特許拒絶査定不服審判
2017-008758
アッセイ装置を通じた流体流の制御
- 審判番号
- 2017-008758
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-007020
- 請求日
- 2017年06月15日
- 審決日
- 2018年07月17日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】オーソ-クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】加藤 公延
- 【請求人代理人】大島 孝文
- 審判長/審判官
- 審判長 福島 浩司
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 渡戸 正義
- 分類
- P18 .113-WY (G01N) / P18 .121-WY (G01N) / P18 .537-WY (G01N) / P18 .65 -WY (G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第37条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 7020「アッセイ装置を通じた流体流の制御」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-148586、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年1月18日(パリ条約による優先権主張 2012年1月20日 米国)を出願日とする出願であって、平成28年11月1日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月7日付けで手続補正がされ、同年2月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年8月15日に前置報告がされ、同年12月20日に審判請求人から前置報告に対する上申がされ、平成30年1月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知がされ、同年6月19日付けで手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」~「本願発明7」という。)は、平成30年6月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
液体サンプル区画と、
試薬材料を含む、前記液体サンプル区画の下流にあり、これと流体連通する試薬区画と、
前記試薬区画と流体連通する検出区画であって、前記検出区画は、基材、及び前記基材から実質的に垂直に延びる第1セットの突起部を有し、前記突起部は高さと、断面と、前記基材の表面と平行な毛管流を生じることができる前記突起部間の毛管空間を画定する、互いの間の距離とを有する、検出区画と、
前記検出区画から流れる液体サンプルを受ける能力を有する、前記検出区画と流体連通する吸上区画とを含み、
前記液体サンプル区画、前記試薬区画、前記検出区画及び前記吸上区画が、流体流路を画定し、
前記検出区画が、前記吸上区画の短辺と、その中点において交差する、アッセイ装置であって、
前記吸上区画は、基材、及び前記基材から実質的に垂直に延びる第2セットの突起部を含み、前記突起部は高さと、断面と、前記基材の表面と平行な毛管流を生じることができる前記突起部間の毛管空間を画定する互いの間の距離とを有し、
前記吸上区画が矩形の形状であり、前記矩形の長辺が流れ方向に延び、それによって、前記アッセイ装置の圧力勾配を低減し、これが辺の長さが等しい同じ体積の吸上区画と比較して、液体サンプルの合計流れ時間を長くし、
更に、前記第2セットの突起部の少なくとも一部が、前記第1セットの突起部とは異なり、前記アッセイ装置を通じた前記液体サンプルの合計流れ時間を増加させるように選択された直径、中心間隔、又は突起部の間隔から選択される、少なくとも1つの寸法を有し、
前記第2セットの突起部は、前記矩形の長辺方向に列ごとの構成で配置され、柱状物の列の間の間隔は、列内の柱状物の間隔よりも大きいアッセイ装置。」
なお、本願発明2~7の概要は以下のとおりである。
本願発明2~6は、いずれも本願発明1を減縮した発明である。
本願発明7は、本願発明1~6のいずれかに記載のアッセイ装置を使用する方法の発明である。
第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2010-14709号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付加したものである。)
(引1-ア)
「【請求項1】
液体サンプルの分析のための分析装置において、
前記装置は、基材を備えており、
前記基材は少なくとも部分的に、前記基材の表面に対して実質的に垂直な突出部を有し、これら突出部は、前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H1)、直径(D1)、および中心から中心までの距離(x1,y1)を有しており、
