特許拒絶査定不服審判
2017-012751
赤血球上に存在する抗原または赤血球上に存在する抗原に結合する抗体を分析するための方法及び装置
- 審判番号
- 2017-012751
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-545237外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月29日
- 審決日
- 2018年04月23日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ユニヴェルシテ リブル ドゥ ブリュッセル
- 【請求人代理人】風早 信昭
- 【請求人代理人】浅野 典子
- 分類
- P18 .113-WY (G01N) / P18 .121-WY (G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-545237「赤血球上に存在する抗原または赤血球上に存在する抗原に結合する抗体を分析するための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月13日国際公開、WO2013/083619、平成27年 2月26日国内公表、特表2015-505963、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年12月5日(パリ条約による優先権主張 2011年12月6日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年5月20日付けで拒絶理由が通知され、同年11月17日に意見書が提出されたが、平成29年4月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年8月29日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
(新規性)本願請求項1、2、4、12、14~20に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)本願請求項1~4、6~10、12~20に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献3又は4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2008-520968号公報
3.国際公開第2001/073426号
4.特表昭62-500954号公報
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(平成29年8月29日付けの手続補正)は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1に「提供者に対応する第一集成体(101)及び受容者に対応する第二集成体(201)が、それらの間のいかなる混同も避けるための手段」という事項を追加する補正は、請求項1に記載の「第一集成体(101)及び第二集成体(201)」に対してさらに限定を付加したものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであり、また、当該補正事項は当初明細書の【0094】~【0096】に記載されているから、新規事項を追加するものでもない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1~15に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願の請求項1~15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明15」という。)は、平成29年8月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものである。
本願発明1は以下のとおり。
「二つの血液試料間の輸血前の血液型マッチングを試験するための分析キットであって、前記キットが、第一及び第二の血液試料に対応する少なくとも二つの集成体(101,201)を含み、各集成体が少なくとも二つの試験ユニット(1)を含み、各試験ユニット(1)が:
- 赤血球上に存在する抗原に結合することができる抗体を含有する試薬、及び
- 自由赤血球(6)に対して透過性でありかつ凝集赤血球に対して不透過性である膜(2,102,202)
を含み、
第一集成体(101)及び第二集成体(201)の両方のための第一試験ユニットに含有される抗体が第一血液型に対応し、第一集成体(101)及び第二集成体(201)の両方のための第二試験ユニットに含有される抗体が第二血液型に対応し、提供者に対応する第一集成体(101)及び受容者に対応する第二集成体(201)が、それらの間のいかなる混同も避けるための手段を含む、分析キット。」
なお、本願発明2~15の概要は以下のとおりである。
本願発明2~11は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明12は、本願発明1~11のいずれかに記載の分析キットを使用する方法の発明である。
本願発明13~15は、本願発明12を減縮した発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付加したものである。)
(1)「【請求項1】
