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特許拒絶査定不服審判

2017-010226

電気システムの調子をモニタするためのシステムおよび方法

審判番号
2017-010226
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-186123外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月10日
審決日
2018年09月25日
公報発行日
2018年11月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G01R) / P18 .536-WY (G01R)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-186123「電気システムの調子をモニタするためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日出願公開、特開2013- 54031、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年8月27日(パリ条約による優先権主張2011年8月31日、米国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年6月29日付け:拒絶理由通知書 平成28年9月28日  :意見書、手続補正書の提出 平成29年3月14日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。 送達日:同年同月21日) 平成29年7月10日  :審判請求書、手続補正書の提出 平成30年4月20日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と いう。発送日:同年同月24日) 平成30年7月18日  :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願の請求項1-5、7に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (請求項1-5について) 請求項1-5に係る発明は、引用文献1-3に記載される発明に基づいて当業者が容易に想到できたものである。 (請求項7について) 請求項7に係る発明は、引用文献1,3に記載される発明に基づいて当業者が容易に想到できたものである。 なお、請求項6に係る発明については、引用文献1に記載される高周波電流検出器5の構成として、例えば、特表2005-538371号公報に記載された構成を採用することに困難性はないことを付言する。 引用文献等一覧 1.特開昭56-82459号公報 2.特開平1-160315号公報 3.特開2005-274440号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 理由1.本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 請求項1、7の「バックグラウンドのRFノイズをより多く収集可能な位置に配置されたRFCT」という記載について、明細書の段落0020には「たとえば、RFCT46を回路30内の異なる部分に合理的に位置させることによって、バックグラウンドのRFノイズをRF信号測定値から隔離および引き算することが可能になる場合がある。」と説明されているが、変流器であるRFCTを回路30内の具体的にどの位置に配置すれば「バックグラウンドのRFノイズをより多く収集可能」(あるいは明細書でいうところの「バックグラウンドのRFノイズをRF信号測定値から隔離・・・することが可能」)なのか、段落0020の上記記載からは明確に理解できない。 よって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 理由2.本願の請求項7に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開昭56-82459号公報 2.特開平1-160315号公報 3.特開2005-274440号公報 第4 本願発明 本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成30年7月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 励磁機回路であって、 回転界磁巻線の組と、 前記励磁機回路に電力を供給する直流(DC)励磁機と、 前記回転界磁巻線の組に電力を供給し、複数のブラシとコレクタ・リングとを含むコレクタ・アセンブリと、 前記励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーに対応する高周波(RF)信号を測定する複数の高周波変流器(RFCT)を含み、電圧が印加された前記回転界磁巻線の組から前記回転界磁巻線の組が配置された、回転するシャフトに容量結合される電圧を緩和するシャフト電圧サプレッサ(SVS)と、を含む励磁機回路と、 前記複数のRFCTから測定値を受信し、前記測定値を処理して前記RF信号の電力を信号周波数の関数として決定し、前記回路の調子を少なくとも部分的に前記RF信号の前記決定された電力に基づいて評価するプロセッサと、を含み、 前記複数のRFCTが互いに異なるダイナミック・レンジで測定し、 前記測定値の前記処理は、前記複数のRFCTからの複数のRF信号測定値からバックグラウンドのRFノイズをより多く収集可能な前記SVSの外側の位置に配置されたRFCTからのRF信号測定値を引き算することを含む、 発電機。」 