の上にたとえば窒化チタン、窒化タンタル、チタン、および/またはタンタルの積み重ねられた層を含む「金属積層物」である。さらに、この積層物の最上層は、酸素、窒素または水素化学において調整されてもよい。金属板122、すなわち上部MIMキャパシタの下部電極は、金属板120、すなわち下部MIMキャパシタの上部電極に、ビア114によって電気的に結合され、金属セグメント128は、金属板124、すなわち下部MIMキャパシタの下部電極に、ビア118によって電気的に結合されている。金属板124は、下部MIMキャパシタの下部電極であるのに加え、以下により詳細に説明するように、複合MIMキャパシタの1端子としても機能し得る。
【0019】
図1にさらに示すように、誘電体セグメント134が金属板122の上に位置しており、それ(すなわち誘電体セグメント134)は、組成、厚みおよび形態が誘電体セグメント132と実質的に同様であり得る。図1に同様に示すように、金属板130は誘電体セグメント134の上に位置しており、それ(すなわち金属板130)は、組成、厚みおよび形態が金属板120と実質的に同様であり得る。金属板130は上部MIMキャパシタの上部電極を形成する。有利には、金属板130は、金属板が従来存在していない層間誘電体112内に形成される。」
イ 相違点2について
上記の周知例1には、相互接続金属層110と相互接続金属層114との間にMIMキャパシタが積層され、上位のMIMキャパシタ(本願発明の「追加のMIMキャパシタ構造」に相当。)の下部電極である金属プレート126が下位のMIMキャパシタ(本願発明の「MIMキャパシタ構造」に相当。)の上部電極となる旨が記載されている。
また、MIMキャパシタにおいて、MIMキャパシタの下部電極の表面全体上に誘電体層を誘電体層を形成することは、下記の周知例4~6に記載されているように、周知技術であり、更に、MIMキャパシタが積層された構成において、上位のMIMキャパシタの下部電極としての下位のMIMキャパシタの上部電極(本願発明の「追加のMIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレート」に相当。)の表面全体上に誘電体層を形成することも、周知例4、5に記載されているように周知技術である。
そして、引用発明において、「VPPキャパシタは、それぞれの金属ストリップ/ビアの列4と5によって形成された、交互に、垂直方向に整列されたキャパシタ“プレート”である、基本的に櫛状構造のもの」であるから、当該VPPキャパシタはMIMキャパシタであるといえる。また、引用発明は、「MIMキャパシタC1とVPPキャパシタC2は、積層されて」いるから、MIMキャパシタが積層された構成のものといえる。
したがって、MIMキャパシタが積層された構成の引用発明において、周知例1、4~6に記載された周知技術を適用して、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者であれば容易になし得たことである。
・周知例4:特開2004-179419号公報
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置、特にキャパシタを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、RF回路等のアナログ回路とCMOS回路等のロジック回路を同一チップ内に集積化したLSIが検討されている。このようにロジック回路とともにアナログ回路が集積化されたLSIでは、それぞれの回路に要求されるキャパシタ特性を同時に満たす高性能のキャパシタを形成する必要がある。このような要求に対し、金属電極間に誘電体膜(絶縁膜)を挟んだMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシタを用いることが提案されている。」
「【0017】
[実施形態1]
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置(アナログ回路とロジック回路を同一チップ内に集積化したLSI)の製造方法を、図1~図10を参照して説明する。本実施形態は、キャパシタの誘電体膜として2層の窒化シリコン膜を用いたものであり、容量密度4~5fF/μm2 を実現可能である。
【0018】
まず、図1に示すように、シリコン基板101(半導体基板)上に素子分離領域102、ゲート電極103及び拡散領域104を形成する。続いて、層間絶縁膜105を全面に堆積し、さらに平坦化処理を行う。続いて、層間絶縁膜105にヴィアホールを形成し、さらにヴィアホール内に金属膜106を埋め込む。
【0019】
次に、上記構造上に多層配線構造を形成する。すなわち、金属配線108、109及び110、バリア層111、112及び113、層間絶縁膜114、115及び116、窒化シリコン膜107、117、118及び119等を形成する。金属配線108、109及び110は、層間絶縁膜114、115及び116内に銅などの金属膜を埋め込んだ後、ダマシン法によって形成される。バリア層111、112及び113は、金属配線108、109及び110の材料が層間絶縁膜114、115及び116中へ拡散するのを防止するためのものであり、例えばTiNなどを用いて形成される。
