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特許拒絶査定不服審判

2016-010170

重荷重用空気入りラジアルタイヤ

審判番号
2016-010170
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-249153外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月05日
審決日
2017年05月11日
公報発行日
2017年06月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (B60C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-249153号「重荷重用空気入りラジアルタイヤ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月30日出願公開、特開2013-103622号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成23年11月14日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 平成26年10月21日   手続補正書、上申書の提出 平成27年 7月 9日付け 拒絶理由通知 8月21日   意見書、手続補正書の提出 10月30日付け 拒絶理由通知 12月14日   意見書、手続補正書の提出 平成28年 4月21日付け 拒絶査定 7月 5日   審判請求書及び手続補正書の提出 第2 原査定の概要 〔原査定の概要〕 本願の請求項1~4に係る発明は、以下の引用文献1、2に記載の発明及び周知技術(引用文献3、4参照)に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献 1.特開昭58-126204号公報 2.特開2006-182125号公報 3.特開平7-47809号公報 4.特表2002-511039号公報 第3 審判請求時の手続補正について 1.補正の内容 審判請求時(平成28年7月5日)の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、次の補正事項を含んでいる。 なお、下線は補正箇所を明示するために付したものである。 (1)補正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、次のとおりとする。 「【請求項1】 一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスの径方向外側に、タイヤ周方向に略平行に延びるコードで構成される少なくとも1層のベルト補強層と、2層以上からなる傾斜ベルト層と、トレッドとを順に有する重荷重用空気入りラジアルタイヤであって、 前記タイヤを規定リムに組み込み、規定内圧を充填し、無負荷状態としたとき、 前記トレッド端より径方向内側における、タイヤの外面は、幅方向内側に凸に湾曲した、タイヤ幅方向断面において1つの滑らかな円弧を区画する凹部を1つのみ有し、 摩耗初期から摩耗末期までの間に常に、前記ベルト補強層の幅方向端部は、前記トレッド端より幅方向外側に位置し、 前記凹部は、前記トレッドの摩耗が進むに従って前記トレッド端が幅方向外側へ移動しないような形状であることを特徴とする、重荷重用空気入りラジアルタイヤ。」 (2)補正事項2 明細書の段落【0009】を、次のとおりとする。 「【0009】 本発明は、上記の知見に基づくものであり、その要旨構成は、以下の通りである。 (1) 一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスの径方向外側に、タイヤ周方向に略平行に延びるコードで構成される少なくとも1層のベルト補強層と、2層以上からなる傾斜ベルト層と、トレッドとを順に有する重荷重用空気入りラジアルタイヤであって、 前記タイヤを規定リムに組み込み、規定内圧を充填し、無負荷状態としたとき、 前記トレッド端より径方向内側における、タイヤの外面は、幅方向内側に凸に湾曲した、タイヤ幅方向断面において1つの滑らかな円弧を区画する凹部を1つのみ有し、 摩耗初期から摩耗末期までの間に常に、前記ベルト補強層の幅方向端部は、前記トレッド端より幅方向外側に位置し、 前記凹部は、前記トレッドの摩耗が進むに従って前記トレッド端が幅方向外側へ移動しないような形状であることを特徴とする、重荷重用空気入りラジアルタイヤ。」 2.補正の適否 (1)補正事項1について 補正事項1は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「凹部」に関して、「タイヤ幅方向断面において1つの滑らかな円弧を区画する」との限定、及び、「1つのみ」であるとの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、補正事項1による補正は、【図1】を根拠とするものであり、特許法第17条の2第3項に違反するところはなく、また、同条第4項に違反するところもない。