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特許拒絶査定不服審判

2017-007274

候補セグメンテーション画像を選択するための個別ボタンを備える医用画像装置

審判番号
2017-007274
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-506954外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年05月22日
審決日
2018年02月19日
公報発行日
2018年04月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-506954「候補セグメンテーション画像を選択するための個別ボタンを備える医用画像装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 1日国際公開、WO2012/147006、平成26年 6月26日国内公表、特表2014-514948、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)4月17日(パリ条約による優先権主張 2011年4月28日  欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年2月4日付けで拒絶理由が通知され、同年8月4日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月18日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ、同年5月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年1月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願の請求項1-13に係る発明は、引用文献1-5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特表2008-535614号公報 2.特開2000-010987号公報 3.特開2006-034585号公報 4.特開2001-238873号公報 5.特開2009-291313号公報 第3 本願発明 本願請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成29年5月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は当審にて分説し、以下のとおりA)-G)の見出しを付した。 「【請求項1】 A)画像収集装置と、 画像セグメンテーション装置と、 可視化装置と、 個別選択ボタンと を有する医用画像装置であって、 B)前記画像収集装置が患者の体内の関心領域の画像を収集し、 C)前記画像セグメンテーション装置が画像セグメンテーション技術を用いて収集画像内の解剖学的構造若しくは装置構造を自動的に識別し、 D)前記画像セグメンテーション装置がさらに、異なって識別された解剖学的構造若しくは装置構造をあらわす複数の候補画像を提供し、 E)前記可視化装置が前記複数の候補画像をディスプレイ上に可視化し、 F)前記医用画像装置は、前記選択ボタンが押下されると前記複数の候補画像から一つの候補画像を選択するように構成され、 G)前記選択ボタンは、コンピュータ装置にデータを入力するための他の入力装置に加えて設けられ及び前記入力装置から空間的に離れて設けられ、前記コンピュータ装置に接続されており、前記選択ボタンは、その位置が前記ディスプレイ及び前記入力装置から空間的に離れていて、患者台のところに又は患者台の近くに配されるので、インターベンションする医師によって医用インターベンション中に手動で押し操作可能である、医用画像装置。」 本願発明2-13は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献1(特表2008-535614号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様。)。 (引1a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、複数の画像を含む多次元データセットにおいて表面をセグメント化する方法に関する。 ・・・ 【0006】 本発明は、更に、複数の画像を含む多次元データセットにおいて表面をセグメント化するためのユーザインタフェースに関する。 【背景技術】 【0007】 冒頭に記載した方法の実施例は、J.Weese他による刊行物「Shape Constrained Deformable Models for 3D Medical Image Segmentation」(Proc. IPMI 380-387, 2001)から知られている。既知の方法は、特に、セグメント化されることが企図されるオブジェクトの以前の形状情報を使用して、画像セグメンテーション方法のロバストネスを改善するように構成されている。既知の方法において、形状情報は、弾力的に変形可能な表面形状モデルに組み込まれており、画像への適応は、局所的な表面検出から得られる外部エネルギー及び内部エネルギーによって支配され、これは、変形可能な表面が、形状モデルによって規定されるサブスペースの近傍にとどまるように制約する。