特許拒絶査定不服審判
2017-017212
磁気共鳴イメージング装置
- 審判番号
- 2017-017212
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-092240外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月21日
- 審決日
- 2018年11月12日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社吉田製作所
- 【請求人代理人】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
- 分類
- P18 .121-WY (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 92240「磁気共鳴イメージング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月17日出願公開、特開2014-212923、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月25日の出願であって、平成29年1月23日付けで拒絶理由通知がされ、同年3月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年8月24日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年11月21日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされ、平成30年8月8日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年10月3日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
この出願の平成29年3月28日に補正された請求項1~6及び8~11に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A:特表2005-505361号公報
引用文献B:特開2013-417号公報
引用文献C:特開2002-301046号公報(周知技術を示す文献) 引用文献D:特開2001-61860号公報(周知技術を示す文献)
具体的には、独立項である請求項1に係る発明については、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとしたものである。
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願の審判請求時に補正された請求項1~10に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特表2005-505361号公報(上記引用文献A)
引用文献2:米国特許出願公開第2013/0088225号明細書(当審において新たに引用した文献)
引用文献3:特開2013-417号公報(上記引用文献B)
引用文献4:特開2002-301046号公報(上記引用文献C)
引用文献5:特開2001-61860号公報(上記引用文献D)
第4 本願発明
本願請求項1~7に係る発明は、平成30年10月3日に補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される発明であり、そのうち、独立項である請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
磁石を有するガントリと、
前記ガントリを被検体載置用のテーブルごと電磁波シールド可能な伸展式の電磁波シールド構造と、
撮像動作の制御を行う撮像制御部、および、無線通信を行うための制御ユニット側無線通信部を有する制御ユニットと、
画像の表示とユーザの操作の受付けとを行う入出力部、画像の再構成を行う画像再構成部、再構成された画像を保存する画像保存部、および、前記制御ユニット側無線通信部と無線通信を行うためのコンソール側無線通信部を有する移動可能なコンソールと、
を備え、
前記ガントリ、および、前記電磁波シールド構造は、撮像室兼用の手術室内に固定して設置されており、
前記コンソールは、撮像時に、前記手術室内に配置されており、
前記制御ユニットは、前記手術室の隣に設けられた室内に固定して設置され、ケーブルにより前記ガントリと接続されている
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)平成30年8月8日付け拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は、下記(2)の引用発明の認定に関する部分として当審が付与した。
