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特許拒絶査定不服審判

2017-006141

合成繊維ロープの非破壊試験法および該方法における使用に好適なロープ

審判番号
2017-006141
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-529062外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年04月27日
審決日
2018年05月08日
公報発行日
2018年11月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01N) / P18 .536-Z (G01N) / P18 .537-Z (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-529062「合成繊維ロープの非破壊試験法および該方法における使用に好適なロープ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月13日国際公開、WO2014/037350、平成27年11月12日国内公表、特表2015-532716〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)9月3日(パリ条約による優先権主張 2012年9月4日  欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年5月16日付けで拒絶理由が通知され、同年8月16日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月5日付けで拒絶査定されたところ、同年4月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年4月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年4月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 使用中のロープをX線、テラヘルツ、永久磁場または電磁解析に供してパターンを決定し、解析の結果を解析により決定される標準パターンと比較し、比較の結果をロープが使用に適するかどうかを決定するのに使用する合成繊維ロープの非破壊試験法であって、ロープが少なくとも2つのタイプの繊維からなり、第1の繊維タイプは第2の繊維タイプの密度とは異なる密度を有し、かつ第2の繊維タイプは第1の繊維タイプと同じ高分子材料のものであるが、高密度または低密度材料を備え、該高密度材料または低密度材料が第1の繊維タイプに接着されていて、該低密度材料は第1の繊維タイプよりも低い密度を有する材料からなり、且つ該高密度材料は第1の繊維タイプよりも高い密度を有する材料からなる非破壊試験法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成28年8月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 使用中のロープをX線、テラヘルツ、永久磁場または電磁解析に供してパターンを決定し、解析の結果を解析により決定される標準パターンと比較し、比較の結果をロープが使用に適するかどうかを決定するのに使用する合成繊維ロープの非破壊試験法であって、ロープが少なくとも2つのタイプの繊維からなり、第1の繊維タイプは第2の繊維タイプの密度とは異なる密度を有し、かつ第2の繊維タイプは第1の繊維タイプと同じ高分子材料のものであるが、高密度または低密度材料を備える非破壊試験法。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1の繊維タイプ」、「高密度材料」及び「低密度材料」について、「該高密度材料または低密度材料が第1の繊維タイプに接着されていて、該低密度材料は第1の繊維タイプよりも低い密度を有する材料からなり、且つ該高密度材料は第1の繊維タイプよりも高い密度を有する材料からなる」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)特許法36条関係についての判断 ア 明確性について 上記本件補正により、請求項1に「該高密度材料または低密度材料が第1の繊維タイプに接着されていて、該低密度材料は第1の繊維タイプよりも低い密度を有する材料からなり、且つ該高密度材料は第1の繊維タイプよりも高い密度を有する材料からなる」(下線は当審において付与した。)との事項が付加されが、「該高密度材料または低密度材料」を、「第1の繊維タイプ」に、「接着」することとはどういうことなのか、「該高密度材料または低密度材料」を、「第1の繊維タイプ」の繊維にコーティングすること以外の方法について理解することができない。 