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特許拒絶査定不服審判

2017-007615

パッシブ型反応物供給による燃料電池の操作方法

審判番号
2017-007615
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-082390
請求日
2017年05月29日
審決日
2018年11月28日
公報発行日
2019年06月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】インテリジェント エナジー リミテッド
  • 【請求人代理人】大菅 義之
  • 【請求人代理人】大菅内外国特許事務所特許業務法人
審判長/審判官
  • 審判長 藤井 昇
  • 審判官 堀川 一郎
  • 審判官 久保 竜一
分類
P18 .55 -WZ (H01M) / P18 .537-WZ (H01M) / P18 .113-WZ (H01M) / P18 .121-WZ (H01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015- 82390「パッシブ型反応物供給による燃料電池の操作方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日出願公開、特開2015-130365〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本願は、2007年1月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年1月25日)を国際出願日とする特願2008-551612号の一部を平成27年4月14日に新たな出願とするものであって、平成29年1月26日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成29年1月31日)、これに対し、平成29年5月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審により平成30年3月30日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成30年4月3日)、これに対し、平成30年10月3日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.特許請求の範囲 平成30年10月3日付の手続補正で特許請求の範囲は以下のように補正された(なお、本願請求項1に係る発明を、以下、「本願発明」という。)。 「【請求項1】 パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池システムのデッドエンド動作の方法であって、前記燃料電池システムは、イオン伝導性電解質によって隔てられた複数のアノードおよび複数のカソードと、デッドエンドである前記複数のアノードに流体的に接触している閉じた燃料供給源とを備え、前記方法は、 前記複数のカソードを摂氏20~35度の温度範囲内の外気にさらすステップと、 前記外気の圧力よりも5psi大きな圧力で前記複数のアノードに燃料を供給するステップと、 を含む、方法。 【請求項2】 前記燃料は水素である、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記燃料電池システムの燃料利用率が75%を超える、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記燃料供給源は、金属水素化物、複合金属水素化物、カーボングラファイト・ナノファイバ、圧縮水素ガス、ケミカル・ハイドライドからなる群から選択される水素貯蔵材料を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記燃料は、実質的に一定の圧力で前記複数のアノードに供給される、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記複数のアノードに前記燃料を供給する圧力は、前記燃料電池システムの電力需要に依存しない、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 前記燃料電池システムは、燃料電池の平面配列を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項8】 パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池システムのデッドエンド動作の方法であって、前記燃料電池システムは、少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのカソードと、閉じた燃料供給源とを備え、各アノードと各カソードとの間にイオン伝導性電解質が配置されており、前記燃料供給源は、デッドエンドである前記燃料電池システムと接続されており、前記方法は、 前記燃料供給源を、周囲圧力よりも5psi大きな圧力にまで加圧するステップと、 前記カソードを摂氏20~35度の温度範囲内の外気にさらすステップと、 を含む、方法。 