特許拒絶査定不服審判
2016-007222
静電分離制御システム
- 審判番号
- 2016-007222
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-527307
- 請求日
- 2016年05月18日
- 審決日
- 2017年09月28日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】セパレーション テクノロジーズ エルエルシー
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 【請求人代理人】飯田 貴敏
- 【請求人代理人】石川 大輔
- 【請求人代理人】山本 健策
- 審判長/審判官
- 審判長 千壽 哲郎
- 審判官 渡邊 豊英
- 審判官 小野田 達志
- 分類
- P18 .121-WZ (B03C) / P18 .536-WZ (B03C) / P18 .537-WZ (B03C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-527307「静電分離制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月 8日国際公開、WO2012/031080、平成25年10月10日国内公表、特表2013-538124〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、平成23年9月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成22年9月3日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年1月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年5月18日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲が補正されたものである。
その後、当審において平成29年2月21日付けで拒絶の理由を通知したところ、平成29年5月22日に手続補正書及び意見書の提出がなされた。
第2.平成29年2月21日付け当審拒絶理由通知の理由2.の概要
理由2.本願の請求項1~60に係る発明は、その優先日前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.特開2003-126832号公報
2.再公表特許第2009/104566号
3.特開2001-113202号公報
4.国際公開2007/014402号
第3.本願発明
本願の請求項1~56に係る発明は、平成29年5月22日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~56に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「静電分離システムを使用して微粒子材料の分離を制御する方法であって、
流入供給物の少なくとも1つの構成要素中に希釈される第1の流れと、前記流入供給物の前記少なくとも1つの構成要素中に濃縮される第2の流れに、摩擦電気向流ベルト式静電分離システム内で微粒子材料を分離することと、
前記静電分離システムを使用する現在の静電分離プロセスの少なくとも1つの入力変数と、前記静電分離システム内で制御される前記第1の流れの少なくとも1つの特性を示す前記現在の静電分離プロセスの少なくとも1つの出力変数と、を決定することであって、前記少なくとも1つの入力変数は、極性、電圧、ベルトの速度、供給量、供給ポートの位置、間隙、供給物の相対湿度、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記少なくとも1つの出力変数は、前記第1の流れの強熱減量(LOI)である、ことと、
オンライン分析器を使用して前記静電分離システムから前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数を時間間隔を置いてオンライン測定することと、
前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数の標的範囲を選択することと、
出力信号を生成するために前記測定された出力変数を前記標的範囲と比較することと、
前記出力信号に少なくとも部分的に基づいて、プロセスに応じて前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの入力変数を制御システムによって自動的に調整することと、を含む、方法。」
第4.引用発明
当審の拒絶の理由に引用した刊行物1には、「石炭灰の処理装置及び計測装置」の発明に関して、以下の事項が記載されている。 (下線は当審にて付与。)
「【請求項1】 石炭灰から未燃炭素を分離する未燃炭素分離装置と、石炭灰中未燃炭素分計測装置と、運転制御装置とを備えた石炭灰の処理装置であって、
前記石炭灰中未燃炭素分計測装置は、サンプリング管と、このサンプリング管内に充填した物質の複数の誘電率に関連する物性値を計測できる単一又は複数の誘電率計測器を備え、サンプリング管にサンプル石炭灰を充填した状態で、この単一又は複数の誘電率計測器によって複数の誘電率に関連する物性値を求めて、このサンプル石炭灰の複数の誘電率に関連する物性値と、予め物性既知の石炭灰を用いて求めた複数の誘電率に関連する物性値と未燃炭素分率の関係とから、サンプル石炭灰中の未燃炭素分率を求めるように構成するとともに、
