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特許拒絶査定不服審判

2016-015506

ハイブリッド車両の制御装置

審判番号
2016-015506
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-042854外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年10月18日
審決日
2017年09月20日
公報発行日
2017年11月24日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (B60K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012- 42854「ハイブリッド車両の制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 9日出願公開、特開2013-177091、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年2月29日の出願であって、平成27年11月18日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成27年12月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年3月24日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成28年6月6日に意見書が提出されが、平成28年8月1日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して平成28年10月18日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は、次のとおりである。 本願の平成27年12月25日に手続補正された以下の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献> 引用文献1:特開2010-154638号公報 引用文献2:特開2008-87719号公報 引用文献3:特開2003-9310号公報 1 請求項1について 引用文献1には、この発電機を駆動するエンジンと、発電機により充電されるバッテリと、このバッテリにより駆動される走行用電動機と、車両の走行地点に関する情報を取得する位置情報取得部と、エンジンの駆動による発電機の発電および走行用電動機の駆動に基づいてバッテリ充電量を制御し、かつ、予め設定された充電予定地点に到達した時に、バッテリ充電量が予め設定された充電量下限値に達するよう走行用電動機の駆動による放電およびエンジンの駆動による発電機からの充電を制御する充電量下限値制御を実行する充電制御部とを備えている、ハイブリッド車両の制御装置が開示若しくは示唆されている(段落【0019】等参照)。また、引用文献1の図3を参照すると、目標SOCは充電予定地に近づくにつれて低下していることが窺える。別言すれば、目標SOCは蓄電装置放電可能電力と関連するものであるから、蓄電装置放電可能電力が充電予定地に近づくにつれて低下しているともいえる。 引用文献1に記載のものは、充電量下限値制御の実行時に、発電機による最大発電量である発電許容量を、充電予定地点に近付くほど高く設定しているのかが不明である。 引用文献2には、図8を参照すると、充電量下限値制御において、時間が経過するにつれて(充電予定地に近づくにつれて)蓄電装置放電可能電力が低下しているが、蓄電装置要求電力は最大値は時間が経過するにつれてほとんど変化していないことが看取される。つまり、充電予定地に近づくにつれて、蓄電装置要求電力から蓄電装置放電可能電力を差し引いた値が大きくなる。これによりEV走行不能とならないよう、引用文献2に記載の発明では、蓄電装置放電可能電力が蓄電装置要求電力を下回る場合(EV走行不可と判断した場合)に、EV走行が可能となるまで発電電力レベルを1つずつ上げる制御を行っている(段落【0048】、図5等参照)。そうしてみると、引用文献2には、充電量下限値制御において、発電電力レベルを充電予定地点に近付くほど高く設定することが開示若しくは示唆されているといえる。なお、発電電力レベルは、EV走行不可とならないよう、つまり充電量下限値制御に影響を与えないように定められるものであるから、本願の「発電機による最大発電量である発電許容量」に対応する。 引用文献1及び2に記載のものは、予め設定された充電予定地点に到達した時に、バッテリ充電量が予め設定された充電量下限値に達するよう走行用電動機の駆動による放電およびエンジンの駆動による発電機からの充電を制御するハイブリッド車両である点で共通する。引用文献1に記載のハイブリッド車両の制御装置においても、引用文献2に記載のような、蓄電装置放電可能電力が充電予定地に近づくにつれて低下し、蓄電装置要求電力から蓄電装置放電可能電力を差し引いた値が大きくなることが起こり、EV走行不能となり得ることは、当業者であれば容易に理解できる。そうすると、引用文献1に記載のハイブリッド車両の制御装置においても、当然、引用文献2に記載のような、EV走行不能となることを抑制するという課題が内在しているというのが相当である。したがって、引用文献1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、上記課題を解決するため、引用文献2に記載の技術を敷衍して、充電量下限値制御の実行時に、発電機による最大発電量である発電許容量を、充電予定地点に近付くほど高く設定する構成とすることに格別の困難性があるとは認められない。 よって、請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載の技術から当業者が容易になし得たものであるといわざるを得ない。 2 請求項2、4及び5について 引用文献1及び2の認定については、上記記載を参照のこと。 引用文献3には、現在地点から充電予定地点との間を複数区間に分割し、区間毎に信頼性(重みλ)を定め充電量下限値に向けて徐々に低くなるように目標バッテリ充電量を設定していることが開示若しくは示唆されている(段落【0056】、図7等参照)。 3 請求項3について 引用文献1-3の認定については、上記記載を参照のこと。 なお、現在の走行区間における目標バッテリ充電量と実際のバッテリ充電量との差に応じ、この差が大きいほど発電許容量を大きく設定することは、当然のことである。 4 請求項6について 引用文献1-3の認定については、上記記載を参照のこと。 引用文献1には、充電予定地点までの距離が、予め設定された設定距離以下になったら、充電量下限値制御を実行することも開示若しくは示唆されている(段落【0019】等参照)。 第3 本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成27年12月25日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。 