特許拒絶査定不服審判
2016-017599
ローカルエリアネットワークの拡張
- 審判番号
- 2016-017599
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-559881
- 請求日
- 2016年11月25日
- 審決日
- 2017年11月27日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】グーグル インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大塚 良平
- 審判官 玉木 宏治
- 審判官 吉田 隆之
- 分類
- P18 .121-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-559881「ローカルエリアネットワークの拡張」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 6日国際公開、WO2013/130133、平成27年 6月11日国内公表、特表2015-516710、請求項の数(27)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年10月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年3月2日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年11月10日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年2月2日付けで手続補正がされ、平成28年7月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年7月27日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
本願請求項1-27に係る発明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)であれば、以下の引用文献1-6に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2006-129469号公報
2.羽根 稔尚 他、「光ホームゲートウェイ」、三菱電機技報、
2006年2月25日、第80巻、第2号、pp.47-50
3.特開2006-268203号公報
4.特開2006-295586号公報
5.宮地 悟史、「標準化現場ノート 第18回 次世代ケーブル
STBの国際標準化」、映像情報メディア学会誌、
2011年12月1日、第65巻、第12号、pp.1729-1732
6.安保 秀雄、「ASIC設計:ようやくコアがユーザの手元に
設計しやすくなる大規模ASIC」、日経エレクトロニクス、
日本、日経BP社、1996年10月21日、第674号、
pp.101-109(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願請求項1-27に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明27」という。)は、平成28年2月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-27に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
セットトップボックス(200)であって、
特定用途向け集積回路(202)であって、その上に、
有線接続(135、137、212、214)を通じて、ローカルエリアネットワーク(130)の住居用ゲートウェイ(134)に接続可能なネットワークエクステンダ(210)を備え、前記ネットワークエクステンダ(210)は、少なくとも1Gb/秒のデータ転送速度を提供することが可能であり、
前記ネットワークエクステンダ(210)と通信し、メディアデバイス(140)による使用のために、前記ネットワークエクステンダ(210)から受信される信号をフォーマットするように命令を実行する、コンピューティングプロセッサ(225)を有する、メディアプレーヤ(220)を備え、かつ統合する、特定用途向け集積回路(202)と、
前記ネットワークエクステンダ(210)と通信する、少なくとも1つの無線送受信器(230、230a)であって、前記住居用ゲートウェイ(134)と同じ少なくとも1つのサービスセット識別子を有し、前記ローカルエリアネットワーク(130)を拡張する、WiFiアクセスポイント(230a)として構成される、少なくとも1つの無線送受信器(230、230a)と、を備える、セットトップボックス(200)。」
本願発明2-8は、本願発明1を引用し、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明9は以下のとおりの発明である。
「【請求項9】
ローカルエリアネットワークシステム(100)であって、
遠隔サービスプロバイダ(110)と有線通信する、遠隔住居用ゲートウェイ(134)と、
前記住居用ゲートウェイ(134)と有線通信する、複数のセットトップボックス(200)であって、各セットトップボックス(200)は、