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1~4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 (2)補正事項2について 補正事項2は、補正事項1による補正に伴い発明の詳細な説明の記載を補正するものであり、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。 以上のとおりであるから、審判請求時の手続補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 第4 本願発明 本願の請求項1~4に係る発明(以下、「本願発明1~4」という。)は、審判請求時の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスの径方向外側に、タイヤ周方向に略平行に延びるコードで構成される少なくとも1層のベルト補強層と、2層以上からなる傾斜ベルト層と、トレッドとを順に有する重荷重用空気入りラジアルタイヤであって、 前記タイヤを規定リムに組み込み、規定内圧を充填し、無負荷状態としたとき、 前記トレッド端より径方向内側における、タイヤの外面は、幅方向内側に凸に湾曲した、タイヤ幅方向断面において1つの滑らかな円弧を区画する凹部を1つのみ有し、 摩耗初期から摩耗末期までの間に常に、前記ベルト補強層の幅方向端部は、前記トレッド端より幅方向外側に位置し、 前記凹部は、前記トレッドの摩耗が進むに従って前記トレッド端が幅方向外側へ移動しないような形状であることを特徴とする、重荷重用空気入りラジアルタイヤ。 【請求項2】 前記ベルト補強層の幅方向の幅W1は、トレッド幅TWの100%超105%未満である、請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。 【請求項3】 前記傾斜ベルト層のうち、幅方向の幅が最大である傾斜ベルト層の幅方向の幅W2は、トレッド幅TWの100%超110%未満である、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。 【請求項4】 前記最大幅傾斜ベルト層は、タイヤ赤道面との交点における曲率半径をR0、当該ベルト端部における曲率半径をR1とするとき、 2×(R0-R1)/W2≦0.06 である、請求項1~3にいずれか一項に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。」 第5 引用文献 (1)引用文献1に記載の事項、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 なお、下線は当審で付したものである。以下同様。 ア 「2.特許請求の範囲 (1)コードをタイヤ赤道面に対してほぼ90°に配置した単数あるいは複数の補強プライからなり、その左右両端をビードワイヤに係止したトロイド状カーカスプライ層とこのカーカスプライ層のクラウン部を補強するベルト層と、このベルト層の外側に配置されるトレッドゴム層とを備え、規定内圧充填時にトレッド接地幅(TW)がタイヤ最大幅(W)に対して0.54~0.70の範囲にある重車両用ラジアルタイヤにおいて、 (イ)ベルト層の最大幅(BW)がトレッド接地幅(TW)より大きく、かつ (ロ)最大幅のベルト層端部からバットレス外壁(6)までの最小ゴム厚さ(b)はタイヤ赤道面(V-V′)上のゴム厚さ(a)に対して0.2~0.5の範囲である ことを特徴とする重車両用ラジアルタイヤ。」(1頁左下欄4~末行) イ 「この発明はトレッド接地幅を小さくしたプロファイルを有するタイヤにおいてベルト層の幅を大きくするとともにベルト層端部からバットレス外壁までのゴム厚みを一定範囲に設定することによりベルト層端部の応力歪を緩和するとともに該付近の発熱昇温を低減し、ベルト層端部でのゴム剥離を有効に防止した重車両用ラジアルタイヤに関する。」(1頁右下欄2~9行) ウ 「第3図は本発明のラジアルタイヤの部分断面図、第4図はそのトレッド部の一部拡大断面図を示す。図において本発明のラジアルタイヤ(1)はコードをタイヤ赤道面(V-V′)に対してほぼ90°に配置した単数あるいは複数の補強プライからなり、その左右両端をビードワイヤ(2)に係止したトロイド状カーカスプライ層(3)と、このカーカスプライ層のクラウン部を補強するベルト層(4)と、このベルト層の外側に配置されるトレッドゴム層(5)とを備え、規定内圧充填時にトレッド接地幅(TW)がタイヤ最大幅(W)に対して0.54~0.70の範囲にある重車両用ラジアルタイヤであり、 (イ)ベルト層の最大幅(BW)がトレッド接地幅(TW)より大きく、 (ロ)最大幅のベルト層端部(BE)からバットレス部外壁(6)までの最小ゴム厚さ(b)はタイヤ赤道面(V-V′)上のゴム厚さ(a)に対して0.2~0.5の範囲であることを特徴とする重車両用ラジアルタイヤである。」