特許拒絶査定不服審判
2017-005945
エアアウトレット装置
- 審判番号
- 2017-005945
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-112014外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月25日
- 審決日
- 2018年11月20日
- 公報発行日
- 2019年01月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (B60H) / P18 .537-WY (B60H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-112014「エアアウトレット装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月28日出願公開、特開2016- 13828、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月2日(パリ優先権による優先権主張 2014年7月3日ドイツ連邦共和国、2014年9月22日 ドイツ連邦共和国)の出願であって、平成28年6月14日付けで拒絶理由が通知され、平成28年9月9日に意見書が提出されたが、平成29年1月18日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成29年4月25日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成30年7月25日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年10月18日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願請求項1ないし11に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、出願当初の明細書及び平成30年10月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるところ、本願発明1は以下のとおりものである。
「【請求項1】
下流エッジ(8)と上流エッジ(7)とを有する少なくとも1つのエアガイドフィン(5)を備えるエアアウトレット(3)と装飾装置(4)とを有し、エアガイドフィン(5)は、その上流エッジ(7)が、下流エッジ(8)に付設された回転軸(11)を中心として旋回可能に支承されているエアアウトレット装置(1)において、
エアアウトレットを模倣する装飾装置(4)が、下流エッジ(8)の延長部内に延在する可視エッジ(14)を有する少なくとも1つの固定の装飾フィン(6)を備え、エアガイドフィン(5)が、回転軸(11)を中心として旋回可能に装飾フィン(6)に支承されていること、を特徴とするエアアウトレット装置。」
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし11は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して記載されたものである。
第3 引用例
1.引用例1(実願平4-87415号(実開平6-50917号)のCD-ROM)
原査定に引用され、、本願の優先日前に頒布された引用例1には、「ベンチレータ」に関して図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)
(1)引用例1の記載
1a)「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ケース体の壁部に複数のルーバを軸支し、前記ルーバの少なくとも1つを回動自在に軸支したベンチレータにおいて、
前記壁部が前記ルーバの軸方向に対して傾斜した傾斜壁部に固定軸受部を形成するとともに、この固定軸受部に固定した状態で取付けられる固定軸を形成した固定ルーバを用い、
この固定ルーバの固定軸を前記傾斜壁部の固定軸受部に取付けることにより、前記固定ルーバを前記ケース体に固定して軸支したことを特徴とするベンチレータ。」
1b)「【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案のベンチレータは、ケース体の壁部に複数のルーバを軸支し、前記ルーバの少なくとも1つを回動自在に軸支したベンチレータにおいて、前記壁部が前記ルーバの軸方向に対して傾斜した傾斜壁部に固定軸受部を形成するとともに、この固定軸受部に固定した状態で取付けられる固定軸を形成した固定ルーバを用い、この固定ルーバの固定軸を前記傾斜壁部の固定軸受部に取付けることにより、前記固定ルーバを前記ケース体に固定して軸支したものである。」