(1ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断の技術に関する。本発明は、磁気共鳴装置におけるワイヤレス通信に関して特に適用され、特にこれを参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は、例えばCT、SPECT、及びPET等の他の態様にも適用可能であるが、これらに限られるものではないことが認められるべきである。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴(MR)イメージャは、撮像領域を通じて高い磁場を発生する。この磁場の発生による典型的な副次的な効果は、物的な装置を数メートル越えて延びうるフリンジ磁場の発生である。励起磁場は高いが、誘発される共鳴信号は、周囲のテレビジョン及びラジオ信号と比較して弱い。病院や医院等の環境において周囲への混乱及び周囲からの妨害を最小化するため、フリンジ磁場が周囲の物又は人物に影響を与えることを防止するよう、磁石は特別に遮蔽された区画の中に作られる場合が多い。
【0003】
結果として、MR装置用の制御ハードウエアコンポーネントは、遮蔽された部屋の外側に置かれる。」
(1イ)「【0015】
図1を参照するに、撮像領域16を垂直に通る一般的にB0で示される時間的に一定の主磁場を発生するオープン主磁石組立体10は、磁気共鳴区画A内に配置される。尚、図中はオープン磁石系と共に示されているが、本発明の望ましい実施例はボアタイプのシステム(系)に対しても等しく適用可能である。対象12は、磁石組立体10の撮像領域16中に配置された患者支持台上に載せられる。主磁石組立体10は、特に無線周波数帯域の電磁放射線を通さないよう遮蔽された磁気共鳴区画内に配置される。
【0016】
シーケンス制御系Bは、磁気共鳴撮像シーケンスを発生する。キーボード18又はタッチスクリーン19は、操作者制御コマンドを受け取る。シーケンス制御プロセッサ20は、選択された磁気共鳴シーケンスをシーケンスメモリ22から引き出す。傾斜磁場制御器24は、選択されたシーケンスに従って傾斜波形を生成する。同時に、RFパルス制御器26は、選択されたシーケンスに従ってRFパルスパターンを発生する。
【0017】
例えば送受信器30といった第一のワイヤレスインタフェースの少なくとも1つのアンテナ28は、撮像区画A中に配置される。ワイヤレスインタフェース30は、傾斜波形及びRFパルスパターンを高周波搬送波上へ(望ましくはディジタル式に)符号化し、第二の送受信器32へ送信する。第二の送受信器は、傾斜パルス波形を復号化し、これらを、傾斜コイル36に接続されたRF遮蔽された傾斜増幅器34へ伝送する。傾斜コイル36は、主磁場B0に沿って傾斜磁場をかけ、それにより主磁場を空間エンコードする。第二の送受信器はまた、RFパルスパターン情報を復号化し、RFパルス情報をRF遮蔽された送信器40へ供給する。」
(1ウ)「【0020】
望ましい実施例では、第一の送受信器30のアンテナ28は、磁気共鳴区画Aの内壁に取り付けられる。第一の送受信器30をアンテナ28に接続するケーブルは、壁を通される。第二の送受信器32は、望ましくは、磁石組立体に隣接して取り付けられ、これを傾斜増幅器34、(直接ワイヤの実施例では)送信器42、及びMR装置の他のシステムに接続ためのケーブルは出来る限り少なくされる。望ましくは、第一の送受信器30と第二の送受信器32は、磁気共鳴区画中の無線を通さない材料によって妨害されることなく、互いに対する視線(line of sight)を有する。」
(1エ)「【0022】
共鳴する双極子からの信号は、RFコイル46又は専用受信コイル48によって検出され、前増幅(preamplify)される。検出された共鳴信号は、符号化され、患者側送受信器44によって、送受信器42へ又は直接送受信器30へ送信される。第一の送受信器30は、共鳴信号を受信し、復号化し、共鳴信号を画像処理システムCへ送る。受信器50は、望ましくはディジタルであり、共鳴信号を復調する。復調された共鳴信号は、再構成プロセッサ52によって撮像領域16中の対象12の画像表現へと再構成される。画像は、必要とされるまで、体積画像メモリ54に記憶される。ビデオプロセッサ56は、見るのに必要とされる部分を抽出し、これらの部分は、ビデオモニタ、LCDディスプレイ、アクティブマトリクスモニタ等の人間が読み取り可能なディスプレイ58上に表示される。
【0023】
図2を参照し、また、引き続き図1を参照するに、本発明の望ましい実施例は、ハンドヘルド型の遠隔制御インタフェース装置60を含む。制御装置60は、操作者がMR装置-のシーケンス制御システム及び画像プロセッサシステムとやりとりを行うことを可能とする。望ましい実施例では、遠隔装置60は、ディスプレイ62を含む。ディスプレイ62から、操作者は現在のスキャンに関する情報を観察することが可能である。このような情報は、経過スキャン時間、推定残りスキャン時間、再構成された画像の選択された部分、利用可能なオプション等を含みうるが、これらに限られるものではない。パームパイロット、ラップトップコンピュータ等の装置は、利用可能な実施例であると考えられる。セルラー電話機もまた考えられる。
