特許拒絶査定不服審判
2016-005367
光源装置、及び、プロジェクタ
- 審判番号
- 2016-005367
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-212951外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月12日
- 審決日
- 2017年07月10日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】カシオ計算機株式会社
- 分類
- P18 .121-WY (G03B) / P18 .113-WY (G03B) / P18 .537-WY (G03B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-212951「光源装置、及び、プロジェクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月22日出願公開、特開2013- 73080、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月28日の出願であって、平成26年9月9日付けで手続補正がされ、平成27年6月12日付けで拒絶理由が通知され、同年8月7日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がされたが、平成28年1月6日付けで拒絶査定(以下「原査定」という)がされ、これに対し、同年4月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同時に手続補正がされ、その後、当審において平成29年3月6日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という)が通知され、同年5月24日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成29年5月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものと認められる。
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
光を同一方向に射出する複数の光源素子と、前記複数の光源素子からの各射出光を平行光とするレンズアレイと、を含む励起光照射装置と、
前記複数の光源素子から照射された光によって励起され、蛍光発光される蛍光板と、
を有し、
前記レンズアレイは、直交する一方の軸と他方の軸を有するベース部と、該ベース部に対して光の入射側及び出射側の少なくとも一方に、前記複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメータレンズ部と、を備え、
前記レンズアレイは、前記複数のコリメータレンズ部の全てにおけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されており、
前記励起光照射装置は、前記複数の光源素子の光を射出する方向が前記蛍光板の法線に対して斜めになるように配置されており、
前記複数の光源素子からの各射出光の方向と前記各射出光が前記レンズアレイを通過した前記各射出光の方向とは異なることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記レンズアレイの前記一方の軸は、前記他方の軸より長い長軸であり、
前記レンズアレイの前記ベース部の一方の軸方向の端部から、各コリメータレンズ部までの距離に応じて、該コリメータレンズ部の前記シフト量が規定されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記レンズアレイの前記ベース部の一方の軸方向の端部から、各コリメータレンズ部までの距離が大きいほど、前記シフト量が大きく又は小さくなるように規定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記レンズアレイは、前記複数のコリメータレンズ部のうち全てのコリメータレンズ部の光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して、平行に同じシフト量だけずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光源素子それぞれから各コリメータレンズ部を介して射出された光が直接又は集光レンズを介して、前記蛍光板上の所定領域に集光するように、前記コリメータレンズ部の前記シフト量が規定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置。
【請求項6】
前記レンズアレイの各コリメータレンズ部を透過した各射出光を前記蛍光板側に反射する1枚の反射ミラーを更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記レンズアレイの各コリメータレンズ部を透過した各射出光を前記蛍光板側に反射する2枚以上、且つ、一方の軸方向に沿った前記光源素子の個数よりも少ない枚数の反射ミラーを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
【請求項8】
前記複数の光源素子及び前記複数のコリメータレンズ部は、行及び列をなすように配置され、
前記光源素子は、レーザー発光素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
【請求項9】
赤色光源装置と、緑色光源装置と、青色光源装置と、この各光源装置からの射出光を同一光軸とする導光光学系と、表示素子と、前記導光光学系により前記同一光軸とされた光を前記表示素子に導く光源側光学系と、前記表示素子により形成される光学像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置や前記表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、前記赤色光源装置、前記緑色光源装置、及び前記青色光源装置の少なくとも何れかの光源装置が、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。」
第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
[理由1]
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
[理由2]
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2011-107371号公報
引用文献2:特開2003-121777号公報
引用文献3:特開2006-171662号公報
(1)[理由1]について
ア 請求項1~2、8~9に対して
引用文献1には、光源10(「複数の光源素子」)と、コリメートレンズ310と、を有する照明装置400及びプロジェクター500の発明が記載されている。引用文献1の段落【0059】には、コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置は、出射面形成領域12の中心12cと出射面14との間の距離が大きいほど、入射面312の中心からの距離が大きくなる位置であることが記載されている。(引用文献1の図7~図12、段落【0027】、【0055】、【0057】~【0073】を参照。)
引用文献1の段落【0055】には、コリメートレンズ310を一体的に形成していることが記載されていることからすれば、「ベース部」を備えていることは明らかである。
本願の請求項1には、「前記レンズアレイは、前記複数のコリメータレンズ部のうち全て又は一部におけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されていること」と特定されていることからすれば、引用文献1に係る発明においても、コリメートレンズ310「のうち」「一部における」コリメートレンズ310「の各光軸を、」「一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されている」、すなわち、コリメートレンズ310「のうち全て又は一部における」コリメートレンズ310「の各光軸を、」「一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されている」ことから、引用文献1に係る発明のコリメートレンズ310が、本願の請求項1に係る発明の「レンズアレイ」に相当する。