1c)「【0008】
【作用】
本考案のベンチレータでは、ルーバを回動自在に軸支することが困難なルーバの軸方向に対して傾斜した傾斜壁部に、固定軸受部を形成するとともに、この固定軸受部に固定される固定軸を形成した枠体などとは別体の固定ルーバを用い、この固定ルーバの固定軸を傾斜壁部の固定軸受部に取付けることにより、固定ルーバを回動しないようにケース体に固定して軸支している。そこで、この部分のルーバを省略した場合や、この部分のルーバを枠体などに一体に形成した場合における、吹き出し風量の不均一化、吹き出し開口部面積の不均一化などによる配風性能の低下や、外観の悪化などが防止される。」
1d)「【0010】
図1ないし図3において、11はケース体で、このケース体11は、例えば自動車のインストルメントパネルなどに設けられ、空調装置の空気吹出口などに接続されて、風向の調整などを行うようになっている。そして、このケース体11は、前後に吹出口12および吸込口13が開口された略角筒状をなし、互いに平行状をなす上下の壁部15,16と、これらの上下の壁部15,16の端部に滑らかに連続した側壁部17および傾斜壁部18と、上下の壁部15,16のほぼ中央部を連結してなる隔壁部19とを有している。
【0011】
そして、側壁部17および隔壁部19は、ほぼ垂直状をなし、前端部近傍に沿って上下方向に所定の間隔で複数の円孔状の回動軸受孔21が形成されている。
【0012】
また、傾斜壁部18は、上端部近傍が水平状に近く、下端部近傍が垂直状に近い曲板状をなし、前端部近傍に沿って上下方向に所定の間隔で複数の円孔状の回動軸受孔21が形成されているとともに、これらの回動軸受孔21の上側に、略角柱状あるいは略角板状などをなす固定軸受部としての固定軸受孔22が形成されている
。
【0013】
そして、水平方向に相対向する回動軸受孔21,21間には、それぞれ水平方向を長手方向とする可動ルーバ(フィン)24が回動自在に軸支されている。各可動ルーバ24は、断面細長楕円形状をなし、両端部からそれぞれ各回動軸受孔21,21に回動自在に嵌合する略円柱状の回動軸25,25が突設されている。なお、各回動軸25の基端部には、それぞれ円板状の基部26が形成されている。
【0014】
また、各可動ルーバ24は図示しないリンク体により連結され、連動して回動するようになっている。
【0015】
さらに、隔壁部19の上端の回動軸受孔21と、傾斜壁部18の上端の固定軸受孔22との間には、固定ルーバ31が装着されている。この固定ルーバ31は、各可動ルーバ24とほぼ同形状をなし、一端部からは略円柱状の回動軸25が突設されているが、他端部からは、固定軸受孔22に嵌合固定される略角柱状あるいは略角板状などをなす固定軸33が突設されている。
【0016】
そして、この固定ルーバ31は、固定軸33と固定軸受孔22との嵌合により、回動しないように固定されている。」
1e)「【0019】
そして、本実施例のベンチレータによれば、傾斜壁部18が水平状に近い部分、すなわち傾斜がきつく可動ルーバ24を回動しにくい部分に固定軸受孔22を形成し、この固定軸受孔22に嵌合固定される固定軸33を突設した別体の固定ルーバ31を回動しないように固定して装着している。そこで、この部分のルーバを省略した場合や、この部分のルーバを枠体36に一体に形成した場合における、吹き出し風量の不均一化、吹き出し開口部面積の不均一化、あるいは外観の悪化などを防止し、吹き出し風量を均一化し、吹き出し開口部面積を均一化して、配風性能を向上し、可動ルーバ24に近い配風性能を確保できるとともに、開口部の面積、ルーバの枚数および形状などのバランスを改善し、外観を向上することができる。」
1f)図3
1g)図3から、固定ルーバ31と可動ルーバ24は、翼形状をなすものであって、それぞれ下流端と上流端とを有することが看取できる。
1h)図3から、可動ルーバ24は、そのほぼ中心に設けられた回動軸25によりケース体11の壁部に軸支されることが看取できる。
(2)引用発明
上記(1)及び図1ないし図3の記載からみて、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「下流端と上流端とを有する、固定ルーバ31及び可動ルーバ24を備えるベンチレータにおいて、固定ルーバ31は、固定軸33によりケース体11の傾斜壁部18に設けられた固定軸受孔22との嵌合により回動しないように固定されており、可動ルーバ24は、可動ルーバ24のほぼ中心に設けられた回動軸25によりケース体11の壁部に設けられた回動軸受孔21に回動自在に軸支されているベンチレータ。」
2.引用例2(国際公開2013/128763号)
