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特許拒絶査定不服審判

2017-002843

密閉容器及び搬送システム

審判番号
2017-002843
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-121743外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年02月27日
審決日
2018年06月11日
公報発行日
2018年07月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (C12M) / P18 .537-WY (C12M) / P18 .55 -WY (C12M)
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-121743「密閉容器及び搬送システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年1月7日出願公開、特開2016-22、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成26年6月12日の出願であって、平成28年3月18日付けで拒絶理由通知がされ、同年5月19日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月6日付けで最後の拒絶理由通知がされ、同年8月29日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月30日付けで補正の却下の決定がされると同時に拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年2月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 補正の却下の決定及び原査定の概要 1 平成28年11月30日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。 平成28年8月29日提出の補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。しかし、当該補正後の請求項1ないし3、6及び8に係る発明は引用例1及び周知技術に基づいて、請求項7に係る発明は引用例1及び5ないし7並びに周知技術に基づいて、請求項1及び4ないし8に係る発明は引用例1及び3に基づいて、請求項9に係る発明は引用例1及び4に基づいて、並びに、請求項10に係る発明は引用例1及び4に基づいて、それぞれ、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、平成28年8月29日提出の補正は却下すべきものである。 引用例一覧 1.特開2009-239006号公報 3.特開平8-172121号公報 4.国際公開第2009/116271号 5.特開2003-174080号公報 6.米国特許第7077270号明細書 7.特開平11-154699号公報 2 原査定の概要は以下のとおりである。 この出願は、平成28年7月6日付け拒絶理由通知書に記載した理由(1:新規事項を追加する補正、2:発明の特別な技術的特徴を変更する補正、3:明確性要件、4:進歩性)によって拒絶をすべきものである。前記1の補正の却下の決定参照。 第3 本願発明 本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成29年2月27日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 開口を含む容器本体と、 前記容器本体の開口に挿脱可能に設けられた蓋体と、 前記容器本体と前記蓋体との間の隙間であって、前記蓋体の外方側の隙間をシールするように、前記開口を規定する内周部の縁に設けられた第1シール要素と、 を備え、 前記容器本体の開口を規定する内周部には、係止穴が設けられ、 前記蓋体には、前記蓋体の内部から外周部に延び、前記係止穴と対向可能な第1開口が設けられ、 前記蓋体には、前記蓋体の内部から前記容器本体側とは反対側の端部に延び、前記第1開口と連通する第2開口が設けられ、 前記蓋体はその内部に、 前記第1開口から出没する方向に直線移動可能な係止部材と、 前記第2開口内に設けられた回転可能な回転部材と、 前記回転部材の回転運動を前記係止部材の直線運動に変換する変換機構と、 前記第2開口をシールするように設けられた第2シール部材と、 を有し、 前記容器本体と前記蓋体との間の隙間をシールするように設けられた前記第1シール要素および前記第2開口をシールするように設けられた前記第2シール部材は、前記係止部材の前記容器本体に対して外側に位置し、かつ前記第1シール要素は、前記蓋体の外方側周縁に位置する ことを特徴とする密閉容器。 