「 【請求項1】 発電機と、 この発電機を駆動するエンジンと、 前記発電機により充電されるバッテリと、 このバッテリにより駆動される走行用電動機と、 車両の走行地点に関する情報を取得する位置情報取得部と、 前記エンジンの駆動による前記発電機の発電および前記走行用電動機の駆動に基づいて前記バッテリ充電量を制御し、かつ、予め設定された充電予定地点に到達した時に、前記バッテリ充電量が予め設定された充電量下限値に達するよう前記走行用電動機の駆動による放電および前記エンジンの駆動による前記発電機からの充電を制御する充電量下限値制御を実行する充電制御部と、 この充電制御部に含まれ、前記充電量下限値制御の実行時に、前記発電機による最大発電量である発電許容量を、前記充電予定地点に近付くほど高く設定する発電許容量設定部と、 を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項2】 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、 前記充電制御部は、前記充電量下限値制御の実行時に、現在地点から充電予定地点との間を複数区間に分割し、区間毎に前記充電量下限値に向けて徐々に低くなるように目標バッテリ充電量を設定し、各区間の走行時に、前記バッテリ充電量が前記目標バッテリ充電量となるように、前記バッテリの放電および前記発電機の発電を制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、 前記発電許容量設定部は、現在の走行区間における前記目標バッテリ充電量と実際のバッテリ充電量との差に応じ、この差が大きいほど前記発電許容量を大きく設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項4】 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、 前記発電許容量設定部は、前記充電予定地点への走行経路上の交通状況に関する道路情報を入力し、この道路情報が持つ前記目標バッテリ充電量への信頼性に応じ、この信頼性が高いほど前記発電許容量を大きく設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項5】 請求項4記載のハイブリッド車両の制御装置において、 前記発電許容量設定部は、前記道路情報として、他車の車速分散を入力し、この分散が低いほど前記目標バッテリ充電量への信頼性が高いとして前記発電許容量を大きく設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項6】 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、 前記充電制御部は、前記充電予定地点までの距離が、予め設定された設定距離以下になったら、前記充電量下限値制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 」 第4 刊行物 1 刊行物1 (1)刊行物1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本願前に頒布された刊行物である特開2010-154638号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、動力源としてモータ及び内燃機関を搭載した電動車両のバッテリ充電制御装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、動力源としてモータ及び内燃機関を搭載したハイブリッド車両において、車載バッテリを外部充電可能なプラグイン・ハイブリッド車両(HEV)が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。 【0003】 特許文献1では、車載バッテリの充電が可能な目的地までの経路を検索して、予測された走行パターンに基づき経路上の各地点におけるバッテリ残容量の中間値を設定し、この中間値よりも実バッテリ残量が多い場合はモータ分担を大きく 、小さい場合はモータ分担を小さくする。これにより、予め設定されたバッテリ残量まで電力を効率よく使用して目的地に到達できる、つまり、バッテリ残容量を次回の充電の際までに使い切り、経済性(エネルギ単価)、環境(水力・原子力発電など)に優れた外部充電を出来るだけ多用することができるとされている。 【0004】 特許文献2では、充電拠点を中心にモータのみによる走行(EV走行)が可能な地域を予め登録し、EV走行が可能な地域の外から充電拠点に向けて走行する場合に、EV走行が可能な地域に到達する手前のモータ及び内燃機関による走行(HEV走行)時にバッテリ残容量を予め高めておき、その地域に到達したらEV走行に切り替える。これにより、静粛性、無公害性の高いEV走行を充電拠点周辺で確実に実施することができるとされている。 【特許文献1】特開平9-163506号公報 【特許文献2】特開2003-32807号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 特許文献1において、検索された経路から一度でも外れると、充電可能な目的地に到着した際の目標バッテリ残容量を達成出来なくなる。つまり、検索された経路よりも近道で目的地に到達すると、目的地でのバッテリ残容量はかなり大きい値のままとなり、プラグイン充電が十分出来なくなり経済性や環境性が悪化する。一方、予定より遠回りで目的地に到着すると、走行途中でバッテリ残容量がゼロとなり加速性能が悪化する。つまり、シリーズ型ハイブリッド車両(SHEV)の場合は、発電用内燃機関と発電機の最大出力で駆動用モータ出力が制限され、パラレル型ハイブリッド車両(PHEV)の場合は、内燃機関及び駆動用モータによるモータアシスト走行が出来なくなり、どちらの場合もバッテリ残容量がゼロでない通常時に比べて加速性能が大きく悪化する。更に、ナビゲーションシステムなどで経路を予め設定し、設定経路どおりに走行する煩わしさもある。 【0006】 特許文献2では、充電拠点を中心とするEV走行が可能な地域の外から、充電拠点に向けてEV走行可能地域内に入った時には、EV走行で必要なバッテリ残容量に制御されている。しかし、充電拠点に向けてEV走行可能地域内を走行している途中で、発電拠点から遠くなるような走行を行ったときは、特許文献1の場合と同じく、充電拠点に到達する前にバッテリ残容量が目標値(ゼロ)に至る可能性があり、充電拠点周辺でEV走行が出来なくなり、静粛性・無公害性を十分発揮出来なくなる。 【0007】 本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め定められた下限残容量までバッテリの電力を効率よく使用して充電拠点に到達できる電動車両のバッテリ充電制御装置を提供することである。」(段落【0001】ないし【0007】) イ 「【0012】 以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。 図1を参照して、本発明の実施の形態に関わるバッテリ充電制御装置を「プラグイン・シリーズ型ハイブリッド車両」に適用した場合の車両の全体構成を説明する。 【0013】 先ず、パワートレインについて説明する。シリーズ型ハイブリッド車両は、発電用内燃機関の一例としてのエンジン1と、エンジン1に直結されエンジン1のパワーを電力に変換したりエンジン始動を行う発電モータ2と、減速機構5を介して車両の駆動輪6a、6bに繋がれ車両を駆動したり減速時に回生発電を行う駆動モータ3と、発電モータ2で発電された電力や駆動モータ3で回生発電された電力を蓄え、駆動モータ3やエンジンスタータとしての発電モータ2に蓄えた電力を供給するバッテリ4とを備える。 【0014】 ここで、発電モータ2は電力を発電する発電手段の一例であり、駆動モータ3はバッテリ4の電力を用いて駆動する車両の駆動輪6a、6bに接続された電動機の一例である。 【0015】 発電モータ2と駆動モータ3は、高圧の3相交流を用いて駆動及び発電を行う。バッテリ4は、高圧の直流で充放電を行う。従って、交流電源と直流電源を変換するためのインバータ7、8が、発電モータ2とバッテリ4の間及び駆動モータ3とバッテリ4の間にそれぞれ配置される。更にシリーズ型ハイブリッド車両においては、低圧の単相交流である家庭用電源を用いてもバッテリ4を充電できるようにするための充電器9及びコンセント15がバッテリ4に接続されている。 【0016】 次に、マイコンを搭載した車載コントローラを説明する。