【0024】
遠隔装置はまた、ユーザ入力部64を含む。この部分は、操作者が命令をシーケンス制御及び画像処理システムへ伝えることを可能とする。考えられる命令は、撮像シーケンスの開始又は中断の命令といった単純なものであってもよく、シーケンスの選択、RFパルス帯域幅の調整、又は、k空間データマトリクスのサイズの変更といったより複雑なものであってもよい。命令は、シーケンスを開始又は停止させ、患者の位置を調整し、受信コイルか送信コイルかを選択し、患者との音声のやりとりを行う等を行うよう、スキャナへ送られうる。入力部64は、タッチスクリーン、キーボード、音声認識、マウス、又はそれらの任意の組合せを含みうる。入力部64は、もちろん、これらの装置に限られるものではない。
【0025】
遠隔装置60は、通信を容易とする送信器66及び受信器68を含む。これらの2つの部分は、携帯電話機と同様のアンテナに接続される。2.4GHz周波数帯域は、磁気共鳴又は結果としての共鳴信号を励起し操作するRFパルスとは干渉しない。さらに、装置が遮蔽された区画内で操作されるとき、これは領域中のセルラー通信とは干渉しない。このような送受信器の典型的な実施例は、エリクソン社製の携帯電話機により(登録商標)Bluetooth技術に具現化されている。
【0026】
やはり遠隔ユニット60に含まれるのは、マイクロプロセッサ70である。マイクロプロセッサ70は、操作者からの入力及び第一の送受信器30によって送信された情報を、遠隔装置60上での表示のために処理する。任意に、マイクロプロセッサ70は、ハンドヘルド装置60とは遠隔のいずれの場所に含まれてもよい。」
(1オ)図1及び図2として、以下の図面が記載されている。
【図1】
【図2】
(2)引用発明について
上記(1)の摘記における、「第一の送受信器30」、「ワイヤレスインタフェース30」は同じものであるから、以下「第一の送受信器30」と記す。また、「遠隔制御インタフェース装置60」、「遠隔装置60」、「遠隔ユニット60」は、同じものであるから、以下「遠隔制御インタフェース装置60」と記す。
上記図1及び2に記載されている各構成要素の配置を考慮すると、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「磁気共鳴区画A、シーケンス制御系B、画像処理システムC、遠隔制御インタフェース装置60、及び、第一の送受信器30と第二の送受信器32と遠隔制御インタフェース装置60とをワイヤレス通信するアンテナ28を有する磁気共鳴装置であって、
磁気共鳴区画Aは、電磁放射線を通さないよう遮蔽された区画であり、オープン主磁石組立体10、撮像領域16中に配置された患者支持台が配置され、
シーケンス制御系Bは、磁気共鳴撮像シーケンスを発生するものであり、
画像処理システムCには、画像表現へと再構成する再構成プロセッサ52、画像が記憶される体積画像メモリ54があり、
ハンドヘルド型の遠隔制御インタフェース装置60には、ディスプレイ62、ユーザ入力部64、マイクロプロセッサ70、送信器66及び受信器68が接続されるアンテナがあり、
第一の送受信器30のアンテナ28は、磁気共鳴区画Aの内壁に取り付けられ、第一の送受信器30をアンテナ28に接続するケーブルは、壁を通され、第二の送受信器32は、磁石組立体に隣接して取り付けられるものであり、
第一の送受信器30は、傾斜波形及びRFパルスパターンを符号化し、第二の送受信器32へ送信し、検出された共鳴信号は、符号化され、第一の送受信器30へ送信され、第一の送受信器30は、共鳴信号を受信し、復号化し、共鳴信号を画像処理システムCへ送り、上記遠隔制御インタフェース装置60のマイクロプロセッサ70は、第一の送受信器30によって送信された情報を、遠隔装置60上での表示のために処理する、
磁気共鳴装置。」
2 引用文献2について
平成30年8月8日付け拒絶の理由に引用された引用文献2は、「SYSTEM FOR RECONSTRUCTING MRI IMAGES ACQUIRED IN PARALLEL」(当審訳:並行して得られたMRI画像を再構成するためのシステム)というタイトルのものであり、それには、以下の記載がある。
