審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2016-018266

トナーバインダー及びトナー

審判番号
2016-018266
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-224092外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月05日
審決日
2018年01月22日
公報発行日
2018年03月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (G03G) / P18 .121-WY (G03G) / P18 .537-WY (G03G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-224092「トナーバインダー及びトナー」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 1日出願公開、特開2014- 77832、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年10月9日の出願であって、平成28年3月25日付けで拒絶理由が通知され、同年6月3日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年8月31日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し同年12月5日付けで拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。 その後、平成29年9月15日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知し、その応答期間中の同年11月1日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされた。 第2 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。 ●理由1(特許法第29条第1項第3号)について この出願の平成28年6月3日付け手続補正の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献等1又は2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 ●理由2(特許法第29条第2項)について この出願の平成28年6月3日付け手続補正の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献等1~6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2012-98719号公報 2.特開2010-77419号公報 3.特開2006-276074号公報 4.特開2007-322999号公報 5.特開2010-168530号公報 6.特開2009-215414号公報 第3 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要は以下のとおりである。 (サポート要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 本件出願の平成28年12月5日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明は、何れも、結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーを必須の構成要件とするものであるが、トナーバインダーにおける結晶性樹脂(A)の含有率を特定していない。 出願時の技術常識に照らしても、請求項1~5に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 よって、請求項1~5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 2 これに対し、本願の請求項1~5に係る発明は、平成29年11月1日付けの手続補正により、「結晶性樹脂(A)の含有率は、トナーバインダーの重量に基づいて40重量%以上」とする要件を有するものとなった。 この結果、当審拒絶理由は解消した。 第4 本件発明 本願の請求項1~5に係る発明は、平成29年11月1日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。 「  【請求項1】 結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーであって、結晶性樹脂(A)の含有率は、トナーバインダーの重量に基づいて40重量%以上であり、(A)がエステル基、ウレタン基及びウレア基を有し、(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40~100℃であり、(A)の重量に基づく結晶性樹脂(A)のウレア基濃度が0.1~5.0重量%であり、トナーバインダーの鉛筆硬度が4B~5Hであるトナーバインダー。 【請求項2】 結晶性樹脂(A)の融解熱量が20~90J/gである請求項1に記載のトナーバインダー。 【請求項3】 結晶性樹脂(A)が下記条件1を満たす請求項1又は2に記載のトナーバインダー。 [条件1]1×103≦G’(Ta+20)≦1×106 [G’(Ta+20):(Ta+20)℃における(A)の貯蔵弾性率(Pa)] 【請求項4】 結晶性樹脂(A)が下記条件2を満たす請求項1~3のいずれかに記載のトナーバインダー。 [条件2]5.0≦1.17×(A-urethane)+2.13×(A-urea)-2.23 [(A-urethane);(A)のウレタン基濃度(重量%)、(A-urea);(A)のウレア基濃度(重量%)] 【請求項5】 請求項1~4のいずれかに記載のトナーバインダーを含有してなるトナー。」(以下、請求項1~5に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」という。) 第5 引用発明 1 引用文献1 ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前の平成24年5月24日に頒布された刊行物である特開2012-98719号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は合議体が付与した。以下同様。) (ア) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを構成単位として有し、カルボン酸成分(x)が、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有し、ポリオール成分(y)が、炭素数が2~10の脂肪族ジオール(y1)を50モル%以上含有する、150℃における貯蔵弾性率〔G’(150)〕が2000Pa以上であり、〔G’(150)〕および180℃における貯蔵弾性率〔G’(180)〕が次式(1)を満たすポリエステル樹脂(A)と、融解熱の最大ピーク温度〔Tb〕が40~100℃、軟化点〔Tm〕と〔Tb〕の比〔Tm/Tb〕が0.8~1.55、溶融開始温度〔X〕が(Tb±30)℃の温度範囲内であり、かつ(Tb+20)℃における貯蔵弾性率G’(Tb+20)と、(X+20)℃およびX℃における損失弾性率G”(X+20)およびG”(X)が、それぞれ以下の(条件1)(条件2)を満たす結晶性樹脂(B)、並びに必要により非結晶性線形ポリエステル樹脂(C)を含有するトナーバインダー。 〔G’(150)〕/〔G’(180)〕≦15 ・・・式(1) 〔条件1〕 G’(Tb+20)=50~1×106Pa 〔条件2〕 |logG”(X+20)-logG”(X)|>2.0 (中略) 【請求項5】 結晶性樹脂(B)の鉛筆硬度が、3B~6Hである請求項1~4のいずれか記載のトナーバインダー。 【請求項6】 結晶性樹脂(B)が、ウレタンもしくはウレア変性されたポリエステル樹脂、または炭素数12~50の直鎖アルキル基を含有するビニル樹脂を含有する請求項1~5のいずれか記載のトナーバインダー。 (中略) 【請求項16】 請求項1~15のいずれか記載のトナーバインダーと、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物。」 (イ) 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)に優れ、且つ保存安定性にも優れたトナーバインダーを提供することを目的とする。」 (ウ) 「【0007】 以下、本発明を詳述する。 本発明のトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(A)と結晶性樹脂(B)とを含有する。 ポリエステル樹脂(A)は、少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂であって、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立(定着温度幅)させる観点から、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有するカルボン酸成分(x)と、炭素数が2~10の脂肪族ジオール(y1)が50モル%以上含有されたポリオール成分(y)とを構成単位とする。」 (エ) 「【0042】 本発明のトナーバインダー中には、ポリエステル樹脂(A)と共に結晶性樹脂(B)を含有する。 本発明において、「結晶性」とは、軟化点〔Tm〕と融解熱の最大ピーク温度〔Tb〕との比〔Tm/Tb〕が0.8~1.55であり、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。また、「非結晶性」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度との比〔Tm/Tb〕が1.55より大きいことを指す。 尚、樹脂が結晶性樹脂と非結晶性樹脂のブロック体であっても、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有し、軟化点〔Tm〕と融解熱の最大ピーク温度〔Tb〕との比〔Tm/Tb〕が0.8~1.55である場合は、これも結晶性樹脂とする。 【0043】 結晶性樹脂(B)は、耐熱保存性の観点から、その融解熱の最大ピーク温度〔Tb〕が40~100℃の範囲であり、好ましくは45~80℃、さらに好ましくは50~72℃である。 (中略) 【0047】 結晶性樹脂(B)の粘弾性特性において、(Tb+20)℃(Tbは融解熱の最大ピーク温度)の貯蔵弾性率G’は、50~1×106Paの範囲〔条件1〕であり、好ましくは100~5×105Paである。 (Tb+20)℃におけるG’が50Pa未満であると、低温定着時でもホットオフセットが起き、定着温度領域が狭くなる。また1×106Paを超えると低温側で定着可能な粘性になりにくく、低温での定着性が悪化する。 本発明において、動的粘弾性測定値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)は、Rheometric Scientific社製 動的粘弾性測定装置 RDS-2を用い周波数1Hz条件下で測定される。 測定試料は、測定装置の冶具にセットした後、(Tb+30)℃まで昇温して冶具に密着させてから、(Tb+30)℃から(Tb-30)℃まで0.5℃/分の速度で降温し、(Tb-30)℃で1時間静置し、次いで(Tb-10)℃まで0.5℃/分の速度で昇温し、さらに(Tb-10)℃で1時間静置し、十分に結晶化を進行させたのち、これを用いて測定を行う。