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用例2には、「レジスタ」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例2の記載
2a)「[0001] 本発明は、自動車等の空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用のレジスタに関し、特に長手方向に長く短手方向に短い細長で短手方向に傾斜した空気吹出口を有するレジスタに関する。
[0002] 自動車等の空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用のレジスタとして、通風路を形成するベゼルまたはリテーナ内に、横可動ルーバと縦可動ルーバを直交方向に前後して配設し、ベゼルに設けた空気吹出口から空気を吹き出す際、横可動ルーバ、縦可動ルーバの各フィンの角度を変えて空気の吹出し方向を上下左右に調整するレジスタが、一般に、自動車の空調装置などで使用されている。」
2b)「[0029] 以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1~図10は第1実施形態のレジスタを示しており、このレジスタのリテーナ2の正面には、ベゼル1が長方形横長の空気吹出口17を開口して設けられる。空気吹出口17は、図1に示すように、偏平で細長い長方形に形成され、長手方向(水平横方向)に長く短手方向(上下縦方向)に短い横長の長方形に形成されている。また、レジスタ正面の空気吹出口17は、図2に示すように、その上部を上流側に後退させ下部を下流側に突き出すように傾斜して形成される。つまり、空気吹出口17の前面は、その短手方向の垂直面に対し斜め下側に約30度の角度で傾斜し、所謂スラント形状となっている。
[0030] ベゼル1の背面側にはリテーナ2に連結するための図示しない嵌合部が設けられ、その嵌合部にダクト状のリテーナ2が嵌合し接続される。ベゼル1の空気吹出口17内側の左右側壁には、前可動ルーバ3用の軸受部が形成され、両側の軸受部には、前可動ルーバ3の中央横フィン7の両側端部に突出した支軸7aが支持される。この中央横フィン7の支軸7aはフィンの下流側端部の両側に突設さあれる。
[0031] さらに、ベゼル1の空気吹出口17内側の左右側壁には、上補助横フィン8の両側端部に偏移して突出した偏移支軸81、及び下補助横フィン9の両側に偏移して突出した偏移支軸91が、各々回動可能に支持される。偏移支軸81,91は、上補助横フィン8、下補助横フィン9のフィン本体中央部から、アーム部82,92を介し外側に偏移して配置される。中央横フィン7、上補助横フィン8、及び下補助横フィン9は、所定の角度範囲で上下に回動可能に軸支される。」
2c)「[0032] リテーナ2は、略方形のダクト状に形成され、内部に通風用の流路5が形成されている。リテーナ2の上壁と下壁に軸受部が所定間隔で形成され、それらの軸受部に図2,3に示すように後可動ルーバ4の縦フィン4aが支軸4bにより軸支され、各縦フィン4aは所定の角度範囲で左右に連動して回動するようになっている。このリテーナ2の前部に、正面に略長方形の空気吹出口17を開口形成したベゼル1が、その空気吹出口17を流路5の開口部に合わせた状態で嵌着され、流路5はリテーナ2内からベゼル1の空気吹出口17まで連通して形成される。
[0033] 前可動ルーバ3は、上下に回動調整可能な1枚の中央横フィン7と、中央横フィン7の上方と下方位置に配設され、中央横フィン7の回動操作に応じて上下に回動する上補助横フィン8及び下補助横フィン9と、中央横フィン7の回動操作に連動して、上補助横フィン8及び下補助横フィン9を回動させるフィン回動機構10と、を備えて構成される。」
2d)「[0034] 図2に示すように、中央横フィン7の支軸7aは、フィン本体の下流側端部の両側に突設され、中央横フィン7の回動操作時、支軸7aを中心にフィン本体の上流側が上下に回動するようになっている。上補助横フィン8は流路5内の上壁面に近接して配置される一方、その上壁面には収納凹部6aが形成され、その収納凹部6a内に上補助横フィン8が水平状態で収納されるようになっている。また、下補助横フィン9は流路5内の下壁面に近接して配置される一方、その下壁面には収納凹部6bが形成され、その収納凹部6b内に下補助横フィン9が水平状態で収納されるようになっている。」
2e)図2の記載からは、中央横フィン7の下流端に設けられた支軸7aを中心に中央横フィン7が回動可能に軸支されることが看取できる。
(2)引用例2記載事項