前記運転制御装置では、この石炭灰中未燃炭素分計測装置の未燃炭素分率計測信号と所定の未燃炭素分率設定値とに基づいて分離能制御信号を出力し、前記未燃炭素分離装置では、この分離能制御信号に基づいて石炭灰中の未燃炭素分率が前記未燃炭素分率設定値以下となるように未燃炭素の分離能を調整するように構成したことを特徴とする石炭灰の処理装置。」
「【請求項5】 請求項1,2,3又は4に記載の石炭灰の処理装置において、前記未燃炭素分離装置は、隙間を隔てて対向配置した電極と、この電極の隙間を通って循環移動する有孔の無端ベルトとを備え、電極に電圧を印加して電極の隙間に電界を形成し、且つ、電極の隙間に位置する無端ベルトのベルト部分が前記電界に直交して互いに反対方向に移動することにより、電極の隙間に投入した石炭灰の粒子を表面接触により帯電させて同石炭灰から未燃炭素を分離するように構成したことを特徴とする石炭灰の処理装置。
【請求項6】 請求項5に記載の石炭灰の処理装置において、
前記分離能制御信号は電圧制御信号、電極間距離制御信号、灰投入量制御信号又は灰スライド速度制御信号の何れか一つ又は複数とし、この制御信号に基づいて、前記未燃炭素分離装置では電極の印加電圧、電極の隙間の間隔、電極の隙間に投入する石炭灰の投入量、又は、無端ベルトの移動速度の何れか一つ又は複数を調整して、未燃炭素の分離能を調整することを特徴とする石炭灰の処理装置。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は石炭灰の処理装置及び計測装置に関し、石炭焚火力発電所などにおけるボイラの燃焼管理システムや石炭灰の品質管理装置などにおいて石炭灰中の未燃炭素分率を計測し、また、この計測信号に基づいて未燃炭素分離装置の分離能を制御する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】石炭焚火力発電所におけるボイラの燃焼管理システムでは、ボイラから排出された石炭灰中の未燃炭素分率を計測することにより、ボイラの燃焼状態をモニタすることができる。この場合、石炭灰中の未燃炭素分率が多ければボイラの燃焼状態は悪く、未燃炭素分率が少なければボイラの燃焼状態は良好であると判断することができる。また、石炭灰はセメントの混和剤(粘土成分)として利用されるが、この場合、石炭灰中の未燃炭素分率が多いと混和剤として利用できないため、石炭灰中の未燃炭素分率を計測して石炭灰の品質管理を行う必要がある。」
「【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の重量計測法では燃焼操作に時間を要するため、オンライン計測に対応できない。また、マイクロ波位相信号+重量計測法では重量計測を行う必要があるため、装置構成や計測手順が煩雑なものとなり、また、装置の設置場所についても、振動が少ないこと等の制限を生じる。また、重量計測のために完全閉鎖系の計測系とすることができず、重量計測の際に石炭灰が周囲に飛散してしまうという問題点もあった。
【0007】また、石炭灰に含まれる未燃炭素の量を低減するには未燃炭素分離装置によって石炭灰から未燃炭素を分離する必要があるが、この分離性能を高めるためには未燃炭素分率の計測信号に基づいて未燃炭素分離装置の分離能を制御することが有効である。
【0008】従って、本発明は上記の事情に鑑み、短時間で計測することができ、特別な設置場所の制限もなく、しかも、完全閉鎖系の計測系を実現することができる石炭灰中未燃炭素分計測装置を提供すること、及び、この計測装置の計測信号に基づいて未燃炭素分離装置の分離能を制御する石炭灰の処理装置を提供することを課題とする。」
「【0022】<実施の形態1>図1は本発明の実施の形態1に係る石炭灰中未燃炭素分計測装置の石炭焚火力発電所における配置図、図2は各設置場所における前記石炭灰中未燃炭素分計測装置の概略構成図である。・・・
【0023】図1に示すように石炭焚火力発電所において、ボイラ1から煙道3に排出された排ガスはエアヒータ2で熱交換され、脱硝装置4で脱硝された後、静電集塵装置5に導入され、ここで排ガス中の浮遊粉塵である石炭灰(フライアッシュ)が捕集される。その後、石炭灰が除去された排ガスは脱硫装置6で脱硫されて煙突7から放出される。一方、静電集塵装置5で捕集された石炭灰は、回収配管8を介して灰処理装置9に回収され、ここで所定の処理が施された後、排出配管18から排出されて貨車、トラック又は船により、所定の石炭灰利用場所などに運搬される。
【0024】そして、この排ガス系統では、例えばA箇所(ボイラ1,エアヒータ2及び脱硝装置4の排ガス出口)やB箇所(静電集塵装置5及び灰処理装置9の石炭灰出口)に本実施の形態1の石炭灰中未燃炭素分計測装置10が配置される。
【0025】A箇所設置の場合には、図2(a)に示すように煙道3内において上流側に開口したノズル11と、下流に開口したノズル12とを設け、煙道3を流れる排ガス中の石炭灰の一部がサンプルとしてノズル11から配管14及びバルブ15を介して石炭灰中未燃炭素分計測装置10に導入され、ここでサンプル石炭灰中の未燃炭素分率を測定した後、サンプル石炭灰をバルブ16及び配管17を介してノズル12から煙道3内に戻すような構成とする。B箇所設置の場合には、図2(b)に示すように回収配管8又は排出配管18の途中にバルブ15、石炭灰中未燃炭素分計測装置10及びバルブ16を配設し、バルブ15を介して石炭灰を石炭灰中未燃炭素分計測装置10に導入し、ここでサンプル石炭灰中の未燃炭素分率を測定した後、サンプル石炭灰をバルブ16を介して排出する構成とする。何れの設置場所においても、詳細は後述するが、石炭灰中未燃炭素分計測装置10は完全閉鎖系の計測系となっている。
