特許拒絶査定不服審判
2017-002746
遊技機
- 審判番号
- 2017-002746
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-183684外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月27日
- 審決日
- 2017年09月04日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人JAZY国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-183684号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月30日出願公開、特開2017-60539号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月17日の出願であって,平成28年9月8日付けの拒絶理由の通知に対し、平成28年11月10日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成28年11月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年2月27日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。
第2 平成29年2月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年2月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年11月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「遊技の進行を制御すると共に、始動入賞口への遊技球の入賞を検知したことを示す始動入賞コマンド、図柄の変動を開始することを示す変動開始コマンド等の遊技の進行に応じたコマンド、及び、当該制御手段に電源が再投入されたことを示す電源復旧コマンドを含む複数種類のコマンドを生成し得る主制御手段と、
少なくとも画像表示と音出力とを実行する演出手段と、
前記主制御手段が生成したコマンドを受信し、受信した少なくとも前記主制御手段が生成したコマンドに基づいて、前記演出手段において実行される画像表示又は音出力の内容を変更可能な演出制御手段と、
前記演出制御手段の制御に基づいて表示手段の表示画像を変更可能な表示制御手段と
を備える遊技機であって、
前記表示制御手段は、前記表示手段の表示画像として、客待ち中における操作手段の所定の操作を契機として出現させる所定の動画像を表示させているときに前記演出制御手段が受信したコマンドが、前記主制御手段が生成したコマンドであるか否かに関わらず前記電源復旧コマンドである場合、前記表示手段において前記動画像を視認不能にすると共に前記電源復旧コマンドに対応する画像を表示させることを特徴とする遊技機。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。また、下記A~Kは、当審にて分説して付与した。)
「A 遊技の進行を制御すると共に、始動入賞口への遊技球の入賞を検知したことを示す始動入賞コマンド、図柄の変動を開始することを示す変動開始コマンド等の遊技の進行に応じたコマンド、及び、当該制御手段に電源が再投入されたことを示す電源復旧コマンドを含む複数種類のコマンドを生成し得る主制御手段と、
B 少なくとも画像表示と音出力とを実行する演出手段と、
C 前記主制御手段が生成したコマンドを受信し、受信した少なくとも前記主制御手段が生成したコマンドに基づいて、前記演出手段において実行される画像表示又は音出力の内容を変更可能な演出制御手段と、
D 前記演出制御手段の制御に基づいて表示手段の表示画像を変更可能な表示制御手段と
を備える遊技機であって、
E 前記表示制御手段は、前記演出制御手段が初期化処理を終えて遊技者による遊技が可能な客待ち状態に移行した後において、前記表示手段の表示画像として、客待ち中における操作手段の所定の操作を契機として出現させる所定の動画像を表示させているときに前記演出制御手段が受信したコマンドが、前記主制御手段が生成したコマンドであるか否かに関わらず前記電源復旧コマンドである場合、前記表示手段において前記動画像を視認不能にすると共に前記電源復旧コマンドに対応する画像を表示させることを特徴とする遊技機。」
2 補正の目的
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定の動画像」の出現契機について、「前記演出制御手段が初期化処理を終えて遊技者による遊技が可能な客待ち状態に移行した後において、」を加えて限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、上記補正は、新規事項を追加するものではない。
3 独立特許要件
そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法17条の2第6項において準用する特許法126条7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開2009-095423号公報(平成21年5月7日出願公開。以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
・記載事項
ア 「【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示部を備え、該可変表示部に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させる遊技機に関する。」
イ 「【0008】