測定温度範囲は30℃~200℃で、この温度間のバインダー溶融粘弾性を測定することによって、温度-G’、温度-G”の曲線として得ることができる。 〔条件1〕を満たす結晶性樹脂(B)は、(B)中の結晶性成分の比率を調整することや分子量を調整すること等により得ることができる。例えば、後述する結晶性部(b)の比率や結晶性成分の比率を増加させると、G’(Tb+20)の値は小さくなる。結晶性成分としては、直鎖構造を有するポリオール、ポリイソシアネート等が挙げられる。また分子量を低下させることでもG’(Tb+20)の値は小さくなる。 (中略) 【0052】 結晶性樹脂(B)は、結晶性部(b)のみで構成されても、結晶性部(b)と非結晶性部(c)とをもつブロック樹脂で構成されても、結晶性を有していれば構わないが、定着性(特に耐ホットオフセット性)の観点から、(b)と(c)とで構成されるブロック樹脂であることが好ましい。 また、ブロック樹脂であると感光体へのフィルミングが起こりにくくなる。 (中略) 【0055】 結晶性樹脂(B)は、トナー強度の観点から鉛筆硬度が3B~6Hであることが好ましい。鉛筆硬度は下記の方法で測定される。 <鉛筆硬度> JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷の付かない鉛筆硬度を表示した。 (中略) 【0059】 結晶性部(b)は結晶性を有していれば特に制限はなく、複合樹脂であってもかまわない。その中でもポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、およびそれらの複合樹脂が好ましく、特に直鎖ポリエステル樹脂およびそれを含む複合樹脂が好ましい。 【0060】 (b)として用いるポリエステル樹脂は、アルコール(ジオール)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂であることが、結晶性の点から好ましい。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール成分や酸成分を用いてもよい。 なお、ポリエステル樹脂としては、重縮合ポリエステル樹脂以外に、ラクトン開環重合物およびポリヒドロキシカルボン酸も同様に好ましい。 また、ポリウレタン樹脂としては、アルコール(ジオール)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレタン樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール成分やイソシアネート成分を用いてもよい。 ポリアミド樹脂としては、アミン(ジアミン)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン成分や酸成分を用いてもよい。 ポリウレア樹脂としては、アミン(ジアミン)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン成分やイソシアネート成分を用いてもよい。 以降の説明において、まず、これら結晶性重縮合ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレア樹脂に用いられるジオール成分、ジカルボン酸成分、ジイソシアネート成分、およびジアミン成分(それぞれ3官能以上のものを含む)についてそれぞれ示す。 (中略) 【0099】 結晶性樹脂(B)の組成としては、ポリエステル樹脂(A)と併用した場合の耐ホットオフセット性向上効果が大きいことから、ウレタンもしくはウレア変性されたポリエステル樹脂(ポリウレタン樹脂および/またはポリウレア樹脂との複合樹脂を含む)、並びに炭素数12~50の直鎖アルキル基を含有するビニル樹脂が好ましい。」 (オ) 「【0126】 本発明のトナー組成物は、本発明のトナーバインダーと、着色剤、および必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。」 (カ) 「【実施例】 【0136】 以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、%は重量%を示す。 【0137】 製造例1 〔ポリエステル樹脂(A-1)の合成〕 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽〔以下のポリエステル樹脂(A)の製造に用いる反応槽も同様〕中に、テレフタル酸475部(60.5モル%)、イソフタル酸120部(15.1モル%)、アジピン酸105部(15.1モル%)、エチレングリコール300部(下記回収分157部を差し引くと50.0モル%)、ネオペンチルグリコール240部(50.0モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5~20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸7部(1.2モル%)を加え、常圧下で3時間反応させた〔線形ポリエステル樹脂(A-1a)〕。さらに、無水トリメリット酸73部(8.0モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20~40mmHgの減圧下で反応させ軟化点145℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは157部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A-1)とする。 (A-1)のMpは8000、Tgは60℃、Tmは145℃、酸価は26、水酸基価は1、SP値は11.8であった。 なお、( )内のモル%は、カルボン酸成分中またはポリオール成分中の各原料のモル%を意味する。以下同様。 【0138】 製造例2 〔ポリエステル樹脂(A-2)の合成〕 反応槽中に、テレフタル酸555部(68.1モル%)、無水フタル酸125部(17.1モル%)、アジピン酸1部(0.1モル%)、エチレングリコール430部(下記回収分225部を差し引くと70.0モル%)、ネオペンチルグリコール150部(30.0モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5~20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸36部(6.0モル%)を加え、常圧下で3時間反応させた〔線形ポリエステル樹脂(A-2a)〕。さらに、無水トリメリット酸85部(8.9モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20~40mmHgの減圧下で反応させ軟化点150℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは225部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A-2)とする。 (A-2)のMpは4500、Tgは63℃、Tmは150℃、酸価は23、水酸基価は5、SP値は12.1であった。 【0139】 製造例3 [ポリエステル樹脂(A-3)の合成] 反応槽中に、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、1,2-プロピレングリコール695部(下記回収分216部を差し引くと9.1モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水と1,2-プロピレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5~20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収された1,2-プロピレングリコールは216部(2.8モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a-1)とする。 ポリエステル樹脂(a-1)のTgは60℃、Mnは1700、水酸基価は79、酸価は50であった。 反応槽中に、ポリエステル樹脂(a-1)200部(0.07モル)、テトラヒドロフラン800部を入れ80℃まで加熱し、(a-1)を溶解した。窒素気流下でイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記載。)を60部(0.27モル)加え24時間反応させた。さらにイソホロンジアミン(以下、IPDAと記載。)を23部(0.13モル)加え、3時間攪拌した後、200℃まで加熱しながら5~20mmHgの減圧下でテトラヒドロフランを10時間かけて留去し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A-3)とする。 ポリエステル樹脂(A-3)のTgは60℃、Tmは145℃、Mpは7600、酸価は45、水酸基価は2、THF不溶解分は5%であった。(a-1)の水酸基とIPDIのイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は1/1.9、(a-1)とIPDIの反応物の未反応イソシアネート基とIPDAのアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は1/1、ポリエステル樹脂(A-3)中の、ポリイソシアネートとポリアミンの構成単位の合計含有量は20.9%、ウレタン基/ウレア基のモル比は1.2/1、SP値は12.4であった。 【0140】 製造例4 [ポリエステル樹脂(A-4)の合成] 反応槽中に、テレフタル酸384部(45.5モル%)、イソフタル酸384部(45.5モル%)、エチレングリコール573部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5~20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部(9.1モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20~40mmHgの減圧下で反応させ軟化点140℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは245部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A-4)とする。 ポリエステル樹脂(A-4)のTgは60℃、Tmは140℃、Mpは6000、酸価は27、水酸基価は1、THF不溶解分は3%、SP値は12.2であった。 【0141】 製造例5 [ポリエステル樹脂(A-5)の合成] 反応槽中に、テレフタル酸440部(54.7モル%)、イソフタル酸235部(28.3モル%)、アジピン酸7部(1.0モル%)、安息香酸30部(5.1モル%)、エチレングリコール554部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5~20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸103部(10.9モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20~40mmHgの減圧下で反応させ軟化点138℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは219部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A-5)とする。 ポリエステル樹脂(A-5)のTgは56℃、Tmは138℃、Mpは4900、酸価は35、水酸基価は28、THF不溶解分は5%、SP値は12.4であった。 