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商標異議申立

2017-900048

ブルプルタピオカ、ブルプル

審判番号
2017-900048
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2016-050693
登録番号
商標登録第5897739号(T5897739)
請求日
2017年02月17日
審決日
2017年08月30日
公報発行日
2017年10月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】加藤 靖昭
  • 【権利者代理人】早崎 修
  • 【異議申立人】スターバックス・コーポレイション
  • 【異議申立人代理人】窪田 英一郎
  • 【異議申立人代理人】乾 裕介
  • 【異議申立人代理人】加藤 ちあき
審判長/審判官
  • 審判長 井出 英一郎
  • 審判官 中束 としえ
  • 審判官 榎本 政実
分類
T1651.261-Y (W3235) / T1651.262-Y (W3235) / T1651.263-Y (W3235) / T1651.271-Y (W3235) / T1651.22 -Y (W3235)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

登録第5897739号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 登録第5897739号商標の商標登録を維持する。

理由

【理 由】 第1 本件商標 本件登録第5897739号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成28年5月10日に登録出願,第32類「タピオカ入り清涼飲料,タピオカ入り果実飲料」及び第35類「タピオカ入り清涼飲料及びタピオカ入り果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,同年10月4日に登録査定され,同年11月18日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 1 登録第5232548号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成19年6月27日 設定登録日:平成21年5月22日 指定役務 :第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 2 登録第4220453号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:平成8年7月5日 設定登録日:平成10年12月11日 更新登録日:平成20年7月29日 指定商品 :第32類「コーヒーシロップ,コーヒー味の清涼飲料,コーヒー味の乳清飲料」 3 登録第4553634号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成: 別掲3のとおり 登録出願日:平成12年11月2日 設定登録日:平成14年3月22日 更新登録日:平成23年11月29日 指定商品 :第29類「無糖練乳,粉乳(幼児用のものを除く。),加糖練乳,麦芽入り乳飲料,ホイップクリーム,その他の乳製品(「コーヒーを加味した乳製品」を除く。),豆乳,植物性油脂をベースにした液状のコーヒーホワイトナー,植物性油脂をベースにした粉状のコーヒーホワイトナー」 第30類「ココア,茶,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,香辛料,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,氷」 第32類「清涼飲料(「コーヒー味の清涼飲料」を除く。),果実飲料,飲料用シロップ(「コーヒーシロップ」を除く。),飲料用野菜ジュース,乳清飲料(「コーヒー味の乳清飲料」を除く。)」 4 登録第5232547号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:平成19年6月27日 設定登録日:平成21年5月22日 指定役務 :第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第7号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は,外縁が白線で縁取られている青緑色の二重円の外枠の中に,白抜きで円の図形に挟まれるように上段に「BULLPULU」及び下段に「TAPIOCA」の欧文字を配し,中央部に白色の犬の図形を配した構成よりなる商標であり,文字部分に応じて一連一体の「ブルプルタピオカ」の称呼が生じるものである。加えて,下段の「TAPlOCA」が商品の品質又は役務の質を示す語であることから上段の「BULLPULU」の文字部分に応じて「ブルプル」の称呼も生じる。なお,本件商標からは特定の観念は生じない。 また,本件商標は,第32類及び第35類の前記第1の商品・役務を指定商品・指定役務とするものである。 (2)引用商標について 引用商標1は,外縁が白線で縁取られている緑色の二重円の外枠の中に,白抜きで星の図形に挟まれるように上段に「STARBUCKS」及び下段に「COFFEE」の欧文字を配し,中央部に様式化された白色の髪の長い女性の図形を配した構成よりなる商標である。なお,当該女性は「サイレン/セイレーン(ギリシア神話に登場する上半身は女,下半身は鳥の姿をした海の魔物)」を意図するものである。また,その文字部分全体に応じて「スターバックスコーヒー」の称呼が生じるものである。加えて,下段の「COFFEE」が商品の品質又は役務の質を示す語(コーヒー)であることから上段のみの「STARBUCKS」の文字部分に応じて「スターバックス」の称呼も生じる。