(2頁右下欄2行~3頁左上欄1行) エ 「然して本発明のラジアルタイヤはトレッド接地面幅(TW)に対してベルト層の幅(BW)を広くした為走行時の圧縮歪及び剪断歪が著しく低減し、しかもベルト層端部からバットレス外壁までのゴム厚みを小さくしたため放熱効果は一層改善されベルト層端部での機械的疲労及び熱的疲労の問題が一挙に解決し耐久性に優れたラジアルタイヤが得られる。しかもベルト層の幅を広くしトレッド両端部の剛性を高めたため従来の肩落ち摩耗の問題も解決できる。」(3頁左下欄18行~同頁右下欄7行) なお、引用文献1中の「トレツド」、「バツトレス」、「プロフアイル」との記載は、「トレッド」、「バットレス」、「プロファイル」として上記ア~エに記載した。 上記ア~エの記載及び第3図~第5図の記載からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 〔引用発明〕 「コードをタイヤ赤道面V-V′に対してほぼ90°に配置した単数あるいは複数の補強プライからなり、その左右両端をビードワイヤ2に係止したトロイド状カーカスプライ層3と、このカーカスプライ層3のクラウン部を補強するベルト層4と、このベルト層4の外側に配置されるトレッドゴム層5とを備え、規定内圧充填時にトレッド接地幅TWがタイヤ最大幅Wに対して0.54~0.70の範囲にある重車両用ラジアルタイヤ1において、 ベルト層4の最大幅BWがトレッド接地幅TWより大きく、 最大幅のベルト層端部BEからバットレス外壁6までの最小ゴム厚さbはタイヤ赤道面V-V′上のゴム厚さaに対して0.2~0.5の範囲である 重車両用ラジアルタイヤ1。」 (2)引用文献2に記載の事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 オ 「【0018】 以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。 図1、2において、11は高速走行が可能な乗用車用空気入りラジアルタイヤであり、この空気入りタイヤ11はビードコア12がそれぞれ埋設された一対のビード部13と、これらビード部13から略半径方向外側に向かってそれぞれ延びるサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向外端同士を連結する略円筒状のトレッド部15とを備えている。なお、この発明は航空機用あるいはトラック・バス用の空気入りタイヤに適用してもよい。 【0019】 そして、この空気入りタイヤ11は前記ビードコア12間をトロイダル状に延びてサイドウォール部14、トレッド部15を補強するカーカス層18を有し、このカーカス層18の幅方向両端部は前記ビードコア12の回りを軸方向内側から軸方向外側に向かって折り返されている。前記カーカス層18は少なくとも1枚、ここでは2枚のカーカスプライ19から構成され、これらのカーカスプライ19内にはタイヤ赤道Sに対して70~90度のコード角で交差する、即ちラジアル方向(子午線方向)に延びるナイロン、芳香族ポリアミド、スチール等(ここでは、ナイロン)から構成された多数本の互いに平行なカーカスコード20がそれぞれ埋設されている。 【0020】 23はカーカス層18の半径方向外側に配置されたベルト層であり、このベルト層23は少なくとも2枚のベルトプライ、ここでは2枚の内側ベルトプライ24および外側ベルトプライ25を積層することで構成している。・・・そして、前記2枚のベルトプライ24、25内のスチールコード26、27はタイヤ赤道Sに対して逆方向に傾斜し互いに交差している。」 カ 「【0027】 35は前記ベルト層23とカーカス層18との間のトレッド部15に該ベルト層23と重なり合うよう配置されたベルト補強層であり、このベルト補強層35は少なくとも1枚(ここでは1枚)の補強プライ36から構成され、各補強プライ36の内部にはタイヤ赤道Sと実質上平行に延びる有機繊維、例えばナイロン、芳香族ポリアミドから構成された補強コード37が埋設されている。このようにトレッド部15にタイヤ赤道Sと実質上平行に延びる有機繊維補強コード37が内部に埋設されたベルト補強層35を設ければ、高速走行時における遠心力によってトレッド部15が半径方向外側に大きく径成長するのが抑制され、これにより、タイヤの操縦安定性、高速耐久性をそのまま維持することができる。」 (3)引用文献3に記載の事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 キ 「【0015】 【実施例】 〔第1実施例〕本発明の高性能空気入りラジアルタイヤの第1実施例を図1乃至図3にしたがって説明する。 【0016】図1に示すように、高性能空気入りラジアルタイヤ10(タイヤサイズ255/40ZR17)は、一対のビードコア12(図1では一方のみ図示)と、一方のビードコア12から他方のビードコア12に亘ってトロイド状に延びるカーカス層14とを有し、このカーカス層14は少なくとも1枚のカースプライ、本実施例では2枚のカーカスプライ16及びカーカスプライ18から構成されている。」 