なお、本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 ア「本発明は火花検出装置に係り、特に、スリップリング・ブラシを有する回転機械に最適な火花検出装置に関する。」(第1頁左欄第17-19行) イ「回転機械の大型化に伴ない、電機子に電流を供給するスリップリング、ブラシは、回転機械の重要な構成要素のひとつになった。ブラシ、スリップリング間に発生する火花は、リング表面の荒れを引きおこし、さらに火花を増大させ、ひいては大事故に至らしめる可能性がある。このため、火花発生を早期に、確実に検知する必要がある。 従来、火花検知の方法のひとつに、火花発生に伴なう高周波電流を検出して火花を検知する方法がある。この方法は、検知レベルが設定値以上になった時、火花発生と判断するものである。しかしながら、かかる方法では外来ノイズが問題となる。例えば、クレーンの動作時等に発生する電波によって誤動作が生じる。このような誤動作を防止するためには検知レベルの設定値を外来ノイズ以上に上げればよいが、このようにすると火花を早期に、かつ正確に検出することが困難となる欠点がある。」(第1頁左欄第20行-右欄第17行) ウ「第1図は本発明の実施例のブロック図である。 回転子1の端部には複数のスリップリング2が設けられており、このスリップリング2にブラシ3が摺動する。このブラシ3には励磁機4が接続されており、この励磁機4が回転子に励磁電流を流すことになる。火花発生はスリップリング2とブラシ3の接触面で発生する。この火花発生に伴なって発生する高周波電流は、高さがほぼ一定であって、或る時間を持続する信号が断続的に発生する。そこで、該高周波電流を高周波電流検出器5で検出し、この検出値に基づき信号処理装置6で処理する。信号処理装置6には更に回転検出器7の出力信号である回転速度信号が処理の一条件として用いられる。信号処理装置6の処理結果は表示装置8に出力される。」(第2頁左上欄第1-15行) エ「第2図は信号処理装置6の詳細ブロック図である。 高周波電流検出器5の出力信号51は増幅器601で増幅したのち検波器602で検波される。さらに時間測定器603に送られ、該検波信号の断続信号の総持続時間を測定する。一方、回転検出器7の出力信号71は回転回数計数器605に送られ回転回数の計数が行なわれる。回転回数計数器605および時間測定器603の両出力は除算器604に送られ、(持続時間)/(計測した回転回数)の除算を行なう。除算器604による除算結果は比較器606の一方の入力となり、レベル設定器607の出力との比較が行なわれる。比較器606はレベル設定器607の設定幅に入るとき出力信号を発生し火花発生信号とする。クレーン等の動作ノイズは、持続時間が火花に比較して短かく、しかも出現回数が少ないため、一定回転回数計測してもその総持続時間は短かい。このため、除算器604の出力は十分にレベル設定器607の設定値より小さく、誤動作しない。」(第2頁左上欄第16行-右上欄第15行) (2)したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「スリップリング・ブラシを有する回転機械であって(上記アより。以下同じ。)、 ブラシ、スリップリング間に発生する火花は、リング表面の荒れを引きおこし、さらに火花を増大させ、ひいては大事故に至らしめる可能性があり(イ)、 回転子1の端部には複数のスリップリング2が設けられており、このスリップリング2にブラシ3が摺動し、このブラシ3には励磁機4が接続されており、この励磁機4が回転子に励磁電流を流すことになり、火花発生はスリップリング2とブラシ3の接触面で発生し、この火花発生に伴なって発生する高周波電流を高周波電流検出器5で検出し、この検出値に基づき信号処理装置6で処理し(ウ)、 信号処理装置6は、高周波電流検出器5の出力信号51を検波した検波信号の断続信号の総持続時間を測定し、(持続時間)/(計測した回転回数)の除算結果に基づき、出力信号を発生し火花発生信号とする(エ)、 火花検出装置を備える回転機械(ア)。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア「本発明は発電機や電動機(同期機)、直流機等の回転電機のコレクタリング火花監視装置に係り、特に主回路ブラシとコレクタリングとの間に発生する整流火花の程度を監視する回転電機のコレクタリング火花監視装置に関する。」