「[0012]・・・.The system includes a computational device (e.g., computer, laptop, DSP (digital signal processor), tablet, cellphone) that receives acquired data from each RF coil of an MR imaging system and integrates the data to produce a reconstructed image. A reconstructed image is displayed to a user and saved to an electronic storage device (e.g., a hard drive).」(当審訳:このシステムは、MR画像システムのRFコイルから取得されたデータを受信するコンピュータデバイス(例えば、コンピュータ、ラップトップコンピュータ、DSP(デジタル信号プロセッサ)、タブレット、携帯電話)を含み、それは、データを統合し、再構成画像を生成する。その再構成された画像は、ユーザに表示され、電子記憶装置(例えば、ハードドライブ)に保存される。)
3 引用文献3について
平成30年8月8日付け拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
(3ア)「【0026】
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)100と、MRI装置用の電磁シールド構造200とが、例えば脳外科等の手術を行う手術室300に設置されている。MRI装置100は、所定の静磁場下に置かれた患者(被検者)の被撮像部位に、所定のパルスシーケンスでRFパルス、傾斜磁場を印加し、これによって発生したエコー信号を収集後処理して磁気共鳴画像を得るものである。」
(3イ)「【0029】
手術室300の壁330の内側が一部掘り込まれて凹部331が形成されており、この凹部331内には、ノイズフィルタ(図示せず)を有するフィルタボックス332が配置されている。フィルタボックス332は、MRI装置100の背面側に設けられており、外部からの電源や信号用のケーブル類は、フィルタボックス332を介してMRI装置100と接続される。なお、手術室300内におけるMRI装置100の設置位置は、壁際に限定されるものではなく、壁330から離間した位置であってもよい。
【0030】
電磁シールド構造200は、MRI装置100を含む所定の撮影空間を、電磁波から遮蔽(電磁シールド)するものである。この電磁シールド構造200は、MRI撮影を行うときに、後記するフレーム集合体220が導電性床板320上に伸展させられることによってMRI装置100とMRI撮影される患者が横たわるベッド(図示せず)とを収容可能となるように、全体として伸展状態とされる。なお、図1では、説明の都合上、電磁シールド部材250(図2参照)は、図示省略している。
【0031】
図2は、電磁シールド構造の伸展状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図3は、電磁シールド構造の収縮(折畳み)状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図4は、電磁シールド構造の正面図であり、(a)は前面シールドカーテンで前面を覆った状態を示し、(b)は前面シールドカーテンを外した状態を示す。」
(3ウ)図1として、以下の図面が記載されている。
【図1】
4 引用文献4について
平成30年8月8日付け拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。
(4ア)「【0014】 MRシステム制御部44は、勾配磁場コイル駆動部46とRF送信回路48に接続される。(勾配磁場増幅器とも呼ばれる)勾配磁場コイル駆動部46とRF送信回路48はそれぞれ、磁石アセンブリ内に含まれる勾配磁場コイルとRFコイルに接続される。磁石側オペレータコンソール50とメインオペレータコンソール52は、共同制御部54に接続される。共同制御部54は、通信ネットワーク14とMRシステム制御部44にそれぞれに接続される。」
(4イ)「【0019】 共同制御部54は、1人以上のオペレータが、ローカルに、即ち、遠隔的に撮像システム40とインターフェースをとることができるように構成される。さらに、共同制御部54は、2つ以上のオペレータコンソールまたはワークステーションからリアルタイムで共同制御できるように構成される。さらに、共同制御部54は、関連するオペレータコンソールやワークステーションの全てとインターフェースを取るアクションや画像をリアルタイムで表示できるように構成される。このように、共同制御部54は、制御や、画像を制御したり、それを見たり、撮像システム40に関する作業を行うことを望むネットワーク14に接続された各オペレータコンソールやワークステーションに対するリアルタイムのユーザインターフェースを提供することができる。」
5 引用文献5について
平成30年8月8日付け拒絶の理由に引用された引用文献5には、次の事項が記載されている。
