特許拒絶査定不服審判
2017-011518
角度測定装置
- 審判番号
- 2017-011518
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-179052外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月03日
- 審決日
- 2018年04月13日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WY (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-179052「角度測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月11日出願公開、特開2014-232116、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成20年2月22日(パリ条約に基づく優先権主張 2007年2月22日 (DE)ドイツ連邦共和国)に出願した特願2008-40941号の一部を、平成26年9月3日に新たな特許出願としたものであって、平成27年7月30日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月10日付けで手続補正がなされ、平成28年7月27日付けで、最後の拒絶理由が通知され、平成28年10月28日付けで意見書が提出されたが、平成29年3月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年8月3日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年3月28日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-4
・引用文献等 1-4
・請求項 5-7
・引用文献等 1-6
・請求項 10-11
・引用文献等 1-7
<引用文献等一覧>
1.特開2001-9748号公報
2.特開2005-231001号公報(周知技術を示す文献としても用いられる)
3.特開2006-21272号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2002-66945号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2002-120162号公報(周知技術を示す文献)
6.特開平7-113864号公報(周知技術を示す文献)
7.実願昭59-79106号(実開昭60-190576号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)」
第3 本願発明
本願の請求項1-11に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成28年2月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりである。
「【請求項1】
ねじ接続部を締め付けるための操作工具(50)の締め付け角度を測定するための角度測定装置(10)であって、
外部の基準部なしで回転角度を電子的に検出するための回転角度測定センサとしての加速度センサ(20)を有し、前記操作工具(50)に取り外し可能に固定される角度測定装置(10)において、
当該角度測定装置(10)を前記操作工具(50)において選択可能な異なる位置に取り外し可能に固定する固定手段(12)と、
測定に対する開始信号を該角度測定装置(10)のために検出するトリガ装置(38)と、
前記操作工具(50)との間で信号を交換可能な無線インタフェース(32)と、
少なくとも該角度測定装置(10)をスイッチオンまたはスイッチオフするための操作ユニット(36)と、
を有しており、
取り付けトルクに達したときに、前記トリガ装置(38)は、前記操作工具(50)から、開始信号として相応の信号を前記無線インタフェース(32)を介して受信する、
ことを特徴とする、角度測定装置。」
なお、本願発明2-11の概要は以下のとおりである。
