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特許拒絶査定不服審判

2016-016977

振動モータを有する乗物、特に自己正立する玩具ロボット

審判番号
2016-016977
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-147088
請求日
2016年11月14日
審決日
2017年12月05日
公報発行日
2018年06月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】イノヴェーション・ファースト・インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
審判長/審判官
  • 審判長 黒瀬 雅一
  • 審判官 吉村 尚
  • 審判官 藤本 義仁
分類
P18 .55 -WZ (A63H) / P18 .537-WZ (A63H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第3項特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-147088「振動モータを有する乗物、特に自己正立する玩具ロボット」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月23日出願公開、特開2014-198264〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成22年9月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年9月25日 米国)を出願日とする出願である特願2012-531075号の一部を,平成26年7月17日に特願2014-147088号として出願したものであって,これまでの手続は次のとおりである。 平成27年11月12日 拒絶理由通知書 平成28年 4月 6日 意見書・手続補正書 平成28年 8月22日 拒絶査定 平成28年11月14日 審判請求書 平成29年 7月14日 拒絶理由通知書 平成29年10月 5日 意見書・手続補正書 第2 当審の判断 1 補正内容 本願の請求項に係る発明(以下「本願発明1」~「本願発明41」という。)は,平成29年10月5日付けで補正された特許請求の範囲における,請求項に記載された事項によって特定されるべきものであり,その記載は次のとおりである。 「【請求項1】 玩具ロボットであって, 複数の脚部と,振動駆動部と,を備え,前記脚部が,2列の脚部で配置されており,前記脚部が,脚基部と脚先端部との間の長さの少なくとも5%の平均軸方向断面を有し, 本体部の重心または当該玩具ロボットの重心が,前記振動駆動部の回転軸に近接してまたは前記回転軸上に位置付けられており, 前記振動駆動部が,下方を向いたときに少なくとも前脚部を反らせるのに適しかつ上方を向いたときに当該玩具ロボットを地面から跳躍させるまたは前記脚部の前脚部を上昇させるのに適した力(Fv)を発生させて当該玩具ロボットを前方に移動させ, 前記本体部または当該玩具ロボットの一部が,2列の脚部間に位置し,複数の前記脚部の前記脚先端部の方向で複数の前記脚部の前記脚基部の下方まで延在しており, 前記振動駆動部の回転軸が,当該玩具ロボットの長手方向軸に沿って延在し, 2本,3本,4本,5本または6本の前記脚部が,前記脚部の各列に設けられていることを特徴とする玩具ロボット。 【請求項2】 当該玩具ロボットが,前記振動駆動部のトルクの効果に起因して,回転して自身で正立するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具ロボット。 【請求項3】 当該玩具ロボットの頂面が,振動中に当該玩具ロボットの自己正立を容易にするために突出することを特徴とする請求項1または2に記載の玩具ロボット。 【請求項4】 頂点を当該玩具ロボットの頂面に設け,当該玩具ロボットが,完全には仰向けにならないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項5】 自己正立を容易にするフィン,プレートまたはフリッパをその背面に配置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項6】 自己正立を容易にするフィン,プレートまたはフリッパを当該玩具ロボットの側面に配置することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項7】 フィン,プレートまたはフリッパが,それらの外側の点が仮想的なシリンダに近接してまたは仮想的なシリンダ上に位置するように構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の玩具ロボット。 【請求項8】 空間部,特にV字状の凹所が,当該玩具ロボットの本体部と当該玩具ロボットの脚部との間に設けられ,前記脚部が,正立回転中に内方に反ることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項9】 前記脚部が,玩具ロボットに,特に前記振動駆動部の回転軸の側部に配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項10】 前記脚部が,重心の上方で当該玩具ロボットに取り付けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項11】 前記脚部が,前記振動駆動部の回転軸の側部かつ上方に取り付けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項12】 当該玩具ロボットの前記脚部が,湾曲しかつ可撓性を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項13】 前記振動駆動部が,下方を向きかつ少なくとも前記脚部の前脚部を反らせて当該玩具ロボットが前方に移動するのに適した力(Fv)を発生させることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項14】 当該玩具ロボットの前記脚部が,垂直からずれた方向に傾いていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項15】 前記脚部の基部が,当該脚部の先端部に対して当該玩具ロボットにおいてさらに前方に配置されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項16】 