商標異議申立
2025-900026
ゴロ、ゴロー、ゴーロー
- 審判番号
- 2025-900026
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2024-043065
- 登録番号
- 6870711
- 請求日
- 2025年01月28日
- 審決日
- 2025年09月19日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ローンチ テック カンパニー リミテッド
- 【権利者代理人】▲吉▼田 和彦
- 【権利者代理人】中村 稔
- 【権利者代理人】田中 伸一郎
- 【権利者代理人】相良 由里子
- 【権利者代理人】石戸 孝
- 【権利者代理人】北原 絵梨子
- 【権利者代理人】篠森 恵
- 【異議申立人】フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト
- 【異議申立人代理人】江崎 光史
- 【異議申立人代理人】佐久間 洋子
- 【異議申立人代理人】田崎 恵美子
- 【異議申立人代理人】高橋 正宏
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 石塚 文子
- 分類
- T1651.261-Y (W12) / T1651.262-Y (W12) / T1651.263-Y (W12) / T1651.271-Y (W12)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6870711号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6870711号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6870711号商標(以下「本件商標」という。)は、「golo」の文字を標準文字で表してなり、令和6年4月22日に登録出願、第12類「自律走行式自動車,自動車用車体,自動車,ハイブリッド自動車,鉄道車両・自動車・自動二輪車・自転車,電気自動車,貨物運搬用自動車,オフロード車,水陸両用車,船舶、航空機、鉄道車輌、自動車、二輪自動車、自転車,船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同年11月19日に登録査定され、同月29日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第600030号の2商標(以下「引用商標」という。)は、「POLO」の欧文字を横書きしてなり、昭和36年5月12日に登録出願、同37年10月29日に設定登録された登録第600030号商標の商標権の分割に係るものであって、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年5月30日に商標権の分割移転の登録がされ、その後、平成15年11月5日に指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品(自動車のタイヤ・チューブを除く)」とする指定商品の書換登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標の類否について並びにそれぞれの商品等の類否について
ア 外観
本件商標は標準文字、引用商標は一般的な書体の、共に欧文字4文字からなる文字商標であって、大文字・小文字の違いはあるものの、その構成文字4文字中、3文字の配列が共通している。
共通する文字「O/o」「L/l」は、大文字と小文字が同じ又は非常に似通った形状をした英単語であり、語頭の「g」と「P」は、円の一部を弓形に切り取った形に接して下に延びる線が右側に付くか左側に付くかの違いとなる、一種の鏡文字の関係にある。
両商標はどちらも4文字という比較的短い文字数からなる商標であるため、看る者は商標全体を一気に視界に収め、外観全体から生ずるイメージで商標を判断するから、両商標は、同じ文字数、かつ、上述した構成文字の持つ特性があり、見間違いやすい、混同が生ずるおそれが非常に高い商標といえる。
また、両商標を全て小文字で書するときには、「golo」と「polo」となり、混同のおそれはさらに高まり、外観において混同のおそれがある類似する商標である。
イ 称呼
本件商標からは「ゴロ」の称呼が、引用商標からは「ポロ」の称呼が生じるところ、第1音の母音は「オ」である点が共通し、第2音はどちらも「ロ」で同一である。
本件商標と引用商標は、どちらも2音という短い称呼からなる商標であるが、称呼において近似する紛らわしい商標である。
ウ 観念
本件商標は、我が国では一般に通用する言語である英語の辞書に載っていないため、一種の造語ということができる。
一方、引用商標からは「馬上球技としてのポロ;ポロ競技に似たゲーム」(甲3)、又は申立人が製造・販売する自動車の名称として「POLO」(ポロ)が周知著名となっていることからすれば(甲4)、当該自動車「POLO」(ポロ)を観念するものであるから、観念において両者は直接的には比較できない。
エ 本件商標と引用商標の指定商品の類否について
本件商標の第12類の指定商品中、類似群12A05に属する商品「自律走行式自動車,自動車用車体,自動車,ハイブリッド自動車,自動車,電気自動車,貨物運搬用自動車,オフロード車,水陸両用車,自動車並びにその部品及び附属品」は、引用商標の指定商品「自動車並びにその部品及び附属品(自動車のタイヤ・チューブを除く)」と同一又は類似する商品である。
(2)引用商標の周知・著名性について
引用商標は、申立人が1975年3月に発表し、以降50年間にわたり製造・販売している自動車の名称で、モデルチェンジを繰り返し、現在は6代目となっている。
我が国には、2代目から輸入され始め、本格的に導入されたのは3代目からである(甲4の1、甲4の2)。
3代目の「POLO」は、RJC(日本自動車研究者&ジャーナリスト会議)により「96-97年次RJCイヤー賞インポートカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、日本発売の発表から3か月足らずで登録約3,700台、受注約7,000台を達成した(甲4の3)。
5代目の「POLO」は、海外においては、ドイツ「アウト モトールウントシュポルト」誌の「ベストカー2009」を、シュプリンガー出版社による「ゴールデンステアリング賞」及び「グリーンステアリング賞」を、アウトツァイトゥング誌の「オート トロフィー賞」を、また、欧州で最も歴史と権威がある「カー・オブ・ザ・イヤー2010」を、そして「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、我が国においても、「2010-2011 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」、「第20回(2011年次)RJCカー・オブ・ザ・イヤー」、「日本自動車殿堂 インポートカーオブザイヤー」の国内3つのカーオブザイヤーの輸入車部門を全て受賞し、発売以来一年間の受注台数は16,173台に達した(甲4の4~甲4の7)。
さらに、新車購入から2~9か月を経過したユーザーを対象に商品魅力度に関する評価を測定する「日本自動車商品魅力度調査APEAL」においても受賞し、顧客満足度が高いことを証明した(甲4の8)。
現行の6代目「POLO」は、交通量の多い地域での使い勝手に優れる車として「ワールド・アーバン・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し(甲4の9)、また、6世代にわたり世界的ベストセラーであり続けていることをもって「ベスト・カー・オブ・ザ・ハーフ・センチュリー」にも選ばれた(甲4の10)。