【0020】
以上のようにして、図1に示すような下部領域の構造が形成される。なお、図2以後の工程については、説明の簡単化のため、図1に示した下部構造については、窒化シリコン膜119以外は図示を省略する。
【0021】
図1に示した下部構造を形成した後、図2に示すように、窒化シリコン膜119上全面に、チタン(Ti)膜120、窒化チタン(TiN)膜121(第3の導電膜)、窒化シリコン(SiN)膜122(第2の誘電体膜)、窒化チタン膜123(第2の導電膜)、窒化シリコン膜124(第1の誘電体膜)及び窒化チタン膜125(第1の導電膜)を、順次形成する。窒化チタン膜121、123及び125はPVD法で、窒化シリコン膜122及び124はPVD法又はプラズマCVD法で形成する。続いて、窒化チタン膜125上にフォトレジスト膜を塗布した後、リソグラフィによりレジストパターン126(マスクパターン)を形成する。
【0022】
次に、図3に示すように、レジストパターン126をマスクとして、窒化チタン膜125をRIE(Reactive ion etching)によってエッチングする。このとき、窒化シリコン膜のエッチングレートに対する窒化チタン膜のエッチングレートが十分大きい条件で、窒化チタン膜125をエッチングする。これにより、キャパシタの電極125a(第1の電極)と、電極125aから離間し、電極125aを囲むリング状導電部125bが形成される。図4は、本工程によって得られる電極125aとリング状導電部125bとの平面的な関係を示したものである。
【0023】
次に、図5に示すように、レジストパターン126をアッシング等により除去する。続いて、全面にフォトレジスト膜を塗布した後、リソグラフィによりレジストパターン127を形成する。このレジストパターン127は、電極125a全体及び電極125aとリング状導電部125bとの間の領域全体を覆い、且つリング状導電部125bの内縁を含む部分を覆うものである。本実施形態のMIMキャパシタは、数百ミクロン角と極めて大きいサイズであるため、このようなリソグラフィも容易に行うことができる。
【0024】
次に、図6に示すように、レジストパターン127及びリング状導電部125bをマスクとして、RIEにより窒化シリコン膜124をエッチングする。このとき、窒化チタン膜のエッチングレートに対する窒化シリコン膜のエッチングレートが十分大きい条件でエッチングを行う。
【0025】
次に、図7に示すように、窒化シリコン膜のエッチングレートに対する窒化チタン膜のエッチングレートが十分大きい条件で、窒化チタン膜をエッチングする。これにより、窒化チタン膜125bは、レジストパターン127をマスクとしてエッチングされ、リング状電極125cが形成される。同時に、窒化チタン膜123は、窒化シリコン膜124のパターンをマスクとしてエッチングされる。
【0026】
次に、図8に示すように、RIEにより、窒化シリコン膜124、窒化チタン膜123、窒化シリコン膜122、窒化チタン膜121及びチタン膜120を、以下のようにしてエッチングする。
【0027】
まず、窒化チタン膜のエッチングレートに対する窒化シリコン膜のエッチングレートが十分大きい条件でエッチングを行う。これにより、窒化シリコン膜124は、レジストパターン127をマスクとしてエッチングされる。同時に、窒化シリコン膜122は、窒化チタン膜123のパターンをマスクとしてエッチングされる。
【0028】
続いて、窒化シリコン膜のエッチングレートに対する窒化チタン膜のエッチングレートが十分大きい条件でエッチングを行う。これにより、窒化チタン膜123は、レジストパターン127をマスクとしてエッチングされ、電極123a(第2の電極)が形成される。同時に、窒化チタン膜121は、窒化シリコン膜122のパターンをマスクとしてエッチングされ、電極121a(第3の電極)が形成される。また、このエッチング工程において、チタン膜120もエッチングされる。
【0029】
このようにして、窒化シリコン膜124のパターンの外縁及び電極123aの外縁がリング状電極125cの外縁に整合し、且つ、電極121aの外縁が窒化シリコン膜122のパターンの外縁に整合したキャパシタ構造が得られる。次に、アッシング等によりレジストパターン127を除去した後、全面に層間絶縁膜128を形成する。
【0030】
次に、図9に示すように、層間絶縁膜128上にフォトレジスト膜を塗布した後、リソグラフィによりレジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、このレジストパターンをマスクとして、RIEにより層間絶縁膜128、窒化シリコン膜122及び124をエッチングすることで、電極121a、123a及び125aに達するコンタクトホールを形成する。
【0031】