【0026】なお、灰処理装置9の石炭灰出口から出た石炭灰は未燃炭素分離装置101で未燃炭素が分離された後、石炭灰中未燃炭素分計測装置10によって計測され、また、石炭灰から分離した未燃炭素は燃料としてボイラ1に供給されるが、この石炭灰の処理装置(図1のA部)に関する詳細は実施の形態4,5において説明する。
・・・
【0042】以上のことから、本実施の形態1の石炭灰中未燃炭素分計測装置10によれば、サンプル石炭灰の重量計測を要せず、サンプル石炭灰の複素誘電率を計測するだけでその未燃炭素分率Cwt%を求めることができるため、短時間で計測することができ、特別な設置場所の制限もなく、しかも、完全閉鎖系の計測系を実現することができる。」
「【0087】<実施の形態4>本実施の形態4では図1のA部に設ける石炭灰の処理装置の構成について詳述する。図10は本発明の実施の形態4に係る石炭灰の処理装置の構成図である。
【0088】図10に示すように、本実施の形態4では図1のA部に設ける未燃炭素分離装置101として静電分離式の未燃炭素分離装置101Aを有している。この未燃炭素分離装置101Aは、特表平11-509134号公報、特表平11-501688号公報、特表2001-512369号公報などにも示されている米国のセパレーション・テクノロジーズ・インコーポレーテッド(STI)社製の静電向流ベルト式の未燃炭素分離装置を基本構成としている。
【0089】詳述すると、図10に示すように未燃炭素分離装置101Aは、一対の電極102,103と、無端ベルト84とを有している。電極102,103は図中左右方向に長く、狭い隙間(例えば約10mm)を隔てて対向配置されている。電極102,103の隙間の間隔は電極駆動装置93により電極102,103の何れか一方又は両方を移動して、調整できるようになっている。かかる電極102,103に電源装置85によって直流の高電圧が印加(図示例では電極102が正、電極3(審決注:正しくは「電極103」であると認められる。)が負となるように印加)されると、電極102,103の隙間には電界が形成される。そして、この電界の強度は電源装置85によって電極102,103の印加電圧(電位差)を調整すること、又は、電極駆動装置93によって電極102,103の隙間の間隔を調整することにより、適宜調整することができる。
・・・
【0092】そして、一方の電極102にはスロット状の開口102aが形成されており、この開口102aから電極102,103の隙間に石炭灰供給装置92によって、静電集塵装置5(図1参照)で回収された石炭灰が投入される。このため、電極102,103の隙間が石炭灰によって充たされ、この石炭灰が無端ベルト84のベルト部分84a,84bの移動によって攪拌される。その結果、石炭灰の粒子同士が表面接触して帯電する。このとき石炭灰中の未燃炭素は負に帯電し、他の成分は正に帯電する。負に帯電した未燃炭素は電極102,103間の電界により電極102側に移動して、ベルト部分84aにより図中右方向に輸送され、正に帯電した他の成分(石炭灰)は電極102,103間の電界により電極102(審決注:正しくは「電極103」であると認められる。)側に移動して、ベルト部分84bにより図中左方向に輸送される。かくして、石炭灰から未燃炭素が分離される。
・・・
【0094】一方、未燃炭素が分離された低未燃炭素分率の石炭灰は、ホッパ98に集められて未燃炭素分計測装置10に供給され、この未燃炭素分計測装置10で未燃炭素分率が計測された後、前述のように貨車、トラック又は船により、所定の石炭灰利用場所などに運搬される。このとき、未燃炭素分計測装置10からは未燃炭素分率計測信号aが出力され、この計測信号aが運転制御装置100に入力される。
【0095】このとき例えば石炭灰をセメントの混和剤(粘土成分)として利用する場合、未燃炭素分率計測信号aに基づいて、運転制御装置100では石炭灰中の未燃炭素分率が混和剤に適した値(例えば1%以下)となるように未燃炭素分離装置101Aの未燃炭素分離能を制御する。なお、運転制御装置100には、この運転制御機能(詳細後述)の他、石炭灰中未燃炭素分計測装置10で計測した未燃炭素分率Cwt%などを表示する表示器100aや、目標の未燃炭素分率値を設定する設定器100aなども備えている。
【0096】そして、運転制御装置100では、石炭灰中未燃炭素分計測装置10から入力した未燃炭素分率計測信号aに基づき、未燃炭素分離装置101Aの電源装置85、電極駆動装置93、石炭灰供給装置92及び回転駆動装置90に対し、分離能制御信号として電圧制御信号b、電極間距離制御信号c、灰投入量制御信号d及び灰スライド速度制御信号eをそれぞれ出力する。
【0097】電源装置85では、電圧制御信号bに基づいて電極102,103に印加する電圧値を調整することにより、未燃炭素の分離能を調整する。即ち、未燃炭素分率の計測値が所定値よりも高い場合には、電極駆動装置85(審決注:正しくは「電源装置85」であると認められる。)では印加電圧値を高くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げる。電極駆動装置93では、電極間距離制御信号cに基づいて電極102,103の隙間の間隔を調整することにより、未燃炭素の分離能を調整する。即ち、未燃炭素分率の計測値が所定値よりも高い場合には、電極駆動装置93では電極102,103の隙間の間隔を狭くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げる。