この点、本願明細書には、 「【0033】 第2の繊維タイプは第1の繊維タイプと同じ高分子材料のものであるが、高密度または低密度材料を備える。第2の繊維タイプが第1の繊維タイプと同じ高分子材料のものである場合、第2の繊維タイプの挙動は第1の繊維タイプの挙動と密接に関連すると考えられる。このことは、使用中のロープの第2の繊維タイプについてのX線、テラヘルツ、永久磁場または電磁解析から得られるパターンと、使用中のロープの第1の繊維タイプが受ける損傷との間の良好な一致をもたらすと考えられる。 【0034】 高密度または低密度材料は、種々の様式で第1の繊維タイプと同じ高分子材料の第2の繊維タイプに供され得る。一実施形態では、高密度または低密度材料が例えば、接着剤を用いてまたはコーティングプロセスで第1の繊維タイプに接着される。一実施形態では、繊維、コードまたはストランドが高密度または低密度材料でコーティングされる。高密度材料として、金属および/またはその誘導体または合金を適用することができる。」 と記載され、「該高密度材料または低密度材料」を、「第1の繊維タイプ」に、「接着」することは、「接着剤を用いてまたはコーティングプロセスで」「接着」することであると記載されているが、この「接着剤を用いて」「接着」することが、「該高密度材料または低密度材料」を、「第1の繊維タイプ」に、具体的にどの様に「接着」するのか、上記記載から理解することができない。 また、本願明細書の実施例を参照するに、 「【0054】 実施例1-アラミド繊維束のX線検査 トラッキング繊維、すなわち、高密度材料のコーティングを有する第2の繊維タイプをX線検査のために調製した。この場合、トラッキング繊維は高密度材料でコーティングされたアラミド繊維である。」 「【0057】 ・・・。コーティングされたトラッキング繊維およびコーティングされていない繊維をその機械的物性について試験した。」 「【0058】 結果を表1に示す。結果は、第1の繊維タイプ、この場合Twaron 1000、および、トラッキング繊維、この場合ZnOを含むTwaron 1000の物性がほんのわずかしか異ならないことを示している。そのため、機械的物性が類似であり、トラッキング繊維(第2の繊維タイプ)が第1の繊維タイプの状態についての優れた指標となると予想される。」 と記載され、「第1の繊維タイプ」の繊維に高密度材料であるZnOをコーティングさせて「第2の繊維タイプ」の繊維とし、「第1の繊維タイプ」の繊維と異なる密度を有するようにすることは記載されているものの、接着剤を用いて「第1の繊維タイプ」に「高密度または低密度材料」を「接着」することに関しての実施例は記載されていない。 そうすると、明細書には「第1の繊維タイプ」の繊維に「高密度または低密度材料」をコーティングする方法以外に「高密度材料または低密度材料」を「接着」することの具体的方法が記載されていないことから、「高密度材料または低密度材料」を「第1の繊維タイプ」に「接着」することは、「高密度材料または低密度材料」を「第1の繊維タイプ」の繊維にコーティングする場合以外は、明細書の記載を参酌しても明確になるものではない。 よって、本件補正発明は、不明確であることから、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしているとはいえない。 イ サポート要件・実施可能要件 上記アのとおり本願明細書の実施例には、第1の繊維タイプの繊維に高密度材料であるZnOをコーティングさせて第2の繊維タイプの繊維とし、第1の繊維タイプの繊維と異なる密度を有するようにすることは記載されているが、「高密度材料または低密度材料」を「第1の繊維タイプ」に「接着」するコーティング以外の方法については記載されておらず、そのようにする方法が本出願前周知であるともいえないことから、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、かつ、発明の詳細な説明は、当業者が本件補正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものともいえない。 よって、本件補正発明は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしているとはいえず、発明の詳細な説明の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしているともいえない。 