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 既知の方法の不利益は、その信頼性が、動きうる身体の動きを記述するように構成される弾力性のある制約の精度に大きく依存することである。実際に、イメージングアーチファクト又は不完全な特徴抽出のため、画像から抽出される特徴のうちのいくつかは、事実、オブジェクトに属さず、又はオブジェクトの形状が、形状モデルによって与えられる変形レンジから局所的なずれを有することがある。従って、このような「アウトライア」の抽出される特徴が存在する場合、セグメンテーションの結果は不正確になることがある。 【0009】 本発明の目的は、画像セグメンテーション方法の精度を改善することである。」 (引1b)「【0025】 図1は、本発明による方法の実施例の概略図を示している。本発明による方法1は、複数の画像を含む多次元データセットにおいて表面をセグメント化するように構成されている。好適には、画像は、準備ステップ2において、適切なデータ取得ユニットを使用して取得される。データ処理ステップ及びデータ取得ステップは、時間的に又は地理的に離されることが可能であり、それによりステップ4において、適切なデータセグメンテーションステップ6の結果がアクセスされることが可能であり、前記結果は、本発明の方法を使用して表面をセグメント化するためにのちに使用される画像の部分を含む。 ・・・ 【0028】 本発明によるシステム30は、セグメント化された表面と元のデータ、特に診断画像との適切な重ね合わせのレンダリングを生成するように構成される重ね合わせコーダ37を更に有する。好適には、計算された重ね合わせは、ファイル37aに記憶される。好適には、重ね合わせコーダ37、計算ユニット35及びプロセッサ34は、好適にはメモリ38に記憶されるコンピュータプログラム33によって動作可能である。出力部39は、セグメント化された表面の適切なレンダリングを重ね合わせた心臓の解剖学的構造を表す重ね合わせられた画像データのような、処理の結果を出力するように使用される。」 (引1c)「【0029】 図3は、本発明による装置の他の実施例の概略図を示している。システム40は、例えば時間的に間隔のあいた複数の心臓画像を含む多次元データセットにおいて表面をセグメント化するように構成される。好適には、システム40は、特に多次元データセットを取得するための磁気共鳴撮影装置、トモグラフィユニット、超音波装置又はX線ユニットのようなデータ取得装置41を有する。通常、データは、適切にコード化された信号Sによって、データ取得装置41からプロセッサ42に転送されることが企図される。図2を参照して説明したように、プロセッサは、適切なデータセグメンテーションを実施し、その出力部において、さまざまな可能なデータが生成されうる。例えば、データ42aは、第1の選択性ファクタに基づく第1の潜在的な表面のセグメンテーションを含み、データ42bは、第2の選択性ファクタに基づく第2の潜在的な表面のセグメンテーションを提供する、等が可能である。好適には、プロセッサ42は、ワークステーション44aに組み込まれる。」 (引1d)「【0033】 図5は、本発明によるユーザインタフェースの実施例を図式的に示している。本発明によるユーザインタフェース70の実施例は、英数字情報及び画像情報が投影されることが可能なグラフィックインタフェース74を含む。このために、グラフィックインタフェース74は、78a、78bのような作動可能なボタンを有するインタラクティブウィンドウ78を含む。オペレータが、「表示」ボタン78aを始動すると、適切な複数の画像74a、74bが、グラフィックスクリーン74の画像スクリーン内に投影されることができる。この例において、2つの画像が表示されており、これらの画像は、セグメント化された表面77b、79bが重ねられた診断情報77a、79aを含んでいる。本実施例において、セグメント化された表面は、異なる選択性ファクタに関して捨てられた異なる割合の特徴に対応する。代替例として、各々の画像74a又は74bは、予め計算されたセグメンテーションを通じたムービールーピングを含むことができ、それによって、ユーザは、予め計算されたセグメンテーションのうちの1つを承認することができ、又は手動で選択性ファクタを変更することができる。後者の場合、新しいセグメンテーションの結果が、それに応じてスクリーン72に投影される。」 (引1e)図5は、以下のようなものである。 (2)引用文献1の記載から把握される事項 ア 【0033】段落及び図5に記載された「本発明によるユーザインタフェースの実施例」が設けられるシステムは、「セグメント化された表面の適切なレンダリングを重ね合わせた心臓の解剖学的構造を表す重ね合わせられた画像データ」を出力するシステム30(【0028】段落)や、「複数の心臓画像を含む多次元データセットにおいて表面をセグメント化するように構成」されたシステム40(【0029】段落)のような、心臓に関する画像を処理するシステムであることは、明らかである。 イ 上記アから、【0033】段落及び図5に記載された「ユーザインタフェース」を備えるシステムが、「適切なデータ取得ユニット」(【0025】段落)や、「多次元データセットを取得するための磁気共鳴撮影装置、トモグラフィユニット、超音波装置又はX線ユニットのようなデータ取得装置41」(【0029】段落)のようなデータ取得装置を備えていることは明らかである。 