特許拒絶査定不服審判
2017-007155
シートリクライニング装置
- 審判番号
- 2017-007155
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-205991
- 請求日
- 2017年05月18日
- 審決日
- 2018年03月27日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シロキ工業株式会社
- 【請求人代理人】三浦 邦夫
- 【請求人代理人】三浦 邦陽
- 審判長/審判官
- 審判長 吉村 尚
- 審判官 黒瀬 雅一
- 審判官 畑井 順一
- 分類
- P18 .121-Z (A47C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-205991「シートリクライニング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日出願公開、特開2014- 57803〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、平成24年9月19日付けの特許出願であって、原審において、平成28年7月28日付けで拒絶理由が通知され、同年9月12日付けで意見書が提出され、平成29年2月9日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達(発送)日 同月21日。)がされ、これに対して、同年5月18日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されて、特許請求の範囲と明細書とを補正する手続補正がなされたものである。
第2.平成29年5月18日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年5月18日に提出された手続補正書による補正を却下する。
[理由]
1.平成29年5月18日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)の内容
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(明細書の段落【0009】について、当該請求項1に係る補正と同趣旨の補正がされたが、他の請求項に係る補正はされていない。下線部は補正個所である。)
「【請求項1】
シートクッション側フレームとシートバック側フレームの一方の部材に固定されるベースプレートと、
他方の部材に固定される、上記ベースプレートと相対回転可能に対向し、該相対回転軸を中心とする内歯を有するラチェットプレートと、
上記ベースプレートに形成された複数の案内溝と、
上記内歯と噛合する外歯を有し、上記複数の案内溝にそれぞれ移動可能に支持された複数のロック部材と、
上記複数のロック部材を上記外歯が内歯と噛み合う噛合位置と内歯から離間する非噛合位置との間で移動させる操作手段と、
を有するシートリクライニング装置において、
複数のロック部材のいずれか一つを、他のロック部材に比して対応する案内溝との上記噛合位置における周方向の遊びが小さい小クリアランスロック部材としたこと、及び
上記小クリアランスロック部材を、シートバックの着座状態において、複数のロック部材のうちでその外歯と内歯の周方向の噛合中心とシートバックトップとの距離が最も小さいロック部材として用いたことを特徴とするシートリクライニング装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
シートクッション側フレームとシートバック側フレームの一方の部材に固定するベースプレートと、
他方の部材に固定する、上記ベースプレートと相対回転可能に対向し、該相対回転軸を中心とする内歯を有するラチェットプレートと、
上記ベースプレートに形成された複数の案内溝と、
上記内歯と噛合する外歯を有し、上記複数の案内溝にそれぞれ移動可能に支持された複数のロック部材と、
上記複数のロック部材を上記外歯が内歯と噛み合う噛合位置と内歯から離間する非噛合位置との間で移動させる操作手段と、
を有するシートリクライニング装置において、
複数のロック部材のいずれか一つを、他のロック部材に比して対応する案内溝との上記噛合位置における周方向の遊びが小さい小クリアランスロック部材としたこと、及び
上記小クリアランスロック部材を、シートバックの着座状態において、複数のロック部材のうちでその外歯と内歯の周方向の噛合中心とシートバックトップとの距離が最も小さいロック部材として用いたことを特徴とするシートリクライニング装置。」
2.本件補正の目的について
特許法第17条の2第5項の規定するところによれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする場合の特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