【請求項2】 前記第2シール部材は、前記第2開口を規定する内周部と前記回転部材との間の隙間に設けられており、 前記回転部材の前記容器本体側とは反対側の端部の少なくとも一部は、外方に露出されている ことを特徴とする請求項1に記載の密閉容器。 【請求項3】 前記第2シール部材は、磁性流体シール、オイルシール、Oリングシール、およびベローズシールのうちのいずれかである ことを特徴とする請求項2に記載の密閉容器。 【請求項4】 前記第2シール部材は、前記回転部材に対して前記容器本体側とは反対側に、前記回転部材を覆って設けられている ことを特徴とする請求項1に記載の密閉容器。 【請求項5】 前記第2シール部材は、マグネットカップリングシールである ことを特徴とする請求項4に記載の密閉容器。 【請求項6】 開口を含む容器本体と、 前記容器本体の開口に挿脱可能に設けられた蓋体と、 前記容器本体と前記蓋体との間の隙間をシールするように、前記開口を規定する内周部の縁に設けられた第1シール要素と、 を備え、 前記蓋体の内部に、 前記蓋体を前記容器本体へ係止するための係止部材と、 前記係止部材を可動させる可動部材とが設けられ、 更に前記蓋体の内部に、前記蓋体と前記可動部材との間をシールするための第2シール部材が設けられ、 前記容器本体と前記蓋体との間の隙間であって、前記蓋体の外方側の隙間をシールするように設けられた前記第1シール要素および前記蓋体の内部に前記蓋体と前記可動部材との間をシールするために設けられた前記第2シール部材は、前記係止部材の前記容器本体に対して外側に位置し、かつ前記第1シール要素は、前記蓋体の外方側周縁に位置する ことを特徴とする密閉容器。 【請求項7】 前記蓋体の前記容器本体側の端部の縁と対向する段部と前記蓋体の前記容器本体側の端部の縁との間の隙間に第2シール要素が設けられている ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の密閉容器。 【請求項8】 前記第1シール要素は、略三角形状の断面を有するOリングシールである ことを特徴とする請求項6に記載の密閉容器。 【請求項9】 前記容器本体の内側には、複数の細胞培養容器を収容可能な棚が設けられている ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の密閉容器。 【請求項10】 請求項1乃至9に記載の密閉容器と、 前記密閉容器を搬送する搬送部と、 前記搬送部により搬送された前記密閉容器を受け取る受取部と、 を備え、 前記受取部は、 開口を含む受取部本体と、 前記受取部本体の開口に挿脱可能に設けられた扉体と、 前記受取部本体と前記扉体との間の隙間をシールするように前記扉体の縁に設けられた第3シール部材と、 を有し、 前記密閉容器と前記受取部とが各々の開口が互いに向かい合うような向きで配置される時、前記第1シール要素は前記受取部本体に密着されて前記容器本体と前記受取部本体との間の隙間をシールすると共に、前記第3シール部材は前記蓋体に密着されて前記扉体と前記蓋体との間の隙間をシールするようになっている ことを特徴とする搬送システム。」(以下、これらの発明を、それぞれ、「本願発明1」、「本願発明2」、・・・「本願発明10」といい、これらの発明をまとめて「本願発明」という。) 第4 引用例 1 引用例1 引用例1には、次の事項が記載されている (1) 発明の名称 「密閉容器の蓋開閉装置及び該開閉装置を用いたガス置換装置」 (2) 特許請求の範囲 ア 請求項1 「被収容物を内部に収容可能であって一面に開口を有する略箱状の本体と、前記本体から分離可能であって前記開口を塞いで前記本体と共に密閉空間を形成する平板状の蓋と、前記蓋の外側面から操作可能であって前記蓋を前記本体に固定可能なラッチ機構と、を有する密閉容器の蓋を開閉する蓋開閉装置であって、 前記蓋と平行であって、平行状態に保持される前記蓋が当該保持状態を維持して通過可能な大きさを有する開口部を有する外壁と、 前記開口部を略閉鎖可能であって前記蓋の外側面と近接して前記ラッチ機構と協働して前記蓋の前記本体に対しての固定及び非固定の状態を選択可能とするラッチ機構駆動部材と、前記蓋の前記外側面に作用して前記蓋を保持する保持部材と、を前記蓋と正対する面に有するドアと、 前記ラッチ機構駆動部材及び前記保持部材の少なくとも何れかである可動する部材を囲むように前記ドアにおける前記蓋との正対面に配置されて、前記ドアが前記蓋を保持した状態において前記可動する部材を周囲空間から空間的に分離するシール部材と、を有することを特徴とする蓋開閉装置。」 