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特許拒絶査定不服審判

2017-009721

電線巻取装置、電線巻取装置の制御方法、および巻取電線

審判番号
2017-009721
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-185954
登録番号
特許第6229910号(P6229910)
請求日
2017年07月03日
審決日
2017年09月12日
公報発行日
2017年12月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】大川三基株式会社
  • 【請求人代理人】福井 仁
  • 【請求人】東日京三電線株式会社
  • 【請求人代理人】福井 仁
審判長/審判官
  • 審判長 黒瀬 雅一
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 森次 顕
分類
P18 .121-WY (B65H) / P18 .537-WY (B65H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-185954「電線巻取装置、電線巻取装置の制御方法、および巻取電線」拒絶査定不服審判事件〔請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成28年9月23日の出願であって、平成29年3月6日付けで手続補正がされ、同年5月18日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年7月3日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年8月1日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月8日付けで手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1乃至6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明6」という。)は、平成29年8月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置であって、 前記回転体の軸方向に沿って移動するとともに、前記電線を案内することによって、前記回転体に対する前記電線の巻き取り位置を規定するトラバーサと、 前記回転体および前記トラバーサを制御する制御手段とを備え、 前記制御手段は、 前記回転体に対して前記トラバーサを一定の移動幅で移動させて往復させる往復周期を設定する往復周期設定部と、 前記回転体を一定の回転周期にて回転させる回転制御部と、 前記トラバーサを前記往復周期設定部にて設定された前記往復周期にて往復させる往復制御部とを備え、 前記往復周期設定部は、前記回転周期と、前記往復周期の半周期とを同期させないような前記往復周期を一定の周期に設定することを特徴とする電線巻取装置。」 なお、本願発明2乃至6の概要は以下のとおりである。 本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明3は、本願発明2を減縮した発明である。 本願発明4は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 本願発明5は、本願発明1乃至3のいずれかを減縮した発明である。 本願発明6は、本願発明5を減縮した発明である。 第3 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成28年6月30日に頒布された引用文献1(特開2016-117562号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項4】 バンド線を巻き取る巻取りドラムを備え、前記巻取りドラムの巻取り入口側に前記バンド線を巻取り案内する案内ヘッド備え、巻取り終了後に巻き束を前記巻取りドラムから取外す構造を有する巻取り装置に於いて、 前記巻取りドラムの巻取り面から法線方向へ突出して法線棒を備えたこと、前記法線棒の先端部にバンド線の巻き始め端を係止するための係止部を形成したこと、巻き束を巻取りドラムから取外す際に前記巻き始め端の係止を解いて前記法線棒を巻取り面から没するかまたは取外す構造にしたこと、更に前記案内ヘッドまたは巻取りドラムをして前記法線棒の一方側で所定回数だけ巻取ると他方側へ移行して同じ回数だけ巻取り、一方側から他方側へ、他方側から一方側へと往復移動するべく制御機構を備えたことを特徴とする巻取り装置。 【請求項5】 巻取りドラム上の法線棒が位置する点の軌跡は円を成す。バンド線を一方側から他方側へ移行すると前記した円の上を通過する。前記した円の中心に対して、前記法線棒が位置する点と前記通過点とで形成される交差角度に関し、常に一定にならずに分散させるべく案内ヘッドまたは巻取りドラムに係る制御機構を構成したことを特徴とする請求項4に記載した巻取り装置。」 (2)「【技術分野】 【0001】 本発明は、農業用ビニールハウスやビニールトンネルに於いて、フィルムやシートのばたつきを押えるために使用される農業用ハウスバンド、PPバンドなどと称される梱包用バンド、通信用ケーブルや光ファイバー線、ならびに結束紐などの紐類、総じて長い線材料を巻き取った形態のものに関する。 尚、巻き取られた形態でなるものには、外周面側から使用していくものと、内周面側から使用していくものがあるが、本発明のよじれないバンドは後者に属す。また、本願では、上記した線材料を総称してバンド線、巻き取った状態のものをバンドと称す。 【0002】 一般的に、本願バンドの典型例は、ドーナツ形状に巻き取られ、その中心部に紙管などの芯材はなく中空であり、必要に応じて十文字結束やシュリンクフィルムなどで覆われて流通している。 本発明は、係るバンドが有する従来品の欠点を払拭するべく開発されたもので、特別な巻取り構造を付与することで、従来品の欠点を払拭したよじれないバンドを提供する。 また、前記特別な巻取り構造を付与することができる巻取り装置について提案する。」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 図15で例示したように、従来からある典型的なバンド21は、巻き始め端22を内周面側に、巻き終り端23を外周面側にして、100~500m、長いものなら1,000mなど非常に長い単位でドーナツ形状に巻取られた形態を成している。