2以上の前記脚部,特に前脚部が,前記振動駆動部に起因して当該玩具ロボットが振動するときに曲がるように構成されていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項17】 前記振動駆動部が,当該玩具ロボットの鼻部を上昇させると,側方を向きかつ当該玩具ロボットを回転させる傾向を発生させる力(Fh)を発生させることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項18】 当該玩具ロボットが,当該玩具ロボットの後脚部のみが前記前脚部の後方でスライドするが跳躍しないように構成されていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項19】 後脚部の幾何形状が,前記前脚部とは異なるブレーキまたは引き摺り効果を達成するように構成されていることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項20】 後脚部の幾何形状が,前記振動駆動部の振動に起因した前記回転軸回りに回転する傾向に対抗するように構成されていることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項21】 より多くのウェイトが,前記脚部の他の前脚部と比較して1つの前記前脚部に配置されることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項22】 1つの後脚部の長さが,他の後脚部と比較して増大されていることを特徴とする請求項1から21のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項23】 一側にある前記脚部の剛性が,他側と比較して増大されていることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項24】 1つの後脚部が,他側にある他の後脚部と比較して太い構造を有することを特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項25】 1つの後脚部が,他の後脚部よりもさらに前方に配置されていることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項26】 前記脚部が,当該脚部の剛性を増大させるために補強部を用いて互いに接続されていることを特徴とする請求項1から25のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項27】 後脚部が,互いに独立して高さが調整されるように設けられていることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項28】 前記脚部の前脚部の剛性が,後脚部の剛性と比較して低いことを特徴とする請求項1から27のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項29】 後脚部のブレーキ力または当該後脚部を引き摺る引き摺り力が,前方の,すなわち駆動脚部と比較して低減されていることを特徴とする請求項1から28のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項30】 当該玩具ロボットが,その背面に仰向けになるまたは一側面に横になると自身で再度正立することを特徴とする請求項1から29のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項31】 当該玩具ロボットが,弾性鼻部または弾性前方部分を有し,当該玩具ロボットが,障害物に衝突すると跳ね返ることを特徴とする請求項1から30のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項32】 前記弾性鼻部または前記弾性前方部分が,ゴムから形成されることを特徴とする請求項31に記載の玩具ロボット。 【請求項33】 前記弾性鼻部または前記弾性前方部分が,前方に延在する構造部を有することを特徴とする請求項31または32に記載の玩具ロボット。 【請求項34】 前記振動駆動部が,モータと,偏心ウェイトと,を有することを特徴とする請求項1から33のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項35】 前記偏心ウェイトが,前記モータの前方に配置されていることを特徴とする請求項34に記載の玩具ロボット。 【請求項36】 前記偏心ウェイトが,前脚部の前方に配置されていることを特徴とする請求項34または35に記載の玩具ロボット。 【請求項37】 バッテリが,当該玩具ロボットの後方部分に配置されていることを特徴とする請求項34から36のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項38】 前記バッテリ及び前記モータの双方が,前記脚部間に配置されていることを特徴とする請求項37に記載の玩具ロボット。 【請求項39】 スイッチが,前記モータとバッテリとの間に配置されていることを特徴とする請求項34から38のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項40】 当該玩具ロボットが,昆虫,虫,爬虫類または他の動物の形状を有することを特徴とする請求項1から39のいずれか1項に記載の玩具ロボット。 【請求項41】 当該玩具ロボットが,前記振動駆動部のトルクの効果に起因してモータの回転方向とは反対方向に回転し,これにより自身で正立するように構成されていることを特徴とする請求項1から40のいずれか1項に記載の玩具ロボット。」 2 当審の拒絶理由 当審において,平成29年7月14日付けで通知した拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。 (1)「平成28年4月6日付け手続補正書でした補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」とした上で,具体的には,以下のとおりである。 請求項1における「脚基部と脚先端部との間の長さの少なくとも5%の平均軸方向断面を有し」は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載されておらず,また,それらの記載から当業者にとって自明な事項でもない。 (2)「本件出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」とした上で,具体的には,以下のとおりである。 