イ 請求項3 「請求項1に記載された蓋開閉装置と、 前記外壁における前記開口部の正面に配置されて前記密閉容器が載置可能であり、且つ前記密閉容器を前記開口部に対して接近及び離間させることが可能な載置テーブルと、 前記ドアを前記開口部に対して略閉鎖位置と開放位置との間で駆動可能なドア駆動機構と、を有することを特徴とするロードポート装置。」 (3) 発明の詳細な説明 ア 技術分野 「本発明は、半導体製造プロセス等において、シリコンウエハ等を半導体処理装置間にて移送する際に用いられる密閉容器の蓋開閉装置及び方法に関する。より詳細には、該密閉容器はシリコンウエハを収容して当該装置間での該ウエハの搬送に供せられる容器であって、本発明は当該容器の蓋の開閉を行うための装置、当該開閉装置を用いた該容器内部のガスを置換するガス置換装置、及び当該容器からウエハを取り出すために該容器から蓋を取り外し且つ該容器内部に対するシリコンウエハの搬入搬出を可能とする、ロードポート装置たる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システムに関する。」(段落【0001】) イ 背景技術 「以前、半導体製造プロセスは、半導体ウエハを取り扱う部屋内部を高清浄化した所謂クリーンルーム内において行われていた。しかしウエハサイズの大型化への対処とクリーンルームの管理に要するコスト削減の観点から、近年では処理装置内部、ポッド(ウエハ収容用の密閉可能な容器)、及び当該ポッドから処理装置への基板受け渡しを行う微小空間のみを高清浄状態に保つ手法が採用されるに至っている。 ・・・ 一般的に、ポッドの内部を不活性ガスで満たすためには、特許文献1に開示されるようなロードポート装置(ポッドの蓋を開閉してポッド内部に対するウエハの挿脱を可能な状態とする装置)を用い、ポッド内部に所定のウエハを全て挿入した後に当該内部に不活性ガスを供給しながら蓋を閉鎖し、これにより所望の封入状態を得ることとしている。」(段落【0002】~【0005】) ウ 発明が解決しようとする課題 「・・・本発明は、ガス置換操作にともなって、今後ウエハの大口径化に伴って生産効率を高める上で考慮すべきとなるであろうポッド及び周辺の可動部材から発生した塵等のポッド内部等への侵入の可能性の抑制をも可能とするガス置換装置の提供を目的とする。また、更に、本発明は、当該ガス置換装置において好適に用いられる、密閉容器たるポッドの蓋開閉装置及び開閉方法、及び該開閉装置を用いたロードポート装置の提供も目的とする。」(段落【0010】) エ 課題を解決するための手段 「・・・本発明に係る蓋開閉装置は、被収容物を内部に収容可能であって一面に開口を有する略箱状の本体と、該本体から分離可能であって開口を塞いで本体と共に密閉空間を形成する平板状の蓋と、蓋の外側面から操作可能であって蓋を本体に固定可能なラッチ機構と、を有する密閉容器の蓋を開閉する蓋開閉装置であって、該蓋と平行であって、平行状態に保持される蓋が保持状態を維持して通過可能な大きさを有する開口部を有する外壁と、該開口部を略閉鎖可能であって蓋の外側面と近接してラッチ機構と協働して蓋の本体に対しての固定及び非固定の状態を選択可能とするラッチ機構駆動部材と、蓋の外側面に作用して蓋を保持する保持部材と、を蓋と正対する面に有するドアと、ラッチ機構駆動部材及び保持部材の少なくとも何れかである可動する部材を囲むようにドアにおける蓋との正対面に配置されて、ドアが蓋を保持した状態において該可動する部材を周囲空間から空間的に分離するシール部材と、を有することを特徴としている。」(段落【0011】) オ 発明の効果 「・・・本発明によれば、当該室に持ち込むポッドの構成を蓋のみとすることが可能となることから、室或いはポッド内部と比較して清浄度で劣る環境下にあった構成物の室内部への侵入を最小限に止めることとなり、当該構成物起因のウエハ等の汚染を極力抑えることも可能となる。また、この場合、当該構成物の可動部分をシールによって室内部から分離することによって当該可動部分から発生する塵等に関しても、その室内部への侵入を防止できる。さらに、蓋の開閉を行う構成からの外気の侵入を防止することにより当該室内部の不活性ガス濃度を更に高純度として維持することが可能となる。また、外気に曝した状態で保管されていたポッドの蓋についても、ある程度以上の領域をパージ時構成される清浄空間に露出させること無くパージ操作を行えることから、当該蓋表面に起因した汚染物質の当該室内への拡散を抑止することが可能となる。」(段落【0015】) カ 発明を実施するための最良の形態 (ア) 「本発明の一実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るポッドの蓋開閉装置を有するガス置換装置、及び該ガス置換装置に所謂ロードされた状態にあるポッド、についてこれらの断面を模式的に示す図である。図1において、ポッド1は、一側面に開口2aを有する略方形状からなるポッド本体2と、該開口2aを閉鎖する蓋3とを有する。 