そして、図16に例示したように、バンド線が解けてこないようにシュリンクフィルムなどの包材24で覆い、結束バンド25で結束されている。 これら従来からあるバンドでは、図16に図示したように、内周面側から引き出して使用する際、次々とよじれ(ねじれ)が生じてくる。このよじれはまったく不用であり、特別な回転台を使用するか、解消する方向へねじり返す手作業で対応せざるを得ない。経験すれば容易に理解できるが、その手間は非常に大きな負担になっている。 【0006】 そこで、本発明は、引き出しても引き出してもよじれてこない巻き構造を有する新規なよじれないバンドを開発した。加えて、バンド線の引出し端を容易に取り出せるパッキングフィルムに係る構成についても提案する。さらに、本発明バンドを生産するための巻取り装置についても提案する。 尚、引き出してもよじれてこない8の字巻に関して述べるなら、8の字形態の物品は取扱いが不便であり、係る知見をして現実的な物品に適応させる研究を重ね、その結果、好ましい巻き構造を具現化するに成功し、係る専用装置も開発するに及んだものである。」 (4)「【0013】 次に、図2についてであるが、本実施例では、図1の巻き束が十文字状に結束バンド5で結束され、その外周面がパッキングフィルム4で覆われている。尚、結束バンド5による結束が不要なら無しにし、また必要ならパッキングフィルム4で先に覆い、次いで結束バンド5で結束されることもある。更に、パッキングフィルム4についても、斯様な外包装を省いて、結束バンド5だけで束締めを終え、流通に供する変更例もある。 【0014】 いずれにしても、少なくともバンド線の巻き終り端から解けてこないようにする必要がある。テープやラベルで止たり、前記したような外包装を施すのが常道であるが、防塵防汚の視点からも、好ましいのは図示した通り、外周面を覆うシュリンク包装である。そして、該シュリンク包装では取出し端2が目視できる透明フィルムを使用し、また、その場所だけ手で切り裂いて取出し口8が形成できるような加工を施しておくのが実用的である。 例えば、図2ならびに図3に於いて、図中、6はフィルム4の円周方向に形成した横ミシン目である。また、7は横ミシン目6間を結ぶように形成した縦ミシン目である。そして、これらをして取出し口8が簡単に作れるように構成されている。即ち、取出し端2がある場所を見つけて、そこのミシン目を手で裂くことで取出し口8を形成する。尚、図示した取出し端2は、使用の最初はバンド線の巻き始め端であるが、次回の使用の際は継続するバンド線の先端であることは言うまでもない。」 (5)「【実施例2】 【0016】 次に、斯様な視点から工夫したパッキングフィルムについて図5に基づいて説明する。図中、6は前記した横ミシン目、7は縦ミシン目である。また、9は舌片形状を成した舌片切込を指している。そして、(a)は15~50mm程度の間隔を隔てた2本の横ミシン目をパッキングフィルム4に形成した例、(b)は更に20~50mm程度毎に縦ミシン目7を付加して形成した例、(c)は縦ミシン目に代えて舌片切込9を形成した例、更に(d)は1本の横ミシン目に舌片切込9を関連づけて形成した例を図示している。こうした舌片切込9などは、指で摘んでミシン目を引き裂くに役立ち、必要に応じて形成すればよく、ミシン目6ならびに7の構成と同様に、これもまた作業負荷の軽減に効果的を発揮する。 【0017】 次に、本発明バンドの巻き取構造について、図6ならびに図7に基づいて説明する。 図6は巻き始めの状態を図示している。図7は巻き途中の状態を図示している。図中、12は矢印11の方向に回転する巻取りドラム13の回転軸を指している。尚、図6に於ける巻取りドラム13については、理解を容易にするために点線表示した。 そして、巻取りドラム13の回転に従って、後述するような手順でバンド線10を巻取り、本願バンドの巻き構造を形成する。尚、巻き終えた後は、常道通り、巻き束をドラム13から取出すことは言うまでもない。 【0018】 一方、図示したバンド線10の巻き始め端2は、巻取りドラム13の周面に突き立てられた法線棒(図示せず)の先端で保持させている。図では巻き始め端2を少し折り曲げた状態で保持する例に従って図示したが、必ずしも折り曲げる必要はなく、また、巻き付けを完了して法線棒を撤去する際に、その先端から取り外す。 【0019】 次に、より具体的に本願巻取り装置について、図8乃至図12に基づいて説明する。 図中、32で指すのは左側回転軸33に固定された左ドラム、34で指すのは右側回転軸35に固定された右ドラムである。そして、図からも明らかなように、これらドラムには端部の巻きを整えるための鍔が備えられ、巻取り中は左右合体し、巻き束の取り出し時には分離する構成になっている。また、図8は巻取り開始前、図9は巻取り開始時、図10は巻取り途中、図11は巻取り完了後の巻き束取り出し時を図示したものである。 【0020】 ここで注目すべきは30で指す法線棒の構成である。該法線棒30は巻取りドラムの巻取り面から法線方向へ突出して備えられる。例えば、図12ならびに図13で例示したが、その先端部には、バンド線の巻き始め端を係止するための係止部を備えている。図12の(a)に於けるスリット30aが係止部の形成例であるが、(b)で図示したように、前記スリット内にバンド線10の巻き始め端2を差し入れて係止する。また、図13の(a)に図示した法線棒31は、棒材を折曲して構成した例であって、(b)で図示した通り、係止部31aならびに31cにかけて捲回することで、バンド線10の巻き始め端2を係止する。その他、図示は略したが、ネジ止め構造で成る係止部、キャップのようなものを覆い被せて成る係止部、バンド線を巻きつけて成る係止部など、線材料の材質や形状に応じて設計すれば足りる。 【0021】 尚、図12に於けるスリット30b、ならびに図13に於けるちょん掛部31bは、バンド線10を法線棒30,31の根元付近で案内するためのガイド部であり、巻き始めを好ましい姿態に整えるために、望ましくは、斯様な構成を法線棒に付設する。勿論、法線棒30,31とは別に、必要に応じて、巻取りドラム側に付設することも可能である。 【0022】 いずれにしても、前記した法線棒30はバンド線10の巻き始め端2を巻取りドラムから離隔した状態を維持したまま、後述する案内ヘッド36の案内に従ってバンド線10の巻き取りが進行する。