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特許拒絶査定不服審判

2016-015935

導電路

審判番号
2016-015935
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-133349外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年10月26日
審決日
2017年08月16日
公報発行日
2017年09月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-133349「導電路」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月15日出願公開、特開2015-  8100、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成25年6月26日の出願であって、平成28年5月20日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月29日付けで手続補正がされ、同年7月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年10月26日に拒絶査定不服審判の請求がされ、平成29年5月15日付けで当審から拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年7月14日付けで手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年7月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2013-073702号公報 B.特開2009-225605号公報 C.特開2000-013081号公報 D.特開2005-223212号公報 E.特開平11-053957号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。 本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2013-73702号公報 (拒絶査定時の引用文献A) 2.特開平11-337840号公報(当審において新たに引用された文献) 3.特開2008-98124号公報(当審において新たに引用された文献) 4.特開2004-111178号公報(当審において新たに引用された文献) 5.特開平11-53957号公報 (拒絶査定時の引用文献E) 第4 本願発明 本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年7月14日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 複数の電線と、 前記複数の電線を保持する電線保持部材と、 前記電線保持部材の開口から導出された前記複数の電線を案内する導電性の金属からなるガイド部材と、 前記電線保持部材と前記ガイド部材との間で前記複数の電線を覆い前記ガイド部材に接続されている可撓性を有する編組シールドと、 前記複数の電線を貫通させる貫通孔が形成され、前記複数の電線から放射される電磁波を吸収する電磁波吸収部品と、 を備え、 前記電磁波吸収部品は、前記保持部材から前記複数の電線の延伸方向に離間し、前記電線保持部材と前記ガイド部材との間において前記複数の電線の外周側に配置され、 前記ガイド部材の前記電線保持部材側に形成された開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さが、前記電線保持部材の開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さよりも長い 導電路。 【請求項2】 前記編組シールドは、弛んだ状態で前記ガイド部材に接続されている、 請求項1に記載の導電路。 【請求項3】 前記編組シールドは、前記複数の電線と前記電磁波吸収部品の前記貫通孔の内面との間に介在する、 請求項1又は2に記載の導電路。 【請求項4】 前記電線保持部材及び前記電磁波吸収部品はそれぞれ、少なくとも一部がシールドシェルの内部に収容され、 前記電磁波吸収部品と前記シールドシェルとは、互いに固定されている、 請求項1又は2に記載の導電路。 【請求項5】 前記編組シールドは、前記複数の電線及び前記電磁波吸収部品の外周側を覆う、 請求項1、2、又は4の何れか1項に記載の導電路。 【請求項6】 前記電磁波吸収部品は、電磁波を吸収する環状の磁性体コアと、前記磁性体コアの外周側に配置され、前記磁性体コアよりも高い弾性を有する緩衝材とを有する、 請求項5に記載の導電路。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 平成29年5月15日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下、同様。) (a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、一又は複数の導電路と、これを覆うシールド部材とを含むワイヤハーネスに関する。」