次に、上記各コンタクトホールを埋めるように、全面に金属膜を形成する。続いて、この金属膜上にフォトレジスト膜を塗布した後、リソグラフィによりレジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、このレジストパターンをマスクとして、RIEにより金属膜をエッチングすることで、配線129a(第1の導電性接続部)及び配線129b(第2の導電性接続部)を、互いに離間するように形成する。電極121aと電極125aとは、配線129aによって電気的に接続される。
【0032】
以上のようにして、図9に示すように、下部構造上にキャパシタ構造等が形成された半導体装置が得られる。図10に、上述した工程によって得られる電極125aとリング状電極125cとの平面的な関係を示した。以後、保護膜の形成等が行われるが、ここではそれらについては省略する。」
・周知例5:特開2010-40775号公報
「【技術分野】
【0001】
本発明は、容量素子として誘電体層を導電層で挟んだ構成のMIM(metal-insulator-metal)キャパシタを備える半導体装置及びその製造方法に係わる。」
「【0020】
1.半導体装置の第1の実施の形態
図1に、第1の実施の形態の半導体装置の構成の断面図を示す。
図1に示す半導体装置10は、半導体基体11上に、容量素子として三端子電極容量素子構造のキャパシタ20と、キャパシタ20に接続される第1~第3の導電プラグ26,27,28と、第1~第3の導電プラグ26,27,28の側壁に形成されている第1~第3の絶縁層16,17,18とを備える。
【0021】
三端子電極容量素子構造のキャパシタ20は、導電層と誘電層との積層構造により形成されている。この積層構造は、下層から順に第1の導電層21、第1の誘電層22、第2の導電層23、第2の誘電層24、及び、第3の導電層25から構成されている。
そして、三端子電極容量素子構造のキャパシタ20の積層構造では、各層が同一形状、同一面積で形成され、積層構造の側壁19は平面に形成され、また、キャパシタ20の側面が半導体基体11の載置面に対して略垂直に形成される。」
・周知例6:.特開2010-258130号公報
「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びそのレイアウト方法に関し、特にMIM容量を有する半導体装置及びそのレイアウト方法に関する。」
「【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の模式的断面図である。この半導体装置は、第1層間絶縁膜101、下層配線102、キャップ層103、第2層間絶縁膜104、第3層間絶縁膜105、上層配線106、MIM容量MC1、MC2を備えている。ここで、MIM容量MC1、MC2はそれぞれ、下部電極107、容量絶縁膜108、上部電極109、ハードマスク層110を備えている。」
ウ 本願発明についてのまとめ
以上のとおりであるから、引用発明において、周知技術に基づいて、相違点1、2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
そして、本願発明によって当業者が予期し得ない格別の効果が奏されるとは認められず、相違点1、2を総合判断しても、本願発明は当業者が容易に発明をすることができたものというほかない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
6 サポート要件、明確性、実施可能要件について
(1)明確性について<その1>
ア 請求項1及び請求項4の「上位レイヤ」という日本語の用語の技術的意味を明確に理解することができない。
イ すなわち、請求項1には、「金属酸化物金属(MOM)キャパシタ構造であって、前記MOMキャパシタ構造の上位レイヤが集積回路(IC)デバイスの相互接続スタックの第1の上位相互接続層であり、前記MOMキャパシタ構造は前記相互接続スタックの少なくとも1つの下位相互接続層を備え、前記MOMキャパシタ構造は異なる極性の横方向に配置された導電性フィンガを備える、MOMキャパシタ構造」(下線は合議体が付与した。)と記載されている。
一方、本願の明細書の段落【0025】には、図5に示されたMOMキャパシタ構造530に関し、「この構成では、MOMキャパシタ構造530の上位レイヤ532は、相互接続スタック210の第1の上位相互接続層212(M9)である。MOMキャパシタ構造530の上位レイヤ532が平行な導電性フィンガを含むように示されている」と記載されている。
ウ そうすると、請求項1の上記記載は、(A)MOMキャパシタの上位レイヤ(図5の532)である第1の相互接続層(図5のM9)が導電性フィンガであることを意味するものと理解されるが、この理解で正しいのか不明である。すなわち、「上位レイヤ」とは、「導電性フィンガ」を含む「相互接続層」が複数スタックされて(積み重ねられて)構成されるMOMキャパシタ構造の中の、最も上側に位置する、「導電性フィンガ」を含む「相互接続層」を意味すると理解されるが、このような理解で正しいのか不明である。