【請求項9】 パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池のデッドエンド動作の方法であって、前記燃料電池は、少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのカソードと、デッドエンドである前記アノードを備える閉じた燃料プレナムとを含み、各アノードと各カソードとの間にイオン伝導性電解質が配置されており、前記燃料プレナムが燃料供給源に接続されており、前記方法が、 前記カソードを摂氏20~35度の温度範囲内の外気にさらすステップと、 前記外気の圧力よりも5psi大きな圧力で、燃料を前記燃料プレナムを介して前記アノードに供給するステップと、 を含む、方法。」 3.拒絶の理由 平成30年3月30日付の進歩性に関する拒絶の理由の概要は以下のとおりである。 「この出願の請求項1-11に係る発明は、その出願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された特開2003-272662号公報(以下、「引用例1」という。)に記載された発明及び国際公開第2004/079845号(特表2006-520069号公報参照)(以下、「引用例2」という。)、特開2005-294107号公報(以下、「引用例3」という。)、特開2005-294175号公報(以下、「引用例4」という。)に記載された技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」 4.引用例 引用例1には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 a「複数の発電体が内蔵されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。」(【請求項5】) b「燃料流路が形成された基板と、前記基板に実装され、前記燃料流路から燃料が供給される燃料電池と、を有することを特徴とする電子基板。」(【請求項50】) c「前記燃料電池は、酸素電極と、燃料電極と、前記酸素電極と前記燃料電極に挟持されたプロトン伝導体とを有し、前記酸素電極は大気に解放され、前記燃料電極には前記燃料流路から燃料が供給されることを特徴とする請求項50記載の電子基板。」(【請求項51】) d「このような燃料電池は、電気自動車やハイブリット式車両への応用が期待されており、実用化に向けて開発が進められているが、かかる用途の他、軽量化や小型化が容易であるという利点を活かして、これとは全く異なる新たな用途への応用も検討されている。例えば携帯可能な電気機器において、現状の乾電池や充電式電池に代わる新たな電源としての用途等である。」(【0002】) e「本発明は、かかる従来の実情に鑑みて提案されたものであり、機器の小型化への制約や設計上の制約を解消し得る燃料電池を提供することを目的とし、さらには機器製造の際の製造工程の増加を招くことのない燃料電池を提供することを目的とする。また、本発明は、燃料電池を内蔵しながら設計上の制約を緩和することができ、部品点数の削減や小型化、製造工程の簡略化を実現することが可能な電気機器を提供することを目的とする。 本発明は、更に、回路基板としての機能のみならず、燃料流路としての機能も有する新規なプリント配線板を提供することを目的とし、さらにはその製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、発電セルと燃料供給源との間で、電気接続と燃料継手の兼用のコネクタとして使用することが可能な燃料電池用コネクタを提供することを目的とする。」(【0005】-【0006】) f「図1は、本発明を適用した燃料電池の一例を示すものである。本例は、デュアル・インライン・パッケージ(DIP:Dual Inline Package)と呼ばれる挿入実装型のパッケージを採用したものであり、筐体1の中に発電体2が1あるいは2以上内蔵されている。そして、筐体1に設けられた空気取り入れ孔3からカソード側に空気が、同じく筐体1に取り付けられた燃料継ぎ手4からアノード側に燃料(水素)が供給され、発電が行われる。」(【0017】) g「発電体2は、図2に示すように、イオン伝導体膜2aの両側を電極(アノード2b及びカソード2c)で挟んだ構造を有し、周囲はシール2dによって封止されている。このシール2dは、水素のカソード2c側へのリークを防ぐことを目的に設けられている。シール2dは、射出成形、打ち抜き等により予め成形されたものを貼り合わせてもよいし、イオン伝導体膜2aや電極に直接形成してもよい。」(【0019】) h「上記プリント配線板は、各種電気機器、特に燃料電池を組み込んだ電気機器に実装して使用される。図13は、上記プリント配線板の電気機器への組み込み形態の一例を示すものである。この例では、電気機器本体141内に燃料電池の発電体142及び燃料貯蔵タンク143が内蔵されており、発電体142の起電力によって電気機器本体141内に組み込まれた駆動回路部に電力が供給される。ここで、電気機器本体141には、上記燃料流路を内蔵したプリント配線板144が実装され、燃料電池の発電体において電池反応に使用される燃料(水素)は、このプリント配線板144の燃料流路を介して上記燃料貯蔵タンク143から発電体142へと供給される。」(【0061】) i「上述の燃料流路を内蔵するプリント配線板は、電気機器の回路基板としての利用のみならず、燃料電池用コネクタとしての利用も可能である。この燃料電池用コネクタとしての使用形態の概念を図14に示す。