ここで、図2、3A及び3Bを参照し、本発明が対象とするポッド1の構成について簡単に説明する。尚、図2はポッドの概略斜視図を、図3A及び3Bはラッチ機構の正面拡大図であって各々ラッチ状態及びラッチ解除状態での位置を示している。蓋3は平板形状を有し、その外側面(蓋開閉装置と向かい合う面)には被吸着領域5、及びラッチ機構10の矩形孔3c(後述、図3A参照)に連通する受容孔11が配置される。なお、ラッチ機構10は蓋3の平板形状の内部に収容され、該矩形孔3cが所定配置にある際にこれに連通するように受容孔11は配置される。被吸着領域5は、蓋開閉装置側に配置される後述する吸着パッドによって吸着される領域であり、該吸着パッドが容易且つ確実蓋が吸着保持されるように平滑な領域とされている。ラッチ機構10は蓋3に対して一対配置されており、各々の機構はラッチバー13及び円板15から構成され、これら構成は蓋3の内部に配置される。ラッチバー13は、一方向に延在する板状の部材からなり、一方の端部(先端部)においてラッチ爪13aとして作用する領域を有し、他方の端部(後端部)には延在面に対して垂直に起立する連結ピン13bを有する。ラッチ爪13aは、蓋3の外周面3aに設けられた突き出し孔3bから突き出し可能な幅及び厚さを有しする。また、ラッチバー13は、個々の突き出し孔3bに対応して配置される。外周面3aの上面及び下面には各々2つの突き出し孔3bが配置され、当該突き出し孔3bは、対辺同士では各々平行且つ向かい合って配置される。ラッチバー13は、各々軸線方向にスライドすることで突き出し可能となるように、対抗する突き出し孔3bに対応する一対が延在方向に整列して配置される。 円板15は、延在方向に整列して配置されるラッチバー13の間の中心にその中心が位置するよう配置され、蓋3に対して回動可能に支持される。円板15は、回転中心を中心として対称に配置される溝カム15a、及び中心部を円板と一致させた一方向に長い矩形状キー受容孔15bを有する。該溝カム15aは中心から90°の領域に延在し、一方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R1と、他方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R2とが異なるように構成される。前述した連結ピン13bは当該溝カム15aに挿貫される。以上の構成より、キー受容孔15bに後述するラッチキーが挿貫され円板15が回転されると、キー溝15aに沿って連結ピン13bの円板中心からの距離が変化し、当該変化に従ってラッチバー13が延在方向に沿ったスライド動作を行う。ラッチバー13の長さを適当な長さとすることにより、円板15を図3Aに示す状態(ラッチバー13の伸延状態)と図3Bに示す状態(ラッチバーの収縮状態)で、ラッチ爪13aの蓋3a外周面からの突き出し及び収容の状態を各々作ることが可能となる。 なお、ラッチ機構10を蓋3内部に収容するに際して、図3Aに示す状態にあるキー受容孔15bと整列するように蓋3の外側面には矩形孔3cが設けられている。後述するラッチキーはT字形状を有し、拡径部分がキー受容孔15bの奥行きと同等或いはそれ以下の厚さとされている。従って、ラッチキーを矩形孔3cに完全に挿入した状態において、蓋外側面はラッチキー及び円板15の回転に対して何ら障害とならなくなる。以上の構成からなるラッチ機構を動作させることにより、ポッド本体2に設けられた爪受容孔2bに対するラッチ爪13aへの突き出し及び退避の動作を実施することが可能となり、ポッド本体2に対する蓋3の固定或いは取り外しの動作を行うことが可能となる。」(段落【0016】~【0019】) (イ) 「以下に図面を参照して、当該本発明を適用したロードポート装置について述べる。・・・ ・・・ドア駆動機構55は、該開口51aを開放するための鉛直下方への下降を可能とするようにエアシリンダ等からなる公知の駆動系を有する。なお、これら構成はポート開口51aの下方に配置される筐体内部に収容されており、磁性流体シール55aを介してポートドア53を支持する支持アーム53aのみが微小空間52内に露出して存在している。」(段落【0037】~【0038】) キ 図面の簡単な説明 「【図1】本発明に係る蓋開閉装置の一実施形態を適用したパージ装置の概略構成を模式的に示す図である。 【図2】本発明に係る蓋開閉装置が蓋の開閉を実施するFOUP(ポッド)の概略構成を示す斜視図である。 【図3A】図2に示すポッドにおけるラッチ機構の要部拡大図である。 【図3B】図2に示すポッドにおけるラッチ機構の要部拡大図である。」(段落【0041】) ク 図面 (ア) (イ) (ウ) 2 引用例3 引用例3には、液晶又は半導体デバイスの製造分野で使用される低発塵で小型軽量な基板の搬送装置が記載されている。 