(第1頁右欄第17行-第2頁左上欄第1行) イ「発電機や電動機、直流機等の回転電機では、集電部分に発生する火花によりブラシが著しい摩耗や損傷を受けたり、直流機では整流子表面が黒化したり、傷つき、特別な補修を必要とするため、ブラシとコレクタリングとの間に発生する整流火花(加熱火花、アーク火花)の程度を監視することが重要になっている。」(第2頁左上欄第3-9行) ウ「本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、主回路ブラシとコレクタリングの間に発生する整流火花の程度を火花号数で正確に表示し、モニタすることができる回転電機のコレクタリング火花監視装置を提供することを目的とする。 本発明の他の目的は、整流火花の火花号数表示を行なうことにより、集電部分の損傷程度やその進行状況を正確に把握し、重大事故を未然に防止できる回転電機のコレクタリング火花監視装置を提供するにある。」(第2頁左下欄第9-18行) エ「この回転電機のコレクタリング火花監視装置は、主回路ブラシおよび検出ブラシを信号処理回路の積分回路に信号ケーブルで接続し、この信号ケーブルから入力される入力電圧を積分回路で演算して積分処理し、単位時間当りの出力電圧積分値を表示装置に対数的に表示させることにより、対数(指数)表示された出力電圧積分値と整流火花の火花号数との間にリニアな比例関係が成立することに着目し、整流火花の程度を火花号数表示で行ない得るようにしたものである。 すなわち、主回路ブラシとコレクタリングとの間に発生する整流火花によりコレクタリング接触電圧降下値が著しく増大する現象を利用し、かつ火花号数が対数表示された単位時間(火花時間)当りの出力電圧積分値に比例関係があることに着目し、主回路ブラシおよび検出ブラシで主回路ブラシとコレクタリングとの間の電圧を測定し、モニタすることにより、発生する整流火花の号数表示を行ない得るようにしたものである。」(第2頁右下欄第17行-第3頁左上欄第15行) オ「励磁装置25からの直流電流はブスバー26を介して主回路ブラシ18に供給され、続いてこの主回路ブラシ18に接触するコレクタリング17に送られる。コレクタリング17に供給された直流電流は口出銅帯20を介して界磁コイル14に送り、この界磁コイル14を励磁させるようになっている。 このとき、検出ブラシ19は主回路ブラシ18から電気的に絶縁されて、ブラシ接触電圧の降下を測定しており、ブラシ接触電圧降下値が一定以上のとき、主回路ブラシ18とコレクタリング17との間の電圧を、主回路ブラシ18および検出ブラシ19から延びる信号ケーブル27,28で取り出し、信号処理回路31に送っている。」(第4頁左上欄第3-16行) 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0003】 また、回転電機の内部で発生した部分放電強度を求める手段の一つとして、その部分放電によって電力機器から外部に放射される電磁波をアンテナにより受信し、この受信された信号を基に解析する方法がある。例として特許文献2に記載の部分放電の強度判断方法を図10に示す。部分放電検出対象に設置された部分放電検出センサ101aに入力させて得た部分放電信号成分を含むアナログ信号122aは、A/D変換器102aによりデジタル信号化され、FFT変換器103aによりフーリエ変換して周波数分布123aに展開される。一方、部分放電検出対象から充分離れた場所に設置された部分放電検出センサ101bに入力させて得たバックグラウンドノイズのアナログ信号122bは、A/D変換器102bによりデジタル信号化され、FFT変換器103bによりフーリエ変換して周波数分布123bに展開される。上記、部分放電信号成分を含む信号の周波数分布123aと、バックグラウンドノイズ成分のみの信号の周波数分布123bは差分器104に送られ、ここで部分放電信号成分を含む信号の周波数分布123aと、バックグラウンドノイズ成分のみの信号の周波数分布123bとの差分が行われ、部分放電信号成分のみの周波数分布125が出力される。積分器105では、この周波数分布125における部分放電の所定周波数帯部分の面積が求められ、部分放電の強度として出力される。」 4.引用文献4について (1)原査定において、“なお書き”で引用された特表2005-538371号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、動作中に電気機械を監視および/または分析するための装置および方法に関する。この場合、電気機械はシャフトを備えた少なくとも1つの発電機およびこのシャフトを駆動する駆動手段を有しており、その際、シャフトは発電機の第1の側において実質的にじかにアースされており、発電機の第2の側においてシャフトに、シャフト電圧および/またはシャフト電流を時間の関数として測定するための測定ユニットが設けられている。ここでは発電所施設において利用される装置について論じる。 【0002】 従来技術 電気機械殊に発電所施設で利用されるような大型の電気機械は、摩擦のない動作を保証する目的で連続的に監視すべきものであるし、および/または障害状態を適時に検出してコントロールできない故障が発生しないようにする目的で時折分析すべきものである。」 「【0007】 多数の文献には、スリップリングにおけるブラシスパークを捕捉するために用いられる装置について記載されている。