あるいは、(B)「上位レイヤ」とは、「導電性フィンガ」を含む「相互接続層」が複数スタックされた(積み重ねられた)構成に対して、位置的に上側に設けられた相互接続層を意味し、請求項1には、当該「上位レイヤ」である層には、導電性フィンガが設けられていないものも含まれると理解すべきなのか不明である。
したがって、上記(A)、(B)のいずれの理解が正しいのか、明確でない。
エ 請求項4の記載も同様な理由で、不明確である。
よって、請求項1、4及び請求項1、4を引用する請求項2、3、5、6に係る発明は、明確でない。
以上のとおりであるから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)明確性について<その2>
ア 請求項1、4には、「前記MIMキャパシタ構造の第1のキャパシタプレートと、前記MIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートとが物理的に接続されていない」と記載されている。
イ そして、請求人は、平成29年9月15日に提出した意見書において、
「新請求項1の「前記MIMキャパシタ構造の第1のキャパシタプレートと、前記MIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートとが物理的に接続されていない」との記載の補正は、本願の図2~5の記載等に基づくもの」である旨、
及び、
「特に、本願発明1は「前記MIMキャパシタ構造の第1のキャパシタプレートと、前記MIMキャパシタ構造の第2のキャパシタプレートとが物理的に接続されていない」ことを特徴としており、本願発明1の当該特徴はいずれの引用文献にも開示も示唆もされていません。
また、垂直構造を形成する通常のプロセスでは、下側から複数の層が互いに接触して堆積されるので、物理的に接続されていないキャパシタプレートに想到することは当業者にとって容易ではないと思料します。」と主張している。
ウ 請求項1に記載の「物理的に接続されていない」とは、意見書の主張を勘案すると、第1のキャパシタプレートと第2のキャパシタプレートとの間に「層」が堆積されていないこと、ないし、存在しないこと、すなわち、両者の間には、固体の物質が存在せず、間隙を有することを意味するものと理解されるが、このような理解で正しいのか不明である。
あるいは、当該記載は、第1のキャパシタプレートと第2のキャパシタプレートとが、互いに直接に接触していないこと、すなわち、両者の間に他の層が介在することを特定しようとしているのか不明である。
したがって、上記いずれの解釈が正しいのか、明確でない。
よって、請求項1、4及び請求項1、4を引用する請求項2、3、5、6に係る発明はに係る発明は、明確でない。
以上のとおりであるから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(3)実施可能要件について
本願の明細書の発明の詳細な説明の段落【0021】には、図2のMIMキャパシタ構造250の静電容量密度(C1)について、「誘電率(k1)が5に等しく」と記載されている。
請求項1、4の上記アの記載が、上記ウの前者のように、第1のキャパシタプレートと第2のキャパシタプレートとの間に「層」が堆積されていない、ないし、存在しない構成を意味するのであれば、誘電率(k1)が5に等しく、2つのプレート間に層が堆積されていない、ないし、存在しない構成を、当業者がどのようにして実施することができるのか、理解できない。
したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が、請求項1~10に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
よって、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
(4)サポート要件について
図2~5では、MIMキャパシタ250の下部プレート212と上部プレート252の間は、背景と同じく白色で、着色はされていないものの、発明の詳細な説明には、「誘電率(k1)が5に等しく」と記載されており、一方、空気の誘電率は1であるから、当該プレートに挟まれた間の部分には、空気以外の何かが存在することとなる。
したがって、発明の詳細な説明に、当該プレートに挟まれた間の部分に層が堆積されていない、ないし、存在しない構成が開示されていることは認められない。
よって、請求項1、4及び請求項1、4を引用する請求項2、3、5、6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
以上のとおりであるから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
7 むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-003239