(2頁18-21行) (b)「【実施例1】 【0018】 以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明のワイヤハーネスを示す図である。また、図2はワイヤハーネス端末のシールド構造を示す拡大斜視図、図3は外装部材を示す図である。 【0019】 本実施例においては、ハイブリッド自動車(電気自動車であってもよいものとする)に本発明のワイヤハーネスを採用する例を挙げて説明するものとする。 【0020】 図1(a)において、引用符号21はハイブリッド自動車を示している。ハイブリッド自動車21は、エンジン22、フロントモーターユニット23、及びリアモーターユニット24を併用して駆動する車両であって、フロントモーターユニット23はフロントインバータユニット25を介して、また、リアモーターユニット24はリアインバータユニット26を介してバッテリー27(電池パック、組電池)からの電力が供給されるようになっている。エンジン22、フロントモーターユニット23、及びフロントインバータユニット25は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム28に搭載されている。また、リアモーターユニット24、リアインバータユニット26、及びバッテリー27は、後輪等がある自動車後部29に搭載されている(搭載位置は一例であるものとする。尚、バッテリー27に関しては、ハイブリッド自動車21や電気自動車等に使用可能であれば特に限定されないものとする)。 【0021】 フロントモーターユニット23とフロントインバータユニット25は、高圧のワイヤハーネス30により接続されている。また、フロントインバータユニット25とバッテリー27も高圧のワイヤハーネス31により接続されている。さらに、リアモーターユニット24とリアインバータユニット26も高圧のワイヤハーネス32により接続されている。さらにまた、リアインバータユニット26とバッテリー27も高圧のワイヤハーネス33により接続されている。 【0022】 ・・・ 中略 ・・・ 【0023】 ・・・ 中略 ・・・ 【0024】 ・・・ 中略 ・・・ 【0025】 以下、本発明に関し、ワイヤハーネス32を例に挙げて説明をするものとする。本発明は、ワイヤハーネス32に限らず、ワイヤハーネス30、31、33にも適用可能であるものとする。 【0026】 図1(b)において、ワイヤハーネス32は、三本の高圧電線39(導電路)と、この三本の高圧電線39を一括してシールドする編組40と、編組40の本体部外側に設けられる外装部材41と、三本の高圧電線39の一端側に設けられるモーター側接続部42と、他端側に設けられるインバータ側接続部43とを備えて構成されている。 【0027】 ・・・ 中略 ・・・ 【0028】 ・・・ 中略 ・・・ 【0029】 編組40は、電磁シールド用の筒状部材(電磁波対策用のシールド部材)に形成されている。また、編組40は、本実施例において、三本の高圧電線39をこの全長にわたって覆うことのできる形状に形成されている。 【0030】 編組40としては、導電性を有し且つ金属繊維よりも軽い非金属繊維からなる極細の素線を多数編んでなるものが用いられている。素線に関しては(非金属繊維に関しては)、本実施例において、炭素繊維、又は樹脂材料に導電性材料を混ぜた導電性樹脂繊維からなるものが用いられている。 【0031】 編組40は、上記素線が金属繊維よりも例えば単位長さ当たり軽い非金属繊維からなるものである。従って、編組40は、素線が金属繊維の場合と比べて軽量化されたもの、また、鋼材の高騰に影響されないものになる。尚、素線の径は適宜設定されるものとする。 【0032】 ・・・ 中略 ・・・ 【0033】 ・・・ 中略 ・・・ 【0034】 ・・・ 中略 ・・・ 【0035】 上記シールド構造において、図中の引用符号47は編組40の端末部における端部(端末開口部)をインサートしてなるインサート部分を示している。尚、一体化はインサート成型に限らず、加締めや溶着・溶接等であってもよいものとする。 【0036】 図1(b)及び図3(a)において、外装部材41は、三本の高圧電線39及び編組40を覆い、これらを保護をするための部材であって、例えばツイストチューブ48等が用いられている。ツイストチューブ48は、編組40の外側に巻き付くものとして形成されおり、テープ巻き49によって保持されている。 【0037】 尚、外装部材41は、図3(b)に示す如くの管体50であってもよいものとする。本実施例の管体50は、導電性樹脂成型品であるものとする。すなわち、管体50は、樹脂材料に導電性材料を混ぜこれを成型金型に充填して成型されている(上記樹脂材料及び導電性材料は、例えばPBT等の樹脂材料にカーボンファイバを混ぜたものである)。管体50は、例えば断面円形のパイプ形状に成型されている。管体50の成型にあっては、編組40の端部をインサートして一体化させることが一例として挙げられるものとする。