粒子懸濁液の一定容量および溶液または懸濁液(前記溶液または懸濁液は凝集剤を含む。)の一定容量を、フィルターの表面上の実質的に同じ選択位置に置くこと(前記フィルターは個々の非凝集粒子が前記フィルターの前記表面に対して垂直方向に通過することを許容するように構築されている。)、
場合により洗浄液を前記凝集剤と実質的に同じ位置に置くこと、および
前記選択位置の前記表面を粒子の存在に関して観察すること
を含む、粒子懸濁液中の粒子凝集の検出および/または視覚化のための方法。
・・・
【請求項14】
前記粒子懸濁液が第一血液産物を含む、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項18】
前記第一血液産物が赤血球を含む、請求項14に記載の方法。
・・・
【請求項21】
前記凝集剤が第二血液産物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記凝集剤が血液型群に対する抗体を含む、請求項21に記載の方法。
・・・
【請求項58】
試料と前記凝集剤を受け取るための、試薬が場合により含浸されているフィルター;および
前記凝集溶液と試料の後に前記フィルター上に置くための、場合により洗浄液を含む、請求項1に記載の方法を実施するためのキット。
・・・
【請求項60】
前記フィルターに含浸されている前記試薬が凝集剤である、請求項58に記載のキット。」
(2)「【0001】
本発明は、一般に受容体-リガンド相互作用の検出に関し、より特定すると、輸血医学において用いるような正および逆の血液型判定および適合試験のための血液型抗原およびこれらの抗体の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子凝集反応は、この簡単さ、迅速性および相対的感受性の故に抗原-抗体相互作用の検出と視覚化のために広く採用されている免疫学的方法である(Riochet 1993)。一般に細胞は、および特に赤血球は、様々な凝集反応法に適した粒子である。このように、赤血球の凝集反応(血球凝集)は、輸血前検査手順の重要な構成要素として、血液型判定または適合試験においてこれらの表面上の抗原およびこのような抗原に対する抗体の検出のために用いられている(Rouger 1993;Brecher 2002)。輸血前検査の目的は、供血者の血球と受血者の血球の間の免疫学的不適合性による血球の凝集反応または溶血から生じる有害反応を防ぐことである。「血液型分類」または「血液型適合試験」は、供血者の赤血球の抗原構造を検出し、このような抗原に対する受血者の反応を予測するために用いられる一連の検査である。」
(3)「【0139】
図2を参照して、装置100およびキットも本発明の教示に従って構築し得る。この装置は、上部のフィルター104(多孔層)、所望による吸着層106、所望によるカバー108、フィルター層(104)の上の所望によるメッシュ層109(フィルター内への試験成分の迅速な浸透およびこれらの試験成分の混合を促進する。)、および(試験検体を置き、試験を実施する位置を規定する穴112を有する)所望による表カバー110から形成されるカード102の構造をとることができる。表カバーの穴112は、規定容量の洗浄液(示していない。)による反応物の洗浄を容易にするために、壁に取り囲まれ得、これによって規定容量を有するウエルを創造し得る。加えて、フィルターを通る液体の流れの速度を低減し、これによって弱い抗原および/または低レベルの抗体に対する本発明の感受性を高めるために、場合により水溶性フィルムをフィルターと吸収層の間に配置してもよい(示していない。)。
【0140】
この装置の好ましい実施形態において、このカードは試験を実施するための多数の位置を有する。この位置は、場合により、形状の印刷、切り出し形状を有する接着フィルムのような様々な方法によって印付けすることができる。このカード全体を、場合によりケース114に納めることができる。装置100は、反応区域を有するフィルターを取り出し、乾燥して、結果の記録としてファイル/保存することができるように、使用後の解体を許容するように構築し得る。このカードは、場合により、受血者および供血者の特定、日付、装置の特定その他のような様々な項目の情報を書き込むための領域を有し得る。1以上のカード、および必要な試薬、洗浄液、対照液および器具の全部または一部を含むキットは、本発明のもう1つの実施形態である。
【0141】
本発明の好ましい実施形態において、抗血液型抗体および/または抗グロブリンおよび抗補体試薬の全部または一部を、湿潤または好ましくは乾燥形態で、多孔表面に含浸させることができる。従って、誤りを予防し、手動操作の数を低減しながら、単一または多数の抗血液型および/または抗グロブリンおよび/または抗補体試薬を血液型の鑑別同定を促進するために使用可能にし得る。このような装置は、場合により陽性および陰性対照試験領域を含み得る。陰性対照領域は、場合により非免疫血清(例えば全く輸血を受けたことがないAB/Rh陽性男性からの血清など)をこの位置でフィルターに含浸させることによって実現し得る。陽性対照領域は、場合により抗赤血球抗血清または抗体(例えば抗グリコホリン抗体など)をこの位置でフィルターに含浸させることによって実現し得る。
【0142】
本発明のさらにもう1つの実施形態において、多数の試験領域(単一検体の血液型分類用など)を有する装置が提供される。この装置は、試験検体および場合により洗浄液が一工程で試験領域全体に拡散するのを促進するように構築し得る。このような実施形態は、(a)試験領域全部を、好ましくは親水性の、1枚のメッシュで覆うこと;(b)試験領域全体の上に非吸収性カバーを置くことによって試験領域の上にキャピラリー空隙を創造することのような、様々な設計要素によって実現できる。」
