特許拒絶査定不服審判
2017-010675
非接触型磁気線形位置センサー
- 審判番号
- 2017-010675
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-223939外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年07月18日
- 審決日
- 2018年03月16日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】メソード・エレクトロニクス・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 分類
- P18 .121-WY (G01D) / P18 .537-WY (G01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-223939「非接触型磁気線形位置センサー」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月16日出願公開、特開2013- 92522、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年10月9日(パリ条約に基づく優先権主張2011年10月10日 米国(US))の出願であって、平成28年9月1日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年3月6日付けで手続補正がされ、同年3月13日付けで拒絶査定(原査定)がされ(送達日:同年同月17日)、これに対し、同年7月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1 理由1(進歩性)について
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1-20
・引用文献等1-9
本願請求項1-20に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2-9に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
引用文献等一覧
1.特開2001-50703号公報
2.特開2004-125557号公報(周知技術を示す文献)
3.特表2006-514750号公報(周知技術を示す文献)
4.国際公開第2011/085833号(周知技術を示す文献)
5.特開平6-258006号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2003-214897号公報(周知技術を示す文献)
7.特許第4589410号公報(周知技術を示す文献)
8.特開2009-174863号公報(周知技術を示す文献)
9.特表2006-518043号公報(周知技術を示す文献)
2 理由2(サポート要件)について
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 1-20
「2つの磁石の斜めの前記面が互いに隣接して配置されて」と記載しているものの、「互いに隣接」により含む配置関係を特定しておらず、45度の第1の角度を有するものとして、前記面を接するとともに第一の角度を90度で配置したものしか開示されていない(作用効果は、図2B等で開示されるように、当該配置のみで説明されている)。
なお、出願人は「90度未満から90度超まで」(請求項3,15)の記載について、角度が変更されうることを示すためのものである点を主張しているが、明細書の翻訳文をみると、当該変更に関し、「移動する対象物が軌道に沿って動くに従って、変更する」及び「既知の経路に沿って、ある終点から他の終点に対象物が通るのにつれて」と記載されており、単に変更する構成ではないから、前記経路及び対象物との関係について請求項3,15では反映されていない。
3 理由3(明確性)について
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 1-20
「その磁石によって示される磁場」と記載しているが、どの部分での磁場(図2Bの磁束線Φも参照)を指すのか明確ではないため、長手軸が明確ではない。
また、「磁場に整列された長手軸」の記載についても、各磁石の形状を特定するものなのか、各磁石が長手軸方向に配列された状態を特定するものなのか等、当該記載が意味するところが明確ではない。
・請求項 3,15
出願人は、「90度よりも+/-の幅」と主張しているが、90度を中心とした変更を意味するのか否か明確ではない。
第3 本願発明
本願請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、平成29年7月18日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-16は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
少なくとも2つの磁場センサーと、
少なくとも2つの磁石であって、各磁石がその磁石によって示される磁場方向を有し、かつ各磁石が前記磁場方向に対して45度の第1の角度なす面を有し、2つの磁石の斜めの前記面が互いに隙間なく接して、2つの磁石がそれらの間に第2の角度を規定し、前記第2の角度は90度であり、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーが互いに接触しないように、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーがそれらの間の相対的な移動のために取り付けられる、少なくとも2つの磁石と、
少なくとも2つの磁場センサーの出力の間の差の関数として、相対的な動きの量を決定する回路と、
を含む、
相対的な移動量を表す電気信号を出力するセンサーシステム。
【請求項2】