特定用途向け集積回路(202)であって、その上に、
有線接続(135、137、212、214)を通じて、ローカルエリアネットワーク(130)の住居用ゲートウェイ(134)に接続可能なネットワークエクステンダ(210)を備え、前記ネットワークエクステンダ(210)は、少なくとも1Gb/秒のデータ転送速度を提供することが可能であり、
前記ネットワークエクステンダ(210)と通信し、メディアデバイス(140)による使用のために、前記ネットワークエクステンダ(210)から受信される信号をフォーマットするように命令を実行する、コンピューティングプロセッサ(225)を有する、メディアプレーヤ(220)と、を備え、かつ統合する、特定用途向け集積回路(202)と、
前記ネットワークエクステンダ(210)と通信する、少なくとも1つの無線送受信器(230、230a)であって、前記住居用ゲートウェイ(134)と同じ少なくとも1つのサービスセット識別子を有し、前記ローカルエリアネットワーク(130)を拡張する、WiFiアクセスポイント(230a)として構成される、少なくとも1つの無線送受信器(230、230a)と、を備え、
各セットトップボックス(200)は、前記住居用ゲートウェイ(134)の前記ローカルエリアネットワーク(130)のためのアクセスポイントとして構成される、セットトップボックス(200)と、を備える、ローカルエリアネットワークシステム(100)。」
本願発明10-20は、本願発明9を引用し、本願発明9を減縮した発明である。
本願発明21は以下のとおりの発明である。
「【請求項21】
ローカルエリアネットワーク(130)を拡張する方法であって、
複数のセットトップボックス(200)を、住居(300)の周囲に配置することと、 有線接続(135、137、212、214)を、各セットトップボックス(200)と前記ローカルエリアネットワーク(130)の住居用ゲートウェイ(134)との間に確立することと、を含み、
各セットトップボックス(200)は、
特定用途向け集積回路(202)であって、その上に、
有線接続(135、137、212、214)を通じて、前記ローカルエリアネットワーク(130)の前記住居用ゲートウェイ(134)に接続可能なネットワークエクステンダ(210)を備え、前記ネットワークエクステンダ(210)は、少なくとも1Gb/秒のデータ転送速度を提供することが可能であり、
前記ネットワークエクステンダ(210)と通信し、メディアデバイス(140)による使用のために、前記ネットワークエクステンダ(210)から受信される信号をフォーマットするように命令を実行する、コンピューティングプロセッサ(225)を有する、メディアプレーヤ(220)と、を備え、かつ統合する、特定用途向け集積回路(202)と、
前記ネットワークエクステンダ(210)と通信する、少なくとも1つの無線送受信器(230、230a)であって、前記住居用ゲートウェイ(134)と同じ少なくとも1つのサービスセット識別子を有し、前記ローカルエリアネットワーク(130)を拡張する、WiFiアクセスポイント(230a)として構成される、少なくとも1つの無線送受信器(230、230a)と、を備える、方法。」
本願発明22-27は、本願発明21を引用し、本願発明21を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-129469号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0003】
IPセットトップボックスは、その一端側が外部インターネット網に連結されたインターネット回線と連結され、さらに他端側がテレビに連結されており、インターネット網と連結されたコンピュータ及びモニターを用いてネットワーク接続を実行する手法と同様に、テレビを通じてインターネットに接続する機能を提供する。」
「【0029】
・・・略・・・これに対し、本発明のセットトップボックスは、物理階層チップを使わないで、LANスイッチをセットトップボックス内に設置し、このLANスイッチを介して多様なIPパケットを受信するように構成したことにより、・・・略・・・」
「【0032】
本実施形態によるIPセットトップボックスは、IPを基盤とする放送サービスのための機能と、無線近距離通信サービスのための機能と、音声通話のための機能と、を統合的に提供することができる。したがって、本実施形態によるIPセットトップボックスの機能について、前記三種類に区分して以下に説明する。
【0033】
<IPを利用した放送サービス機能>
映像信号及び音響信号が統合された放送用のIPパケット、データ通信用のIPパケット及び、音響通信用のIPパケットは、イーサネット(Ethernet)を通じて伝送され、LANインターフェースとしてのLANスイッチ110に受信される。LANスイッチ110は、受信したIPパケットをIPセットトップボックスで認識可能な形態に変換し、マイコン120に出力する。すなわち、LANスイッチ110は、放送データ受信部としての機能を有している。
【0034】
