特許拒絶査定不服審判
2016-009819
両性リポソーム及びその使用
- 審判番号
- 2016-009819
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-165961外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月30日
- 審決日
- 2017年12月08日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .537-WZF(A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第50条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-165961「両性リポソーム及びその使用」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月20日出願公開、特開2014-218520〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成14年2月21日(パリ条約による優先権主張:平成13年2月21日(ドイツ連邦共和国))を国際出願日とする特願2002-565572号の一部を、平成22年9月21日に新たな特許出願としたもの(特願2010-211089号)を、さらにその一部を平成25年11月18日に新たな特許出願としたもの(特願2013-237869号)を、さらにその一部を平成26年8月18日に新たな特許出願としたものであって、平成27年7月2日付けで拒絶理由が通知され、平成28年1月7日に意見書及び手続補正書が提出され、同年2月22日付けで拒絶査定がなされたのに対して、同年6月30日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成29年7月13日付けで拒絶理由(以下、「本件拒絶理由」という。)が通知されたものである。
なお、本件拒絶理由に対して、指定期間内に、特許法第50条所定の意見書は提出されていない。
第2 特許請求の範囲
本願の願書に添付された特許請求の範囲は、平成28年6月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載から、次のとおりのものである。
「【請求項1】
両性リポソームであって、等電点が4以上7未満である少なくとも1種の両親媒性の正電荷担体と、少なくとも1種の両親媒性の陰イオン電荷担体とを含み、更に、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含む中性脂質の組合せを含み、前記正電荷担体が、モルホリン-N-エチルアミノ-コレステロールヘミスクシネート(Mo-Chol)であり、前記陰イオン電荷担体が、コレステロールヘミスクシネート(CHEMS)であることを特徴とする両性リポソーム。
【請求項2】
前記ホスファチジルコリンが、POPCである請求項1に記載の両性リポソーム。
【請求項3】
前記ホスファチジルエタノールアミンが、DOPEである請求項1又は2に記載の両性リポソーム。
【請求項4】
等電点が、5以上7未満である、請求項3記載の両性リポソーム。
【請求項5】
平均サイズが、50~1000nmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の両性リポソーム。
【請求項6】
活性成分を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の両性リポソーム。
【請求項7】
該活性成分が、タンパク質、ぺプチド、DNA、RNA、アンチセンスヌクレオチド又はデコイヌクレオチドである、請求項6に記載の両性リポソーム。
【請求項8】
前記活性成分の少なくとも80%が、該リポソームの内部にある、請求項6又は7のいずれかに記載の両性リポソーム。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載のリポソームに活性成分を充填する方法であって、
封入するために第一のpHが用いられ、結合していない物質を分離するために第二pHが用いられることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載のリポソームに活性成分を充填する方法であって、
該リポソームが、4~9のpHで透過化処理され閉鎖されることを特徴とする方法。
【請求項11】
ナノカプセルを製造するための請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームの使用。
【請求項12】
診断における放出システムを製造するための請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームの使用。
【請求項13】
活性成分を運搬及び/又は放出するための医薬組成物の製造のための、請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームの使用。
【請求項14】
徐放性製剤及び/又は循環デポとしての医薬組成物の製造のための、請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームの使用。
【請求項15】
静脈内に適用するための医薬組成物の製造のための、請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームの使用。
【請求項16】
細胞の生体内又は生体外トランスフェクション用ベクターとしての医薬組成物の製造のための、請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームの使用。
【請求項17】
細胞の試験管内トランスフェクション用ベクターを製造するための請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームの使用。」
第3 本件拒絶理由
本件拒絶理由は、要するに、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件(いわゆる明確性要件)を満たしていない、というものである。
そして、具体的な理由について、平成29年7月13日付け拒絶理由通知書の「2」欄において、次のとおりの説示がされた。
「1 本願発明について
本願の請求項1-17に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明17」という。)は、平成28年6月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 理由Aについて
本願発明1は、「等電点が4以上7未満である…正電荷担体」を含むものである。
しかしながら、「等電点」とは、両性電解質の電気泳動移動度がゼロとなるpH値を指す技術用語であるところ(要すれば、例えば、今堀和友他監修、生化学辞典 第3版、1998年、株式会社東京化学同人、第966頁等参照)、正電荷担体における「等電点」とはどのような値を意味するのかが明らかでなく、特許を受けようとする発明が不明確である。
本願発明1を引用する本願発明2-17についても同様である。
(なお、明細書の段落【0018】には、「等電点が4~8の間にある少なくとも1種の両性電荷担体」、「両性電荷担体の等電点は5~7の間にある」、「両性リポソームの等電点は5~7である」という記載があるものの、正電荷担体の等電点については明細書のいずれの箇所にも記載されていない点にも留意されたい。)」
第4 判断
本件拒絶理由は、これを覆すに足りる根拠が見いだせず、妥当なものであると判断される。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願は本件拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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