【0142】 製造例6 [ポリエステル樹脂(A-6)の合成] 反応槽中に、テレフタル酸567部(68.0モル%)、イソフタル酸243部(30.0モル%)、エチレングリコール605部(下記回収分334部を差し引くと85.0モル%)、ネオペンチルグリコール80部(15.0モル%)、チタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸16部(2.0モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20~40mmHgの減圧 下で反応させ軟化点138℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは334部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A-6)とする。 ポリエステル樹脂(A-6)のTgは61℃、Tmは138℃、Mpは17000、酸価は1、水酸基価は14、THF不溶解分は3%、SP値は12.1であった。 【0143】 製造例7 [ポリエステル樹脂(A-7)の合成] 反応槽中に、テレフタル酸420部(61.3モル%)、イソフタル酸180部(25.8モル%)、エチレングリコール409部(下記回収分187部を差し引くと85.0モル%)、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物220部(15.0モル%)、チタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5~20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸106部(12.9モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20~40mmHgの減圧下で反応させ軟化点150℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは187部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A-7)とする。 ポリエステル樹脂(A-7)のTgは60℃、Tmは150℃、Mpは6000、酸価は1、水酸基価は40、THF不溶解分は21%、SP値は12.0であった。 【0144】 製造例8(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸28部と1,4-ブタンジオール124部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,4-ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが10000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b1]を得た。[結晶性部b1]の融点は55℃、Mwは10000、水酸基価は36、SP値は10.1であった。 【0145】 製造例9(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ドデカン二酸286部と1,6-ヘキサンジオール159部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが10000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b2]を得た。[結晶性部b2]の融点は65℃、Mwは10000、水酸基価は36、SP値は9.6であった。 【0146】 製造例10(結晶性部bの製造) 攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、1,4-ブタンジオール2部、ε-カプロラクトン650部、ジブチルチンオキサイド2部を投入し、常圧、窒素雰囲気下、150℃で10時間反応を行った。さらに得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、ラクトン開環重合物である結晶性ポリエステル樹脂[結晶性部b3]を得た。[結晶性部b3]の融点は60℃、Mwは9800、水酸基価は14、SP値は10.2であった。 【0147】 製造例11(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸874部とエチレングリコール282部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが14000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b4]を得た。[結晶性部b4]の融点は74℃、Mwは14000、水酸基価は24、SP値は10.2であった。 【0148】 製造例12(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸684部と1,6-ヘキサンジオール437部および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが13500になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b5]を得た。[結晶性部b5]の融点は67℃、Mwは13500、水酸基価は28、SP値は9.8であった。 【0149】 製造例13〔結晶性樹脂Bの製造〕 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート44部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にシクロヘキサンジメタノール32部を仕込み80℃で2時間反応させた。次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c1]の溶液を、MEK140部に[結晶性部b1]140部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂B-1]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂B-1]のTbは55℃、Mnは14000、Mwは28000、SP値は10.3、鉛筆硬度は2Bであった。 【0150】 製造例14〔結晶性樹脂Bの製造〕 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート38部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にプロピレングリコール14部を仕込み80℃で2時間反応させた。次にこの末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]の溶液を、MEK130部に[結晶性部b2]130部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂B-2]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂B-2]のTbは64℃、Mnは9000、Mwは34000、SP値は9.8、鉛筆硬度はBであった。 【0151】 製造例15〔結晶性樹脂Bの製造〕 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート38部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にシクロヘキサンジメタノール28部を仕込み80℃で2時間反応させた。次にこの末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c3]の溶液を、MEK250部に[結晶性部b3]250部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂B-3]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂B-3]のTbは59℃、Mnは10000、Mwは22000、SP値は10.4、鉛筆硬度は2Bであった。 【0152】 製造例16〔結晶性樹脂Bの製造〕 撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、トルエン500部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、トルエン350部、ベヘニルアクリレート(炭素数22個の直鎖アルキル基を有するアルコールのアクリレート:ブレンマーVA(日本油脂製))120部、2-エチルヘキシルアクリレート20部、メタクリル酸10部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7.5部を仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下80℃で2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、トルエンを130℃で3時間減圧除去して、結晶性ビニル樹脂である[結晶性樹脂B-4]を得た。[結晶性樹脂B-4]のTbは56℃、Mnは68000、Mwは89000、SP値は9.6、鉛筆硬度は3Bであった。 【0153】 製造例17〔結晶性樹脂Bの製造〕 撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、〔結晶性部b4〕を240部仕込み、100℃で均一に溶解した。さらに、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート11部を仕込み、100℃で3時間反応させ、[結晶性樹脂B-5]を得た。[結晶性樹脂B-5]のTbは71℃、Mnは14800、Mwは76200、SP値は10.3、鉛筆硬度はBであった。 【0154】 製造例18〔結晶性樹脂Bの製造〕 撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、〔結晶性部b5〕を385部仕込み、100℃で均一に溶解した。さらに、ヘキサメチレンジイソシアネート15部を仕込み、100℃で3時間反応させ、[結晶性樹脂B-6]を得た。[結晶性樹脂B-6]のTbは66℃、Mnは14800、Mwは76200、SP値は10.0、鉛筆硬度はHBであった。 (中略) 【0161】 ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(RA)、結晶性樹脂(B)、および結晶性樹脂(RB)の、前記の方法で測定した主な物性値を表1および表2に示す。表1、表2中、10の累乗指数を、上付き数字ではなくて^付き数字で示した。例えば、103を10^3として表した。 【0162】 【表1】 【0163】 【表2】 【0164】 <実施例1~15>、<比較例1~4> 上記製造例で得られたポリエステル樹脂(A-1)~(A-7)、結晶性樹脂(B-1)~(B-6)、非結晶性線形ポリエステル樹脂(C-1)~(C-2)、及び比較製造例で得られたポリエステル樹脂(RA-1)~(RA-3)、(RB-1)を、表3の配合比(部)に従い配合し、本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。 まず、カーボンブラックMA-100[三菱化学(株)製]8部、カルナバワックス5部、荷電制御剤T-77[保土谷化学(製)]1部を加え、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM-30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS-I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T-1)~(T-15)、および比較用のトナー組成物(RT-1)~(RT-4)を得た。 