本願発明2-10は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明11は、本願発明1-10に係る角度測定装置を備えた操作工具の発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、角度締結法を採用するねじ締め作業時に使用できる角度レンチであって、特に被締結ねじの締結作業時における被締結ねじ(角度レンチ)の捻回角度を逐次表示する電気的なセンサと表示器を備えた角度レンチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】機器等の被締結体を、ボルトナット等の被締結ねじを用いて規定の締結力でねじ締めするねじ締結方法として、例えばトルクレンチを用いたトルク締結法と、トルクレンチによるねじ締結後さらにそのねじの塑性域内で規定の角度だけ捻回量を与える角度締結法、さらには勾配締結法等が周知である。このトルク締結法と角度締結法について図5を用いて具体的に説明すると、トルク締結法は、ねじの締結トルク値を設定検出することができるトルクレンチを用いて、ねじの弾性域内でトルクレンチに内蔵された例えばトグルリンクが動作するスナグ点つまり設定トルク値T1 までねじ締めを行なうものであり、また角度締結法はトルクレンチを用いて該トルクレンチに内蔵されているトグルリンク等のトルク検出機構が動作して設定トルク値T1 (スナッグトルク値)に達した後、そのトルクレンチをさらにねじの塑性域内で所定の捻回角度θ1 だけ回動して、ねじ締付け力T2 とする締結法である。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記角度締結法を採用するねじ締め作業時においては、トルクレンチによるねじ締め時において、そのスナッグトルク点に到達した以後のトルクレンチの回動角度を検知する必要があり、このために従来ではトルクレンチに取付けてなる例えばパルスエンコーダ等からなる角度カウンタの角度基準とすべき基部材等の機械的位置決め手段が必要となる。
【0005】そこでこの角度カウンタにおける基部材を機械的に位置決めするための従来例では、図6で示すように、トルクレンチ1のヘッド部に角度センサ2のステータ4側を固定し、その角度センサ2のロータ3をフレキシブル軸5に連結させると共に、そのフレキシブル軸5の先端を、磁石等からなる固定体6を介してベース7に回転不能に固定させている。
【0006】このような角度カウンタ基部材の機械的位置決め手段では、各ねじのねじ締めを行なう度に固定体6のセットを毎回行なわなければならず、ねじ締め作業が煩雑となり、さらにはねじ締め作業時において、フレキシブル軸5及び固定体6が障害となってねじ締め作業性が大幅に低下する等の欠点があった。
【0007】本発明は、かかる従来の欠点に着目してなされたもので、締結トルク値を電気的に設定検出することができる手動ねじ締結器を用い、かつ角度締結法を採用するねじの締結作業時のレンチ捻回角度を電気的に検出表示することが可能であるセンサを具備せしめた角度レンチであって、特にこの角度レンチに、例えば従来例で示されているフレキシブル軸5及び固定体6等の付属品を用いることなく、スナッグトルク到達以後の捻回角度を検出することが可能であるセンサを設けると共に、その捻回角度変化を電気的に逐次表示せしめることができる電気的に表示器を具備せしめて、角度締結法を採用するねじ締結作業時の捻回角度表示の視認性を向上させ、さらには締結作業の円滑性と容易性を高めることを第1の目的とする。」
「【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に示す実施の形態に基いて詳細に説明する。図1及び図2では、手動ねじ締結器であるトルクレンチの全体形状を示す。
【0011】トルクレンチ11は、尾端部にグリップ部12を取付けているハンドルチューブ13と該ハンドルチューブ13の先端部に取付けられている支軸14により軸支されているヘッド部材15を有し、そのハンドルチューブ13の略中間部には、上記ヘッド部材15の尾端を変位不能に係止する係止ピン23が固定されており、この係止ピン23によりヘッド部材15は、支軸14を支点とする回動が不能になっている。また上記ヘッド部材15の所定位置には例えば歪みゲージ24が取付けられている。
【0012】16は上記ハンドルチューブ13の外側に取付けられているセンサケース、17は同様にしてハンドルチューブ13の外側で起伏可能に支持されている処理表示器ケースであって、上記センサケース16の内部には、例えばジャイロスコープ等による角速度センサ又は角加速度センサ18が内装されている。また上記処理表示器ケース17の内部には、図4で示すように、上記角速度センサ又は角加速度センサ18から出力される角速度又は角加速度信号を角度信号に変換する変換回路19(例えば積分回路)と、この変換回路19により得られた角度信号の値を電気的に表示器20で表示せしめるための表示器駆動回路21と、上記表示器20のそれぞれが組込まれている。