遊技機を突然確変大当りに移行するように構成すれば、突然、遊技状態が確変状態に移行したように遊技者に見せて、遊技に対する興趣をある程度向上させることができる。また、特許文献1に記載された遊技機のように構成すれば、可変表示装置における1回の可変表示中に恰も複数回変動するように見せることによって、遊技に対する興趣をある程度向上させることができる。しかし、突然確変大当りと擬似連続変動演出とを関連付けた演出を行うことは開示されていない。そのため、突然確変大当りに移行可能に構成した遊技機において、突然確変大当りと擬似連続変動演出とを関連付けた演出を行えるようにして、遊技に対する興趣をさらに向上できるようにすることが望ましい。
【0009】
そこで、本発明は、突然確変大当りに移行可能に構成した遊技機において、突然確変大当りと擬似連続変動演出とを関連付けた演出を行えるようにして、遊技に対する興趣を向上できる遊技機を提供することを目的とする。」
ウ 「【0086】
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。」
エ 「【0093】
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する第1飾り図柄表示器9aおよび第2飾り図柄表示器9bと、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段は、操作ボタン120からの検出信号を入力したことにもとづいて、操作ボタン120が操作されたこと(押されたこと)を認識する。
・・・
【0095】
演出制御基板80は、演出制御用CPU101およびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、出力ポート106を介して第1飾り図柄表示器9aおよび第2飾り図柄表示器9bの表示制御を行うとともに、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
【0096】
この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行うVDP109が演出制御基板80に搭載されている。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、VDPによって生成された画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP109は、VRAM内の画像データを演出表示装置9に出力する。」
オ 「【0103】
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。」
カ 「【0169】
図15および図16は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が送信する演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。図15に示す例において、コマンド80XX(H)は、特別図柄の可変表示に対応して飾り図柄表示器および演出表示装置9において可変表示される飾り図柄および演出図柄の変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)である。なお、「(H)」は16進数であることを示す。また、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。従って、演出制御用マイクロコンピュータ100は、コマンド80XX(H)のいずれかを受信すると、飾り図柄表示器および演出表示装置9において飾り図柄および演出図柄の可変表示を開始するように制御する。
・・・
【0173】
コマンド9000(H)は、遊技機に対する電力供給が開始されたときに送信される、初期画面を表示することを指定する演出制御コマンド(初期化指定コマンド:電源投入指定コマンド)である。コマンド9200(H)は、遊技機に対する電力供給が再開されたときに送信される、停電復旧画面を表示することを指定する演出制御コマンド(停電復旧指定コマンド)である。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技機に対する電力供給が開始されたときに、バックアップRAMにデータが保存されている場合には、停電復旧指定コマンドを送信し、そうでない場合には、初期化指定コマンドを送信する。
・・・
【0177】
コマンド9F00(H)は、客待ちデモンストレーションを指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)である。
・・・
【0181】
コマンドC000(H)は、第1始動入賞があったことを指定する演出制御コマンド(第1始動入賞指定コマンド)である。コマンドC100(H)は、第2始動入賞があったことを指定する演出制御コマンド(第2始動入賞指定コマンド)である。第1始動入賞指定コマンドと第2始動入賞指定コマンドとを、始動入賞指定コマンドと総称することがある。
・・・
【0183】
演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)は、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560から上述した演出制御コマンドを受信すると、図15および図16に示された内容に応じて演出表示装置9の表示状態を変更したり、ランプの表示状態を変更したり、音声出力基板70に対して音番号データを出力したりする。」
キ 「【0189】