ウ 【0033】段落及び図5に記載された「ユーザインタフェース」を備えるシステムが、「セグメンテーション」を「予め計算」するための画像処理装置を備えていることは明らかである。 エ 【0033】段落及び図5に記載された「本発明によるユーザインタフェースの実施例」が設けられるシステムが、例えば、データ取得装置の撮影パラメータを入力するキーボード等の「コンピュータ装置にデータを入力するための他の入力装置」を備えていることは明らかであり、【0033】段落及び図5に示された「ユーザインタフェース」が当該「他の入力装置」から空間的に離れて設けられていることも明らかである。 オ 【0033】段落における「予め計算されたセグメンテーションのうちの1つを承認する」ことは、「インタラクティブウィンドウ78」の「78a、78bのような作動可能なボタン」の操作によって行なわれることは明らかである。 (3)引用文献1に記載された発明 上記(引1d)及び上記(2)における下線部の事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 なお、引用発明の認定の根拠となった対応する段落番号等を付記した。 「a-1)英数字情報及び画像情報が投影されることが可能なグラフィックインタフェース74を含むユーザインタフェース70であって、グラフィックインタフェース74は、78a、78bのような作動可能なボタンを有するインタラクティブウィンドウ78を含む、ユーザインタフェース70と(【0033】)、 a-2)データ取得装置と(上記(2)イ)、 a-3)セグメンテーションを予め計算するための画像処理装置とを備える(上記(2)ウ)、 a-4)心臓に関する画像を処理するシステムであって(上記(2)ア)、 b)オペレータが、「表示」ボタン78aを始動すると、適切な複数の画像74a、74bが、グラフィックスクリーン74の画像スクリーン内に投影されることができ(【0033】)、 c)各々の画像74a又は74bは、予め計算されたセグメンテーションを通じたムービールーピングを含むことができ、それによって、ユーザは、予め計算されたセグメンテーションのうちの1つを承認することができ(【0033】)、 d)ここで、予め計算されたセグメンテーションのうちの1つを承認することは、インタラクティブウィンドウ78の78a、78bのような作動可能なボタンの操作によって行なわれ(上記(2)オ)、 e)ユーザインタフェース70は、コンピュータ装置にデータを入力するための他の入力装置から空間的に離れて設けられている(上記(2)エ) f)システム。」 2 引用文献2について 原査定で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献2(特開2000-010987号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (引2a)「【0004】X線写真フィルム技術は従来より、X線撮影室以外に、手術中やICUにおいても利用されてきた。このような場所においては、ポータブルX線発生装置とカセットに入れられたX線フィルムによって撮影を行うのであるが、複数枚の撮影を行った直後に、X線技師は現像室に行き、現像されたフィルムは直ちに手術室やICUに戻されて、現場医師により読影が行われる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】然しながら、上述のような、手術室やICUでのX線デジタル撮影装置の利用においては、画像は直ちに表示されるが、撮影枚数が複数枚となると、その表示には複数のディスプレイが必要となってくる。而して、画像表示部を代表するブラウン管モニタの高精細なものは場所もとり、高価である。従って、一台の高精細ブラウン管モニタで迅速に複数画像を選択して表示することが、解決すべき課題として挙げられる。 【0006】本発明は、上述の点に着目して成されたもので、複数のデジタルX線画像を簡便な操作で指示、表示する医用画像選択システムを提供することを目的とする。」 (引2b)「【0014】図1は本実施例の実施の一形態を示しており、移動式X線発生装置は、X線管球1、及びそれを制御するX線制御部2、曝射ボタン3、曝射ボタン信号及びキーボード経由でユーザの設定を入力するユーザI/F部4、デジタルX線画像収集装置5とのインターフェースとして、デジタルX線画像収集装置5の制御用I/F6、画像受信用I/F7、電源供給用I/F8、また、収集した画像を保存するハードディスク9、収集した画像に対して画像処理を施す画像処理部10、収集した画像を表示する画像表示制御部11及び画像表示部12、表示する画像の選択を行うためのインターフェースである画像表示制御I/F13、外部装置へ画像転送するネットワークI/F14、そして全体を管理する制御管理部15を具備している。また、図には示していないが、移動式X線発生装置の重量が重い場合は、移動するための駆動装置が備えられることもある。更に、この移動式X線発生装置を動作させるための電源取り込み部が存在する。 【0015】なお、他の符号について、16は被写体、17は指示手段としてのフットスイッチである(以下フットスイッチと称す)。 ・・・ 【0020】本実施例では、画像は、撮影されると直ちに画像処理が施され、縮小画像が制御管理部15内の主記憶上に保持される。