【0013】またこの処理表示器ケース17は、図3で示すようにハンドルチューブ13の軸心方向と平行に位置固定されている支軸22により軸支されており、その処理表示器ケース17の表示面を例えば水平方向から垂直方向へ変位させることができるようになっている。
【0014】以上が本実施の形態であるが、次にその作用について説明すると、手動ねじ締結器であるトルクレンチ11のヘッド部材15に不図示のソケット等を介して被締結ねじ(図示せず)に嵌合させた上で、そのグリップ部12を握り、ハンドルチューブ13の往復回動を繰返し行なうことで被締結ねじのねじ締めがなされる。
【0015】そしてそのねじ締めトルクが規定の締結トルク(スナッグトルク)に達すると、歪みゲージ24からの出力で被締結ねじがスナッグトルクに達したことが検知される。角度締結法ではそのスナッグトルクに達してからトルクレンチ11をさらに所定の角度だけ回動することになる。
【0016】そこで被締結ねじの締結トルク値がスナッグトルクに達すると、上記歪みゲージ24からのトルク検出出力によりスナッグトルクに達したことが検出されるので、このスナッグトルク検出出力を基にして角速度センサ又は角加速度センサ18が起動され、トルクレンチ11のスナッグトルク到達以後の上記トルクレンチ11の角速度信号又は角加速度信号が逐次出力される。上記センサ18から出力された角速度信号又は角加速度信号は、変換回路19で変換処理(積分)され、これによって変換回路19から角度信号として出力される。この角度信号を表示器駆動回路21で表示器20の駆動信号となし、表示器20によりトルクレンチのスナッグトルク生起以降の捻回角度が電気的に逐次カウント表示される。」
ア 段落【0007】に記載された「角度レンチ」が、「角度締結法を採用するねじ締め作業時」に「スナッグトルク点に到達した以後のトルクレンチの回動角度を検知」できる「トルクレンチ11」を言い替えたものであることは、段落【0002】及び段落【0004】における「角度締結法」についての記載より明らかである。
よって、段落【0007】における「角度レンチ」とは、引用文献1の【発明の実施の形態】における「トルクレンチ11」に対応するものと認められる。
イ また、段落【0012】の記載より、「トルクレンチ11は、上記ハンドルチューブ13の外側に取付けられているセンサケース16、ハンドルチューブ13の外側で起伏可能に支持されている処理表示器ケース17を有する」との技術事項を読み取ることができる。
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「フレキシブル軸5及び固定体6等の付属品を用いることなく、角度締結法を採用するねじの締結作業時のレンチ捻回角度を電気的に検出表示することが可能であるセンサを具備せしめたトルクレンチ11であって(段落【0007】の記載及び上記「ア」より。以下、同様。)、
トルクレンチ11は、尾端部にグリップ部12を取付けているハンドルチューブ13と該ハンドルチューブ13の先端部に取付けられている支軸14により軸支されているヘッド部材15を有し、そのハンドルチューブ13の略中間部には、上記ヘッド部材15の尾端を変位不能に係止する係止ピン23が固定されており、この係止ピン23によりヘッド部材15は、支軸14を支点とする回動が不能になっており、また上記ヘッド部材15の所定位置には例えば歪みゲージ24が取付けられており(【0011】)、トルクレンチ11は、上記ハンドルチューブ13の外側に取付けられているセンサケース16、ハンドルチューブ13の外側で起伏可能に支持されている処理表示器ケース17を有し(「イ」)、上記センサケース16の内部には、角加速度センサ18が内装され、また上記処理表示器ケース17の内部には、上記角加速度センサ18から出力される角加速度信号を角度信号に変換する変換回路19(例えば積分回路)と、この変換回路19により得られた角度信号の値を電気的に表示器20で表示せしめるための表示器駆動回路21と、上記表示器20のそれぞれが組込まれ(【0012】)、処理表示器ケース17は、ハンドルチューブ13の軸心方向と平行に位置固定されている支軸22により軸支され(【0013】)、
被締結ねじの締結トルク値がスナッグトルクに達すると、上記歪みゲージ24からのトルク検出出力によりスナッグトルクに達したことが検出されるので、このスナッグトルク検出出力を基にして角加速度センサ18が起動され、トルクレンチ11のスナッグトルク到達以後の上記トルクレンチ11の角加速度信号が逐次出力され、上記センサ18から出力された角加速度信号は、変換回路19で変換処理(積分)され、これによって変換回路19から角度信号として出力され、この角度信号を表示器駆動回路21で表示器20の駆動信号となし、表示器20によりトルクレンチのスナッグトルク生起以降の捻回角度が電気的に逐次カウント表示される(【0016】)、