ウ まとめ 上記のとおり、本件補正発明は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、かつ、発明の詳細な説明は、当業者が本件補正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものともいえないから、特許法36条4項1号、特許法36条6項1号及び2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (3)特許法29条2項についての判断 上記のとおり本件補正発明は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、かつ、発明の詳細な説明は、当業者が本件補正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものともいえないが、以下、本件補正発明の進歩性についても検討する。 ア 引用文献 (ア)引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。) (引2a)「【請求項1】 複数のストランド内へ配置される、第1の材料製の複数の繊維と、 第2の材料を第1の材料から区別する特性を有する、第2の材料製の少なくとも1つの要素と、 を備え、第2の材料製の要素は、負荷支持部材が第1の状態にあるときは、負荷支持部材の長さに沿って繰り返される第1の配置を有し、第2の材料製の要素の配置は、負荷支持部材の一部分に沿って、負荷支持部材のその部分におけるひずみに応じて変化する、 ことを特徴とする、エレベータ装置に使用するための負荷支持部材。 【請求項2】 前記区別可能な特性は、結晶構造、磁気特性、波長吸収、および密度から成る群より選択される少なくとも1つの特性であることを特徴とする請求項1記載の負荷支持部材。 ・・・ 【請求項4】 前記第1の材料は、ポリマーから成り、前記第2の材料は、金属から成ることを特徴とする請求項1記載の負荷支持部材。 【請求項5】 前記第1の材料は、第1のポリマーから成り、前記第2の材料は、第2のポリマーから成ることを特徴とする請求項1記載の負荷支持部材。」 (引2b)「【0013】 図2に示される例示的な負荷支持部材アッセンブリ26は、少なくとも1つのコードを形成するように、既知の方法で一緒に巻かれた複数のストランド30および32を含む。第1の材料は、好ましくは、ストランド30および32を形成するのに使用される。例示されたストランドは、被覆34で被覆されており、この被覆34は、ストランドを摩耗から保護するとともに、必要に応じてエレベータ装置構成要素を駆動するための摩擦特性を与える。本発明は、被覆ベルト構成に限定されない。 【0014】 本発明に従って設計された負荷支持部材アッセンブリは、第2の材料を第1の材料から区別する少なくとも1つの特性を有する、第2の材料製の要素を含む。第2の材料製の要素は、この要素が、負荷支持部材の長さに沿って一定の間隔で繰り返される配置を有するように、負荷支持部材の残りの部分に付随する。例示的な配置は、負荷支持部材に対する物理的配置などの外部特性または結晶構造などの内部特性を含む。」 (引2c)「【0016】 負荷支持部材の長さに沿った繰り返される配置および区別可能な特性を有する第2の材料を備えることによって、負荷支持部材に局在化したひずみに関する信頼できる情報源が与えられる。さまざまな区別可能な特性を使用できる。いくつかの特性は、第2の材料の物理的特性とすることができる。例示的な特性としては、密度、磁気吸収特性、波長吸収特性、および結晶構造が挙げられる。選択された区別可能な特性は、第2の材料製要素の形状または配置を観察する方法を規定することになる。例えば、密度が区別可能な特性であるときは、x線技術が、負荷支持部材アッセンブリの長さに沿った別々の部分における第2の材料製要素の配置の画像を取得するために使用され得る。既知の技術が、特定の実施態様において使用される区別可能な特性に基づく所望の情報を得るために、第2の材料製要素の配置を観察するのに使用され得る。この説明の恩恵を受ける当業者は、本発明により提供される結果を得るように、可能な材料、材料特性、および観察技術の中から選択することができるものである。 【0017】 第2の材料製要素を負荷支持部材アッセンブリ内へ組み込むさまざまな方法がある。一例としては、第2の材料製要素を負荷支持部材のアッセンブリ内へ一体化することが挙げられる。この例では、第2の材料製要素は、複数のストランドのうちの1つストランドの中心にあるフィラメント38である。複数のストランドが、一緒に(例えば、らせん配置で)巻かれるときは、フィラメント38は、負荷支持部材に沿ったストランドの撚り長さ(lay length)に一致する、結果として得られる形状パターンを有する。負荷支持部材の長さに沿ってフィラメント38の配置を観察することによって、負荷支持部材の構造状態の表示が与えられる。 【0018】 本発明に従って設計された負荷支持部材26を組み立てる方法の一例は、ストランド32の中心にフィラメント38を配置することを含む。換言すれば、第1の材料製の複数の繊維36が、フィラメント38を取り囲む位置に配置される。