上記(1)並びに図1及び2の記載からみて、引用例2には以下の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「自動車等の空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用のレジスタにおいて、レジスタのリテーナ2の正面に、空気吹出口17を開口して設けられたベゼル1の空気吹出口17内側の左右側壁の軸受部に、中央横フィン7の下流端から両側端部に突出した支軸7aを回動可能に支持すること。」
3.引用例3(特開平8-178408号公報)
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用例3には、「空気調和機」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例3の記載
3a)「【0032】実施例3.図3も、この発明の他の実施例を示す図1相当図であり、図3の他は図7及び図8の場合と同様に空気調和機が構成されている。図において、図1と同符号は相当部分を示し、(26)は第1羽根(9)の第2羽根(14)との対向端部に設けられた突子(12)設けられて、第2羽根(14)突子(16)の係合孔(27)と回動動作におけるずれ角度なしに設けられた係合孔である。
【0033】(30)は中心材(7)に装着された電動機からなる駆動手段で、両側にそれぞれ突子(12)及び突子(16)の係合孔(26)(27)に嵌合する出力軸(31)が設けられて、出力軸(31)により第1羽根(9)及び第2羽根(14)に連結されている。また、図3に示すように両側の出力軸(31)は相互間に回動動作におけるずれ角度なしに設けられている。
【0034】上記のように構成された空気調和機において、第1羽根(9)及び第2羽根(14)が駆動手段(30)によって連結され、長手に沿う軸線を介して室内ユニット(1)の吹出口(2)に枢着される。そして、駆動手段(30)によって第1羽根(9)及び第2羽根(14)が駆動されて回動動作する。この状態において、駆動手段(30)に対して第1羽根(9)及び第2羽根(14)がそれぞれ同じ状態で連結されているので、第1羽根(9)及び第2羽根(14)の回動動作に差異が生じない。
(2)引用例3記載事項
上記(1)及び図3の記載からみて、引用例3には以下の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されている。
「空気調和機の室内ユニット(1)の吹出口(2)に枢着される第1羽根(9)及び第2羽根(14)が駆動手段(30)の出力軸(31)によって連結されることにより、第1羽根(9)及び第2羽根(14)の回動動作に差異が生じないこと。」
4.引用例4(実願昭63-145804号(実開平2-76512号)のマイクロフィルム)
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用例4には、「空調用グリル」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例4の記載
4a)「[第1実施例]
以下、本考案を自動車のインストルメントパネルに組付けられる空調用グリルに具体化した一実施例を第1~5図に従って説明する。
第1,2図に示すように、本実施例の空調用グリルの一部を構成する本体部材としての本体ケース1は前後両面が開口された四角筒状をなし、後方(図の左方)から導入された風Wが前方への通過可能となっている。前記本体ケース1内には平板状をなす複数枚(本実施例では4枚)の表面が滑らかな風向偏向板2が左右に等間隔に配設されている。これら風向偏向板2の前部は湾曲が容易な軟質材によって形成され、左右(第2図上下)方向への湾曲可能な湾曲部2aを構成している。前記軟質材としてはポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂やソリッドゴム、スポンジゴム等の弾性体が適している。
前記湾曲部2aの前端部には金属等の硬質材からなる軸5が設けられており、その上端及び下端は同湾曲部2aから突出し、本体ケース1の上板1a及び底板1bに対しそれぞれ回動可能に支持されている。また、風向偏向板2の後部は風向きと同一方向(第2図左右方向)に延び、硬質材で形成された非湾曲部2bが設けられている。」(明細書第5ページ第4行ないし第6ページ第8行)
(2)引用例4記載事項
上記(1)及び第1図及び第2図の記載からみて、引用例4には以下の事項(以下、「引用例4記載事項」という。)が記載されている。
「自動車のインストルメントパネルに組付けられる空調用グリルの一部を構成する本体ケース1内には、風向偏向板2が左右に等間隔に配設されており、風向偏向板2は、風向偏向板2の前端部に設けられた金属等の硬質材からなる軸5により、本体ケース1に回動可能に支持されていること。」
5.引用例5(特開2001-116341号公報)
