特許拒絶査定不服審判
2016-014724
配線基板及びその製造方法
- 審判番号
- 2016-014724
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-019117外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月30日
- 審決日
- 2017年09月05日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】新光電気工業株式会社
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 分類
- P18 .121-WY (H05K) / P18 .537-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-19117「配線基板及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年6月25日出願公開、特開2015-119195、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年1月11日に出願した特願2011-3423号(以下「もとの出願」という。)の一部を平成27年2月3日に新たな特許出願としたものであって、平成27年11月16日付けで拒絶理由が通知され、平成28年1月22日に手続補正がされ、同年4月8日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年6月13日に手続補正がされたが、当該手続補正は同年7月15日付けで決定をもって却下されるとともに、同日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。発送日:同年7月26日)がされ、これに対し、同年9月30日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がされ、その後、当審において平成29年4月19日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月7日に手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は、平成29年6月7日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
配線基板の表面となる絶縁層の一方の面から電極パッド及び配線層が露出している配線基板であって、
前記電極パッドは、前記絶縁層を貫通する貫通配線の一方の端部の前記一方の面からの露出面であり、
前記配線層は、前記一方の面からの露出面と、前記露出面の反対面と、前記露出面と前記反対面とを接続する側面と、を有し、
前記配線層の一部は、前記貫通配線の一方の端部と接続されており、
前記配線層と前記貫通配線の一方の端部との接続部分において、前記配線層に貫通孔はなく、前記配線層の前記反対面及び前記側面は、前記貫通配線に覆われ、前記反対面及び前記側面が前記貫通配線に覆われた部分の前記配線層の前記絶縁層の一方の面からの露出面が、前記電極パッドの一部であることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記貫通配線は、前記絶縁層に形成された貫通孔内に銅を充填してなることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記貫通配線は、前記一方の端部が他方の端部より小径となる円錐台状であることを特徴とする請求項1又は2記載の配線基板。
【請求項4】
前記配線層の露出面、及び、前記貫通配線の一方の端部の露出面は、前記絶縁層の一方の面から配線基板の内方に後退して位置することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の配線基板。
【請求項5】
前記配線層の露出面、及び、前記貫通配線の一方の端部の露出面は、前記絶縁層の一方の面と面一であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の配線基板。
【請求項6】
前記配線層の露出面、及び、前記貫通配線の一方の端部の露出面に有機膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の配線基板。
【請求項7】
隣接する前記貫通配線の一方の端部間には、前記配線層の一部が引き回されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の配線基板。
【請求項8】
前記絶縁層の他方の面側に他の電極パッドが設けられ、
前記一方の面から露出する電極パッドは、半導体チップと電気的に接続するための電極パッドであり、
前記他方の面側の電極パッドは、他の基板と電気的に接続するための電極パッドであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項記載の配線基板。
【請求項9】
配線基板の表面となる絶縁層の一方の面から電極パッド及び配線層が露出している配線基板の製造方法であって、
支持体上に前記配線層を形成する第1工程と、
前記配線層を覆うように前記支持体上に前記一方の面が前記支持体に接する前記絶縁層を形成する第2工程と、
前記絶縁層に、前記絶縁層を貫通し、前記配線層の一部及び前記支持体の一部を露出する貫通孔を形成する第3工程と、
前記貫通孔内に充填され、前記配線層の一部に一方の端部が接続された貫通配線を形成する第4工程と、
前記支持体を除去し、前記絶縁層の前記一方の面から前記貫通配線の一方の端部、及び、前記配線層を露出させる第5工程と、を有し、
前記電極パッドは、前記絶縁層を貫通する前記貫通配線の一方の端部の、前記一方の面からの露出面であり、
前記配線層は、前記一方の面からの露出面と、前記露出面の反対面と、前記露出面と前記反対面とを接続する側面と、を有し、