イ 請求項1~2、9に対して
請求項1~2、9に係る発明と、引用文献2に記載の、並列化光源(「複数の発光素子」)と、レンズアレイ1(「レンズアレイ」)と、を有する照明装置8及び画像表示装置の発明とは、発明特定事項に差異はない。
ウ 請求項1~2、5、9に対して
請求項1~2、5、9に係る発明と、引用文献3に記載の、発光ダイオード1で構成する面光源装置(「複数の発光素子」)と、アレイ状レンズ2(「レンズアレイ」)と、を有する光源及び投射型表示装置の発明とは、発明特定事項に差異はない。
(2)[理由2]について
ア 請求項1~2、6~9に対して
引用文献1に記載の発明に基づいて、本願の請求項1~2、6~9に係る発明とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
シフト量をどのようにするかについては、出射面形成領域12と被照射領域4との位置関係によって適宜変更することは当業者であれば容易に想到し得たことであって、出射面形成領域12と被照射領域4との位置関係に応じてコリメートレンズ310「のうち全て」「における」コリメートレンズ310「の各光軸を、」「一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されている」ように設計変更することは当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ 請求項1~4、6~7、9に対して
引用文献2に記載の発明に基づいて、本願の請求項1~4、6~7、9に係る発明とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
「前記レンズアレイは、前記複数のコリメータレンズ部のうち全て」「におけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されていること」という点を考慮しても、当業者であれば容易に想到し得たことである。
ウ 請求項1~2、5、6~9に対して
・引用文献3
引用文献3に記載の発明に基づいて、本願の請求項1~2、5、6~9に係る発明とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
「前記レンズアレイは、前記複数のコリメータレンズ部のうち全て」「におけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されていること」という点を考慮しても、当業者であれば容易に想到し得たことである。
2 原査定の理由の判断
(1)刊行物の記載事項
ア 原査定における拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびプロジェクターに関する。・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、照明光の照度ムラを低減することができる照明装置を提供することにある。・・・
【0010】
本発明に係る照明装置において、
さらに、前記光源と前記集光レンズの間の光路上に、複数の前記出射面に対応して複数配置され、前記出射光を平行光に変換するコリメートレンズを含むことができる。
【0011】
このような照明装置によれば、光の利用効率を向上させることができる。・・・
【0013】
このような照明装置によれば、前記コリメートレンズおよび前記集光レンズによって、前記出射光を、前記第1フライアイレンズ上に重畳させて入射させることができる。したがって、照明光の照度ムラを低減することができる。」
(イ)「【0027】
光源10としては、例えば、半導体レーザー、スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の固体光源を用いることができる。これにより、光源10の高輝度化を図ることができる。光源10は、複数の出射面14を有していることができる。図示はしないが、例えば、光源10が端面発光型の発光素子を用いている場合、出射面14は、クラッド層で挟まれた活性層の側面であることができる。光源10は、例えば、複数の発光素子(例えばSLD素子)を支持基板上に配置することで、複数の出射面14を得ることができる。図示の例では、光源10は、5つの出射面14を有しているが、その数は限定されない。出射面14は、出射面形成領域12に配置されている。図示の例では、出射面形成領域12には、例えば、出射面14が1列配置されているが、複数列配置されていてもよい。出射面形成領域12は、例えば、出射面14の列の一方の端に位置する出射面と、他方の端に位置する出射面との間の領域をいうことができる。出射面形成領域12は、例えば、図示はしないが、複数行、複数列に配置された出射面14のうちの外側に位置する出射面14によって囲まれた領域をいうことができる。出射面形成領域12は、集光レンズ20によって第1フライアイレンズ50上で重畳される光を出射する出射面14が配列している領域であることができる。図2に示すように、複数の出射面14は、例えば、出射面形成領域12の中心12cに対して対称となるように配置される。出射面形成領域12の中心12cとは、例えば、出射面14の列の一方の端に位置する出射面と、他方の端に位置する出射面とを結ぶ線の中心であることができる。出射面形成領域12が長方形状であった場合、出射面形成領域12の中心12cとは、例えば、2つの対角線の交点であることができる。光源10は、出射面14から出射された光を集光レンズ20に導くための光学素子(図示しない)を有していてもよい。光源10は、複数の出射面14の各々から出射光Lを出射することができる。出射光Lは、所定の放射角度で出射される。出射光Lの光軸に直交する面における形状は、例えば楕円形状である。」
(ウ)「【0055】
コリメートレンズ310は、複数の出射面14に対応して複数配置されている。図示の例では、コリメートレンズ310は、5つの出射面14に対応して5つ配置されている。すなわち、出射面14とコリメートレンズ310とは、1対1に対応している。複数のコリメートレンズ310は、一体的に形成されていることができる。これにより、簡易な工程で、複数のコリメートレンズ310を形成することができる。」
(エ)「【0057】
2. 第2の実施形態
次に、第2の実施形態に係る照明装置について、説明する。図8は、第2の実施形態に係る照明装置400を模式的に示す図である。図9は、図8の一部を拡大した図である。本実施形態では、照明装置100をプロジェクターの照明装置に適用した場合について説明する。なお、第2の実施形態に係る照明装置400において、上述した第1の実施形態に係る照明装置100,200,300の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0058】
照明装置400は、図8に示すように、光源10と、コリメートレンズ310と、集光レンズ20と、第1フライアイレンズ50と、第2フライアイレンズ60と、コンデンサーレンズ70と、を含む。照明装置400は、さらに、第1フィールドレンズ40と、第2フィールドレンズ80と、を含むことができる。
【0059】
照明装置400では、出射光Lが、図9に示すように、コリメートレンズ310の入射面312に入射する。コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置は、出射面形成領域12の中心12cと出射面14との間の距離が大きいほど、入射面312の中心からの距離が大きくなる位置であることができる。言い換えると、出射光Lの光軸の入射位置は、出射面形成領域12の中心12cから外側方向に位置する出射面14ほど、入射面312の中心312cと入射位置との間の距離が大きくなる位置とすることができる。すなわち、コリメートレンズ310の入射面312において、出射面14と、出射面形成領域12の中心12cとの間の距離が互いに等しい出射面14の光軸の位置は、入射面312の中心312cからの距離が互いに等しくなる。また、出射面形成領域12の中心12cに位置する出射面14の出射光Lの光軸の位置は、入射面312の中心312cと一致する位置である。さらに、出射面形成領域12の中心12cから第1方向Aに位置する出射面14において、コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置は、出射光Lの進行方向から平面的に見て(入射面312を平面的に見て)、入射面22の中心22cから第1方向Aに位置していることができる。同様に、出射面形成領域12の中心12cから第2方向Bに位置する出射面14において、コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置は、出射光Lの進行方向から平面的に見て、入射面312の中心312cから第2方向Bに位置していることができる。このように出射光Lをコリメートレンズ310の入射面312に入射させることで、出射面形成領域12の中心12cからの距離が大きい出射面14から出射される出射光Lほど偏向させることができる。したがって、複数の出射面14から出射された出射光Lを第1フライアイレンズ50上(例えば、第1フライアイレンズ50の入射面上)で重畳させる方向に進行させることができる。