特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動入賞口13(図1参照)に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ13a、または第2始動入賞口14(図1参照)に遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち第1始動入賞または第2始動入賞が発生していたら、始動口スイッチ通過処理を実行する。具体的には、スイッチオンバッファのデータを読み出して、例えばレジスタやRAM55の所定領域にロードする(ステップS321)。そして、ロードした内容(ロードしたデータ)とC0(H)とのビット毎の論理積演算を行い演算結果が0でない場合には(ステップS322)、始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS1323)。そして、ステップS300~S311のうちのいずれかの処理を行う。また、C0(H)は、スイッチオンバッファの第1始動口スイッチ13aおよび第2始動口スイッチ14aからの検出信号の入力ビットに対応する値である。」
ク 「【0297】
次に、演出制御手段の動作を説明する。図32は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視(ステップS702)を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS703)、以下の演出制御処理を実行する。
【0298】
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:ステップS704)。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS705)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置9の表示制御を実行する。
・・・
【0302】
図34~図36は、コマンド解析処理(ステップS704)の具体例を示すフローチャートである。主基板31から受信された演出制御コマンドは受信コマンドバッファに格納されるが、コマンド解析処理では、演出制御用CPU101は、コマンド受信バッファに格納されているコマンドの内容を確認する。」
ケ 「【0311】
また、受信した演出制御コマンドが停電復旧指定コマンドであれば(ステップS633)、あらかじめ決められている停電復旧画面(遊技状態が継続していることを遊技者に報知する情報を表示する画面)を表示する制御を行い(ステップS634)、停電復旧フラグをセットする(ステップS635)。
・・・
【0315】
受信した演出制御コマンドがその他のコマンドであれば、演出制御用CPU101は、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする(ステップS663)。そして、ステップS611に移行する。」
・認定事項
コ 刊行物1の段落【0297】の「・・・演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)・・・演出制御用CPU101は、電源が投入されると、・・・初期化処理を行う・・・。その後、・・・演出制御用CPU101は、演出制御処理を実行する。」との記載、
同段落【0298】の「演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、・・・演出表示装置9の表示制御を実行する。」との記載、
同段落【0095】の「・・・演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、・・・VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。」との記載、
同段落【0177】の「・・・客待ちデモンストレーションを指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)である。」との記載から、刊行物には、次の事項が示されているものと認められる。
認定事項1
「VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109は、演出制御用マイクロコンピュータ100により、初期化処理が行われた後、客待ちデモ指定コマンドが受信され、演出表示装置9に客待ちデモンストレーション表示を行う」ことが示されている。
ところで、外部要因により生じる瞬時的な停電は、遊技機の状態如何に関わらず、あらゆるタイミングで起こり得るものであるから、客待ちデモンストレーション表示を行っているときにも生じ得るものである。
そして、刊行物1の【0173】に「・・・遊技機に対する電力供給が再開されたときに送信される、停電復旧画面を表示することを指定する演出制御コマンド(停電復旧指定コマンド)である。」ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、認定事項1に加え、次の事項が示されているものと認められる。
認定事項2
「VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109は、演出表示装置9に客待ちデモンストレーション表示を行っているときに、停電に伴い電力供給が再開され、演出制御用マイクロコンピュータ100が停電復旧指定コマンドを受信すると、演出表示装置9に停電復旧画面表示を行う」ことが示されている。
上記ア~ケの記載事項及び上記コの認定事項により、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる。
「a 遊技進行制御を行い(【0086】)、
第1始動入賞口13への遊技球の入賞が検出されたことを指定する第1始動入賞指定コマンド、第2始動入賞口14への遊技球の入賞が検出されたことを指定する第2始動入賞指定コマンド(【0181】、【0189】)、変動開始を指定する変動パターンコマンド(【0169】)、遊技機に対する電力供給が再開されたときに送信される停電復旧指定コマンド(【0173】)、客待ちデモンストレーションを指定する客待ちデモ指定コマンド(【0177】)等の演出制御コマンドを送信する
遊技制御用マイクロコンピュータ560(【0169】)と、