下記評価方法で評価した評価結果を表3に示す。表3中、空欄はその原料の配合がないことを示す。 【0165】 【表3】 【0166】 [評価方法] 〔1〕最低定着温度(MFT) 市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度とした。 〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT) 上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度とした。 HOT-MFTを定着温度幅(℃)として記載した。 〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験 上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。 判定基準 ◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。 ○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに 乱れが観察される。 ×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。」 イ 特に記載事項(カ)に基づけば、引用文献1には、実施例1として、以下の発明が記載されていると認められる。 「冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸475部(60.5モル%)、イソフタル酸120部(15.1モル%)、アジピン酸105部(15.1モル%)、エチレングリコール300部(下記回収分157部を差し引くと50.0モル%)、ネオペンチルグリコール240部(50.0モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5~20mmHgの減圧下に1時間反応させ、次いで、安息香酸7部(1.2モル%)を加え、常圧下で3時間反応させ〔線形ポリエステル樹脂(A-1a)〕、さらに、無水トリメリット酸73部(8.0モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20~40mmHgの減圧下で反応させ軟化点145℃で取り出し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、これをポリエステル樹脂(A-1)とし、 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸28部と1,4-ブタンジオール124部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,4-ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが10000になった時点で取り出し、取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b1]を得て、 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート44部およびMEK100部を仕込み、この溶液にシクロヘキサンジメタノール32部を仕込み80℃で2時間反応させ、次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c1]の溶液を、MEK140部に[結晶性部b1]140部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂B-1]のMEK溶液を得て、 ポリエステル樹脂(A-1)を30部、結晶性樹脂(B-1)を70部の配合比(部)に従い配合し、トナーバインダーを得て、トナー化したトナーであり、結晶性樹脂(B-1)の鉛筆硬度が2Bであり、(Tb+20)℃(Tbは融解熱の最大ピーク温度)の貯蔵弾性率G’が4.5×103[Pa]であり、Tbが55[℃]であるトナー。」(以下、「引用発明1」という。) 2 引用文献2 ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前の平成22年4月8日に頒布された刊行物である特開2010-77419号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア) 「【請求項1】 結晶性樹脂(A)を含有する樹脂粒子であって、該樹脂粒子が、水系媒体を用いて作製され、融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40~100℃、軟化点とTaの比(軟化点/Ta)が0.8~1.55であり、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする結晶性樹脂粒子。 〔条件1〕 G’(Ta+20)=1×102~5×105[Pa] 〔条件2〕 G”(Ta+20)=1×102~5×105[Pa] [G’:貯蔵弾性率、G”:損失弾性率] (中略) 【請求項9】 結晶性部(b)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、およびそれらの複合樹脂から選ばれる樹脂である請求項7または8記載の結晶性樹脂粒子。 【請求項10】 非結晶性部(c)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、およびそれらの複合樹脂から選ばれる樹脂である請求項7 ~9のいずれか記載の結晶性樹脂粒子。」 (イ) 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、低温定着性及び耐ブロッキング性に優れた樹脂粒子を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記課題は、以下の本発明により達成される。 本発明は、結晶性樹脂(A)を含有する樹脂粒子であって、該樹脂粒子が、水系媒体を用いて作製され、融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40~100℃、軟化点とTaの比(軟化点/Ta)が0.8~1.55であり、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする結晶性樹脂粒子である。 〔条件1〕 G’(Ta+20)=1×102~5×105[Pa] 〔条件2〕 G”(Ta+20)=1×102~5×105[Pa] [G’:貯蔵弾性率、G”:損失弾性率] 【発明の効果】 【0006】 本発明により、低温定着性及び耐ブロッキング性に優れた結晶性樹脂粒子を提供することができる。また、帯電特性も良好である。」 (ウ) 「【0016】 本発明の結晶性樹脂粒子は結晶性樹脂(A)を含有する。 尚、樹脂が結晶性樹脂と非結晶性樹脂のブロック体であっても、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有し、(軟化点/融解熱の最大ピーク温度)が0.8~1.55である場合は、これも結晶性樹脂とする。 【0017】 結晶性樹脂(A)は、耐熱保存性の観点から、その融解熱の最大ピーク温度(Ta’)が40~100℃の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは45~80℃、とくに好ましくは50~70℃である。 【0018】 結晶性樹脂(A)の軟化点と融解熱の最大ピーク温度(Ta’)との比(軟化点/Ta’)は、0.8~1.55が好ましく、さらに好ましくは0.85~1.25、とくに好ましくは0.9~1.2、とくに好ましくは0.9~1.19である。この範囲内であると、耐熱保存性と低温定着性の両立が容易になる。 【0019】 結晶性樹脂(A)の粘弾性特性において、(Ta’+20)℃〔Ta’は(A)の融解熱の最大ピーク温度〕の貯蔵弾性率G’は、50~1×106[Pa]の範囲〔条件3〕であることが好ましく、さらに好ましくは100~5×105[Pa]である。 (Ta’+20)℃におけるG’が50Pa以上であると、弾性不足により定着悪化が起きにくく、定着温度領域が広くなる。 〔条件3〕を満たす結晶性樹脂(A)は、(A)を構成する組成中の結晶性成分の比率を調整すること等により得ることができる。例えば結晶性部(b)の比率や結晶性成分の比率を増加させると、G’(Ta’+20)の値は小さくなる。結晶性成分としては、直鎖構造を有するポリオール、ポリイソシアネート等が挙げられる。 (中略) 【0021】 また、結晶性樹脂(A)の損失弾性率G”と溶融開始温度(X)に関して、以下の〔条件4〕を満たすことが好ましく、〔条件4-2〕を満たすことがさらに好ましく、〔条件4-3〕を満たすことがとくに好ましい。 〔条件4〕|LogG”(X+20)-LogG”(X)|>2.0 [G”:損失弾性率[Pa]] 〔条件4-2〕|LogG”(X+20)-LogG”(X)|>2.5 〔条件4-3〕|LogG”(X+15)-LogG”(X)|>2.5 (A)の溶融開始温度(X)が上記範囲内であり、かつ〔条件4〕を満たすと、樹脂の低粘性化速度が速く、トナー粒子としたとき、定着温度領域の低温側、高温側で同等の画質を得ることができる。また、溶融開始から定着可能粘性に至るまでが速く、優れた低温定着性を得るのに有利である。〔条件4〕は、どれだけ早く、少ない熱で定着できるかという、樹脂のシャープメルト性の指標であり、実験的に求めたものである。 溶融開始温度(X)の範囲、および〔条件4〕を満たす結晶性樹脂(A)は、(A)の構成成分中の結晶性成分の比率を調整すること等により得ることができる。例えば、結晶性成分の比率を大きくすると、(Ta’)と(X)の温度差が小さくなる。 (中略) 【0023】 結晶性樹脂(A)は、結晶性部(b)のみで構成されても、結晶性部(b)と非結晶性部(c)とをもつブロック樹脂で構成されても、結晶性を有していれば構わないが、定着の観点から(b)と(c)とで構成されるブロック樹脂であることが好ましい。ブロック樹脂は、具体的には結晶性部(b)を構成する樹脂と非結晶性部(c)を構成する樹脂を結合することにより得られる。 また、ブロック樹脂であると耐久性に優れる。 (中略) 【0030】 結晶性部(b)は結晶性を有していれば特に制限はなく、複合樹脂であってもかまわない。その中でもポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂およびそれらの複合樹脂が好ましく、特に直鎖ポリエステル樹脂およびそれを含む複合樹脂が好ましい。」 (エ) 「【0117】 本発明の結晶樹脂粒子は、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、化粧品用添加剤、紙塗工用添加剤、スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、触媒用担体、電子写真トナー、静電記録トナー、静電印刷トナー、電子測定機器の標準粒子、電子ペーパー用粒子、医療診断用担体、クロマトグラフ充填剤、電気粘性流体用粒子等各種用途に使用できる。 例えば、結晶性樹脂(A)と着色剤とを混合させ、また必要により、荷電制御剤、離型剤及び流動化剤等を含有させることでトナー用樹脂粒子として使用できる。」 (オ) 「【実施例】 【0124】 以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において、「%」は重量%、「部」は重量部を示す。 