そして、終り終わると、図11で図示したように、法線棒30の係止部で留められていた巻き始め端2は解かれ、法線棒30は撤去される。また、左右の巻取りドラムが分割され、巻き束が取出される。その結果、巻き始め端2は、巻き束の中央部から法線方向へ飛び出したような形態になる。尚、図では法線棒30をして外方に撤去するような図示をしているが、必要なら、巻取りドラム32,34の巻取り面から没する方向へ取外すように構成することもできる。勿論、巻取り面に対して出没自在に移動できるようなメカ構造で構成することも可能である。 【0023】 次に、図14についてであるが、図中、17は巻取りドラムに於ける回転軸の原点マークを指す。また、図中、15は原点マークから次の原点マークまでの1回転を示す。更に、図中、16は前記原点マークの位置に関連して設置した前記法線棒の位置を指す。従って、該法線棒の位置16は、図面、左から右へと1回転毎に図示した原点マーク17に対応して図示している。 【0024】 また、図中、14はバンド線10をトラバース案内する際の振幅を指す。即ち、案内ヘッド36が制御機構に制御されて図面左右方向へ移動する幅方向の寸法を指している。但し、本図は、他で図示した巻取り幅に合致するのではなく、後述する説明の理解を容易にするためにモデル化して図示している。 【0025】 次は、図面の上下方向へ移行しながら左から右へと流れ表示した線図について説明する。 この線図は、巻取り時にバンド線10を案内ヘッド36で案内しながら巻取り進行することをモデル化して線図化したものである。具体的に説明すると、案内ヘッド36の案内に従って、図面左端の法線棒の位置16から巻き取り始め、巻取りの進行とともに、先ず法線棒10の下側(図9なら左側)へ案内し、次いで2回転目の直前に法線棒の位置16を越えて上方(図10なら右側)へ案内し、さらに3.6回転目あたりで法線棒位置16を越えて図面下方(図10なら左側)に案内し、・・・以下、同様にしてバンド線10の案内を繰り返して巻取りすることを表現している。 【0026】 尚、線図で上下に変動せずに停留している箇所は同じ位置を維持したまま巻き取ることを表現している。また、図示した範囲内では斯様な停留箇所が上側下側とも2箇所設定しているが、これは理解を容易にするためにモデル化して例示しているだけで、実際的には、巻取り形状を如何に設定するかに依存し、停留させたりアナログ的に徐々に変動させたりして、好ましく制御するものである。勿論、この制御は、トラバース軸37に関連して設けた案内ヘッド36の制御機構によって成されるが、メカ機構は多種多様に公知であり、好ましいものを採用すればよい。また、例示したものは、案内ガイド36で巻取り案内するものであるが、巻取りドラム側、あるいは両方側に制御機構を設けて、巻取り制御することもできる。 【0027】 そして、ここで注目すべきは、法線棒位置16を境にして下側と上側へ、巻取りドラムの巻取り回転に関連して、それぞれのサイドへ頻繁に、交互に移行しながら巻き構造が形成されていくことである。例えば、巻取り回数が1回毎、2回毎、3回毎、4回毎、5回毎、6回毎、7回毎、8回毎、など所定回数毎に下側と上側へ、交互に移行しながら巻き取っていくことである。 【0028】 次に注目すべきは、サイドを変えるタイミングについてである。本実施例の場合、大雑把にいうなら2回転ごとということであるが、より細密にトラバース案内することで、よりバランスのいい巻き構造が形成できる。例えば、きっちり2回転毎というならバンド線が巻取りドラムの特定した箇所で交差することを繰り返す。すると交差する箇所が一箇所集中になって、巻き姿がバランスを欠いてしまう。 【0029】 より詳しく述べると次の通りである。 先ず、巻取りドラム上の法線棒が位置する点16の軌跡は、該ドラムの回転軸上に置く点を中心として円を成す。また、バンド線10を一方側から他方側へ移行すると、前記した円の上方を通る軌跡ができる。その軌跡と前記した円が、法線側から見て交差する前記円上の点を交差点とする。そこで、前記した円の中心に対して、前記法線棒が位置する点16と該通過点とで形成される角度、即ち、交差角度に関して注目する。例えば、前記したきっちり2回転毎に交差する例では、その交差角度は常に同じになる。よって、一定にならずに分散させるべく案内ヘッドまたは巻取りドラムに係る制御機構を構成すると、分散的になって、本発明バンドの欠点である偏り感が軽減される。 この交差角度という概念は、図14に於いて、18で指示している。より分散的であるようにするには、平均値がそうであっても毎回値を所定のルールに則ってプラス側とマイナス側に分散した巻き構造を提案するものである。 【0030】 次に、係る制御機構の詳細について説明する。これはバンド線10の幅ならびに巻取り幅に関連する要素であるが、図面で例示したようなドーナツ形状に巻き取ることを指向するなら、巻取り径の大なる箇所への案内より小なる箇所への案内を優先するというロジックで制御機構を構成するとよい。尚、ラグビーボール形状やサッカーボール形状、あるいはテニスボール形状で成るドーナツ形状を成す実施例を提供することも可能であり、その場合はそれに応じたロジックに従った制御機構をして、設定した巻き構造を形成する。尚、巻き形状に関わらず、基本的な構成要件を具備してさえおれば、ねじれてこないという効果は維持されることは言うまでもない。」 (6)上記(5)及び図14より、制御機構は、案内ヘッドを、一定にならずに分散した移動幅及び往復周期で制御していることが看取できる。 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「通信用ケーブルや光ファイバー線を巻き取る巻取りドラムを備え、前記巻取りドラムの巻取り入口側に前記通信用ケーブルや光ファイバー線を巻取り案内する案内ヘッド備え、巻取り終了後に巻き束を前記巻取りドラムから取外す構造を有する巻取り装置に於いて、 前記巻取りドラムの巻取り面から法線方向へ突出して法線棒を備えたこと、前記法線棒の先端部に通信用ケーブルや光ファイバー線の巻き始め端を係止するための係止部を形成したこと、巻き束を巻取りドラムから取外す際に前記巻き始め端の係止を解いて前記法線棒を巻取り面から没するかまたは取外す構造にしたこと、更に前記案内ヘッドまたは巻取りドラムをして前記法線棒の一方側で所定回数だけ巻取ると他方側へ移行して同じ回数だけ巻取り、一方側から他方側へ、他方側から一方側へと往復移動するべく制御機構を備え、 巻取りドラム上の法線棒が位置する点の軌跡は円を成し、通信用ケーブルや光ファイバー線を一方側から他方側へ移行すると前記した円の上を通過し、前記した円の中心に対して、前記法線棒が位置する点と前記通過点とで形成される交差角度、及び移動幅及び往復周期に関し、常に一定にならずに分散させるべく案内ヘッドまたは巻取りドラムに係る制御機構を構成した巻取り装置。