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特許拒絶査定不服審判

2017-012960

挿入時間もしくはハッシュ衝突またはその両方を低減するためのシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム(改良されたコンピュータ・インターフェース・システム)

審判番号
2017-012960
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-080172外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年09月01日
審決日
2018年12月17日
公報発行日
2019年02月22日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013- 80172「挿入時間もしくはハッシュ衝突またはその両方を低減するためのシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム(改良されたコンピュータ・インターフェース・システム)」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日出願公開、特開2013-243650、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)4月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年5月19日、米国)の出願であって、平成29年2月21日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年6月16日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年9月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年8月20日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、平成30年11月12日に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年6月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-22に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2009-296131号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 本願請求項1-22に係る発明は、明確でないので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 本願発明 本願請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、平成30年11月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 コンピュータ・プロセッサを包含するコントローラと、 セレクタ装置によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する前記セレクタ装置と、 前記セレクタ装置により選出された前記テーブルと置き換える、前記複数のテーブルとは別の予備テーブルを作成するための交換装置と、 前記交換装置が作成した前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にするスイッチと、 を含むシステム。 【請求項2】 前記セレクタ装置は、前記対象となるテーブル内のキーの配置に基づいて前記対象となるテーブルに対する前記衝突品質指標を判定する、請求項1に記載のシステム。 【請求項3】 ハッシュ関数の効率の目安として前記キーの分布がモニタされる、請求項2に記載のシステム。 【請求項4】 前記交換装置は、オーバーフロー閾値への到達が近くなったときには前記予備テーブルの作成を完了する、請求項1に記載のシステム。 【請求項5】 前記オーバーフロー閾値は、長めの挿入時間に基づいている、請求項4に記載のシステム。 【請求項6】 前記挿入時間は、所定数の衝突が処理された挿入の数をカウントすることによって計算される、請求項5に記載のシステム。 【請求項7】 前記ハッシュ関数はキーの直線分布を含む、請求項1に記載のシステム。 【請求項8】 コントローラと交信するセレクタ装置を使い、置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するステップと、 交換装置を使い、前記複数のテーブルとは別の予備テーブルを作成して前記セレクタ装置により選出された前記テーブルと置き換えるステップと、 スイッチを使い、前記交換装置が作成した前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にするステップと、 を含む方法。 【請求項9】 前記セレクタ装置を使い、前記対象となるテーブル内のキーの配置に基づいて前記対象となるテーブルに対する前記衝突品質指標を判定するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 ハッシュ関数の効率の目安として前記キーの分布をモニタするステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記交換装置を使い、オーバーフロー閾値への到達が近くなったときには前記予備テーブルの作成を完了するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。 