車載コントローラは、発電モータ2や駆動モータ3の各入出力トルクを制御するためにインバータ7、8を操作するモータ・ジェネレータコントローラ10と、エンジン1の吸入空気量・点火時期・燃料噴射量を操作することで出力トルクを制御するエンジンコントローラ11と、バッテリ4の残容量(S0C:State of Charge)を検出し、入出力可能パワーなどの内部状態量を推定してバッテリ4の保護を行うバッテリコントローラ12と、衛星からのGPS信号を用いて自車位置を検出したり、DVD等に記憶された道路、標高、道路勾配、道路曲率などを含む地図データやインフラから送信される渋滞情報を含む通信データを基にして目的地までの経路探索や誘導を行うナビゲーションコントローラ13と、これら複数のコントローラを協調させながら、ドライバーの要求に沿ってモータ駆動出力を制御し、また、運転性と燃費(経済性)の両方を考慮しながら発電出力を制御するパワートレイン統合制御コントローラ14とを備える。各種コントローラ10~14は、高速通信網で繋がれ各種データを共有化する。 【0017】 ここで、バッテリコントローラ12はバッテリ4の残容量を検出する残容量検出手段の一例である。バッテリ4の残容量はバッテリ4の充電率を含む概念である。 【0018】 パワートレイン統合制御コントローラ14は、発電モータ2の発電電力を制御する発電電力制御部(発電電力制御手段)、バッテリ4の残容量の目標値である目標残容量を設定する目標残容量設定部(目標残容量設定手段)、及び車両が現在地から自宅などの充電拠点まで走行する為に必要なエネルギを推定する必要エネルギ推定部(必要エネルギ推定手段)として機能する。 【0019】 必要エネルギ推定部は、GPSを用いたナビゲーションシステムと連携して自宅などの充電拠点と車両間の地理的な関係を随時把握し、この地理的な関係に基づいて車両が充電拠点まで到達するための必要エネルギを算出する。目標残容量設定部は、この必要エネルギに相当するバッテリ残容量を求め、当該バッテリ残容量に予め定められたバッテリ4の下限残容量を加算して目標残容量を設定する。発電電力制御部は、残容量検出部によって検出されたバッテリ4の残容量が目標残容量となるように発電モータ2を制御して発電モータ2でバッテリ4を充電する。これにより、車両が充電拠点に到達した際には、バッテリ4の残容量がゼロとなる。実際には、充電拠点で外部電源に接続・充電せずに再出発する場合も想定する必要があり、エンジン1を再始動可能な最低エネルギをバッテリ4に確保しておく必要がある。従って、上述の充電拠点まで到達するための必要エネルギに相当するバッテリ残容量にこの最低エネルギに相当する下限残容量を加算しておく。なお、充電拠点に到達した時のバッテリ4の下限残容量は、予め設定もしくは推定された充電拠点での外部充電可能時間に応じて変更してもよい。 【0020】 パワートレイン統合制御コントローラ14は、更に、図2及び図3に示すマップデータ、及び図4に示す補正データを記憶するデータ記憶部を備える。図2はアクセル操作量及び車速に応じて目標駆動力を予め定めたマップデータの一例であり、図3は充電拠点と車両間の距離に応じてバッテリ4の目標残容量を予め定めたマップデータの一例であり、そして、図4は充電拠点の標高から車両の標高を減じた標高差に応じて目標駆動力の補正量を予め定めた補正データの一例である。ここで、「充電拠点と車両間の距離」は道路地図情報に基づいて得られる実際にある道路に沿った走行最短距離である。」(段落【0012】ないし【0020】) ウ 「【0022】 図5を参照して、パワートレイン統合制御コントローラ14が行なう制御動作例を説明する。図5に示す制御動作は特定の演算周期で実行される。 【0023】 (イ)先ずS1段階において、ドライバーの加速意思としてのアクセル操作量をアクセルセンサ(ポテンショ)からの出力信号から計測する。S2段階に進み、車輪の回転速度に応じた周波数あるいは回転周期を示すパルス信号を発生する車輪速センサを用いて車速を計測する。実際には、別タイミングで計測された周波数または回転周期を本タイミングで車速に換算する。 【0024】 (ロ)S3段階に進み、パワートレイン統合制御コントローラ14を除く他のコントローラ10~13から高速通信網を介して受信したデータを、受信バッファから読み取る。バッテリコントローラ12からは、バッテリ4の残容量(SOC)と入出力可能パワーを、エンジンコントローラ11からは、エンジン始動判定フラグとエンジン回転数を、モータ・ジェネレータコントローラ10からは、発電モータ2の回転数と駆動モータ3の回転数を、ナビゲーションコントローラ13からは、充電拠点と車両間の距離と標高差を受信する。 【0025】 (ハ)S4段階に進み、図2に示したマップデータを用いて、アクセル操作量と車速に見合った目標駆動力を算出する。更に、目標駆動力にタイヤ有効半径/減速比を含む定数を乗じて、駆動モータトルク指令値を算出する。なお、駆動軸の捻れに起因したガクガク振動を抑制するためのトルク補正は、公知技術をもって実施すればよい。 【0026】 (ニ)S5段階に進み、図3に示したマップデータを参照して、充電拠点と車両間の走行最短距離に応じて目標残容量(目標SOC)を決定する。具体的には、充電拠点までの走行パターンを仮想して、発電モータ2で発電せずにバッテリ4の残容量を用いて車両を走行させて充電拠点まで到達するために必要なエネルギを算出する。この必要エネルギに相当するバッテリ残容量にエンジン再始動を考慮したバッテリ4の下限残容量を加算して目標残容量を求める。当然、走行最短距離が遠いほど目標残容量は高くなり、走行最短距離が近いほど目標残容量は低くなる。また、充電拠点と車両間の標高差に応じて、充電拠点に到達するために必要なエネルギが変わる。そこで、データ記憶部に予め記憶してある図4に示す補正マップを用いて、充電拠点と車両間の標高差に応じて上述の目標残容量を増減補正する。 【0027】 (ホ)S6段階に進み、バッテリ4の目標残容量と実際の残容量とを比較する。目標残容量が実際の残容量よりも大きい場合(S6にてYES)S8段階に進み、目標残容量が実際の残容量以下である場合(S6にてNO)、発電による充電は必要ないと判断してS7段階に進む。 【0028】 (ヘ)S7段階において、エンジン1と発電モータ2の停止を指示するフラグをセットする。一方、S8段階において、エンジン1から受信した情報により、エンジン1が始動済か否かを判断する。未だ始動前であればS9段階に進み、既に始動済みであればS11段階に進む。 【0029】 (ト)S9段階において、発電モータ2を用いて、エンジン1を始動するための最低回転数を保つように回転数フィードバック制御演算を行い、発電モータトルク指令値を算出する。発電モータトルク指令値が正値の場合、バッテリ4は放電を行う。S10段階に進み、エンジン1の始動を要求するフラグをセットして、エンジン1の始動に必要な吸入空気量・点火時期・燃料噴射量をエンジンコントローラ11に対して要求する。 【0030】 (チ)一方、S11段階においては、発電モータ2を用いて効率良く発電できる回転数Nを目標値として回転数フィードバック制御演算を行い、発電モータトルク指令値を算出する。ここで、発電モータトルク指令値が負値である場合、バッテリ4は充電される。 【0031】 (リ)S12段階に進み、バッテリ4の目標残容量と実際の残容量が一致するように、目標残容量と実際の残容量との偏差を用いた比例制御などのフィードバック制御演算を行い、エンジン1の出力(≒発電出力)を算出する。算出された発電出力を効率良く発電できる回転数Nを用いてエンジントルク指令値に換算する。 【0032】 (ヌ)S13段階に進み、高速通信網を用いて、上述のエンジントルク指令値、発電モータトルク指令値、駆動モータトルク指令値、エンジン停止・始動要求フラグを対応する他のコントローラ10~13へそれぞれ送信する。以上のようにして、パワートレイン統合制御コントローラ14(発電電力制御部)は、バッテリコントローラ12によって検出されたバッテリ4の残容量が常に目標残容量となるように発電モータ2を制御して発電モータ2でバッテリ4を充電することができる。 (比較例) ・・・中略・・・ 【0035】 これに対して、本発明の実施の形態では、図6(a)の二点鎖線で示す家21と会社22間の設定経路に対して、近道である破線で示す経路を通った場合であっても、あるいは遠回りである一点鎖線で示す経路を通った場合であっても、充電拠点に到達したときのバッテリ4の残容量は必ず下限残容量(拠点到達時の目標値)となる。 【0036】 図6(b)において、実線は、充電拠点(家21)と車両間の距離に対して、EV走行で充電拠点に到達可能な必要エネルギに相当するバッテリ4の残容量と下限残容量とを加算した目標残容量をバッテリ4の総容量で割った充電率で示したものである。二点破線は、設定経路に沿って走行した場合の充電率の変化を示し、破線は、設定経路よりも近道の経路を走行した場合の充電率の変化を示し、一点鎖線は、設定経路よりも遠回りの経路を走行した場合の充電率の変化を示す。 【0037】 家21を出発する時点では、家庭用電源によるプラグイン充電によりバッテリ4は満充電、すなわち充電率=100%の状態である。家21を出発してから実線上に充電率が到達するまでは、上記した3つのいずれの経路においてもエンジン1による発電はせずに走行する。バッテリ4の実際の残容量が目標残容量、即ち図6(b)の実線上に到達した後は、いずれの走行経路においても、実際の残容量が実線から大きく逸脱しないようにエンジン1による発電を行う。但し、経済性のより高い回生発電は例外であり積極的に優先して実施する。これにより、充電拠点(家21)に到達した際には、バッテリ4の残容量は必ず下限残容量(拠点到達時の目標値)となる。」(段落【0022】ないし【0037】) (2)上記(1)及び図面の記載から分かること ア 上記(1)アないしウ並びに図1、5及び6の記載(特に、段落【0001】、【0007】、【0012】及び【0013】及び図1の記載)によれば、刊行物1には、シリーズ型ハイブリッド車両の充電制御装置が記載されていることが分かる。 イ 上記(1)イ及び図1の記載によれば、前記シリーズ型ハイブリッド車両の充電制御装置は、発電モータ2と、この発電モータ2を駆動するエンジン1と、前記発電モータ2により充電されるバッテリ4と、このバッテリ4により駆動される駆動モータ3と、車両の走行地点に関する情報を取得するナビゲーションコントローラ13と、を備えることが分かる。 ウ 上記(1)イ及びウ並びに図1、5及び6の記載(特に、段落【0001】、【0007】、【0012】及び【0013】及び図1の記載)によれば、前記シリーズ型ハイブリッド車両の充電制御装置は、エンジン1の駆動による発電モータ2の発電および前記モータ3の駆動に基づいてバッテリ4の残容量を制御し、かつ、予め設定された充電拠点に到達した時に、前記バッテリ4の残容量が予め設定された下限残容量に達するよう前記駆動モータ3の駆動による放電および前記エンジン1の駆動による前記発電モータ2からの充電を制御する下限残容量への制御を実行するパワートレイン統合制御コントローラ14を備えることが分かる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)を総合して、本願発明の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「発電モータ2と、 この発電モータ2を駆動するエンジン1と、 前記発電モータ2により充電されるバッテリ4と、 このバッテリ4により駆動される駆動モータ3と、 車両の走行地点に関する情報を取得するナビゲーションコントローラ13と、 前記エンジン1の駆動による前記発電モータ2の発電および前記駆動モータ3の駆動に基づいて前記バッテリ4の残容量を制御し、かつ、予め設定された充電拠点に到達した時に、前記バッテリ4の残容量が予め設定された下限残容量に達するよう前記駆動モータ3の駆動による放電および前記エンジン1の駆動による前記発電モータ2からの充電を制御する下限残容量への制御を実行するパワートレイン統合制御コントローラ14と、 を備えているシリーズ型ハイブリッド車両の充電制御装置。」 2 刊行物2 (1)刊行物2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本願前に頒布された刊行物である特開2008-87719号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、ハイブリッド車両とその制御方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、低燃費の要求に応える車両として、ハイブリッド車が注目されている。ハイブリッド車は、電動機、発電機、エンジン及び蓄電装置を搭載している。発電機はエンジンにより駆動されることで電力を発生し、発電された電力により蓄電装置が充電される。また、回生制動時にも蓄電装置が充電され、これにより高いエネルギー効率を得る。そして、蓄えた電力を蓄電装置が放電し、この電力を用いて電動機が車両推進力を発生する。電動機出力とエンジン出力の両方を車両推進力とすることもある。 【0003】 ハイブリッド車では、放電と充電の切り替えにより、蓄電装置の充電量を制御することができる。蓄電装置は、回生制動時に発生した電力を十分に受け入れることができ、また、要求に応じて直ちに十分な電力を電動機に供給できる状態にあることが望まれる。そのため、蓄電装置の充電量(残量)は、一例として、充電量SOCを30%~70%に収める制御がされている。このハイブリッド車がある目的地に到着した時の蓄電装置の充電量SOCは30%以上であることになる。また、ハイブリッド車は、蓄電装置に対して外部からの充電を充電器で可能とするシステムを備え、夜間電力等の低価格電力で蓄電装置を充電し、燃料コストおよびCO2発生を抑える場合もある。 【0004】 従来技術のハイブリッド車として、走行において、蓄電装置の蓄電量を使い切らない範囲で、蓄電装置の電力を積極的に利用し、燃料コスト低減とCO2排出低減をはかるものがある(特開2004-7969号公報参照)。このハイブリッド車は、燃料を用いて駆動する駆動機関と、蓄電装置に充電された電力によってモータを駆動するモータ駆動装置の両方を備えており、その制御装置は、出発地と目的地まで走行中の各位置に於ける目標蓄電装置残量SOCを算出し、前記目標蓄電装置残量SOCに基づき、前記駆動機関及び前記モータ駆動装置を制御する。 【特許文献1】特開2004-7969号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、上記従来技術において、蓄電装置の蓄電量SOCによって制御を行っているため、蓄電量SOCの低下により走行ルートを走行するために必要な電力を蓄電装置が供給できない問題点がある。特に、蓄電装置の蓄電量SOCで放電可能電力が変化する二次電池、特にリチウムイオン電池において問題が発生する。また、温度によって出力特性が変化する二次電池においても同様な問題が発生する。 【0006】 本発明は、上記課題に鑑ねなされたものであり、発電機の発電量を最小限に設定し、目的地での蓄電装置充電を最大限に行い、燃料コストおよびCO2発生を抑えることを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0007】 燃料を用い発電を行う発電機関と、蓄電装置と、車両の現在位置を検出して目的地に至る経路に従い車両の走行案内を行う機能を有するナビゲーション装置を備えており、発電機関もしくは蓄電装置から供給される電力によって、駆動モータで車両を駆動するハイブリッド車において、地図データを記憶するデータ記憶手段と、前記地図データ内の目的地を設定する目的地設定手段と、前記目的地までの経路を演算する経路演算手段と、前記地図データに基づいて、前記経路上で車両に必要な要求電力を演算する要求電力演算手段と、前記発電機関の複数の発電レベルを設定する発電レベル設定手段と、前記要求電力が蓄電装置の放電可能電力を超える場合、車両に前記要求電力を供給できる前記発電機関の最低の発電レベルを選択する発電レベル選択手段と、を備える。 