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用例5には、「空気調和機の風向偏向装置」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例5の記載
5a)「【0014】図2は、本発明にかかる空気調和機Cを示しており、居住空間の壁面に取り付けられる台枠2と、台枠2に取り付けられる前面枠4と、前面枠4に枢着された吸入グリル6とを備えている。前面枠4の下部には、居住空間に温度調整した空気を送り出す吹出口8が形成されており、吹出口8には、この吹出口8の閉塞と、開放時には温度調整された空気の吹出角度(風向)を変更する風向変更装置Aが設けられている。
【0015】図1及び図3に示されるように、風向変更装置Aは、上下方向の吹出角度を変更する風向変更羽根10と、左右方向の吹出角度を変更する風向変更羽根(図示せず)とを有し、これらの風向変更羽根は、前面枠4に揺動自在に取り付けられている。風向変更羽根10は、3枚に分離されており、一体的に揺動するように連結された左右の風向変更羽根12,14と、左右の風向変更羽根12,14との間に設けられ、左右の風向変更羽根12,14とは独立して揺動する中央の風向変更羽根16とを備えている。」
(2)引用例5記載事項
上記(1)及び図1ないし図3の記載からみて、引用例5には以下の事項(以下、「引用例5記載事項」という。)が記載されている。
「空気調和機Cの前面枠4の下部の吹出口8には風向偏向装置Aが設けられ、風向偏向装置Aが有する風向偏向羽根10は、一体的に揺動するように連結された左右の風向変更羽根12,14と、左右の風向変更羽根12,14との間に設けられ、左右の風向変更羽根12,14とは独立して揺動する中央の風向変更羽根16とを備えていること。」
6.引用例6(特開2010-202108号公報)
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用例6には、「空調用レジスタ」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例6の記載
6a)「【請求項1】
空調用空気を通過させる通風路と、該通風路の下流端において車室側へ向けて開口し、上記空調用空気を吹き出す吹出開口部とを有する筒状のレジスタ本体と、上記吹出開口部に配設され、該吹出開口部から吹き出す上記空調用空気の風向を調整する1又は複数のレジスタフィンとを備える空調用レジスタであって、
少なくとも1つの上記レジスタフィンは、板状のフィン主体部と、該フィン主体部の車室側の端面を露出させた状態で、該フィン主体部を両面側から挟み込むように組み付けてなる一対の板状のフィンカバー部とにより構成されており、
上記フィン主体部には、該フィン主体部の厚み方向に形成してなる複数の係合孔部が設けられており、
上記フィンカバー部には、上記フィン主体部に対向する表面から厚み方向に突出してなる複数の係合爪部が上記係合孔部に対応する位置に設けられており、
上記フィン主体部と上記フィンカバー部とは、上記係合孔部と上記係合爪部とを係合させて組み付けられていることを特徴とする空調用レジスタ。」
6b)「【0022】
同図に示すごとく、レジスタ本体11の吹出開口部14には、車室側に露出する1枚のレジスタフィン2が配設されている。レジスタフィン2は、横方向に配設される横型フィンである。また、レジスタフィン2は、上下方向に回動可能に構成されており、吹出開口部14から吹き出す空調用空気の上下方向の風向を調整することができる。
【0023】
図3に示すごとく、車室側に露出するレジスタフィン2のすぐ上流側には、左右方向に複数枚のレジスタフィン(以下、車室側に露出する下流側のレジスタフィン2と区別するため、上流側フィンという)20とが配設されている。上流側フィン20は、縦方向に配設される縦型フィンである。また、上流側フィン20は、左右方向に回動可能に構成されており、吹出開口部14から吹き出す空調用空気の左右方向の風向を調整することができる。
【0024】
図4に示すごとく、レジスタフィン2は、板状のフィン主体部3と、フィン主体部3の車室側の端面(先端面303)を露出させた状態で、フィン主体部3を両面側から挟み込むように組み付けてなる一対の板状のフィンカバー部4、5とにより構成されている。一対のフィンカバー部4、5は、フィン主体部3の第1表面側301を覆う第1フィンカバー部4と、第2表面302側を覆う第2フィンカバー部5とにより構成されている。
また、本例では、レジスタフィン2を構成する部品のうちのフィン主体部3のみ、全体にシルバー色の塗料によって塗装がされ、加飾が施されている。」
6c)「【0036】
次に、本例の空調用レジスタ1における作用効果について説明する。