マイコン120は、IPセットトップボックスで認識可能なフォーマットに変換されて入力されるIPパケットを分析し、このIPパケットが放送用であるか、データ通信用であるか、または音声通信用のいずれであるかを判別する。マイコン120は、この判別結果に基づいて、前記IPパケットを処理可能なモジュールに出力する。すなわち、マイコン120は、IPパケットが放送用である場合にはMPEGデコーダー130に出力し、データ通信用である場合にはアクセスポイント310に出力し、音声通信用である場合にはVoIPモデム(modulator/demodulator)210に出力する機能を有している。
【0035】
さらに、マイコン120は、前記IPパケットが放送用である場合には、前記IPパケットからMPEG-TSを分離し、分離したMPEG-TSをMPEGデコーダー130に出力する。
【0036】
MPEGデコーダー130は、入力された前記MPEG-TSを分析し、映像データと音響データとに分離する。そして、MPEGデコーダー130は、映像データは映像エンコーダー(Encoder)140に出力し、音響データは音響コーデック(CODEC)150に出力する。
【0037】
映像エンコーダー140は、MPEGデコーダー130から受信した映像データを、映像データを表示するための表示装置の規格に対応する映像出力信号に変換し、出力する。映像出力信号の種類には、コンポジット信号、コンポーネント信号及びスーパービデオ信号などがある。
【0038】
音響コーデック150は、MPEGデコーダー130から受信した音響データを、ステレオまたはS/PDIF音響出力信号に変換し、出力する。
【0039】
表示部160は、マイコン120の制御によって、映像エンコーダー140から出力された映像出力信号を表示する。赤外線受信部170は、リモコン175から伝送されるIPセットトップボックスの動作命令信号を受信すると、受信信号をマイコン120に伝送する。マイコン120は、赤外線受信部170から受け取った動作命令信号に従い、該当動作を実行する。
【0040】
<IPを利用したデータ通信サービス機能>
無線近距離通信部としてのアクセスポイント310は、前記マイコン120と連結されると共に所定距離内に位置する近距離無線端末350及びVoIP端末370により近距離無線通信機能を提供する。アクセスポイント310は、近距離無線通信用の基底帯域モデム(Baseband MODEM)であり、IEEE802.11 A/B/Gを支援することのできるWLANモデム320と、WLANモデム320から出力された信号を無線通信信号にするための上方変換(Up-conversion)を実行するWLAN-RF(Radio Frequency)部330と、を有する。また、WLAN-RF部330は、近距離無線端末350及びVoIP端末370から受信した信号を基底帯域に下方変換(Down conversion)し、変換信号をWLANモデム320に出力する。」
したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「IPセットトップボックスであって、
外部インターネット網から放送用、データ通信用のIPパケットを受信するLANスイッチと、
前記LANスイッチと通信して、前記IPパケットが放送用である場合はMPEG-TSを分離して、MPEGデコーダーに出力し、データ通信用である場合は、アクセスポイントに出力するマイコンと、
前記MPEG-TSを映像データと音響データに分離して、前記映像データは映像エンコーダーに出力し、前記音響データは音響コーデックに出力するMPEGデコーダーと、
前記映像データを表示装置の規格に対応する映像出力信号に変換し、出力する映像エンコーダーと、
前記音響データを、ステレオまたはS/PDIF音響信号に変換し、出力する音響コーデックと、
前記映像エンコーダーから出力された前記映像出力信号を表示する表示部と、
前記マイコンと連結し、IEEE802.11A/B/Gを支援するWLANモデムを有するアクセスポイントと、を備える、セットトップボックス。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された「羽根 稔尚 他、「光ホームゲートウェイ」、三菱電機技報、2006年2月25日、第80巻、第2号、pp.47-50」(以下、「引用文献2」という。)の第47ページの以下の図からみて、引用文献2には、「加入者宅に、光回線終端部と無線LANアダプタとを有するホームゲートウェイ、及びSTBを備え、前記ホームゲートウェイと前記STBをイーサネットを介して接続すること」という技術的事項が記載されていると認める。
(引用文献2の第47ページの図)
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-268203号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0040】
LAN側通信手段17はLAN側ネットワーク200(図示せぬ制御端末を含むクライアント端末)と接続され、クライアント端末のインタネット接続を実現する。ブロードバンドルータ1と配下の端末とは、有線もしくは無線の通信技術によって接続されている。この場合の通信技術とは、
・有線LAN技術[IEEE802.3 Ethernet(登録商標)等]
・無線LAN 技術(IEEE 802.11a/b/g等)
・その他のシリアル通信[USB(Universal Serial Bus),RS-232C等]