【発明の効果】 【0008】 出発地から目的地までの駆動電力を予測し、駆動動力を満たせるよう発電機の発電量を最小限に設定し、目的地での蓄電装置充電を最大限に行い、燃料コストおよびCO2発生を抑えることができる。」(段落【0001】ないし【0008】) イ 「【0010】 図1Aにおいて、太い実線は機械力の伝達経路を示し、太い破線は電力線を示す。また、細い実線は制御線を示す。この車両のパワートレインは、駆動モータ4、無段変速機5、差動装置6および駆動輪7から構成される。駆動モータ4が車両の推進源となる。 【0011】 発電モータ1、駆動モータ4は、三相同期電動機または三相誘導電動機などの交流機であり、発電モータ1は主としてエンジン始動と発電に用いられ、駆動モータ4は主として車両の推進と制動に用いられる。 【0012】 発電モータ1、駆動モータ4は、それぞれ、インバーター8、9により駆動される。インバーター8、9は共通のDCリンク10を介して蓄電装置11に電気的に接続されており、蓄電装置11の直流放電電力を交流電力に変換して発電モータ1、駆動モータ4へ供給する。発電モータ1は、エンジン2により駆動されて発電し、発電モータ1とエンジン2とで燃料を用い発電を行う発電機関が構成される。発電モータ1の交流発電電力は、インバーター8、DCリンク10(直流配線)、インバーター9を介して、駆動モータ4を駆動する。発電モータ1、駆動モータ4の交流発電電力を直流電力に変換して蓄電装置11を充電する。なお、インバーター8、9は互いにDCリンク10を介して接続されているので、回生運転中のモータにより発電された電力を、蓄電装置11を介さずに直接、力行運転中のモータへ供給することができる。また、蓄電装置11はDCリンク10を介しDC/DCコンバーター12に接続され、車両の補機13に電力を供給する。 【0013】 コントローラ14は、中央演算処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力インターフェース等から構成される。メモリには、後述のマップ等が格納される。コントローラ14は、エンジン2の回転速度、出力およびトルク、発電モータ1、駆動モータ4の回転速度およびトルク、蓄電装置11の充放電などを制御する。コントローラ14には、蓄電装置11の温度TBを検出する温度センサ15、蓄電装置11の端子電圧VBを検出する電圧センサ16、蓄電装置11の電流値IBを検出する電流センサ17、外気温度を検出する外気温度センサ23、車速を検出する車速センサ53からの信号が入力される。コントローラ14は、公知の方法により電流値IB等から蓄電装置11の残容量(蓄電量)SOCを演算する機能を有する。 【0014】 また、コントローラ14は、蓄電装置11の温度TBと蓄電装置11の残容量SOCに対する蓄電装置11の放電可能電力のマップデータをROM等のメモリに記憶し、計測された蓄電装置温度TBと蓄電装置残容量SOCから蓄電装置の放電可能電力を演算できるように構成されている。」(段落【0010】ないし【0014】) ウ 「【0015】 本発明では、車両の出発時点から目的地まで蓄電装置の放電可能電力を予測する必要があるため、以下に蓄電装置の放電可能電力を予測する方法を述べる。 【0016】 図2のマップは、蓄電装置残容量SOCと蓄電装置電圧E、及び、蓄電装置残容量SOCと蓄電装置温度が25℃における内部抵抗R25との関係を表す。図3に蓄電装置温度と、蓄電装置温度25℃の時の値を1とした時の温度係数とを示す。車両の出発地(現在位置)において計測された蓄電装置温度TBと、蓄電装置残容量SOCから、蓄電装置の放電可能電力を演算できる。蓄電装置の放電可能電力の演算方法として、まず、蓄電装置の残容量SOCから図2のマップを参照して、蓄電装置電圧Eと蓄電装置内部抵抗R25を求め、蓄電装置温度TBから図3のマップを参照して温度係数KTを求める。蓄電装置の放電可能電力Pow_BATは、以下の式(1)により求められる。 【0017】 【数1】 ・・・中略・・・ 【0019】 目的地まで蓄電装置の残容量SOCは、電流値Iを使って、以下の式(2)により予測できる。 【0020】 【数2】 ・・・中略・・・ 【0026】 ここで、E(n-1)は、放電から(n-1)×Δt秒後の開放電圧であり、SOC(n-1)から図2のマップを参照して求められる。SOC(n) から蓄電装置の放電可能電力Pow_BAT(n)を式(5)により演算できる。 【0027】 【数5】 ・・・中略・・・ 【0028】 コントローラ14は、発電モータ1とエンジン2による発電電力を制御することができ、駆動モータ4に供給する電力における蓄電装置11から供給する電力と発電モータ1から供給される電力の分担を制御することができる。 【0029】 蓄電装置11には、充放電回路18が取り付けられていて、充電プラグ19を介して、図示しない外部の充電器からの充電が可能な構成となっている。充放電回路18は、コントローラ14の指令信号を受けて、充電電力の制御を行うことができる。 ・・・中略・・・ また、充放電回路18は、プラグ19を介して、蓄電装置11から外部に電流を放電でき、充電電力と同様に放電電力を制御できる。コントローラ14は、携帯電話21からの信号を受けて、充放電回路18を制御できる。或いは、コントローラ14は、ナビゲーションシステム20が受信する携帯電話21からの信号を受けて、充放電回路18を制御できる。コントローラ14又はナビゲーションシステム20は、携帯電話21からの信号を受信する受信機を備える。コントローラ14は、ナビゲーションシステム20又は携帯電話21からの信号を充放電回路18のチョッパ回路への指令信号に変換し、充電電流や充電電力を制御できる。 【0030】 図1Bに、ナビゲーションシステム20の概略図を示す。ナビゲーションシステム20は、演算部50、GPS受信機51、ジャイロセンサ52、車速センサ53、データ記憶装置54、モニタ56、入力装置(ユーザインターフェース)57、ビーコン受信機58から構成される。 ・・・中略・・・ 【0033】 データ記憶装置(データ記憶手段)54は、地図データを記憶している記憶媒体55とその駆動装置から構成される。記憶される地図データには、道路形状に関するデータ、道路の各地点での勾配、制限速度などが含まれる。道路の各地点での勾配は、地図データ中の高度データから計算して、記憶しておくこともできる。また、地図データには、目的地までの移動時間(所要時間)の計算に使用する、道路上の各地点の日時ごとの平均車速を含めることができる。ここで各地点は所定間隔おきに設定され、この所定間隔は記憶媒体55の容量をデータ量が超えない範囲で短く設定されることが好ましい。 ・・・中略・・・ 【0034】 モニタ56には、地図データ、地図データ上の車両の現在位置、目的地までの経路等が表示可能である。車両の運転者は、入力装置57を使用して、出発地、目的地などを演算部50に入力できる。 【0035】 演算部50は、中央演算処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、入出力インターフェース等から構成され、車両の現在位置を検出する現在位置検出部61、車両の経路を演算する経路演算部(経路演算手段)62、経路を記憶する経路記憶部63(RAM)等を有する。現在位置検出部61は、GPS受信機52、ジャイロセンサ53、車速センサ58の信号から得た車両の軌跡と地図データの道路形状を比較して、地図データ上の車両の現在位置を位置座標として検出する。経路演算部62は、検出された車両の現在位置(出発地)から目的地までの移動距離を最小にする条件下や目的地までの移動時間を最小にする条件下などで、車両の現在位置(出発地)から目的地までの最適経路を検索する演算を行う。なお、車両の運転者が、入力装置57を使用して出発地を設定する場合には、設定された出発地から目的地までの最適経路を検索演算してもよい。なお、経路演算部62は、車両の現在位置座標が演算した経路上にあるか否か判定することにより目的地までの経路から実際の走行が外れたことを判断でき、実際の走行が外れたと判断された場合には、外れた地点から目的地までの経路を再演算する。