それらの文献として挙げられるのは、たとえばUS 3,653, 019, US 4,058, 804, US 4,163, 227, US 4,451, 786である。この場合、そのために特に設ける必要のある測定装置がブラシにじかに接続され、このことは上述の文献の主眼であって、ついでデータ処理が行われ、これによって妨害信号と有効信号とを区別することができる。この目的で主としてゲーティング法が利用され、これによって妨害信号が識別され、妨害信号が発生している間は検出が中断される(ブランキング blanking)。US 4,577, 151にはブラシスパークを検出するための別の方法が提案されており、これによれば特徴的な信号がそのために特に設ける必要のあるアンテナを介して捕捉され、ついで分析ユニットへと供給される。それ相応の高周波信号が受信できるよう、アンテナをスリップリング近くに配置しなければならない。ついで信号が専用の分析ユニットにおいて増幅されて復調され、その後、検出器へと導かれる。」 「【0038】 実施例 この図にはガスタービン装置の概略図が描かれており、これによれば駆動手段として2つのタービン1が発電機4の両側に配置されており、これら両方のタービン1は発電機4と同様、共通のシャフト2ないしはシャフトアセンブリに配置されている。ここで2つのタービンは例として挙げたにすぎず、1つのタービンのみを配置することも可能である。たとえばタービン1の始動時に発電機4を切り離すことができるようにする目的で一般にクラッチが設けられており、これによってタービン1を発電機4から機械的に分離することができる。 【0039】 シャフト2は少なくとも2つの軸受け3に支承されている。軸受け3に存在する油膜によって、シャフト2はアースされた軸受け3から電気的に絶縁されている。ただしこの絶縁は特定のレベルを超えた電圧ピークが発生すると破壊される可能性があり、それによって電食に係わる問題点が引き起こされるおそれがある(シャフトのスパーク侵食)。 【0040】 冒頭で述べたように、発電機4のこのようなシャフトにおいて様々な原因に起因して、直流値から発電機の回転周波数および発電機の静止形励磁システムの周波数と倍数の関係にある周波数に及ぶシャフト電圧とシャフト電流が発生する。この場合、数MHzに及ぶ周波数が発生する可能性がある。 【0041】 このようなシャフト電圧もしくはシャフト電流は殊にシャフト2の周囲における磁気的な非対称性やシャフト2の静電帯電に起因して引き起こされ、またはシャフト電圧をシャフト2に容量的に入力結合させる外部電界に起因して、あるいは回転中のシャフト2の残留磁気ならびにシャフト2の(製造に起因する)残留磁化が原因となって引き起こされる。 【0042】 以下の記載においてU(t)として表されるシャフト電圧と、以下の記載においてI(t)として表されるシャフト電流は、原則的には発電機の様々なコンポーネントにとって危険なものであり、それらによって発電機を損傷させてしまうおそれがある。しかしながら本発明によれば、電気機械の様々な障害状態を所期のように分析し捕捉する目的で、シャフト電圧もしくはシャフト電流が利用される。 【0043】 この目的で、発電機4の一方の側で低抵抗のアースユニットたとえばいわゆるDEモジュール5(Driving End Module)がシャフト2に接続され、これによれば実質的にシャフト2が確実に保護されながらアースされるようになる。DEモジュールは分析ユニット7と接続されている。 【0044】 発電機4の他方の側には、シャフト電圧(URC(t))および/またはシャフト電流(IRC(t))を時間の関数として測定する測定ユニットとして、高抵抗のアースユニットいわゆるRCモジュール6(抵抗のR、キャパシタのC)が一方の側ではシャフト2と接続され、他方の側ではアース点9と接続されており、さらにこのRCモジュール6は分析ユニット7と接続されている。 【0045】 DEモジュール5(Driving End Module)は接触装置10を介してシャフト2と接続されている。接触装置がCuメッシュ体であると有利であり、これは摺動しながらシャフト2と電気的に接触接続した状態におかれる。DEモジュール5はアース点8に対して低抵抗に形成されており、これは接触装置10とアース点8との間にまずは高オームの抵抗12が接続され、さらにこの高オームの抵抗12に並列に安全装置14が接続されることによって実現される。これは過度に大きい電流が発生するのを防止するためである。このようにしてDEモジュール5によって、まずはシャフト2が確実に低抵抗でアースされるようになる。この高オームの抵抗12もしくはアース点に対する安全装置14に直列に、低オームの抵抗13が接続されている。典型的には、抵抗13は1~10Ωの範囲にある値Rを有している。さらに高周波の電圧ピーク(典型的には150~200kHz)を短絡できるようにする目的で低オームの抵抗に並列に、3~10μFの領域にある容量Cをもつコンデンサ17が配置されている。さもないと、この種の電圧ピークが軸受けシャーレを介して受けとめられて、そこにおいてスパークが形成されてしまうおそれがある。 