前記基材は、前記基材の表面に対して実質的に垂直な突出部を備えた、少なくとも1つの基材ゾーンを備えており、これら突出部は、前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H2)、直径(D2)、および中心から中心までの距離(x2,y2)を有しており、少なくとも1つの物質が、前記少なくとも1つの基材ゾーン中の前記突出部の間に少なくとも部分的に適用され、前記高さ(H1、H2)、直径(D1、D2)、および中心から中心までの距離(x1、x2,y1、y2)は、前記少なくとも1つの物質が、前記基材ゾーンを通って流動する液体の流れに徐々に溶解されるように構成されている、ことを特徴とする、分析装置。
・・・
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の分析装置において、
前記基材は下記の順序どおり、流体接続状態で、少なくとも1つのサンプル添加ゾーン、少なくとも1つの接続ゾーン、および少なくとも1つの受容ゾーンをさらに備え、前記接続ゾーンは、少なくとも1つの反応ゾーンを備え、前記少なくとも1つの基材ゾーンは、前記サンプル添加ゾーンと前記反応ゾーンとの間にある、分析装置。」
(引1-イ)
「【0001】
〔技術分野〕
本発明は、液体サンプルの分析のためのアッセイ装置に関する。」
(引1-ウ)
「【0081】
ある一つの実施形態において、適用される物質は、検出抱合体(detection conjugate)を含む。ある一つの実施形態において、検出抱合体は、抗体、DNA、RNA、アプタマー、断片化された抗体、抗体断片、合成結合剤、化学的結合剤、レセプター、リガンド、アフィボディ、細胞、細胞小器官、ポリペプチド、ペプチド、酵素、単クローン抗体、多クローン性抗体、ファージディスプレイタンパク質、IgG免疫グロブリン、化学的リガンドから選択される、少なくとも1つの要素を含む。ある一つの実施形態において、検出抱合体は、1つを超える抗体を含む。ある一つの実施形態において、適用される物質中の分子の少なくとも1つが、検出可能な基を含み、この基が、例えば反応ゾーンにおける、検出を可能にする。検出抱合体は、抱合体に結合した抗原の検出を促進する。ある一つの実施形態において、検出抱合体は、蛍光性の分子を含む。ある一つの実施形態において、検出抱合体からの蛍光が測定される。」
(引1-エ)
「【0097】
【図1】図1は、上述からの実施形態を示しており、1つのサンプル添加ゾーン1、1つの接続ゾーン2、1つの受容ゾーン3と共に、周囲の突出部についての直径よりも大きな直径を有する突出部を備えた基材ゾーン4が示されている。また、反応ゾーン5もある。基材ゾーン4中の突出部と突出部との間には、適用された物質がある。
・・・
【図4】図4は、周囲の突出部よりも大きな直径を有する突出部を備えた基材ゾーンを備えている実施形態を示している。物質は、基材ゾーン中の突出部と突出部との間に適用された。矢印は、液体の流動の方向を示している。」
(引1-オ)
図1には、次の図面が示されている。
(引1-カ)
図4には、次の図面が示されている。
上記図1(引1-オ)では、(引1-エ)の図1の説明を踏まえると、受容ゾーン3は長方形であり、接続ゾーン2は前記受容ゾーン3の長方形短辺の中間において流体接続し、前記受容ゾーン3の長方形長辺が流れの方向に延びていることが、また、上記図4(引1-カ)では、(引1-エ)の図4の説明を踏まえると、突出部は、液体の流動の方向に列ごとに配置されていることが見て取れる。そして、(引1-ウ)から、適用される物質は、蛍光性の分子を含む検出抱合体であり、反応ゾーンにおいて検出抱合体からの蛍光が測定されることが理解できる。
したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「液体サンプルの分析のためのアッセイ装置であって、
前記装置は、基材を備えており、
前記基材は、前記基材の表面に対して実質的に垂直な突出部を有し、これら突出部は、前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H1)、直径(D1)、および中心から中心までの距離(x1,y1)を有しており、
前記基材は、前記基材の表面に対して実質的に垂直な突出部を備えた基材ゾーンを備えており、これら突出部は、前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H2)、直径(D2)、および中心から中心までの距離(x2,y2)を有しており、物質が、前記基材ゾーン中の前記突出部の間に適用され、前記高さ(H1、H2)、直径(D1、D2)、および中心から中心までの距離(x1、x2,y1、y2)は、前記物質が、前記基材ゾーンを通って流動する液体の流れに徐々に溶解されるように構成されており、
前記基材は下記の順序どおり、流体接続状態で、サンプル添加ゾーン、接続ゾーン、および受容ゾーンをさらに備え、前記接続ゾーンは、反応ゾーンを備え、前記基材ゾーンは、前記サンプル添加ゾーンと前記反応ゾーンとの間にあり、