トルクレンチ11(【0007】、「ア」)。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0006】
本発明にかかるねじ締め本数管理方法の請求項1は、・・・
そして、ねじ締め本数管理装置の請求項3は、・・・
従って、ねじ締め本数管理装置は、トルクレンチに一体化させたものでも、トルクレンチに対して着脱式にしたものでもよい。・・・」
「【0008】
以下に、本発明にかかるねじ締め本数管理方法と装置を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、1はトルクレンチであり、操作対象のねじ等に装着する機能を備えたヘッド部材11、柄部材12、前記柄部材12の端部に形成された握り部13、前記柄部材12の内部に配設されたトルクバー14、スラスタ15、トルクバー14とスラスタ15とを連結するリンク16、及びバネ17等を備えている。そして、ねじ締め(図1における時計回り方向での締付け)において前記バネ17によって設定された所定のトルクに達すると、トルク伝達機構を構成する前記リンク16によって前記スラスタ15が押されて前記バネ17が圧縮されると同時に、柄部材12はヘッドピン18を中心として急激に時計回り方向に回動し、トルクバー14はそのままの位置を維持する。従って、前記トルクバー14は前記柄部材12の内壁と衝突して振動が発生するように構成されている。
【0009】
2はセンサユニットであり、加速度センサ3と、マイクロコンピュータ4と、バッテリ5と、図2に示したように、LEDランプ61、62と、ブザー7を内蔵している。
図2に示したように、前記加速度センサ3は、前記トルクレンチ1で発生した振動が取り付け部材8を介してセンサユニット2のケースに伝達したときに、その振動波形に応じて電圧が変化する検知信号を出力するようにセンサユニット2のケースに固定されている。また、センサユニット2または後述するホルダ部にねじ締め本数等の数値を表示する表示手段を備えても良い。
前記マイクロコンピュータ4は、前記加速度センサ3から出力される前記検知信号を取り込む入力ポートと、信号解析プログラムが書き込まれたメモリと、前記信号解析プログラムを動作させることによって、取り込まれた前記検知信号の波形を解析して、1本のねじ締めが完了したと判定する毎にねじ締め完了本数を1本づつ増やして積算し、その積算したねじ締め完了本数が予め設定された予定数量に達したときにLEDランプもしくはブザーを特定のパターンで駆動するように制御するCPUと、外部との通信を行う通信ポートを備えている。
なお、前記CPUは、取り込まれた前記検知信号の波形を解析して、1本のねじ締めが完了したと判定する毎にねじ締め完了信号を出力して、LEDランプもしくはブザーを前記特定のパターンとは異なるパターンで短時間駆動するように構成してもよい。」
「【0015】
前記センサユニット2は特許請求の範囲に記載されたねじ締め本数管理装置に対応する構成であり、前記取り付け部材8は特許請求の範囲に記載された装着手段に対応する構成であり、前記加速度センサ3は特許請求の範囲に記載された検知手段に対応する構成であり、前記マイクロコンピュータ4は特許請求の範囲に記載された判定手段及び積算手段に対応する構成であり、前記バッテリー5は特許請求の範囲に記載された電源供給手段に対応する構成である。」
「【0020】
図3の(a)、(b)、(c)に示したように、センサユニット2をトルクレンチ1に取り付ける前記取り付け部材8は両者を固着させるものではなく、回動可能に取り付けている構造であるため、センサユニット2をトルクレンチ1の軸回りに回動させることが可能である。従って、作業空間が狭い場合には、その状況に応じて、センサユニット2を所望の位置に回動させて、ねじ締め操作の邪魔にならないようにすることができる。
【実施例2】
【0021】
さらには、図4に示したように、センサユニット2Aを、トルクレンチ1Aの握り部13Aの端部に取り付けてもよい。このようにすると、ヘッドピン18Aからセンサユニット2Aまでの距離が長くなり、トルクバーと柄部材12との相対移動量が大きくなり、信号を検知しやすくなる。」
引用文献2の段落【0015】に「センサユニット2は・・・ねじ締め本数管理装置に対応する構成であ」ると記載されていることから、引用文献2の段落【0006】に記載された「ねじ締め本数管理装置」は「センサユニット2」と読み替えることができる。