【0060】
第1フライアイレンズ50に入射する光の強度分布は、コリメートレンズ310の入射面312における入射面312の中心312cと出射光Lの光軸の位置との間の距離が大きくなるに従って、レンズの収差により、ピーク位置がシフトし、かつ歪んだ分布を有する。したがって、コリメートレンズ310の入射面22における出射光Lの光軸の位置を、出射面形成領域12の中心12cと出射面14との間の距離が大きいほど、入射面312の中心312cからの距離が大きくなる位置とすることで、光強度分布が均一化された光を得ることができる。これにより、第1フライアイレンズ50に光強度分布が均一化された光を入射させることができる。
【0061】
集光レンズ20は、コリメートレンズ310に対応して複数配置されている。コリメートレンズ310と集光レンズ20とは、1対1に対応している。集光レンズ20は、コリメートレンズ310によって平行光に変換された光を集光する光学素子である。より具体的には、集光レンズ20は、コリメートレンズ310によって平行光に変換された光を、集光(集束)した後、発散させて第1フライアイレンズ50に入射させる光学素子である。ここで、平行光に変換された光は、集光する方向に進行している。したがって、集光レンズ20によって、平行光に変換された光を、集光・発散させることで、第1フライアイレンズ50上に重畳させて入射させることができる。すなわち、コリメートレンズ310および集光レンズ20によって、複数の出射面14から出射された出射光Lを、第1フライアイレンズ50(例えば、第1フライアイレンズ50の入射面)上に重畳させることができる。
【0062】
図10は、出射面14から出射される光の光路を、模式的に示す図である。図11は、図10の一部拡大図である。図10では、2つの出射面14(第1出射面14a、第2出射面14b)から出射される光の光路を示した。図10および図11では、実線が、第1出射面14aから出射された光の光路を示し、破線が、第2出射面14bから出射された光の光路を示す。照明装置400では、図10に示すように、コリメートレンズ310から射出された光を、集光レンズ20によって、集光・発散させて第1フライアイレンズ50に入射させることができる。したがって、出射光Lが直接第1フライアイレンズ50に入射する場合と比較して、第1フライアイレンズ50上のより広い領域に光を入射させることができる。したがって、1つの出射面14から出射された光の被照明領域4a,4bと、複数の出射面14から光が出射された場合の被照明領域4(図8参照)とを、例えば、同程度の大きさの領域とすることができる。このことは、図10に示す出射面14a,14bとは異なる他の出射面から出射される光についても同様である。
【0063】
照明装置400は、例えば、以下の特徴を有する。
【0064】
照明装置400によれば、コリメートレンズ310および集光レンズ20によって、複数の出射面14から出射された出射光Lを、第1フライアイレンズ50上に重畳させて入射させることができる。これにより、照明装置400では、コリメートレンズ310および集光レンズ20を有さない場合と比べて、より光強度分布の均一な光を第1フライアイレンズ50に入射させることができる。したがって、被照明領域4における照明光の照度ムラを低減することができる。
【0065】
照明装置400によれば、コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置を、出射面形成領域12の中心12cと出射面14との間の距離が大きいほど、入射面312の中心からの距離が大きくなる位置とすることができる。これにより、第1フライアイレンズ50に光強度分布が均一化された光を入射させることができる。したがって、より被照明領域4における照明光の照度ムラを低減することができる。
【0066】
照明装置400によれば、集光レンズ20によって、複数の出射面14の各々から出射された出射光Lを集光・発散させて第1フライアイレンズ50に入射させることができる。これにより、1つの出射面14から出射された光の被照明領域と、複数の出射面14から出射された光の被照明領域4とを、同程度の大きさの領域とすることができる。したがって、例えば、複数の出射面14のうちの一部の出射面において、出射される光の出力が低下した場合もしくは出射されなかった場合であっても、被照明領域4において照明光の照度ムラが生じることを防止することができる。
【0067】
3. 第3の実施形態
次に、第3の実施形態に係るプロジェクター500について説明する。図12は、プロジェクター500を模式的に示す図である。なお、図12では、便宜上、プロジェクター300を構成する筐体は省略している。プロジェクター300は、本発明に係る照明装置を有する。以下では、本発明に係る照明装置として、照明装置100を用いた例について説明する。
【0068】
プロジェクター500において、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色照明装置100R,緑色照明装置100G、青色照明装置100Bは、上述した照明装置100である。
【0069】
プロジェクター500は、照明装置100R,100G,100Bから出射された光をそれぞれ画像情報に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)504R,504G,504Bと、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)510に投射する投射レンズ(投射装置)508と、を備えている。また、プロジェクター500は、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bから出射された光を合成して投写レンズ508に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)506を備えていることができる。
【0070】
各液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム506に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ506によりスクリーン510上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0071】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0072】
また、照明装置100を、照明装置100からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の照明装置にも適用することが可能である。
【0073】
プロジェクター500によれば、照度ムラを低減することができる照明装置を用いているため、照度ムラの少ない画像を投射することができる。」
(オ)図7ないし12は次のものである。
図7
図8
図9
図10
図11
(カ)上記(ア)ないし(エ)の記載を踏まえて、上記(オ)の図7ないし12を見ると、光源10は、光を同一方向に射出する複数の光源素子からなるものであること、コリメートレンズ310は、前記光源10の各光源素子からの各射出光を平行光とするレンズアレイであって、前記複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメートレンズ部からなるものであること、及び、光源10の各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記コリメートレンズ310を通過した前記各射出光の方向と、が異なるものと同じものを含むことが見てとれる。
(キ)引用発明1
上記(ア)ないし(カ)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「光源10と、コリメートレンズ310と、集光レンズ20と、第1フライアイレンズ50と、第2フライアイレンズ60と、コンデンサーレンズ70と、第1フィールドレンズ40と、第2フィールドレンズ80と、を含む照明装置400であって、