引用符号51は、インサート部分を示している。 【0038】 管体50に関しては、上記導電性樹脂成型品の他に一般的な金属パイプも一例として挙げることができるものとする。この場合、編組40の端末部をバンドや加締めリング等で固定すれば、金属パイプにシールド部材としての機能を持たせることができるのは勿論である。」(4頁6行-6頁20行) (c)「【実施例4】 【0062】 以下、図面を参照しながら実施例4を説明する。図7は更に他の例となるシールド構造の拡大断面図である。また、図8は図7の高圧電線の切断状態を示す拡大断面図である。尚、実施例4は図1も参照するものとする。 【0063】 実施例4は、ワイヤハーネス32でなくワイヤハーネス31を例に挙げて説明をするものとする。 【0064】 図7において、ワイヤハーネス31は、二本の高圧電線65(導電路。ここでは一本のみ図示)と、この二本の高圧電線65を一括してシールドする編組66と、編組66の外側に設けられる図示しない外装部材と、高圧電線65の一端側に設けられるインバータ側接続部67と、他端側に設けられる図示しないバッテリー側接続部とを備えて構成されている。図示しないバッテリー側接続部は、基本的にインバータ側接続部67と同様に構成されている。 【0065】 高圧電線65は、導体68と、この導体68を被覆する絶縁体69とを備えて構成されている。高圧電線65は、この端末において所定の長さ分だけ絶縁体69が皮剥されて導体68が露出するように加工されている。導体68は、ここでは素線(銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金からなる素線)を撚り合わせてなる導体構造のものが用いられている。導体68は、特に限定するものでないが、断面略丸形(円形)となる形状に形成されている。尚、導体68に関し、断面矩形又は丸形となる棒状の導体構造(例えば平角単心や丸単心となる導体構造)のものであってもよいものとする。また、例えば編組バスバーからなる導体構造のものであってもよいものとする。 【0066】 絶縁体69は、絶縁性を有する樹脂材料を導体68の外側に押し出し被覆することによりなるものであって、ここでは公知のものが用いられている。 【0067】 高圧電線65は、高圧用であることから、太物の電線に形成されている。 【0068】 編組66は、電磁シールド機能を発揮させるための部材であって、筒状に形成されている。本実施例の編組66は、実施例1の編組40(図2参照)、実施例2の編組52(図4参照)、及び、実施例3の編組62(図6参照)のいずれかが用いられるものとする。編組66の一端(端末部)は、一体成型によりインバータ側接続部67の後述する導電性樹脂成型品79に一体成型されている。また、他端(端末部)も図示しないバッテリー側接続部に同様に一体成型されている。 【0069】 インバータ側接続部67は、所謂コネクタであって、フロントインバータユニット25のシールドケース70に差し込まれ、内部において電気的な接続がなされるように構成されている。インバータ側接続部67は、端子金具71と、ハウジング72と、端子係止部材73と、防水用のシール部材74~76と、リアホルダ77と、絶縁カバー78と、導電性樹脂成型品79と、固定用のボルト(図示省略)とを備えて構成されている。 【0070】 ・・・ 中略 ・・・ 【0071】 ・・・ 中略 ・・・ 【0072】 ・・・ 中略 ・・・ 【0073】 ・・・ 中略 ・・・ 【0074】 ・・・ 中略 ・・・ 【0075】 ・・・ 中略 ・・・ 【0076】 ・・・ 中略 ・・・ 【0077】 ・・・ 中略 ・・・ 【0078】 ・・・ 中略 ・・・ 【0079】 ・・・ 中略 ・・・ リアホルダ77は、絶縁性を有する樹脂成形品であって、特に図示しないが二分割可能な形状に形成されている。リアホルダ77は、高圧電線65の直径に合わせて貫通する電線挿通孔93と、リアホルダ収容穴90に嵌合する大径の嵌合部94と、この嵌合部94に連続して高圧電線65を引き出す小径の電線引き出し部95と、電線引き出し部95の端部に例えば上下に突出形成される係止凸部96とを有している。係止凸部96は、絶縁カバー78を引っ掛けてこの抜けを規制することができるように形成されている。 【0080】 ・・・ 中略 ・・・ 【0081】 ・・・ 中略 ・・・ 【0082】 ・・・ 中略 ・・・ 【0083】 ・・・ 中略 ・・・ 【0084】 ・・・ 中略 ・・・ 導電性樹脂成型品79は、所謂金属シェル(シールドシェル)の代替品であって、樹脂材料に導電性材料を混ぜこれを成型金型に充填して成型されている。導電性樹脂成型品79は、略筒状の成型品本体101(シェル本体)と、複数の成型品固定部102(シェル固定部)とを有している。成型品本体101は、この内部にハウジング本体84を収容することができるような形状に形成されている。成型品固定部102は、図示しない固定用のボルトを用いてフロントインバータユニット25のシールドケース70に固定されるような形状に形成されている。 【0085】 成型品本体101には、編組66の端末部(端末開口部)が一体成型されている。