(5ア)「【0032】図2は本発明の一実施例を示す概略図である。図中において、201は開放型MRI、202は使用者のための表示手段であるフラットパネルディスプレイである。このディスプレイ202は、203,204,205の3つの個別のディスプレイからなり、各々が本実施例の装置の使用者毎に設定された情報を表示できるものである。」
第6 対比・判断
1 本願発明について
(1)対比
ア 本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明の「オープン主磁石組立体10」及び「患者支持台」は、本願発明の「磁石を有するガントリ」及び「被検体載置用のテーブル」に相当する。
(イ)引用発明の「シーケンス制御系B」と、本願発明の「撮像動作の制御を行う撮像制御部、および、無線通信を行うための制御ユニット側無線通信部を有する制御ユニット」とは、「撮像動作の制御を行う撮像制御部」「を有する制御ユニット」の点で共通する。
そして、引用発明の「第一の送受信器30」は、「シーケンス制御系B」からの「傾斜波形及びRFパルスパターンを符号化」するから、引用発明の「第一の送受信器30のアンテナ28」は、本願発明の「無線通信を行うための制御ユニット側無線通信部」に相当する。
(ウ)引用発明の「ディスプレイ62」、「ユーザ入力部64」及び「送信器66及び受信器68が接続されるアンテナ」は、本願発明の「画像の表示」、「ユーザの操作の受付けとを行う入出力部」及び「制御ユニット側無線通信部と無線通信を行うためのコンソール側無線通信部」に相当する。
してみれば、引用発明の「ディスプレイ62、ユーザ入力部64、マイクロプロセッサ70、送信器66及び受信器68が接続されるアンテナがあ」る「ハンドヘルド型の遠隔制御インタフェース装置60」と、本願発明の「画像の表示とユーザの操作の受付けとを行う入出力部、画像の再構成を行う画像再構成部、再構成された画像を保存する画像保存部、および、前記制御ユニット側無線通信部と無線通信を行うためのコンソール側無線通信部を有する移動可能なコンソール」とは、「画像の表示とユーザの操作の受付けとを行う入出力部、および、前記制御ユニット側無線通信部と無線通信を行うためのコンソール側無線通信部を有する移動可能なコンソール」の点で共通する。
(オ)引用発明の「磁気共鳴区画A」は「壁」で区画されるものであり、上記摘記(1ア)の【背景技術】に記載の「MR装置用の制御ハードウエアコンポーネントは、遮蔽された部屋の外側に置かれる」を考慮すると、引用発明の「磁気共鳴区画A」は、本願発明の「撮像」「室」に相当し、そして、当該【背景技術】の記載及び上記摘記(1オ)の図1を考慮すると、引用発明の「シーケンス制御系B」は、本願発明の「制御ユニットは」「前記室の隣に設けられた室内に固定して設置され」ることに相当する。
してみれば、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「磁気共鳴区画A、シーケンス制御系B、画像処理システムC」「を有する磁気共鳴装置であって」、「壁」で区画される「磁気共鳴区画A」に「オープン主磁石組立体10」が「配置される」「磁気共鳴装置」と、本願発明の「前記ガントリ、および、前記電磁波シールド構造は、撮像室兼用の手術室内に固定して設置されており、前記コンソールは、撮像時に、前記手術室内に配置されており、前記制御ユニットは、前記手術室の隣に設けられた室内に固定して設置され、ケーブルにより前記ガントリと接続されている」「磁気共鳴イメージング装置」とは、「前記ガントリは、撮像室内に固定して設置されており、前記制御ユニットは、前記室の隣に設けられた室内に固定して設置され、前記ガントリと接続されている」「磁気共鳴イメージング装置」の点で共通するといえる。
イ 一致点・相違点について
上記アを踏まえると、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「磁石を有するガントリと、
撮像動作の制御を行う撮像制御部を有する制御ユニットと、無線通信を行うための制御ユニット側無線通信部と、
画像の表示とユーザの操作の受付けとを行う入出力部、および、前記制御ユニット側無線通信部と無線通信を行うためのコンソール側無線通信部を有する移動可能なコンソールと、
を備え、
前記ガントリは、撮像室内に固定して設置されており、
前記制御ユニットは、前記室の隣に設けられた室内に固定して設置され、前記ガントリと接続されている
磁気共鳴イメージング装置。」
(相違点1)
本願発明では、「撮像」「室内に固定して設置され」る「ガントリを被検体載置用のテーブルごと電磁波シールド可能な伸展式の電磁波シールド構造」「を備え」ているのに対し、引用発明では、「壁」で区画される「磁気共鳴区画A」内には、そのようなものが設置されていない点
(相違点2)