請求項1における「平均軸方向断面」,請求項3における「自己正立を単純化する」,請求項4における「頂面」と「背面」,請求項6及び7における「フィン,プレートまたはフリッパ」,請求項7における「仮想的なシリンダ」,請求項14における「当該乗物の前記脚部が,垂直からずれた方向」,請求項18における「当該乗物の後脚部のみが後方に沿ってスライドする」,請求項19における「異なるブレーキまたは引き摺り効果」,請求項20における「振動駆動部の振動に起因して回転する傾向に対抗する」,請求項26における「2,3,4,5または6の前記脚部」,請求項30における「引き摺り力」,請求項34における「所定点まで延在する構造部」が,それぞれ不明瞭である。 (3)「本件出願の請求項1乃至42に係る発明は,その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」とした上で,具体的には,以下のとおりである。 請求項1から42に記載された発明は,各請求項に記載された発明の奏する作用効果からみて,引用文献1乃至4から当業者が容易に想到し得たものである。 引用文献1:実願平1-56243号(実開平2-147195)のマイクロフィルム 引用文献2:特公昭43-16085号公報 引用文献3:特開2004-275885号公報 引用文献4:特表2008-546518号公報 なお,上記の当審拒絶理由は,平成28年4月6日付け手続補正書に対するものであって,本願の特許請求の範囲は,「第2 当審の判断,1 補正内容」の項に記載されたとおりに補正された。 そして,特許請求の範囲の請求項の構造に係る補正の概要は,平成28年4月6日付け手続補正書の請求項26を削除し,請求項27乃至42の項番を1つずつ繰り上げるというものである。 したがって,平成29年4月6日付け手続補正書における請求項(以下,「旧請求項」という。)と平成29年10月5日付け手続補正書における請求項(以下,「新請求項」という。)の対応関係は以下のとおりである。 旧請求項の請求項1乃至25は,新請求項の請求項1乃至25(そのまま) 旧請求項の請求項27乃至42は,新請求項の請求項26乃至41 3 特許法第17条の2第3項について(請求項の項番は新請求項) 請求項1における「脚基部と脚先端部との間の長さの少なくとも5%の平均軸方向断面を有し」は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載されておらず,また,それらの記載から当業者にとって自明な事項でもない。 なお,出願人は,平成29年10月5日付け意見書において,「ここで,「軸方向断面」とは,図2dから自明であるように,脚部の水平方向の円状横断面の直径を意味しており,「平均軸方向断面」とは,脚部の脚基部と脚先端部との間にわたる,脚部の円状横断面の直径の平均値を意味しています。そのため,「前記脚部が,脚基部と脚先端部との間の長さの少なくとも5%の平均軸方向断面を有し」とは,「脚部の脚基部と脚先端部との間にわたる,脚部の横断面の直径の平均値」が,「脚部の脚基部と脚先端部との間の長さ」の5%以上であること,を意味しており,脚部が毛のように細くはなくある程度の太さを有していることを意図しています。 そして,「前記脚部が,脚基部と脚先端部との間の長さの少なくとも5%の平均軸方向断面を有し」の記載は,図2a~図2dの記載から自明であると思料します。」と主張しているので,検討する。 まず,請求項1の上記記載における「脚基部」,「脚先端部」」なる発明特定事項は,本願の発明の詳細な説明に,具体的に玩具ロボット脚部のどこが相当するかは明記がない。 また,「平均軸方向断面」なる発明特定事項は,本願の発明の詳細な説明に,具体的にどのような事項を技術的に特定しているかに係る用語の定義については明記がない。 さらに,「軸方向断面」とは,本願発明のようなロボット玩具の脚部のような形状の部材において,「長手方向」を「軸方向」とするのが一般的であり,「軸方向断面」を「脚部の円状横断面」つまり,「短手方向の横断面」とする上記主張は受け容れられない。 仮に,上記の発明特定事項が,上記主張のとおりであって,本願の図2a~図2dから自明であるとしても,「脚部の脚基部と脚先端部との間にわたる,脚部の横断面の直径の平均値」が,「脚部の脚基部と脚先端部との間の長さ」の5%以上である点について,その数値限定の下限を示す「少なくとも5%」の根拠,及び上限を定めないことに関しては,なんら記載もされず,示唆もされないものである。 したがって,平成28年4月6日付け手続補正書でした補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 4 特許法第36条第6項第2号について 請求項1に対して 「平均軸方向断面」について,そもそも「脚部」における「軸」が特定されていないから「軸方向」が不明瞭であり,その結果,脚部のどの断面のことを特定しているか不明である。 また,「平均軸方向断面」は,「脚基部と脚先端部との間の長さの少なくとも5%」を有していると記載されているから,何らかの長さを有しているものであることは理解できるが,「平均軸方向断面」という記載は,何らかの「面」が存在することを特定しているにすぎない記載であって,該「面」のどこの長さを特定しようとしているのか不明である。 したがって,「平均軸方向断面」が,どのような構成を技術的に特定しようとしているのか理解できず,請求項1及び請求項1を引用する各請求項は明確ではない。 請求項7に対して 「仮想的なシリンダ」は,ロボット玩具と,どのような関係,特にどのような位置関係にあるのかについて,明細書,特許請求の範囲又は図面において何ら記載されておらず,「シリンダ」の通常の語句の意味である「円筒」もしくは「円柱」を踏まえても,「仮想的なシリンダ」自体が一般的な技術用語でもないため,意味不明な用語であって,どのような構成を技術的に特定しようとしているのか理解できない。 なお,出願人は,平成29年10月5日付け意見書において,「「仮想的なシリンダ」とは,フィン,プレートまたはフリッパの外側の点が玩具ロボットの外接円(外接シリンダ)上にあることを意味しています。」と主張しているが,「玩具ロボットの外接円」,「玩具ロボットの外接シリンダ」のいずれも,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載されておらず,示唆もない。 さらに,「仮想的なシリンダ」を「外接円」や「外接シリンダ」と言い換える根拠もない。 したがって,請求項7及び請求項7を引用する各請求項は明確ではない。 第3 むすび 以上のとおり,この出願は,特許法第17条の2第3項及び特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができないものである。 したがって,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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