引用商標1から先天的には特定の観念は生じないものの,需要者間においては引用商標1の著名性から世界的なコーヒーチェーンである申立人が想起される。 また,引用商標1は,第35類の前記第2の1の役務を指定役務とするものである。 引用商標2ないし4は,引用商標1の緑色の部分を黒色に配色した点が異なるもののその他の構成は同じ商標である。また,指定商品・指定役務は前記第2の2ないし4とおりである。 (3)本件商標と引用商標の類否 ア 商標の対比 本件商標及び引用商標はともに,別掲1並びに別掲2及び別掲3のとおり,特徴的な図形からなる商標である。 このような特徴的な図形からなる商標に接した需要者にとって,その特徴的な外観,その中でも商標の全体的な外縁や構成は,深く脳裏に印象づけられる。加えて,本件商標及び引用商標の指定商品・指定役務における一般的な取引の実情を考慮すると,「清涼飲料」等の商品に関しては,これらの商品は価格が安い日用品であることから,需要者は,陳列された各商品のパッケージ(容器)の瞬間的な見た目のみに着目し,商品を購入する場合も多いと考えられる。また,飲食料品の小売等役務に関しては,役務を提供する店舗の看板に商標を使用することが一般的に行われており,需要者は,遠くの距離から視覚で本件商標を認識するものと考えられる。 したがって,一般的な取引の実情を考慮すると,各商品のパッケージや店舗の看板において使用される商標の類否判断は,外観の要素が最も重要になると考えられる。 そのため,本件商標と引用商標とは称呼が異なり,観念については比較することができないものの,本件商標及び引用商標の類否判断においては,称呼及び観念よりも外観の要素が大きな影響を与えるものである。 イ 本件商標と引用商標との外観の類否(甲3) (ア)本件商標と引用商標との外観の類否についてみるに,本件商標と引用商標は,ともに色(青緑と緑又は黒)が塗り潰された二重円の中に文字及び図形を配置してなるものであり,文字及び図案の配置など,外観において以下のような点を共通にする。 a 商標を構成する要素(円・文字・輪・キャラクター)の白色とそれ以外の色の塗り分け方が共通であること b 円の中心に様式化されたキャラクターを配していること c 円の外枠部分に沿って上下段の同じ位置に文字を配していること d 上段の文字が造語であり,下段の文字が商品・役務の品質・質を表す一般名称であること e 円の外枠部分の上下段の文字の間に極めて簡単でありふれた図形(星/円)を左右対称に配していること f 円の外枠部分の外縁が白線で縁取られていること g 見た目が近似する「PU」と「BU」の文字を上段の文字の中央に配していること (イ)このように,本件商標と引用商標とは,複数の共通点を有し,同様のパターンで商標が構成されているという点で極めて類似する。そして,需要者である一般消費者は,そのパターン自体に強い印象を受けるものであり,本件商標と引用商標とは,極めて高い類似性を有している。 さらに,後述するように,引用商標は,コーヒーだけでなく,「清涼飲料」及び「果実飲料」をはじめとする飲食料品を販売・提供する世界的に著名なコーヒーチェーンである申立人のハウスマークとして,需要者の間に広く認識されている。申立人は,自らの「清涼飲料」等の商品に関して,各商品のパッケージに引用商標を付して販売し,小売等役務を提供する店舗の看板に引用商標を使用している(甲4)。 このような引用商標の使用状況において,需要者がパッケージに本件商標が付された商品や本件商標が使用された看板に接した場合,その商品が日用品であり瞬間的な見た目の印象でのみ判別されること及び看板は遠くの距離から視覚で認識した上でその店舗に向かう場合も多いことを考えると,本件商標が使用された商品や看板に接した需要者は,これを申立人の商標と誤解する可能性が高いと考える。 これらの事項を考慮すれば,需要者である一般消費者が時と場所を異にして両商標に接した場合,互いに紛れるおそれがあるといえる。 ウ 指定商品・指定役務の対比 本件商標の指定商品・指定役務と引用商標の指定商品・指定役務とは,「29C01」及び「35K03」の類似群コードを共通するため,類似と推定される。 エ まとめ 以上より,本件商標は,引用商標と類似する商標であって,その引用商標に係る指定商品・指定役務と類似の商品・役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)本号の判断基準について 本号に係る最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)及び商標審査基準の判断基準に従えば,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについては,本件商標と申立人が使用する商標との類似性の他に,申立人が使用する商標全体の周知著名性及び独創性の程度等を踏まえて総合的に判断すべきである。 (2)本件商標と引用商標との類似性の程度について 上述したとおり,本件商標と引用商標とは,複数の共通点を有し,同様のパターンで商標が構成されている。そして,引用商標は著名な商標であることから,需要者である一般消費者は,商標全体の構成を特徴点として認識し,強い印象を受ける。したがって,本件商標と引用商標とは,商標の構成要素の一つ一つには類似しない部分があるとしても,商標全体の構成が同一であるという特徴点を共通にする。 (3)引用商標の周知度及びハウスマークであることについて ア 申立人は2017年現在日本において,1,000店を超える店舗を展開しており,申立人が高品質なコーヒーを販売・提供する世界的に著名なコーヒーチェーンであることは証明を要しない事実である。さらに,申立人はコーヒーだけでなく,「清涼飲料」及び「果実飲料」をはじめとする飲食料品の販売・提供も行っている(甲5)。 