無線通信を行うための制御ユニット側無線通信部について、本願発明では、「制御ユニット」が「有」しているのに対し、引用発明では、「磁気共鳴区画Aの内壁に取り付けられ」ている点。
(相違点3)
画像の再構成を行う画像再構成部、及び、再構成された画像を保存する画像保存部」について、本願発明では、「移動可能なコンソール」がそれらを有しているのに対し、引用発明では、「遠隔制御インタフェース装置60」ではなく、「画像処理システムC」が有している点。
(相違点4)
制御ユニットとガントリとの接続が、本願発明では「ケーブルにより」接続されているのに対し、引用発明では、「ワイヤレス通信」を介して接続されている点。
(相違点5)
ガントリを固定する撮像室が、本願発明では「撮像室兼用の手術室」であり、そして、コンソールが「撮像時に、前記手術室内に配置され」、制御ユニットが設ける室が「前記手術」室の隣であるのに対し、引用発明の「磁気共鳴区画A」が「撮像室兼用の手術室」ではない点。
(2)判断
ア 相違点1について
上記引用文献3の摘記(3ア)~(3ウ)から、引用文献3には「ガントリを被検体載置用のテーブルごと電磁波シールド可能な伸展式の電磁波シールド構造」が記載されているといえる。そこで、上記引用文献3記載の伸展式の電磁波シールド構造を、引用発明の「壁」で区画される「磁気共鳴区画A」内に設置することが容易かどうか検討する。
「磁気共鳴区画A」は、すでに「電磁放射線を通さないよう遮蔽された」ものであるから、「磁気共鳴区画A」内にさらに「ガントリを被検体載置用のテーブルごと電磁波シールド可能な伸展式の電磁波シールド構造」を設置することの積極的な動機付けはない。
さらに、引用発明では、「磁気共鳴区画Aの内壁に取り付けられ」る「第一の送受信器30のアンテナ28」と「磁石組立体に隣接して取り付けられる」「第二の送受信器32」の「アンテナ28」とは「ワイヤレス通信する」ものであるから、「ガントリを被検体載置用のテーブルごと電磁波シールド可能な伸展式の電磁波シールド構造」を設置しては、上記「ワイヤレス通信」が行えないことになり、上記「電磁波シールド構造」を設置することは、引用発明において阻害要因ともなる。
してみれば、引用発明において、磁気共鳴区画A内に「ガントリを被検体載置用のテーブルごと電磁波シールド可能な伸展式の電磁波シールド構造」を設置することは、当業者が容易になし得たことではない。
また、この点、上記引用文献2、4及び5の記載を参照しても、当業者が容易になしえたことではない。
(3)まとめ
よって、その余の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、引用発明及び引用文献2~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(4)付記
上記第3で記載した当審拒絶理由は、引用文献1を主引用例としたものであるが、引用文献3を主引用例とし、引用文献1を組み合わせる場合についても一応検討しておく。
引用文献3記載の磁気イメージング装置は、手術室の中にさらにガントリを囲むように電磁シールド構造を設けるものであり、一方、上記引用文献1に記載されている技術は、本願発明でいうガントリ、制御ユニット、コンソールをすべてワイヤレス通信とするものである。
引用文献1の磁気共鳴装置における「アンテナ28」を、引用文献3の「壁330」の内側かつ「電磁シールド構造」内に設けるとすると、ガントリと制御ユニットとは通信できるが、ガントリとコンソールは通信できないことになる。また、上記「アンテナ28」を「壁330」の内側ではあるが、上記「電磁シールド構造」の外に設けたとしても、コンソールとガントリが通信できないことになり、いずれにしろ、ガントリとコンソールの一方が通信できないという阻害要因がある。
してみれば、引用文献3の手術室の中にさらにガントリを囲むように電磁シールド構造を設けるという磁気イメージング装置において、引用文献1記載の技術を適用することは当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
2 請求項2~7に係る発明について
請求項2~7に係る発明は、いずれも本願発明を引用するものであり、上記相違点1に係る構成を備えるものであるから、本願発明と同じ理由により、引用発明及び引用文献2~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
上記記第2の原査定の概要及び第3の当審拒絶理由の概要で記載したとおり、原査定の理由で提示した引用文献A~Bはすべて当審拒絶理由で提示しており、上記第5及び6で説示したとおり、これらの引用文献から本願請求項1~7に係る発明は、当業者が容易に発明できたものとはいえないことから、上記第2の原査定の概要で記載した原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-017212