また、経路記憶部63は、検索された経路を記憶する。 【0036】 演算部50は、検索された経路上の各地点での制限車速や平均車速に関する車速情報と道路の勾配に関する勾配情報をデータ記憶装置55からコントローラ14へ送る。コントローラ14は、車速情報と勾配情報に基づいて、検索された経路上で蓄電装置が車両を駆動させるために必要な電力を演算することができる。また、発電モータ1、即ち発電機を作動させた時に蓄電装置に要求される蓄電装置要求電力を演算することができる。」(段落【0015】ないし【0036】) エ 「【0037】 図5に、第一実施形態の制御フローチャートを示す。ステップS1で、運転者が、出発地、途中の目的地、最終目的地を、入力装置57により入力して、演算部50のRAMに記憶・設定する(目的地設定手段)。ナビゲーションシステム20の経路演算部62は、途中の目的地を通過するように出発地から最終目的地までの最適経路を選択する。最終目的地は充電が確実にできる自宅に設定する。あるいは、運転者が最終目的地は設定せず、あらかじめ自宅となるようにする。出発地は運転者が設定せずに、ナビゲーションシステム20の演算部50が、現在位置検出部61により検出された車両の現在位置を出発地として自動的に設定してもよい。図6に示すように、途中の目的地は、運転者が1地点を設定する。さらに、運転者は、入力装置57を介して、途中の目的地、最終目的地で充電が可能か否かを設定する。本実施形態では、途中の目的地では充電不可能であり、最終目的地でのみで充電が可能である場合について説明する。 【0038】 ステップS2において、車両の走行中に要求される車両要求電力Prを求める。ステップS2は、車両要求電力演算手段を構成する。まず、コントローラ14は、ナビゲーションシステム20からの車速情報、勾配情報により、出発地から最終目的地までEV走行した場合の車両駆動電力を演算する。なお、EV走行とは、発電モータ1で発電せず蓄電装置のみで電力を供給する車両走行のことをいう。車両の駆動に必要な電力である車両駆動電力Pdは、一般的な式、例えば、式(6)により演算する。 【0039】 【数6】 ・・・中略・・・ 【0040】 ・・・中略・・・ 最近では、VICS対応のナビゲーションシステムにおいて、目的地までの経路案内や渋滞情報を取り入れた到着時間予測の精度が上がっている。この精度向上により、出発地から目的地までに必要な駆動電力を正確に予測できると考えられる。 【0041】 ・・・中略・・・ 【0042】 図8に、目的地から最終目的地までのEV走行において、蓄電装置が放電しなければならない蓄電装置要求電力(即ち車両要求電力Pr)、蓄電装置が放電可能な電力である蓄電装置放電可能電力の演算結果を走行時間に対して示す。出発地からの走行時間は、平均速度が定められる地点の前述の所定間隔を平均速度で除算したものを積算することにより求められる。蓄電装置放電可能電力の演算は、前述のように蓄電装置充電量SOCとその充電量SOCにおける蓄電装置内部抵抗から演算する。 【0043】 ステップS3で、出発地から目的地までのEV走行が可能であるか判断する。出発地から目的地までのEV走行が可能であるかの判断方法は、図8のように、EV走行時に蓄電装置に要求される蓄電装置要求電力(即ち車両要求電力Pr)と、蓄電装置放電可能電力とを各走行時間にて比較し、蓄電装置放電可能電力が蓄電装置要求電力Prより小さくなると、EV走行不可能と判断する。EV走行時に蓄電装置に要求される蓄電装置要求電力は、車両に必要な車両要求電力Prである。出発地から最終目的地までに必要な蓄電装置消費電力量と、現時点で蓄電装置残容量を比較して判断することが考えられるが、電力で比較した方が車両の動力性能を考慮した走行可能判断となり、運転者への不安を与えずに走行が可能となるため、蓄電装置放電可能電力で判断する。 【0044】 ステップS3でEV走行可能と判断された場合には、ステップS4へ進み、EV走行を開始する。ステップS3でEV走行不可能と判断された場合には、ステップS5へ進む。 【0045】 ステップS5では、発電モータ1、即ち、発電機の運転条件を設定する。図9、図10のマップに、発電モータ1の発電レベルを示す。本実施形態では、各車速、勾配に対して発電モータ1の発電レベルi(整数)を1~5までマップに設定する(発電レベル設定手段)。 【0046】 図9のマップのように、車速に対する発電レベルの一例としては、車速が100km/hrで、車速発電電力比Kvel (道路勾配が零の場合における発電モータ1の発電電力の最大発電電力に対する比)を0.2に設定する。平坦路の走行抵抗は、車速の2乗に比例するので、車速発電電力比Kvelは、車速の二乗に比例するように設定する。また、図10のマップのように、勾配に対する発電レベルの一例としては、勾配が10%で、勾配発電電力比Kslop(車速発電電力比Kvelを1と仮定した場合における発電モータ1の発電電力の最大発電電力に対する比)を5.0に設定する。勾配を登るための電力は、勾配の1乗に比例するので、勾配発電電力比Kslopは、勾配に比例させて増加させる。このように、発電機の発電電力制御を車速と道路勾配に応じて行うので、発電機作動音を最小限にできる。 【0047】 図9、図10のマップを参照して、車速と勾配、及び、選択された発電レベルに応じてKveloとKslopが求まり、発電モータ1の発電電力Peは、(発電モータ1の最大電力)×Kvelo×Kslopで求められる。従って、発電モータ1の発電電力Peは、車速の二乗に比例し、道路勾配に比例する。このように、発電レベルi(整数)は、車速、勾配に応じた発電モータ1の発電電力の大きさを示すものであり、車速と勾配が同じでも発電レベルの増加により発電電力が大きく設定されることになる。 【0048】 ステップS6において、発電モータ1の発電レベルを1として、車速と勾配に応じて、経路上での蓄電装置要求電力を演算する。ここでの蓄電装置要求電力は、車両駆動電力Pdと補機消費電力Paの和である車両要求電力Pr(=Pd+Pa)から発電モータ1の発電電力Peを引いたもの(Pd+Pa-Pe)となる。ステップS7において、走行可能かどうか判断する。判断方法は、ステップS6で求めた蓄電装置要求電力(Pd+Pa-Pe)と、蓄電装置放電可能電力Pow_BATとを比較する。蓄電装置放電可能電力Pow_BATが蓄電装置要求電力(Pd+Pa-Pe)より大きければ、車両要求電力Prが発電モータ1と蓄電装置11から供給可能であり走行可能と判断し(Pow_BAT>Pd+Pa-Pe)、ステップS8へ進み、発電レベル1で走行を開始する。ステップS7で走行不可能と判断された場合、つまり蓄電装置放電可能電力Pow_BATが蓄電装置要求電力(Pd+Pa-Pe)より小さい場合には、ステップS9へ進み、発電モータ1の発電レベルを1つだけ上げ、ステップS6で再度蓄電装置要求電力を演算する。ステップS7で走行可能と判断されるまで、ステップS9、ステップS6を繰り返す(発電レベル選択手段)。ステップS7で走行可能と判断されたならば、ステップS8へ進み走行を開始する。図11に蓄電装置要求電力と蓄電装置放電可能電力の比較を示す。発電モータ1の発電レベルが大きくなり、蓄電装置要求電力が低下する。一方、蓄電装置放電可能電力は増加し、蓄電装置要求電力が蓄電装置放電可能電力より小さくなる。このようになると、走行が可能と判断される。このように、出発地から目的地までの駆動電力や補機消費電力を予測し、駆動動力を満たせるよう発電機の発電量を最小限に設定し、目的地での蓄電装置充電を最大限に行い、燃料コストおよびCO2発生を抑えることができる。 【0049】 なお、設定された経路から実際の走行が外れたと判断された場合には、外れた地点から目的地までの経路を再演算して、ステップS2以降の制御を行う。これにより、出発地から目的地までの当初の設定経路からはずれた場合にも、燃料コストの低減とCO2発生の低減が可能となる。」