申立人が製造・販売する自動車「POLO」は、この50年間で、世界中で累計2,000万台以上が発売され(甲4の11)、我が国においても2003年1月から2024年12月の外国メーカー車モデル別新車登録台数において、ほぼ7位以内に入り続けていて、その合計は230,373台にのぼり(甲4の12)、申立人の正規ディーラーは、日本全国で「POLO」を含む申立人の自動車を発売し(甲4の13)、中古車も多く取り扱われている(甲4の14)。
これらを総合すると、引用商標は、申立人の業務に係る自動車を表示する商標として、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されて周知・著名な商標となっているといえる。
(3)結論
本件商標と引用商標は、上記(1)のとおり、その外観が混同のおそれがあるほどに類似し、称呼においては近似し、観念は比較のしようがなく、総合すると両者は類似する商標である。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものを含んでいる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標は、上記1で述べたように、類似する商標である。
引用商標は、申立人の業務に係る「自動車」を表示する商標として、上記1(2)で述べたように、我が国で既に周知性を獲得している。
本件商標は、引用商標を巧みに変形させたものであり、世間一般の看者に引用商標を容易に連想、想起させる、その出所について混同を生ずるおそれがある商標である。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の商品と同一又は類似するものを含んでいる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の提出した証拠、同人の主張及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、「POLO」の文字を使用した自動車(以下「申立人商品」という。)を1975年に欧州で発売を開始し、我が国には、1996年から本格的に輸入し、現在まで継続して販売している(甲4の1、甲4の2、職権調査(https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/polo.html)(https://www.volkswagen-press.jp/app/medialib/press/20000516_000138.pdf))。
イ 申立人商品は、RJC(日本自動車研究者&ジャーナリスト会議)で、「96-97年次 RJCイヤー賞 インポートカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した(甲4の3)。
ウ 申立人商品は、「2010-2011 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」、「2010~2011日本自動車殿堂インポートカーオブザイヤー」、及び「2011年次 RJCカー・オブ・ザ・イヤー=インポート」、を受賞した(甲4の5~7)。
エ 申立人商品の累計販売台数は、2,000万台以上、我が国でも30万台以上である(甲4の2)。
オ 日本自動車輸入組合の調査によれば、申立人商品は、2003年から2022年の期間、「外国メーカー車モデル別新車登録台数順位」において、上位7位以内に入っており、近時では、2023年は14位、2024年は17位である(甲4の12)。
カ 申立人商品は、日本全国に多数存在する正規ディーラーで販売されている(甲4の13)。
(2)上記(1)の事実からすれば、申立人商品は、本件商標の登録出願の日前から登録査定日はもとより、現在まで継続して、我が国の需要者の間に広く認識されているといえるものである。
そうすると、申立人商品について使用されている引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていると認められるものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「golo」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書類に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語でもないから、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものであり、その構成文字に相応して「ゴロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「POLO」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応し、「ポロ」の称呼を生じ、当該文字は、「ポロ(馬上球技の一種)」(株式会社大修館書店 ベーシックジーニアス英和辞典第3版)の意味を有する語であり、かつ、上記1のとおり、申立人商品が需要者の間に広く認識されていることを考慮すれば、引用商標からは、「馬上球技」及び「申立人の製造・販売に係る自動車のポロ(POLO)」の観念を生じるとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、外観の識別上重要な要素である語頭において、「g」と「P」の文字の差異を有し、また、本件商標は小文字のみ構成されるのに対し、引用商標は大文字のみから構成されるという差異を有するものであって、これらの差異が、両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえないことから、両者は外観において相紛れるおそれはない。
次に、称呼については、本件商標から生じる「ゴロ」の称呼と引用商標から生じる「ポロ」の称呼とは、極めて短い2音の音構成において、称呼の識別上重要な要素である語頭に「ゴ」と「ポ」の音の差異を有するところ、この差異が両称呼全体に与える影響は大きく、両者は明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念については、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「馬上球技」及び「申立人の製造・販売に係る自動車のポロ(POLO)」の観念を生じるものであるから、両者は観念において紛れるものではない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者は非類似の商標というのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中に引用商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上記1のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間に広く知られていたと認められるものであり、本件商標の指定商品に含まれる「自動車,自動車並びにその部品及び附属品」等は、いずれも申立人商品である「自動車」と同一又は類似する商品であるから、商品間の関連性は高いといえる。
しかしながら、引用商標は、上記2(2)のとおり、「馬上球技」の意味を有する既成語であるから、その独創性は高いものとはいえず、なにより、本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、類似するとはいえない別異のものであるから、類似性の程度は極めて低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用した場合に、本件商標から引用商標との関連性を連想、想起し、他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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