【0098】石炭灰供給装置92では、灰投入量制御信号dに基づいて電極102,103間への単位時間当たりの石炭灰投入量を調整することにより、未燃炭素の分離能を調整する。即ち、未燃炭素分率の計測値が所定値よりも高い場合には、石炭灰供給装置92では電極102,103間への石炭灰の投入量を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げる。回転駆動装置90では、灰スライド速度制御信号eに基づいてローラ86の回転速度を調整し、ひいては無端ベルト84(ベルト部分84a,84b)の移動速度を調整して石炭灰のスライド速度(攪拌及び輸送速度)を調整することにより、未燃炭素の分離能を調整する。即ち、未燃炭素分率の計測値が所定値よりも高い場合には、回転駆動装置90ではローラ86の回転速度を低減することによって、無端ベルト84(ベルト部分84a,84b)の移動速度を低減して石炭灰のスライド速度(攪拌及び輸送速度)を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げる。
【0099】なお、未燃炭素の分離能を調整する際には、印加電圧、電極間距離、石炭灰投入量、灰スライド速度のうち、何れか1つを調整してもよく、複数の調整をしてもよい。また、石炭灰中未燃炭素分計測装置10で計測された石炭灰が所定値以上の未燃炭素分率である場合には、当該石炭灰を廃棄せず、未燃炭素分離装置101Aに戻すようにすることが望ましい。
【0100】本実施の形態4の石炭灰の処理装置によれば、石炭灰中未燃炭素分計測装置10の未燃炭素分率計測信号aに基づき、運転制御装置100によって未燃炭素分離装置101Aの分離能を制御することにより、所望の未燃炭素分率の石炭灰を得ることができる。従って、例えばセメントの混和剤として石炭灰を利用する場合には、この石炭灰をセメントの粘土成分としてより適したものとすることができる。また、分離した未燃炭素をボイラ1の燃料して利用することにより、エネルギ効率の向上を図ることができる。」
上記事項を整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「静電分離式の未燃炭素分離装置101Aによる未燃炭素の分離能を制御する方法であって、
静電分離式の未燃炭素分離装置101A内で、石炭灰の粒子同士の表面接触により、石炭灰中の未燃炭素は負に帯電し、他の成分は正に帯電し、負に帯電した未燃炭素は電極102,103間の電界により電極102側に移動して、ベルト部分84aにより図中右方向に輸送され、正に帯電した他の成分(石炭灰)は電極102,103間の電界により電極103側に移動して、ベルト部分84bにより図中左方向に輸送されることで、石炭灰から未燃炭素が分離され、
未燃炭素が分離された低未燃炭素分率の石炭灰は、ホッパ98に集められ、サンプリング管と、このサンプリング管内に充填した物質の複数の誘電率に関連する物性値を計測できる単一又は複数の誘電率計測器を備え、オンライン計測に対応できなかった従来装置よりも短時間で計測することができる未燃炭素分計測装置10に供給され、この未燃炭素分計測装置10で未燃炭素分率が計測され、
目標の未燃炭素分率値を設定する設定器100aを備えた運転制御装置100は、石炭灰中未燃炭素分計測装置10から入力した未燃炭素分率計測信号aに基づき、未燃炭素分離装置101Aの電源装置85、電極駆動装置93、石炭灰供給装置92及び回転駆動装置90に対し、分離能制御信号として電圧制御信号b、電極間距離制御信号c、灰投入量制御信号d及び灰スライド速度制御信号eをそれぞれ出力することで、未燃炭素分率の計測値が所定値よりも高い場合には、電源装置85では印加電圧値を高くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げ、電極駆動装置93では電極102,103の隙間の間隔を狭くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げ、石炭灰供給装置92では電極102,103間への石炭灰の投入量を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げ、回転駆動装置90ではローラ86の回転速度を低減することによって、無端ベルト84(ベルト部分84a,84b)の移動速度を低減して石炭灰のスライド速度(攪拌及び輸送速度)を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げる、方法」
第5.対比
引用発明における「静電分離式の未燃炭素分離装置101A」、「未燃炭素」は、各々、本願発明における「静電分離システム」、「微粒子材料」に相当する。
また、「摩擦電気向流ベルト式分離器」に関する本願明細書の記載「多大な商業的成功を収めている静電分離方法の一種は・・・摩擦電気向流ベルト式分離器を利用する。そのようなベルト分離器システムは、表面接触、すなわち摩擦電気効果による異なる成分の帯電特性に基づいて粒子混合物の成分を分離する。これらのシステムは、典型的には、長手方向に配置された平行に離間された電極を利用し、その間を、一対のエンドローラによって駆動されると連続的なループを形成するベルトが長手方向に移動する。粒子混合物が電極間のベルトに積載され、電極によって生成される強力な電場に供される。この結果、電場に供された正の電荷を帯びた粒子が陰極に向かって移動し、負の電荷を帯びた粒子が陽極に向かって移動する。移動するベルトセグメントの向流動作が電極を反対方向に掃引し、粒子混合物の成分を分離器のいずれかの末端上にあるそれらのそれぞれの放電点に輸送する。最終的に、粒子混合物のある程度の分離を引き起こす向流移動ベルトによって、各粒子がシステムの一端に向かって移送される。」(段落【0002】)を踏まえると、引用発明の「静電分離式の未燃炭素分離装置101A」は、本願発明の「摩擦電気向流ベルト式静電分離システム」にも相当する。
