特許拒絶査定不服審判
2016-013794
伝動ベルト及びその製造方法
- 審判番号
- 2016-013794
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-248072
- 請求日
- 2016年09月14日
- 審決日
- 2017年09月20日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三ツ星ベルト株式会社
- 【請求人代理人】鍬田 充生
- 【請求人代理人】阪中 浩
- 審判長/審判官
- 審判長 冨岡 和人
- 審判官 中村 達之
- 審判官 小関 峰夫
- 分類
- P18 .121-WY (F16G) / P18 .536-WY (F16G) / P18 .537-WY (F16G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-248072「伝動ベルト及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月22日出願公開、特開2014- 95452、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月12日の出願であって、平成28年4月8日付けで拒絶理由が通知され、同年6月3日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月17日付け(発送日:同年6月21日)で拒絶査定(以下、「原審拒絶査定」という。)がなされ、これに対し、同年9月14日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、その後、当審において平成29年6月9日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明15」という。)は、平成29年8月2日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明9は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
短繊維を含む伸張ゴム層と、心線と、伸張ゴム層上に積層された圧縮ゴム層とを備えた伝動ベルトであって、伸張ゴム層の表面が、熱可塑性樹脂で形成されたフィルム状のスキン層で被覆され、かつ心線がベルト長手方向に沿って伸張ゴム層に埋設されており、前記伸張ゴム層のゴム成分が、エチレン-α-オレフィンエラストマーを含み、前記スキン層が単一層で形成され、前記スキン層の熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂及びオレフィン系エラストマーから選択され、かつ前記伸張ゴム層の加硫温度以下の融点又は軟化点を有する少なくとも1種を含む、伝動ベルト。」
そして、本願発明2ないし15は、請求項1を直接又は間接的に引用することにより、本願発明1の発明特定事項のすべてを含む発明である。
第3 引用文献
1 引用文献1
原審拒絶査定の理由に引用された引用文献1(特開2007-90806号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は動力伝動などに用いられるVリブドベルトの製造方法に関する。
…(後略)…」(段落【0001】)
イ「【0013】
以下、本発明におけるVリブドベルトの製造方法を図1,2をもとに説明する。
…(中略)…
【0018】
上述の図1,2における実施形態では、伸張ゴム層15と圧縮ゴム層16との間に接着ゴム層12が存在してなるが、本発明においては接着ゴム層12を必須とするものではない。一方で、未加硫伸張ゴムシート、未加硫接着ゴムシートを順次捲き付けた後に、心線をスピニングすることも可能である。また未加硫伸張ゴムシート、未加硫接着ゴムシートを順次捲き付けた後に、心線をスピニングし、更に未加硫接着ゴムシート、未加硫圧縮ゴムシートを順次捲き付けることも可能である。
【0019】
尚、心線をとりまくゴム層がすべて短繊維を含む配合となると、心線とベルト本体との接着性に難があるため、心線と接するゴム層のうちいずれかは短繊維を含有しないゴム組成物で構成することが望ましい。ここで、心線の落ち込みを抑制するためには、伸張ゴム層には短繊維を含有させることが望ましい。このときベルトの可撓性を考慮すると、短繊維がベルト幅方向に配向するよう構成することが好ましい。また伸張ゴム層は、短繊維をランダム配向状態で含有するものであってもよい。これにより、一定の方向に対する方向性を示すことなく多方向から作用する力に対して耐性があるため、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制でき、これによりベルト寿命が向上するという効果を奏することができる。このとき短繊維は屈曲を有する短繊維であることが好ましい。
【0020】
また、本発明におけるVリブドベルトの製造方法に用いる装置としては、上述のものに限定されるものではない。また本発明の製造方法は、圧縮ゴム層表面に植毛を施す工程を含むものでもよい。
【0021】
上記製造方法により得られるVリブドベルトの一実施形態を図3に示す。Vリブドベルト1は、背面8が短繊維をランダム配向させた伸張ゴム層5で形成されており、該伸張ゴム層5に隣接してベルト長手方向に心線3が配置され、しかも心線3の一部が伸張ゴム層5に埋設された状態となっている。そして伸張ゴム層5の下層には接着ゴム層2、そして短繊維を含有する圧縮ゴム層6(短繊維はベルト幅方向に配向)を配置した構成を有している。また前記圧縮ゴム層6にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部7が設けられている。