【0125】 製造例1(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸11部と1,4-ブタンジオール108部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,4-ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwがおよそ10000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b1]を得た。[結晶性部b1]の融点は57℃、Mnは5000、Mwは11000、水酸基価は30であった。 【0126】 製造例2(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ドデカン二酸286部と1,6-ヘキサンジオール190部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwがおよそ10000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b2]を得た。[結晶性部b2]の融点は66℃、Mnは4900、Mwは10000、水酸基価は34であった。 【0127】 製造例3(結晶性部bの製造) 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、1,4-ブタンジオール66部、1,6-ヘキサンジオール86部、およびメチルエチルケトン(以下、MEKと記載する。)40部を仕込んだ。この溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)248部を仕込み80℃で5時間反応し、結晶性ポリウレタン樹脂[結晶性部b3]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性部b3]の融点は57℃、Mnは4500、Mwは9700、水酸基価は36であった。 【0128】 製造例4(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸28部と1,4-ブタンジオール124部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、を仕込み、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,4-ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが20000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b4]を得た。[結晶性部b4]の融点は55℃、Mnは8300、Mwは20000、水酸基価は19であった。 【0129】 製造例5(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸11部と1,4-ブタンジオール108部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,4-ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに10~25mmHgの減圧下に反応させ、Mwがおよそ10000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b5]を得た。[結晶性部b5]の融点は56℃、Mnは4100、Mwは9200、水酸基価は45であった。 【0130】 製造例6(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸28部と1,4-ブタンジオール124部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、を仕込み、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで210℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,4-ブタンジオールを留去しながら2時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwがおよそ5000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b6]を得た。[結晶性部b6]の融点は55℃、Mnは2300、Mwは5000、水酸基価は83であった。 【0131】 製造例7(結晶性部bの製造) (S)-PO・180部とKOH30部を1Lのオートクレーブに入れ、室温で48時間攪拌して重合させた。得られた重合物を70℃に昇温して溶融し、KOHを水洗するため、トルエンを100部、水を各100部加えて分液を3回繰り返した。そのトルエン相を、0.1mol/Lの塩酸で中和し、水を各100部加えてさらに分液を3回行い、そのトルエン相からトルエンを留去し、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性ポリエーテル樹脂[結晶性部b7]を得た。[結晶性部b7]の融点は55℃、Mwは9000、水酸基価は20、アイソタクティシティは99%であった。 【0132】 製造例8(結晶性部bの製造) 攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、1,4-ブタンジオール2部、ε-カプロラクトン650部、ジブチルチンオキサイド2部を投入し、常圧、窒素雰囲気下、150℃で10時間反応を行った。さらに得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、ラクトン開環重合物である結晶性ポリエステル樹脂[結晶性部b8]を得た。[結晶性部b8]の融点は60℃、Mwは9800、水酸基価は14であった。 【0133】 製造例9(結晶性部bの製造) 攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、エチレングリコール2部、L-ラクチド400部、グリコリド150部、ジブチルチンオキサイド2部を投入し、常圧、窒素雰囲気下、150℃で10時間反応を行った。さらに得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、ポリヒドロキシカルボン酸である結晶性ポリエステル樹脂[結晶性部b9]を得た。[結晶性部b9]の融点は60℃、Mwは11200、水酸基価は14であった。 【0134】 製造例10(結晶性部bの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸121部、ジメチルテレフタル酸118部と1,6-ヘキサンジオール124部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,6-ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが8000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b10]を得た。[結晶性部b10]の融点は53℃、Mwは8000、水酸基価は46であった。 【0135】 製造例11(非結晶性部cの製造) 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2-プロピレングリコール(以下、プロピレングリコールと記載。)831部、テレフタル酸750部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さ らに5~20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が87℃になった時点で180℃まで冷却し、さらに無水トリメリット酸24部、テトラブトキシチタネート0.5部を投入し90分反応させた後、取り出した。回収されたプロピレングリコールは442部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、非結晶性重縮合ポリエステル樹脂[非結晶性部c1’]を得た。[非結晶性部c1’]のMwは8000、Tgは65℃、水酸基価は30であった。 【0136】 製造例12(結晶性樹脂Aの製造) 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート44部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にシクロヘキサンジメタノール32部を仕込み80℃で2時間反応させた。次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]の溶液を、MEK140部に[結晶性部b1]140部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A1]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A1]のTaは55℃、Mnは14000、Mwは28000であった。 【0137】 製造例13(結晶性樹脂Aの製造) 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート38部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液に1,2-プロピレングリコール14部を仕込み80℃で2時間反応させた。次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c3]の溶液を、MEK130部に[結晶性樹脂b2]130部を溶解させた溶液へ投入し80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A2]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A2]のTaは64℃、Mnは9000、Mwは34000であった。 【0138】 製造例14(結晶性樹脂Aの製造) 製造例13と同様にして得られた、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c3]の溶液152部を、MEK130部に[結晶性部b3]130部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A3]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A3]のTaは54℃、Mnは12000、Mwは37000であった。 【0139】 製造例15(結晶性樹脂Aの製造) 製造例12と同様にして得られた、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]の溶液176部を、MEK250部に[結晶性部b4]250部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A4]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A4]のTaは55℃、Mnは24000、Mwは45000であった。 【0140】 製造例16(結晶性樹脂Aの製造) 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、MEK190部に[結晶性部b1]190部を溶解させた溶液を入れ、次いでトリレンジイソシアネート9部を投入し、80℃で4時間反応して、結晶性ポリウレタン樹脂である[結晶性樹脂A5]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A5]のTaは55℃、Mnは31000、Mwは72000であった。 