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成26年1月16日に頒布された引用文献2(特開2014-4074号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 紐を通すための第1の挿通口を有した雌部材と、 第2の挿通口を有するとともに、前記雌部材内に摺動自在に挿通された雄部材と、 前記雄部材を前記雌部材から突出する方向へ付勢するバネ手段とを備え、 前記雄部材をバネ手段の付勢力に抗して押圧することで、第1、第2の挿通口の位置を一致させて紐を挿通して固定する紐留め具であって、 前記雄部材に形成された第2の挿通口の周縁から内側に向かって突出するリブを設けたことを備えたことを特徴とする紐留め具。」 (2)「【技術分野】 【0001】 この発明は、バックパック類の開口縁や衣服の袖口や頸廻りに配置されて開口度合いを調整する紐類(紐、ロープ、コード等)を任意の長さ位置で固定することができ、特に紐の取り込み操作が容易で有ると共にループ状の紐が抜け落ちる虞のない紐留め具に関するものである。」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、図9に示す2孔式の紐留め具の場合では、矢印方向に紐Lを引張ってもループ状の紐が抜けることはないが、紐を紐留め具にセットする際に一本づつ挿入しなければならず、操作が煩雑であった。特に衣類の縫製工場等では不便であった。 また、図10に示す1孔式の紐留め具の場合、ループ状の紐Lをそのまま挿入することができ操作が容易であるが、雄部材を押圧しながら紐Lを矢印方向に引くと抜け落ちてしまうために、抜け止めリング5を取付る必要があった。 【0006】 この発明は、上記した従来の不都合を解消する為になされたもので、紐を通すための第1の挿通口を有した雌部材と、第2の挿通口を有するとともに、この雌部材内に摺動自在に挿通された雄部材の第2の挿通口の周縁から内側に向かって突出するリブを設けたので、1個の挿通口にループ状態に紐を通しても、抜け止めすることができる紐留め具を提供するものである。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成21年8月27日に頒布された引用文献3(特開2009-189834号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 本体と、押圧体と、付勢手段とを備え、前記押圧体が前記本体内で扇状に可動な状態となりうるコードロックであって、 前記本体内部には表面が開放した収容空間が設けられるとともに、前記本体の前側には貫通した貫通穴が設けられ、そして前記本体の底部の左右両側にはストラップの巻回に供される巻き付け部が外側に向けて延設されており、 前記押圧体は前記本体の収容空間内に移動可能に枢設されるとともに、前記押圧体内には長手方向に貫通した貫通穴が設けられており、 前記付勢手段は前記本体の収容空間と前記押圧体との間に立設され、前記本体の貫通穴と前記押圧体の貫通穴とが一致することでコードを通すか、または偏位してコードを挟持する状態となる、ことを特徴とするコードロック。」 (2)「【技術分野】 【0001】 本発明はコードロックに関し、とりわけ押圧体が本体に設けられて扇状に移動可能に変位したとき、押圧体の貫通穴と本体の貫通穴とが一致または偏位することで、コードを通しやすくするとともに、咬合または解除する挟持状態を実現するものである。」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 よって上記から理解できるように、従来のコードロックではコードを脱落しないように挟持固定できるものの、以下のような不具合が派生的に生じる。 【0005】 (一)従来のコードロックでは、押しボタンとロック本体とに垂直方向の力が生じる方式で力を付与して押圧または解除する。この場合、押しボタンがロック本体に進入する過程およびスプリングの反作用力に抗する必要があるため、使用者が操作する際の力の増加を招く。 【0006】 (二)従来のコードロックでは、押しボタンとロック本体とに垂直方向の力が生じる方式で力を付与して押圧または解除する。押圧するとき、コイル状スプリングが圧縮されて重なり一定の高さが生じるので、コードロックが全体的に大きくなってしまう。 【0007】 (三)従来のコードロックでは、押しボタンとロック本体とに垂直方向の力が生じる方式で力を付与して押圧または解除する。押圧するとき、コイル状スプリングが圧縮されて重なり一定の高さが生じて、ときには捻れが発生してしまうので、押しボタンおよびロック本体の貫通穴を位置合わせする際の難度が高くなってしまう。 【0008】 したがって、上記した従来技術の課題および欠点を如何に解決するかということは、当業者が改善すべく研究を進める方向である。」 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成24年4月12日に頒布された引用文献4(特開2012-70819号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 紐用通し孔を有した雌部材と、紐用通し孔を有して前記雌部材に摺動自在に差し込まれる雄部材とを備え、紐が前記雌・雄部材を付勢力に抗して相対的に接近した状態で前記各通し孔に挿通され、かつ、前記雌・雄部材が付勢力により相対的に離間する方向に動くことで紐抜止め状態となる紐留め具において、 前記雌部材及び前記雄部材が前記通し孔と共に設けられて帯を通す貫通孔をそれぞれ有しており、前記帯を雌・雄部材の前記各貫通孔に順に挿通してその両端側を引っ張ると、又は、前記帯を雌・雄部材の前記各貫通孔に順に挿通してその両端側を押さえた状態で前記各通し孔を通った前記紐の引出部を引っ張ると、前記雌・雄部材が付勢力に抗して接近し紐抜止め状態を解放することを特徴とする紐留め具。」 (2)「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば、衣服や袋体の開口縁回り等に配置される紐の引出量や締め付け度合いを調整するために好適な紐留め具に関する。」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記した紐留め具は、部材数が少なく、衣服や袋体等の使用対象物に配置された紐に対し各通し孔を介して係止され、紐の引出量などを簡単に調整できるため簡易かつ使い勝手に優れているが、次のような点から未だ満足できなかった。 【0006】 (ア)図6(a)などの使用状態において、紐Wの引出量を増やして引っ張り度合いを強くする場合、操作者は、一方の手(指)で雌部材1と雄部材2とを付勢力に抗して相対的に接近操作するか、雄部材2を雌部材1側に押圧操作によって紐Wに対する抜止め状態を解除して、その状態を維持しながら、他方の手(指)で紐Wの引出端側を引っ張って調整する。その後は、雌部材や雌・雄部材から手を離すと、雌・雄部材1,2は付勢力により相対的に離間する方向に動いて紐抜止め状態となる。このため、従来構造では、調整操作では付勢力の大きさに比例した力を必要とし、また例えば、一方の手が荷物を持っていたり他の作業などを行っていると、紐の引き調整を行うことが困難となって不便であり用途の制約要因となる。 【0007】 (イ)紐留め具は、使用対象物Mに対して帯W’を介して取り付けられた状態で使用されるが、帯W’で拘束されている箇所が紐留め具下端側(つまり雌部材2の端部に設けられた貫通孔16に通されている)であるため不安定であり、例えば振動を受けると揺れが大きくなり易い。以上のような不具合は、用途によって紐留め具が大きくなることもあり、そのような場合に問題になり易く品質低下要因となる。 【0008】 本発明の目的は、以上のような問題を解消して、特に紐の引き量調整時の力を軽減可能にして、かつ使用対象物に対する安定した取付状態を維持できるようにして、それにより信頼性の向上と用途拡大に寄与することにある。」 5.引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成8年8月13日に頒布された引用文献5(特開平8-208115号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 中央で分割可能な胴部(12a)を有するケーブル巻取り用ドラム(12)と、 前記ドラム(12)を水平にかつ回転可能に支持するフレーム(13)と、 前記フレーム(13)に前記ドラム(12)の胴部(12a)に沿って架設され表面に方向が互いに異なる2つの螺旋溝(17a)が形成されたガイド体(17)と、 前記2つの螺旋溝(17a)に係合して前記ガイド体(17)に嵌入され巻取られるケーブルを前記ドラム(12)に案内するケーブル案内具(19)と、 前記フレーム(13)に設けられ前記ドラム(12)及び前記ガイド体(17)とを回転させる駆動手段(21)とを備え、 前記螺旋溝(17a)は前記ドラム(12)が2回転するとき前記ケーブル案内具(19)を前記ガイド体(17)上を1往復するように形成されたことを特徴とするケーブル巻取り装置。」 (2)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は8の字状に束ねたケーブルを得るようにケーブルを巻取る装置に関するものである。」 (3)「【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、ケーブルを束ねる際のケーブル長の測定及びケーブルの束ねる作業は、従来人手に頼っていたために束ねるケーブル長の測定が困難である上、ケーブルが短かった場合の再度の敷設を避けるため、常に測定長より長目に束ねる傾向があった。このため、従来のケーブルを束ねる作業は作業性が悪く、それだけ多くの人員を要していた。また敷設後の余分なケーブルは使用価値がなく廃棄されるために、ケーブルの有効使用を図ることができなかった。更にケーブルには内部のリード線または光ファイバの保護のため、束ねる場合の最低半径が決められており、人手による作業におけるこの最低半径の管理が困難であるという不具合もあった。本発明の目的は、必要な長さのケーブルを少人数で短時間に正確に巻取ることができ、巻取り後8の字状に束ねたケーブルを取り出すことができるケーブル巻取り装置を提供することにある。本発明の別の目的は8の字状に束ねる際の最低半径の管理が容易なケーブル巻取り装置を提供することにある。」 (4)「【0008】図1及び図2に戻って、ドラム12はフレーム13の一部である一対の第1支持柱14,14により回転可能に支持される。一対の第1支持柱14,14は、その基端をフレーム13のベース板13aに支軸14aを介して揺動可能に取付けられ、先端近傍にはドラム12を支持するための通孔14bが設けられる。この通孔14bを介して軸棒12hをドラム12の孔12cに挿入することにより、ドラム12は第1支持柱14,14に支持される。通孔14b近傍の第1支持柱14には第1支持柱14の揺動を制御するアクチュエータ16がそれぞれ設けられる。この例におけるアクチュエータ16は油圧駆動式のシリンダであり、伸縮するロッド16aの先端が第1支持柱14に枢支され、シリンダ本体16bの基端はベース板13aに枢支される。これによりアクチュエータ16は第1支持柱14の揺動を制御するようになっている。 【0009】フレーム13にはドラム12の胴部12aに沿ってガイド体17が架設される。ガイド体17はベース板13aに立設された一対の第2支持柱18,18により回転可能に支持される。ガイド体17にはその表面に互いに方向が異なる2つの螺旋溝17aが設けられる。ガイド体17にはケーブル案内具19が嵌入され、ケーブル案内具19に設けられた図示しない係止片が螺旋溝17aに係合して、ガイド体17の回転により螺旋溝17aに従ってケーブル案内具19は移動することができるようになっている。またケーブル案内具19にはケーブルを挿通することができる案内孔19aが設けられ、ケーブルが挿入された状態で移動することにより胴部12aにケーブルを案内する。 【0010】更にフレーム13にはドラム12及びガイド体17とを回転させる駆動手段21が取付けられる。この例における駆動手段21は駆動用モータ22と、モータの駆動軸22aに固着された第1及び第2ホイール23a、23bと、第1支持柱14を揺動させる前述したアクチュエータ16により構成される。駆動用モータ22はこの例では電動式のモータであり、図示しないスイッチにより制御されている。