前記配線層と前記貫通配線の一方の端部との接続部分において、前記配線層に貫通孔はなく、前記配線層の前記反対面及び前記側面は、前記貫通配線に覆われ、前記反対面及び前記側面が前記貫通配線に覆われた部分の前記配線層の前記絶縁層の一方の面からの露出面が、前記電極パッドの一部であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記第4工程において、前記貫通配線は、前記貫通孔内に銅を充填して形成されることを特徴とする請求項9記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記第5工程の後に、エッチングにより、前記配線層の露出面、及び、前記貫通配線の一方の端部の露出面を、前記絶縁層の一方の面から配線基板の内方に後退して位置させることを特徴とする請求項9又は10記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】
前記第5工程では、前記配線層の露出面及び前記貫通配線の一方の端部の露出面と、前記絶縁層の前記支持体の除去面とが、面一となることを特徴とする請求項9又は10記載の配線基板の製造方法。
【請求項13】
前記配線層の露出面、及び、前記貫通配線の一方の端部の露出面に有機膜を形成することを特徴とする請求項9乃至12の何れか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記第3工程では、前記支持体側の開口径が、前記絶縁層の表面側の開口径よりも小さくなるように前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項9乃至13の何れか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記貫通配線及び前記配線層と、前記支持体とは異なる材料からなり、
前記第5工程では、前記支持体を選択的に除去するエッチング液を用いて、前記支持体をエッチングにより除去することを特徴とする請求項9乃至14の何れか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記第1工程よりも前に、前記支持体上にエッチング停止層を形成する工程を更に有し、
前記貫通配線、前記配線層、及び前記支持体と、前記エッチング停止層とは異なる材料からなり、
前記第1工程では、前記支持体上に前記エッチング停止層を介して前記配線層を形成し、
前記第5工程では、前記支持体を選択的に除去するエッチング液を用いて、前記支持体をエッチングにより除去し、
前記第5工程の後に、前記エッチング停止層を選択的に除去するエッチング液を用いて、前記エッチング停止層をエッチングにより除去することを特徴とする請求項9乃至14の何れか一項記載の配線基板の製造方法。」
第3 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、もとの出願の出願前に頒布された特開2005-243791号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面(特に図1(a)、図1(b)を参照)とともに、次の事項が記載されている。
(1)「【0024】
図1(a)、(b)に示すように、本発明の配線基板1は、例えば、絶縁層3を貫通して形成された貫通孔5に導電性ペーストを埋め込むことで貫通導体7が形成され、さらに貫通導体7と接する部分に貫通導体7の端面の面積の5~95%の大きさとなる開口部9aを設けたランド部9bを有する配線層9を絶縁層3の主面に形成したものである。
【0025】
このような配線基板1において絶縁層3はそれぞれを挟持するように配置された配線層9、貫通導体7を支持し、電気的に絶縁する機能を有している。そして、貫通導体7と、配線層9は、それぞれ任意に接続され、配線回路を形成している。」
(2)図1(a)、図1(b)には、配線基板1の表面となる絶縁層3の一方の面から開口部9a内の貫通導体7及び配線層9が露出していること、開口部9a内の貫通導体7は、前記絶縁層3を貫通する貫通導体7の一方の端部の前記開口部9aからの露出面であること、前記配線層9は、前記一方の面からの露出面と、前記露出面の反対面と、前記露出面と前記反対面とを接続する側面とを有すること、前記配線層9の一部であるランド部9bは、前記貫通導体7の一方の端部と接続されること、前記配線層9と前記貫通導体7の一方の端部との接続部分において、前記配線層9の前記反対面及び前記側面は、前記貫通導体7に覆われ、前記反対面及び前記側面が前記貫通導体7に覆われた部分の配線層9の前記一方の面からの露出面に、前記開口部9aを設け、前記開口部9a内に前記貫通導体7を有することが示されている。
上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明1に則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「配線基板1の表面となる絶縁層3の一方の面から開口部9a内の貫通導体7及び配線層9が露出している配線基板1であって、
前記開口部9a内の貫通導体7は、前記絶縁層3を貫通する貫通導体7の一方の端部の前記開口部9aからの露出面であり、
前記配線層9は、前記一方の面からの露出面と、前記露出面の反対面と、前記露出面と前記反対面とを接続する側面と、を有し、
前記配線層9の一部であるランド部9bは、前記貫通導体7の一方の端部と接続されており、
前記配線層9と前記貫通導体7の一方の端部との接続部分において、前記配線層9の前記反対面及び前記側面は、前記貫通導体7に覆われ、前記反対面及び前記側面が前記貫通導体7に覆われた部分の前記配線層9の前記一方の面からの露出面に、前記開口部9a内の前記貫通導体7を有する配線基板1。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用され、もとの出願の出願前に頒布された特開2002-76634号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面(特に図1、図2を参照)とともに、次の事項が記載されている。
(1)「【0018】
図1は、本発明の配線基板に半導体素子等の電子部品を搭載して成る電子部品モジュールの実施の形態の一例を示す要部断面図である。この図において、1は絶縁基板、2は絶縁層、3は配線導体層、4は貫通孔、5は貫通導体であり、主にこれらで本発明の配線基板6が構成される。また、7は導体バンプ、8は電子部品であり、主に配線基板6と導体バンプ7と電子部品8とで本発明の電子部品モジュール9が構成される。
【0019】