3 引用例4 引用例4には、内部の雰囲気ガスの組成を所定の条件に調整可能なチャンバを有する培養処理装置に対して、生体試料を培養する培養容器を前記チャンバ内に搬出入するための容器運搬ケースであって、前記培養容器を配置可能な容器収納室を有するとともに、前記培養容器が通過可能な開口部によって前記容器収納室が外部と連通するケース本体と、前記チャンバと連通する前記培養処理装置の搬出入口に着脱可能であり、前記培養処理装置への装着状態のときに、前記容器収納室と前記搬出入口とを接続して外部雰囲気から隔離された空間を形成する接続部と、前記開口部を閉鎖して前記容器収納室を外部雰囲気から遮断する気密部材と、を備える容器運搬ケースが記載されている。 4 引用例5、引用例6 引用例5、引用例6には、複数枚の薄板を収納支持する容器本体と、当該容器本体を塞いで内部を清浄に保つ蓋体とを備えて構成された薄板用収納・保管容器において、上記蓋体に上記容器本体内を密封する二重シール機構を備え、当該二重シール機構が、上記蓋体の周縁部に取り付けられて上記容器本体側に当接することで容器本体内を密封する内側シール片と、上記蓋体の周縁部のうち上記内側シール片の外側に取り付けられて上記容器本体側に当接することで上記内側シール片と容器本体との当接部を密封する外側シール片とからなる薄板用収納・保管容器が記載されている。なお、引用例5は、本願の発明の詳細な説明において先行技術文献として示された「特許文献5」である。 5 引用例7 引用例7には、有底筒形でほぼドーム形を呈した基体の開口部を蓋体で被覆する容器であって、上記基体の開口部周縁から断面ほぼL字形の嵌合段差部を張り出してこの嵌合段差部の少なくとも内部底面には無端状の溝を形成し、上記蓋体の裏面に該嵌合段差部に嵌合する嵌合筒部を設けてこの嵌合筒部の少なくとも外周面には無端状の溝を形成し、上記溝にそれぞれ嵌入された弾性シール部材で上記基体と上記蓋体における間隙を閉塞する容器の封止構造が記載されている。 第5 引用発明 引用例1には、「被収容物を内部に収容可能であって一面に開口を有する略箱状の本体と、前記本体から分離可能であって前記開口を塞いで前記本体と共に密閉空間を形成する平板状の蓋と、前記蓋の外側面から操作可能であって前記蓋を前記本体に固定可能なラッチ機構と、を有する密閉容器」が記載されている(前記第4の1(2)ア及び(3)エ)ところ、「蓋3は平板形状を有し、その外側面(蓋開閉装置と向かい合う面)には被吸着領域5、及びラッチ機構10の矩形孔3c・・・に連通する受容孔11が配置される」、「ラッチ機構10は蓋3の平板形状の内部に収容され、該矩形孔3cが所定配置にある際にこれに連通するように受容孔11は配置される」、「ラッチ機構10は蓋3に対して一対配置されており、各々の機構はラッチバー13及び円板15から構成され、これら構成は蓋3の内部に配置される」、「ラッチバー13は、一方向に延在する板状の部材からなり、一方の端部(先端部)においてラッチ爪13aとして作用する領域を有し、他方の端部(後端部)には延在面に対して垂直に起立する連結ピン13bを有する」、「外周面3aの上面及び下面には各々2つの突き出し孔3bが配置され、当該突き出し孔3bは、対辺同士では各々平行且つ向かい合って配置される」、「ラッチバー13は、各々軸線方向にスライドすることで突き出し可能となるように、対抗する突き出し孔3bに対応する一対が延在方向に整列して配置される」、「円板15は、延在方向に整列して配置されるラッチバー13の間の中心にその中心が位置するよう配置され、蓋3に対して回動可能に支持される」、「円板15は、回転中心を中心として対称に配置される溝カム15a、及び中心部を円板と一致させた一方向に長い矩形状キー受容孔15bを有する」、「該溝カム15aは中心から90°の領域に延在し、一方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R1と、他方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R2とが異なるように構成される」、「前述した連結ピン13bは当該溝カム15aに挿貫される」、「ポッド本体2に設けられた爪受容孔2b」と記載されている(前記第4の1(3)カ(ア))ことから、引用例1には、「被収容物を内部に収容可能であって一面に開口を有する略箱状の本体と、前記本体から分離可能であって前記開口を塞いで前記本体と共に密閉空間を形成する平板状の蓋と、前記蓋の外側面から操作可能であって前記蓋を前記本体に固定可能なラッチ機構と、を有する密閉容器であって、 