b 演出図柄の可変表示を開始する演出表示装置9と、音声や効果音を出力するスピーカ27と(【0103】、【0169】)、
c 遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9の表示制御を行うと共に、音声出力基板70に対して音番号データを出力する演出制御用マイクロコンピュータ100と(【0093】、【0183】)、
d 演出制御用マイクロコンピュータ100からの演出制御コマンドにもとづいて画像データを生成し、演出表示装置9の表示制御を行うVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109(【0095】、【0096】)
を備える遊技機(段落【0001】)であって、
e VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109は、演出制御用マイクロコンピュータ100により、初期化処理が行われた後、客待ちデモ指定コマンドが受信され、演出表示装置9に客待ちデモンストレーション表示を行っているときに、停電に伴い電力供給が再開され、演出制御用マイクロコンピュータ100が停電復旧指定コマンドを受信すると、演出表示装置9に停電復旧画面表示を行う(認定事項1~2)
遊技機【0001】)。」
(3)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する。なお、刊行物発明の構成a~eに対応した見出し(a)~(e)を付した。
(a)刊行物発明における「遊技進行制御を行」うことは、本件補正発明における「遊技の進行を制御する」ことに相当する。
そして、刊行物発明における「第1始動入賞口13への遊技球の入賞が検出されたことを指定する第1始動入賞指定コマンド、第2始動入賞口14への遊技球の入賞が検出されたことを指定する第2始動入賞指定コマンド」、「変動開始を指定する変動パターンコマンド」は、それぞれ、本件補正発明における「始動入賞口への遊技球の入賞を検知したことを示す始動入賞コマンド」、「図柄の変動を開始することを示す変動開始コマンド」に相当することから、刊行物発明における「第1始動入賞指定コマンド」、「第2始動入賞指定コマンド」、及び、「変動パターンコマンド」は、本件補正発明における「遊技の進行に応じたコマンド」に相当する。
また、刊行物発明における「遊技機に対する電力供給が再開されたときに送信される停電復旧指定コマンド」は、本件補正発明における「制御手段に電源が再投入されたことを示す電源復旧コマンド」に相当する。
したがって、刊行物発明における「演出制御コマンドを送信する遊技制御用マイクロコンピュータ560」は、本件補正発明における「複数種類のコマンドを生成し得る主制御手段」に相当する。
(b)刊行物発明における「演出図柄の可変表示を開始する」ことは、構成dによると、「演出表示装置9」において、「画像データ」による「表示制御」が行われることから、本件補正発明における「画像表示」「を実行する」ことに相当する。
そして、刊行物発明における「音声や効果音を出力する」ことは、本件補正発明における「音出力」「を実行する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における「演出図柄の可変表示を開始する演出表示装置9と、音声や効果音を出力するスピーカ27」は、本件補正発明における「少なくとも画像表示と音出力とを実行する演出手段」に相当する。
(c)刊行物発明における「遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御コマンドを受信」することは、本件補正発明における「主制御手段が生成したコマンドを受信」することに相当する。
そして、刊行物発明における「演出図柄を可変表示する演出表示装置9の表示制御を行うと共に、音声出力基板70に対して音番号データを出力する」ことは、「遊技制御用マイクロコンピュータ560から」「受信し」た「演出制御コマンドにもとづいて」「演出表示装置9」の「表示制御を行」って、「演出表示装置9」の出力内容を変更可能とし、あるいは、「遊技制御用マイクロコンピュータ560から」「受信し」た「演出制御コマンド」にもとづいて「スピーカ27」へ「音番号データを出力」して、「スピーカ27」からの出力内容を変更可能とするものであるから、本件補正発明における「受信した少なくとも主制御手段が生成したコマンドに基づいて、演出手段において実行される画像表示又は音出力の内容を変更可能」とすることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成cは、本件補正発明における構成Cに相当する。
(d)刊行物発明における「演出制御用マイクロコンピュータ100からの演出制御コマンドにもとづいて、演出表示装置9の表示制御を行うVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109を備える遊技機」は、本件補正発明における「演出制御手段の制御に基づいて表示手段の表示画像を変更可能な表示制御手段」「を備える遊技機」に相当する。
(e)刊行物発明において、「VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109は、演出制御用マイクロコンピュータ100により、初期化処理が行われた後、客待ちデモ指定コマンドが受信され」た後、客待ちデモ状態に移行することから、刊行物発明は、本件補正発明における「表示制御手段は、前記演出制御手段が初期化処理を終えて遊技者による遊技が可能な客待ち状態に移行した後」に相当する構成を備えているといえる。
そして、刊行物発明における「演出表示装置9に客待ちデモンストレーション表示を行っているとき」と、本件補正発明における「表示手段の表示画像として、客待ち中における操作手段の所定の操作を契機として出現させる所定の動画像を表示させているとき」とは、刊行物発明における「客待ちデモンストレーション表示」が動画像によるものであることは、当業者にとって明らかであるから、両者は、「表示手段の表示画像として、客待ち中における所定の動画像を表示させているとき」で共通する。