本例の空調用レジスタ1において、レジスタフィン2は、板状のフィン主体部3と、フィン主体部3の車室側の端面(先端面303)を露出させた状態で、フィン主体部3を両面側から挟み込むように組み付けてなる一対の板状のフィンカバー部4、5とにより構成されている(図4参照)。
すなわち、レジスタフィン2は、従来のように一体品ではなく、複数の部品を組み付けて構成されている。そして、フィン主体部3は、車室側に面する部分(先端面303)を露出させており、それ以外の部分はフィンカバー部4、5に覆われている。
【0037】
そのため、本例のように、フィン主体部3にマスキングを行わず、その全体にシルバー色の塗装を行い、フィン主体部3の車室側に面する部分(先端面303)を露出させた状態でフィンカバー部4、5を組み付けることにより、最も意匠性が重要となる車室側に面する部分のみをシルバー色に塗装することにより加飾された、意匠性の高いレジスタフィン2を得ることができる(図2参照)。これにより、レジスタフィン2における部分的な加飾が可能となる。」
(2)引用例6記載事項
上記(1)及び図1ないし図4の記載からみて、引用例6には以下の事項(以下、「引用例6記載事項」という。)が記載されている。
「空調用空気を通過させる通風路と、該通風路の下流端において車室側へ向けて開口し、上記空調用空気を吹き出す吹出開口部とを有する筒状のレジスタ本体と、上記吹出開口部に配設され、該吹出開口部から吹き出す上記空調用空気の風向を調整する1又は複数のレジスタフィン2とを備える空調用レジスタ1であって、レジスタフィン2の車室側に面する部分のみをシルバー色に塗装することにより加飾すること。」
第4 対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明における「下流端」、「上流端」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、それぞれ、本願発明1における「下流エッジ」、「上流エッジ」に相当し、以下同様に、「固定ルーバ31及び可動ルーバ24」は「エアガイドフィン」に、「ベンチレータ」は「エアアウトレット」に、それぞれ相当する。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「下流エッジと上流エッジとを有する少なくとも1つのエアガイドフィンを備えるエアアウトレット。」
[相違点1]
本願発明1においては、「エアアウトレット装置」が、「エアアウトレットと装飾装置とを有し」、「エアアウトレットを模倣する装飾装置が、下流エッジの延長部内に延在する可視エッジを有する少なくとも1つの固定の装飾フィンを備え」るのに対して、
引用発明においては、ベンチレータが、「エアアウトレットを模倣する装飾装置」及び「下流エッジの延長部内に延在する可視エッジを有する少なくとも1つの固定の装飾フィン」を伴うものではない点。
[相違点2]
本願発明1においては、「エアガイドフィンは、その上流エッジが、下流エッジに付設された回転軸を中心として旋回可能に支承されて」おり、「エアガイドフィンが、回転軸を中心として旋回可能に装飾フィンに支承されている」のに対して、
引用発明においては、「固定ルーバ31は、固定軸33によりケース体11の傾斜壁部18に設けられた固定軸受孔22との嵌合により回動しないように固定されており、可動ルーバ24は、可動ルーバ24のほぼ中心に設けられた回動軸25によりケース体11の壁部に設けられた回動軸受孔21に回動自在に軸支されている」点。
以下、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
・引用例2記載事項は、「自動車等の空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用のレジスタにおいて、レジスタのリテーナ2の正面に、空気吹出口17を開口して設けられたベゼル1の空気吹出口17内側の左右側壁の軸受部に、中央横フィン7の下流端から両側端部に突出した支軸7aを回動可能に支持すること。」
・引用例3記載事項は、「空気調和機の室内ユニット(1)の吹出口(2)に枢着される第1羽根(9)及び第2羽根(14)が駆動手段(30)の出力軸(31)によって連結されることにより、第1羽根(9)及び第2羽根(14)の回動動作に差異が生じないこと。」
・引用例4記載事項は、「自動車のインストルメントパネルに組付けられる空調用グリルの一部を構成する本体ケース1内には、風向偏向板2が左右に等間隔に配設されており、風向偏向板2は、風向偏向板2の前端部に設けられた金属等の硬質材からなる軸5により、本体ケース1に回動可能に支持されていること。」
・引用例5記載事項は、「空気調和機Cの前面枠4の下部の吹出口8には風向偏向装置Aが設けられ、風向偏向装置Aが有する風向偏向羽根10は、一体的に揺動するように連結された左右の風向変更羽根12,14と、左右の風向変更羽根12,14との間に設けられ、左右の風向変更羽根12,14とは独立して揺動する中央の風向変更羽根16とを備えていること。」及び、