【0022】
第4図はVリブドベルトの別の一実施形態を示す。Vリブドベルト1は、背面8が短繊維を幅方向に配向させた伸張ゴム層5で形成されており、該伸張ゴム層5に隣接してベルト長手方向に心線3が配置され、しかも心線3の一部が伸張ゴム層5に埋設された状態となっている。そして伸張ゴム層5の下層には短繊維を含有しない圧縮ゴム層6を配置した構成を有している。また前記圧縮ゴム層6にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部7が設けられており、その表面は植毛層9を有する構成となっている。
【0023】
第5図にVリブドベルトの更に別の一実施形態を示す。Vリブドベルト1は、背面8が短繊維をランダム配向させた伸張ゴム層5で形成されており、該伸張ゴム層5に隣接してベルト長手方向に心線3が配置され、しかも心線3の一部が伸張ゴム層5に埋設された状態となっている。そして伸張ゴム層5の下層には接着ゴム層2、そして短繊維を含有する圧縮ゴム層6(短繊維はリブ形状に沿って配向)を配置した構成を有している。また前記圧縮ゴム層6にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部7が設けられている。
【0024】
上記圧縮ゴム層6に使用されるゴムとしては、エチレン・α-オレフィンエラストマー、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBRなどが挙げられる。
…(中略)…
【0036】
伸張ゴム層5は上記に記載した圧縮ゴム層と同様のマトリクスゴム、配合剤を用いることができる。ここで伸張部5は、短繊維を含有するゴム組成物で形成されているが、短繊維としては、ポリエステル、アラミド、ポリアミド、綿、PBOなどの短繊維を所望に応じて配合することができる。図3,5において短繊維はランダム方向に配向しているが、図4のようにベルト幅方向に配向させるなど一方向に配向していてもかまわない。尚、ランダム方向に配向させた場合、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制できるといった特徴があるが、このとき短繊維として屈曲部を有する短繊維(例えばミルドファイバー)を選択すると、より多方向から作用する力に対して耐性ができるといった特徴がある。ミルドファイバーは、例えばポリアミド製のものを用いることができ、繊維長が0.1~3.0mmの範囲であることが望ましい。また、伸張部における短繊維の配合量は、ゴム100重量部に対して短繊維が35~100の範囲の割合となるように、短繊維が含有されていることが望ましい。なお、屈曲部を有する短繊維とともに、屈曲部を有さない短繊維も含有するものであってもよい。
【0037】
また接着ゴム層2を配置する場合、圧縮ゴム層4と同様のマトリクスゴム、配合剤などが使用可能である。しかし、心線である繊維コードと良好に接着するためには、パーオキサイドを含まない硫黄加硫によるエチレン-α-オレフィンエラストマー組成物や、クロロスルフォン化ポリエチレン組成物もしくは水素化ニトリルゴム組成物などを使用することが好ましい。また短繊維は配合しないことが望ましい。」(段落【0013】ないし【0037】)
以上から、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「短繊維を含む伸張ゴム層5と、心線3と、伸張ゴム層5の下層に配置された圧縮ゴム層6とを備えた動力伝動に用いられるVリブドベルト1であって、心線3の一部がベルト長手方向に沿って伸張ゴム層5に埋設されており、前記伸張ゴム層5のゴム成分が、エチレン-α-オレフィンエラストマーを含む動力伝動に用いられるVリブドベルト1。」
2 引用文献2
原審拒絶査定の理由に引用された引用文献2(特開2003-90389号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 ゴムからなるベルトにおいて、該ベルトを形成するゴムの表面の少なくとも一部に低融点樹脂層と高融点樹脂層とを積層した防水フィルムを低融点樹脂層がベルト側になるように融着したことを特徴とする防水性ベルト。
…(中略)…
【請求項5】 ベルトがベルト長手方向に沿って歯部と溝部を交互に有する歯付ベルトであり、少なくとも背面に防水フィルムを融着した請求項1~4記載の防水性ベルト。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項5】)
イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車や農業機械、一般機械器具などに用いられる伝動用ベルトもしくは搬送用ベルトに関するものであり、更に詳しくは防水性を付与したベルトに関するものである。
…(中略)…
【0006】そこで本発明はベルトの本体を形成するゴムに水が浸透しないようにして、水による劣化でクラックが発生するのを防止し、ベルトの寿命を長く持たせることができる防水性ベルトの提供を目的とする。」(段落【0001】ないし【0006】)