出射光Lが、前記コリメートレンズ310の入射面312に入射し、前記コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置は、出射面形成領域12の中心12cと出射面14との間の距離が大きいほど、入射面312の中心からの距離が大きくなる位置であり、
前記光源10は、光を同一方向に射出する複数の光源素子からなるものであり、前記コリメートレンズ310は、前記光源10の各光源素子からの各射出光を平行光とするレンズアレイであって、前記複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメートレンズ部からなるものであり、さらに、前記光源10の各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記コリメートレンズ310を通過した前記各射出光の方向と、は異なるものと同じものを含む、照明装置400。」
イ 同じく、原査定における拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献2には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、並列化光源及びレンズアレイを用いた照明装置において強度分布の均一化を実現するための技術に関する。・・・
【0045】そこで、本発明は、並列化光源及びレンズアレイを用いた照明装置において、強度分布の均一化を実現することを課題とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した課題を解決するために、レンズアレイを構成する各レンズエレメントについて、その曲率中心をレンズエレメントの中心軸に関して偏心させるか、又は当該偏心の付与と等価な光学的作用を得るために、屈折又は回折による光学素子を、レンズエレメントの曲率中心が当該レンズエレメントの中心軸に関して偏心していないレンズアレイに対して組み合わせた構成を有し、レンズアレイ又はレンズアレイ及び光学素子を透過した並列化光源からの光を、レンズ又はレンズ群によって結像することで当該並列化光源の像を空間的にずらした上で重ね合わせるようにしたものである。
【0047】従って、本発明によれば、レンズアレイについて偏心を付与するか、あるいはこれと等価な作用を光学素子と偏心なしのレンズアレイとの組み合わせにより実現することで、並列化光源の像をそれぞれ空間的にずらして重ね合わせることによって、均一な強度分布をもった照明光を得ることができる。」
(イ)「【0063】本発明では、複数の光線を出射する並列化光源を用いるが、上記したように、各光線については異なるレーザー光又は異なる偏光状態の光であっても良い。尚、以下では、説明の便宜上、複数の光源が並列に配置された構成を有する並列化光源として半導体レーザーアレイを用いるものとする。また、並列化光源に対してレンズアレイが配置されるが、当該レンズアレイには、複数のレンズエレメントが一体として形成されていて、並列化光源からの各光線に対するコリメートレンズとして用いられる。
【0064】図3乃至図5は、本発明に係るレンズアレイについての原理説明に必要なものであり、以下、これらの図に従って説明するが、便宜上、一次元照明を想定する。
【0065】図3は、一般的なレンズアレイc(上方に示す。)と、本発明に用いる「偏心」したレンズアレイ1(下方に示す。)との相違について理解し易いように両者の構成を対比的に示したものである。尚、このようなレンズアレイは、レーザーディスプレイ等の分野では微小なレンズエレメントの集合体として一体的に形成されており、マイクロレンズアレイと称している。
【0066】各レンズアレイを構成するレンズエレメントについては、その配列方向(図3に両向き矢印「H」で示す。)に沿って一定間隔「p」をもって形成されている。つまり、各エレメントは、図のH方向において全て等しい大きさ(あるいは幅)「p」をもつとともに、一定間隔「p」で配列されている(つまり、エレメントの形成ピッチが「p」である。)。
【0067】図示のように、レンズアレイcを構成するレンズエレメントe、e、…については、各エレメントの曲率中心が当該エレメントの中心軸に関して偏心しておらず、従って、曲率中心を通る軸が、一点鎖線で示す中心軸に一致している。尚、図には、見易いように、各エレメントの曲率を誇張しているが、それぞれの曲率中心が一点鎖線で示す中心軸上に位置している。また、それら中心軸のH方向における配列間隔が上記の「p」に等しい。
【0068】このように、レンズアレイcでは、球面レンズ(あるいは魚眼レンズ)状をした各エレメントが配列方向に沿って規則的に配置されているので、製造上の誤差を無視すれば、各エレメントの曲率中心の間隔が「p」に等しい。尚、現実のレンズアレイにおいてエレメント間にはギャップが製造上不可避的に存在し、これがレンズアレイの開口率を低下させ、光利用効率の低下原因となるため、ギャップのpに対する比率をできる限り低く抑えることが望ましい。但し、ここでは説明の簡単化を優先するために、ギャップをゼロとした理想状態を仮定する。
【0069】これに対してレンズアレイ1では、各レンズエレメント2、2、…の曲率中心を一点鎖線でそれぞれ示す中心軸に対してシフトさせることで、偏心量が各別に付与されている。即ち、各レンズエレメント2については、その曲率中心がエレメントの中心軸に関して偏心しており、曲率中心を通る軸(図の二点鎖線を参照。)が、一点鎖線で示す中心軸に一致しない。
【0070】例えば、図中に示す「ai」(i=1、2、…)は、各エレメントに付与された偏心量をそれぞれ示しており、偏心方向については、H方向に関して図の右方を正方向、左方を負方向と定義すると、最左端に位置する第一エレメントについては、その偏心量「a1」が負値とされ、また、その右側に隣接する第二エレメントの偏心量「a2」が正値とされている。そして、第三エレメントの偏心量「a3」が負値、第四エレメントの偏心量「a4」がほぼゼロとされ、第五乃至第七エレメントについては、第一乃至第三エレメントと同様な偏心傾向をもつようにそれぞれの偏心量が与えられている。
【0071】個々のエレメントに対して偏心量(符号も含める。)を付与する場合の実施形態には、当該偏心量について一定の規則に従って付与する形態(例えば、ある位置のエレメントを規準にして、それからの距離に応じた偏心量を付与する等)と、乱数等を用いて不規則に付与する形態が挙げられる。また、偏心量について幾つかの決められた値を用意して、その中から選択した値を用いるようにした形態と、偏心量について連続量として取り扱うようにした形態が挙げられる。いずれにしても、各エレメントの偏心量については、その平均値(AV=Σai/N。但し、「Σ」は自然数変数iについて1乃至Nまでの和を示す。)がゼロ又はその近傍値となるように規定することが好ましい。つまり、当該平均値がゼロでない場合には、偏心量について偏り傾向をもつことになるからである(ビーム全体での光軸ずれや光学設計上の問題等が起き得る。)。
【0072】各レンズエレメント2、2、…については、レンズアレイcの場合と同様に球面レンズ(あるいは魚眼レンズ)状をしているが、明らかに各エレメントの曲率中心間隔が、エレメントの配置周期(つまり、間隔p)とは一致していない。
【0073】上記のレンズアレイcやレンズアレイ1を用いて、N対1の結像を行った場合に、結像の位置関係について如何なる相違が起こるかを説明するための図が図4、図5である。
【0074】図4はレンズアレイcを用いた場合のN(=3):1の結像関係について示している。エレメントeについては3個とし、その物体側にそれぞれ配置された、3つの上向き矢印から発した光が、各エレメントをそれぞれ透過した後で、合成用の結像レンズd(図には1枚のレンズで代表して示すが、レンズ群の場合も含む。)を透過して結像される(下向きのやや長い矢印により倒立像を示す。)。尚、図中の「f」がレンズアレイc(のエレメント)の焦点距離を示し、「F」がレンズdの焦点距離を示している。
【0075】上向き矢印で示す物体の配列周期、各エレメントeの配列周期、そして各エレメントeの曲率中心の配列周期をすべて「p」としており、エレメントについて偏心がない場合には、各エレメントの中心軸に対して等しい物体高から出た光線は、像面において全て重ね合わされる。従って、周期pをもって配列された同じ大きさの物体に対して、周期pの配列をもつレンズアレイcを用いれば、結像面では全ての物体像が同じ位置に重ね合わされる(つまり、各像については、結像面内でのずれがない。)。
【0076】これに対して、図5はレンズアレイ1を用いた場合のN(=3):1の結像関係について示している。