【請求項12】 コンピュータ・プログラムであって、 コンピュータ・システムを改良するためのコンピュータ可読プログラム・コードを含み、前記コンピュータ可読プログラム・コードは、コンピュータ・システムに含まれるコンピュータ・プロセッサに、 コンピュータ・システムに含まれるコントローラと交信する、コンピュータ・システムに含まれるセレクタ装置を使い、置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出させ、 コンピュータ・システムに含まれる交換装置を使い、前記複数のテーブルとは別の予備テーブルを作成して前記セレクタ装置により選出された前記テーブルと置き換えさせ、そして コンピュータ・システムに含まれるスイッチを使い、前記交換装置が作成した前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮させる、ように構成される、 前記コンピュータ・プログラム。 【請求項13】 前記セレクタ装置を使い、前記対象となるテーブル内のキーの配置に基づいて、前記対象となるテーブルに対する前記衝突品質指標を判定するように構成されたプログラム・コードをさらに含む、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。 【請求項14】 ハッシュ関数の効率の目安として前記キーの分布をモニタするように構成されたプログラム・コードをさらに含む、請求項13に記載のコンピュータ・プログラム。 【請求項15】 前記交換装置を使い、オーバーフロー閾値への到達が近くなったときには前記予備テーブルの作成を完了するように構成されたプログラム・コードをさらに含む、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。 【請求項16】 コンピュータ・プロセッサ(14)を包含する、コントローラ(12)と、 セレクタ装置(16)によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する、前記セレクタ装置(16)と、 前記セレクタ装置により選出された前記テーブルと置き換える、前記複数のテーブルとは別の予備テーブルを作成するための、交換装置(18)と、 前記交換装置が作成した前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にする、スイッチ(20)と、 を含み、これらが通信ネットワーク(21)によって繋がれている、システム(10)。」 第5 引用文献1、引用発明について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は重要箇所に対して当審が付した。以下、同様。)。 (1)段落【0017】 「【0017】 本発明のIPパケット制御装置におけるソフトウェア検索方法によれば、常に最新の検索キーに見合ったハッシュ関数を用いているので、ハッシュ値の衝突を最小限に抑えることができる。 また、ハッシュ値の衝突が一定値に達した場合にのみ、実際に使用するハッシュ関数、ハッシュテーブルの切り替えを行うので、負荷を増大させることなく処理を実施することができる。」 (2)段落【0020】-【0030】 「【0020】 図1において、101はIPパケット処理装置であって、ネットワークから受信したIPパケットからサーチキーを抽出してテーブルを検索し、検索結果に基づいてプロトコル処理等のパケット処理を行って、処理後のIPパケットをネットワークに転送する。 IPパケット処理装置101は、検索用データの管理等を行うデータ管理部201と、テーブルの検索やIPパケットの編集、送受信処理等を行うパケット処理部202とから構成されている。 【0021】 データ管理部201は、サーチキー格納テーブル(更新面)301、サーチキー格納テーブル(確定面)302、最適ハッシュ関数生成部303、ハッシュテーブル管理部401、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501、ハッシュテーブル(ACT面)502、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601、ハッシュテーブル(SBY面)602の各機能部から構成されている。 【0022】 パケット処理部202は、サーチキー抽出部701、ハッシュキー生成部702、テーブル検索部703、パケット処理部704から構成されている。 【0023】 サーチキー登録機能部102は、IPパケット処理装置101とは別の装置であって、IPパケット処理装置101に対して、ダイナミックにサーチキーの登録・更新・削除の処理を行う。 本実施例においては、IPパケットの宛先アドレス(Destination Address;以下、DAと略称する)をサーチキーとして使用するものとする。DAはIPv6(IP version.6) アドレス(128ビット)であるものとする。また、ハッシュキーは32ビットであるものとする。 【0024】 サーチキー登録機能部102は、サーチキーであるIPv6アドレス(128ビット)を、サーチキー格納テーブル(更新面)301に登録するとともに、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601に受け渡す。 ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501は、ACT面用ハッシュ関数(ΣA)を使用して32ビットのハッシュキーを生成し、ハッシュテーブル(ACT面)502に登録する。 ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601は、SBY面用ハッシュ関数(ΣS)を使用して32ビットのハッシュキーを生成し、ハッシュテーブル(SBY面)602に登録する。 