(段落【0037】ないし【0049】) (2)刊行物2記載の技術 上記(1)アないしエ並びに図1A、1B、4ないし10の記載(特に、段落【0007】及び【0042】ないし【0049】並びに図5及び8ないし10の記載)によれば、刊行物2には次の技術(以下、「刊行物2記載の技術」という。)が記載されていると認める。 「発電モータ1と、この発電モータ1を駆動するエンジン2と、前記発電モータ1により充電される蓄電装置11と、この蓄電装置11により駆動される駆動モータ4と、現在位置検出部61により検出した車両の現在位置と運転者が入力装置57により入力した目的地とによって、経路演算部62が車両の現在位置から目的地までの経路を演算するようにしたナビゲーションシステム20と、コントローラ14と、を備えたハイブリッド車両において、前記コントローラ14は、前記ナビゲーションシステム20から送られた情報に基づいて車両の現在地から充電可能な目的地までのEV走行時において前記蓄電装置11が放電しなければならない蓄電装置要求電力を演算し、前記蓄電装置11の残容量SOCから蓄電装置放電可能電力を演算し、前記蓄電装置要求電力が前記蓄電装置放電可能電力を超えるEV走行不能な場合、発電モータ1の発電電力の大きさを示す発電レベルを初期のレベル1からレベルを1つずつ上げることにより車両に前記蓄電装置要求電力を供給できる前記発電モータ1の最低の発電レベルを選択するようにした技術。」 3 刊行物3 (1)刊行物3の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本願前に頒布された刊行物である特開2003-9310号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は複数の駆動源により走行するハイブリッド車両の制御装置に関し、特に、燃料消費量を改善するものである。 【0002】 【従来の技術】走行経路における渋滞情報、標高情報、車線数などの道路に関する情報(道路情報)を交通情報受信装置およびナビゲーション装置から入手し、それらの道路情報に基づいてバッテリーの充放電を計画するようにしたハイブリッド車両の制御装置が知られている(例えば特開平10-150701号公報参照)。この装置では、道路情報に基づいて良燃費を実現するように目的地までのバッテリー蓄電量目標値を計画するとともに、バッテリーの蓄電量が計画した目標値と一致するようにエンジンとモーターの運転点を調整している。 【0003】また、本出願人は、走行経路の道路情報に基づいてバッテリーの充放電を計画するハイブリッド車両の制御装置を提案している(特願2001-031030号)。この装置では、バッテリーの蓄電量や充放電量を直接、計画する代わりに、計画を決定づけるパラメーター「SOC換算指標」を演算し、その演算値に基づいてエンジンとモーターの運転点を調整する。「SOC換算指標」はエンジンの燃料消費効率と対応させた指標であり、目的地におけるバッテリー蓄電量を目標値に一致させるという条件を満たしつつ経路を良燃費で走行する値として、走行経路の道路情報を基に演算する。車両の制御装置は、演算した「SOC換算指標」、車速検出値および制駆動力指令値に基づいてエンジンとモーターの運転点を決定し、調整することによって、「SOC換算指標」に対応するエンジン燃料消費効率で車両を制駆動させ、燃料消費量を抑制するというものである。 【0004】ところで、ハイブリッド車両は、モーターのみ、あるいはモーターとエンジンを駆動源としているが、上り坂が続くような状況においてはモーターによる駆動力を長い時間にわたって維持するために、バッテリーの蓄電量を予め多くしておくことが望まれる。このような要望に対し、上記ハイブリッド車両の制御装置では、車両の走行経路上の各種道路情報に基づき上り坂手前でバッテリー蓄電量を所定値以上にしておくように、「SOC換算指標」を演算する方法も提案している。この方法によれば、上り坂でモーターによる駆動力をより長く維持できるといった効果を得ることができる。 【0005】このように、提案した上記ハイブリッド車両の制御装置は、車両が走行する経路上の道路情報を基に、バッテリーの充放電を直接的に、あるいは間接的に計画し、その計画に沿ってエンジンとモーターの運転点を調整することにより、良好な燃費や制駆動力特性を実現できる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のハイブリッド車両の制御装置では、出発地から遠い地点ほど出発地で入手した道路情報と実際に通行するときの道路情報との差が大きくなることを考慮せずに、バッテリーの充放電を計画しているので、燃料消費量をより抑制し、制駆動力特性をさらに改善する余地がある。 【0007】出発地で入手した道路情報と実際に通行するときの道路情報との差が大きくなる要因としては、第1に走行経路の逸脱が上げられる。運転者は、常にナビゲーション装置の誘導する経路に沿って走行するとは限らず、道路状況に応じて経路を変更したり、寄り道の欲求により一時的あるいは完全に経路を逸脱することは、日常的によくあることである。特に、誘導経路上の出発地付近の地点Aを通過する確度と出発地から離れた地点Bを通過する確度とを比較すると、地点Bの方が脇道が多く経路を逸脱する機会が多いため、地点Bを通過する確度は地点Aを通過する確度よりも低いと考えられる。したがって、出発地から遠くなるほど、出発地で入手した道路情報と実際に通行するときの道路情報との差が大きくなる。 【0008】第2の要因として渋滞が上げられる。渋滞状況は時々刻々と変化するので、出発地で入手した渋滞情報と実際に通過するときの渋滞情報との間には差が生じやすい。特に、出発地から遠く離れた地点ほど車両がその地点へ到達するまでに時間を要するので、差は大きくなる。 【0009】本発明の目的は、走行経路の燃料消費量を抑制しながら制駆動力特性を改善することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】一実施の形態の構成を示す図1および図2に対応づけて本発明を説明すると、 (1) 請求項1の発明は、燃料を使って発電を行う発電装置1,2と、車両の駆動輪に連結されるモーター4と、発電装置1,2およびモーター4との間で電力の授受を行うバッテリー15とを有するハイブリッド車両の制御装置に適用される。そして、道路に関する情報(道路情報)を内蔵するとともに外部から入手し、道路情報に基づいて車両の走行経路を探索または予測するナビゲーション装置33と、探索または予測した走行経路上の一地点Pまでを分割する経路分割手段33と、分割区間ごとの道路情報に基づいてバッテリー15の充放電量を計画する手段であって、地点Pに近い区間の道路情報ほど充放電量計画に対する影響が小さくなるように充放電量を計画する充放電計画手段16と、充放電量の計画に応じて発電装置1,2とモーター4の運転点を調整する運転点調整手段16とを備え、これにより上記目的を達成する。・・・(後略)・・・」(段落【0001】ないし【0010】) イ 「【0035】図4はSOC換算指標SOCcの演算処理ルーチンを示すフローチャートである。車両コントローラー16は所定時間ごとにこの演算処理ルーチンを実行する。ステップ11において現在のSOCを検出し、d_SOCとする。続くステップ12ではナビゲーションシステム33から新しいデータ、すなわちm分割した区間way(j)(j=1~m)ごとの道路情報を新しく受信したかどうかを確認し、新しいデータを受信した場合はステップ13へ進み、受信しなかった場合はステップ31へ進む。 【0036】区間way(j)ごとの道路情報を新しく受信した場合は、ステップ13で車両の動力性能を考慮して区間way(j)ごとの道路情報に応じたSOCの上下限値を設定する。例えば、図5に示すようにway(k)から先5kmにわたって上り坂が続くと見込まれる場合には、モーターによる駆動力を十分に持続させるためにway(k-1)における下限値を50%とし、10kmにわたって上り坂が続く場合には下限値を60%といった具合に設定する。同様に、下り坂が所定距離継続すると見込まれる場合には、下り坂での回生制動特性を確保すべく、下り坂の継続距離に応じたSOC上限値を設定する。 