・その他の無線通信[Bluetooth(登録商標),IrDA(Infrared Data Association)等]
というような方法が挙げられる。」
したがって、引用文献3には、「LAN側通信手段として、無線LANのほか、Bluetooth,IrDAを用い得ること」という技術的事項が記載されていると認める。
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-295586号公報(以下、「引用文献4」という。)の段落【0017】から段落【0022】までの記載及び第1図の記載からみて、引用文献4には、「複数のSTBを含むローカルエリアネットワークを構成すること」という技術的事項が記載されていると認める。
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された「宮地 悟史、「標準化現場ノート 第18回 次世代ケーブルSTBの国際標準化」、映像情報メディア学会誌、2011年12月1日、第65巻、第12号、pp.1729-1732」(以下、「引用文献5」という。)の第1図の記載からみて、引用文献5には、「R-ONUとSTBの間を同軸ケーブルで接続すること」という技術的事項が記載されていると認める。
6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された「安保 秀雄、「ASIC設計:ようやくコアがユーザの手元に 設計しやすくなる大規模ASIC」、日経エレクトロニクス、日本、日経BP社、1996年10月21日、第674号、pp.101-109」(以下、「引用文献6」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「コアを使えば大規模ASICの設計が楽になる。ASSPをボード上に配置するように、コアをチップ上に集積できるからだ。」(第102ページ左欄第1行から第4行まで)
「注2)・・・略・・・ある米国のセットトップ・ボックスのメーカがCompCore製コアの利用を指定したために調達した。」(第103ページの注2)
したがって、引用文献6には、「コアを利用するとASICの設計が楽になること」という技術的事項、及び、「セットトップ・ボックスにコアを利用すること」という技術的事項が記載されていると認める。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明における「放送用、データ通信用のIPパケット」は、本願発明1における「信号」に含まれる。
イ.引用発明における「MPEGデコーダー」、「映像エンコーダー」及び「音響コーデック」は、マイコンから受信した放送用データを、表示部に出力するための映像出力信号に変換し、また、音響として出力するための音響信号に変換するものであるから、本願発明1における「メディアプレーヤ」に含まれる。
ウ.引用発明の「LANスイッチ」は、イーサネットからIPパケットを受信するものであり、また、引用発明の「マイコン」は、データの種類が放送用である場合は、MPEGデコーダーにデータを出力するものであり、上記イ.のとおり、引用発明の「MPEGデコーダー」は、本願発明1の「メディアプレーヤ」に含まれる。
したがって、引用発明における「LANスイッチ」及び「マイコン」と、本願発明1における「ネットワークエクステンダ」とは、「通信制御手段」である点で共通する。
エ.引用発明における「表示部」は、本願発明1における「メディアデバイス」に含まれる。
オ.IEEE802.11A/B/Gを支援できるものがWiFiアクセスポイントとして構成し得ることは、本願優先日当時の技術常識と認める。引用発明の「アクセスポイント」はIEEE802.11A/B/Gを支援するものであるから、本願発明1における「無線送受信機」と、「WiFiアクセスポイントとして構成される、少なくとも1つの無線送受信器」という点で共通する。
また、引用発明の「アクセスポイント」は、データがデータ通信用の場合は、マイコンからデータを受信するものであるから、上記ウ.の記載に照らせば、本願発明1における「無線送受信機」と、「通信制御手段と通信する」という点でも共通する。
したがって、引用発明の「アクセスポイント」は、本願発明1における「無線送受信機」と、「通信制御手段と通信する、1つの無線送受信機であって、WiFiアクセスポイントとして構成される、1つの無線送受信機」という点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「セットトップボックスであって、
通信制御手段を備え、
前記通信制御手段と通信し、メディアデバイスによる使用のために、前記通信制御手段から受信される信号をフォーマットするメディアプレーヤを備え、
前記通信制御手段と通信する、1つの無線送受信機であって、WiFiアクセスポイントとして構成される、1つの無線送受信機と、を備える、セットトップボックス。」
(相違点)
(相違点1)一致点の「通信制御手段」が、本願発明1では「ネットワークエクステンダ」であるのに対し、引用発明では「LANスイッチ」及び「マイコン」からなる点。それに関連して、本願発明1の「ネットワークエクステンダ」は、「少なくとも1Gb/秒のデータ転送速度を提供することが可能であ」るのに対し、引用発明では、テータ転送速度について記載されていない点