この例では、燃料電161に燃料(水素燃料)を供給する必要が生じたときに、上記プリント配線板を組み込んだ燃料電池用コネクタ162を介して燃料サーバ(水素サーバ)163に接続し、燃料(水素燃料)の供給を行う。上記プリント配線板を介することにより、水素燃料の授受のみならず、例えば燃料の授受に関する情報等を電気信号により伝達することが可能である。」(【0063】) j「図30は、プリント配線板210と燃料電池243とを上述した接続方法で接続した電子機器の概要を示す図である。プリント配線板210には燃料電池243が複数個実装され、プリント配線板210に形成された燃料流路214a,b(図示略)には燃料供給用チューブ250が接続されている。また、プリント配線版210の上層には、半導体素子などの電子部品238が実装されている。さらに、プリント配線板210上に形成された接続端子212と電気配線239によって、燃料電池243と電子部品238とが電気的に接続されている。プリント配線板210への電子部品238と燃料電池243の実装は、それぞれ別の実装工程を経てもよく、燃料電池243の実装時に一括してリフロー処理や樹脂封止を行ってもよい。 燃料供給用チューブ250からプリント配線板210の燃料流路214を介して燃料電池243に燃料を供給し、空気取り入れ孔204cから空気を取り込んで燃料電池243が発電した電気によって電子部品238の駆動が行われる。」(【0110】-【0111】) h、i及び図面を参照すると、燃料貯蔵タンク、燃料サーバ等の燃料供給源からポンプ等補機を用いずに燃料が供給され、空気は自然に大気圧で取り込んでいるから、パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池の動作の方法が示されている。 a~c、f、h~j及び図面を参照すると、複数のアノード及び複数のカソードがあって、複数のアノードに流体的に接触している燃料貯蔵タンク、燃料サーバ等の燃料供給源を備えている。 a~c、f、j及び図面を参照すると、燃料電池の動作の方法は複数のカソードは大気に解放されるステップを有している。 a~c、f、j及び図面を参照すると、燃料電池の動作の方法は複数のアノードに燃料を供給するステップを有している。 上記記載事項からみて、引用例1には、 「パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池の動作の方法であって、前記燃料電池は、イオン伝導体膜の両側を挟む複数のアノード及び複数のカソードと、前記複数のアノードに流体的に接触している燃料供給源とを備え、前記方法は、 前記複数のカソードは大気に解放されるステップと、 前記複数のアノードに燃料を供給するステップと、 を含む、方法。」 との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 同じく、引用例2には、図面とともに、以下の事項が記載されている(訳文は特表2006-520069号公報)。 k「4. The method of claim 1, wherein during operation the fuel supply pressure is always at least 5 psig greater than the oxidant supply pressure.」(請求項4) (【請求項4】動作の間、前記燃料供給圧力が前記酸化剤供給圧力よりも常に少なくとも5psig大きい、請求項1に記載の方法。) l「However, although purging can improve performance of fuel cells having closed reactant supply systems, it wastes valuable fuel and increases the parasitic load on the system since purging equipment is required. Furthermore, the release of hydrogen into the ambient environment may be undesirable. Accordingly, there remains a need for improved methods of operating fuel cells having closed reactant supply systems for which purging is not necessary.」(Description of the Related Art) (しかしながら、パージングは、閉じられた反応物供給システムを有する燃料電池の性能を改良することができるが、パージング装置が必要とされるので、有用な燃料を消費し、システムにおいて寄生的負荷を増加する。そのうえ、水素のあたり一面への放出は所望され得ない。