前記突出部は、液体の流動の方向に列ごとに配置され、
適用される前記物質は、蛍光性の分子を含む検出抱合体であり、反応ゾーンにおいて前記検出抱合体からの蛍光が測定され、
前記受容ゾーンは長方形であり、前記接続ゾーンは前記受容ゾーンの長方形短辺の中間において流体接続し、前記受容ゾーンの長方形長辺が流れの方向に延びている、
アッセイ装置。」
2 引用文献2について
また、前置報告書において提示された引用文献2(特表2010-525319号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(引2-ア)
「【0042】
一実施形態において、サンプルを受容する領域に液体のサンプルが加えられるとき、液体は、一方の流路のゲートまで流れて行き、試薬は、サンプルによって溶かされる。それは、図2aに示される。黒い矩形は、図2の反応体を象徴している。他方の流路において、液体は、サンプルを受容するための領域に流れ込む。サンプルは、計測が実行される分析ポイントを通り過ぎる。流路のうち1つの流路の高い毛管力のために、液体は、最大の毛管力を有して流路に沿って流れて、高い毛管力でシンクを満たす。シンクが高い毛管力で完全に満たされた後に、液体は、高い毛管力を有して領域に流れ込み始める。第1の工程で分析ポイントを流れるサンプルの量および時間は、高い毛管力でシンクを満たすことによって定められる。図2bにおいて、シンクが高い毛管力で完全に満たされ、サンプルは、液体に低い毛管力を及ぼす領域に流れ込み始める。
【0043】
次いで、液体はゲートに向かって流れ、これによってゲートの両側が液体に接触するとき、液体は両方向にゲートを横切って流れることができる。溶解した反応体を有する液体は、図2cで示されるように他方のシンクに向かって流れる。図2cには、黒い矩形で象徴された溶解した反応体が分析ポイントを通過することが示されている。図2dでは、計測が完了され、全てのシンクが完全に満たされ、かつ/または、もはや利用可能なサンプル量が無い。したがって、ゲートが開かれる前の時間は、良好に定めることができ、試薬が十分な程度に溶解され得るように時間が調節される。」
(引2-イ)
図2a及び図2bには、次の図面が示されている。
(引2-ウ)
図2c及び図2dには、次の図面が示されている。
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「液体サンプル」の「添加ゾーン」である「サンプル添加ゾーン」は、本願発明1の「液体サンプル区画」に相当する。
イ 引用発明において、「液体サンプル」が「サンプル添加ゾーン」から「反応ゾーン」に向かって流れることは明らかであるから、引用発明の「蛍光性の分子を含む検出抱合体」である「物質」が「適用され」、「前記サンプル添加ゾーンと前記反応ゾーンとの間にあ」る「基材ゾーン」は、ここでの「蛍光性の分子を含む検出抱合体」である「物質」が、本願発明1の「試薬材料」に相当するところ、本願発明1の「試薬材料を含む、前記液体サンプル区画の下流にあり、これと流体連通する試薬区画」に相当する。
ウ 引用発明の「前記基材ゾーン」と「流体接続」する「反応ゾーン」は、「反応ゾーンにおいて前記検出抱合体からの蛍光が測定され」ることから、本願発明1の「前記試薬区画と流体連通する検出区画」に相当する。
また、引用発明の「実質的に垂直な突出部を有し、これら突出部は、前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H1)、直径(D1)、および中心から中心までの距離(x1,y1)を有して」いる「反応ゾーン」は、ここでの「突出部」が、本願発明1の「第1セットの突起部」に相当するところ、本願発明1の「基材、及び前記基材から実質的に垂直に延びる第1セットの突起部を有し、前記突起部は高さと、断面と、前記基材の表面と平行な毛管流を生じることができる前記突起部間の毛管空間を画定する、互いの間の距離とを有する、検出区画」に相当する。
よって、引用発明の「前記基材ゾーン」と「流体接続」し、「実質的に垂直な突出部を有し、これら突出部は、前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H1)、直径(D1)、および中心から中心までの距離(x1,y1)を有して」いる「反応ゾーン」は、本願発明1の「前記試薬区画と流体連通する検出区画であって、前記検出区画は、基材、及び前記基材から実質的に垂直に延びる第1セットの突起部を有し、前記突起部は高さと、断面と、前記基材の表面と平行な毛管流を生じることができる前記突起部間の毛管空間を画定する、互いの間の距離とを有する、検出区画」に相当する。
エ 引用発明において、「液体サンプル」が「反応ゾーン」から「受容ゾーン」に向かって流れ、前記「受容ゾーン」が、「反応ゾーン」から流れる「液体サンプル」を受ける能力を有することは明らかであるから、引用発明の「前記反応ゾーン」と「流体接続」する「受容ゾーン」は、本願発明1の「前記検出区画から流れる液体サンプルを受ける能力を有する、前記検出区画と流体連通する吸上区画」に相当する。