前記ラッチ機構は、一方の端部(先端部)にラッチ爪として作用する領域を有し、他方の端部(後端部)に延在面に対して垂直に起立する連結ピンを有する一方向に延在する板状の部材からなるラッチバー、並びに、延在方向に整列して配置される前記ラッチバーの間の中心にその中心が位置するよう配置され、前記蓋に対して回動可能に支持される円板であって、その回転中心を中心として対称に配置され、当該中心から90°の領域に延在し、一方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R1と、他方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R2とが異なるように構成される溝カム、及び中心部を円板と一致させた一方向に長い矩形状キー受容孔を有する円板から構成され、ここで、前記連結ピンは前記溝カムに挿貫されており、また、前記ラッチ機構は前記蓋の内部に一対配置されており、 前記蓋の外側面(蓋開閉装置と向かい合う面)には、被吸着領域及び前記ラッチ機構のキー受容孔に連通する受容孔が配置され、また、前記蓋の外周面の上面及び下面には前記ラッチ爪として作用する領域が突き出し可能な突き出し孔が配置され、当該突き出し孔は、対辺同士では各々平行且つ向かい合って配置され、ここで、前記ラッチバーは、各々軸線方向にスライドすることで突き出し可能となるように、対抗する前記突き出し孔に対応する一対が延在方向に整列して配置され、 前記本体には爪受容孔が設けられている、密閉容器。」についての発明(以下、この発明を「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明における「被収容物を内部に収容可能であって一面に開口を有する略箱状の本体」は本願発明1における「開口を含む容器本体」に、引用発明における「前記本体から分離可能であって前記開口を塞いで前記本体と共に密閉空間を形成する平板状の蓋」は本願発明1における「前記容器本体の開口に挿脱可能に設けられた蓋体」に相当する。 引用発明における蓋の内部に一対配置されたラッチ機構は、「以上の構成より、キー受容孔15bに後述するラッチキーが挿貫され円板15が回転されると、キー溝15aに沿って連結ピン13bの円板中心からの距離が変化し、当該変化に従ってラッチバー13が延在方向に沿ったスライド動作を行う。ラッチバー13の長さを適当な長さとすることにより、円板15を図3Aに示す状態(ラッチバー13の伸延状態)と図3Bに示す状態(ラッチバーの収縮状態)で、ラッチ爪13aの蓋3a外周面からの突き出し及び収容の状態を各々作ることが可能となる。・・・以上の構成からなるラッチ機構を動作させることにより、ポッド本体2に設けられた爪受容孔2bに対するラッチ爪13aへの突き出し及び退避の動作を実施することが可能となり、ポッド本体2に対する蓋3の固定或いは取り外しの動作を行うことが可能となる。」(前記第4の1(3)カ(ア))というものであることから、引用発明におけるラッチバーの一方の端部(先端部)における「ラッチ爪として作用する領域」は本願発明1における「直線移動可能な係止部材」に、引用発明における「円板」は本願発明1における「回転可能な回転部材」に相当し、また、引用発明における「一方の端部(先端部)にラッチ爪として作用する領域を有し、他方の端部(後端部)に延在面に対して垂直に起立する連結ピンを有する一方向に延在する板状の部材からなるラッチバー」と「延在方向に整列して配置される前記ラッチバーの間の中心にその中心が位置するよう配置され、前記蓋に対して回動可能に支持される円板であって、その回転中心を中心として対称に配置され、当該中心から90°の領域に延在し、一方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R1と、他方の端部の溝幅の中心と円板中心との距離R2とが異なるように構成される溝カム、及び中心部を円板と一致させた一方向に長い矩形状キー受容孔を有する円板」であって、「前記連結ピンは前記溝カムに挿貫されて」いる構成は、本願発明1における「前記回転部材の回転運動を前記係止部材の直線運動に変換する変換機構」に、引用発明における本体に設けられた「爪受容孔」は本願発明1における本体に設けられた「係止穴」に相当する。 引用発明における「蓋の外周面の上面及び下面」における「前記ラッチ爪として作用する領域が突き出し可能な突き出し孔」は、本願発明1における「前記蓋体の内部から外周部に延び、前記係止穴と対向可能な第1開口」に相当し、引用発明における「前記蓋の外側面(蓋開閉装置と向かい合う面)」における「前記ラッチ機構のキー受容孔に連通する受容孔」は、本願発明1における「前記蓋体の内部から前記容器本体側とは反対側の端部に延び」た「第2開口」に相当する。