【0037】ステップ14では、SOC換算指標に対する各区間ごとの重み付けλ(j)を設定する。重み付けλ(j)の設定に際して、出発点から各区間way(j)の始点までにわたって存在する分岐道路の数num(j)を各区間の道路情報に基づいて演算する。このとき、num(1)≦num(2)≦num(3)≦・・・≦num(m)である。分岐数num(j)に対し、予め記憶させてある図6に示す特性テーブルを表引き演算することによって、区間ごとの重み付けλ(j)を導出する。なお、num(j)に数える分岐経路は、主要な幹線道路のみとしてもよい。また、車両が通行する頻度を記憶しておき、通行する頻度が高い分岐を頻度に応じて整数倍して数えるなどの工夫をしてもよい。重み付けλ(j)の演算結果例を図7に示す。」(段落【0035】ないし【0037】) ウ 「【0056】上述したように、この実施の形態では、走行経路の道路情報に基づいてバッテリーの充放電を計画する際に、出発地で入手した道路情報と実際に通行するときの道路情報との差が大きくなることを考慮する。道路情報の差が大きくなる要因としては、走行経路の逸脱と渋滞状況の変化があげられる。走行経路の逸脱においては、出発地に近いほど逸脱発生の確率が低いため、目的地におけるSOCを予測する際には出発地に近い区間ほど区間SOCの変化量をそのまま使用する。具体的には、出発地に近い区間のSOC換算指標に対する重み付けλに1を設定する。これに対し出発地から遠い、つまり目的地に近い区間ほど走行経路を逸脱する確率が高くなり、ナビゲーションシステム33が探索または予測した経路と異なる経路を走行することが多くなる。しかし、この場合、出発地から遠い区間における区間SOCの変化量をどの程度にすればよいのか分からないので、区間SOCの変化は少ないと仮定する。具体的には、出発地から遠い区間のSOC換算指標に対する重み付けλを0に近づける。図6に示す特性テーブルでは、出発地に近い区間ほど分岐数が少ないから重み付けλは1となり、出発地から遠い区間ほど分岐数が多くなるから重み付けλが0に近づく。また、上述したように、分岐数に代えて出発地からの道のりや予測所要時間、あるいは区間番目としても、出発地に近い区間では重み付けλは1となり、出発地から遠い区間ほど重み付けλが0に近づく。」(段落【0056】) (2)刊行物3記載の技術 上記(1)アないしウ並びに図1、4及び7の記載によれば、刊行物3には、次の技術事項(以下、「刊行物3記載の技術」という。)が記載されていると認める。 「ハイブリッド車両の制御装置において、走行経路の道路情報に基づいてバッテリーの充放電を計画する際に、出発地(現在地点)から目的地(充電予定地点)との間を複数区間に分割し、区間毎のSOC換算指標に対する重み付けλを、出発地に近い区間ほど1を設定し、出発地から遠い区間は0に近づけるよう設定する技術。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、後者における「発電モータ2」は、前者における「発電機」に相当し、以下同様に、「エンジン1」は「エンジン」に、「バッテリ4」は「バッテリ」に、「駆動モータ3」は「走行用電動機」に、「ナビゲーションコントローラ13」は「位置情報取得部」に、「バッテリ4の残容量」は「バッテリ充電量」に、「下限残容量」は「充電量下限値」に、「下限残容量への制御」は「充電量下限値制御」に、「パワートレイン統合制御コントローラ14」は「充電制御部」に、「シリーズ型ハイブリッド車両の充電制御装置」は「ハイブリッド車両の制御装置」に、それぞれ相当する。 したがって、両者は、 「発電機と、 この発電機を駆動するエンジンと、 前記発電機により充電されるバッテリと、 このバッテリにより駆動される走行用電動機と、 車両の走行地点に関する情報を取得する位置情報取得部と、 前記エンジンの駆動による前記発電機の発電および前記走行用電動機の駆動に基づいて前記バッテリ充電量を制御し、かつ、予め設定された充電予定地点に到達した時に、前記バッテリ充電量が予め設定された充電量下限値に達するよう前記走行用電動機の駆動による放電および前記エンジンの駆動による前記発電機からの充電を制御する充電量下限値制御を実行する充電制御部と、 を備えているハイブリッド車両の制御装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 本願発明1においては、「この充電制御部に含まれ、前記充電量下限値制御の実行時に、前記発電機による最大発電量である発電許容量を、前記充電予定地点に近付くほど高く設定する発電許容量設定部」を備えているのに対して、引用発明においては、かかる発電許容量設定部を備えていない点(以下、「相違点」という。)。 (2)判断 上記相違点について検討する。 ア 本願発明1において、発電許容量は発電機による最大発電量であり、発電機の発電量を制御する際に発電量の許容される上限値として設定されるものといえる。 一方、刊行物2記載の技術は、「コントローラ14は、前記ナビゲーションシステム20から送られた情報に基づいて車両の現在地から充電可能な目的地までのEV走行時において前記蓄電装置11が放電しなければならない蓄電装置要求電力を演算し、前記蓄電装置11の残容量SOCから蓄電装置放電可能電力を演算し、前記蓄電装置要求電力が前記蓄電装置放電可能電力を超えるEV走行不能な場合、発電モータ1の発電電力の大きさを示す発電レベルを初期値のレベル1からレベルを1つずつ上げることにより車両に前記蓄電装置要求電力を供給できる前記発電モータ1の最低の発電レベルを選択する」ようにされているところ、発電レベルは発電モータ1の発電電力の大きさを示すものであって、蓄電装置要求電力が蓄電装置放電可能電力を超えるEV走行不能な場合、EV走行可能とするのに必要な電力を補うべく設定されるものといえ、刊行物2の全体の記載及び技術常識を参酌しても、発電レベルが発電モータ1の発電電力(発電量)を制御する際に発電電力の許容される上限値として設定されるものとはいえず、本願発明1の発電許容量に相当するものとはいえない。 また、刊行物2記載の技術において、発電レベルは目的地までの距離に基づいて定まるものではなく、上述のとおり蓄電装置放電可能電力と蓄電装置要求電力に基づいて定まるものである。 そうすると、刊行物2記載の技術は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を開示若しくは示唆するものではない。 イ 次に、刊行物3記載の技術は、本願発明2ないし6に対して引用されたものであって、走行経路の道路情報に基づいてバッテリーの充放電を計画する際に、出発地で入手した道路情報と実際に通行するときの道路情報との差が大きくなることを考慮し、出発地に近い区間ほど区間SOCの変化量をそのまま使用すべく、SOC換算指標に対する重み付けλに1を設定し、出発地から遠い区間における区間SOCの変化量をどの程度にすればよいのか分からないので、区間SOCの変化は少ないと仮定すべく、出発地から遠い区間はSOC換算指標に対する重み付けλを0に近づけるものであり、発電機による最大発電量である発電許容量についての技術ではない。 そうすると、刊行物3記載の技術は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を開示若しくは示唆するものではない。 ウ よって、本願発明1は、引用発明、刊行物2記載の技術及び刊行物3記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2 本願発明2ないし6について 本願発明2ないし6は、本願発明1のすべての発明特定事項を含むものであるから、それぞれ本願発明1と同様に、引用発明、刊行物2記載の技術及び刊行物3記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-015506

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