関数が線形関数である、請求項1に記載のセンサーシステム。
【請求項3】
少なくとも2つの磁場センサーが、離隔され、基板に取り付けられる、請求項1に記載のセンサーシステム。
【請求項4】
基板が可動か、または固定される、請求項3に記載のセンサーシステム。
【請求項5】
2つの磁石が可動対象物に取り付けられる、請求項1に記載のセンサーシステム。
【請求項6】
少なくとも2つの磁場センサーが、離隔され、可動基板に取り付けられ、2つの磁石が可動対象物に取り付けられ、基板および対象物の双方が互いに対して移動可能である、請求項1に記載のセンサーシステム。
【請求項7】
少なくとも2つの磁場センサー、2つの磁石、および回路が乗用車において使用される、請求項1に記載のセンサーシステム。
【請求項8】
以下の段階を含む、相対的移動量を決定する方法:
基板に取り付けるための少なくとも2つの磁場センサーを準備する段階、
対象物に取り付けるための少なくとも2つの磁石を準備する段階であって、各磁石がその磁石によって示される磁場方向を有し、かつ各磁石が前記磁場方向に対して45度の第1の角度なす面を有し、2つの磁石の斜めの前記面が互いに隙間なく接して、2つの磁石がそれらの間に第2の角度を規定し、前記第2の角度は90度であり、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーが互いに接触しないように、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーがそれらの間の相対的な移動のために取り付けられる、段階、
少なくとも2つの磁場センサーの出力信号の間の差の関数として、相対的な動きを決定するために、少なくとも2つの磁場センサーの各々から出力信号を受け取る回路を準備する段階。
【請求項9】
較正データを用いて関数を決定する段階をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つの磁場センサーの1つまたは両方、2つの磁石、対象物、または基板の現在の位置を表す信号を出力する段階をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2つの磁場センサーの1つまたは両方、2つの磁石、対象物、または基板が移動した距離を決定する段階をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
関数が線形関数である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つの磁場センサーが、基板上で離隔される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
基板が可動か、または固定される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの磁場センサーが、離隔され、可動基板に取り付けられ、2つの磁石が対象物に取り付けられ、基板および対象物の双方が互いに対して移動可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの磁場センサー、2つの磁石、および回路が乗用車において使用される、請求項8に記載の方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
引用文献1には、次の記載がある。(下線は当審による。)
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のステアリングシャフトに連結されて、ステアリングホイールの操舵角を検出する磁気式変位検出装置に係り、特に直線移動する移動体の検出を高精度に実現できるようにした磁気式変位検出装置に関する。」
「【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、直線状に移動する検出体と、前記検出体に対向して設けられる固定部材とを有し、前記検出体と固定部材のいずれか一方には、前記検出体の移動方向にN極とS極とが向けられた磁石が設けられ、他方には磁気検出手段が設けられ、前記磁石から発せられる磁力を磁気検出手段で検出することにより前記検出体の移動を検出する磁気式変位検出装置において、前記磁石と磁気検出手段との間の距離は、磁石の中心付近が最も近く、磁石の端部で前記中心付近よりも遠くなる形状であることを特徴とするものである。
【0012】
上記のように磁石の中心部を、磁気検出手段に向けて凸形状にしておくと、移動方向の前後の全長にわたって磁石の移動方向に直交する方向の磁界の変化率がリニアまたはリニアに近くなり、検出体と磁気検出装置の相対移動距離を、前記磁界の変化により高い精度で検出できるようになる。」
「【0019】
図1に示す角度センサ1は、プラスチック等の合成樹脂材料からなるケース2内に、磁気式変位検出装置10として、検出体4と、磁石5と、ホール素子(磁気検出手段)6と、固定部材7とを有している。さらに前記磁気式変位検出装置10には、回転体3が設けられており、この回転体3の回転動作を検出体4の直線動作へと変換し、このときの直線動作の変位をホール素子6により検出している。」
「【0024】
検出体4は、移動方向の一端面から多端面にかけて貫通孔が穿設されている。この貫通孔には内周面に前記回転軸9に形成されたスクリュー溝9aと噛合するねじ山(図示せず)が形成されている。また検出体4の下面には、磁石5がインサート形成等によって取り付けられている。前記検出体4はx方向へ直線的に移動するように前記ケース2内で案内されている。よって前記回転体3が回転し減速歯車8と回転軸9が回転することにより、検出体4および磁石5が矢印B方向(x方向)へ往復移動する。
【0025】
磁石5は、フェライト等の磁性材料により形成され、移動方向に長尺な形状を有している。また磁石5は、移動方向の一端側にN極5aが着磁され、他端側にS極5bが着磁されている。すなわちこの磁石5は、x方向の一端がN極、他端がS極となるように分極されて着磁されている。磁石5に対向して固定部材7が設けられ、この固定部材7は、前記ケース2に固定されている。