【0141】 製造例17(結晶性樹脂Aの製造) 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート63部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にシクロヘキサンジメタノール46部を仕込み80℃で2時間反応させた。次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタ ン樹脂[非結晶性部c4]の溶液を、MEK210部に[結晶性部b5]210部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A6]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A6]のTaは54℃、Mnは19000、Mwは30000であった。 【0142】 製造例18〔結晶性樹脂Aの製造〕 製造例12と同様にして得られた、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]の溶液176部を、MEK250部に[結晶性部b7]250部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A7]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A7]のTaは64℃、Mnは15000、Mwは36000であった。 【0143】 製造例19〔結晶性樹脂Aの製造〕 製造例12と同様にして得られた、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]の溶液176部を、MEK250部に[結晶性部b8]250部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A8]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A8]のTaは59℃、Mnは10000、Mwは22000であった。 【0144】 製造例20〔結晶性樹脂Aの製造〕 製造例12と同様にして得られた、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]の溶液176部を、MEK250部に[結晶性部b9]250部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A9]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A9]のTaは60℃、Mnは9000、Mwは21000であった。 【0145】 製造例21〔結晶性樹脂Aの製造〕 撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、トルエン500部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、トルエン350部、ベヘニルアクリレート(炭素数22個の直鎖アルキル基を有するアルコールのアクリレート:プレンマーVA(日本油脂製))120部、2-エチルヘキシルアクリレート20部、メタクリル酸10部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7.5部を仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下80℃で2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、トルエンを130℃で3時間減圧除去して、結晶性ビニル樹脂である[結晶性樹脂A10]を得た。[結晶性樹脂A10]のTaは56℃、Mnは68000、Mwは89000であった。 【0146】 製造例22〔結晶性樹脂Aの製造〕 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート42部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にシクロヘキサンジメタノール31部を仕込み80℃で2時間反応させた。次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c5]の溶液を、MEK140部に[結晶性部b10]126部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A11]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A11]のTaは52℃、Mnは10000、Mwは22000であった。 【0147】 製造例23〔結晶性樹脂Aの製造〕 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、キシレンジイソシアネート32部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にビスフェノールA・EO2モル付加物47部を仕込み80℃で2時間反応させた。次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c6]の溶液を、MEK140部に[結晶性部b1]122部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A12]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A12]のTaは55℃、Mnは14000、Mwは30000であった。 【0148】 製造例24〔結晶性樹脂Aの製造〕 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、キシレンジイソシアネート35部およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にビスフェノールA・EO2モル付加物52部を仕込み80℃で2時間反応させた。次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c7]の溶液を、MEK140部に[結晶性部b1]111部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A13]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A13]のTaは52℃、Mnは18000、Mwは38000であった。 【0149】 製造例25〔結晶性樹脂Aの製造〕 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、製造例11で得られた非結晶性重縮合ポリエステル樹脂[非結晶性部c1’]およびMEK100部を仕込んだ。この溶液にキシレンジイソシアネート7部を仕込み80℃で2時間反応させた。次にこの末端にイソシアネート基を有する[非結晶性部c1’]のウレタン変性物[非結晶性部c1]の溶液を、MEK140部に[結晶性樹脂b1]111部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される[結晶性樹脂A14]のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の[結晶性樹脂A14]のTaは55℃、Mnは25000、Mwは51000であった。 (中略) 【0154】 製造例26(着色剤分散液の製造) ビーカー内に銅フタロシアニン20部と着色剤分散剤(ソルスパーズ28000;アビシア株式会社製)4部、および酢酸エチル76部を入れ、攪拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、[着色剤分散液1]を得た。[着色剤分散液1]を堀場製作所製粒子径測定装置LA-920で測定した体積平均粒径は0.3μmであった。 【0155】 製造例27(変性ワックスの製造) 温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン454部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業(株)製 サンワックス LEL-400:軟化点128℃)150部を投入し、窒素置換後170℃に昇温して十分溶解し、スチレン595部、メタクリル酸メチル255部、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34部およびキシレン119部の混合溶液を170℃で3時間で滴下して重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、[変性ワックス 1]を得た。[変性ワックス 1]のMnは1872、Mwは5194、Tgは56.9℃であった。 【0156】 製造例28(ワックス分散液の製造) 温度計および撹拌機の付いた反応容器中に、パラフィンワックス(融点73℃)10部、[変性ワックス1]1部、酢酸エチル33部を投入し、78℃に加熱して充分溶解し、1時間で30℃まで冷却を行いワックスを微粒子状に晶析させ、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、[ワックス分散液1]を得た。 【0157】 製造例29(結晶性樹脂溶液の製造) 温度計および撹拌機の付いた反応容器中に、[結晶性樹脂A1]10部、MEK5部および酢酸エチル5部を入れ、70℃まで加温し攪拌して均一分散させ、さらに室温まで冷やして[結晶性樹脂溶液A1]を得た。 【0158】 製造例30(結晶性樹脂溶液の製造) [結晶性樹脂A1]の代わりに、[結晶性樹脂A2]~[結晶性樹脂A14]を各々用いる以外は製造例29と同様にして、[結晶性樹脂溶液A2]~[結晶性樹脂溶液A14]を得た。 (中略) 【0160】 製造例31〔粒子(D)の水性分散液(W)の製造〕 撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソプロパノール130部を仕込み、攪拌下、アクリル酸ブチル10部、酢酸ビニル67部、無水マレイン酸15部、メタクリロイロキシポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業製)6部、過酸化ベンゾイル(25%含水品)2部の混合溶液を、120分間かけて滴下し重合させた。この重合溶液50部をさらに撹拌下のイオン交換水60部に滴下して、重合体粒子を含有する水性分散液[微粒子分散液W1]を得た。[微粒子分散液W1]をLA-920および大塚電子社製電気泳動光散乱光度計ELS-800で測定した体積平均粒径は、いずれも0.10μmであった。[微粒子分散液W1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のDSC測定による融解熱の最大ピーク温度(Td)は71℃であった。 【0161】 製造例32〔粒子(D)の水性分散液(W)の製造〕 撹拌機および温度計を備えた反応装置に、水酸基価56の1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「ニッポラン 4073」)を74部、1,9-ノナンジオールを20部、2,2-ジメチロールプロピオン酸を47部、3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)-1-プロパンスルホン酸ナトリウムを9部、ヘキサメチレンジイソシアネートを100部、トリエチルアミンを4部およびアセトンを250部、窒素を導入しながら仕込んだ。その後50℃に加熱し、10時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート基末端ウレタン樹脂溶液を製造した。次いで、n-ブチルアミンを8部およびトリエチルアミンを31部加え、50℃で3時間反応させ、ポリウレタン樹脂溶液を得た。