ク 「【0021】カーカス層14のタイヤ半径方向外側には、トレッド部を形成するトップトレッド層20がサイドトレッド層28を跨ぐように配設されている。・・・」 ケ 「【0023】カーカス層14とトップトレッド層20との間にはベルト層22が配置されている。ベルト層22は、少なくとも2枚のベルトプライを有することが好ましく、本実施例では、2枚のベルトプライ24、26を有している。これらのベルトプライ24、26内には、タイヤ周方向に対して傾斜した多数本のコードが埋設されると共に、これらのコードは隣接するベルトプライにおいて互いに交差している。 【0024】また、ベルトプライ24、26の端部のタイヤ半径方向外側には、ベルトプライ24、26の端部を覆うように実質上タイヤ周方向に延びる有機繊維よりなるベルト補強層としてのレイヤー30が1乃至2枚隣接して配置されている。 【0025】トップトレッド層20のサイドウォール部側非接地領域にはくびれ部32が形成されている。 【0026】図1及び図2に示すように、くびれ部32は実質上三角形状の断面形状を呈しており、タイヤ赤道面CLからトレッド端20A(但し、トレッド端20Aを円弧状とした場合には、タイヤ半径方向側壁32Bの延長線とトップトレッド層20の外輪郭線の延長線との交点)までのタイヤ軸方向(矢印A方向)に沿った距離Bとベルト最大半幅BWとの関係をB=BW×(0.95~1.10)、且つ、くびれ部32の底部32A(三角形の頂部)のタイヤ半径方向高さhとタイヤ断面高さSHとの関係をh=SH×(0.78~0.85)とすることが好ましい。」 コ 「【0034】次に本実施例の作用を説明する。本実施例の高性能空気入りラジアルタイヤ10では、トップトレッド層20の両端部にくびれ部32を設けたので、ショルダー部、即ちベルトエンド部付近のゴムボリュームが少なくなり、この付近の発熱が抑えられるのでベルトエンドフローチャンク、ベルトエンドセパレーション等の発生を防止して高速耐久性を向上させることができる。 ・・・ 【0038】なお、くびれ部32に関し、Bが0.95BW未満となるとくびれ部32が踏面内に入り、サイドウォール部~踏面部の間の剛性アンバランスを補正する効果が少なくなり、Bが1.10BWを超えると、ベルトエンド付近のゴムボリュームを減少させるという効果が得られず、また、接地面内にくびれ部32が入ってしまい接地形状を大きく損なう虞があるため高速耐久性を上げることが出来なくなる。」 (4)引用文献4に記載の事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。 サ 「図1は本発明のタイヤTの好ましい実施例の一つの変形例を示し、図2は別の変形例を示している。2つの実施例に共通な特徴を先ず説明する。タイヤTはトレッド設計パターンを有するトレッド部分を有している。本発明は、長距離トラックの前輪タイヤに適していることが証明されている典型的なトレッドパターンに関するものである。」(5頁16~20行) シ 「タイヤTを補強するカーカスは少なくとも一つのカーカスプライ5とベルトとによって構成されている。ベルトは図示するように2つのワーキングプライ61、62と保護プライ63とを含む。これらワーキングプライ61、62および保護プライ63を構成する手段は当業者に周知であり、ここではその詳細は記載しない。ここでは、ワーキングプライ61、62は一般に15°~30°の角度に配置された伸びない平行なコードで構成され、保護プライ63は一般により伸び易いプライであるということだけを記載しておく。また、ベルトはタイヤTの中間周方向面に対して角度ゼロで配置されたコードのような他の補強手段(タイヤTの中間周方向面に実質的に平行なコードを有する「ジョイントレス補強プライ」ともよばれる)を含むことができる。この補強材は制動後にタイヤTの形状および特性を不変に保つのに有用である。」(6頁11~21行) ス 「タイヤトレッドの各側部リブ1の軸線方向外側には保護カバーが設けられている。図示した本発明の2つの実施例の違いはこの保護カバーの違いである。図1のカバーは狭いショルダーリブ3である。・・・ 図2は別の保護カバーを示している。この保護カバーはトレッドの磨耗部分にはなく、加重の支えには貢献しない。この保護カバーの役目はワーキングプライ61、62の端部610、620と保護プライ63の端部630とを保護することである。この保護カバーはゴム4で構成され、このゴムの軸線方向内側部分は軸線方向外側の側部フランジ11の底部に連結している。換言すれば、このゴムの放射方向外側表面40は溝13とほぼ同じ高さにある。この実施例はショルダーリブの助けを必要としない場合に、ショルダー部分の冷却を改善するのに用いることができる。」(8頁10行~9頁6行。なお、8頁の表を除いて行数をカウントしている。) 