オ 引用発明の「前記基材は下記の順序どおり、流体接続状態で、サンプル添加ゾーン、接続ゾーン、および受容ゾーンをさらに備え、前記接続ゾーンは、反応ゾーンを備え、前記基材ゾーンは、前記サンプル添加ゾーンと前記反応ゾーンとの間にあ」ることは、本願発明1の「前記液体サンプル区画、前記試薬区画、前記検出区画及び前記吸上区画が、流体流路を画定」することに相当する。
カ 引用発明の「前記接続ゾーンは前記受容ゾーンの長方形短辺の中間において流体接続」することと、本願発明1の「前記検出区画が、前記吸上区画の短辺と、その中点において交差する」こととは、「前記吸上区画の直前の区画が、前記吸上区画の短辺と、その中点において交差する」ことで共通する。
キ 引用発明の「実質的に垂直な突出部を有し、これら突出部は、前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H1)、直径(D1)、および中心から中心までの距離(x1,y1)を有して」いる「受容ゾーン」は、ここでの「突出部」が、本願発明1の「第2セットの突起部」に相当するところ、本願発明1の「基材、及び前記基材から実質的に垂直に延びる第2セットの突起部を含み、前記突起部は高さと、断面と、前記基材の表面と平行な毛管流を生じることができる前記突起部間の毛管空間を画定する互いの間の距離とを有」する「前記吸上区画」に相当する。
ク 引用発明の「受容ゾーンは長方形であり、」「前記受容ゾーンの長方形長辺が流れの方向に延びている」ことと、本願発明1の「前記吸上区画が矩形の形状であり、前記矩形の長辺が流れ方向に延び、それによって、前記アッセイ装置の圧力勾配を低減し、これが辺の長さが等しい同じ体積の吸上区画と比較して、液体サンプルの合計流れ時間を長くし」ていることとは、「前記吸上区画が矩形の形状であり、前記矩形の長辺が流れ方向に延び」ていることで共通する。
ケ 引用発明の「液体の流動の方向に列ごとに配置され」ている「受容ゾーン」の「突出部」と、本願発明1の「前記矩形の長辺方向に列ごとの構成で配置され、柱状物の列の間の間隔は、列内の柱状物の間隔よりも大きい」「前記第2セットの突起部」とは、「前記矩形の長辺方向に列ごとの構成で配置され」る「前記第2セットの突起部」の点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致し、次の各点で相違する。
(一致点)
「液体サンプル区画と、
試薬材料を含む、前記液体サンプル区画の下流にあり、これと流体連通する試薬区画と、
前記試薬区画と流体連通する検出区画であって、前記検出区画は、基材、及び前記基材から実質的に垂直に延びる第1セットの突起部を有し、前記突起部は高さと、断面と、前記基材の表面と平行な毛管流を生じることができる前記突起部間の毛管空間を画定する、互いの間の距離とを有する、検出区画と、
前記検出区画から流れる液体サンプルを受ける能力を有する、前記検出区画と流体連通する吸上区画とを含み、
前記液体サンプル区画、前記試薬区画、前記検出区画及び前記吸上区画が、流体流路を画定し、
前記吸上区画の直前の区画が、前記吸上区画の短辺と、その中点において交差する、アッセイ装置であって、
前記吸上区画は、基材、及び前記基材から実質的に垂直に延びる第2セットの突起部を含み、前記突起部は高さと、断面と、前記基材の表面と平行な毛管流を生じることができる前記突起部間の毛管空間を画定する互いの間の距離とを有し、
前記吸上区画が矩形の形状であり、前記矩形の長辺が流れ方向に延び、
前記第2セットの突起部は、前記矩形の長辺方向に列ごとの構成で配置される、アッセイ装置。」
(相違点1)
吸上区画の直前の区画が、本願発明1では、「検出区画」であるのに対し、引用発明では、「接続ゾーン」である点。
(相違点2)
吸上区画が、本願発明1では、矩形の形状であり、前記矩形の長辺が流れ方向に延び、「それによって、前記アッセイ装置の圧力勾配を低減し、これが辺の長さが等しい同じ体積の吸上区画と比較して、液体サンプルの合計流れ時間を長くし」ているのに対し、引用発明では、「長方形であり、」「長方形長辺が流れの方向に延びている」が、それによって、アッセイ装置の圧力勾配を低減し、これが辺の長さが等しい同じ体積の受容ゾーンと比較して、液体サンプルの合計流れ時間を長くしているかは不明である点。
(相違点3)
本願発明1は、「更に、前記第2セットの突起部の少なくとも一部が、前記第1セットの突起部とは異なり、前記アッセイ装置を通じた前記液体サンプルの合計流れ時間を増加させるように選択された直径、中心間隔、又は突起部の間隔から選択される、少なくとも1つの寸法を有し」ているのに対し、引用発明は、「反応ゾーン」の「突起部」も「受容ゾーン」の「突起部」も同じ、「前記液体サンプルの横向きの毛管流動が達成されるような高さ(H1)、直径(D1)、および中心から中心までの距離(x1,y1)を有して」いる点。
(相違点4)
矩形の長辺方向に列ごとの構成で配置される第2セットの突起部が、本願発明1では、「柱状物の列の間の間隔は、列内の柱状物の間隔よりも大きい」のに対し、引用発明では、この点について特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点4について検討すると、上記相違点4に係る本願発明の構成は、上記引用文献2には記載も示唆もされていない。また、周知技術といえる証拠もない。