モータ22の駆動軸22aに固着された第1及び第2ホイール23a,23bは駆動軸22aの回転とともに回転する。この回転により第1ホイール23aはその外周面がドラム12の一方にフランジ12bの外周面に当接するときドラム12を回転させ、アクチュエータ16は第1支持柱14を介してドラム12のフランジ12bを第1ホイール23aに当接するように付勢する。第2ホイール23bとガイド体17とはベルト24により連結され、駆動軸22aとともに第2ホイール23bが回転することによりベルト24を介してガイド体17を回転させる。ドラムの回転と、ガイド体の回転によるケーブル案内具の移動量はドラムが2回転するときケーブル案内具をガイド体上を1往復するようにガイド体17の螺旋溝17aが形成される。 【0011】このように構成されたケーブル巻取り装置の使用方法について図1~図6を用いて説明する。先ずケーブル26は敷設始点から多数のガイドローラ27により延長される。図6に示すように、敷設始点にはケーブル26を巻いたドラム26aが配置され、作業者により牽引されることにより、ケーブル26はドラム26aから繰り出され、ガイドローラ27により少ない抵抗力でガイドローラ27上に敷設される。電線管28の手前までガイドローラ27により敷設した後、その後の敷設を作業者により行うべく電線管28の手前に本装置11を設置する。 【0012】図1~図3に戻って、作業者は牽引されてきたケーブル26の先端をケーブル案内具19の案内孔19aに挿入した後、ドラム12のフランジ12bに設けられた挿通孔12hに挿入する。この状態でモータ22の駆動軸22aを回転させ、ケーブル26をドラム12に巻取る。この時ドラム12とともにガイド体17が回転し、ケーブル案内具19が胴部12aに平行に往復動する。このケーブル案内具19の往復動によりケーブル26は胴部12a上を往復して巻かれることになる。 【0013】ガイド体17の回転によるケーブル案内具19の移動量はドラム12が2回転するとき1往復するので、ケーブル26は図5に示すように、胴部12aの中央部において交差するように巻かれることになる。ケーブル26の巻かれる長さは胴部12aの径とその回転数により求められ、所定の回転が行われた後作業者は駆動軸22a(図1)の回転を停止させる。この時、ドラム12の回転数は、図2に示すように、回転計を作業者の手によりドラム12のフランジ12bに押し当てて測定する。」 (5)上記(4)及び図5より、ケーブル案内具は、一定の移動幅で移動し、ドラムは一定の周期で回転していることが看取できる。 6.引用文献6について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の昭和49年4月30日に頒布された引用文献6(実願昭47-94591号(実開昭49-49243号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「2.実用新案登録請求の範囲 糸条綾振り用糸条案内体2、糸条案内体を往復運動させるための溝付ドラム8およびこの溝付ドラムに近接して設けたガイドレール3を有する糸条綾振装置において、上記溝付ドラム8の円柱状表面4にこの溝付ドラムの軸線9に対して傾斜した糸屑除去用溝7を設けたことを特徴とする糸条綾振装置。」(1頁4~11行) (2)「3.考案の詳細な説明 この考案は糸条綾振り用糸条案内体、糸条案内体を往復運動させるための溝付ドラムおよびこの溝付ドラムに近接して設けたガイドレールを有する糸条綾振装置に関するもので、糸条捲取の高速化に付随して生じる糸屑の捲取装置内への侵入による上記溝付ドラムの駆動用モータの過熱、停止の問題を解決することを目的とするものである。」(1頁12~19行) (3)「第1図および第2図は、従来の糸条綾振装置の正面図および側面断面図をそれぞれ略示したものである。この糸条綾振装置に用いられる溝付ドラム8は、例えば実公昭46-9560号公報、特公昭46-39137号公報の図面に示されているが、円柱状ドラムの表面4に糸条案内体2を嵌入走行させるための案内溝1が設けてある。糸条案内体2は上記案内溝1とこれに近接して設けたガイドレール3とに案内されて往復運動を行なう。」(3頁17行~4頁5行) (4)「第3図はこの考案による糸条綾振装置の正面図である。従来装置では、前記のように糸屑がガイドレールの間5より捲取装置内部に侵入し、溝付ドラムの表面4とガイドレール3との間隙6に喰い込んでしまう(第2図参照)が、この糸屑の喰込みの発生する場所は、この考案者たちの詳細な観察の結果、第4図に示す従来の溝付ドラムの展開図における糸条案内体の往復運動の及ばない領域10であることが判明した。この考案は、溝付ドラム8の少くともこの領域10に、この溝付ドラムの軸線9に対してθ度傾斜した糸屑除去用溝7を設けることを特徴とするもので、溝付ドラムの表面とガイドレールとの間隙6に喰い込んだ糸屑を即座に自動的に除去することができ、装置の稼動率を大幅に向上させることかできるものである。 糸屑除去用溝7の設け方の例を、第5図、第6図、第7図の溝付ドラムの展開図で示す。図中の矢印はドラムの回転方向を示す。」(5頁8行~6頁6行) (5)上記(4)及び第4図より、糸条案内体は、一定の移動幅で移動し、溝付ドラムは一定の周期で回転していることが看取できる。 7.引用文献7について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の昭和59年6月20日に頒布された引用文献7(実願昭57-187552号(実開昭59-91254号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「2 実用新案登録請求の範囲 モータにより駆動される駆動軸に平行に設けられた径の異なる複数個の駆動歯車と、この駆動軸に連結されたトラバーサと、径の異なるワイヤを巻付けた複数個の巻取りドラムと、各巻取りドラムに固着されたドラム軸に設けられ前記駆動軸のいずれかの駆動歯車と噛合う被駆動歯車とを備えもってワイヤを巻付けた巻取りドラムを交換することによりワイヤ径の変更と同時に巻取りドラムの回転とトラバーサの動きの同調を行うようにしたことを特徴とするトラバーサを有するワイヤ巻取り装置。」(1頁4~15行) (2)「3 考案の詳細な説明 本考案はケーブルの布設作業等において使用されるトラバーサを有するワイヤ巻取り装置に関するものである。」