引用商標は,1996年の日本第1号店のオープンから申立人のハウスマークとして使用されており,2000年には日本第100号店をオープンするなど,遅くとも2000年には,日本国内において,需要者の間に広く認識されていたといえる。 さらに,申立人は,2005年5月から引用商標を付したチルドカップコーヒー「スターバックス ディスカバリーズ」を全国のコンビニエンスストアで販売している。また,引用商標を付した高品質な即席コーヒーやドリップ式のコーヒーは全国のスーパーや百貨店においても取り扱われている。 イ 申立人のハウスマークは,本件商標の出願日前の平成23年4月には引用商標から変更されている。現在,引用商標は申立人の正式なハウスマークではないものの,現在も複数の店舗で使用が継続されており,申立人の使用商標はハウスマーク変更後も需要者の間に広く認識されている状態には変わりない。 以上より,本件商標は,その出願日及び登録査定日の両時期において,申立人の事業に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当する。 ウ 引用商標の独創性について 引用商標は,1987年の買収の際にイル・ジョルナーレ社とスターバックス社の文化の融合を象徴するために,両社のシンボルマークを組み合わせた新しいシンボルマークとして,創作されたものであり,甲第13号証に示すとおり,引用商標は,明確なコンセプトを持って独自に創作されたものであり,独創性は極めて高いといえる。 エ 本件商標を使用するものが申立人と関係があると誤信されるおそれがあることについて (ア)申立人が複数の系列会社を有することについて 申立人は,自らの業務に関連する複数の系列会社(ダゾ・ティー・カンパニー,シアトルズベストコーヒー,エボリューション・フレッシュ,ベイ・ブレッド及びティーバナ:甲14)を有しており,飲食料品の販売・提供の業務について幅広い展開を行っている。 (イ)系列会社の商標は特徴点を共通にするケースが多いことについて 上記のとおり,本件商標と引用商標とは,細部においては異なるものの,商標全体の構成が同一であるという特徴点を共通にする。したがって,仮に本件商標と引用商標とが単純な商標の類否においては非類似と判断される場合があるとしても,その構成が同一であるという特徴点を共通にすることにより,本件商標を使用することは,申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し,いわゆる広義の混同を生じさせるおそれがあるといえる。 そして,複数の関連会社からなるグループ会社の商標は商標の特徴点を共通にするケースが多いことは明らかである(甲15)。 オ 商品等の関連性並びに商品等の取引者及び需要者の共通性について 上記のとおり,申立人はコーヒーだけでなく,「清涼飲料」及び「果実飲料」をはじめとする飲食料品をも販売・提供する世界的に著名なコーヒーチェーンであり,申立人の使用する商品・役務と本件商標の指定商品・指定役務とは類似するものである。したがって,本件商標の指定商品・指定役務と申立人の業務との関連性はほぼ同一といっても過言ではない。 また,「清涼飲料」及び「果実飲料」等は,日常生活において普通に飲まれるものであるから,その需要者も,幅広い年齢層の一般消費者であり,両商品の需要者の範囲は共通である。 カ その他 上記のように,本件商標は,著名であり極めて高い独創性を有する引用商標と商標全体の構成が同一であるという特徴点を共通にする。そのため,本件商標は引用商標を模して創作されたと考えるのが自然である。 引用商標は,申立人による多年にわたる努力の結果,需要者間において広く知られ,高い名声・信用・評判を獲得するに至っており,本件商標の出願時には,すでに極めて広く知られていた。 以上のことから,商標権者は,その出願時に著名な引用商標の存在を認識していたと推認され,偶然に著名な引用商標と類似する本件商標を出願したとは考え難い。 したがって,商標権者は,本件商標と印象を同じくする著名な引用商標の存在を知った上で,引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で本件商標を出願したものである。 以上のことから,本件商標は,申立人の業務に係る商品の表示として日本において,需要者の間に広く認識されている著名な引用商標と相紛れるおそれのある類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものである。 キ 総合的な検討 以上より,本件商標は,申立人の事業に係る商品・役務と同一又は類似する商品・役務に使用されるものであって,著名な引用商標と同一又は類似する商標である。また,本件商標と引用商標とは細部においては異なるとしても,同様のパターンで商標が構成されるという特徴点を共通にするため,本件商標の使用は,申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し,いわゆる広義の混同を生じさせるおそれがあるといえる。 ク まとめ 以上より,本件商標の出願日及び登録査定日の両時期において,本件商標をその指定商品・指定役務に使用した場合,申立人の事業と混同することは疑いがないので,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 3 商標法第4条第1項第7号について 申立人の商標と混同することは当然としても,出願人が本件商標を取得する過程においては明らかに社会の一般的道徳観念に反する出願であるから,この観点からも登録は取り消されるべきであることを予備的に主張する。 (1)本件商標と株式会社J・Jが使用する商標との関係について 本件商標と株式会社J・J(以下「J・J社」という。)が使用する商標(以下「J・J使用商標」という。:別掲4)とは商標の色彩が異なるだけであり,両商標は,ほぼ同一の商標である。そして,J・J使用商標は,J・J社がフランチャイズ運営するタピオカドリンク店の標章として,本件商標の出願以前から使用されている(甲16)。 (2)商標権者とJ・J社との関係について 商標権者は,J・J社の代表取締役として平成22年9月1日からその地位にあった。しかしながら,平成26年6月1日に代表取締役を辞任し,平成26年9月3日には取締役も退いている。履歴事項全部証明書によると,平成26年12月12日の登記以降,商標権者は,J・J社との関係が一切見当たらない。 このことは,平成29年4月4日に申立人代理人がJ・J社に送ったJ・J使用商標の変更を求める通知書に対して,平成29年4月17日にJ・J社代理人から内容証明郵便物として送付された書面に,「加藤靖昭氏は,当社とは無関係であることを申し添えます」と記載されていたことからも明らかである(甲16)。 (3)本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあることについて 上記のとおり,商標権者は,J・J社が,J・J使用商標を本件商標の指定商品・指定役務と関係する業務に使用していた事実を熟知している。 そして,商標権者は,過去においてJ・J社の代表取締役であったのであるから,J・J使用商標とは商標の色彩が異なるだけの本件商標を取得することにより,J・J社の利害に多大な影響が及ぶであろうという点については,極めて明確に認識し得る状況にあったものといえる。 以上の点からすると,商標権者が本件商標を取得することは,本件商標の指定商品・指定役務が商標登録されていないことを奇貨として,J・J社に無断で剽窃的に出願し,登録を受けたものと考えざるを得ない。このような本件商標の登録出願の経緯には,社会的相当性を欠くものがあり,その登録を認めることは,商標法の予定する秩序に反するものというべきである。 したがって,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものである。 (4)まとめ 以上より,本件商標の出願の経緯には社会的相当性を欠くものがあり,本件商標の登録を認めることは,公正な取引秩序を乱し,社会一般の道徳観念に反するものであって,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について 引用商標の周知性については,申立人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。 (1)申立人は,1971年に1号店をオープンしたアメリカの企業であり,我が国においては,スターバックスコーヒージャパンが設立され1996年に1号店がオープンし,2017年3月末には,資本金約255億円,国内で1,260店舗を有するコーヒーを販売及び提供(以下「申立人商品・役務」という。)するものとして,需要者によく知られたコーヒーショップであるといえる(甲5,甲7~甲10,甲13)。 (2)申立人は,申立人商品・役務について,我が国において1996年から引用商標と同一の構成からなる商標を最近まで継続して使用している(甲12)。 したがって,引用商標は,本件商標の登録出願の日前から,申立人商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であって,その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたものというのが相当である。 (3)小括 以上のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において,申立人商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができる。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は,別掲1のとおり,青緑色の二重円内の上段に「BULLPULU」,下段に「TAPIOCA」の各欧文字及び左右に丸印を白抜きで表し,中央に犬の図形とその犬の図形の影を左側に配した構成からなるところ,「BULLPULU」の文字部分は,辞書等に載録がない語であり,「TAPIOCA」の文字は,「研究社新英和大辞典(株式会社研究社)」によれば,「タピオカ(キャッサバ(cassava)から製した主に食用のでんぷん)」の意味を有する我が国でも親しまれた英語であり,食品の名称として知られているものであるから,本件商標の指定商品及び指定役務との関係において,商品の品質及び役務の質を表し,自他商品・役務識別標識としての機能を有しないか,極めて弱いといえるものであるから,「BULLPULU」の文字部分が独立して自他商品・役務識別標識としての機能を果たし得るとみるのが相当である。 そして,「BULLPULU」及び「TAPIOCA」の文字を,我が国で親しまれたローマ字又は英語に倣って発音すると,これらの文字に相応して,「ブルプルタピオカ」の称呼を生じ,また,本件商標の要部である「BULLPULU」の文字に相応して「ブルプル」の称呼も生じ,本件商標からは,特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は,別掲2又は別掲3のとおり,緑色又は黒色の二重円内の上段に「STARBUCKS」,下段に「COFFEE」の各文字及び左右に星形の図形を白抜きで表し,中央に冠を着けた女性とおぼしき図形を配した構成からなるところ,「STARBUCKS」の文字部分は,辞書等に載録がない語であり,「COFFEE」の文字は,「(飲料としての)コーヒー,一杯のコーヒー」等の意味を有する我が国でも親しまれた語であり,飲料の名称として知られているものであるから,引用商標の指定商品及び指定役務の一部(例えば「第32類 コーヒーシロップ」「第35類 飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」など)については,商品の品質及び役務の質などを表し,自他商品・役務識別標識としての機能がないか,極めて弱いものであることから,「STARBUCKS」の文字部分が独立して自他商品・役務識別標識としての機能を果たし得るとみるのが相当である。 