そして、本願特許請求の範囲の【請求項10】の「前記微粒子材料は、未燃炭素を含有する石炭焚き発電からのフライアッシュであり、前記流入供給物の前記少なくとも1つの構成要素は、炭素含有量であり・・・である、請求項1に記載の方法。」との記載及び本願明細書の段落【0029】の「分離器からの一次製品は、濃縮されたフライアッシュ流であり、対象となる出力変数は、強熱減量(LOI)により測定されたフライアッシュ流中の未燃炭素の濃度またはパーセンテージである。」との記載を踏まえると、本願発明の「流入供給物の少なくとも1つの構成要素中に希釈される第1の流れと、前記流入供給物の前記少なくとも1つの構成要素中に濃縮される第2の流れに、摩擦電気向流ベルト式静電分離システム内で微粒子材料を分離すること」は、「分離する」べき「微粒子材料」及び「流入供給物」が「フライアッシュ」であって、当該「フライアッシュ」の「流れ」を、「流入供給物の少なくとも1つの構成要素中に希釈される第1の流れ」、すなわち、『「フライアッシュ」の「炭素含有量」が「希釈され」ることで低くなった流れ』と、「前記流入供給物の前記少なくとも1つの構成要素中に濃縮される第2の流れ」、すなわち、『「フライアッシュ」の「炭素含有量」が「濃縮され」ることで高くなった流れ』とに「摩擦電気向流ベルト式静電分離システム内」で「分離する」ことを含むことが明らかである。
一方、「石炭灰」は「フライアッシュ」と同義であることを踏まえると、引用発明における「静電分離式の未燃炭素分離装置101A内で、石炭灰の粒子同士の表面接触により、石炭灰中の未燃炭素は負に帯電し、他の成分は正に帯電し、負に帯電した未燃炭素は電極102,103間の電界により電極102側に移動して、ベルト部分84aにより図中右方向に輸送され、正に帯電した他の成分(石炭灰)は電極102,103間の電界により電極103側に移動して、ベルト部分84bにより図中左方向に輸送されることで、石炭灰から未燃炭素が分離され」ることは、「静電分離式の未燃炭素分離装置101A内」で、「電極102側に移動して、ベルト部分84aにより図中右方向に輸送され」る「未燃炭素」の流れと、「電極103側に移動して、ベルト部分84bにより図中左方向に輸送される」「正に帯電した他の成分(石炭灰)」、すなわち、「フライアッシュ」の流れとを生成することで、「石炭灰から未燃炭素が分離され」ることを意味するものといえる。
ゆえに、引用発明の「静電分離式の未燃炭素分離装置101A内で、石炭灰の粒子同士の表面接触により、石炭灰中の未燃炭素は負に帯電し、他の成分は正に帯電し、負に帯電した未燃炭素は電極102,103間の電界により電極102側に移動して、ベルト部分84aにより図中右方向に輸送され、正に帯電した他の成分(石炭灰)は電極102,103間の電界により電極103側に移動して、ベルト部分84bにより図中左方向に輸送されることで、石炭灰から未燃炭素が分離され」は、本願発明の「流入供給物の少なくとも1つの構成要素中に希釈される第1の流れと、前記流入供給物の前記少なくとも1つの構成要素中に濃縮される第2の流れに、摩擦電気向流ベルト式静電分離システム内で微粒子材料を分離すること」に相当する。
引用発明の「電圧制御信号b」、「電極間距離制御信号c」、「灰投入量制御信号d」、「灰スライド速度制御信号e」は、本願発明の「電圧」、「間隙」、「供給量」、「ベルトの速度」に各々相当するとともに、「静電分離プロセスの少なくとも1つの入力変数」であって「極性、電圧、ベルトの速度、供給量、供給ポートの位置、間隙、供給物の相対湿度、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され」るものに相当する。
また、本願明細書の段落【0025】の「この特定の制御システムにおいて対象となる出力変数は強熱減量(LOI)であるが・・・。LOIは、発電所のボイラーの燃焼チャンバ内における燃焼の間に未燃のまま残存する炭素として定義することができる。」との記載及び引用発明の「未燃炭素分率」は、「電極103側に移動して、ベルト部分84bにより図中左方向に輸送される」「正に帯電した他の成分(石炭灰)」であって「未燃炭素が分離された低未燃炭素分率の石炭灰」について、「ホッパ98に集められ、サンプリング管と、このサンプリング管内に充填した物質の複数の誘電率に関連する物性値を計測できる単一又は複数の誘電率計測器を備え、オンライン計測に対応できなかった従来装置よりも短時間で計測することができる未燃炭素分計測装置10に供給され、この未燃炭素分計測装置10」で計測されるものであることを踏まえると、引用発明の「未燃炭素分率」は、本願発明の「前記第1の流れの強熱減量(LOI)」である「少なくとも1つの出力変数」に相当する。
ゆえに、引用発明の「運転制御装置100は、石炭灰中未燃炭素分計測装置10から入力した未燃炭素分率計測信号aに基づき、未燃炭素分離装置101Aの電源装置85、電極駆動装置93、石炭灰供給装置92及び回転駆動装置90に対し、分離能制御信号として電圧制御信号b、電極間距離制御信号c、灰投入量制御信号d及び灰スライド速度制御信号eをそれぞれ出力すること」は、本願発明の「前記静電分離システムを使用する現在の静電分離プロセスの少なくとも1つの入力変数と、前記静電分離システム内で制御される前記第1の流れの少なくとも1つの特性を示す前記現在の静電分離プロセスの少なくとも1つの出力変数と、を決定することであって、前記少なくとも1つの入力変数は、極性、電圧、ベルトの速度、供給量、供給ポートの位置、間隙、供給物の相対湿度、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記少なくとも1つの出力変数は、前記第1の流れの強熱減量(LOI)である、こと」とは、「前記静電分離システムを使用する静電分離プロセスの少なくとも1つの入力変数と、前記静電分離システム内で制御される前記第1の流れの少なくとも1つの特性を示す前記静電分離プロセスの少なくとも1つの出力変数と、を決定することであって、前記少なくとも1つの入力変数は、極性、電圧、ベルトの速度、供給量、供給ポートの位置、間隙、供給物の相対湿度、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記少なくとも1つの出力変数は、前記第1の流れの強熱減量(LOI)である、こと」という限りにおいて一致する。