(4)図2には、以下の図面が示されている。
上記(1)記載の【請求項58】のキットは、上記(3)の図2の実施形態のキットの一部の構成を特定したものであるから、さらに、上記(3)の図2の実施形態の【0140】及び【0142】の構成を含めることができ、【0140】に記載の「1以上のカード・・・を含むキット」は、「複数のカードを含むキット」を含むものであり、また、【0142】に記載の「多数の試験領域(単一検体の血液型分類用など)を有する装置」は、「試験検体・・・が一工程で試験領域全体に拡散するのを促進するように構築し得る」ものであるから、1枚のカードであることが分かる。
また、上記(1)記載の【請求項58】は、「請求項1に記載の方法を実施するためのキット」であるから、請求項1の記載に鑑み、「試料・・・を受け取るための、試薬が含浸されているフィルターを含み、前記フィルターに含浸されている前記試薬が凝集剤である」は、「試料(粒子懸濁液)・・・を受け取るための、試薬が含浸されているフィルターを含み、前記フィルターに含浸されている前記試薬が前記凝集剤(血液型群に対する抗体を含む凝集剤)である」ことが分かる。
したがって、上記記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「赤血球を含む粒子懸濁液および血液型群に対する抗体を含む凝集剤を、フィルターの表面上の実質的に同じ選択位置に置くこと(前記フィルターは個々の非凝集粒子が前記フィルターの前記表面に対して垂直方向に通過することを許容するように構築されている。)、および
前記選択位置の前記表面を粒子の存在に関して観察することを含む、粒子懸濁液中の粒子凝集の検出および/または視覚化のための方法を実施するためのキットであって、
キットは複数のカードを含み、各カードは、
多数の試験領域(単一検体の血液型分類用)を有し、
試料(粒子懸濁液)を受け取るための、試薬が含浸されているフィルターを含み、前記フィルターに含浸されている前記試薬が前記凝集剤(血液型群に対する抗体を含む凝集剤)である、キット。」
2 引用文献3及び4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特に、第6頁第5行~第13行、FIG.1を参照。)には、「二つの血液試料間の輸血前の血液型マッチングを試験するための分析キット」が記載されていると認められる。
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特に、第4頁右上欄第4行~第6行を参照。)には、「携帯用血液型判定装置」が記載されていると認められる。
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「試料(粒子懸濁液)」は、「赤血球を含む粒子懸濁液」であるから、本願発明1の「血液試料」に相当する。また、引用発明の「キット」は、「粒子懸濁液中の粒子凝集の検出および/または視覚化のための方法を実施するための」分析キットである。よって、引用発明の「キット」と、本願発明1の「二つの血液試料間の輸血前の血液型マッチングを試験するための分析キット」とは、「血液試料を試験するための分析キット」の点で共通する。
イ 引用発明の「カード」は、「多数の試験領域(単一検体の血液型分類用)を有し」ていることから、本願発明1の「少なくとも二つの試験ユニット(1)を含」む「集成体」に相当する。よって、引用発明の「キットは複数のカードを含」むことと、本願発明1の「前記キットが、第一及び第二の血液試料に対応する少なくとも二つの集成体(101,201)を含」むこととは、「前記キットが、血液試料に対応する少なくとも二つの集成体(101,201)を含」むことで共通する。
ウ 引用発明の「試験領域」は、本願発明1の「試験ユニット」に相当するところ、引用発明の「各カードは、多数の試験領域(単一検体の血液型分類用)を有」することは、本願発明1の「各集成体が少なくとも二つの試験ユニット(1)を含」むことに相当する。
エ
(ア)引用発明の「試薬」は、「赤血球を含む」「粒子懸濁液中の粒子凝集の検出」に用いる「凝集剤」であって、前記「凝集剤」は「血液型群に対する抗体を含む」ものであるから、本願発明1の「赤血球上に存在する抗原に結合することができる抗体を含有する試薬」に相当する。
(イ)また、引用発明の「フィルター」は、そ「の表面上の実質的に同じ選択位置に置くこと(前記フィルターは個々の非凝集粒子が前記フィルターの前記表面に対して垂直方向に通過することを許容するように構築されている。)」で、「前記選択位置の前記表面を粒子の存在に関して観察」するために用いるものであるから、本願発明1の「自由赤血球(6)に対して透過性でありかつ凝集赤血球に対して不透過性である膜(2,102,202)」に相当する。
(ウ)そして、引用発明の各「試験領域」は、「試薬が含浸されているフィルターを含」むものである。
(エ)したがって、引用発明の各「試験領域」が、「試薬が含浸されているフィルターを含」むことは、本願発明1の「各試験ユニット(1)が:
- 赤血球上に存在する抗原に結合することができる抗体を含有する試薬、及び
- 自由赤血球(6)に対して透過性でありかつ凝集赤血球に対して不透過性である膜(2,102,202)
を含」むことに相当する。
オ
(ア)引用発明の「複数のカード」は、2つのカードを含むことから、本願発明1の「第一集成体(101)及び第二集成体(201)」に相当する。