一旦、このストランドが組み立てられると、次に、それは、各ストランドが第1の材料製の複数の繊維36から成っている他のストランドと巻かれる。複数のストランドを一緒に巻くことによって、コードが形成されるばかりでなく、負荷支持部材26の長さに沿って繰り返されるフィラメント38の配置が確立される。一般的な構成は、負荷支持部材26の長さに沿った繰り返し周期を有するらせん形状を与える。この例におけるフィラメント38の形状の周期は、好ましくは、コードの1つまたは複数のストランドの撚り長さに直接対応する。」 (引2d)「【0020】 図5は、単一の平面上に投射した図4のフィラメント38の画像50を例示する。フィラメント38の配置の周期52は、好ましくは、負荷支持部材に応力が掛けられていないときは、一定であり繰り返される。周期の変化によって、特定の位置における負荷支持部材の状態の表示が与えられる。例えば、長さまたは周期52が他の部分に比較して負荷支持部材の一部分に沿って大きくなると、それは、その部分が、例えば負荷によりひずみを受けていることの表示である。負荷支持部材26の特定の配置に依存して、負荷支持部材の一部分内におけるフィラメント配置の伸びが、修理または交換が必要とされるという十分な摩耗の表示を、いつ与えるか、の決定を行うための特定のしきい値または許容値が、決定され得る。この説明の恩恵を受ける当業者は、どのように特定の負荷支持部材構成のための適切なしきい値を確立するかを決定できるものである。」 (引2e)「【0026】 一例では、高度に局所的なひずみの領域は、長さまたは周期52の局所的な増加によって表示されることになる。疲労したコードでの位置に対する局所的な撚り長さを、コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)ときの基準線測定値と比較することで、負荷支持部材の特定の位置におけるひずみの量の指標が与えられる。別の比較因子は、歪んでいないベルトを観察し、それを、既知の状態に歪んでいる領域と比較することによって決定される、相関係数とすることができる。例えば、既知の折り曲げ疲労試験から導出されるようなベルト破壊強度の減損を有するベルト区間が、継続される運転には適合できない負荷支持部材の試料を提供するのに使用され得る。この区間内の対応する要素配置が、そのようなベルトの状態の視覚的表示を与える。この測定値は、ベルトの状態を識別するように、運転中のベルトに対する実際の測定値との比較のために使用できる。」 (イ)引用文献2に記載された発明 上記(引2a)~(引2e)より、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「第1の材料は、ポリマーから成り、ストランド30および32を形成するのに使用され、 第2の材料を第1の材料から区別する密度を有する、第2の材料製の要素を含み、第2の材料製要素の形状または配置を観察する方法であって、 x線技術が、負荷支持部材アッセンブリの長さに沿った別々の部分における第2の材料製要素の配置の画像を取得するために使用され、 第2の材料製要素は、複数のストランドのうちの1つストランドの中心にあるフィラメント38であり、第1の材料製の複数の繊維36が、フィラメント38を取り囲む位置に配置され、このストランドが組み立てられると、次に、各ストランドが第1の材料製の複数の繊維36から成っている他のストランドと巻かれ、 複数のストランドを一緒に巻くことによって、コードが形成されるばかりでなく、長さに沿って繰り返されるフィラメント38の配置が確立される負荷支持部材26において、 単一の平面上に投射したフィラメント38の画像50より、フィラメント38の配置の周期52は、負荷支持部材に応力が掛けられていないときは、一定であり繰り返され、周期の変化によって、特定の位置における負荷支持部材の状態の表示が与えられ、長さまたは周期52が他の部分に比較して負荷支持部材の一部分に沿って大きくなると、それは、その部分が、例えば負荷によりひずみを受けていることの表示であり、 疲労したコードでの位置に対する局所的な撚り長さを、コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)ときの基準線測定値と比較することで、負荷支持部材の特定の位置におけるひずみの量の指標が与えられ、 負荷支持部材26の特定の配置に依存して、負荷支持部材の一部分内におけるフィラメント配置の伸びが、修理または交換が必要とされるという十分な摩耗の表示を、いつ与えるか、の決定を行うための特定のしきい値または許容値が、決定される、ことを含む方法。」 (ウ)周知技術 a 特表2000-515589号公報に記載された事項 (周1a)「のりには、繊維が一体にくっ付いて一体ストランドを形成できるようにする接着剤を含有させることもできる。」