本願明細書には「オンライン分析」の定義が記載されていないところ、一般に「オンライン分析」とは、「化学プラントなどの測定対象設備や流路から分析試料の一部を採取して分析装置に送り込み、分析・記録・伝送などを行う連続分析。」(JIS K 0211分析化学用語(基礎部門) 用語番号3307を参照)を意味することを踏まえると、本願発明における「オンライン分析器」は、「測定対象設備や流路から第1の流れ(分析試料)の一部を採取して、その強熱減量(LOI)の測定を連続して行う機器」と解される。
一方、引用発明の「サンプリング管と、このサンプリング管内に充填した物質の複数の誘電率に関連する物性値を計測できる単一又は複数の誘電率計測器を備え、オンライン計測に対応できなかった従来装置よりも短時間で計測することができる未燃炭素分計測装置10」は、未燃炭素分の計測を連続して行うか否かは、刊行物1の記載からは定かではない。
ゆえに、引用発明の「未燃炭素が分離された低未燃炭素分率の石炭灰は、ホッパ98に集められ、サンプリング管と、このサンプリング管内に充填した物質の複数の誘電率に関連する物性値を計測できる単一又は複数の誘電率計測器を備え、オンライン計測に対応できなかった従来装置よりも短時間で計測することができる未燃炭素分計測装置10に供給され、この未燃炭素分計測装置10で未燃炭素分率が計測され」と本願発明の「オンライン分析器を使用して前記静電分離システムから前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数を時間間隔を置いてオンライン測定すること」とは、「分析器を使用して前記静電分離システムから前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数を測定すること」という限りにおいて一致する。
引用発明において、「設定器100a」で設定される「目標の未燃炭素分率値」は、「未燃炭素分率の計測値が所定値よりも高い場合には、電源装置85では印加電圧値を高くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げ、電極駆動装置93では電極102,103の隙間の間隔を狭くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げ、石炭灰供給装置92では電極102,103間への石炭灰の投入量を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げ、回転駆動装置90ではローラ86の回転速度を低減することによって、無端ベルト84(ベルト部分84a,84b)の移動速度を低減して石炭灰のスライド速度(攪拌及び輸送速度)を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げる」ことにおける「未燃炭素分率の計測値」と比較される「所定値」であると解される。
また、本願発明の「前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数の標的範囲」は、「出力信号を生成するために前記測定された出力変数」と「比較」される値である。
ゆえに、引用発明の「目標の未燃炭素分率値」と本願発明の「前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数の標的範囲」とは、「前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数の標的値」という限りにおいて一致する。
さらに、引用発明において「石炭灰中未燃炭素分計測装置10から入力した未燃炭素分率計測信号aに基づき、未燃炭素分離装置101Aの電源装置85、電極駆動装置93、石炭灰供給装置92及び回転駆動装置90に対し、分離能制御信号として電圧制御信号b、電極間距離制御信号c、灰投入量制御信号d及び灰スライド速度制御信号eをそれぞれ出力すること」は、「目標の未燃炭素分率値を設定する設定器100aを備えた運転制御装置100」が自動的に行うものと解するのが自然である。