【0077】エレメント2については3個とし、その物体側にそれぞれ配置された、3つの上向き矢印(但し、各矢印を太さの違いで区別している。)から発した光が、各エレメントをそれぞれ透過した後で、合成用のレンズ3(上記レンズdに相当するものであり、図には1枚のレンズで代表して示すが、レンズ群の場合も含む。)を透過して結像される(太さの異なる3つの矢印により倒立像をそれぞれ示す。各矢印については光軸に沿う方向において故意に少しずらして示しているが、これは見易さのためであって、3矢印は同じ面上に結像する。)。尚、図中の「f」がレンズアレイ1(のエレメント)の焦点距離を示し、「F」がレンズ3の焦点距離を示している。
【0078】太さの異なる上向き矢印で示す物体(並列化光源の各発光領域に相当する。)の配列周期、そして各エレメント2の配列周期については「p」としているが、上記したように、各エレメント2の曲率中心の配列傾向については必ずしも周期的ではなく、それぞれに異なる偏心量が与えられている。これにより、各エレメントの曲率中心を通る軸と、物体の中心軸との間には横ずれ(図の上下方向のずれ)をもつことになる。
【0079】各エレメントの曲率中心位置とエレメントの配列周期との関係において、上記したように偏心を有している場合には、レンズアレイ1の入射側焦点位置にある物体を、レンズ3で結像した場合に、当該レンズ3の出射側焦点面に生じる像は、図示ように各レンズエレメントに付与された偏心量に応じた横ずれをそれぞれにもつことになる。
【0080】つまり、各エレメントについて偏心がない場合を基準とする、曲率中心の偏心量は図3において説明したように、「ai」(i=1、2、…、N)であり、よって、第i番目のレンズエレメントの光軸に対する、第i番目の物体中心の物体高は「ai」である。
【0081】レンズエレメント2、レンズ3の焦点距離をそれぞれf、Fとしたので、第i番目の物体像について像面中心の像面上での位置は、「ai×(F/f)」である。つまり、各物体像は、それぞれに対応するレンズエレメントの偏心量に比例した像面上の(横)シフト量をもって結像されることが分かる(結像面で全ての物体像が同じ位置に重ね合わされるのではなく、位置的に各像がずれて重ね合わされる。)。
【0082】このような偏心したレンズアレイを、LD(レーザーダイオード)アレイ等に対するコリメートレンズとして用いれば、並列化光源からの複数の光線を用いて均一化された強度分布が得られるので、均一な一次元照明を実現することができる。例えば、物体として、発光領域幅がビーム半径に対して上記S倍に相当する値とされるエミッター(放射源あるいは出射源)を、上記「p」の周期でもって並列配置させたLDアレイバーを用いれば良い。当該LDアレイバーに対するマイクロレンズアレイが偏心を有している場合には、合成像面上で、各エミッターの近視野像が横方向のシフト量(上記したように、偏心量に比例した量)をもって重ね合わされる。つまり、レンズ3(あるいはレンズ群)によって結像する際に、並列化光源の各発光領域の像を空間的にずらした上で重ね合わせる。各エミッターの出力位相が相関を持たなければ、これらによって得られる総強度分布が各エミッターに係る強度の和として得られるため、適切なシフト量をもって各像を合成すれば、図1や図2において説明したような平均化の効果が発揮されて、強度分布が均一化されることになる。
【0083】尚、合成像面上において、各エミッターの近視野像を横ずらしにして空間的に重ね合わせるにあたっては、レンズアレイcのように各エレメントの形成間隔を一定にしておいて、LDアレイバーにおける各LDの配列について、レンズエレメントに対する偏心を個々に与えれば、両者の相対的な関係が、レンズアレイ1の使用時とほぼ同じになり、同様の効果が得られることになる。しかし、このような形態では、幾つかの理由から問題がある。先ず、LDからの出射光の一部が、レンズアレイにおいて対応するエレメントに隣接するエレメントに対しても入射されてしまう。この隣接するエレメントに入射した光線は、像面上で大きくずれた位置に向かうことになるので、迷光にしかならず利用効率の低下につながる。また、LDアレイ上に不均一な熱分布が生じ易くなるので、出力や波長等を不安定化させる原因となってしまう。従って、これらの問題を抱えたままでLDアレイの改善等に苦闘するよりは、上記したように、レンズアレイの各エレメントについて偏心を与える方が賢明と言える。」
(ウ)「【0093】上記と同様の仕様をもつ半導体レーザーアレイバーに対して、上記した偏心をもつレンズアレイを用いて、空間的な光の強度分布について均一性を向上させるための構成例8を示したのが図7である。尚、本構成において、ビームエキスパンダー5、シリンドリカルレンズ6、GLV7及びそれらの配置については図6と同じであり、また、ビームエキスパンダー5の前段(入射側)の構成については図5と同じである(像面上で3つの矢印で示す像を、光軸方向において故意にずらして示すが、これは見易さを配慮したものである。)。
【0094】LDアレイバーにおけるエミッターの個数を25個としている(図6、図7ではそれら全ての図示は省略している。)が、スペックルコントラストを抑圧し、強度揺らぎの分散を低減するためには、極力多くのエミッターによる光線を用いて、それらが照明面上で互いに重なり合うことで冗長度を高めた照明が得られるようにすることが望ましい。
【0095】しかし、光利用効率の観点からは、できるだけ多くのビームが照明面上で分離されていることが望ましい。総強度分布において、両端寄りに位置するビームの約半分については他のビームと重ね合わせることができないので、その部分では強度が不均一になる。従って、N本のビームを空間的に並列配置して一つの強度分布を得ようとする場合には、大雑把な見積もりでは、光の利用効率が、「(N-1)/N」程度になる(分子のN-1については、両端が0.5×2=1本分に相当することによる。)。例えば、80%程度の効率を目指す場合には、N=5にすれば良い。
【0096】最終的な像面上で各ビームが、ビーム半径の半分ずつのシフト(ずれ)量をもって重ね合わされる場合を考えると、そのためには、マイクロレンズエレメントの偏心量が、エミッター幅(60μm)の半分であれば良い。つまり、エミッター数に対応した25個のレンズエレメントのうち、任意の各5個ずつのエレメントについて、それぞれ0、±30、±60μmの偏心量を与えれば良い。
【0097】図8に示す例では、p=400μmのレンズエレメント2A、2A、…から構成されるマイクロレンズアレイ1Aについて、5個ずつのエレメントが下方に示すようにG1乃至G5の5グループに区分けされている(図には5種類のハッチングで区別している。)。
【0098】図中に示す「+」記号及び右向き矢印により示される方向を、偏心量の正方向として定義しており、左端に位置するエレメントを第一エレメントとし、右方にいくにつれてエレメントに付与される番号が大きくなるとした場合に、第一乃至第五エレメントを含む第一グループ(エレメント群)「G1」については、当該グループに属するエレメントの偏心量が「+60μm」とされる。また、第六乃至第十エレメントを含む第二グループ「G2」に属するエレメントの偏心量が「+30μm」とされ、第十一乃至第十五エレメントを含む第三グループ「G3」に属するエレメントの偏心量が「0μm」とされる。さらに、第十六乃至第二十エレメントを含む第四グループ「G4」に属するエレメントの偏心量が「-30μm」とされ、第二十一乃至第二十五エレメントを含む第五グループ「G5」に属するエレメントの偏心量が「-60μm」とされる。このように、隣り合うグループ同士では、両者間の偏心量の格差が30μmとなっている。
【0099】尚、本例では、第三グループ「G3」を中心として、各グループのもつ偏心量が対称的な配置をとっているが、各グループについて如何なる配置でも構わない。また、ゼロμmを含む5種類のエレメント(つまり、それぞれ異なる偏心量をもつエレメント)については、25個のうち、任意の5個に対して用いることができる。但し、偏心を与えた場合のマイクロレンズアレイによるコリメート光が光軸に対して平行でなくなるので、できるだけケラレが出ず、かつレンズ径を小さくできる配置を取ることが好ましい。例えば、両端部あるいは両端寄りに位置するレンズエレメントについては、それらの偏心の向きがレンズアレイ全体の中心部に向かう方向となるように配置するのが良い(図8では、両端寄りのG1について正方向(右方)とされ、G5について負方向(左方)とされており、いずれも中心(G3)に向かうように規定されている。)。また、上記したように各エレメントを幾つかのグループに区分けして、各グループ毎に異なる偏心量を付与する形態と、このようなグループ分けを行わずに偏心量を連続的又は段階的に個々のエレメントに対して付与していく形態が挙げられる。前者の形態は製造の容易性やコスト面等で利点があり、また、後者の形態は制御の精細化の面で利点がある。また、場合によっては両者を組み合わせた形態(例えば、同一グループ内で偏心量を連続的に変化させる等)でも構わない。」