【0025】 サーチキー格納テーブル(更新面)301とサーチキー格納テーブル(確定面)302とは、5分周期で入れ替わって、旧更新面が新確定面になり、旧確定面が新更新面になる。 サーチキーの登録は、常に更新面に対して行われる。 【0026】 最適ハッシュ関数生成部303は、サーチキー格納テーブル(確定面)302に登録されているサーチキー群をもとに、5分周期で最新の最適ハッシュ関数を生成(算出)する。生成された最新のハッシュ関数は、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601に5分周期で通知される。 ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601では、通知された最新のハッシュ関数を用いて、ハッシュテーブル(SBY面)602の内容を更新する。 また、これ以降、サーチキー登録機能部102から通知されたサーチキーについては、新しいハッシュ関数を使用してハッシュキーの生成を行って、ハッシュテーブル(SBY面)602に登録する。 【0027】 ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501は、ハッシュテーブル(ACT面)502にハッシュキーを登録する際、ハッシュ値の衝突が所定の閾値以上発生しているか否かを確認して、閾値以上であった場合は、ハッシュテーブル管理部401に通知する。この通知を受けたハッシュテーブル管理部401は、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501及びハッシュテーブル(ACT面)502、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601及びハッシュテーブル(SBY面)602の、ACT面/SBY面の状態を切り替える。 また、最適ハッシュ関数生成部303、テーブル検索部703に対して、ACT面/SBY面が切り替えられたことを通知する。 【0028】 一方、ネットワークから受信したIPパケットは、サーチキー抽出部701でサーチキーの抽出を行う。この実施形態の場合は、IPv6パケットのIPヘッダから、DAをサーチキーとして抽出する。 ハッシュキー生成部702では、ハッシュ関数を用いて32ビットのハッシュキーを生成する。テーブル検索部703では、生成されたハッシュキーを使用して、ハッシュテーブル(ACT面)502を検索する。パケット処理部704では、得られた検索結果をもとにパケットを編集して、ネットワークへ送信する。 【0029】 以下、図1の構成図に示された各部の動作を、図2~図5を使用して説明する。 図2は、図1に示された構成において、従来方法を適用した場合の問題点を説明するものである。 ハッシュアルゴリズムを使用したソフトウェア検索手法において、異なるサーチキーから同一のハッシュキーが生成されるケースがあるため、実際の検索においてはハッシュキーから特定される配列に対して、ハッシュ演算前のオリジナルのサーチキーを用いてリニア(線形)サーチを行って、最終的な検索結果を求める。 【0030】 図2の例では、異なるN個のサーチキーに対するハッシュ値が、同じMという値になっている。換言すれば、ハッシュ値がMであるサーチキーがN個存在することから、検索結果を求めるためには、N個のデータをリニアサーチする必要がある。 この際、サーチキー#1でヒットすれば、配列に対して1回アクセスすればすむが、サーチキー#NでヒットするようなケースではN回のアクセスが必要になるため、それだけ検索時間がかかり、処理能力が低下することとなる。 また、1回アクセスの場合とN回アクセスの場合とでは処理時間が異なるため、ばらつきの原因にもなるといった課題が残ることになる。」 (3)段落【0035】 「【0035】 図6は、ハッシュテーブル管理部401の動作を示すものである。 ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501からハッシュキーが閾値をオーバーした旨の通知を受信すると(ステップS301)、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501へSBY化を指示し(ステップS302)、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601へACT化を指示し(ステップS303)、パケット処理部202のハッシュキー生成部702へハッシュ関数の変更が発生したことを通知して、新ハッシュ関数の取得を指示し(ステップS304)、テーブル検索部703へハッシュテーブル(ACT面)502の内容が変更されたことを通知する(ステップS305)。」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ネットワークから受信したIPパケットからサーチキーを抽出してテーブルを検索し、検索結果に基づいてプロトコル処理等のパケット処理を行って、処理後のIPパケットをネットワークに転送するIPパケット処理装置であって、 検索用データの管理等を行うデータ管理部201と、テーブルの検索やIPパケットの編集、送受信処理等を行うパケット処理部202とから構成され、 データ管理部201は、サーチキー格納テーブル(更新面)301、サーチキー格納テーブル(確定面)302、最適ハッシュ関数生成部303、ハッシュテーブル管理部401、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501、ハッシュテーブル(ACT面)502、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601、ハッシュテーブル(SBY面)602の各機能部から構成され、 パケット処理部202は、サーチキー抽出部701、ハッシュキー生成部702、テーブル検索部703、パケット処理部704から構成され、 