これを本件補正についてみると、当該補正が請求項の削除を目的とするものでないことは明らかであるし、また、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとも認められない。そして、拒絶理由通知において明りょうでない記載について指摘されたわけではないから、本件補正が明りょうでない記載の釈明を目的とするものとも認められない。
更に、請求項1の文脈からみて、「ベースプレート」と「ラチェットプレート」を、「(シートクッション側フレームとシートバック側フレームの一方または他方の部材に)固定する」対象物を示す目的語であると解することができるが、このような理解は本願の発明の趣旨に合致するものであって、「固定する(ベースプレートまたはラチェットプレート)」という記載が誤記であるとは認め難い。したがって、本件補正が誤記の訂正を目的とするものとも認められない。
してみれば、本件補正は特許法第17条の2第5項各号に掲げられた、いずれの目的とする補正にも該当しない。
3.本件補正の補正却下についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではなく、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3.本願の発明について
1.本願の発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであると認められ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
シートクッション側フレームとシートバック側フレームの一方の部材に固定するベースプレートと、
他方の部材に固定する、上記ベースプレートと相対回転可能に対向し、該相対回転軸を中心とする内歯を有するラチェットプレートと、
上記ベースプレートに形成された複数の案内溝と、
上記内歯と噛合する外歯を有し、上記複数の案内溝にそれぞれ移動可能に支持された複数のロック部材と、
上記複数のロック部材を上記外歯が内歯と噛み合う噛合位置と内歯から離間する非噛合位置との間で移動させる操作手段と、
を有するシートリクライニング装置において、
複数のロック部材のいずれか一つを、他のロック部材に比して対応する案内溝との上記噛合位置における周方向の遊びが小さい小クリアランスロック部材としたこと、及び
上記小クリアランスロック部材を、シートバックの着座状態において、複数のロック部材のうちでその外歯と内歯の周方向の噛合中心とシートバックトップとの距離が最も小さいロック部材として用いたことを特徴とするシートリクライニング装置。」(以下「本願発明」という。)
2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、新規性に係る理由1及び進歩性に係る理由2によって本願を拒絶すべきとするものであるが、そのうち理由2の概要は、本願の請求項1ないし3に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献:特開2002-101999号公報
3.引用文献の記載事項と引用発明
原査定に係る拒絶理由において引用文献とされた、本願の出願前である平成14年4月9日に頒布された刊行物である特開2002-101999号公報(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。)
ア.「【0016】この発明に係る車両用シートリクライニング装置Eは、円板状の機枠10に形成した円形凹部14の内面側を覆うと共に、機枠10の内周面に沿って回動する蓋体60を有し、常時は機枠10内にガイド11を介して配置した複数個、例えば3個のロックギヤ20と蓋体60の内周面に形成した内歯ギヤ61との噛合によって、機枠10と蓋体60との相互回動が阻止され、機枠10と蓋体60に遊嵌して設けられた操作軸30を回転させることにより操作軸30と一体化されたカム状板40及びこのカム状板40によって駆動されるロック解除プレート50を介してロックギヤ20を中心方向に引き寄せてロックを解除し、機枠10と蓋体60との相互回動を自由化するように構成したロック機構100を備えている。
【0017】また、機枠10の外側面にシートクッション150側に取り付けられるベースプレート110を、蓋体60の外側面にシートバック160側に取り付けられるアームプレート120をそれぞれ取り付け、さらにアームプレート120をフロント(F)方向に付勢するうず巻スプリング130を取り付けて構成されている。」
イ.「【0018】そして、3個のロックギヤ20のうちの1つのロックギヤ23を径方向に分割すると共にこの分割面に向って傾斜する略谷形状のカム面23cを形成し、さらに、この略谷形状のカム面23cとカム状板40との間に楔部材80を配置して構成され、カム状板40を回動して各ロックギヤ20を外方側に向って作動させた際、分割されたロックギヤ23の略谷形状のカム面23cに楔部材80が圧接され、このロックギヤ23が径方向外方に移動して蓋体60の内歯ギヤ61と噛合すると共に、左右に拡開してロックギヤ23の左右の側面がガイド11の両側面にそれぞれ圧接することにより、蓋体60の周方向のガタを阻止するようにしてある。」