尚、図中の引用符号103は編組66の端末部におけるインサート部分を示している(インサート成型に限らず、加締めや溶着・溶接等で一体化してもよいものとする)。 【0086】 以上のようなシールド構造であっても、実施例1~3と同様の効果を奏するのは勿論である。すなわち、本発明に係るワイヤハーネス31によれば、導電性を有する非金属繊維の素線を筒形状に編んだ編組66を用いることから、素線が従来例のような金属繊維の場合と比べて軽量化されたもの、また、鋼材の高騰に影響されないものになる。 【0087】 本発明によれば、編組66の軽量化及びコスト低減を図ることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、ワイヤハーネス31の軽量化及びコスト低減を図ることができるという効果を奏する。」(8頁43行-11頁31行) ・上記(c)の段落【0062】には、実施例4に関して、実施例1の図1も参照すると記載されており、実施例4においては、実施例4として上記(c)に記載される部分以外は実施例1と同様の構成を有しているものと認められる。 ・上記(c)の段落【0064】によれば、実施例4として、二本の高圧電線65と、この二本の高圧電線65を一括してシールドする編組66と、編組66の外側に設けられる外装部材と、高圧電線65の一端側に設けられるインバータ側接続部67と、他端側に設けられるバッテリー側接続部とを備えた、ワイヤハーネス31が記載されているといえる。 上記(b)の段落【0036】-【0038】には、実施例1の外装部材として、高圧電線39を覆い、管体として金属パイプからなり、編組40の端末部をバンドや加締めリング等で固定すれば、シールド部材としての機能を持たせることができることが記載されている。 したがって、引用文献1には、二本の高圧電線65と、この二本の高圧電線65を一括してシールドする編組66と、高圧電線65を覆う管体からなる金属パイプであって編組66の端末部がバンドや加締めリング等で固定された外装部材と、高圧電線65の一端側に設けられるインバータ側接続部67と、他端側に設けられるバッテリー側接続部とを備えた、ワイヤハーネス31が記載されている。 ・さらに、上記(c)の段落【0068】の記載によれば、実施例4の前記編組66は、実施例1の編組40が用いられることが、そして、上記(b)の段落【0029】-【0030】には、実施例1の編組40として、電磁シールド用の筒状部材で形成されおり、高圧電線を覆い、導電性を有し且つ金属繊維よりも軽い非金属繊維からなる極細の素線を多数編んでなるものが記載されている。 したがって、引用文献1には、編組66は、高圧電線を覆う電磁シールド用の筒状部材であり、導電性を有し且つ金属繊維よりも軽い非金属繊維からなる極細の素線を多数編んだものである、ことが記載されているといえる。 ・上記(c)の段落【0069】には、前記インバータ側接続部67が、端子金具71と、ハウジング72と、端子係止部材73と、防水用のシール部材74~76と、リアホルダ77と、絶縁カバー78と、導電性樹脂成型品79と、固定用のボルト(図示省略)とを備えていることが、さらに、段落【0079】には、前記リアホルダ77が、高圧電線65の直径に合わせて貫通する電線挿通孔93を有していることが、また、段落【0084】-【0085】には、前記導電性樹脂成型品79が、略筒状の成型品本体101(シェル本体)と、複数の成型品固定部102(シェル固定部)とを有しており、成型品本体101には、編組66の端末部(端末開口部)が一体化されていることが記載されている。 したがって、引用文献1には、インバータ側接続部67は、端子金具71と、ハウジング72と、端子係止部材73と、防水用のシール部材74~76と、リアホルダ77と、絶縁カバー78と、導電性樹脂成型品79と、固定用のボルトとを備え、前記リアホルダ77は、高圧電線65の直径に合わせて貫通する電線挿通孔93を有し、前記導電性樹脂成型品79は、編組66の端末部が一体化されている略筒状の成型品本体101(シェル本体)と、複数の成型品固定部102(シェル固定部)とを有している、ことが記載されている。 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「二本の高圧電線65と、この二本の高圧電線65を一括してシールドする編組66と、高圧電線65を覆う管体からなる金属パイプであって編組66の端末部がバンドや加締めリング等で固定された外装部材と、高圧電線65の一端側に設けられるインバータ側接続部67と、他端側に設けられるバッテリー側接続部とを備えた、ワイヤハーネス31であって、 前記編組66は、高圧電線を覆う電磁シールド用の筒状部材であり、導電性を有し且つ金属繊維よりも軽い非金属繊維からなる極細の素線を多数編んだものであり、 前記インバータ側接続部67は、端子金具71と、ハウジング72と、端子係止部材73と、防水用のシール部材74~76と、リアホルダ77と、絶縁カバー78と、導電性樹脂成型品79と、固定用のボルト(図示省略)とを備え、 前記リアホルダ77は、高圧電線65の直径に合わせて貫通する電線挿通孔93を有し、 前記導電性樹脂成型品79は、編組66の端末部が一体化されている略筒状の成型品本体101(シェル本体)と、複数の成型品固定部102(シェル固定部)とを有している、 ワイヤハーネス31。」 