一方、画像処理後の画像はハードディスク9へ貯えられる。 【0021】図4に示す様に、撮影された縮小画像をモニタ画面の下側に並べて一覧表示してある。 【0022】図4について説明する。モニタ画面の下側に一覧表示されている縮小画像は、絶えず右から左に移動している。マーキングの位置は常に中央に存在していて、画像を他と異なる態様で表示することを行っている。従って、一覧表示される縮小画像は、中央に位置するマーキングエリアの左右に均等に広がる様になっている。この為、画像が右から左に1つ移動する際、一番左側に在った画像は、消去されて最も右に表示される。全ての画像は常にディスプレイ上に、移動しながら表示される。移動間隔は通常、1秒から5秒程度である。また、縮小画像は余り小さくなり過ぎると、操作者が良く見えなくなるので、画面上には一定の枚数しか表示できないように設定されている。この実施例では5枚であるが、この枚数は用いるディスプレイの解像力によって変更可能である。従って、撮影枚数が多くなり、5枚を超えた場合は、いくつかの枚数の画像は表示されない。」 (引2c)「【0026】操作者からの指示手段の指示により、縮小画像一覧の画像の移動速度を制御したり、選択したりすることが可能であり、本実施例では、図1に示すようにフットスイッチ17で、その操作を行う。 【0027】フットスイッチ17の操作モードには、比例モードと反比例モードがあり、比例モードであれば、操作者はフットスイッチ17を押していなければ画像移動は行われず停止していて、フットスイッチ17を押し、そのストロークの加減により、押し込む程画像移動は速くなり、フットスイッチ17を戻していくと画像移動は遅くなり、フットスイッチ17を放すと画像が選択されることになる。 【0028】反比例モードは、フットスイッチ17が押し込みが少ない程、画像移動は速く、フットスイッチ17を押し込む程画像移動が遅くなり、フットスイッチ17を戻していくと画像移動が速くなる。また、フットスイッチ17を在る程度の押し込みから急に放すと、画像が選択されることになる。」 (引2d)「【0032】なおまた、ステップS1で押し込み量が正から0(ゼロ)への移動と判断され、ステップS7でフットスイッチオプションが比例モードの場合、ステップS8へ進み、画像が選択確定されて、選択画像表示エリアに画像がハードディスク9から読み込まれて表示される。また、ステップS7でフットスイッチオプションが反比例モードの場合で、ステップS9へ進み、その移動量が既定値以上の時は、ステップS8へ進み、画像を選択したと見做して画像が確定され、選択画像表示エリアに、画像がハードディスク9から読み込まれて表示される。」 (引2e)「【0034】以上説明した様に、操作者、主に外科やICUでの医師が両手がふさがっている場合でも片足のみで操作が出来る為、非常に有効である。」 (引2f)図1は、以下のようなものである。 図1から、フットスイッチ17は、ユーザI/F部4及び画像表示部12から離れた位置に設けられていることが読み取れる。 (引2g)図4は、以下のようなものである。 3 引用文献3について 原査定で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献3(特開2006-034585号公報)には、その【0006】段落に記載されているとおりの「類似度が演算された参照画像に関連付けられた所見を参照して、参照画像の病名毎にその確率を演算した後、演算された確率順に、参照画像、病名及びその確率を表示するようにする」という技術的事項が記載されている。 4 引用文献4について 原査定で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献4(特開2001-238873号公報)には、その【0030】、【0034】、【0036】-【0037】段落及び図1の記載からみて、「画像監視用モニタ8及び画像処理装置6にデータを入力するための入力装置から空間的に離して配置され、画像処理装置6に接続され、寝台2の側面部分や近傍に配置される、画像操作用スイッチ19を含むテーブルサイド操作器7におけるボタンの配置について、冠動脈拡張術や冠動脈塞栓術などのIVRにおいて、テーブルサイド操作器に搭載された機能の使用頻度を統計的に求め、術者が使いやすいようにボタンを配置する」という技術的事項が記載されている。 5 引用文献5について 原査定で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献5(特開2009-291313号公報)には、その【0020】-【0021】段落の記載からみて、「血管造影画像の中から選択された参照画像と、参照画像と同位相の透視画像とをモニタ上に重ね合わせて表示する」という技術的事項が記載されている。 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア A)について (ア)引用発明のa-4)における「心臓に関する画像」は、「医用画像」であるといえるから、引用発明のa-4)「心臓に関する画像を処理するシステム」は、本願発明1のA)における「医用画像装置」に相当する。 (イ)引用発明のa-2)「データ取得装置」は、画像データを取得するものであることは明らかであるから、本願発明1のA)における「画像収集装置」に相当する。 (ウ)引用発明のa-3)「セグメンテーションを予め計算するための画像処理装置」は、本願発明1のA)における「画像セグメンテーション装置」に相当する。 (エ)引用発明のa-1)における「画像情報が投影されることが可能なグラフィックインタフェース74」は、本願発明1のA)における「可視化装置」に相当する。 (オ)引用発明のa-1)における「78a、78bのような作動可能なボタン」は、本願発明1のA)における「個別選択ボタン」に相当する。 イ B)について 引用発明のa-2)「データ取得装置」は、「患者の体内の関心領域の画像を収集」するものであることは明らかであるから、引用発明のa-2)「データ取得装置」がデータを取得することは、本願発明1のB)「前記画像収集装置が患者の体内の関心領域の画像を収集」することに相当する。 ウ C)について 引用発明のa-3)「画像処理装置」が「セグメンテーションを予め計算する」ことと、本願発明1のC)「前記画像セグメンテーション装置が画像セグメンテーション技術を用いて収集画像内の解剖学的構造若しくは装置構造を自動的に識別」することとは、前記画像セグメンテーション装置が画像セグメンテーション技術を用いて収集画像を自動的にセグメンテーションを計算する点で共通する。 エ D)について 引用発明のc)における「各々の画像74a又は74bは、予め計算されたセグメンテーションを通じたムービールーピングを含む」ことと、本願発明1のD)「前記画像セグメンテーション装置がさらに、異なって識別された解剖学的構造若しくは装置構造をあらわす複数の候補画像を提供」することとは、前記画像セグメンテーション装置がさらに、セグメンテーションの結果を反映した複数の候補画像を提供する点で共通する。 オ E)について 引用発明のb)における「適切な複数の画像74a、74bが、グラフィックスクリーン74の画像スクリーン内に投影されること」は、本願発明1のE)「前記可視化装置が前記複数の候補画像をディスプレイ上に可視化」することに相当する。 カ F)について 引用発明のd)における「予め計算されたセグメンテーションのうちの1つを承認することは、インタラクティブウィンドウ78の78a、78bのような作動可能なボタンの操作によって行なわれ」ることと、本願発明1のF)「前記医用画像装置は、前記選択ボタンが押下されると前記複数の候補画像から一つの候補画像を選択するように構成され」ることとは、前記医用画像装置は、前記選択ボタンの操作によって、前記複数の候補画像から一つの候補画像を選択するように構成されている点で共通する。 キ G)について 引用発明のe)における「ユーザインタフェース70」がコンピュータ装置に接続されていることは明らかであるから、引用発明のe)「ユーザインタフェース70は、コンピュータ装置にデータを入力するための他の入力装置から空間的に離れて設けられている」ことと、本願発明1のG)「前記選択ボタンは、コンピュータ装置にデータを入力するための他の入力装置に加えて設けられ及び前記入力装置から空間的に離れて設けられ、前記コンピュータ装置に接続されており、前記選択ボタンは、その位置が前記ディスプレイ及び前記入力装置から空間的に離れていて、患者台のところに又は患者台の近くに配されるので、インターベンションする医師によって医用インターベンション中に手動で押し操作可能である」こととは、前記選択ボタンは、コンピュータ装置にデータを入力するための他の入力装置に加えて設けられ及び前記入力装置から空間的に離れて設けられ、前記コンピュータ装置に接続されており、前記選択ボタンは、その位置が前記入力装置から空間的に離れている点で共通する。 ク 上記ア-キから、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。 (一致点) 「画像収集装置と、 画像セグメンテーション装置と、 可視化装置と、 個別選択ボタンと を有する医用画像装置であって、 前記画像収集装置が患者の体内の関心領域の画像を収集し、 前記画像セグメンテーション装置が画像セグメンテーション技術を用いて収集画像を自動的にセグメンテーションを計算し、 前記画像セグメンテーション装置がさらに、セグメンテーションの結果を反映した複数の候補画像を提供し、 前記可視化装置が前記複数の候補画像をディスプレイ上に可視化し、 前記医用画像装置は、前記選択ボタンの操作によって、前記複数の候補画像から一つの候補画像を選択するように構成され、 前記選択ボタンは、コンピュータ装置にデータを入力するための他の入力装置に加えて設けられ及び前記入力装置から空間的に離れて設けられ、前記コンピュータ装置に接続されており、前記選択ボタンは、その位置が前記入力装置から空間的に離れている、医用画像装置。」 (相違点) (相違点1)「セグメンテーション装置」について、本願発明1は「収集画像内の解剖学的構造若しくは装置構造を」「識別」し、「異なって識別された解剖学的構造若しくは装置構造をあらわす複数の候補画像を提供」するという構成を備えるのに対し、引用発明がそのような構成を備えるか否かが明らかでない点。 (相違点2)「選択ボタン」の構造について、本願発明1は「押下される」ものであるのに対して、引用発明の「作動可能なボタン」は、「グラフィックインタフェース74」にあって「押下」するものではない点。 (相違点3)「選択ボタン」と「ディスプレイ」との位置関係について、本願発明1の「選択ボタン」は、「その位置が前記ディスプレイ」「から空間的に離れて」いるのに対し、引用発明の「ボタン78a、78b」は「画像情報が投影される」「グラフィックインタフェース74」の「インタラクティブウィンドウ78」にある点。 (相違点4)「患者台」について、本願発明1医用画像装置は、「選択ボタン」が「患者台のところに又は患者台の近くに配される」のに対して、引用発明のシステムは「患者台」を有するのか否かが明らかでない点。 (相違点5)「選択ボタン」の操作タイミングについて、本願発明1は、「インターベンションする医師によって医用インターベンション中に手動で押し操作可能である」のに対して、引用発明のシステムは、そもそもインターベンションする医師によってインターベンション中に操作が可能であるのか否かが明らかでない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、上記相違点3について検討する。 ア 引用文献2との組み合わせについて (ア)引用文献2には、上記第4の2(引2a)-(引2d)、図1の下線部の記載を総合すると、「手術室やICUで利用されるX線デジタル撮影装置において、一台の高精細ブラウン管モニタで迅速に複数画像を選択して表示するために、撮影された縮小画像をモニタ画面の下側に並べて一覧表示し、ユーザI/F部4及びモニタ画面から離れて設けられたフットスイッチ17で縮小画像一覧の画像を選択すると、選択画像表示エリアに選択された画像が表示される」という技術的事項が記載されている。 (イ)引用文献1には、引用発明のシステムが「手術室やICUで利用される」ものであることは、記載されておらず、引用文献2には、セグメンテーションを行なうことは記載されていない。 また、引用文献2記載の技術的事項における「フットスイッチ17」は、「一台の高精細ブラウン管モニタで迅速に複数画像を選択して表示する」ために、複数の縮小画像の中から選択画像表示エリアに表示する1枚を選択するためのものであって、引用発明のように「画像セグメンテーション方法の精度を改善する」ために、異なるパラメータで生成された複数のセグメンテーション画像をユーザに提示してその中からユーザが満足する1枚を承認するためのものではない。 したがって、引用発明と引用文献2記載の技術的事項とは、ともに「複数の画像から1の画像を選択する」スイッチに関するものであったとしても、システムが適用される分野並びに「選択」の目的及び内容に関して関連性は低く、引用発明に対して、引用文献2記載の技術的事項を適用しようとする動機が見出せない。 (ウ)また、引用文献2には、「操作者、主に外科やICUでの医師が両手がふさがっている場合でも片足のみで操作が出来る為、非常に有効である」との記載がある(上記第4の2(引2e)で摘記した【0034】段落)。 しかしながら、引用文献1には、操作者が「ボタン78a、78b」を用いて承認を行なう際に、「両手がふさがっている場合」があることは、記載も示唆もされていない。 したがって、課題と効果の面からみても、引用発明に対して、引用文献2記載の技術的事項を適用しようとする動機が見出せない。 (エ)上記(イ)-(ウ)から、引用発明に対して、引用文献2記載の技術的事項を採用して、引用発明の「ボタン78a、78b」を「グラフィックインタフェース74」から空間的に離して設けることが、当業者に容易に想到できたことであるとはいえない。 イ 引用文献4との組み合わせについて 引用文献4の技術的事項における「画像操作用スイッチ19を含むテーブルサイド操作器7」は、「画像監視用モニタ8及び画像処理装置6にデータを入力するための入力装置」から空間的に離れて配置されている。 しかしながら、引用文献4には、「画像操作用スイッチ19」の具体的な機能や、画像セグメンテーションを行なうことすら特定されておらず、また、引用文献1には、引用発明のシステムがIVRに適用できることの示唆もされていないため、引用発明に対して、引用文献4記載の技術的事項を採用しようとする動機が見出せない。 ウ 引用文献3、5について 引用文献3、5には、何らかのボタンをディスプレイから空間的に離した位置に配置することに関する開示はない。 エ 相違点3についての小括 上記ア-ウから、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到しえたことであるとはいえない。 (3)本願発明1についてのまとめ したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-13について 本願発明2-13も、本願発明1の「前記選択ボタンは、その位置が前記ディスプレイ」「から空間的に離れて」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 平成29年5月22日付け手続補正による補正後の請求項1は、「前記選択ボタンは、その位置が前記ディスプレイ」「から空間的に離れて」いるという事項を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-13は、上記引用発明及び上記引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1-13は、当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-007274

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