そして、引用発明における蓋に配置されたこれらの孔(「前記ラッチ爪として作用する領域が突き出し可能な突き出し孔」及び「前記ラッチ機構のキー受容孔に連通する受容孔」)について、引用例1には、蓋内部がシールされ、これらの孔が蓋の内部において連通していない旨の記述は存在しないことから、本願発明1における「第1開口」に相当する「前記ラッチ爪として作用する領域が突き出し可能な突き出し孔」と、本願発明1における「第2開口」に相当する「前記ラッチ機構のキー受容孔に連通する受容孔」は、連通しているものと認められる。 また、引用例1では、本体に設けられた「爪受容孔」の本体上の位置は明記されていないものの、引用発明は蓋の外周面に配置された突き出し孔から、ラッチ爪として作用する領域が突き出され、また、退避(収容)されることにより、本体と蓋の固定或いは取り外しが可能となるものである(前記第4の1(3)カ(ア))ことから、引用発明における「爪受容孔」は、本体の開口を規定する内周部に配置されているものと認められる。 そして、引用発明は、略箱状の本体の一面に存在する「開口を塞いで前記本体と共に密閉空間を形成する平板状の蓋」を有する密閉容器についての発明であることから、略箱状の本体の開口部に平板状の蓋をすることにより、本体内部に密閉空間が形成されるものと認められる。また、上述したように、引用発明は蓋の外周面に配置された突き出し孔から、ラッチ爪として作用する領域が突き出され、また、退避(収容)されることにより、本体と蓋の固定或いは取り外しが可能となるものであることから、平板状の蓋の外周部と本体の開口を規定する内周部が接する形式で、前記開口が塞がれ、蓋と本体が接する部分にシール要素ないしシール部材が適用されることにより密閉されるものと認められるところ、上述のとおり、引用発明では本願発明1における「第1開口」に相当する「突き出し孔」と「第2開口」に相当する「受容孔」は連通していると認められることから、引用発明における前記シール要素ないしシール部材は、前記「突き出し孔」及び「受容孔」の本体に対して内側に位置するものである。 そうしてみると、両者は、「開口を含む容器本体と、 前記容器本体の開口に挿脱可能に設けられた蓋体と、 前記容器本体と前記蓋体との間の隙間であって、前記蓋体の外方側の隙間をシールするように設けられた第1シール要素と、 を備え、 前記容器本体の開口を規定する内周部には、係止穴が設けられ、 前記蓋体には、前記蓋体の内部から外周部に延び、前記係止穴と対向可能な第1開口が設けられ、 前記蓋体には、前記蓋体の内部から前記容器本体側とは反対側の端部に延び、前記第1開口と連通する第2開口が設けられ、 前記蓋体はその内部に、 前記第1開口から出没する方向に直線移動可能な係止部材と、 前記第2開口内に設けられた回転可能な回転部材と、 前記回転部材の回転運動を前記係止部材の直線運動に変換する変換機構と、 を有する密閉容器。」で一致し、 第1シール要素が、本願発明1では、「前記(容器本体の)開口を規定する内周部の縁に設けられ」ており、また、「前記係止部材の前記容器本体に対して外側に位置し、かつ、前記蓋体の外方側周縁に位置する」のに対し、引用発明では、前記係止部材の本体に対して内側に位置するものであり、容器本体に設けられているか、蓋体に設けられているかについては不明である点(相違点1)、及び、本願発明1は、「前記第2開口をシールするように設けられた第2シール部材」を備え、また、当該「第2シール部材」は、「前記係止部材の前記容器本体に対して外側に位置」するのに対し、引用発明はそのような第2シール部材を備えることも、その位置についても明記されていない点(相違点2)において相違する。 (2) 相違点についての判断 まず、上記相違点2について検討する。 引用例1には、引用発明である密閉容器の蓋を開閉する蓋開閉装置であって、前記密閉容器の開口部を略閉鎖可能であって前記蓋の外側面と近接して前記密閉容器のラッチ機構と協働して前記蓋の前記密閉容器の本体に対しての固定及び非固定の状態を選択可能とするラッチ機構駆動部材と、前記蓋の外側面に作用して前記蓋を保持する保持部材と、を前記蓋と正対する面に有するドアと、前記ラッチ機構駆動部材及び前記保持部材の少なくとも何れかである可動する部材を囲むように前記ドアにおける前記蓋との正対面に配置されて、前記ドアが前記蓋を保持した状態において前記可動する部材を周囲空間から空間的に分離するシール部材と、を有する蓋開閉装置が記載されており(前記第4の1(2)ア及び(3)エ)、当該シール部材は、当該可動する部材から発生する塵等の室内部への侵入が防止できるというものである(前記第4の1(3)オ)。しかし、当該シール部材は、密閉容器の蓋を開閉する蓋開閉装置におけるドアに備えられるものであって、密閉容器自体に備えられるものではない。また、引用例1には、請求項3に係る発明(前記第4の1(2)イ)に関し、「ドア駆動機構55は、該開口51aを開放するための鉛直下方への下降を可能とするようにエアシリンダ等からなる公知の駆動系を有する。なお、これら構成はポート開口51aの下方に配置される筐体内部に収容されており、磁性流体シール55aを介してポートドア53を支持する支持アーム53aのみが微小空間52内に露出して存在している。」