反応終了時のNCO含量は0%であった。 このポリウレタン樹脂溶液を40℃に冷却後、攪拌下、水1800部中に注ぎ乳化させ[微粒子分散液W2]を得た。このポリウレタン樹脂エマルションをELS-800で測定した体積平均粒径は0.05μmであった。[微粒子分散液W2]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のDSC測定による融解熱の最大ピーク温度(Td)は50℃であった。 【0162】 製造例33〔粒子(D)の水性分散液(W)の製造〕 アクリル酸-マレイン酸共重合体(Mn:10000)で被覆された炭酸カルシウム(平均粒径:0.18μm) 60部と、平均重合度800~900、エーテル化度0.70~0.80のカルボキシルメチルセルロース 2部及び、イオン交換水 238部をエバラマイルダーで25℃で5時間分散することにより[無機微粒子分散液W3]を得た。 【0163】 実施例1 (結晶性樹脂粒子の製造) ビーカー内に[結晶性樹脂溶液A1]60部、[ワックス分散液1]27部、および[着色剤分散液1]10部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[樹脂溶液1A]を得た。 ビーカー内にイオン交換水97部、[微粒子分散液W1]10.5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、およびドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業製、「エレミノールMON-7」)10部を入れ均一に溶解した。ついで25℃で、TK式ホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、[樹脂溶液1A]75部を投入し2分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、昇温して35℃で濃度が0.5%以下となるまで酢酸エチルを留去し、樹脂粒子(C0)の表面に粒子(D)が付着された樹脂粒子の水性樹脂分散体(Y-1)を得た。次いで、水性樹脂分散体(Y-1)に水酸化ナトリウム水溶液を足しPH=9.0にした後、50℃に加熱し、1時間攪拌し、さらにこれを室温まで冷ました後、濾別し、40℃×18時間乾燥を行い、体積平均粒径が6.1μmの結晶性樹脂粒子(C-1)を得た。 【0164】 実施例2~14 [結晶性樹脂溶液A1]の代わりに表1および表2に記載の[結晶性樹脂溶液A2]~[結晶性樹脂溶液A14]を各々用いる以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が6.1~6.3μmの結晶性樹脂粒子(C-2)~(C-14)を得た。 【0165】 実施例15 [微粒子分散液W1]の代わりに[微粒子分散液W2]を用いる以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が6.1μmの結晶性樹脂粒子(C-15)を得た。 【0166】 実施例16 ビーカー内に[結晶性樹脂溶液1]60部、[ワックス分散液1]27部、および[着色剤分散液1]10部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[樹脂溶液1A]を得た。 ビーカー内にイオン交換水97部、[無機微粒子分散液W3]30.5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部を入れ均一に溶解した。ついで25℃で、TK式ホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、[樹脂溶液1A]75部を投入し2分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、昇温して35℃で濃度が0.5%以下となるまで酢酸エチルを留去し、樹脂粒子(C0)の表面に粒子(D)が付着された樹脂粒子の水性樹脂分散体(Y-16)を得た。次いで、水性樹脂分散体(Y-16)に塩酸水溶液を足しPH=1.5にした後、水酸化ナトリウム水溶液を足しPH=9.0にし、また塩酸水溶液を足しPH=4.5にした後、1時間攪拌し、さらにこれを室温まで冷ました後、濾別し、40℃×18時間乾燥を行い、体積平均粒径が6.3μmの結晶性樹脂粒子(C-16)を得た。 (中略) 【0168】 物性測定例 本発明の結晶性樹脂粒子(C-1)~(C-16)、および比較の樹脂粒子(C’-17)~(C’-20)それぞれの、定着性、耐熱保存安定性、および帯電特性を以下に記載の方法で測定した。その結果を表1および表2に示した。 また、実施例1~16、および比較例1~4で使用した、結晶性樹脂A、比較用樹脂A’、およびそれらを構成する結晶性部(b)と非結晶性部(c)をそれぞれ分析した結果を表1および表2に示した。 (A)または(A’)が非結晶性部(c)を持つ場合、非結晶性部の重量平均分子量、ガラス転移温度、および軟化点は、非結晶性部となる樹脂を作製した時点で一部を抜き取り、測定した。ただし非結晶性部がイソシアネート基を持つ場合は、これに当量のメタノールを加えイソシアネート含量を0にしてから測定した。 【0169】 〔定着性〕 樹脂粒子にアエロジルR972(日本アエロジル社製)を1.0%添加し、よく混ぜて均一にした後、この粉体を紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せる(このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる(上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい)。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)5kg/cm2の条件で通した時のMFT(最低定着温度)を測定した。 MFT欄が“×”は定着領域なしである。 【0170】 〔耐熱保存安定性〕 50℃に温調された乾燥機に樹脂粒子を15時間静置し、ブロッキングの程度により下記の基準で評価した。 ○ : ブロッキングが発生しない。 △ : ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する。 × : ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない。 【0171】 〔帯電特性〕 50ccの共栓付ガラス瓶に、樹脂粒子0.5g、鉄粉(日本鉄粉株式会社製「F-150」)10gを精秤し、共栓をして23℃、50%RHの雰囲気下でターブラシェーカミキサー(ウイリー・ア・バショッフェン社製)にセットし、回転数90rpmで2分攪拌する。攪拌後の混合粉体0.2gを目開き20μmステンレス金網がセットされたブローオフ粉体帯電量測定装置(京セラケミカル株式会社製TB-203)に装填し、ブロー圧10KPa,吸引圧5KPaの条件で、残存鉄粉の帯電量を測定し、定法により樹脂粒子の帯電量を算出する。なお、トナー用としてはマイナス帯電量が高いほど帯電特性が優れている。 【0172】 【表1】 【0173】 【表2】 【0174】 表1および表2に示したように、本発明の結晶性樹脂粒子(実施例1~16)は、比較例の樹脂粒子と比べて、特にMFTの点で、いずれも著しく良好な結果が得られた。」 イ 特に記載事項(オ)に基づけば、引用文献2には、実施例1として、以下の発明が記載されていると認められる。 「冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸11部と1,4-ブタンジオール108部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させ、次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水および1,4-ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5~20mmHgの減圧下に反応させ、Mwがおよそ10000になった時点で取り出し、取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b1]を得て、 攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート44部およびMEK100部を仕込み、この溶液にシクロヘキサンジメタノール32部を仕込み80℃で2時間反応させ、次に、この末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]の溶液を、MEK140部に[結晶性部b1]140部を溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して、結晶性部と非結晶性部で構成される、融解熱の最大ピーク温度(Ta’)が55[℃]の[結晶性樹脂A1]のMEK溶液を得て、 ビーカー内に[結晶性樹脂溶液A1]60部、[ワックス分散液1]27部、および[着色剤分散液1]10部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[樹脂溶液1A]を得て、ビーカー内にイオン交換水97部、[微粒子分散液W1]10.5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、およびドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業製、「エレミノールMON-7」)10部を入れ均一に溶解し、ついで25℃で、TK式ホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、[樹脂溶液1A]75部を投入し2分間撹拌し、ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、昇温して35℃で濃度が0.5%以下となるまで酢酸エチルを留去し、樹脂粒子(C0)の表面に粒子(D)が付着された樹脂粒子の水性樹脂分散体(Y-1)を得て、次いで、水性樹脂分散体(Y-1)に水酸化ナトリウム水溶液を足しPH=9.0にした後、50℃に加熱し、1時間攪拌し、さらにこれを室温まで冷ました後、濾別し、40℃×18時間乾燥を行って得た、体積平均粒径が6.1μmの結晶性樹脂粒子(C-1)。」(以下、「引用発明」という。) 第6 対比・判断 1 引用発明1 (1)本件発明1について ア 本件発明1と引用発明1のトナーバインダーとを対比する。 引用発明1の「結晶性樹脂(B-1)」は、本件発明1の「結晶性樹脂(A)」に相当する。 また、引用発明1のトナーバインダーは、記載事項(ウ)によれば、ポリエステル樹脂(A)と結晶性樹脂(B)とが含有されるところ、「ポリエステル樹脂(A-1)を30部、結晶性樹脂(B-1)を70部の配合比(部)に従い配合」されていることから、引用発明1の「結晶性樹脂(B-1)」の含有率は、トナーバインダーの重量に基づいて70重量%となることから、引用発明1の「結晶性樹脂(B-1)」は、「トナーバインダーの重量に基づいて40重量%以上」とする要件を満たしている。 さらに、引用発明1の「結晶性樹脂(B-1)」は、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b1]と非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c1]とを反応して得たものであるから、エステル基及びウレタン基を有しているといえる。 また、引用発明1の「結晶性樹脂(B-1)」は、融解熱の最大ピーク温度Tbが55℃であるから、本件発明1の「融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40~100℃」とする要件を満たしている。 