(1頁16~19行) (3)「本考案は上記の事情にかんがみてなされたものであり、巻取りドラムごとワイヤを交換すると同時にドラムの回転とトラバーサの同調が行なわれるトラバーサを有するワイヤ巻取り装置を提供することを目的とするものである。」(2頁10~14行) (4)「第1図乃至第3図に示すように、アーム(1,2)に巻取りドラム(5)のドラム軸(6)が支持され、ドラム軸(6)は巻取りドラム(5)に一体に固着され、ドラム軸(6)の端部には被駆動歯車(7)が固着されている。 フレーム(4)の側面には油圧モータ(12)が取付けられ、モータの駆動軸に取付けられたピニオン(13)はフレーム(3,4)により支持された駆動軸(8)に固着された駆動歯車(9)と噛合っている。駆動軸(8)には歯車(9)と平行に径の異なる他の駆動歯車(10)が固着されるとともに、トラバーサ(20)へ動力を伝達するスプロケット(11)が取付けられており、駆動歯車(9)はドラム軸(6)の被駆動歯車(7)と噛合っている。スプロケット(11)とトラバーサ(20)のトラバース軸(15)に取付けられたスブロケット(16)の間にはチエン(14)が掛渡され、トラバース軸(15)は巻取りドラム(5)と平行に配置され、一定のピッチのねじが切られ、トラバース台(17)が螺合されている。 したがって、油圧モータ(12)を駆動させると、ピニオン(13)により駆動歯車(9)が回転し、被駆動歯車(7)が駆動されて巻取りドラム(5)が回転すると同時に、スプロケット(11)及びチエン(14)を介してトラバーサ(20)が駆動され、トラバース台(17)が左右に往復し、トラバーサ(20)によりワイヤ(21)は巻取りドラム(5)に整列状態で巻取られる。」(2頁16行~4頁5行) (6)上記(4)及び第2図より、トラバース台は、一定の移動幅で移動し、巻取りドラムは一定の周期で回転していることが看取できる。 8.引用文献8について 原審で引用され、本願の出願日前の昭和48年11月6日に頒布された引用文献8(特公昭48-36686号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「本発明はストランド様の材料のための糸巻き装置に関するものである。」(1頁1欄34~35行) (2)「特許請求の範囲 1 糸キヤリヤー19を装架しかつ個別の駆動装置15を有する複数錐のスピンドル14の各々に、往復動機構18を有する糸案内16と所定の巻上げパタンに従つて前記往復動機構を駆動する電動機20を連設してなる複数の巻取装置10と、前記電動機20に接続されたコンソール12とを有し、該コンソールが、プログラム制御回路装置42ならびにアツプダウンチエースリミツト回路装置44にクロツクパルスを伝達するアツプダウンクロツクパルス源40と、前記プログラム制御装置からパツケージ長カウントを受け、該プログラム制御装置へパツケージ長リミツト信号を供給するパツケージ長さ回路装置46と、前記アツプダウンチエースリミツト回路装置44よりのチエースリミツト信号に応答して切換られる前記プログラム制御回路装置42からのアツプまたはダウンクロツクパルスを前記巻取装置へ伝達するため各巻取装置10と関連されている別個なコンソール出力回路48と、前記クロツクパルス源からクロツクパルスを、前記プログラム制御回路装置からプログラム状態信号を、前記パツケージ長さ回路装置からパツケージ長表示信号を、また前記チエースリミツト回路装置からチエースリミツト信号を伝達されかつ前記出力回路に連結されたシンクインプログラム回路装置50とを含むことを特徴とするストランド様材料の糸巻き装置。」(15頁30欄29行~16頁32欄3行) 第4 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比すると、 後者の「巻取りドラム」、「巻取りドラムの巻取り面」、「通信用ケーブルや光ファイバー線」、「巻取り装置」、及び「案内ヘッド」は、それぞれ、前者の「円柱軸状の回転体」、「外周面」、「電線」、「電線巻取装置」、及び「トラバーサ」に相当する。そして、後者の「巻取りドラム」は回転するものであるから、「中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体」、「トラバーサ」といえる。 後者の「巻取り装置」は、案内ヘッドまたは巻取りドラムをして前記法線棒の一方側で(通信用ケーブルや光ファイバー線を)所定回数だけ巻取ると他方側へ移行して同じ回数だけ(通信用ケーブルや光ファイバー線を)巻取り、一方側から他方側へ、他方側から一方側へと往復移動するべく制御機構を備えるものであるから、後者の「案内ヘッド」は、「回転体の軸方向に沿って移動するとともに、電線を案内することによって、前記回転体に対する前記電線の巻き取り位置を規定するトラバーサ」といえ、後者の「制御機構」は、「回転体および前記トラバーサを制御する制御手段」といえる。 したがって、両者は、 「中心軸回りに回転自在に設けられた円柱軸状の回転体の外周面に沿って電線を巻き取る電線巻取装置であって、 前記回転体の軸方向に沿って移動するとともに、前記電線を案内することによって、前記回転体に対する前記電線の巻き取り位置を規定するトラバーサと、 前記回転体および前記トラバーサを制御する制御手段とを備える、電線巻取装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 本願発明1が、「制御手段は、回転体に対してトラバーサを一定の移動幅で移動させて往復させる往復周期を設定する往復周期設定部と、前記回転体を一定の回転周期にて回転させる回転制御部と、前記トラバーサを前記往復周期設定部にて設定された前記往復周期にて往復させる往復制御部とを備え、前記往復周期設定部は、前記回転周期と、前記往復周期の半周期とを同期させないような前記往復周期を一定の周期に設定する」ものであるのに対し、引用発明1は、制御機構が、移動幅及び往復周期に関し、常に一定にならずに分散させるべく案内ヘッドまたは巻取りドラムを制御するものである点。 (2)相違点についての判断 上記「第3 5.」~「第3 7.」より、「回転体に対してトラバーサを一定の移動幅で移動させ、前記回転体を一定の回転周期にて回転させる制御を行うこと」は周知の技術手段(以下「周知の技術手段1」という。)といえる。 しかし、上記相違点に係る本願発明1の、「往復周期設定部は、前記回転周期と、前記往復周期の半周期とを同期させないような前記往復周期を一定の周期に設定する」点は、周知の技術手段1とはいえないし、引用文献5乃至引用文献7のいずれにも、記載も示唆もされていない。 