2.引用文献2について 平成29年5月15日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「【0003】図5には、従来の内視鏡スコープのケーブルコネクタ部におけるノイズ対策の構成が示されている。図5において、コネクタ部1は、ライトガイドの光入力端2が配置された光源装置側の接続部1A、スコープに直接接続されたケーブル3、プロセッサ装置に接続される分岐ケーブル4が配置される。これらのケーブル3及び4内には、電気的シールド構造を有する信号線や電源線が複数本配設されるが、これらをまとめて内包する当該ケーブル3,4においても、その外皮直下に電気的シールド体(金属ネット)3A,4Aを備えており、二重シールド構造となっている。 【0004】また、このコネクタ部1内には、各種の回路を実装した回路基板が配置され、この回路基板に各種の信号線や電源線等が接続されるが、これらの線にフェライトコアが配置されると共に、上記分岐ケーブル4の根元部4Eにもこのケーブル4の外周にフェライトコアF1が配置される。」(2頁1欄) 3.引用文献3について 平成29年5月15日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「【0008】 図1は、本発明の第1の実施の形態の高周波ノイズ除去プラグの一部を切り欠いた側面図を示す。 図1に示すように、本発明の第1の実施の形態の高周波ノイズ除去プラグ10は、同軸ケーブル21と接続し、環状のフェライトコア19を内装するもので、キャップ形状のプラグケース11と、プラグケース11の内側に固定される環状形状の絶縁部材12と、環状形状の絶縁部材12の中心に固定されるプラグピン13と、プラグケース11の後方側(図1では上方側)に装着する環状のフェライトコア19と、プラグケース11の後方側を覆う円筒形状のカバー14とで構成されている。 プラグケース11は、前方側(図1では下方側)には円筒部11aが、後方側には円筒部11aより小径の円筒部11bが形成された形状に設定され、円筒部11bには環状のフェライトコア19を装着し同軸ケーブル21のシールド線24が接続する。環状形状の絶縁部材12は、円筒部11aが外側からカシメられ円筒部11aに固定される。また、プラグピン13は、環状突起部13bと、後端部のカシメにより環状形状の絶縁部材12に固定されている。 【0009】 同軸ケーブル21は、芯線23が絶縁部22の中心に配置され、絶縁部22の外側は細いエナメル線で編まれたシールド線24と絶縁チューブ25とで覆われている。同軸ケーブル21が高周波ノイズ除去プラグ10に装着されるときには、絶縁チューブ25が先端から予め定めた長さだけ切り落とされ、また、絶縁部22とシールド線24とが先端から予め定めたより短い長さだけ切り落とされている。同軸ケーブル21は、円筒形状のカバー14の中を通され、同軸ケーブル21の芯線23は、プラグピン13の中を通り先端に設けられた芯線固定穴13aの外側でハンダ付けにより固定されプラグピン13と接続する。絶縁部22は、プラグケース11の円筒部11aに挿入され、シールド線24が環状のフェライトコア19を装着した円筒部11bの後端の外側と接続する。円筒形状のカバー14は、内側に同軸ケーブル21が装着されており、同軸ケーブル21に沿って前方側に移動することにより、環状のフェライトコア19が円筒部11aの外側に固定されるとともに、シールド線24も円筒部11aの外側に固定され接続する。 高周波ノイズ除去プラグ10は、プラグケース11の円筒部11aに円筒形状のジャック(図示せず)が挿入され、プラグピン13はジャックのピン受部と接続し、ジャックの胴体部はプラグケース11の円筒部11aの内側に当接し、ジャックと接続する。 【0010】 図2は、本発明の第1の実施の形態の高周波ノイズ除去プラグのプラグケースとカバーの側面図を示し、図2(a)は、プラグケースの側面図を示し、図2(b)は、カバーの側面図を示す。 図2(a)に示すように、図1に示す本発明の第1の実施の形態の高周波ノイズ除去プラグ10のキャップ形状のプラグケース11は、円筒部11aと円筒部11aより小径の円筒部11bが形成され、図1に示す同軸ケーブル21と接続し、環状のフェライトコア19を円筒部11aに装着する。 また、図2(b)に示すように、図1に示す本発明の第1の実施の形態の高周波ノイズ除去プラグ10の円筒形状のカバー14は、プラグケース11の後方側を覆い、円筒部14aで環状のフェライトコア19を固定し、円筒部14bで内側に装着する図1に示すシールド線24を固定する。」 (3頁31行-4頁23行) 4.引用文献4について 平成29年5月15日付けの拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「【0004】 ところが、最近の自動車には各種インバータ、小型モータや多くの電子情報機器が搭載されており、電気ブレーキシステムに多様なノイズが混入する可能性がある。