そうすると、本件発明1と引用発明1とは、 「結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーであって、結晶性樹脂(A)の含有率は、トナーバインダーの重量に基づいて40重量%以上であり、(A)がエステル基、ウレタン基を有し、(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40~100℃であるトナーバインダー。」である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1-1]本件発明1の結晶性樹脂(A)は、ウレア基を有し、(A)の重量に基づく結晶性樹脂(A)のウレア基濃度が0.1~5.0重量%であるのに対し、引用発明1の結晶性樹脂(B-1)は、非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c1]をトリレンジイソシアネートとシクロヘキサンジメタノールとを反応させて得ており、反応系に水も含まれていないことから、ウレア基を有していない点。 [相違点1-2]本件発明1では、トナーバインダーの鉛筆硬度が4B~5Hであるのに対し、引用発明1では、結晶性樹脂(B-1)の鉛筆硬度が2Bであるものの、トナーバインダーの鉛筆硬度が不明である点。 イ [相違点1-1]について検討する。 引用文献1の記載事項(エ)の段落【0099】には、結晶性樹脂(B)について、耐ホットオフセット性向上のため、ウレタン若しくはウレア変性されたポリエステル樹脂とすることが記載されているものの、ウレタン基及びウレア基の両方を有し、ウレア基濃度を特定の範囲とすることについて何ら記載していない。また、引用文献1に記載された他の実施例も、結晶性樹脂(B)がウレア基を有しているとはいえない。そして、トナーバインダーを構成する結晶性樹脂において、エステル基と共にウレタン基及びウレア基を有し、結晶性樹脂の重量に基づく結晶性樹脂のウレア基濃度を特定の範囲とすることが、本件出願時において当業者において知られていたとする根拠も見いだせない。 一方、本件明細書には、段落【0039】に「結晶性樹脂(A)のうち、トナーの接着強度の観点から好ましいのは、結晶性ポリエステル樹脂(A1)及び結晶性ポリウレタン樹脂(A2)であり、更に好ましいのは(A2)のうち、分子中にウレタン基とウレア基を有するものである。」と記載されており、段落【0040】には、「結晶性樹脂(A)がウレタン基とウレア基を有するものである場合、・・・(A)の重量に基づく(A)のウレア基濃度は、好ましくは0.1~5.0重量%であり、更に好ましくは0.2~3.0重量%である。」と記載されている。当該記載に基づけば、本件発明1は、上記[相違点1-1]に係る構成を有することにより、適切なトナーの接着強度が得られるという効果が得られるというものである。そしてそのような効果は、技術常識を考慮しても、引用文献1の記載から把握することはできないものである。 そうすると、引用文献1の記載及び技術常識を考慮しても、引用発明1において、上記[相違点1-1]に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものということはできない。 ウ むすび 以上のとおりであるから、[相違点1-2]について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1と同一の発明ではなく、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえず、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 (2)本件発明2~5について 本件発明2~5は、いずれも、本件発明1の構成を具備し、さらに限定を付加したものに相当する。そうすると、本件発明2~5と引用発明1とを対比した際に、何れも上記[相違点1-1]において相違するといえる。そして、上記のとおり、引用発明1において、上記[相違点1-1]に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものということはできないものであるから、本件発明2~5も、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 2 引用発明2 (1)本件発明1について ア 本件発明1と引用発明2とを対比する。 引用発明2の「結晶性樹脂A1」は、本件発明1の「結晶性樹脂(A)」に相当する。 また、引用発明2の「結晶性樹脂A1」は、結晶性重縮合ポリエステル樹脂[結晶性部b1]と非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]とを反応して得たものであるから、エステル基及びウレタン基を有しているといえる。 さらに、引用発明2の「結晶性樹脂A1」は、融解熱の最大ピーク温度(Ta’)が55℃であるから、本件発明1の「融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40~100℃」とする要件を満たしている。 そうすると、本件発明1と引用発明2とは、 「結晶性樹脂(A)であって、(A)がエステル基、ウレタン基を有し、(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40~100℃。」である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点2-1]本件発明1の結晶性樹脂(A)は、トナーバインダーを構成し、トナーバインダーの重量に基づいて40重量%以上であり、トナーバインダーの鉛筆硬度が4B~5Hであるのに対し、引用発明2の結晶性樹脂A1は、トナーバインダーを構成するとされていない点。 [相違点2-2]本件発明1の結晶性樹脂(A)は、ウレア基を有し、(A)の重量に基づく結晶性樹脂(A)のウレア基濃度が0.1~5.0重量%であるのに対し、引用発明2の結晶性樹脂粒子A1は、非結晶性ポリウレタン樹脂[非結晶性部c2]をトリレンジイソシアネートとシクロヘキサンジメタノールとを反応させて得ており、反応系に水も含まれていないことから、ウレア基を有していない点。 イ 事案に鑑みて、[相違点2-2]について検討する。 [相違点2-2]は、既に検討した[相違点1-1]と実質的に同じものである。引用文献2の記載事項(ウ)の段落【0030】には、「結晶性部(b)は結晶性を有していれば特に制限はなく、複合樹脂であってもかまわない。その中でもポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂およびそれらの複合樹脂が好ましく、特に直鎖ポリエステル樹脂およびそれを含む複合樹脂が好ましい。」と記載されているものの、エステル基、ウレタン基及びウレア基を有することが記載されておらず、ウレア基濃度についても何ら記載されていない。また、引用文献2に記載された他の実施例も、結晶性樹脂(A)がウレア基を有しているとはいえない。そして、結晶性樹脂において、エステル基と共にウレタン基及びウレア基を有し、結晶性樹脂の重量に基づく結晶性樹脂のウレア基濃度を特定の範囲とすることが、本件出願時において当業者において知られていたとする根拠も見いだせない。 そうすると、引用文献2の記載及び技術常識を光量しても、引用発明2において、上記[相違点2-2]に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものということはできない。 ウ むすび 以上のとおりであるから、[相違点2-1]について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2と同一の発明ではないく、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえず、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 (2)本件発明2~5について 本件発明2~5は、いずれも、本件発明1の構成を具備し、さらに限定を付加したものに相当する。そうすると、本件発明2~5と引用発明2とを対比した際に、何れも上記[相違点2-2]において相違するといえる。そして、上記のとおり、引用発明2において、上記[相違点2-2]に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものということはできないものであるから、本件発明2~5も、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2016-018266

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決30件(三洋化成工業株式会社)
  • 2025-006378拒絶査定不服審判 / 2026-04-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)積層吸音材
    同じ当事者: 三洋化成工業株式会社
  • 2023-015717拒絶査定不服審判 / 2025-09-05 / 請求不成立軟便透過性付与剤、繊維、不織布及び吸水性物品
    同じ当事者: 三洋化成工業株式会社
  • 2024-002448拒絶査定不服審判 / 2025-06-11 / 請求不成立リチウム含有負極活物質の製造方法及びリチウムイオン電池用負極の製造方法
    同じ当事者: 三洋化成工業株式会社
  • 2023-008318拒絶査定不服審判 / 2024-05-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)電極の製造方法
    同じ当事者: 三洋化成工業株式会社
  • 2023-001623拒絶査定不服審判 / 2024-04-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)非水電解質二次電池の製造方法
    同じ当事者: 三洋化成工業株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)331件(113・G03G、121・G03G、537・G03G)
  • 2024-013772拒絶査定不服審判 / 2025-12-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)画像形成方法
    共通の審決分類: 113・G03G、121・G03G、537・G03G
  • 2024-013799拒絶査定不服審判 / 2025-08-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)トナー
    共通の審決分類: 113・G03G、121・G03G、537・G03G
  • 2024-013822拒絶査定不服審判 / 2025-06-20 / 請求不成立導電性ロール
    共通の審決分類: 113・G03G、121・G03G、537・G03G
  • 2023-007764拒絶査定不服審判 / 2024-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)定着装置および画像形成装置
    共通の審決分類: 113・G03G、121・G03G、537・G03G
  • 2023-000774拒絶査定不服審判 / 2024-06-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)画像形成方法および画像形成装置
    共通の審決分類: 113・G03G、121・G03G、537・G03G

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存