【0026】
固定部材7は、平板状の絶縁基板からなり、この絶縁基板上には所望の導電パターンが形成されている。この導電パターンには、電気回路を構成する抵抗やコンデンサ等の図示しない電気部品が実装されている。また固定部材7上には、前記磁石5に対向する側にホール素子6が設けられている。」
「【0042】
次に、回転体3の回転角度の検出方法について説明する。 上記のようにして形成された角度センサ1は、磁石5とホール素子6とによって第1の検出手段が構成され、第2の磁石21と第2のホール素子22および第3のホール素子23とによって第2の検出手段および第3の検出手段が構成される。
【0043】
前記第1の検出手段は、ステアリングホイールが回転することにより、ホール素子6が磁石5の移動を検出して、漸次増加又は減少する第1の検出信号31を生成する。このとき、第1の検出信号31は、ステアリングホイールが4回転する間に0.5V(ボルト)から4.5Vまでリニアに変化する。これによって、回転体3と一体的に回転するステアリングホイールのニュートラル位置からの粗回転角度(おおよその回転角度)及び回転方向が検出できる。
【0044】
図5に示すマイコン25は、ステアリングホイールの回転角度算出手段であり、前記角度センサ1が自動車に搭載される。これにより、自動車のサスペンションやオートマチックトランスミッション等の制御機構部26に接続される。マイコン25は、ケーブル18を介して第1、第2、第3の検出信号31,32,33を入力信号として受け取って、これらの信号を重畳させて、第1の検出信号31に基づいてステアリングホイールのニュートラル位置からの粗回転角度及び回転方向を検出し、第2の検出信号32と第3の検出信号33に基づいてステアリングホイールの微回転角度(正確な回転角度)を検出する。」
「【0049】
そして、第1の検出信号31を全領域(この場合-720°~720°)に渡って補完しようとしたときでも、第2,第3の検出信号32,33は、同一周期であって、第2の検出信号32の位相と第3の検出信号33の位相とは1/4周期ずらして設定されているので、無信号領域が存在することはなく、常にステアリングホイールの角度変化に対する出力電圧の変化が大きく且つ直線的である傾斜部32a,33a,32b,33bを用いて微回転角度を検出でき、したがってステアリングホイールの回転角度を全領域に渡って精度よく且つリアルタイムに検出できる。そして、上記により検出されたステアリングホイールの回転角度及び回転方向は、マイコン25から自動車の制御機構部26に送られ、自動車のサスペンション制御、オートマチックトランスミッション制御等をきめ細かく行なうようになっている。」
したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「角度センサ1は、磁気式変位検出装置10として、検出体4と、磁石5と、ホール素子6と、固定部材7とを有しており、さらに回転体3が設けられており、この回転体3の回転動作を検出体4の直線動作へと変換し、このときの直線動作の変位をホール素子6により検出しており(【0019】)、
検出体4の下面には、磁石5が取り付けられ(【0024】)、
磁石5に対向して固定部材7が設けられ(【0025】)、
固定部材7上には、前記磁石5に対向する側にホール素子6が設けられ(【0026】)、
磁石5は、移動方向に長尺で、中心部をホール素子6に向けて凸形状にした形状を有し、移動方向の一端側にN極5aが着磁され、他端側にS極5bが着磁されており(【0012】、【0025】)、
磁石5とホール素子6とによって第1の検出手段が構成され(【0042】)、
前記第1の検出手段は、回転体3と一体的に回転するステアリングホイールが回転することにより、ホール素子6が磁石5の移動を検出して、第1の検出信号31を生成し(【0043】)、
マイコン25は、ステアリングホイールの回転角度算出手段であり、ケーブル18を介して第1の検出信号31を入力信号として受け取って、第1の検出信号31に基づいてステアリングホイールのニュートラル位置からの粗回転角度及び回転方向を検出し(【0044】)、
ステアリングホイールの回転角度及び回転方向は、マイコン25から自動車の制御機構部26に送られる(【0049】)、
ステアリングホイールの操舵角を検出する磁気式変位検出装置(【0001】)。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると次のことがいえる。
ア 引用発明の「磁石5」と「ホール素子6」とを有する「磁気式変位検出装置」は、「少なくとも2つの磁石」と「少なくとも2つの磁場センサー」とを含む「センサーシステム」と、「磁石」と「磁場センサー」とを含む点で共通する。
イ 引用発明の「マイコン25」は、「回転体3と一体的に回転するステアリングホイールが回転することにより、ホール素子6が磁石5の移動を検出し」た「第1の検出信号31に基づいてステアリングホイールのニュートラル位置からの粗回転角度及び回転方向を検出」するものである。
引用発明は「回転体3の回転動作を検出体4の直線動作へと変換し、このときの直線動作の変位をホール素子6により検出」するものであるから、上記「第1の検出信号31」は、「検出体4」に「取り付けられた」「磁石5」の直線動作の変位を「ホール素子6」により検出した信号と認められる。
そして、上記「磁石5」の直線動作の変位が、「ホール素子6」に対する相対変位であることは自明な事項である。
よって、引用発明の「マイコン25」は、「磁石5」の「ホール素子6」に対する直線動作の相対変位を検出し、当該相対変位に基づいて「ステアリングホイールのニュートラル位置からの粗回転角度及び回転方向を検出」するものと認められる。