サーチキー登録機能部102により、ダイナミックにサーチキーの登録・更新・削除の処理が行われ、且つ、サーチキーが、サーチキー格納テーブル(更新面)301に登録されるとともに、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601に受け渡され、 ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501は、ACT面用ハッシュ関数(ΣA)を使用してハッシュキーを生成し、ハッシュテーブル(ACT面)502に登録し、 ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601は、SBY面用ハッシュ関数(ΣS)を使用してハッシュキーを生成し、ハッシュテーブル(SBY面)602に登録し、 サーチキー格納テーブル(更新面)301とサーチキー格納テーブル(確定面)302とは、5分周期で入れ替わって、旧更新面が新確定面になり、旧確定面が新更新面になり、 サーチキーの登録は、常に更新面に対して行われ、 最適ハッシュ関数生成部303は、サーチキー格納テーブル(確定面)302に登録されているサーチキー群をもとに、5分周期で最新の最適ハッシュ関数を生成(算出)し、生成された最新のハッシュ関数は、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601に5分周期で通知され、 ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601では、通知された最新のハッシュ関数を用いて、ハッシュテーブル(SBY面)602の内容を更新し、また、これ以降、サーチキー登録機能部102から通知されたサーチキーについては、新しいハッシュ関数を使用してハッシュキーの生成を行って、ハッシュテーブル(SBY面)602に登録し、 ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501は、ハッシュテーブル(ACT面)502にハッシュキーを登録する際、ハッシュ値の衝突が所定の閾値以上発生しているか否かを確認して、閾値以上であった場合は、ハッシュテーブル管理部401に通知し、この通知を受けたハッシュテーブル管理部401は、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501及びハッシュテーブル(ACT面)502、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601及びハッシュテーブル(SBY面)602の、ACT面/SBY面の状態を切り替え、且つ、パケット処理部202のハッシュキー生成部702へハッシュ関数の変更が発生したことを通知して、新ハッシュ関数の取得を指示し、 ネットワークから受信したIPパケットは、サーチキー抽出部701でサーチキーの抽出を行い、ハッシュキー生成部702では、ハッシュ関数を用いてハッシュキーを生成し、テーブル検索部703では、生成されたハッシュキーを使用して、ハッシュテーブル(ACT面)502を検索し、パケット処理部704では、得られた検索結果をもとにパケットを編集して、ネットワークへ送信し、 ハッシュテーブル502には、ハッシュ値がMである配列にサーチキーがN個存在し、 常に最新の検索キーに見合ったハッシュ関数を用いているので、ハッシュ値の衝突を最小限に抑えることができる、 IPパケット処理装置。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明では、「ネットワークから受信したIPパケットは、サーチキー抽出部701でサーチキーの抽出を行い、ハッシュキー生成部702では、ハッシュ関数を用いてハッシュキーを生成し、テーブル検索部703では、生成されたハッシュキーを使用して、ハッシュテーブル(ACT面)502を検索し、パケット処理部704では、得られた検索結果をもとにパケットを編集して、ネットワークへ送信し」ており、「ネットワークから受信したIPパケットからサーチキーを抽出してテーブルを検索」する際のテーブルは、「ハッシュテーブル(ACT面)502」であるといえ、「ハッシュテーブル(ACT面)502」、及び、「ハッシュテーブル(ACT面)502」に対するハッシュキーの生成及び登録を行う「ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501」において、ネットワークから受信したIPパケットに対するハッシュキーの生成及び登録、ハッシュテーブルの検索等の処理を行っているから、引用発明における「ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501」、及び、「ハッシュテーブル(ACT面)502」が本願発明1における「コントローラ」に相当する。 イ 引用発明では、「ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601」は、「5分周期で通知され」る「最新のハッシュ関数」を用いて「ハッシュテーブル(SBY面)602の内容を更新し、また、これ以降、サーチキー登録機能部102から通知されたサーチキーについては、新しいハッシュ関数(最新のハッシュ関数)を使用してハッシュキーの生成を行って、ハッシュテーブル(SBY面)602に登録し」ているから、「最新のハッシュ関数」を保持していることは明らかである。 ウ 引用発明では、「ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501」は、「ハッシュテーブル(ACT面)502にハッシュキーを登録する際、ハッシュ値の衝突が所定の閾値以上発生しているか否かを確認して、閾値以上であった場合は、ハッシュテーブル管理部401に通知」し、この「通知」を受けた「ハッシュテーブル管理部401」は、「ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501及びハッシュテーブル(ACT面)502、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601及びハッシュテーブル(SBY面)602の、ACT面/SBY面の状態を切り替え」ている。 