・引用例6記載事項は、「空調用空気を通過させる通風路と、該通風路の下流端において車室側へ向けて開口し、上記空調用空気を吹き出す吹出開口部とを有する筒状のレジスタ本体と、上記吹出開口部に配設され、該吹出開口部から吹き出す上記空調用空気の風向を調整する1又は複数のレジスタフィン2とを備える空調用レジスタ1であって、レジスタフィン2の車室側に面する部分のみをシルバー色に塗装することにより加飾すること。」である。
しかし、上記引用例2ないし6記載事項は、上記相違点1に係る本願発明1である「エアアウトレット装置」が、「エアアウトレットと装飾装置とを有し」、「エアアウトレットを模倣する装飾装置が、下流エッジの延長部内に延在する可視エッジを有する少なくとも1つの固定の装飾フィンを備え」ることについて開示又は示唆をするものではない。
したがって、本願発明1は、上記相違点2について検討するまでもなく、引用発明及び引用例1ないし6記載事項に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
2.本願発明2ないし11について
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし11は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載したものであるから、本願発明2ないし11は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし11は、本願発明1と同様の理由で、引用発明及び引用例1ないし6記載事項に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1ないし9及び11に係る発明について、上記引用例1に記載された発明及び引用例2ないし6に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかし、平成30年10月18日提出の手続補正書により補正された請求項1ないし9及び11に係る発明は、「エアアウトレット装置」が、「エアアウトレットと装飾装置とを有し」、「エアアウトレットを模倣する装飾装置が、下流エッジの延長部内に延在する可視エッジを有する少なくとも1つの固定の装飾フィンを備え」ることを発明特定事項として含むものであるから、上記第4で判断したとおり、請求項1ないし9及び11に係る発明は、引用発明及び引用例1ないし6記載事項に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由(特許法第36条第6項第2号について)
当審では、
「(1)請求項1の記載「特に自動車用のエアアウトレット装置」における「特に自動車用」とは、エアアウトレット装置が専ら自動車用であることを意味するのか、あるいは、エアアウトレット装置が自動車用であることを例示しているに過ぎず、他の用途を含むという意味であるのか不明である。
(2)請求項2の記載「特に半円形の横断面」の意味が不明瞭である。すなわち、「特に半円形の横断面」とは、専ら「半円形の横断面」であるという意味か、「半円形の横断面」であることを例示しているに過ぎず、半円形の横断面以外の他の形状であることを含むことを意味するのか不明である。
(3)請求項10の記載「少なくとも、装飾フィン(6)も、特にエアガイドフィン(5)も収容するハウジング(13)」の意味が不明瞭である。すなわち、「少なくとも」とは、「装飾フィン」、「エアガイドフィン」の両方にかかるのか、「装飾フィン」や「エアガイドフィン」以外のものを含むことも意味しているのか、また、「特にエアガイドフィン(5)」の「特に」とは、「エアガイドフィン(5)」に対して具体的にどのようなことを意味するのか不明である。」という拒絶理由を通知している。
これに対して、平成30年10月18日提出の手続補正書による補正により、
(1)請求項1の記載における「特に自動車用のエアアウトレット装置」を「エアアウトレット装置」に、
(2)請求項2の記載における「特に半円形の横断面」が「横断面」に、
(3)請求項10の記載における「少なくとも、装飾フィン(6)も、特にエアガイドフィン(5)も収容するハウジング(13)」が「装飾フィン(6)とエアガイドフィン(5)とを収容するハウジング(13)」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし11は、当業者が引用発明及び引用例1ないし6記載事項に基いて容易に発明し得たとすることはできない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-005945