(イ)また、引用発明の「多数の試験領域」は、2つの試験領域を含むことから、本願発明1の「第一試験ユニット」及び「第二試験ユニット」に相当する。
(ウ)そして、引用発明の「多数の試験領域」は、「単一検体の血液型分類用」として用いることから、第一「試験領域」の試薬は、第一血液型に対応させ、第二「試験領域」の試薬は、第二血液型に対応させることは明らかである。
(エ)したがって、引用発明において、「複数のカードを含み、各カードは、多数の試験領域(単一検体の血液型分類用)を有」することは、本願発明1の「第一集成体(101)及び第二集成体(201)の両方のための第一試験ユニットに含有される抗体が第一血液型に対応し、第一集成体(101)及び第二集成体(201)の両方のための第二試験ユニットに含有される抗体が第二血液型に対応」することに相当する。
(2)一致点、相違点
してみると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の各点で相違する。
(一致点)
「血液試料を試験するための分析キットであって、前記キットが、血液試料に対応する少なくとも二つの集成体を含み、各集成体が少なくとも二つの試験ユニットを含み、各試験ユニットが:
- 赤血球上に存在する抗原に結合することができる抗体を含有する試薬、及び
- 自由赤血球に対して透過性でありかつ凝集赤血球に対して不透過性である膜
を含み、
第一集成体及び第二集成体の両方のための第一試験ユニットに含有される抗体が第一血液型に対応し、第一集成体及び第二集成体の両方のための第二試験ユニットに含有される抗体が第二血液型に対応する、分析キット。」
(相違点1)
血液試料を試験するための分析キットが、本願発明1では、「二つの血液試料間の輸血前の血液型マッチングを試験するための」分析キットであって、「提供者に対応する第一集成体(101)及び受容者に対応する第二集成体(201)が、それらの間のいかなる混同も避けるための手段を含む」、分析キットであるのに対し、引用発明では、「単一検体の血液型分類用」のキットである点。
(相違点2)
血液試料に対応する二つの集成体が、本願発明1では、「第一及び第二の」血液試料に対応するのに対し、引用発明では、この点につき特定されていない点。
(3)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
上記引用文献1には、上記「第5 1(2)」の【0001】に「本発明は、・・・輸血医学において用いるような正および逆の血液型判定および適合試験のための血液型抗原およびこれらの抗体の検出に関する。」、及び【背景技術】【0002】に、「輸血前検査の目的は、供血者の血球と受血者の血球の間の免疫学的不適合性による血球の凝集反応または溶血から生じる有害反応を防ぐことである。「血液型分類」または「血液型適合試験」は、供血者の赤血球の抗原構造を検出し、このような抗原に対する受血者の反応を予測するために用いられる一連の検査である。」と記載されている。これらの記載によれば、引用発明の「単一検体の血液型分類用」のキットを、供血者と受血者の輸血前の免疫学的不適合性を検査するために用いること、すなわち、「二つの血液試料間の輸血前の血液型マッチングを試験するため」に用いることは、当業者が容易に為し得たことであるといえる。
しかしながら、二つの血液試料間の輸血前の血液型マッチングを試験するために、「提供者に対応する第一集成体(101)及び受容者に対応する第二集成体(201)が、それらの間のいかなる混同も避けるための手段」を備える点は、引用文献1、3及び4(上記「第5」を参照。)のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願優先日前における周知技術であるといえる証拠もない。
よって、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことではない。
(4)小括
以上のとおり、上記相違点1は実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
また、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明、引用文献1、3及び4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~15について
本願発明2~15は、本願発明1の「提供者に対応する第一集成体(101)及び受容者に対応する第二集成体(201)が、それらの間のいかなる混同も避けるための手段」を備えている。
よって、本願発明2~15は、上記1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
また、本願発明2~15は、上記1と同じ理由により、引用発明、引用文献1、3及び4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1~15は、「提供者に対応する第一集成体(101)及び受容者に対応する第二集成体(201)が、それらの間のいかなる混同も避けるための手段」という事項を有するものとなっている。
よって、本願発明1~15は、引用文献1に記載された発明であるとはいえず、また、引用文献1に記載された発明、及び引用文献3又は4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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