(エ)「【0127】図14はGLVを用いた画像表示装置への適用例21について構成の概略を示したものである。
【0128】レーザー光源22(LDアレイバー)からの光は、上記に説明した強度分布変換系23(図には単レンズで代表的に示してはいるが、図7や図12で説明した光学系である。)を介して均一化された上で空間変調器24(例えば、GLV)に照射される。当該空間変調器による回折光は、レンズ25、シュリーレンフィルター26、レンズ27を経た後、投影レンズ系28を透過してガルバノミラー29に達し、さらにはスクリーン30へと到達する。尚、GLVやガルバノミラー等の駆動制御手段については図示及び説明を省略する。
【0129】しかして、上記に説明した構成によれば、スペックルノイズや干渉ノイズが十分に抑圧された均一な照明を、半導体レーザーアレイを用いてコンパクトに実現することができるとともに、構成が比較的簡単であるために、装置の小型化やコスト低減に好適である。そして、上記した照明装置を画像表示装置に適用することで、色再現性に優れた高品位画像の表示が可能なレーザーディスプレイ等を実現できる。」
(オ)図5、7及び14は次のものである。
図5
図7
図14
(カ)引用発明2
上記(ア)ないし(オ)によれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「複数の光線を出射する並列化光源を用い、並列化光源に対してレンズアレイ1が配置され、当該レンズアレイ1には、複数のレンズエレメント2、2、…が一体として形成され、並列化光源からの各光線に対するコリメートレンズ2、2、…として用いられ、
前記レンズアレイ1では、各レンズエレメント2、2、…の曲率中心を中心軸に対してシフトさせることで、偏心量が各別に付与され、
前記偏心方向については、最左端に位置する第一エレメントについては、その偏心量a1が負値とされ、また、その右側に隣接する第二エレメントの偏心量a2が正値とされ、第三エレメントの偏心量a3が負値、第四エレメントの偏心量a4がほぼゼロとされ、第五乃至第七エレメントについては、第一乃至第三エレメントと同様な偏心傾向をもつようにそれぞれの偏心量が与えられ、
偏心したレンズアレイ1を、コリメートレンズとして用いて、並列化光源からの複数の光線を用いて均一化された強度分布が得られ、均一な一次元照明を実現する、
並列化光源及びレンズアレイ1を用いた照明装置。」
ウ 同じく、原査定における拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献3には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを使用した投射型表示装置用の光源装置に関するものである。」
(イ)「【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は複数の発光ダイオードを面上に配置した面光源装置と、球面凸形状の集光レンズを持つことを特長としている。特に球面収差を補正できるように、面光源装置の発光ダイオードと球面凸形状の集光レンズの間に発光ダイオードと同数の小型レンズを設置し、面光源装置の発光ダイオードの設置間隔を、面光源装置の中心部から周辺部につれて狭くし、前記小型レンズと発光ダイオードの光軸がずれるように設置する特長を持つ。
【0016】
更に、色収差を補正させるために、面光源装置の中心部から周辺部までを同心円状に分割し、中心部につれて青色が強くなり、周辺部になるにつれて赤色が強くなるように、発光ダイオードを配置することを特長としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0018】
実施例では、複数の発光ダイオードで構成する面光源装置と、球面凸形状の集光レンズの間に、発光ダイオードと同数の小型レンズを面上に組み合わせたアレイ状レンズを使用している。これは、面光源装置の球面収差を補正すると同時に、発光ダイオードから放射した光束を、平行光化し高効率で集光するためである。また、本発明に使用される発光ダイオードの数は、本発明の所望の効果が得られれば特に限定はないが、例えば2~20000個、好適には、10~2000個、特に好適には20~1000個が例示される。
【0019】
球面収差とは図1に示すように球面凸レンズに平行光が入射する場合、レンズ周辺部に入射した光がレンズの焦点位置より手前に結像する現象を言い、入射光の屈折角度が大きい場合、即ち曲率が大きく焦点距離の短いレンズほど、周辺部の球面収差は顕著になる。
また色収差とは図3に示すように入射した光が球面凸形状の集光レンズで屈折する際に分光し、各波長の光が異なる焦点距離で結像する現象を言い、球面収差と同様に入射光の屈折角度が大きい場合ほど顕著になる。
【0020】
本発明における球面収差を補正する手段は、光源が複数の発光ダイオードから成り、集光レンズの中心部と周辺部に入射する光がそれぞれ異なる発光ダイオードから発し、対応するアレイ状レンズによって平行化されている点に着目する。即ち、図2に示すようにアレイ状レンズは固定したまま、光源周辺部の発光ダイオードの取りつけ位置を集光レンズ中心軸方向にずらす事により、集光レンズ周辺部に入射する光の角度を傾けて周辺部から出た光が正しい焦点に結像する様に補正する。
【0021】
色収差の低減手段は光源に三原色の発光ダイオードを複数個使用している点に着目し、図4に示すように集光レンズ中心軸から周辺部にかけて青、緑、赤の発光ダイオードの個数を同心円状に偏在させる。即ち、屈折率の大きい青色光を中心軸に多く配置し、屈折率の小さい赤色光を周辺部に多く配置する事で色収差と球面収差を相殺する。この場合、各色を完全に分離して配置してしまうと映像投影時に同心円状の色むらが発生する可能性が高いので各色は混在させて配置する必要がある。
【発明の効果】
【0022】
以上の説明から明らかなように球面凸形状の集光レンズの使用に合わせた発光ダイオードの取り付け位置の微調整、及び色別配置によって、複数の発光ダイオードを使用した大面積の面光源から発する光の高効率な集光が可能になる。つまり、本発明の方式を使用することで、球面凸形状のレンズを使用する低コストで、且つ高効率の集光が実現できる。」
(ウ)図2は次のものである。
(エ)引用発明3
上記(ア)ないし(ウ)によれば、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「複数の発光ダイオードで構成する面光源装置と、球面凸形状の集光レンズの間に、発光ダイオードと同数の小型レンズを面上に組み合わせたアレイ状レンズを使用し、
前記面光源装置の球面収差を補正すると同時に、前記発光ダイオードから放射した光束を、平行光化し高効率で集光するものであって、
前記球面収差を補正する手段は、光源が複数の発光ダイオードから成り、集光レンズの中心部と周辺部に入射する光がそれぞれ異なる発光ダイオードから発し、対応するアレイ状レンズによって平行化されて
前記アレイ状レンズは固定したまま、光源周辺部の発光ダイオードの取りつけ位置を集光レンズ中心軸方向にずらす事により、集光レンズ周辺部に入射する光の角度を傾けて周辺部から出た光が正しい焦点に結像する様に補正するものであって、
前記面光源装置の発光ダイオードの設置間隔を、面光源装置の中心部から周辺部につれて狭くし、前記小型レンズと発光ダイオードの光軸がずれるように設置した、
投射型表示装置用の光源装置。」
(2)対比・判断
ア 本願発明1と引用発明1との対比
(ア)本願発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「光源10」、「コリメートレンズ310」、「『集光レンズ20』及び『コリメートレンズ310』」及び「照明装置400」は、本願発明1の「複数の光源素子」、「コリメータレンズ部」、「レンズアレイ」及び「光源装置」にそれぞれ相当するから、両者は、
「光を同一方向に射出する複数の光源素子と、前記各光源素子からの各射出光を平行光とするレンズアレイと、を含む励起光照射装置と、
前記レンズアレイは、前記複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメータレンズ部と、を備える光源装置。」
である点で一致し、下記各点で相違する。