また、上記「第3 2.」~「第3 4.」より、「回転体の外周面に起立して設けられた軸体と、前記軸体を内部に収容するとともに、前記軸体の軸方向に沿って所定の距離だけスライド自在に設けられた筒状体と、前記筒状体の内部に設けられるとともに、前記回転体の外周面から離間させる方向に前記筒状体を付勢する付勢部材とを備え、前記軸体および前記筒状体は、前記軸体の軸方向と交差する方向に沿って形成されるとともに、前記筒状体を前記回転体の外周面に向かってスライドさせたときに連通する穴部を有する、保持機構」は周知の技術手段(以下「周知の技術手段2」という。)といえるが、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、周知の技術手段2とはいえないし、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2乃至引用文献4、及び原審で引用された引用文献8にも、記載も示唆もされていない。 また、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項が設計的事項といえる理由もない。 そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項により、「往復周期設定部は、回転周期と、往復周期の半周期とを同期させないように、往復周期を設定するので、電線の交差位置は、同じ位置に留まることなく、ずれていくことになる。したがって、本発明の電線巻取装置にて巻き取られた巻取電線は、巻取電線の周方向および幅方向に亘って複数の位置に電線の交差位置を分散させることができるので、特定位置だけ巻取電線の径方向に厚くなってしまうことがなく、外観を良好にすることができ、ケースなどに収納しやすくすることができる。」(本願明細書【0009】参照。)との効果を奏するものである。 したがって、本願発明1は、引用発明1、及び周知の技術手段1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 2.本願発明2乃至6について 本願発明2、3及び5は、本願発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明2、3及び5は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1、周知の技術手段1、及び周知の技術手段2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、本願発明4は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるし、本願発明6は、本願発明5の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明4、及び本願発明6は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1、周知の技術手段1、及び周知の技術手段2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は、 「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項1、2、4 ・引用文献等1、5-7 ・請求項3、5、6 ・引用文献等1-7 <引用文献等一覧> 1.特開2016-117562号公報 2.特開2014-004074号公報(周知技術を示す文献) 3.特開2009-189834号公報(周知技術を示す文献) 4.特開2012-070819号公報(周知技術を示す文献) 5.特開平08-208115号公報(周知技術を示す文献) 6.実願昭47-094591号(実開昭49-049243号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献) 7.実願昭57-187552号(実開昭59-091254号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)」 というものである。 しかしながら、請求項1に係る発明は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項である「制御手段は、回転体に対してトラバーサを一定の移動幅で移動させて往復させる往復周期を設定する往復周期設定部と、前記回転体を一定の回転周期にて回転させる回転制御部と、前記トラバーサを前記往復周期設定部にて設定された前記往復周期にて往復させる往復制御部とを備え、前記往復周期設定部は、前記回転周期と、前記往復周期の半周期とを同期させないような前記往復周期を一定の周期に設定する」ものとなっており、上記「第4」のとおり、本願発明1乃至6は、上記引用発明1、周知の技術手段1、及び周知の技術手段2に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 当審では、 「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (1)請求項1及び請求項4の「前記回転体を所定の回転周期にて回転させる」との記載では、一定の回転周期であるのか否か明らかでない。 (2)請求項1及び請求項4の「前記往復周期の半周期とを同期させないように、前記往復周期を一定の周期に設定する」との記載では、「同期させないように」との記載がどこにつながるのか明らかでない。 (3)「電線巻取装置の制御方法」という発明である請求項4に対して、請求項5の「請求項1から請求項4のいずれかに記載された電線巻取装置」との記載は対応していない。」 との拒絶の理由を通知しているが、平成29年8月8日付けの補正において、上記指摘(1)に対して、請求項1及び4は、「一定の回転周期」との補正がなされ、上記指摘(2)に対して、請求項1及び4は、「往復周期の半周期とを同期させないような前記往復周期」との補正がなされ、上記指摘(3)に対して、請求項5は、「請求項1から請求項3のいずれか」との補正がなされた結果、この拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-009721

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