また、刊行物発明における「停電に伴い電力供給が再開され、演出制御用マイクロコンピュータ100が停電復旧指定コマンドを受信する」ことと、本件補正発明における「演出制御手段が受信したコマンドが、主制御手段が生成したコマンドであるか否かに関わらず電源復旧コマンドである場合」とは、刊行物発明における「停電復旧指定コマンド」が、「演出制御用マイクロコンピュータ100」により生成されたものであることが明らかであるから、両者は、「演出制御手段が受信したコマンドが、主制御手段が生成したコマンドである電源復旧コマンドである場合」で共通する。
さらに、刊行物発明における「演出表示装置9に停電復旧画面表示を行う」ことは、停電復旧を報知するための「画面」を表示することであるから、本件補正発明における「表示手段において電源復旧コマンドに対応する画像を表示させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成eと本件補正発明における構成Eとは、「表示制御手段は、演出制御手段が初期化処理を終えて遊技者による遊技が可能な客待ち状態に移行した後において、表示手段の表示画像として、客待ち中における所定の動画像を表示させているときに演出制御手段が受信したコマンドが、主制御手段が生成したコマンドである電源復旧コマンドである場合、表示手段において電源復旧コマンドに対応する画像を表示させる」ことで共通する。
よって、本件補正発明と刊行物発明とは、
「A 遊技の進行を制御すると共に、始動入賞口への遊技球の入賞を検知したことを示す始動入賞コマンド、図柄の変動を開始することを示す変動開始コマンド等の遊技の進行に応じたコマンド、及び、当該制御手段に電源が再投入されたことを示す電源復旧コマンドを含む複数種類のコマンドを生成し得る主制御手段と、
B 少なくとも画像表示と音出力とを実行する演出手段と、
C 前記主制御手段が生成したコマンドを受信し、受信した少なくとも前記主制御手段が生成したコマンドに基づいて、前記演出手段において実行される画像表示又は音出力の内容を変更可能な演出制御手段と、
D 前記演出制御手段の制御に基づいて表示手段の表示画像を変更可能な表示制御手段と
を備える遊技機であって、
E’前記表示制御手段は、前記演出制御手段が初期化処理を終えて遊技者による遊技が可能な客待ち状態に移行した後において、前記表示手段の表示画像として、客待ち中における所定の動画像を表示させているときに前記演出制御手段が受信したコマンドが、前記主制御手段が生成したコマンドである前記電源復旧コマンドである場合、前記表示手段において前記電源復旧コマンドに対応する画像を表示させる遊技機。」
である点で一致し、構成Eに関し、次の点で相違する。
[相違点1]
客待ち中に表示される所定の動画像に関し、本件補正発明は、客待ち中における操作手段の所定の操作を契機として出現させ、電源復旧コマンドを受信したときに視認不能にされるものであるが、刊行物発明は、そのような構成を有していない点。
[相違点2]
電源復旧コマンドに関し、本件補正発明は、主制御手段が生成したコマンドであるか否かに関わらないが、刊行物発明は、主制御手段が生成したコマンドである点。
(4)当審の判断
ア 相違点1について
上記相違点1について検討する。
刊行物発明は、「遊技に対する興趣を向上できる遊技機を提供する」(段落【0009】)ことを目的とするものである。
そして、遊技機の技術分野において、客待ち中における遊技者による操作手段の操作を契機として所定の動画像を出現させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2009-72395号公報の【請求項1】~【請求項4】、段落【0015】、【0016】、【0076】には、非遊技中に遊技者が、遊技機の操作スイッチSを押下することにより、遊技方法解説演出を含む特別なデモ表示を実行して、遊技者の遊技意欲を高揚させることが記載され、特開2014-345号公報の段落【0004】、【0005】、【0491】には、客待ちA状態中に遊技者が、遊技機の演出ボタン9を押すことにより、「ムービー再生によるデモ表示状態」に表示状態を切り換え、遊技者の操作を演出内容に反映して遊技の興趣を高めることが記載されている。以下「周知の技術事項1」という。)。
また、同じく、遊技機の技術分野において、表示画面を切り替える際に、それまで表示されていた動画像を視認不能にすると共に、新たな動画像を表示させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、上記特開2009-72395号公報の【請求項1】~【請求項4】、段落【0015】、【0016】、【0076】には、通常のデモ表示から強制的に遊技方法解説演出を含む特別なデモ表示に切り替えることが記載され、上記特開2014-345号公報の段落【0474】~【0476】、【0491】には、図柄表示の客待ちデモ演出からムービー表示の客待ちデモ演出に切り替えることが記載されている。以下「周知の技術事項2」という。)うえに、当業者にとっての技術常識でもある。
したがって、刊行物発明に上記周知の技術事項1を適用して、客待ちデモンストレーション表示を行っているときに、遊技者による操作手段の操作を契機として所定の動画像を出現させるようにし、さらに、上記周知の技術事項2に倣って、停電復旧指定コマンドを受信したときに所定の動画像を視認不能にすると共に、停電復旧画面を表示し、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
イ 相違点2について
上記相違点2について検討する。