したがって、上記相違点1~3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2~7について
本願発明2~7も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
(1)原査定は、請求項1~6、9について、上記引用文献1に記載された発明との間に構成上の差異がないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成30年6月19日付けの手続補正により補正された(以下、「補正後の」という。)請求項1は、上記相違点4に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、上記のとおり、上記相違点4は実質的な相違点であるから、本願発明1~7は、上記引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
(2)原査定は、請求項1~9について、上記引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、補正後の請求項1は、上記相違点4に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1~7は、上記引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
(3)原査定は、請求項1、2について、上記引用文献1により新規性が欠如し特別な技術的特徴を有さないから、請求項1に係る発明の発明特定事項の全て含む同一カテゴリーの発明でない請求項10~15に係る発明は、特許法第37条の要件を満たしていないというものである。しかしながら、補正後の請求項1は、上記相違点4に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、上記のとおり、上記相違点4は実質的な相違点であるから、新規性が欠如し特別な技術的特徴を有さないとはいえず、補正後の請求項1に係る発明の発明特定事項の全て含む同一カテゴリーの発明でない補正後の請求項7に係る発明は、特許法第37条の要件を満たしていないとはいえない。
(4)以上のことから、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第1号について
当審では、請求項1の「前記第2セットの突起部の密度は、前記吸上区画の入口部分において、前記吸上区画の他の部分よりも、高くなっている」という点は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年6月19日付けの手続補正において、この点は削除された結果、この拒絶の理由は解消した。
2 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、請求項1の「突起部の密度」とこれに関連する記載は明確でないとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年6月19日付けの手続補正において、「突起部の密度」とこれに関連する記載が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。
(2)当審では、請求項5の「前記流体流路が、前記吸上区画の短辺と、その中点において交差する」という記載は明確でないとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年6月19日付けの手続補正において、「前記検出区画が、前記吸上区画の短辺と、その中点において交差する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(3)当審では、請求項10の記載は明確でないとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年6月19日付けの手続補正において、「請求項1から6のいずれかに記載のアッセイ装置を使用する方法であって、
液体サンプルを、前記液体サンプル区画と、前記試薬区画と、前記検出区画と、前記吸上区画とを通して流すこと、を含む、方法。」(下線は、補正箇所である。)と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(4)当審では、請求項9、12~15の記載は明確でないとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年6月19日付けの手続補正において、これらに対応する請求項は全て削除された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1~7は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-008758