これらのノイズがケーブルを介して電磁波ノイズを輻射し、自動車に搭載されている各種電子情報機器あるいは制御装置に影響を与える問題がある。 【0005】 従来、ケーブルの電磁波ノイズ対策として、ケーブルにシールド層を形成することが行われている。このような従来のケーブルとして、図4に示すようなシールドケーブル41がある。 【0006】 シールドケーブル41は、金属からなる複数本の芯線42の外周に、第一の絶縁層43、シールド層44および第二の絶縁層45をこの順で形成した構造を有する。第一の絶縁層43と第二の絶縁層45は、それぞれ合成樹脂等の絶縁性に優れた材料からなり、他方、シールド層44は金属編組線等により構成されている。 【0007】 シールドケーブル41では、シールド層44をアース電位に接続することにより、外部からのノイズが芯線42に侵入したり、芯線42から放射される電磁輻射ノイズがシールドケーブル41外へ輻射したりすることが防止される。 【0008】 また、従来のケーブルとして、導体が絶縁体で被覆された絶縁電線を複数本有し、その外側に銅編組が巻かれ、さらにその外側に、絶縁材料からなるシースが配されている車載用高圧放電ランプの電力供給ケーブルがある。このケーブルの各絶縁電線の絶縁体は、合成樹脂を母材としてこれにフェライト粉末を含有させたフェライト含有樹脂で形成されている(例えば、特許文献1参照。)。 【0009】 【特許文献1】 特開平10-31913号公報(第2-3頁、第1図) 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来のシールドケーブル41では、シールド層44を確実に基準電位に接続しなければ、上述のようなノイズ除去効果を確実に得ることができない。すなわち、シールド層44が確実に基準電位に接続されていない場合には、シールド層44からEMIノイズが外部に輻射するという問題がある。また、このシールド層44のアンテナ効果によりコモンモードノイズが発生し、電磁波ノイズが輻射することがある。 【0011】 これらのノイズ対策として、シールドケーブル41にフェライトコアを挿通させる方法が一般的に採用されているが、自動車で使用する場合は、振動によりフェライトコアが割れるおそれや、重量が重くなる、フェライトコアを装着するスペースが必要、フェライトコアの保持方法の工夫(例えば、樹脂モールド成形やカバーケース)が必要、ケーブル外径が大きくなるなど取り扱い上の問題が多い。」 (2頁33行-3頁22行) 5.引用文献5について 平成29年5月15日付けの拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「【0012】[第1実施形態、図1~図3]図1及び図2に示すように、ノイズ抑制機能付き絶縁被覆電線1は、リング状磁性体コア2と、このリング状磁性体コア2の穴2aを挿通している被覆電線5と、リング状磁性体コア2を被覆電線5に固定するための固定部材10とで構成されている。リング状磁性体コア2の内径、すなわち穴2aの径は、被覆電線5の外径より小さい寸法に設定されている。リング状磁性体コア2の材料としては、Ni-Zn系、Mn-Zn系、あるいはMg-Zn系のフェライト等が使用される。第1実施形態では、Ni-Zn系の比透磁率が約500の磁器フェライトを使用した。 【0013】被覆電線5は、相互に平行に配設された一対の導線6,6と、この一対の導線6,6を被覆している電線被覆材7と、この電線被覆材7を被覆している外皮8とからなる。導線6としては、例えば銅線や半田引き銅線等が使用される。電線被覆材7や外皮8の材料としては、例えば塩化ビニル樹脂やウレタン樹脂等が使用される。この被覆電線5の一端部の外皮8は取り除かれており、電線被覆材7のみで被覆された導線6の部分が、リング状磁性体コア2の穴2aに挿通している。 【0014】リング状磁性体コア2は外皮8の端部近傍に配置され、固定部材10にて覆われた状態で被覆電線5の端部に固定されている。固定部材10の材料としては、樹脂又はゴムの少なくともいずれか一方が使用される。樹脂やゴムは柔軟性を有し、リング状磁性体コア2に加わる機械的ストレスの緩衝材としても機能することができる。第1実施形態では、固定部材10の材料として、塩化ビニル樹脂を使用した。」(2頁2欄-3頁3欄) 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (a)引用発明の「二本の高圧電線65」は、本願発明1の「複数の電線」に相当する。 (b)引用発明の「インバータ側接続部67」は、「リアホルダ77」を有し、該「リアホルダ77」は、「高圧電線65の直径に合わせて貫通する電線挿通孔93を有」するものであり、「リアホルダ77」は「電線挿通孔93」によって「高圧電線65」を保持するものと認められることから、引用発明の「インバータ側接続部67」は、本願発明1の「複数の電線を保持する電線保持部材」に相当する。 (c)引用発明の「外装部材」は、「高圧電線65を覆う管体からなる金属パイプ」であり、「高圧電線65の一端側」は「インバータ側接続部67」に接続されるものであるから、本願発明1の「電線保持部材の開口から導出された前記複数の電線を案内する導電性の金属からなるガイド部材」に相当する。 (d)引用発明の「編組66」は、「高圧電線を覆う電磁シールド用の筒状部材」であって、「編組66」の一方の端部は「インバータ側接続部67」の「導電性樹脂成型品79」に一体化され、「編組66」の他方の端部は「外装部材」に「バンドや加締めリング等で固定され」ており、さらに、「極細の素線を多数編んだもの」であり可撓性を有するものと認められることから、引用発明の「編組66」は、本願発明1の「電線保持部材と前記ガイド部材との間で前記複数の電線を覆い前記ガイド部材に接続されている可撓性を有する編組シールド」に相当する。 (e)引用発明の「ワイヤハーネス31」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「導電路」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「複数の電線と、 前記複数の電線を保持する電線保持部材と、 前記電線保持部材の開口から導出された前記複数の電線を案内する導電性の金属からなるガイド部材と、 前記電線保持部材と前記ガイド部材との間で前記複数の電線を覆い前記ガイド部材に接続されている可撓性を有する編組シールドと、 を備えた、 導電路。」 (相違点) 本願発明1では、「前記複数の電線を貫通させる貫通孔が形成され、前記複数の電線から放射される電磁波を吸収する電磁波吸収部品」を備え、該「電磁波吸収部品」は、「前記保持部材から前記複数の電線の延伸方向に離間し、前記電線保持部材と前記ガイド部材との間において前記複数の電線の外周側に配置され」、さらに、「前記ガイド部材の前記電線保持部材側に形成された開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さが、前記電線保持部材の開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さよりも長い」ものであるのに対して、引用発明では、そのような電磁波吸収部品を備えていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について検討すると、上記引用文献2-5には、導電路に電磁波吸収部材を設けることは記載されているが、電磁波吸収部材を「保持部材から前記複数の電線の延伸方向に離間し、前記電線保持部材と前記ガイド部材との間において前記複数の電線の外周側に配置し」、かつ、「前記ガイド部材の前記電線保持部材側に形成された開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さが、前記電線保持部材の開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さよりも長」くすることは記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-5の記載に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-6について 本願発明2-6も、本願発明1の「電磁波吸収部品は、前記保持部材から前記複数の電線の延伸方向に離間し、前記電線保持部材と前記ガイド部材との間において前記複数の電線の外周側に配置され、前記ガイド部材の前記電線保持部材側に形成された開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さが、前記電線保持部材の開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さよりも長い」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5の記載に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 平成29年7月14日付けの補正により、補正後の請求項1は、「電磁波吸収部品は、前記保持部材から前記複数の電線の延伸方向に離間し、前記電線保持部材と前記ガイド部材との間において前記複数の電線の外周側に配置され、前記ガイド部材の前記電線保持部材側に形成された開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さが、前記電線保持部材の開口端面から前記電磁波吸収部品の中心部までの間における前記複数の電線及び前記編組シールドの長さよりも長い」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-E(引用文献Aは、当審拒絶理由における引用文献1)には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-6は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Eに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-015935

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