【0046】 さらに高オームの抵抗12と接触装置10もしくはアースとの間で、シャフト電圧UDE(t)が時間の関数として取り出され、同軸ケーブル19を介して分析ユニット7へ転送される。安全装置14の状態を監視する目的で、抵抗12と抵抗13もしくはアースとの間の電圧を同時に監視することも可能である。さらにアース点と低オームの抵抗13との間に測定抵抗18(シャント抵抗)が設けられており、そこに発生する電圧降下を介してシャフト電流IDE(t)を計算してこれをいっしょに表すことができる。この情報も同軸ケーブル19を介して分析ユニット7へ転送される。 【0047】 発電機4の他方の側には一般に、電圧ピークを導くためにRCモジュール6が配置されている。これもシャフト2に対し接触装置11を有しており、これはやはり有利にはCuメッシュ体として構成されていて、シャフト2と電気的に接触接続状態におかれている。 【0048】 RCモジュール6は第1にシャフトに対し安全装置15を有しており、これは一般にタイプ2ATの安全装置であり(ここでも安全装置は高電流から保護するために用いられる)、これに対し直列に抵抗16が接続されており、さらにこの抵抗16に対し並列にコンデンサとして構成されたキャパシタンス17が配置されている。ごく一般的に、キャパシタンス17に並列に接続された抵抗16は100~10000Ωの範囲の値Rを有しており、400~1000Ωであると有利である。さらにキャパシタ17は典型的には1~30μFの範囲の値Cを有している。 【0049】 さらに安全装置15とアース点9との間でシャフト電圧URC(t)が時間の関数として取り出され、同軸ケーブル20を介して分析ユニット7へ転送される。さら抵抗16とキャパシタンス17から成る並列接続体とアース点9との間にやはり測定抵抗18(シャント抵抗)が設けられており、そこに発生する電圧降下を介してシャフト電流lRC(t)を計算してこれをいっしょに表すことができる。この情報も同軸ケーブル20を介して分析ユニット7へ転送される。」 【図1】 「【0050】 測定されたシャフト電圧には時間の関数URC(t),UDE(t)として、もしくは測定されたシャフト電流には時間の関数IRC(t),IDE(t)として、電気機械における様々な障害状態に関する情報が含まれており、以下、これについてリストアップして例示する。 ・・・(中略)・・・ E)スリップリングにおけるブラシスパーク: この場合も障害状態が存在すると、信号において特徴的な高周波のスパイクが発生する(これについては冒頭で挙げた従来技術の文献を参照されたい、シャフト電圧もしくはシャフト電流に関して観測される相応の信号はこの文献中で挙げられているものと類似している)。ただし観測される信号は、スパーク侵食において観測されるものとは異なる帯域にある。 ・・・(中略)・・・」 「【0064】 さらに別の実施形態によれば、スリップリングブラシから依然としてじかに取り出されている信号(これについてはUS 3,653, 019を参照)が高周波信号および低周波信号について分析され、シャフト電圧もしくはシャフト電流から得られたデータといっしょに組み合わせられたアルゴリズムが評価される。 【0065】 ただし基本的に、シャフトにおいてじかに取り出すことの利点は、シャフトにおけるすべてのスパーク活性の測定たとえば軸受けシェルを介した放電の測定が可能になることである。さらに発電機4の両側で測定を行うことによって、発生する現象を良好に位置特定することができる。」 「【符号の説明】 【0068】 1 タービン、駆動手段 2 シャフト 3 軸受け 4 発電機 5 アースユニット(DEモジュール、Driving End Unit) 6 RCモジュール(高抵抗)、測定ユニット 7 分析ユニット 8 DEモジュールのアース点 9 RCモジュールのアース点 10 DEモジュールの接触装置 11 RCモジュールの接触装置 12 高オームの抵抗 13 低オームの抵抗 14 安全装置 15 安全装置 16 抵抗 17 キャパシタ 18 測定抵抗(シャント抵抗) 19 RCモジュールから分析ユニットへの同軸ケーブル 20 RCモジュールから分析ユニットへの同軸ケーブル 21 スリップリング 22 組み合わせられた分析ユニット 23 高周波バンドパスフィルタ(高周波入力段) 24 ローパスフィルタ(低周波入力段)」 (2)したがって、上記引用文献4には次の技術的事項が記載されていると認められる。 「測定抵抗18(シャント抵抗)が設けられており、そこに発生する電圧降下を介してシャフト電流IRC(t)を計算する(【0049】)RCモジュール6は、シャフト2に対し接触装置11を有してシャフト2と電気的に接触接続状態におかれ(【0047】)、 測定抵抗18(シャント抵抗)が設けられており、そこに発生する電圧降下を介してシャフト電流IDE(t)を計算する(【0046】)DEモジュール5(Driving End Module)は接触装置10を介してシャフト2と接続され(【0045】)、 接触装置11、接触装置10は、スリップリング21とは異なる箇所に設けられ(【0068】、図1)、 測定されたシャフト電流には時間の関数IRC(t),IDE(t)として、電気機械における様々な障害状態に関する情報が含まれており、スリップリングにおけるブラシスパークの場合も障害状態が存在すると、信号において特徴的な高周波のスパイクが発生する(【0050】)。