(前記第4の1(3)カ(イ))と記載されており、当該発明においても、シール部材の一種である磁性流体シールを使用して可動する部材を周囲空間から空間的に分離することが記載されているものの、当該磁性流体シールも、密閉容器の蓋を開閉する蓋開閉装置におけるドア駆動機構に備えられるものであって、密閉容器自体に備えられるものではない。このように、引用例1には、引用発明の受容孔をシールすることについては記載されていない。 引用例1には、可動する部材から発生する塵等の清浄な空間への侵入をシール部材によって防止することは記載されている。しかし、引用発明の密閉容器については、蓋と本体が接する部分に備えられたシール要素ないしシール部材により容器内部の密閉が確保されていると理解できることは前記(1)で述べたとおりであるし、引用例1に記載された蓋開閉装置においては、当該蓋開閉装置のドアに備えられたシール部材により当該蓋開閉装置における可動する部材が周囲空間から空間的に分離されており、また、引用例1に記載されたロードポート装置においては、磁性流体シールによりエアシリンダ等からなる公知の駆動系が周囲空間から空間的に分離されているように、引用例1では、そこに記載されたシール部材により、可動する部材から発生する塵等の清浄な空間への侵入防止が図られていることを勘案すると、引用例1に接した当業者が、引用発明における受容孔、すなわち、第2開口をシールすることを想到するということはできない。 また、引用例3ないし7にも、引用発明の密閉容器の受容孔に相当する開口部をシールすることについては、記載も示唆もされていない。 したがって、本願発明1と引用発明の相違点2について、これを、当業者が容易に想到することができたものであるということはできない。 2 本願発明6について 本願発明6は、「前記蓋体の内部に、前記蓋体を前記容器本体へ係止するための係止部材と、前記係止部材を可動させる可動部材とが設けられ、更に前記蓋体の内部に、前記蓋体と前記可動部材との間をシールするための第2シール部材が設けられ」た密閉容器についての発明であり、「前記蓋体と前記可動部材との間」とは本願発明1における「第2開口」に相当する箇所である。そして、前記1で述べたように、本願発明1における「第2開口」をシールすることについて、当業者が容易に想到することができたということはできないことから、本願発明6における蓋体と可動部材との間をシールすることについても、当業者が容易に想到することができたものであるということはできない。 3 本願発明2ないし5及び7ないし10について 本願発明2ないし5及び7ないし10は、本願発明1又は6を直接又は間接的に引用する発明であるが、上述のとおり、本願発明1及び6が進歩性を有することから、本願発明2ないし5及び7ないし10も、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定について 1 理由1(新規事項を追加する補正)について 審判請求時の補正により、平成28年8月29日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1及び9における「第1シール部材」は「第1シール要素」に補正されており、また、上記手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項6及び7は削除されたので、原査定の理由1を維持することはできない。 2 理由2(発明の特別な技術的特徴を変更する補正)及び理由3(明確性要件)について 審判請求時の補正により平成28年8月29日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項7、8、14ないし16は削除されていることから、原査定の理由2及び3を維持することはできない。 3 理由4(進歩性)について 審判請求時に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に係る発明が、引用例1、3及び4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたということができない点は前記第3ないし6において述べたとおりである。また、平成28年7月6日付け拒絶理由通知書において引用された引用例2(特開平7-153826号公報)にも、引用発明の密閉容器の受容孔に相当する開口部をシールすることについては記載も示唆もされていない。したがって、原査定の理由4を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-002843

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