ウ.「【0020】車両用シートリクライニング装置Eは、機枠10と、蓋体60と、ロックギヤ20と、操作軸30と、カム状板40と、ロックスプリング70と、ロック解除プレート50と、楔部材80とから構成されたロック機構100を備えて・・・いる。」
エ.「【0021】機枠10は円板状に形成されており、その外側面にシートクッション150側に取り付けられるベースプレート110が固定されている。また、機枠10の外周面側には、同心状に円形凹部14が形成されている。
【0022】蓋体60は、円板状に形成されており、機枠10の円形凹部14の内面側を覆うと共に、機枠10の円形凹部14の内周面に沿って回動可能な外周面を有するように機枠10に取り付けられている。また、蓋体60の外周面側に形成した円形凹部の内周面には、ロックギヤ20に噛合可能な内歯ギヤ61が形成されている。」
オ.「【0024】ロックギヤ20は、本実施例においては、機枠10の内面側に120度の間隔をもって放射状に配設された略矩形状の3個のロックギヤ21,22,23からなっている。
【0025】ロックギヤ21,22は同一形状で形成されており、機枠10の内側に形成されたガイド11の内側面に少許の間隙をもって径方向に作動するようにそれぞれ挿入されている。
【0026】ロックギヤ21,22の外周面には、蓋体60の内歯ギヤ61と同じ半径を有する円弧状部に外歯ギヤ21a,22aがそれぞれ形成されており、機枠10側の側面にロック解除プレート50の後記カム溝51に係合する略楕円状の作動突起21b,22bがそれぞれ突設されている。さらに、ロックギヤ21,22の外歯ギヤ21a,22aの反対側の外周面には、カム状板40の後記カム面41と係合可能なカム面21c,22cがそれぞれ形成されている。」
カ.「【0027】ロックギヤ23は、径方向に2分割された左右対称のロックギヤ23A,23Bからなり、ガイド11の内側面に少許の間隙をもって径方向に摺動することができるように、その分割面には、内方に向って開くように僅かに傾斜するテーパー面23dがそれぞれ形成されている。
【0028】ロックギヤ23A,23Bの外周面には、蓋体60の内歯ギヤ61と同じ半径を有する円弧状の外歯ギヤ23aがそれぞれ形成されており、機枠10側の側面には、ロック解除プレート50のカム溝51に係合する作動突起23bがそれぞれ突設されている。このロックギヤ23A,23Bの作動突起23bを重ねたものが、前記ロックギヤ21,22の作動突起21b,22bと同じ略楕円状となるように形成されている。
【0029】さらに、ロックギヤ23A,23Bの外歯ギヤ23aの反対側の外周面は、それぞれ外周側に向って突出する略山形状に形成され、これによりテーパー面23d側に傾斜する略谷形状のカム面23cが形成されている。」
キ.「【0030】操作軸30は、機枠10及び蓋体60の中心部にそれぞれ形成された貫通孔12,62に遊嵌されており、ベースプレート110及びアームプレート120にそれぞれ形成された支持孔112,122に遊嵌して挿入されている。これによって、操作軸30はロックギヤ20の作動方向に移動することができ、操作軸30と一体化されたカム状板40と各ロックギヤ20とのロック位置のばらつきを吸収して接合不良、すなわちロツク時における半噛み状態を阻止することができる。
【0031】また、操作軸30のベースプレート110側の外方に突出した部分には、操作レバー31が取り付けられており、アームプレート120側の外方に突出した部分には、両側ロック連結用のスプライン32が形成されている。・・・」
ク.「【0045】上記のように構成された車両用シートリクライニング装置Eにおいては、図1に示すように、ロック機構100がロックされているときは、ロックギヤ21,22のカム面21c,22cがカム状板40のカム面41a,41bによりそれぞれ押圧され、外歯ギヤ21a,22aが蓋体60の内歯ギヤ61にそれぞれ噛合していると共に、ロックギヤ21,22の作動突起21b,22bがロック解除プレート50のカム溝51の遊嵌溝51aに遊嵌している。
【0046】また、分割されたロックギヤ23A,23Bの略谷形状のカム面23cが楔部材80を介してカム状板40のカム面41cにより押圧され、その外歯ギヤ23aが内歯ギヤ61に噛合していると共に、ロックギヤ23A,23Bの作動突起23bがロック解除プレート50のカム溝51の遊嵌溝51aに遊嵌している。
【0047】このロックギヤ23A,23Bの噛合時に、略谷形状のカム面23cが楔部材80により圧接されロックギヤ23A,23Bが左右に拡開してガイド11の内側面にそれぞれ圧接している。
【0048】これによって、ロック時におけるロックギヤ23のガタを阻止し、蓋体60、すなわちシートバック160の周方向のガタを阻止することができる。」
ケ.図1、2では、分割されたロックギヤ23及び楔部材80が、操作軸30のほぼ直上であって、他のロックギヤ21、22よりも上方に位置するように設けられることが示されている。
上記の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「機枠10と、蓋体60と、ロックギヤ20と、操作軸30と、カム状板40と、ロックスプリング70と、ロック解除プレート50と、楔部材80とから構成されたロック機構100を備えた車両用シートリクライニング装置Eであって、