よって、引用文献2には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「トルクレンチ1であって、操作対象のねじ等に装着する機能を備えたヘッド部材11、柄部材12、前記柄部材12の端部に形成された握り部13、前記柄部材12の内部に配設されたトルクバー14、スラスタ15、トルクバー14とスラスタ15とを連結するリンク16、及びバネ17等を備え(【0008】)、
センサユニット2は、加速度センサ3と、マイクロコンピュータ4と、バッテリ5と、LEDランプ61、62と、ブザー7を内蔵し(【0009】)、
マイクロコンピュータ4は、前記加速度センサ3から出力される前記検知信号を取り込み、取り込まれた前記検知信号の波形を解析して、1本のねじ締めが完了したと判定する毎にねじ締め完了本数を1本づつ増やして積算し、その積算したねじ締め完了本数が予め設定された予定数量に達したときにLEDランプもしくはブザーを特定のパターンで駆動するように制御し(【0009】)、
センサユニット2は、トルクレンチに一体化させたものでも、トルクレンチに対して着脱式にしたものでもよく(【0006】)、
センサユニット2をトルクレンチ1に取り付ける前記取り付け部材8は両者を固着させず、回動可能に取り付け(【0020】)、さらには、センサユニット2Aを、トルクレンチ1Aの握り部13Aの端部に取り付けてもよい(【0021】)、
トルクレンチ1(【0009】)。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0008】
締付トルク測定ユニット(4)の表示部(5)に締付けトルクが表示されることから、トルク表示器付きトルクレンチで追い締めしてトルクを測定する作業は不要となる。」
「【0009】
第1実施例(図1乃至図7)
図1、図2は、締付機本体(1)から締付トルク測定ユニット(4)を外し、更に、締付トルク測定ユニット(4)をユニット本体(3)とソケットユニット(2)とに分離した状態を示している。図3は、締付機本体(1)に締付トルク測定ユニット(4)をセットした状態を示している。」
「【0032】
上記説明は、・・・(途中省略)・・・である。
又、実施例では、締付トルク測定ユニット(4)は、外軸(32)上に歪ゲージ(47)のみならず、回路基板(7)及び表示部(5)を設けたが、これに限定されることはなく、回路基板(7)及び表示部(5)は、締付機上の適所あるいは締付機から離れている適所に配備することができる。歪ゲージ(47)側と回路基板(7)、表示部(5)側を配線することが無理な場合、無線で信号伝達すればよい。」
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の請求項1では、角度法を採用するねじ締結トルクレンチに具備せしめた角速度センサに電源を印加した後、該ねじ締結レンチを静止状態に保持しながら、上記角速度センサの角速度値の基準となる角速度値変動状態を、時間の経過に対応して検出して、レンチ静止状態の時間ドリフト値を記録し、上記ねじ締結レンチによる角度締め時の電源投入からの各時間対応の角度値を、上記時間ドリフト値を基にして自動的に補正するねじ締結角度法を採用するトルクレンチにおける角速度センサのドリフト補正方法であることを特徴としている。」
「【0014】そこで上記レンチ1を用いて締結ねじの締結トルク値を測定する当り、先ずは、そのトルクレンチの角速度センサ2に電源を入れて、制御器3内で既に記憶されている時間ドリフトデータを読み出し、この時間ドリフトデータを基にして、レンチによる締結トルク測定に伴なう電源印加後の経過時間に伴なう測定角速度値を補正カーブ(B)により補正する。」
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0028】また、トルクレンチ本体2には、歪ゲージ等のトルク検出手段5と、ボルトを締め付けるためにトルクレンチ本体2を回動させた際に、トルクレンチの回動角度を検知する振動式ジャイロセンサ等の回動角度検出手段6が取り付けられ、さらに前記トルク検出手段5と前記回動角度検出手段6からの各検出情報に基づいて締め付けトルクを演算処理し、演算処理により得られた締め付けトルクを表示する表示部を有する演算処理装置1が取り付けられている。
【0029】なお、7はブザー、8はLED、9はこれら装置1等の電源としての充電池である。」
6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、段落【0009】-【0012】、段落【0016】、図1、及び図2に、「無線ユニット20がトルクレンチ22と電気的及び機械的に接続され、無線ユニット20の電源40Aとなる電池40から、トルクレンチ22へ電源が供給されること」が記載されている。