a 本願発明1は、「複数の光源素子から照射された光によって励起され、蛍光発光される蛍光板」を有し、「前記励起光照射装置は、前記複数の光源素子の光を射出する方向が前記蛍光板の法線に対して斜めになるように配置されて」いるのに対して、引用発明1は、このような「蛍光板」を備えていると特定されない点(以下「相違点1」という。)。
b 本願発明1の「レンズアレイ」は、「直交する一方の軸と他方の軸を有するベース部と、該ベース部に対して光の入射側及び出射側の少なくとも一方に」、複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメータレンズ部を備えるものであって、「前記複数のコリメータレンズ部の全てにおけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されており、前記各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記レンズアレイを通過した前記各射出光の方向と、は異なる」のに対して、引用発明1の「レンズアレイ」は、このような「ベース部」を備えると特定されるものではなく、また、「出射光Lが、前記コリメートレンズ310の入射面312に入射し、前記コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置は、出射面形成領域12の中心12cと出射面14との間の距離が大きいほど、入射面312の中心からの距離が大きくなる位置であり」、「前記光源10の各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記コリメートレンズ310を通過した前記各射出光の方向と、は異なるものと同じものを含む」点(以下「相違点2」という。)。
(イ)判断
事案に鑑みて、相違点2から判断する。
引用発明1に関して、引用文献1には「発明が解決しようとする課題」として、「本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、照明光の照度ムラを低減することができる照明装置を提供することにある。」(上記「(1)」「ア」「(ア)」段落【0005】)、とされ、「本発明に係る照明装置において、さらに、前記光源と前記集光レンズの間の光路上に、複数の前記出射面に対応して複数配置され、前記出射光を平行光に変換するコリメートレンズを含むことができる。・・・このような照明装置によれば、光の利用効率を向上させることができる。」(上記「(1)」「ア」「(ア)」段落【0010】及び【0011】)、及び、「このような照明装置によれば、前記コリメートレンズおよび前記集光レンズによって、前記出射光を、前記第1フライアイレンズ上に重畳させて入射させることができる。したがって、照明光の照度ムラを低減することができる。」(上記「(1)」「ア」「(ア)」段落【0013】)と記載されている。
したがって、引用発明1は、「レンズアレイ」が、「出射光Lが、前記コリメートレンズ310の入射面312に入射し、前記コリメートレンズ310の入射面312における出射光Lの光軸の位置は、出射面形成領域12の中心12cと出射面14との間の距離が大きいほど、入射面312の中心からの距離が大きくなる位置であり」、「前記光源10の各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記コリメートレンズ310を通過した前記各射出光の方向と、は異なるものと同じものを含む」ものとなすことで、「出射光を平行光に変換」して「光の利用効率を向上させる」、あるいは、「出射光を、前記第1フライアイレンズ上に重畳させて入射させること」によって「照明光の照度ムラを低減する」ものであるから、これを「前記複数のコリメータレンズ部の全てにおけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されており、前記各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記レンズアレイを通過した前記各射出光の方向と、は異なる」ものとすると、上記引用発明の課題を解決できなくなるため、引用発明1においてこのような構成を採用することには阻害要因がある。
したがって、引用発明1は、本願発明1ではなく、また、引用発明1において、相違点2の構成を採用することが容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1ではなく、また、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ 本願発明1と引用発明2との対比
(ア)本願発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「並列化光源」、「レンズアレイ1」及び「照明装置」は、本願発明1の「複数の光源素子」、「レンズアレイのコリメータレンズ部」及び「光源装置」にそれぞれ相当するから、両者は、
「光を同一方向に射出する複数の光源素子と、前記各光源素子からの各射出光を平行光とするレンズアレイと、を含む励起光照射装置と、
を有し、
前記レンズアレイは、直交する一方の軸と他方の軸を有するベース部と、該ベース部に対して光の入射側及び出射側の少なくとも一方に、前記複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメータレンズ部と、
を備える光源装置。」
である点で一致し、下記各点で相違する。
a 本願発明1は、「複数の光源素子から照射された光によって励起され、蛍光発光される蛍光板」を有し、「前記励起光照射装置は、前記複数の光源素子の光を射出する方向が前記蛍光板の法線に対して斜めになるように配置されて」いるのに対して、引用発明2は、このような「蛍光板」を備えていると特定されない点(以下「相違点3」という。)。
b 本願発明1の「レンズアレイ」は、「直交する一方の軸と他方の軸を有するベース部と、該ベース部に対して光の入射側及び出射側の少なくとも一方に」、複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメータレンズ部を備えるものであって、「前記複数のコリメータレンズ部の全てにおけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されており、前記各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記レンズアレイを通過した前記各射出光の方向と、は異なる」のに対して、引用発明2の「レンズアレイ1」は、「各レンズエレメント2、2、…の曲率中心を中心軸に対してシフトさせることで、偏心量が各別に付与され、前記偏心方向については、最左端に位置する第一エレメントについては、その偏心量a1が負値とされ、また、その右側に隣接する第二エレメントの偏心量a2が正値とされ、第三エレメントの偏心量a3が負値、第四エレメントの偏心量a4がほぼゼロとされ、第五乃至第七エレメントについては、第一乃至第三エレメントと同様な偏心傾向をもつようにそれぞれの偏心量が与えられ」る点(以下「相違点4」という。)。
(イ)判断
事案に鑑みて、相違点4から判断する。
引用発明2に関して、引用文献2には「本発明は、並列化光源及びレンズアレイを用いた照明装置において、強度分布の均一化を実現することを課題とする。・・・本発明は、上記した課題を解決するために、レンズアレイを構成する各レンズエレメントについて、その曲率中心をレンズエレメントの中心軸に関して偏心させるか、又は当該偏心の付与と等価な光学的作用を得るために、屈折又は回折による光学素子を、レンズエレメントの曲率中心が当該レンズエレメントの中心軸に関して偏心していないレンズアレイに対して組み合わせた構成を有し、レンズアレイ又はレンズアレイ及び光学素子を透過した並列化光源からの光を、レンズ又はレンズ群によって結像することで当該並列化光源の像を空間的にずらした上で重ね合わせるようにしたものである。・・・従って、本発明によれば、レンズアレイについて偏心を付与するか、あるいはこれと等価な作用を光学素子と偏心なしのレンズアレイとの組み合わせにより実現することで、並列化光源の像をそれぞれ空間的にずらして重ね合わせることによって、均一な強度分布をもった照明光を得ることができる。」(上記「(1)」「イ」「(ア)」段落【0045】ないし【0045】)」と記載されている。