したがって、引用発明の「マイコン25」が、「磁石5」の「ホール素子6」に対する直線動作の相対変位を検出すること、及び、本願発明1の「相対的な動きの量」が、「相対的な移動」が可能な「2つの磁石」と「2つの磁場センサー」との間の相対的な動きの量のことであると認められることから、上記アを踏まえると、引用発明の「マイコン25」は、本願発明の「少なくとも2つの磁場センサーの出力の間の差の関数として、相対的な動きの量を決定する回路」と、「磁石と磁場センサーとの間の相対的な動きの量を決定する」点で共通する。
ウ 引用発明の「磁石5」と「ホール素子6」を有する「角度センサ1」、及び「マイコン25」を有する「ステアリングホイールの操舵角を検出する磁気式変位検出装置」は、本願発明の「2つの磁場センサー」、「少なくとも2つの磁石」及び「回路」を含む「センサーシステム」と、「センサーシステム」である点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。
(一致点)
「磁石と磁場センサーとの間の相対的な動きの量を決定する、センサーシステム」
(相違点)
(相違点1)
本願発明1は「少なくとも2つの磁場センサー」を含み、本願発明1の「回路」は「少なくとも2つの磁場センサーの出力の間の差の関数として、相対的な動きの量を決定する」のに対し、引用発明は1つの「ホール素子6」を有し、引用発明の「マイコン25」は、1つのホール素子6が生成する「第1の検出信号31」から磁石5とホール素子6との間の相対的な動きの量を決定する点。
(相違点2)本願発明1は、「少なくとも2つの磁石であって、各磁石がその磁石によって示される磁場方向を有し、かつ各磁石が前記磁場方向に対して45度の第1の角度なす面を有し、2つの磁石の斜めの前記面が互いに隙間なく接して、2つの磁石がそれらの間に第2の角度を規定し、前記第2の角度は90度であり、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーが互いに接触しないように、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーがそれらの間の相対的な移動のために取り付けられる、少なくとも2つの磁石」を含むのに対し、引用発明は、「移動方向に長尺で、中心部をホール素子6に向けて凸形状にした形状を有し、移動方向の一端側にN極5aが着磁され、他端側にS極5bが着磁され」た1つの磁石を有する点。
(相違点3)本願発明1は「相対的な移動量を表す電気信号を出力する」のに対し、引用発明は「ステアリングホイールの回転角度及び回転方向」を「自動車の制御機構部26に送」るものであり、磁石5とホール素子6との間の相対的な移動量を表す電気信号を出力するものではない点。
(2)相違点についての判断
本願発明1の内容に鑑み、相違点2について検討する。
本願発明1の相違点2に係る構成、つまり、「各磁石がその磁石によって示される磁場方向を有し、かつ各磁石が前記磁場方向に対して45度の第1の角度なす面を有し、2つの磁石の斜めの前記面が互いに隙間なく接して、2つの磁石がそれらの間に第2の角度を規定し、前記第2の角度は90度」である「少なくとも2つの磁石」について、引用文献2-9には記載も示唆もされていない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
以上により、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1に対応する方法の発明であり、上記相違点2に対応する構成、具体的には「対象物に取り付けるための少なくとも2つの磁石を準備する段階であって、各磁石がその磁石によって示される磁場方向を有し、かつ各磁石が前記磁場方向に対して45度の第1の角度なす面を有し、2つの磁石の斜めの前記面が互いに隙間なく接して、2つの磁石がそれらの間に第2の角度を規定し、前記第2の角度は90度であり、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーが互いに接触しないように、2つの磁石と少なくとも2つの磁場センサーがそれらの間の相対的な移動のために取り付けられる、段階」を含んでいるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4 本願発明9-16ついて
本願発明9-16は、本願発明8を減縮した発明であり、本願発明8の特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
1 理由1(進歩性)について
審判請求時の補正により、本願発明1-7は、「各磁石がその磁石によって示される磁場方向を有し、かつ各磁石が前記磁場方向に対して45度の第1の角度なす面を有し、2つの磁石の斜めの前記面が互いに隙間なく接して、2つの磁石がそれらの間に第2の角度を規定し、前記第2の角度は90度」である「少なくとも2つの磁石」の構成を含むものとなっており、当該構成は引用文献2-9に記載も示唆もされていないから、本願発明1は、引用発明、引用文献2-9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
本願発明8-16についても同様である。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。
2 理由2(サポート要件)について
審判請求時の補正により、請求項1、8は上記「第3 本願発明」に示したように補正されており、補正前の請求項3、15は削除されているから、原査定の理由2を維持することはできない。
3 理由3(明確性)について
審判請求時の補正により、請求項1、8は上記「第3 本願発明」に示したように補正されており、補正前の請求項3、15は削除されているから、原査定の理由3を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-16は、当業者が引用文献1-9に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-010675