そうすると、引用発明は、「ネットワークから受信したIPパケットからサーチキーを抽出してテーブルを検索する際は、ハッシュテーブル(ACT面)502を検索する(上記ア参照)一方、最新のハッシュ関数を用いてハッシュテーブル(SBY面)602の更新とハッシュキーの生成及び登録を行い(上記イ参照)、ハッシュテーブル(ACT面)502にハッシュキーを登録する際は、ハッシュ値の衝突が所定の閾値以上発生しているか否かを確認して、閾値以上であった場合は、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501及びハッシュテーブル(ACT面)502、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601及びハッシュテーブル(SBY面)602の、ACT面/SBY面の状態を切り替えるもの」といえる。 つまり、「ハッシュテーブル(SBY面)602」は、「ネットワークから受信したIPパケットからサーチキーを抽出してテーブルを検索する際」には用いられず、「ハッシュテーブル(ACT面)502にハッシュキーを登録する際」に「ハッシュ値の衝突が所定の閾値以上発生しているか否かを確認して、閾値以上であった場合」に当該「ハッシュテーブル(ACT面)502」と「ACT面/SBY面の状態を切り替え」られることから、この「ハッシュテーブル(SBY面)602」は、本願発明1における「予備テーブル」に相当する。 エ そして、引用発明の「ハッシュテーブル(SBY面)602」に対する更新とハッシュキーの生成及び登録を行う「ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601」は、本願発明1の「前記セレクタ装置により選出された前記テーブルと置き換える、前記複数のテーブルとは別の予備テーブルを作成するための交換装置」と「テーブルと置き換える予備テーブルを作成するための手段」である点で共通するといえる。 オ 引用発明では、「ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501は、ハッシュテーブル(ACT面)502にハッシュキーを登録する際、ハッシュ値の衝突が所定の閾値以上発生しているか否かを確認して、閾値以上であった場合は、ハッシュテーブル管理部401に通知し、この通知を受けたハッシュテーブル管理部401は、ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501及びハッシュテーブル(ACT面)502、ハッシュキー生成/登録部(SBY面)601及びハッシュテーブル(SBY面)602の、ACT面/SBY面の状態を切り替え、且つ、パケット処理部202のハッシュキー生成部702へハッシュ関数の変更が発生したことを通知して、新ハッシュ関数の取得を指示し」ているが、上記イで述べたとおり、切り替えられた後のハッシュキー生成/登録部(ACT面)501(切り替えられる前のハッシュキー生成/登録部(SBY面)601)とハッシュキー生成部702が「最新のハッシュ関数」を保持していることは明らかであって、このことにより、切り替えられた後の「ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501」が、「ハッシュテーブル(ACT面)502にハッシュキーを登録する際」、すなわち、ハッシュテーブル(ACT面)502のハッシュキー(ハッシュ値)に対応する配列にサーチキーを登録する際には、切り替えられる前よりも「登録する際」の「ハッシュ値の衝突」を「抑えることができる」といえる。 したがって、「ACT面/SBY面の状態を切り替え」と「パケット処理部202」に「新ハッシュ関数の取得を指示」する「ハッシュテーブル管理部401」は、本願発明1の「前記交換装置が作成した前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にするスイッチ」と「前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にする手段」である点で共通するといえる。 カ 引用発明は、「検索用データの管理等を行うデータ管理部201」と「テーブルの検索やIPパケットの編集、送受信処理等を行うパケット処理部202」とから構成される「システム」であるともいえるから、本願発明1とは、「システム」である点で一致する。 よって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「コントローラと、 テーブルと置き換える予備テーブルを作成するための手段と、 前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にする手段と、 を含むシステム。」 (相違点) (相違点1)本願発明1は、「コンピュータ・プロセッサを包含するコントローラ」を含むのに対して、引用発明では、「ハッシュキー生成/登録部(ACT面)501」、及び、「ハッシュテーブル(ACT面)502」が「コンピュータ・プロセッサを包含する」ことが特定されていない点。 (相違点2)本願発明1は、「セレクタ装置によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する前記セレクタ装置」を含むのに対して、引用発明は、このような「セレクタ装置」を含まない点。 (相違点3)本願発明1は、「前記セレクタ装置により選出された前記テーブルと置き換える、前記複数のテーブルとは別の予備テーブルを作成するための交換装置」、及び、「前記交換装置が作成した前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にするスイッチ」を含むのに対して、引用発明では、「テーブルと置き換える予備テーブルを作成するための手段」、及び、「前記予備テーブルへの置き換えに基づいて新規のハッシュ関数を使用し、前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にする手段」を備えるとはいえるものの、置き換えられるテーブルが、本願発明1のような「前記セレクタ装置により選出された前記テーブル」ではない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、まず相違点2について検討する。 引用発明において、「ハッシュテーブル(SBY面)602」との切り替えの対象は「ハッシュテーブル(ACT面)502」のみであって、当該「ハッシュテーブル(ACT面)502」を複数とすることは、引用文献1には記載も示唆もされていない。 仮に、引用発明において「ハッシュテーブル(ACT面)502」を複数とすることを当業者が想定できたとしても、「対象となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出する」ことまで容易に想到し得たとする合理的根拠はない。 また、「セレクタ装置によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する前記セレクタ装置」が本願優先日前に周知技術であったということもできない。 したがって、上記相違点1,3について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-7について 本願発明2-7も、本願発明1と同様に、「セレクタ装置によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する前記セレクタ装置」という構成を有するものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 3 本願発明8-11について 本願発明8-11も、本願発明1の相違点2に係る構成に実質的に対応する、「コントローラと交信するセレクタ装置を使い、置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するステップ」という構成を有するものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 4 本願発明12-15について 本願発明12-15も、本願発明1の相違点2に係る構成に実質的に対応する、「コンピュータ・システムに含まれるコントローラと交信する、コンピュータ・システムに含まれるセレクタ装置を使い、置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出させ」という構成を有するものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 5 本願発明16について 本願発明16も、本願発明1の相違点2に係る構成に実質的に対応する、「セレクタ装置(16)によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する、前記セレクタ装置(16)」という構成を有するものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定について 平成30年11月12日付けの補正により、本願発明1-7は、「セレクタ装置によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する前記セレクタ装置」という技術的事項、本願発明8-11は、「コントローラと交信するセレクタ装置を使い、置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するステップ」という技術的事項、本願発明12-15は、「コンピュータ・システムに含まれるコントローラと交信する、コンピュータ・システムに含まれるセレクタ装置を使い、置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出させ」という技術的事項、本願発明16は、「セレクタ装置(16)によって置き換え対象の候補となる複数のテーブルのうち最も高い衝突品質指標を有するテーブルを選出するための、前記コントローラと交信する、前記セレクタ装置(16)」という技術的事項を有するものとなった。 これらの技術的事項は、原査定において引用された引用文献1には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-16は、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1に基づいて、容易に発明できたものではない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由について 当審では、請求項1,10の「前記コントローラが、前記コントローラに導入される新規コンポーネントとインターフェースをとるときの挿入時間と衝突との少なくとも一つを低減するのを可能にする」との記載が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年11月12日付けの補正において、「前記予備テーブル中のハッシュ衝突を低減して挿入時間を短縮するのを可能にする」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-012960

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