(相違点2)一致点の「通信制御手段」の接続に係る構成について、本願発明1の「ネットワークエクステンダ」は、「有線接続を通じて、ローカルエリアネットワークの住居用ゲートウェイに接続可能」であるのに対し、引用発明の「LANスイッチ」は、直接外部インターネット網に接続される点。それに伴い、一致点の「無線送受信機」が、本願発明1では、「住居用ゲートウェイと同じ少なくとも1つのサービスセット識別子を有」するのに対し、引用発明では、そのような特定がない点
(相違点3)一致点の「メディアプレーヤ」が、本願発明1では「前記ネットワークエクステンダから受信される信号をフォーマットするように命令を実行するコンピューティングプロセッサを備え」るのに対し、引用発明では、その点について明記されていない点
(相違点4)本願発明1では、「ネットワークエクステンダ」と「メディアプレーヤ」が、「特定用途向け集積回路」上で構成されるのに対し、引用発明では、そのような特定がない点
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、先に相違点2について検討する。
引用発明の「セットトップボックス」は、外部インターネット網から直接データを受信してネットワーク接続するものであり、また、テレビのみならず、アナログ電話、VoIP端末、近距離無線端末という、いわゆる各種宅内機器との接続を可能なように構成されているので、「セットトップボックス」自体に、外部インターネット網と住居内のネットワークの間のゲートウェイ(ホームゲートウェイ)としての機能が既に備わっているものである。
他方、引用文献2には、「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」に記載したとおり、「加入者宅に、光回線終端部と無線LANアダプタとを有するホームゲートウェイ、及びSTBを備え、前記ホームゲートウェイと前記STBをイーサネットを介して接続する。」という技術的事項が記載されていると認める。
ここで、当業者が、引用発明の「セットトップボックス」を別のホームゲートウェイに接続することで、本願発明1のような構成を採用し得たかどうかについて検討すると、引用発明の「セットトップボックス」は、引用文献2の「STB」と異なり、上記のとおり、ゲートウェイ(ホームゲートウェイ)としての機能を有しているものであるから、引用文献2に上記技術的事項が記載されているからといって、引用発明の「セットトップボックス」を、別のホームゲートウェイに接続する構成を採用することに動機付けがあるとはいえず、また、引用文献3-6に記載された技術的事項を参酌しても、そのような構成を採用することが、当業者にとって容易に想到し得たものであるとはいえない。
また、当業者が、引用発明の「セットトップボックス」の機能を、「ホームゲートウェイ」と「セットトップボックス」の二つの機器に分離することで、本願発明1のような構成を採用し得たかどうかについて検討すると、仮に、当業者が、引用文献2の上記技術的事項に基づいて、引用発明の「セットトップボックス」の機能を、「ホームゲートウェイ」と「セットトップボックス」の二つの機器に分離し得たとしても、引用文献2には、「STB」が「無線LANアダプタ」を有することは記載されていないから、分離した「ホームゲートウェイ」と「セットトップボックス」の両方に「無線LANアダプタ」(アクセスポイント)の機能を設ける動機づけがあるといえず、また、引用文献3-6に記載された技術的事項を参酌しても、そのような構成を採用することが、当業者にとって容易に想到し得たものであるとはいえない。
そうすると、引用発明における「アクセスポイント」のサービスセット識別子(SSID)を、本願発明1のように「住居用ゲートウェイ」の「サービスセット識別子」と同じものとすることも同様に、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
なお、仮に、引用発明の「セットトップボックス」を引用文献2の「ホームゲートウェイ」に接続する構成を採用したとしても、引用発明における「アクセスポイント」のサービスセット識別子と、ホームゲートウェイの「無線LANアダプタ」のサービスセット識別子とを、同一とすべき合理的理由を見出すことができない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。
2.本願発明2-8について
本願発明2-8も、本願発明1の「セットトップボックス」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。
3.本願発明9-20について
本願発明9-20は、本願発明1と同じ構成の「セットトップボックス」を備えるローカルエリアネットワークの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。
4.本願発明21-27について
本願発明21-27は、本願発明1と同じ構成の「セットトップボックス」を住居の周囲に配置することを含む方法の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-27は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-017599