してみると、引用発明の「目標の未燃炭素分率値を設定する設定器100aを備えた運転制御装置100は、石炭灰中未燃炭素分計測装置10から入力した未燃炭素分率計測信号aに基づき、未燃炭素分離装置101Aの電源装置85、電極駆動装置93、石炭灰供給装置92及び回転駆動装置90に対し、分離能制御信号として電圧制御信号b、電極間距離制御信号c、灰投入量制御信号d及び灰スライド速度制御信号eをそれぞれ出力することで、未燃炭素分率の計測値が所定値よりも高い場合には、電源装置85では印加電圧値を高くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げ、電極駆動装置93では電極102,103の隙間の間隔を狭くして電界強度を高めることにより、未燃炭素の分離能を上げ、石炭灰供給装置92では電極102,103間への石炭灰の投入量を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げ、回転駆動装置90ではローラ86の回転速度を低減することによって、無端ベルト84(ベルト部分84a,84b)の移動速度を低減して石炭灰のスライド速度(攪拌及び輸送速度)を低減することにより、未燃炭素の分離能を上げる」ことと、本願発明の「前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数の標的範囲を選択することと、出力信号を生成するために前記測定された出力変数を前記標的範囲と比較することと、前記出力信号に少なくとも部分的に基づいて、プロセスに応じて前記現在の静電分離プロセスの前記少なくとも1つの入力変数を制御システムによって自動的に調整すること」とは、「前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数の標的値を選択することと、出力信号を生成するために前記測定された出力変数を前記標的値と比較することと、前記出力信号に少なくとも部分的に基づいて、プロセスに応じて前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの入力変数を制御システムによって自動的に調整すること」という限りにおいて一致する。
以上を踏まえると、両者の一致点および相違点は以下のとおりである。
《一致点》
「静電分離システムを使用して微粒子材料の分離を制御する方法であって、
流入供給物の少なくとも1つの構成要素中に希釈される第1の流れと、前記流入供給物の前記少なくとも1つの構成要素中に濃縮される第2の流れに、摩擦電気向流ベルト式静電分離システム内で微粒子材料を分離することと、
前記静電分離システムを使用する静電分離プロセスの少なくとも1つの入力変数と、前記静電分離システム内で制御される前記第1の流れの少なくとも1つの特性を示す前記静電分離プロセスの少なくとも1つの出力変数と、を決定することであって、前記少なくとも1つの入力変数は、極性、電圧、ベルトの速度、供給量、供給ポートの位置、間隙、供給物の相対湿度、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記少なくとも1つの出力変数は、前記第1の流れの強熱減量(LOI)である、ことと、
分析器を使用して前記静電分離システムから前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数を測定することと、
前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数の標的値を選択することと、
出力信号を生成するために前記測定された出力変数を前記標的値と比較することと、
前記出力信号に少なくとも部分的に基づいて、プロセスに応じて前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの入力変数を制御システムによって自動的に調整することと、を含む、方法。」
《相違点1》
「静電分離プロセスの少なくとも1つの出力変数」及び「分析器を使用して前記静電分離システムから前記静電分離プロセスの前記少なくとも1つの出力変数を測定すること」が、本願発明では分析器として「オンライン分析器」を使用し、「時間間隔を置いてオンライン測定する」ことで、測定時点での、すなわち、「現在の」「静電分離プロセスの少なくとも1つの出力変数を測定すること」であるのに対し、引用発明の「未燃炭素分計測装置10」は、時間間隔を置いて連続して測定するか否かが不明であり、オンライン分析器といえるか否かが不明である点。
《相違点2》
「少なくとも1つの出力変数の標的値」が、本願発明では、「範囲」で選択されるのに対し、引用発明では、範囲で選択されるか否かが不明である点。
第6.判断
1.《相違点1》について
刊行物1には、引用発明の「未燃炭素分計測装置10」での「未燃炭素分率」の「計測」を連続して行うのか、連続して行う場合どのようなタイミングで行うのかについて記載されていない。
しかし、刊行物1には、上記第4で示したように、「石炭灰はセメントの混和剤(粘土成分)として利用されるが、この場合、石炭灰中の未燃炭素分率が多いと混和剤として利用できないため、石炭灰中の未燃炭素分率を計測して石炭灰の品質管理を行う必要がある。」(段落【0002】)との記載及び「本発明は上記の事情に鑑み、短時間で計測することができ、特別な設置場所の制限もなく、しかも、完全閉鎖系の計測系を実現することができる石炭灰中未燃炭素分計測装置を提供すること、及び、この計測装置の計測信号に基づいて未燃炭素分離装置の分離能を制御する石炭灰の処理装置を提供することを課題とする。」(段落【0008】)との記載がある。
また、プロセス制御において、出力の計測を連続して行い、その計測値を目標値に収束させる制御、すなわち、フィードバック制御は本願優先日前から慣用されている制御手法であり、フィードバック制御を行う際の計測値の計測タイミングは、制御対象の性質、その制御に求められる制御精度、コスト等を勘案し、当業者が適宜決定すべき設計的な事項にすぎないところ、ある目標値と比較されるべき測定値のオンライン測定を、時間間隔を置いて行うことは、例えば、特開2000-178354号公報(特に、段落【0034】~【0037】、【0055】を参照。)、特表2007-508162号公報(特に、段落【0040】、【0050】を参照。)にも記載されているように、本願の優先日前に周知の技術でもあり、その採否は、制御対象の性質、その制御に求められる制御精度、コスト等を勘案し、当業者が適宜決定し得たことである。