7.引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献7には、「トルクレンチのトグル動作時期を、ねじに加えるべき締付最大トルク値よりも低い時点に設定して、そのトグルが動作した後に、トルクレンチを所定の締付角度回動してねじの締付を完了させるようにしたトルクレンチ」(明細書第2頁第18行~第3頁第3行)が記載されている。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「ねじの締結作業時」のレンチ捻回角度を電気的に検出表示することが可能であるセンサを具備せしめた「トルクレンチ11」が、本願発明1における「ねじ接続部を締め付けるための操作工具(50)」に相当する。
イ 上記「ア」を踏まえると、引用発明における「センサケース16」と、該「センサケース16」に「内装」された、「角度締結法を採用するねじの締結作業時のレンチ捻回角度を」「検出」「することが可能であるセンサ」を含む内装品と、「処理表示器ケース17」と、該「処理表示器ケース17」内の処理表示器(以下、これらの要素を包括して、「センサケース16等」という。)が、本願発明1における「ねじ接続部を締め付けるための操作工具(50)の締め付け角度を測定するための角度測定装置(10)」に相当する。
ウ 引用発明における「フレキシブル軸5及び固定体6等の付属品」は、引用文献1の段落【0004】に記載された「トルクレンチに取付けてなる例えばパルスエンコーダ等からなる角度カウンタの角度基準とすべき基部材等の機械的位置決め手段」であるから、本願発明1における「外部の基準部」に相当する。
エ 引用発明における「角加速度センサ18」は、「フレキシブル軸5及び固定体6等の付属品を用いることなく、角度締結法を採用するねじの締結作業時のレンチ捻回角度を電気的に検出表示することが可能であるセンサ」である。
よって、上記「ウ」を踏まえると、引用発明における「角加速度センサ18」が、本願発明1における「外部の基準部なしで回転角度を電子的に検出するための回転角度測定センサとしての加速度センサ(20)」に相当する。
オ 引用発明における「センサケース16等」は、「センサケース16」が「トルクレンチ11」の「ハンドルチューブ13の外側に取付けられ」、「処理表示器ケース17は、ハンドルチューブ13の軸心方向と平行に位置固定されている支軸22により軸支され」ているから、「センサケース16等」は、「トルクレンチ11」に固定されているといえる。
よって、「トルクレンチ11」に固定された、「センサケース16等」と、本願発明1における「前記操作工具(50)に取り外し可能に固定される角度測定装置(10)」とは、「前記操作工具(50)に固定される角度測定装置(10)」の点で共通する。
カ 上記「ア」、「イ」を踏まえると、引用発明における「センサケース16等」の「センサケース16」を「トルクレンチ11」の「ハンドルチューブ13の外側に取付け」る手段、及び、「センサケース16等」の「処理表示器ケース17」を「軸支」する、「ハンドルチューブ13の軸心方向と平行に位置固定されている支軸22」と、本願発明1における「当該角度測定装置(10)を前記操作工具(50)において選択可能な異なる位置に取り外し可能に固定する固定手段(12)」とは、「当該角度測定装置(10)を前記操作工具(50)に固定する固定手段(12)」の点で共通する。
キ 引用発明では、 「トルクレンチ11」の「ヘッド部材15の所定位置に」「歪みゲージ24が取付けられており」、「被締結ねじの締結トルク値がスナッグトルクに達すると、上記歪みゲージ24からのトルク検出出力によりスナッグトルクに達したことが検出されるので、このスナッグトルク検出出力を基にして角加速度センサ18が起動され」ているから、引用発明における「センサケース16等」が、「トルクレンチ11」側から「スナッグトルク検出出力」を受けるインタフェースを有していることは明らかである。
よって、引用発明における「センサケース16等」が有する、「トルクレンチ11」側からの「スナッグトルク検出出力」を受けるインタフェースと、本願発明1における「前記操作工具(50)との間で信号を交換可能な無線インタフェース(32)」とは、「前記操作工具(50)との間で、信号を受信可能なインタフェース(32)」の点で共通する。