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 後者の「ビードワイヤ2」は、前者の「ビード部」に相当し、後者の「コードをタイヤ赤道面V-V′に対してほぼ90°に配置した単数あるいは複数の補強プライからなり、その左右両端をビードワイヤ2に係止したトロイド状カーカスプライ層3」は、前者の「一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカス」に相当する。 後者の「トレッドゴム層5」は、前者の「トレッド」に相当し、後者の「カーカスプライ層3のクラウン部を補強するベルト層4」は、カーカスプライ層3とトレッドゴム層5との間にあることは明らかなので、前者のカーカスとトレッドとの間の「タイヤ周方向に略平行に延びるコードで構成される少なくとも1層のベルト補強層と、2層以上からなる傾斜ベルト層」と、「ベルト層」である限りにおいて一致する。 後者の「重車両用ラジアルタイヤ1」は、前者の「重荷重用空気入りラジアルタイヤ」に相当する。 後者の「規定内圧充填時にトレッド接地幅TWがタイヤ最大幅Wに対して0.54~0.70の範囲にある」との事項は、空気入りラジアルタイヤ1が規定内圧を充填した状態にあることを意味し、規定のリムに組み込んでいることは明らかといえるので、後者の「規定内圧充填時」は、前者の「タイヤを規定リムに組み込み、規定内圧を充填し、無負荷状態としたとき」と、「タイヤを規定リムに組み込み、規定内圧を充填したとき」である限りにおいて一致する。 後者の「ベルト層4の最大幅BWがトレッド接地幅TWより大きく」との事項は、引用文献1の第3図を併せみれば、ベルト層4の端部がトレッドの端部より幅方向外側に位置することを意味しているので、前者の「摩耗初期から摩耗末期までの間に常に、ベルト補強層の幅方向端部は、トレッド端より幅方向外側に位置」することと、「ベルト層の幅方向端部は、トレッド端より幅方向外側に位置」する限りにおいて一致する。 そうすると、両者は、 「一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスの径方向外側に、ベルト層と、トレッドとを順に有する重荷重用空気入りラジアルタイヤであって、 前記タイヤを規定リムに組み込み、規定内圧を充填したとき、 前記ベルト層の幅方向端部は、前記トレッド端より幅方向外側に位置する 重荷重用空気入りラジアルタイヤ。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 〔相違点1〕 本願発明1は、「無負荷状態としたとき」と特定されているのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 〔相違点2〕 「ベルト層」に関して、本願発明1は、「タイヤ周方向に略平行に延びるコードで構成される少なくとも1層のベルト補強層と、2層以上からなる傾斜ベルト層」と特定されているのに対して、引用発明は、ベルト層4がそのようなものか明らかでない点。 〔相違点3〕 本願発明1は、「トレッド端より径方向内側における、タイヤの外面は、幅方向内側に凸に湾曲した、タイヤ幅方向断面において1つの滑らかな円弧を区画する凹部を1つのみ有し」、「摩耗初期から摩耗末期までの間に常に」ベルト補強層の幅方向端部は、トレッド端より幅方向外側に位置し、「凹部は、トレッドの摩耗が進むに従ってトレッド端が幅方向外側へ移動しないような形状である」と特定されているのに対して、引用発明は、そのような凹部を有しておらず、摩耗初期から摩耗末期までの間のベルト補強層の幅方向端部の位置について特定されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、相違点3から検討する。 ア 引用文献2には、航空機用あるいはトラック・バス用の空気入りラジアルタイヤにおいて、カーカス層18と、カーカス層18の半径方向外側に配置され、そのスチールコード26、27がタイヤ赤道Sに対して逆方向に傾斜し互いに交差している内側ベルトプライ24および外側ベルトプライ25を積層したベルト層23と、ベルト層23とカーカス層18との間のトレッド部15に該ベルト層23と重なり合うよう配置され、タイヤ赤道Sと実質上平行に延びる補強コード37が埋設された補強プライ36から構成されたベルト補強層35とを有することが記載されている(上記「第5(2)オ~カ」を参照)。 引用文献2には、相違点3に係る本願発明1の「凹部」に関する事項が記載も示唆もされていないので、引用発明に適用しても、相違点3に係る本願発明の構成とすることはできない。 イ (ア)相違点3に係る本願発明1の構成について、本願の明細書の発明の詳細な説明には次のとおり記載されている。 「【0015】 本発明によれば、ベルト補強層の幅方向の幅の適切化を図ることにより、耐偏磨耗性に優れた重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。 また、傾斜ベルト層の幅方向の幅の適切化を図ることにより、タイヤの耐磨耗性を向上させることもできる。 