意匠拒絶査定不服審判
2018-000436
ファイル用クリアポケット
- 審判番号
- 2018-000436
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2017-002197
- 登録番号
- 意匠登録第1613235号(D1613235)
- 請求日
- 2018年01月12日
- 審決日
- 2018年07月20日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社カウネット
- 【請求人代理人】藤本 昇
- 【請求人代理人】野村 慎一
- 【請求人代理人】石井 隆明
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 裕和
- 審判官 渡邉 久美
- 審判官 竹下 寛
- 分類
- D18 .113-WY (F3-2)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2017- 2197「ファイル用クリアポケット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
平成29年 2月 7日 意匠登録出願
平成29年 6月 7日付け 拒絶理由通知書
平成29年 7月26日 意見書提出
平成29年10月10日付け 拒絶査定
平成30年 1月12日 審判請求書提出
第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成29年2月7日の意匠登録出願(意願2017-2197号)であって、その意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「ファイル用クリアポケット」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであって、(以下、「本願意匠」という(別紙第1参照)。)「実線であらわした部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである。(本願の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を以下、「本願部分」という。)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」といい、本願意匠と合わせて、両意匠という。)は、以下のとおりである。
特許庁特許情報課が2004年 6月 3日に受け入れた
2004年 3月11日発行の大韓民国意匠商標公報
(CD-ROM番号:2004-15)に記載された
意匠登録 第 30-0346474号のファイルの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH16516658号)
以下、本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分を「引用部分」という(別紙第2参照)。
第4 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「ファイル用クリアポケット」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「ファイル」であって、本願意匠はファイルブックなどに綴じることのできるものであって、引用意匠は綴じることのないものであるが、共に書類などを簡易に持ち運ぶ用途及び挟んで保持し、収納できる機能を有するものであるから、両意匠に係る物品は共通する。
(2)本願部分と引用部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、「ファイル用クリアポケット」のリングファイル用の孔部の設けられた綴じ込み用片部を除くクリアポケット(ホルダー)本体部分であり、引用部分も「ファイル」の開放側から突出した帯状片を除くクリアファイル(ホルダー)本体部分であって、本願部分は、ファイルブックなどに綴じ込まれる収納部として書類などを保管する用途、機能を有するのに対して、引用部分はそれ自体ファイルブックなどの収納部として書類などを保管する用途、機能を有するものではないが、どちらも、書類など簡易に持ち運ぶ主たる用途及びホルダー内に挟んで保持し、収納できる主たる機能については共通する。
次に、位置については、本願部分は、正面視で右側(意匠登録を受けようとする以外の部分である綴じ込み片部と縦に等幅で右側)に位置するのに対し、引用意匠は、正面視で左側(右長辺側の帯状片縦幅より上下に長い幅で左側)に位置する点について、相違する。
そして、大きさ及び範囲については、書類などを挟んで用いられるものであるから、本願部分と引用部分(以下、「両部分」という。)は、書類(主流はA4サイズ)よりやや大きい程度のほぼ共通する大きさのものと認められ、範囲は、両部分ともに、ホルダー本体部分であるから、概ね共通する。
したがって、両部分の書類など簡易に持ち運ぶ用途及びホルダー内に挟んで保持し、収納できる主たる機能及び用途については共通し、大きさ及び範囲は共通するものの、位置は相違する。
(3)形態
両部分の形態を対比すると、主として、以下の共通点と相違点が認められる。
引用部分の向きは本願部分の向きに合わせて認定する。
(ア)共通点
基本的構成態様
(A)両部分は、横長の略長方形状のシート状材をほぼ中央で縦に二つ折りにし、短辺側一方を閉じつけて他方の短辺側と「わ」(折り山側)にあたる長辺側の反対の長辺側を開放した、正面視略縦長長方形状としたものである点。
具体的構成態様
(B)正面側のシート状材の開放側長辺上方に略円弧状の切欠部とホルダーの長辺が閉じた状態を保つための舌状片が設けられている点。
(C)正面側のシート状材の開放側長辺下端寄りに略直角三角形状の切欠部が設けられている点。
(D)両部分の縦横比率は、正面視で約7:5である点。
(イ)相違点
具体的構成態様
(a)本願部分のシート状材の開放側長辺は正面視左側(綴じ込み側)であり、その左側上方角部は、正面側シート材はごく僅かに丸みを帯びて形成され、背面側シート材は、綴じ込み片と面一に形成されているため正面側シート材と同位置に角部が認められないのに対し、引用部分の開放側長辺は右側(帯状片の設けられた側)であって、その右側上方角部は正面側シート材及び背面側シート材共に同位置で丸みを帯びて形成されている点、
(b)本願部分は開放側長辺上方の略円弧状の切欠部の上に略等脚台形状の舌状片が設けられているのに対し、引用意匠は略円弧状の切欠部の下に略長方形状の舌状片が設けられている点、