したがって、パージングが必要のない、閉じられた反応物供給システムを有する燃料電池の作動の改良された方法の必要性が残る。) m「In some embodiments, during operation the fuel supply pressure is always at least 5 psig greater than the oxidant supply pressure, and may be between about 5 psig and 30 psig greater than the oxidant supply pressure. In other embodiments, the fuel supply pressure may be intermittently at least 5 psig greater than the oxidant supply pressure. In still other embodiments, the fuel supply pressure is at least 5 psig greater than the oxidant supply pressure when the fuel side of the reactant supply system is closed.」(BRIEF SUMMARY OF THE INVENTION) (一部の実施形態において、作動の間、燃料供給圧力は、常に少なくとも5psig、酸化剤供給圧力よりも大きく、また、酸化剤供給圧力よりも、約5psigから30psigの間で大きくあり得る。別の実施形態においては、燃料供給圧力は、酸化剤供給圧力よりも、断続的に、少なくとも5psig大きくあり得る。さらに別の実施形態においては、反応物供給システムの燃料側が閉じられている場合、燃料供給圧力は、酸化剤供給圧力よりも、少なくとも5psig大きい。) n「In some embodiments, the fuel side of the reactant supply system is always closed, such as by having a fuel side of at least one fuel cell dead-ended. In other embodiments, the fuel side of the reactant supply system comprises a recirculation loop for recirculating the fuel stream through the stack. In still other embodiments, the fuel side of the reactant supply system comprises a purge valve which may be periodically opened to discharge a portion of the fuel stream from the stack. In still other embodiments, the fuel side of the reactant supply system may be closed at a plurality of locations, such as having the fuel side of each fuel cell dead-ended. In still further embodiments, the fuel cell system comprises a primary stack and a secondary stack fluidly connected to receive the fuel stream in series downstream of the primary stack, wherein a fuel passage of the secondary stack is dead-ended at least some of the time.」(BRIEF SUMMARY OF THE INVENTION) (一部の実施形態において、反応物供給システムの燃料側は、少なくとも一つの燃料電池の燃料側をデッドエンド式にしておくことなどによって、常に閉じられている。別の実施形態において、反応物供給システムの燃料側は、スタックを介して、燃料を再循環させるための再循環ループを含む。さらに別の実施形態において、反応物供給システムの燃料側は、スタックから燃料の一部を放出するために定期的に開かれ得るパージバルブを含む。さらに別の実施形態においては、反応物供給システムの燃料側が、それぞれの燃料電池の燃料側をデッドエンド式にしておくことのように、複数の場所で閉じられ得る。さらなる実施形態において、燃料電池システムは、第1のスタックの下流において直列で燃料を受け取るために、流体的に接続される、第1のスタックおよび第2のスタックを含み、そこにおいて、第2のスタックの燃料通路は、少なくとも一部の時間において、デッドエンド式である。) 5.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「イオン伝導体膜」、「大気」は、それぞれ本願発明の「イオン伝導性電解質」、「外気」に相当する。 引用発明は、「パッシブ式反応物供給源」、「燃料電池」、「イオン伝導体膜の両側を挟む複数のアノード及び複数のカソード」を有するから、本願発明の「燃料電池システム」に相当する。 引用発明の「イオン伝導体膜の両側を挟む複数のアノード及び複数のカソード」は、本願発明の「イオン伝導性電解質によって隔てられた複数のアノードおよび複数のカソード」に相当する。 引用発明の「パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池の動作の方法」と、本願発明の「パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池システムのデッドエンド動作の方法」は、「パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池システムの所定動作の方法」点で一致する。 