ウ 「【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の防水性ベルトの一例を示す歯付ベルトの斜視図である。図1において、搬送用歯付ベルト1はベルト長手方向に沿って複数の歯部2を有するとともに、心線3を埋設した背部4を有しており、上記歯部2の表面には歯布5が貼着されており、歯部を保護する役目を果たしている。」(段落【0018】)
エ 「【0023】低融点樹脂層6の融点は100~140℃の範囲のものを用いることができ、より好ましくは110~130℃のものである。また、高融点樹脂層7の融点は150~230℃の範囲のものを用いることができ、更に好ましくは160~200℃の範囲のものである。また、用いることのできる素材としては熱可塑性ウレタン、ポリエステル、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどを挙げることができる。低融点樹脂層6と高融点樹脂層7は両者を融着するなどの手段で防水性フィルム8とし容易にはがれが生じるようなものでは好ましくないことから同じ素材であることが好ましい。同じ素材で密度が異なるものや分子量の異なるものなどで融点に差を有するものを用いることができる。」(段落【0023】)
オ 「【0027】本発明のような防水性ベルトを製造するには次のような方法にて製造することができる。
【0028】まず歯形を有するドラムの円周方向に伸縮性を有する歯布を巻き付け、その上に心線となるロープをスパイラル状に巻きつけて、さらに歯部および背部となる未加硫ゴムシートを巻き付ける。さらに未加硫ゴムシートの外側にジャケットを被せる。
【0029】ジャケットを被せた状態で加硫缶内に挿入配置して、加硫缶を密閉状態にし、蒸気などの手段で所定時間、加熱・加圧する。このときの時間は20~40min程度、温度は120~180℃程度、圧力は0.75~0.85MPa程度である。加熱・加圧することによってゴムの流動性が増しドラムにスパイラル状に巻きつけられた心線を通して歯形内に流れ込みベルトの歯部を形成することになる。
【0030】加硫が完了したら、ベルトスリーブをドラムから脱型し背面を研磨する。研磨したベルトスリーブの背面に防水フィルムを低融点樹脂層をベルト側に向けて積層する。そしてプレスなどの手段で加熱・加圧して低融点樹脂層を溶融させてベルト背面に融着する。加熱は110~130℃の温度で行う。温度が110℃未満であると低融点樹脂層が充分に溶融することができずにベルトとの融着強度が不足し、130℃を超えると高融点樹脂層も溶融状態になってしまい孔が開いてしまう恐れがあるので好ましくない。
【0031】防水フィルムは低融点樹脂層と高融点樹脂層の2層構造であるもののみを説明してきたが、高融点樹脂層側にそれ以上の積層したものでもかまわない。例えば表面に凹凸パターンを設けたり着色するなどの装飾を施したり、紫外線防止機能を持たせたようなものでも構わない。」(段落【0027】ないし【0031】)
以上から、上記引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「ベルト長手方向に沿って歯部2と溝部を交互に有するとともに、心線3を埋設した背部4を有する伝動ベルトにおいて、背面に低融点樹脂層と高融点樹脂層とを積層した防水フィルムを低融点樹脂層がベルト側になるように融着した防水性ベルトに係る技術。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「短繊維」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願発明1における「短繊維」に相当し、以下同様に、「伸張ゴム層5」は「伸張ゴム層」に、「心線3」は「心線」に、「圧縮ゴム層6」は「圧縮ゴム層」に、「動力伝動に用いられるVリブドベルト1」は「伝動ベルト」にそれぞれ相当する。
また、引用発明において「圧縮ゴム層6」が「伸張ゴム層5の下層に配置され」たことは、その構成からみて、本願発明1において「圧縮ゴム層」が「伸張ゴム層上に積層され」たこと相当する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
「短繊維を含む伸張ゴム層と、心線と、伸張ゴム層上に積層された圧縮ゴム層とを備えた伝動ベルトであって、心線がベルト長手方向に沿って伸張ゴム層に埋設されており、前記伸張ゴム層のゴム成分が、エチレン-α-オレフィンエラストマーを含む、伝動ベルト。」
(相違点)
(a)本願発明1においては「心線がベルト長手方向に沿って伸張ゴム層に埋設され」ているのに対し、引用発明においては「心線3の一部がベルト長手方向に沿って伸張ゴム層5に埋設され」ている点(以下、「相違点1」という。)。
(b)本願発明1においては「伸張ゴム層の表面が、熱可塑性樹脂で形成されたフィルム状のスキン層で被覆され」、「前記スキン層が単一層で形成され、前記スキン層の熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂及びオレフィン系エラストマーから選択され、かつ前記伸張ゴム層の加硫温度以下の融点又は軟化点を有する少なくとも1種を含む」のに対し、引用発明においてはスキン層を有しない点(以下、「相違点2」という。)。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点2について検討すれば、本願発明1においてスキン層は、ベルト表面(ベルト背面側の表面)の溝(又は凹凸)の発生を防止ために設けられるものであるのに対し、引用文献2記載技術における防水フィルムは、ベルトの本体を形成するゴムに水が浸透しないようにして、水による劣化でクラックが発生するのを防止し、ベルトの寿命を長く持たせるために設けられるものである。