(c)本願部分は開放側長辺上方の略円弧状の切欠部は横方向長さは短辺の約13分の1で、縦方向長さは長辺の約12分の1であり、舌状片は横方向長さは短辺の約11分の1で、縦方向長さは長辺の約15分の1であるのに対し、引用部分は、略円弧状の切欠部は横方向長さは短辺の約10分の1で、縦方向長さは長辺の約8分の1であり、舌状片は横方向長さは短辺の約7分の1で、縦方向長さは長辺の約6分の1である点、
(d)正面側のシート状材の開放側長辺下端寄りの略直角三角形状の切欠部は本願意匠が横に長いものであるのに対し、引用部分は縦に長いものである点。
2.本願意匠と引用意匠の類否
以上の「意匠に係る物品」、「両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲」及び「形態」の共通点と相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品の評価
上記、1.(1)のとおり、両意匠の意匠に係る物品は、共通する。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲の評価
上記、1.(2)のとおり、両部分は、書類などを簡易に持ち運ぶ用途及び挟んで保持し収容できる機能について主たる機能及び用途は共通し、大きさ及び範囲は共通し、位置については、共通するとはいえないところ、「ファイル用クリアポケット」及び「ファイル」の物品分野において、両部分と同様のファイル用クリアポケット又はファイルの本体部分、すなわち、ホルダー部分として対比可能な、書類など簡易に持ち運ぶ用途及びホルダー内に挟んで保持、収納できる機能並びに書類よりやや大きい程度の大きさ及びホルダー本体部分の範囲を有する意匠は、本願出願前にごく普通に見受けられるので、両部分の用途及び機能並びに大きさ及び範囲の共通点が、両部分の類否判断に与える影響は小さい。そして、位置の相違は、以下の形態の相違点もあり、両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるものである。
(3)両部分の形態の評価
(3-1)両部分の形態の共通点の評価
共通点(A)の全体形状については、両部分の形態を概括的に捉えた場合の基本的構成態様の共通点にすぎないものであり、「ファイル用クリアポケット」及び「ファイル」の物品分野において、本願の出願前にごく普通に見受けられる基本的構成態様であるから、この共通点が類否判断に与える影響は小さい。
共通点(B)については、確かに両部分の独自の特徴的態様といえるが、後述する具体的態様の相違点(b)及び(c)もあり、この共通点が類否判断に与える影響は一定程度にとどまるものである。
共通点(C)及び(D)については、「ファイル用クリアポケット」及び「ファイル」の物品分野において、ホルダーの裂け防止のため開放辺側下端に略三角状の切欠部を設けることはごく普通に見受けられる態様であって、ホルダー部の縦横比率が、正面視で約7:5であるものも、ごく普通に見受けられる態様であるから、この共通点が類否判断に与える影響は小さい。
よって、共通点(B)は類否判断への影響が一定程度あるとしても、共通点(A)、共通点(C)及び共通点(D)の両部分の類否判断に及ぼす影響は、いずれも小さく、共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても、両部分の共通点は、両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないということができる。
(3-2)両部分の形態の相違点の評価
これに対して、相違点(a)については、本願部分のシート状材の開放側長辺は正面視左側(ファイルブックへの綴じ込み側)であり、引用部分の開放側長辺は正面視右側(帯状片の設けられた側)である点は、一見して看取できる態様の相違であって、本願部分の開放側長辺がファイルブックの綴じ込み側にあたる左側に設けられている点は、需要者に書類の取り出し易さよりも落ちにくさを重視する印象を強く与え、引用部分の開放側長辺がファイルの見出し側もしくは把持側である右側に設けられている点は、(本願部分と対比する対象以外の部分にあたる引用意匠の帯状片は、ホルダー部上下角部を除いた長辺中程に設けられており、見出しもしくは、ホルダーを取り出す際の把持部と認められる)書類の見つけ易さ取り出し易さの印象を強めるものであって、上方角部の丸みの態様の相違ともあいまって、この相違点が両部分の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(b)は開放側長辺上方の略円弧状の切欠部の配置、舌状片の具体的形状及び配置に係る相違点であって、舌状片は、長辺が閉じた状態を保つ機能を持つ部分であるから、需要者も注目し、この相違点が、類否判断に与える影響は大きい。
相違点(c)は両部分の円弧状切欠部及び舌状片の構成比率に係る相違点であり、本願部分に比して引用部分がホルダー部分全体に対しやや大きな円弧状切欠部及び舌状片である点であって、この相違点が、類否判断に与える影響は一定程度あるものである。
相違点(d)は双方共にごく普通のホルダーの裂け防止のため略三角状の切欠部の形状であるから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(3-3)両部分の形態の総合評価
そうすると、共通点(A)ないし(D)の両部分の類否判断に及ぼす影響は、両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し、相違点(a)及び(b)は、類否判断に与える影響が大きく、相違点(c)が両部分の類否判断に与える影響も一定程度あるから、相違点(d)が両部分の類否判断に与える影響が小さいとしても、それら相違点(a)ないし(d)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両部分を別異のものと印象付けるものである。
3.小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両部分の書類などを簡易に持ち運ぶ、主たる用途及びホルダー内に挟んで保持し、収納できる主たる機能、並びに大きさ及び範囲は共通し、その共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さく、位置は相違し、この相違点が、両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるものであって、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕し、両部分を、全体として別異のものと印象付けるものであって、これらを総合して判断すると、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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