引用発明の「前記複数のアノードに流体的に接触している燃料供給源」と、本願発明の「デッドエンドである前記複数のアノードに流体的に接触している閉じた燃料供給源」は、「前記複数のアノードに流体的に接触している燃料供給源」の点で一致する。 引用発明の「前記複数のカソードは大気に解放されるステップ」と、本願発明の「前記複数のカソードを摂氏20~35度の温度範囲内の外気にさらすステップ」は、「前記複数のカソードを所定温度の外気にさらすステップ」の点で一致する。 引用発明の「前記複数のアノードに燃料を供給するステップ」と、本願発明の「前記外気の圧力よりも5psi大きな圧力で前記複数のアノードに燃料を供給するステップ」は、「所定の圧力で前記複数のアノードに燃料を供給するステップ」の点で一致する。 したがって、両者は、 「パッシブ式反応物供給源を有する燃料電池システムの所定動作の方法であって、前記燃料電池システムは、イオン伝導性電解質によって隔てられた複数のアノードおよび複数のカソードと、前記複数のアノードに流体的に接触している燃料供給源とを備え、前記方法は、 前記複数のカソードを所定温度の外気にさらすステップと、 所定の圧力で前記複数のアノードに燃料を供給するステップと、 を含む、方法。」 の点で一致し、以下の点で一応相違している。 〔相違点1〕 所定動作に関し、本願発明は、デッドエンド動作であるのに対し、引用発明は、この様な特定がされていない点。 〔相違点2〕 複数のアノードに流体的に接触している燃料供給源に関し、本願発明は、デッドエンドである複数のアノードに流体的に接触している閉じた燃料供給源を備えるのに対し、引用発明は、複数のアノードに流体的に接触している燃料供給源を備える点。 〔相違点3〕 複数のカソードを所定温度の外気にさらすステップに関し、本願発明は、摂氏20~35度の温度範囲内の外気にさらすのに対し、引用発明は、この様な特定がされていない点。 〔相違点4〕 所定の圧力で複数のアノードに燃料を供給するステップに関し、本願発明は、外気の圧力よりも5psi大きな圧力で供給するのに対し、引用発明は、この様な特定がされていない点。 6.判断 相違点1、2について 「閉じた燃料供給源」は、明細書【0025】の「閉じた燃料エンクロージャとは、燃料電池への燃料供給がデッドエンド式であることを意味する。」の記載から判断して、燃料電池への燃料供給がデッドエンド式の意味となる。そうすると、相違点1、2に関し、本願発明は、デッドエンドであるが、引用発明は、この様な特定がないこととなる。 引用発明で用いる燃料電池を搭載した電気機器は小型で携帯可能なもの(【0002】-【0005】参照)である。引用発明のようにパッシブ式でなければ燃料供給にポンプ等の補機が必要となり、デッドエンドでなければ燃料排出流路が必要となるから、燃料電池の小型化を図るには、パッシブ式、デッドエンドが適している。また、パッシブ式が小型化に適することは周知の事項(特開2005-272781号公報【0104】参照)であり、デッドエンドが小型化に適することは周知の事項(特表2005-528739号公報【0003】参照)であり、デッドエンドが注目されていることも周知の事項(引用例3【0008】参照)である。 そうすると、引用発明のパッシブ式反応物供給源を有する燃料電池システムの動作の方法おいて、燃料電池システムの小型化を図る際に、パッシブ式に加えてデッドエンドも採用することは当業者が適宜なし得ることと認められる。 相違点3について 「4.c」には、酸素電極が大気に解放される旨記載があり、「4.j」には、「空気取り入れ孔204cから空気を取り込んで」とあるから、引用発明の複数のカソードがさらされる外気の温度は大気の温度となる。大気の温度として摂氏20~35度の温度範囲は極一般的な値であるから、当該温度を摂氏20~35度の温度範囲内とすることは当業者が適宜なし得ることと認められる。 なお、請求人は、平成30年10月3日付意見書で、「よって、そのような引用例2~5をどのように参照してみたところで、「複数のカソードを“摂氏20~35度の温度範囲内”の外気にさらす」という技術的特徴を有する本願の請求項1に係る発明を容易に想到し得るものではありません。」主張するが、上述のように、大気の温度として摂氏20~35度の温度範囲は極一般的な値であるから、大気を取り入れる引用発明1において、当該温度を摂氏20~35度の温度範囲内とすることは当業者が適宜なし得ることであり、請求人の上記主張は採用できない。 相違点4について 引用例2には、デッドエンド式燃料電池においてパージングを不要とするために、燃料供給圧力が酸化剤供給圧力よりも常に少なくとも5psig大きくすることが記載されているから、引用発明の燃料電池システムにおいてデッドエンドを採用した際、パージングを不要として小型化を図るために、アノードに外気の圧力よりも5psi大きな圧力で燃料を供給することは当業者が容易に考えられることと認められる。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 7.むすび したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-007615

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