そして、引用発明の「未燃炭素分計測装置10」の構成(【図3】(a)の記載を参照。)や設置箇所(段落【0094】及び【図10】の記載を参照。)からみて、引用発明において、「未燃炭素分率」の「計測」を、適宜のタイミングで連続して行うようにすること、すなわち、「時間間隔を置いてオンライン測定」することを阻害する要因もない。
してみると、引用発明において、「未燃炭素分計測装置10」での「未燃炭素分率」の「計測」を、石炭灰の品質管理をより確実に行うために、「未燃炭素分離装置101Aによる未燃炭素の分離」を行っている間に、「時間間隔を置いてオンライン測定」することで、「現在の」「静電分離プロセスの少なくとも1つの出力変数を測定する」ようにすることは、当業者が容易になし得たことというべきである。
2.《相違点2》について
当審の拒絶の理由に引用した刊行物2の段落【0026】~【0071】、【図1】~【図3】(特に、【0060】~【0063】)には、静電分離システムを使用して、固体混合粒子の原料流入供給物から、個別粒子を分離回収して処理する制御に際して、帯電部3が受け入れる混合組成を帯電・選別に有利なPP樹脂粒子含有率の範囲:15~20重量%(図2のA2範囲)を目標範囲として設定することで、「PS樹脂の回収率として80%程度を確保」することが示されている。
また、プロセス制御において、出力の計測値をある目標値に収束させる制御、すなわち、フィードバック制御を行う際に、目標値を範囲で設定することは、例えば、特開2004-125447号公報(特に、【要約】、【請求項7】、段落【0001】~【0005】、【0014】及び【0015】を参照。)、特開2006-324682号公報(特に、【請求項9】、段落【0042】~【0047】を参照。)にも記載されているように、本願の優先日前に周知の技術でもあり、その採否は、制御対象の性質、その制御に求められる制御精度、コスト等を勘案し、当業者が適宜決定し得たことである。
そして、刊行物1には、「目標の未燃炭素分率」を数値範囲で設定してはならない旨の記載はないし、「目標の未燃炭素分率」を数値範囲で設定することで、引用発明が解決しようとする課題(刊行物1の段落【0006】~【0008】の記載を参照。)が解決できなくなる事情が生ずるとは認められないから、引用発明において、「目標の未燃炭素分率」を数値範囲で設定することを阻害する要因はないというべきである。
してみると、刊行物2に記載されたものと同様に、静電分離システムを用いる引用発明において、「目標の未燃炭素分率値」を数値範囲で設定すること、すなわち、「少なくとも1つの出力変数の標的値」を、「範囲」で設定するようにすることは、当業者が容易になし得たことというべきである。
3.請求人の意見について
請求人は、平成29年5月22日付け意見書の「B.1.1について」で、(1)引用文献1の図3、図10の開示に鑑みると、引用文献1は、現在のプロセスのオンライン分析や、現在のプロセス中の出力変数のオンライン測定に基づいた入力変数の変更に興味もない旨、(2)引用文献1の段落0094の議論からすると、引用文献1においては、生成物がホッパにおいて回収されて分離装置から遠くに移動された後に計測装置が作動され得ることが示唆されており、制御装置の動作は、後続プロセスにおける分離装置の後続動作にのみ影響を及ぼすものであって、リアルタイムでの分離装置の動作のオンライン調整をするものではない旨、を主張している。
そこで、上記主張について検討する。
(1)について
刊行物1(引用文献1)の段落【0006】及び【0008】の記載から、刊行物1に記載された技術は、「短時間で計測することができ、特別な設置場所の制限もなく、しかも、完全閉鎖系の計測系を実現することができる石炭灰中未燃炭素分計測装置を提供する」ことで、「オンライン計測に対応でき」るようにすることを志向していることが明らかである。
そして、上記第4.で示したとおり、刊行物1には、「サンプリング管と、このサンプリング管内に充填した物質の複数の誘電率に関連する物性値を計測できる単一又は複数の誘電率計測器を備え、オンライン計測に対応できなかった従来装置よりも短時間で計測することができる未燃炭素分計測装置10」を備えた引用発明が記載されている。
ゆえに、上記主張は採用できない。
(2)について
刊行物1の段落【0094】には「一方、未燃炭素が分離された低未燃炭素分率の石炭灰は、ホッパ98に集められて未燃炭素分計測装置10に供給され、この未燃炭素分計測装置10で未燃炭素分率が計測された後、前述のように貨車、トラック又は船により、所定の石炭灰利用場所などに運搬される。」との記載があり、【図3】には、石炭灰中未燃炭素分計測装置の構成図(a)及び石炭灰中未燃炭素分計測装置における複素誘電率の計測手順を示す説明図(b)(【図面の簡単な説明】を参照。)が記載され、【図10】の図面からは、「ホッパ98」が、「石炭灰中未燃炭素分計測装置10」に接続されている様子が把握される。
そして、刊行物1の段落【0094】には、「生成物がホッパにおいて回収されて分離装置から遠くに移動された後に計測装置が作動され得る」ことは記載されていないし、段落【0094】、【図3】及び【図10】の記載から、上記のことが示唆されているとはいえない。
ゆえに、上記主張は採用できない。
4.小括
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物1、2に記載された事項及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-007222