ク 上記「キ」のとおり、引用発明における「センサケース16等」は、「トルクレンチ11」側からの「スナッグトルク検出出力」を受信するインタフェースを有しているものであるから、引用発明において、「被締結ねじの締結トルク値がスナッグトルクに達」し、「センサケース16等」が、「トルクレンチ11」側から、該インタフェースを介して「スナッグトルク検出出力」を受信することと、本願発明1が「測定に対する開始信号を該角度測定装置(10)のために検出するトリガ装置(38)」を有し、「取り付けトルクに達したときに、前記トリガ装置(38)は、前記操作工具(50)から、開始信号として相応の信号を前記無線インタフェース(32)を介して受信する」こととは、「前記操作工具(50)から、信号を前記インタフェース(32)を介して受信する」点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「ねじ接続部を締め付けるための操作工具(50)の締め付け角度を測定するための角度測定装置(10)であって、
外部の基準部なしで回転角度を電子的に検出するための回転角度測定センサとしての加速度センサ(20)を有し、前記操作工具(50)に固定される角度測定装置(10)において、
当該角度測定装置(10)を前記操作工具(50)に固定する固定手段(12)と、
前記操作工具(50)との間で、信号を受信可能なインタフェース(32)と、
を有しており、
前記操作工具(50)から、信号をインタフェース(32)を介して受信する、
ことを特徴とする、角度測定装置。」
(相違点1)
本願発明1では、角度測定装置(10)が前記操作工具(50)に「取り外し可能」に固定され、当該角度測定装置(10)は、当該角度測定装置(10)を「前記操作工具(50)において選択可能な異なる位置に取り外し可能」に固定する固定手段(12)を有しているのに対し、引用発明では、「センサケース16等」が「トルクレンチ11」に固定されているものの、「取り外し可能」に固定することは示されておらず、また、「センサケース16等」の「センサケース16」は「トルクレンチ11」の「ハンドルチューブ13の外側に取付け」られ、「センサケース16等」の「処理表示器ケース17」は「ハンドルチューブ13の軸心方向と平行に位置固定されている支軸22により軸支されて」いるものの、「センサケース16」及び「処理表示器ケース17」の「トルクレンチ11」への「取付け」及び「軸支」を、選択可能な異なる位置に取り外し可能とすることは、示されていない点。
(相違点2)
本願発明1における角度測定装置は、「測定に対する開始信号を該角度測定装置(10)のために検出するトリガ装置(38)」と、前記操作工具(50)との間で信号を「交換可能」な「無線」インタフェース(32)を有しているのに対し、引用発明における「センサケース16等」は、「測定に対する開始信号を該角度測定装置(10)のために検出するトリガ装置(38)」を有しておらず、また、「トルクレンチ11」側から「スナッグトルク検出出力」を受けるインタフェースを有し、「被締結ねじの締結トルク値がスナッグトルクに達すると」、「トルクレンチ11」側から受信する「スナッグトルク検出出力」を、「角加速度センサ18」を「起動」するための「基」となる信号としていることは明らかであるものの、該インタフェースが、前記操作工具(50)との間で信号を「交換可能」な「無線」インタフェース(32)」であるかは不明である点。
(相違点3)
本願発明1における「角度測定装置」は、「少なくとも該角度測定装置(10)をスイッチオンまたはスイッチオフするための操作ユニット(36)」を有しているのに対し、引用発明における「センサケース16等」には、「角加速度センサ18」や「処理表示器」をスイッチオンまたはスイッチオフするための操作ユニット(36)が示されていない点。
(2)判断
上記相違点について以下、検討する。
ア 相違点1について
引用文献2には、「センサユニット2をトルクレンチ1に取り付ける」際、「センサユニット2は、トルクレンチに一体化させたものでも、トルクレンチに対して着脱式にしたものでもよく」、「センサユニット2をトルクレンチ1に取り付ける前記取り付け部材8は両者を固着させず、回動可能に取り付け、さらには、センサユニット2Aを、トルクレンチ1Aの握り部13Aの端部に取り付けてもよい」ことが示されている。
しかし、引用文献2に記載された「センサユニット2」は、「ねじ締め本数管理装置」であって、「加速度センサ3と、マイクロコンピュータ4と」を内蔵し、「センサユニット2」の「マイクロコンピュータ4」が、「前記加速度センサ3から出力される前記検知信号を取り込み、取り込まれた前記検知信号の波形を解析して、1本のねじ締めが完了したと判定する」ものである。
つまり、引用文献2における「センサユニット2」は、トルクレンチ1Aから何らかの信号を受信するものではなく、単体で動作するものである。
そして、引用文献2では、「センサユニット2」が単体で動作することを前提として、「センサユニット2」は「トルクレンチに対して着脱式にしたものでもよ」いとしているのである。