同じく、遊技機の技術分野において、遊技機の検査、試験を能率良く且つ短時間で実行するため、遊技制御手段以外の制御手段である試験装置から、演出制御手段に対し、遊技制御手段に替わって任意のタイミングで各種コマンドを送信し得るようにすることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2000-51490号公報の段落【0027】、【0033】~【0049】、【図2】、【図4】や、登録実用新案第3056464号公報の段落【0012】~【0022】、【図2】、【図4】を参照のこと。以下「周知の技術事項3」という。)。
また、遊技機の技術分野において、通常遊技時には、遊技機の主制御手段から演出制御手段にコマンドを送信すると共に、遊技機の検査、試験時には、試験装置から遊技機の演出制御手段に通常遊技時に送信されるコマンドと同じコマンドを送信することは、当業者における技術常識であって当業者に広く知られている事項である。したがって、このことを踏まえると、刊行物発明は、遊技機の検査、試験を行う際、検査、試験を能率良く且つ短時間で実行するという自明の課題を内在するものである。
ゆえに、刊行物発明に上記周知の技術事項3を適用して、電源復旧コマンドを主制御手段により生成すると共に、試験を行う際に、試験装置によっても同じコマンドを生成可能とし、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が必要に応じてなし得たものである。
ウ 本件補正発明により奏される効果について
上記相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明、上記周知の技術事項1、2により奏される効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 請求人の主張について
請求人は、平成29年2月27日付け審判請求書において、本件補正発明が奏する効果について、
「(d)本願発明と引用発明との対比
本願発明は、上記(構成a)を有することにより、初期化処理を終えて客待ち状態に移行した後に電源復旧コマンドを受信した場合に、所定の操作により出現させている所定の動画像を視認不能にして電源復旧コマンドに対応する画像を表示させるので、客待ち状態に移行後に電源復旧コマンドの受信という通常あり得ない状況にも適切に対応することが可能になるという本願特有の効果を発揮するものである。」と主張する。
しかしながら、「客待ち状態に移行後に電源復旧コマンド」を受信することは、上記第2[理由]3(2)コにおいて検討したように、「外部要因により生じる瞬時的な停電は、遊技機の状態如何に関わらず、あらゆるタイミングで起こり得るものである」という性質からみて、刊行物発明において、想定される範囲内のものであり、請求人の主張する「通常あり得ない状況」でないことは明らかである。
したがって、上記請求人の主張を採用することはできない。
オ 小括
上記ア~エにおいて検討したことからみて、本件補正発明は、刊行物発明、上記周知の技術事項1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 まとめ
上記3において検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反してなされたものであるから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法52条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年2月27日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年11月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。再掲すれば、次のとおりである。
「遊技の進行を制御すると共に、始動入賞口への遊技球の入賞を検知したことを示す始動入賞コマンド、図柄の変動を開始することを示す変動開始コマンド等の遊技の進行に応じたコマンド、及び、当該制御手段に電源が再投入されたことを示す電源復旧コマンドを含む複数種類のコマンドを生成し得る主制御手段と、
少なくとも画像表示と音出力とを実行する演出手段と、
前記主制御手段が生成したコマンドを受信し、受信した少なくとも前記主制御手段が生成したコマンドに基づいて、前記演出手段において実行される画像表示又は音出力の内容を変更可能な演出制御手段と、
前記演出制御手段の制御に基づいて表示手段の表示画像を変更可能な表示制御手段と
を備える遊技機であって、
前記表示制御手段は、前記表示手段の表示画像として、客待ち中における操作手段の所定の操作を契機として出現させる所定の動画像を表示させているときに前記演出制御手段が受信したコマンドが、前記主制御手段が生成したコマンドであるか否かに関わらず前記電源復旧コマンドである場合、前記表示手段において前記動画像を視認不能にすると共に前記電源復旧コマンドに対応する画像を表示させることを特徴とする遊技機。」
2 刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1及びその記載事項は、前記第2の[理由]3(2)に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]3で検討した本件補正発明から、「前記演出制御手段が初期化処理を終えて遊技者による遊技が可能な客待ち状態に移行した後において、」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]3(3)、(4)に記載したとおり、刊行物発明、上記周知の技術事項1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物発明、上記周知の技術事項1、2に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
4 むすび
上記3において検討したとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-002746