したがって、引用発明において伸張ゴム層5の表面を、引用文献2記載技術における防水フィルムで被覆したとしても、本願発明1におけるスキン層の機能を果たすことはできない。
そして、本願発明1は、上記相違点2に係る発明特定事項を備えることによって、伝動ベルトを金型で成形しても、ベルト表面を平坦(又は平滑)にでき、ベルト背面における亀裂発生を防止して、ベルト寿命を効率よく向上できるとともに、圧縮ゴムのリブ部の研磨などを要することがなく、高い生産性で、ベルト背面における摩擦係数の低い伝動ベルトを製造することができるほか、伸張ゴム層を圧縮ゴム層側に侵入させやすくなり、結果として心線を伸張ゴム層に接触させる程度ではなく、効率よく埋設(例えば、心線の体積の少なくとも半分を埋設)させることができ、そのため、伸張ゴム層と圧縮ゴム層との間に心線が介在しても、接着ゴム層を設けることなく、両層間の高い接着性を実現できるとの特有の作用効果を奏するものである。
以上により、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2記載技術に基いて容易に発明することができたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし15について
本願発明2ないし15も、本願発明1の「伸張ゴム層の表面が、熱可塑性樹脂で形成されたフィルム状のスキン層で被覆され」、「前記スキン層が単一層で形成され、前記スキン層の熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂及びオレフィン系エラストマーから選択され、かつ前記伸張ゴム層の加硫温度以下の融点又は軟化点を有する少なくとも1種を含む」との構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2記載技術に基いて容易に発明することができたものであるとはいえない。
第5 原審拒絶査定の概要及び原査定についての判断
原審拒絶査定は、平成28年6月3日提出の手続補正書により補正された請求項1、2及び5ないし10に係る発明が、上記引用文献1及び2に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成29年8月2日提出の手続補正書により補正された請求項1ないし15は、それぞれ「伸張ゴム層の表面が、熱可塑性樹脂で形成されたフィルム状のスキン層で被覆され」、「前記スキン層が単一層で形成され、前記スキン層の熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂及びオレフィン系エラストマーから選択され、かつ前記伸張ゴム層の加硫温度以下の融点又は軟化点を有する少なくとも1種を含む」との構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1ないし15は、上記引用文献1及び2に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第4項第1号について
当審では、明細書の段落【0033】、【0051】、【0052】、【0060】ないし【0066】及び【0114】の記載は不明瞭であるため、請求項4及び請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項5ないし15に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないとの拒絶の理由を通知した。
しかし、平成29年8月2日提出の手続補正書により、請求項4の記載は「スキン層」から「請求項1記載のフィルム状のスキン層」に補正された結果、この拒絶理由は解消した。
2 特許法第36条第6項第2号について
当審では、特許請求の範囲の請求項4の記載中「スキン層が、ベルトの長さの5%以上の平均幅で、ベルトの幅方向に沿って伸張ゴム層の一端から他端にわたって伸張ゴム層の表面を被覆している」は不明瞭であるため、請求項4に係る発明は明確でない、また、請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項5ないし15も、同様の理由により明確でないとの拒絶の理由を通知した。
しかし、平成29年8月2日提出の手続補正書により、請求項4の記載は「スキン層が、ベルトの長さの5%以上の平均幅で、ベルトの幅方向に沿って伸張ゴム層の一端から他端にわたって伸張ゴム層の表面を被覆している」から、「請求項1記載のフィルム状のスキン層が、ベルトの幅方向に、ベルト長手方向の所定の平均長さで、伸張ゴム層の一端から他端にわたって伸張ゴム層の表面を被覆しており、前記平均長さが、ベルトの長さの5%以上である」に補正された結果、この拒絶理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし15は、当業者が引用発明及び引用文献2記載技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原審拒絶査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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