これに対し、引用発明では、「センサケース16等」が、「トルクレンチ11」の側から「スナッグトルク検出出力」を受けることを、角速度センサ18の起動の要件としているのであるから、引用発明では、引用文献2が「センサユニット2」を「トルクレンチに対して着脱式にしたものでもよ」いとする前提が満たされていない。
よって、引用文献2に記載された技術事項を引用発明に適用し、引用発明における「センサケース16等」を、「トルクレンチ11」に対して「着脱式」にし、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者といえども、容易になし得たこととはいえない。
また、引用文献3には「締付トルク測定ユニット(4)は、外軸(32)上に歪ゲージ(47)に設け、回路基板(7)及び表示部(5)は、締付機上の適所あるいは締付機から離れている適所に配備することができ、歪ゲージ(47)側と回路基板(7)、表示部(5)側を配線することが無理な場合、無線で信号伝達する」との技術事項が示されているが、引用文献3における「締付トルク測定ユニット(4)」は「締付機本体(1)」にセットすることにより、「トルク表示器付きトルクレンチで追い締めしてトルクを測定する作業」を「不要」にする(引用文献3の段落【0008】参照。)ためのユニットであるから、引用発明における「角度締結法を採用するねじの締結作業時のレンチ捻回角度を電気的に検出表示することが可能であるセンサを具備せしめたトルクレンチ11」に適用することは困難である。
また、引用文献4-7にも、上記相違点1に係る本願発明1の構成は記載されていない。
イ よって、上記相違点2-3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
(3)引用文献2を主引用例とした場合について
上記「(2)」「ア」で述べたとおり、引用発明と引用文献2に記載された技術事項とでは、トルクレンチとセンサとの間の信号接続の必要性の有無も、センサの使用目的も異なるのであるから、引用文献2を主引用例としても、引用文献2に記載された発明に引用発明を適用することは、当業者といえども困難なことである。
よって、引用文献2を主引用例としても、本願発明1は、当業者といえども容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2-10について
本願発明2-10は、本願発明1と同じく、角度測定装置(10)が、前記操作工具(50)に「取り外し可能」に固定され、当該角度測定装置(10)は、当該角度測定装置(10)を「前記操作工具(50)において選択可能な異なる位置に取り外し可能」に固定する固定手段(12)を有する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明11について
本願発明11は、本願発明1-10に係る角度測定装置を備えた操作工具の発明であるから、本願発明11に係る操作工具が備える角度測定装置は、本願発明1と同じく、角度測定装置(10)が、前記操作工具(50)に「取り外し可能」に固定され、当該角度測定装置(10)は、当該角度測定装置(10)を「前記操作工具(50)において選択可能な異なる位置に取り外し可能」に固定する固定手段(12)を有する構成を備えるものである。
よって、本願発明11は、本願発明1と同じ理由により、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
1.理由(特許法第29条第2項)について
本願発明1-11が、角度測定装置(10)が前記操作工具(50)に「取り外し可能」に固定され、当該角度測定装置(10)は、当該角度測定装置(10)を「前記操作工具(50)において選択可能な異なる位置に取り外し可能」に固定する固定手段(12)を有している点で、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえないことは、上記「第6」「1」「(2)」「ア」で述べたとおりである。
なお、原査定には、「また、引用文献1を主たる引用例としたものであるが、引用文献2を主たる引用例としても結論は同じであることに出願人は留意する必要がある。」との指摘もあるが、上記「第6」「1」「(3)」で述べたとおり、引用発明と引用文献2に記載された技術事項とでは、トルクレンチとセンサとの間の信号接続の必要性の有無も、センサの使用目的も異なるのであるから、引用文献2を主たる引用例としても、本願発明1-11は、当業者といえども容易になし得たこととはいえない。
よって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-011518