機枠10は円板状に形成されており、機枠10の外周面側には、同心状に円形凹部14が形成されていて、
蓋体60は、円板状に形成されており、円板状の機枠10に形成した円形凹部14の内面側を覆うと共に、機枠10の円形凹部14の内周面に沿って回動することができ、蓋体60の外周面側に形成した円形凹部の内周面には、ロックギヤ20に噛合可能な内歯ギヤ61が形成されており、
機枠10の外側面にはシートクッション150側に取り付けられるベースプレート110が、蓋体60の外側面にはシートバック160側に取り付けられるアームプレート120がそれぞれ取り付けられていて、
ロック機構100は、常時は機枠10内にガイド11を介して配置した3個のロックギヤ20に形成した外歯ギヤ21a、22a、23aと蓋体60の内周面に形成した内歯ギヤ61との噛合によって、機枠10と蓋体60との相互回動が阻止され、機枠10及び蓋体60の中心部にそれぞれ形成された貫通孔12、62に遊嵌して設けられ、操作レバー31が取り付けられた操作軸30を回転させることによりロックギヤ20を中心方向に引き寄せてロックを解除し、機枠10と蓋体60との相互回動を自由化するように構成され、
ロックギヤ20は3個のロックギヤ21、22、23からなっていて、ロックギヤ21、22、23は同一形状で形成されており、機枠10の内側に形成されたガイド11の内側面に少許の間隙をもって径方向に作動するようにそれぞれ挿入され、ロックギヤ21、22の外周面には、蓋体60の内歯ギヤ61と同じ半径を有する円弧状部に外歯ギヤ21a、22aがそれぞれ形成されており、
3個のロックギヤ20のうちの1つのロックギヤ23は径方向に2分割された左右対称のロックギヤ23A,23Bからなっており、ガイド11の内側面に少許の間隙をもって径方向に摺動することができるように、その分割面には、内方に向って開くように僅かに傾斜するテーパー面23dがそれぞれ形成されていて、ロックギヤ23A,23Bの外周面には、蓋体60の内歯ギヤ61と同じ半径を有する円弧状の外歯ギヤ23aがそれぞれ形成されており、ロックギヤ23A,23Bの外歯ギヤ23aの反対側の外周面は、それぞれ外周側に向って突出する略山形状に形成され、これによりテーパー面23d側に傾斜する略谷形状のカム面23cが形成され、さらに、この略谷形状のカム面23cとカム状板40との間に楔部材80を配置して各ロックギヤ20を外方側に向って作動させた際、分割されたロックギヤ23の略谷形状のカム面23cに楔部材80が圧接され、このロックギヤ23が径方向外方に移動して蓋体60の内歯ギヤ61と噛合すると共に、左右に拡開してロックギヤ23の左右の側面がガイド11の両側面にそれぞれ圧接することにより、蓋体60の周方向のガタ、すなわちシートバック160の周方向のガタを阻止することができる
車両用シートリクライニング装置E。」
4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
後者における「車両用シートリクライニング装置E」は、その構成や形状と機能等からみて、前者における「シートリクライニング装置」に相当し、以下同様に、「機枠10」は「ベースプレート」に、「蓋体60」は「ラチェットプレート」に、「ロックギヤ21,22,23」は「複数のロック部材」に、「ガイド11の内側面」は「案内溝」に、「内歯ギヤ61」は「内歯」に、「外歯ギヤ21a、22a、23a」は「外歯」に、「操作レバー31が取り付けられた操作軸30」は「操作手段」に、それぞれ相当する。
そして、後者の「ベースプレート110」はシートクッション150側に取り付けられ、「アームプレート120」はシートバック160側に取り付けられているから、後者は、機枠10(ベースプレート)をシートクッション側フレームに固定し、蓋体60(ラチェットプレート)をシートバック側フレームに固定しているといえる。
また、後者において、機枠10に「同心状に円形凹部14が形成され」、蓋体60は、「円板状の機枠10に形成した円形凹部14の内面側を覆うと共に、機枠10の内周面に沿って回動することができ、蓋体60の外周面側に形成した円形凹部の内周面には、ロックギヤ20に噛合可能な内歯ギヤ61が形成されており、」「蓋体60の内歯ギヤ61と同じ半径を有する」外歯ギヤ21a,22a、23aとしているところから、後者の「蓋体60」は前者の「ラチェットプレート」と同様に、機枠10(ベースプレート)と相対回転可能に対向し、該相対回転軸を中心とする内歯ギヤ61(内歯)を有するものといえる。
更に、後者において「機枠10内にガイド11を介して配置した3個のロックギヤ20に形成した外歯ギヤ21a、22a、23a」、ロックギヤ21、22、23は「機枠10の内側に形成されたガイド11の内側面」にそれぞれ挿入されるとしているところから、後者の「ロックギヤ21、22,23」は前者の「複数のロック部材」と同様に、内歯ギヤ61(内歯)と噛合する外歯ギヤ21a、22a、23a(外歯)を有し、機枠10(ベースプレート)に形成された複数のガイド11の内側面(案内溝)にそれぞれ移動可能に支持されているといえる。また、後者で「機枠10内にガイド11を介して配置した3個のロックギヤ20に形成した外歯ギヤ21a、22a、23aと蓋体60の内周面に形成した内歯ギヤ61との噛合によって、機枠10と蓋体60との相互回動が阻止され」、「ロックギヤ20を中心方向に引き寄せてロックを解除し、機枠10と蓋体60との相互回動を自由化する」としているのは、前者で「上記複数のロック部材を上記外歯が内歯と噛み合う噛合位置と内歯から離間する非噛合位置との間で移動させる」ことといえる。