(13頁21-22行) b 特開平08-085167号公報に記載された事項 (周2a)「【0005】さらに、アラミド繊維からなるコードのホツレを防止するために、特開昭58-5243号公報には、ポリエポキシ化合物と液状ゴムとを含有する繊維接着用組成物で処理した後に、RFLに浸漬処理する技術が、特開昭61-166838号公報には、下撚りを加えたストランドまたは引き揃えられたアラミド繊維にゴム糊を含浸塗布して熱処理し、さらにRFLで処理した後に、処理済の繊維を更に撚り合わせる技術が、それぞれ開示されている。」 (周2b)「【0032】 【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。 <実施例1> 〔発明例1〕太さ1500Dのアラミド繊維(デュポン社製 ケブラー)に33回/10cmの下撚りを加え1500D/1のストランドを作成した。次いで、水溶性エポキシ樹脂(グリセロールジグリシジルエーテル ナガセ化成工業社製 デナコールEX313 全固形分100%)を2乾燥重量部、SBRラテックス(日本ゼオン(株)製 ニポールLX110 全固形分40%)を6乾燥重量部、更に、ブロックドイソシアネート(メチレン-ビス-(4-フェニルイソシアネート)、ユニロイヤル ケミカル(株)製 LVBI 全固形分68%)を2乾燥重量部、さらに固体微粒子潤滑剤として平均粒子径0.1μmのグラファイト(予め水79重量部に界面活性剤1重量部を添加し、さらに20重量部のグラファイト微粒子を加え、ホモジェナイザーによって20%の水分散液として使用)を3乾燥重量部となるように、水に順次添加して溶解・分散し、合計100重量部で13%固形分の接着剤組成物の水分散液を作成した。この接着剤組成物の水分散液に上記のストランドを浸漬し、120℃で60秒乾燥した後、230℃で60秒熱処理した。さらに、この処理済ストランドを2本合わせ上撚りを33回/10cm加え、1500D/2のコードを作成した。この上撚りを加えた1500D/2コードを公知のRFLに浸漬後、120℃で60秒乾燥した後、230℃で60秒熱処理を施した。」 c 上記a及びbより、複数の繊維を接着剤で接着することによりストランドを作成することは周知技術である。 イ 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「負荷支持部材26」は、本件補正発明の「ロープ」に相当する。そして、引用発明の「負荷支持部材26」は、「修理または交換が必要とされるという十分な摩耗の表示を、いつ与えるか、の決定を行うための特定のしきい値または許容値が、決定するため」のものであるから、引用発明の「負荷支持部材26」と、本件補正発明の「ロープ」とは、「使用中」である点で共通する。更に、「負荷支持部材26」の主となる構成要素である、「第1の材料」が「ポリマー」であるから、引用発明の「負荷支持部材26」は、本件補正発明の「合成繊維ロープ」に相当する。 (イ)引用発明の「x線技術」は、「負荷支持部材アッセンブリの長さに沿った別々の部分における第2の材料製要素の配置の画像を取得するために使用され」るものであり、「第2の材料製要素は、複数のストランドのうちの1つストランドの中心にあるフィラメント38であ」るから、「x線技術」により得られた画像は、「単一の平面上に投射したフィラメント38の画像50」である。そして、この「単一の平面上に投射したフィラメント38の画像50」より、「特定の位置における負荷支持部材の状態の表示が与え」られるものであるから、引用発明の「第2の材料製要素の形状または配置を観察する」ことは、「負荷支持部材26」の「特定の位置における負荷支持部材の状態」を破壊することなく観察することである。 そうすると、引用発明の「第2の材料製要素の形状または配置を観察する方法」は、本件補正発明の「合成繊維ロープの非破壊試験法」に相当する。 (ウ)引用発明の「第2の材料製要素の形状または配置を観察する方法」は、「x線技術」により得られた「単一の平面上に投射したフィラメント38の画像50」より、「フィラメント38の配置の周期52の変化によって、特定の位置における負荷支持部材の状態の表示が与えられ、長さまたは周期52が他の部分に比較して負荷支持部材の一部分に沿って大きくなると、それは、その部分が、例えば負荷によりひずみを受けていることの表示であり、負荷支持部材26の特定の配置に依存して、負荷支持部材の一部分内におけるフィラメント配置の伸びが、修理または交換が必要とされるという十分な摩耗の表示を、いつ与えるか、の決定を行うための特定のしきい値または許容値が、決定され」、「疲労したコードでの位置に対する局所的な撚り長さを、コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)ときの基準線測定値と比較することで、負荷支持部材の特定の位置におけるひずみの量の指標が与え」るものであるから、「疲労したコードでの位置に対する局所的な撚り長さ」は、使用中の「負荷支持部材26」を、「x線技術」により得られた「単一の平面上に投射したフィラメント38の画像50」の解析により決定された長さであり、「コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)ときの基準線測定値」は、「コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)とき」の「x線技術」により得られた画像により解析された「撚り長さ」である。 