そして,「STARBUCKS」及び「COFFEE」の文字を,我が国で親しまれたローマ字又は英語に倣って発音すると,これらの文字に相応して,「スターバックスコーヒー」の称呼を生じ,また,本件商標の要部である「STARBUCKS」の文字に相応して「スターバックス」の称呼も生じるものである。 さらに,引用商標は,上記1のとおり,需要者の間に申立人の商品・役務を表すものとして広く認識されているものであるから,「(申立人のブランドとしての)スターバックスコーヒー」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とを比較すると,両者は,外観においては構成文字及び中央の図形に明らかな差異を有するから,外観上,明確に区別できるものである。 また,称呼においては,本件商標は,「ブルプルタピオカ」又は「ブルプル」の称呼を生じるのに対し,引用商標は,「スターバックスコーヒー」又は「スターバックス」の称呼を生じるものであるから,両者は,それぞれの称呼における構成音及び構成音数の差異により,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。 さらに,観念においては,本件商標が特定の観念を生じないのに対し,引用商標は「(申立人のブランドとしての)スターバックスコーヒー」の観念を生じるものであるから,観念上,相紛れるおそれのないものである。 そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 (4)申立人の主張について 申立人は,本件商標と引用商標との外観における共通点を挙げ,両商標は類否判断において最も重要な要素となる外観において類似する旨を主張している。 確かに,両商標を子細に対比観察し共通点を挙げれば,申立人が主張するように,両商標は商標を構成する要素の白色とそれ以外の色の塗り分け方,円の中心に様式化されたキャラクターを配していること,円の外枠部分に沿って上下段の同じ位置に文字を配していることなどを挙げることができるものの,それらの表現方法はいずれも一般的なものといえるし,何より両商標は,いずれも外観において看者に対して強い印象を与えると認められる構成文字と中央の図形が,本件商標は「BULLPULU」及び「TAPIOCA」の文字と犬の図形であるのに対し,引用商標は「STARBUCKS」及び「COFFEE」の文字と冠を着けた女性とおぼしき図形であり,明確に異なるものであるから,両者を時と所を異にして観察しても相紛れるおそれがないものと判断するのが相当である。 よって,申立人の主張は採用できない。 (5)小括 以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であって,別異の商標というべきものであり,他に,両商標が類似するというべき事情も見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において,申立人商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができるとしても,上記2のとおり,本件商標は,引用商標と外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであるから,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起することのないものというのが相当である。 してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。 なお,申立人は,本件商標は商標権者が引用商標の名声などにフリーライドする目的で出願したもの,及び不正の目的で使用するものである旨を主張している。 しかしながら,上記の主張を裏付ける証拠は提出されていない。 その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は,本件商標はJ・J社が使用する商標とほぼ同一の商標であり,過去に同社の代表取締役の地位にあり本件商標の登録出願の日前には同社との関係が一切見あたらない商標権者が係る本件商標を取得することは,J・J社の使用する商標が本件商標の指定商品・指定役務に商標登録されていないことを奇貨として,J・J社に無断で剽窃的に出願し,登録を受けたものであって,本件商標の登録出願の経緯には,社会的相当性を欠き,その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反する旨を主張している。 確かに,本件商標は,J・J社が使用する商標とほぼ同一の商標といえるものの,申立人提出の証拠(甲16の2)によっては,過去に商標権者が同社の代表取締役であったとしても,本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり,本件商標の登録を認めることが公正な取引秩序を乱し,社会一般の道徳観念に反するものというべきことを裏付ける証拠の提出はない。 その他,本件商標が,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき事情も見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第7号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。

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2017-900048

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