そして、後者において「ロックギヤ20は3個のロックギヤ21、22、23からなっていて、ロックギヤ21,22は・・・機枠10の内側に形成されたガイド11の内側面に少許の間隙をもって径方向に作動」し、「3個のロックギヤ20のうちの1つのロックギヤ23は径方向に2分割された左右対称のロックギヤ23A,23Bからなっており、・・・楔部材80を配置して各ロックギヤ20を外方側に向って作動させた際、分割されたロックギヤ23の略谷形状のカム面23cに楔部材80が圧接され、このロックギヤ23が径方向外方に移動して蓋体60の内歯ギヤ61と噛合すると共に、左右に拡開してロックギヤ23の左右の側面がガイド11の両側面にそれぞれ圧接する」としているのは、前者において「複数のロック部材のいずれか一つを、他のロック部材に比して対応する案内溝との上記噛合位置における周方向の遊びが小さい小クリアランスロック部材とした」ことといえ、後者の「ロックギヤ23及び楔部材80」は前者の「小クリアランスロック部材」に相当するものといえる。
したがって、両者は、
「シートクッション側フレームとシートバック側フレームの一方の部材に固定するベースプレートと、
他方の部材に固定する、上記ベースプレートと相対回転可能に対向し、該相対回転軸を中心とする内歯を有するラチェットプレートと、
上記ベースプレートに形成された複数の案内溝と、
上記内歯と噛合する外歯を有し、上記複数の案内溝にそれぞれ移動可能に支持された複数のロック部材と、
上記複数のロック部材を上記外歯が内歯と噛み合う噛合位置と内歯から離間する非噛合位置との間で移動させる操作手段と、
を有するシートリクライニング装置において、
複数のロック部材のいずれか一つを、他のロック部材に比して対応する案内溝との上記噛合位置における周方向の遊びが小さい小クリアランスロック部材とした
シートリクライニング装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
本願発明では「小クリアランスロック部材を、シートバックの着座状態において、複数のロック部材のうちでその外歯と内歯の周方向の噛合中心とシートバックトップとの距離が最も小さいロック部材として用いた」というのに対し、引用発明では、ロックギヤ23及び楔部材80(小クリアランスロック部材)とシートバックトップとの位置関係が明確ではない点。
5.判断
上記の相違点について検討する。
上記「3.ケ」のとおり、引用例の図1、2には、ロックギヤ23及び楔部材80(小クリアランスロック部材)が、操作軸30のほぼ直上であって、他のロックギヤ21、22(他のロック部材)よりも上方に位置するように設けられることが示されている。これをみた当業者は、特段の事情がなければ、引用発明を実施するに際してロックギヤ23及び楔部材80を上記の図1、2に示されている位置関係で配置すると考えられ、そのようにした場合、引用発明は、上記相違点で指摘した本願発明に係る発明特定事項と同様の構成となる。そして、引用発明に関して上記の特段の事情といえるようなものはみあたらない。
また、引用発明は「シートバック160の周方向のガタを阻止」しようとするものであるが、シートバックのガタの振幅はシートバックの回転中心近傍では小さく、シートバックトップで最大となることは明らかである。そして、シートバックのガタを阻止するためには、当該阻止するための部材であるロックギヤ23及び楔部材80を、当該振幅が最大となるシートバックトップにできるだけ近い位置、即ち、外歯ギヤと内歯ギヤの周方向の噛合中心とシートバックトップとの距離が最も小さい位置に配置するのが有効であることは、当業者であれば容易に想到しうる程度の事項である。
以上を踏まえれば、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得る程度の事項といえる。
よって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
[付記]
上記のとおり、本審決では平成29年5月18日付けの手続補正を却下して、当該補正前の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載された請求項1に係る発明を本願の発明と認定して上記の判断をした。しかし、仮に上記の手続補正を却下することなく、当該補正された請求項1に係る発明を本願の発明と認定したとしても、補正の前後で発明の内容に実質的な変化があるわけではないから、上記判断の結果が左右されることはない。
6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-007155