そして、「疲労したコードでの位置に対する局所的な撚り長さ」と、本件補正発明の「使用中のロープ」の決定された「パターン」とは、「使用中のロープ」の決定された「データ」である点で共通する。さらに、「コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)ときの基準線測定値」は、「修理または交換が必要とされるという十分な摩耗の表示を、いつ与えるか、の決定を行うため」の標準データであるといえるから、引用発明の「コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)ときの基準線測定値」と、本件補正発明の「解析の結果を解析により決定される標準パターン」とは、「解析の結果を解析により決定される標準データ」である点で共通する。 そうすると、引用発明の「第2の材料製要素の形状または配置を観察する方法」は、使用中の「負荷支持部材26」を、「x線技術」により得られた「単一の平面上に投射したフィラメント38の画像50」の解析により決定された「疲労したコードでの位置に対する局所的な撚り長さ」と、「コードが第1の許容可能な構造状態にある(すなわち、歪んでいない)ときの基準線測定値」とを比較することで、「負荷支持部材の特定の位置におけるひずみの量の指標が与え」られ、その指標に基づき、「負荷支持部材の一部分内におけるフィラメント配置の伸びが、修理または交換が必要とされるという十分な摩耗の表示を、いつ与えるか、の決定を行」っているから、引用発明の「第2の材料製要素の形状または配置を観察する方法」と、本件補正発明の「非破壊試験法」とは、「使用中のロープをX線に供してデータを決定し、解析の結果を解析により決定される標準データと比較し、比較の結果をロープが使用に適するかどうかを決定するのに使用する」点で共通する。 (エ)引用発明の「ストランド」は、本件補正発明の「繊維タイプ」に相当する。そして、引用発明の「負荷支持部材26」は、「第1の材料は、ストランド30および32を形成するのに使用され、第2の材料を第1の材料から区別する密度を有する、第2の材料製の要素を含み、第2の材料製要素は、複数のストランドのうちの1つストランドの中心にあるフィラメント38であり、第1の材料製の複数の繊維36が、フィラメント38を取り囲む位置に配置され、このストランドが組み立てられると、次に、各ストランドが第1の材料製の複数の繊維36から成っている他のストランドと巻かれ、複数のストランドを一緒に巻くことによって、コードが形成されるばかりでなく、長さに沿って繰り返されるフィラメント38の配置が確立される」ものであるから、引用発明の「負荷支持部材26」が、「第1の材料製の複数の繊維36」からなる「ストランド」と、「第1の材料製の複数の繊維36」と「第2の材料製要素」の「フィラメント38」からなる「ストランド」とからなる点が理解できる。そして、「第2の材料製要素」は、「第2の材料を第1の材料から区別する密度を有する」ものであるから、「第1の材料製の複数の繊維36」と「第2の材料製要素」の「フィラメント38」とは、密度が違うことは明らかである。 そうすると、「第1の材料製の複数の繊維36」からなる「ストランド」と、「第1の材料製の複数の繊維36」と「第2の材料製要素」の「フィラメント38」からなる「ストランド」とは、異なる密度を有し、かつ、「第1の材料製の複数の繊維36」と「第2の材料製要素」の「フィラメント38」からなる「ストランド」は、「第1の材料製の複数の繊維36」からなる「ストランド」と同じポリマーからなる「第1の材料」と「第1の材料」と密度の違う「第2の材料製要素」を備える点が理解できるから、引用発明の「負荷支持部材26」と、本件補正発明の「ロープ」とは、「少なくとも2つのタイプの繊維からなり、第1の繊維タイプは第2の繊維タイプの密度とは異なる密度を有し、かつ第2の繊維タイプは第1の繊維タイプと同じ高分子材料のものであるが、高密度または低密度材料を備え」、「該低密度材料は第1の繊維タイプよりも低い密度を有する材料からなり、且つ該高密度材料は第1の繊維タイプよりも高い密度を有する材料からなる」点で共通している。 以上(ア)~(エ)より、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点と相違点を有している。 (一致点) 「使用中のロープをX線に供してデータを決定し、解析の結果を解析により決定される標準データと比較し、比較の結果をロープが使用に適するかどうかを決定するのに使用する合成繊維ロープの非破壊試験法であって、ロープが少なくとも2つのタイプの繊維からなり、第1の繊維タイプは第2の繊維タイプの密度とは異なる密度を有し、かつ第2の繊維タイプは第1の繊維タイプと同じ高分子材料のものであるが、高密度または低密度材料を備え、該低密度材料は第1の繊維タイプよりも低い密度を有する材料からなり、且つ該高密度材料は第1の繊維タイプよりも高い密度を有する材料からなる非破壊試験法。」 (相違点1) X線に供し、ロープが使用に適するかどうかを決定するためのデータが、本件補正発明は、「パターン」であるのに対し、引用発明は、「パターン」かどうか不明である点。 (相違点2) 第2の繊維タイプが、本件補正発明は、「該高密度材料又は低密度材料が第1の繊維タイプに接着されて」いるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。 ウ 判断 (ア)相違点1について X線に供し、ロープが使用に適するかどうかを決定するためのデータとして、どの様なデータを使用するかは、解析されるロープの状態や測定方法等により適宜選択されるものであって、それを「パターン」とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 (イ)相違点2について 複数の繊維を接着剤により接着することによりストランドを形成することは、周知であるから(上記(1)ウ参照)、引用発明の「第1の材料製の複数の繊維36」と「第2の材料製要素」の「フィラメント38」から「ストランド」作成する際に、該周知の複数の繊維を接着剤により接着することによりストランドを形成する構成を適用することは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、上記第2の[理由]2(2)アで検討したとおり、本件補正発明の「該高密度材料又は低密度材料が第1の繊維タイプに接着されて」が示す技術事項は明確であるとはいえないものの、引用発明の「第1の材料製の複数の繊維36」と「第2の材料製要素」の「フィラメント38」を接着剤により接着することにより形成したストランドは、本件補正発明の「該高密度材料又は低密度材料が第1の繊維タイプに接着されて」という文言から想起される技術事項に合致すると認められる。 (ウ)効果について 本件補正発明による効果は、引用文献2に記載された事項や、周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に予測し得る程度のものである。 エ まとめ よって、本件補正発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年4月27日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成28年8月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。 (理由1)(略) (理由2)(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ●理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項1-7 ・引用文献1-2、又は、引用文献2 ・請求項9-14 ・引用文献2 ・請求項11 ・引用文献1 <引用文献> 引用文献1:特表2006-512488号公報 引用文献2:特表2005-504690号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(3)ア(ア)及び(イ)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「該高密度材料または低密度材料が第1の繊維タイプに接着されていて、該低密度材料は第1の繊維タイプよりも低い密度を有する材料からなり、且つ該高密度材料は第1の繊維タイプよりも高い密度を有する材料からなる」限定事項を削除したものであり、前記第2の[理由]2(3)イの相違点2は、該限定事項によるものであるから、本願発明と引用発明とは、前記第2の[理由]2(3)イの相違点1で相違しその余の点は一致しているものである。 そうすると、相違点1にかかる構成は、前記第2の[理由]2(3)ウ(ア)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その効果も、引用文献2に記載の事項から当業者が容易に予測できたものである。 5 まとめ よって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-006141

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