したがって、引用発明2の「レンズアレイ1」が、「各レンズエレメント2、2、…の曲率中心を中心軸に対してシフトさせることで、偏心量が各別に付与され、前記偏心方向については、最左端に位置する第一エレメントについては、その偏心量a1が負値とされ、また、その右側に隣接する第二エレメントの偏心量a2が正値とされ、第三エレメントの偏心量a3が負値、第四エレメントの偏心量a4がほぼゼロとされ、第五乃至第七エレメントについては、第一乃至第三エレメントと同様な偏心傾向をもつようにそれぞれの偏心量が与えられ」ることで、「並列化光源の像をそれぞれ空間的にずらして重ね合わせることによって、均一な強度分布をもった照明光を得る」ものであるから、これを「前記複数のコリメータレンズ部の全てにおけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されており、前記各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記レンズアレイを通過した前記各射出光の方向と、は異なる」ものとすると、上記引用発明の課題を解決できなくなるため、引用発明2においてこのような構成を採用することには阻害要因がある。
したがって、引用発明2は、本願発明1ではなく、また、引用発明2において、相違点4の構成を採用することが容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点3について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2ではなく、また、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ウ 本願発明1と引用発明3との対比
(ア)本願発明1と引用発明3とを対比する。
引用発明3の「複数の発光ダイオードで構成する面光源装置」、「アレイ状レンズ」及び「光源装置」は、本願発明1の「複数の光源素子」、「レンズアレイのコリメータレンズ部」及び「光源装置」にそれぞれ相当するから、両者は、
「光を同一方向に射出する複数の光源素子と、前記各光源素子からの各射出光を平行光とするレンズアレイと、を含む励起光照射装置と、
前記レンズアレイは、前記複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメータレンズ部と、
を備える光源装置。」
である点で一致し、下記各点で相違する。
a 本願発明1は、「複数の光源素子から照射された光によって励起され、蛍光発光される蛍光板」を有し、「前記励起光照射装置は、前記複数の光源素子の光を射出する方向が前記蛍光板の法線に対して斜めになるように配置されて」いるのに対して、引用発明3は、このような「蛍光板」を備えていると特定されない点(以下「相違点5」という。)。
b 本願発明1の「レンズアレイ」は、「直交する一方の軸と他方の軸を有するベース部と、該ベース部に対して光の入射側及び出射側の少なくとも一方に」、複数の光源素子に対応して形成された凸形状の曲面の複数のコリメータレンズ部を備えるものであって、「前記複数のコリメータレンズ部の全てにおけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されており、前記各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記レンズアレイを通過した前記各射出光の方向と、は異なる」のに対して、引用発明3の「アレイ状レンズ」は、「前記アレイ状レンズは固定したまま、光源周辺部の発光ダイオードの取りつけ位置を集光レンズ中心軸方向にずらす事により、集光レンズ周辺部に入射する光の角度を傾けて周辺部から出た光が正しい焦点に結像する様に補正するものであって、前記面光源装置の発光ダイオードの設置間隔を、面光源装置の中心部から周辺部につれて狭くし、前記小型レンズと発光ダイオードの光軸がずれるように設置した」点(以下「相違点6」という。)。
(イ)判断
事案に鑑みて、相違点6から判断する。
引用発明3は、「面光源装置の球面収差を補正すると同時に、前記発光ダイオードから放射した光束を、平行光化し高効率で集光する」ために「アレイ状レンズ」を、「前記アレイ状レンズは固定したまま、光源周辺部の発光ダイオードの取りつけ位置を集光レンズ中心軸方向にずらす事により、集光レンズ周辺部に入射する光の角度を傾けて周辺部から出た光が正しい焦点に結像する様に補正するものであって、前記面光源装置の発光ダイオードの設置間隔を、面光源装置の中心部から周辺部につれて狭くし、前記小型レンズと発光ダイオードの光軸がずれるように設置した」ものであるから、これを「前記複数のコリメータレンズ部の全てにおけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置されており、前記各光源素子からの各射出光の方向と、前記各射出光が前記レンズアレイを通過した前記各射出光の方向と、は異なる」ものとすると、上記引用発明の課題を解決できなくなるため、引用発明3においてこのような構成を採用することには阻害要因がある。
したがって、引用発明3は、本願発明1ではなく、また、引用発明3において、相違点6の構成を採用することが容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点5について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明3ではなく、また、引用発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)小括
したがって、本願発明1は、当業者が引用発明1、引用発明2、あるいは、引用発明3ではなく、また、引用発明1、引用発明2、あるいは、引用発明3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願発明2ないし9は、本願発明1をさらに限定したものであるので、同様に、当業者が引用発明1、2又は3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
[理由1]
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
(1)請求項1は「前記レンズアレイは、前記複数のコリメータレンズ部のうち全て又は一部におけるコリメータレンズ部の各光軸を、該コリメータレンズ部に対応する前記光源素子の光軸に対して前記レンズアレイの一方の軸方向に平行に所定のシフト量だけ同一方向にずれた位置に配置され」(下線は当審が付した。)ることを発明特定事項とする。
上記発明特定事項は、「一部」のコリメータレンズ部の光軸が所定のシフト量だけずれている場合、例えば、1列だけ、あるいは2列だけずれているような、発明の課題が解決出来ない、大半の光を斜め方向に射出できない発明を含むと認められる。
そうすると、発明の詳細な説明の「省スペース化」(段落【0007】)という発明が解決すべき課題が解決できない発明を含むことになる。
よって、上記発明特定事項を含む本願請求項1に係る発明は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
同様の記載を含む請求項9も同様である。
(2)請求項1は「前記励起光照射装置は、前記複数の光源素子の光を射出する方向が前記蛍光板の法線に対して斜めになるように配置されている」ことを発明特定事項とする。
しかしながら、「複数の光源素子の光を射出する方向」と「前記蛍光板の法線」との関係を特定するだけでは、レンズアレイを通過した光についての特定がない。
そうすると、発明の詳細な説明の「省スペース化」(段落【0007】)という発明が解決すべき課題が解決できない発明を含むことになる。
よって、上記発明特定事項を含む本願請求項1に係る発明は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
[理由2]
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
・請求項1には「蛍光板」との記載があるのに対して、請求項5~7には同じ特定事項として、「被照射体」との記載があり、用語が不一致である。
2 当審拒絶理由の判断
(1)平成29年5月24日付け手続補正書によって、本願の請求項1及び9は上記「第2」に示したとおりに補正された。
このことにより、請求項1及び9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
よって、当審拒絶理由の[理由1]は解消した。
(2)平成29年5月24日付け手続補正書によって、本願の請求項5ないし7は上記「第2」に示したとおりに補正された。
このことにより、請求項5ないし7に係る発明は、記載が明確となった。
よって、当審拒絶理由の[理由2]は解消した。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-005367