さらに、タイヤの外面の形状を適切化することにより、トレッド磨耗後においてもタイヤの耐偏磨耗性や耐磨耗性が高い状態を維持させることができる。 ・・・」 「【0024】 ・・・ そこで、本発明においては、図1に示すように、トレッド端TEよりタイヤ径方向内側におよそ5~35mmの範囲にて、タイヤ外面6がタイヤ幅方向内側に凸に湾曲した環状の凹部7を有することが好ましい。 これにより、トレッドの磨耗が進んでも、トレッド端TEが幅方向外側へは移動しなくなる。よって、トレッドの磨耗が進んでも、ベルト補強層の端部3aやベルト層4の端部4c、4dをトレッド端TEより幅方向外側に位置させることができ、トレッドの磨耗進行後においても、耐磨耗性及び耐偏磨耗性を向上させる効果を得ることができるからである。 ・・・」 当該記載によれば、相違点3に係る本願発明1の構成は、トレッド磨耗進行後においてもタイヤの耐偏磨耗性が高い状態を維持させるとの作用効果を奏するものといえる。 (イ)引用文献3には、カーカス層14とトップトレッド層20との間に、2枚のベルトプライ24、26からなるベルト層22が配置され、ベルトプライ24、26の端部を覆うように実質上タイヤ周方向に延びる有機繊維よりなるベルト補強層としてのレイヤー30が配置された高性能空気入りラジアルタイヤ10において、トップトレッド層20のサイドウォール部側非接地領域にくびれ部32を形成することで、ショルダー部、即ちベルトエンド部付近の発熱が抑えられることが記載されている(上記「第5(3)キ~コ」を参照)。 引用文献4には、少なくとも一つのカーカスプライ5と2つのワーキングプライ61、62と保護プライ63とを含んだベルトとを有した長距離トラックの前輪タイヤに適したタイヤTにおいて、ショルダーリブの助けを必要としない場合に、その部分のゴム4の放射方向外側表面40を溝13とほぼ同じ高さにし、ショルダー部分の冷却を改善することが記載されている(上記「第5(4)サ~ス」を参照)。 引用文献3及び4には、空気入りラジアルタイヤのトレッド端部に凹部を形成することで、ショルダー部、ベルトエンド部の冷却効果が得られることが記載または示唆されているといえるものの、凹部の形状と摩耗初期から摩耗末期までの間のベルト層の幅方向端部の位置との関係については特段記載されていない。 (ウ)そうすると、引用発明に、引用文献3及び4に記載の事項に基づいて、ショルダー部の冷却のために凹部を形成することができたとしても、ベルト層のもたらす作用効果との関係から凹部の形状を特定することが記載も示唆もされていない以上、相違点3に係る本願発明1の「凹部は、トレッドの摩耗が進むに従ってトレッド端が幅方向外側へ移動しないような形状である」とともに、「摩耗初期から摩耗末期までの間に常に、ベルト補強層の幅方向端部は、トレッド端より幅方向外側に位置」する構成までを、当業者が容易に想到し得たとはいうことはできない。 したがって、相違点1、2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載の事項及び周知の事項(引用文献3及び4に記載の事項)に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2.本願発明2~4について 本願発明2~4は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載の事項及び周知の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第7 原査定について 上記「第6」で検討したとおり、本願発明1~4は、当業者であっても、原査定の拒絶理由で引用された引用文献1、2に記載の発明及び周知技術(引用文献3、4参照)に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、原査定の拒絶理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-010170

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    同じ当事者: 株式会社ブリヂストン
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    同じ当事者: 株式会社ブリヂストン
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    同じ当事者: 株式会社ブリヂストン
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    同じ当事者: 株式会社ブリヂストン
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    同じ当事者: 株式会社ブリヂストン
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