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明における「回転機械」では、「回転子1の端部には複数のスリップリング2が設けられており、このスリップリング2にブラシ3が摺動し、このブラシ3には励磁機4が接続されており、この励磁機4が回転子に励磁電流を流す」ことで、「回転子1」が回転するのであるから、「回転子1」には「励磁電流」が流れる「回転界磁巻線の組」が配置されていることは明らかである。 また、引用発明では、「励磁機4」から、「ブラシ3」及び「スリップリング2」を介して、その「回転界磁巻線の組」に「励磁電流を流す」のであるから、その「励磁電流」が流れる経路と「励磁電流」が流れるのに寄与する構成は、本願発明1における「励磁機回路」に相当する。 そして、引用発明における「励磁機4」は、その経路に「励磁電流を流す」のであるから、本願発明1における「前記励磁機回路に電力を供給する直流(DC)励磁機」と、「前記励磁機回路に電力を供給する励磁機」である点で共通する。 イ 引用発明における「スリップリング2」、「ブラシ3」は、それぞれ、本願発明1における「コレクタ・リング」、「ブラシ」に相当する。 そして、引用発明における「複数のスリップリング2」及び「このスリップリング2に」「摺動」する「ブラシ3」は、「励磁機4が回転子に励磁電流を流す」のに寄与するものであるから、上記アをふまえると、本願発明1における「前記回転界磁巻線の組に電力を供給し、複数のブラシとコレクタ・リングとを含むコレクタ・アセンブリ」に相当する。 ウ 引用発明における「高周波電流検出器5」は、「高周波電流を」「検出」するものであるから、本願発明1における「高周波(RF)信号を測定する」「高周波変流器(RFCT)」と、「高周波(RF)信号を測定する部材」である点で共通する。 また、引用発明において「高周波電流検出器5で検出」する「高周波電流」は、「スリップリング2とブラシ3の接触面で発生」する「火花発生に伴なって発生する」もので、「ブラシ、スリップリング間に発生する火花は、リング表面の荒れを引きおこし、さらに火花を増大させ、ひいては大事故に至らしめる可能性があ」るものであるから、引用発明における、「スリップリング2とブラシ3の接触面で発生」する「火花発生に伴なって発生する高周波電流」は、上記ア、イをふまえると、本願発明1における「前記励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーに対応する高周波(RF)信号」に相当するといえる。 したがって、引用発明における、「スリップリング2とブラシ3の接触面で発生」する「火花発生に伴なって発生する高周波電流を」「検出」する「高周波電流検出器5」は、本願発明1における「前記励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーに対応する高周波(RF)信号を測定する複数の高周波変流器(RFCT)」と、「前記励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーに対応する高周波(RF)信号を測定する部材」である点で共通する。 エ 引用発明における、「高周波電流を高周波電流検出器5で検出し、この検出値に基づき」「処理」する「信号処理装置6」は、上記ウをふまえると、本願発明1における「前記複数のRFCTから測定値を受信し、前記測定値を処理して前記RF信号の電力を信号周波数の関数として決定し、前記回路の調子を少なくとも部分的に前記RF信号の前記決定された電力に基づいて評価するプロセッサ」と、「前記部材から測定値を受信し、前記測定値を処理するプロセッサ」である点で共通する。 オ 引用発明における「回転機械」は、本願発明1における「発電機」と、「回転機械」である点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「励磁機回路であって、 回転界磁巻線の組と、 前記励磁機回路に電力を供給する励磁機と、 前記回転界磁巻線の組に電力を供給し、複数のブラシとコレクタ・リングとを含むコレクタ・アセンブリと、 前記励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーに対応する高周波(RF)信号を測定する部材と、を含む励磁機回路と、 前記部材から測定値を受信し、前記測定値を処理するプロセッサと、を含む、 回転機械。」 (相違点) (相違点1) 「励磁機回路に電力を供給する励磁機」が、本願発明1では「直流(DC)励磁機」であるのに対して、引用発明における「励磁機4」は、「直流(DC)励磁機」であるかどうかは不明な点。 (相違点2) 「前記励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーに対応する高周波(RF)信号を測定する部材」が、本願発明1では「高周波変流器(RFCT)」であるのに対して、引用発明における「高周波電流検出器5」は、「変流器」であるかどうかは不明な点。 (相違点3) 本願発明1では、「励磁機回路」が「電圧が印加された前記回転界磁巻線の組から前記回転界磁巻線の組が配置された、回転するシャフトに容量結合される電圧を緩和するシャフト電圧サプレッサ(SVS)」を含み、「高周波変流器(RFCT)」は、その「シャフト電圧サプレッサ(SVS)」に「複数」含まれるのに対し、引用発明では、励磁機回路が「シャフト電圧サプレッサ(SVS)」を備えるとは特定されておらず、「高周波電流検出器5」の配置される箇所も個数も不明な点。 (相違点4) 「(高周波(RF)信号を測定する)部材から」の「測定値を処理」するに際し、本願発明1における「プロセッサ」は、「前記RF信号の電力を信号周波数の関数として決定し、前記回路の調子を少なくとも部分的に前記RF信号の前記決定された電力に基づいて評価する」のに対し、引用発明における「信号処理装置6」は、「高周波電流検出器5の出力信号51を検波した検波信号の断続信号の総持続時間を測定し、(持続時間)/(計測した回転回数)の除算結果に基づき、出力信号を発生し火花発生信号とする」点。 (相違点5) 本願発明1では、「前記複数のRFCTが互いに異なるダイナミック・レンジで測定」するのに対し、引用発明における、(個数も不明な)「高周波電流検出器5」は、どのようなダイナミック・レンジで測定するのか不明な点。 (相違点6) 本願発明1の「プロセッサ」においては、「前記測定値の前記処理は、前記複数のRFCTからの複数のRF信号測定値からバックグラウンドのRFノイズをより多く収集可能な前記SVSの外側の位置に配置されたRFCTからのRF信号測定値を引き算することを含む」のに対して、引用発明における「信号処理装置6」では、そのような特定はされていない点。 (相違点7) 本願発明1は「発電機」であるのに対して、引用発明における「回転機械」は、「発電機」であるかどうかは不明な点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、相違点3に係る本願発明1の構成は、上記引用文献2-4には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。 引用文献4に記載された技術的事項も、「測定抵抗18(シャント抵抗)が設けられており、そこに発生する電圧降下を介してシャフト電流IRC(t)を計算するRCモジュール6」、「測定抵抗18(シャント抵抗)が設けられており、そこに発生する電圧降下を介してシャフト電流IDE(t)を計算するDEモジュール5」で「測定されたシャフト電流」により、「信号において特徴的な高周波のスパイクが発生する」「スリップリングにおけるブラシスパーク」に関する情報を得るものではあるものの、「RCモジュール6は、シャフト2に対し接触装置11を有してシャフト2と電気的に接触接続状態におかれ」、「DEモジュール5は接触装置10を介してシャフト2と接続され、接触装置11、接触装置10は、スリップリング21とは異なる箇所に設けられ」るから、「測定抵抗18(シャント抵抗)」が設けられる「RCモジュール6」、「DEモジュール5」は、「励磁機回路」に含まれるシャフト電圧サプレッサ(SVS)であるとはいえない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-6について 本願発明2-6も、相違点2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 以上のとおりであって、本願発明1-6は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由についての判断 1.特許法第36条第4項第1号について 本件補正により、請求項1の記載において「バックグラウンドのRFノイズをより多く収集可能な位置」が「前記SVSの外側の位置」であると特定され、平成30年7月18日付け意見書でも「SVSは、電圧が印加された回転界磁巻線の組から回転界磁巻線の組が配置された、回転するシャフトに容量結合される電圧を緩和する働きを担うことから、SVSは、励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーから直接的な影響を受け、・・・(中略)・・・、この反対に、SVSの外側では、励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーからの直接的な影響は少なく、バックグラウンドのRFノイズの影響が比較的大きい・・・」等と釈明されたから、特許法第36条第4項第1号に係る当審拒絶理由は解消した。 2.特許法第29条第2項について 本件補正により、対象であった請求項7が削除されたから、特許法第29条第2項に係る当審拒絶理由は解消した。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由、当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-010226

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