なお、本例では、配線導体層3は、絶縁基板1の表面に被着形成され銅・ニッケル・金等の薄膜から成る配線導体層3aと、絶縁層2の各表面にめっきにより銅・ニッケル・金等の金属を被着形成して成る配線導体層3bとから構成されている。また、貫通導体5は貫通孔4の側面に被着形成された側面の導体膜5aと底面に被着形成された底面の導体膜5bとから構成されている。」
(2)「【0031】
本発明の配線基板6においては、配線導体層3a・3bは、図2に貫通導体5と配線導体3a・3bとの接続部を配線導体3a・3bの長さ方向から見た要部拡大断面図で示すように、貫通孔4の底面において、その占有面積が貫通孔5底面の導体膜5bの占有面積より小さくかつその表面に凹部Aが形成されていることが重要である。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、その技術的意義からみて、後者の「配線基板1」は前者の「配線基板」に相当し、以下同様に、「絶縁層3」は「絶縁層」に、「開口部9a内の貫通導体7」は「電極パッド」に、「配線層9」は「配線層」に、「貫通導体7」は「貫通配線」に、後者の配線層9は前者の配線層に相当するから、「ランド部9b」は「配線層の一部」に、それぞれ相当する。
したがって、両者は、
「配線基板の表面となる絶縁層の一方の面から電極パッド及び配線層が露出している配線基板であって、
前記配線層は、前記一方の面からの露出面と、前記露出面の反対面と、前記露出面と前記反対面とを接続する側面と、を有し、
前記配線層の一部は、前記貫通配線の一方の端部と接続されており、
前記配線層と前記貫通配線の一方の端部との接続部分において、前記配線層の前記反対面及び前記側面は、前記貫通配線に覆われている配線基板。」
で一致し、次の点で相違する。
〔相違点〕
本願発明1は、「電極パッドは、絶縁層を貫通する貫通配線の一方の端部の前記一方の面からの露出面であり」、配線層と前記貫通配線の一方の端部との接続部分において、「前記配線層に貫通孔はなく」、「前記反対面及び前記側面が前記貫通配線に覆われた部分の前記配線層の前記絶縁層の一方の面からの露出面が、前記電極パッドの一部である」のに対して、引用発明は、電極パッドは、絶縁層を貫通する貫通配線の一方の端部の開口部9aからの露出面であり、配線層9と貫通導体7の一方の端部との接続部分において、前記配線層9の反対面及び側面が前記貫通導体7に覆われた部分の前記配線層9の一方の面からの露出面に、開口部9a内の前記貫通導体7を有する点で相違する。
そこで、相違点について検討する。
引用文献2の図2には、貫通孔4底面の導体膜5bの一部に配線導体層3bを設ける構成が示されている(引用文献2の段落【0031】を参照)。
しかしながら、引用文献2の図1に示されるように、上記構成は電子部品モジュール9の表面に露出するものではなく、導体膜5bは本願発明1の電極パッドに相当しないから、引用発明において、引用文献2の上記構成から、相違点に係る本願発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
また、原査定において引用され、もとの出願の出願前に頒布された引用文献3(特開2003-243790号公報)、引用文献4(特開平8-88459号公報)、引用文献5(特開2002-26171号公報)には、相違点に係る本願発明1の発明特定事項の記載はない。
そうしてみると、引用発明及び引用文献2ないし引用文献5に記載された事項から、相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2ないし引用文献5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし8について
本願発明2ないし8は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2ないし引用文献5に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
3 本願発明9ないし16について
本願発明9ないし16は、本願発明1の発明特定事項を実質的に全て含む「製造方法」の発明であるから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2ないし引用文献5に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、平成28年1月22日の手続補正により補正された請求項1ないし16について上記引用文献1ないし5に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、平成29年6月7日の手続補正により補正された請求項1及び9は、それぞれ「外側面」に関する記載が削除されるとともに、「前記配線層と前記貫通配線の一方の端部との接続部分において、配線層に貫通孔はな」いとの事項を備えるものになっており、上記のとおり、本願発明1ないし16は、引用発明及び引用文献2ないし引用文献5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
当審では、特許請求の範囲が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由を通知している。
(1)請求項1には、「前記配線層は、前記一方の面からの露出面と、前記絶縁層に接する前記露出面の反対面及び外側面を有し」「前記配線層と前記貫通配線の一方の端部との接続部分において、前記配線層の反対面及び外側面は、前記貫通配線に覆われ」ることが記載されている。しかしながら、上記記載における「外側面」が、具体的に配線層のどの部分を示しているのか不明瞭である。
(2)請求項9の「外側面」についても、上記(1)と同様の理由により明確でない。
これらに対して、平成29年6月7日の手続補正により、「外側面」に関する記載が削除された結果、これら拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし16は、いずれも、引用発明及び引用文献2ないし引用文献5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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