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特許拒絶査定不服審判

2016-005323

カクテルドラム

審判番号
2016-005323
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-173263
請求日
2016年04月11日
審決日
2017年03月06日
公報発行日
2017年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】星野楽器株式会社
  • 【請求人代理人】恩田 誠
  • 【請求人代理人】恩田 博宣
審判長/審判官
  • 審判長 國分 直樹
  • 審判官 井上 信一
  • 審判官 酒井 朋広
分類
P18 .121-WY (G10D) / P18 .537-WY (G10D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-173263「カクテルドラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 2日出願公開、特開2015- 41054、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は、平成25年8月23日の出願であって、平成27年7月21日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年9月11日付けで手続補正がなされたが、平成28年1月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月11日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされた。 その後、当審の平成29年1月27日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年2月6日付けで手続補正がなされたものである。 第2.本願の特許請求の範囲について 本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成29年2月6日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 下側のドラムヘッドをペダルにより叩打し、上側のドラムヘッドをスティックにより叩打して演奏されるカクテルドラムであって、 ドラムヘッドがシェルの一方の開口端にのみ装着されている第1のドラムと、 前記第1のドラムとは別体であり、ドラムヘッドがシェルの一方の開口端にのみ装着されている第2のドラムと、 前記第1及び第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第1のドラムを前記第2のドラムの上方に支持するための複数のロッドと、 前記第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第2のドラムを縦向きに設置するための複数の脚とを備え、 前記第1のドラムの音色は、前記第2のドラムの音色とは異なり、 前記第1及び第2のドラムは、前記複数のロッドを介し、前記第1のドラムのドラムヘッドを上方に前記第2のドラムのドラムヘッドを下方に向けてそれぞれ設置され、 前記第1のドラムは、前記第2のドラムから上方に離間して設置され、 前記第1のドラムの口径は、前記第2のドラムの口径と異なることを特徴とするカクテルドラム。 【請求項2】 請求項1記載のカクテルドラムにおいて、 前記カクテルドラムは、前記第1のドラムと前記第2のドラムとの間の離間距離を調整可能に構成されていることを特徴とするカクテルドラム。 【請求項3】 請求項2記載のカクテルドラムにおいて、 前記ロッドに対して移動可能に支持され、前記第1のドラムのシェル外周面に固定される第1のブラケットと、 前記ロッドに対して移動可能に支持され、前記第2のドラムのシェル外周面に固定される第2のブラケットと を備えることを特徴とするカクテルドラム。 【請求項4】 請求項3記載のカクテルドラムにおいて、 前記第1及び第2のブラケットは、前記ロッドの軸線と直交する方向に沿った長さをそれぞれ有し、前記第1のブラケットの長さは、前記第2のブラケットの長さと異なることを特徴とするカクテルドラム。 【請求項5】 請求項1~4のうちいずれか一項に記載のカクテルドラムにおいて、 前記第2のドラムを叩打するペダル装置を前記カクテルドラムに連結するための連結機構を備え、 前記連結機構は、前記複数の脚のうち演奏者側に設けられた二本の脚と、前記二本の脚の間を連結すると共に前記ペダル装置が連結される連結部材とを備えていることを特徴とするカクテルドラム。 【請求項6】 請求項3~5のうちいずれか一項に記載のカクテルドラムにおいて、 前記第1のドラム及び第2のドラムとは別の楽器と、 前記別の楽器を前記ロッドに着脱するための取付具と を備えることを特徴とするカクテルドラム。 【請求項7】 請求項6記載のカクテルドラムにおいて、 前記別の楽器は、第3及び第4のドラムのうちの一つであり、 前記第3及び第4のドラムの各口径は、前記第1及び第2のドラムの各口径よりも小さく設定されていることを特徴とするカクテルドラム。 【請求項8】 請求項7記載のカクテルドラムにおいて、 前記第1ドラムは、スネアドラム又はタムであり、 前記第2ドラムは、バスドラムであり、 前記第3ドラムは、スネアドラム又はタムであり、 前記第4ドラムは、スネアドラム又はタムであることを特徴とするカクテルドラム。」 第3.当審の拒絶の理由について 1.当審拒絶理由の概要 当審において平成29年1月27日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。 「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていない。 記 1.請求項1において、「前記第1及び第2のドラムの少なくとも一方のシェル外周面に設けられ、前記第1及び第2のドラムを縦向きに設置するための複数の脚と・・」とあるが、 (a)かかる記載によれば、例えば、上側に配置される第1のドラムのみに複数の脚が設けられてなるものも含まれることになるが、そのようなものは発明の詳細な説明に記載されていない。 (b)また、第1のドラムのみ、または第2のドラムのみに複数の脚が設けられた場合、当該ドラムに対して他方のドラムをどのようにして縦置きに設置するのが不明である。 2.請求項1において、「下側のドラムヘッドをペダルにより叩打し、上側のドラムヘッドをスティックにより叩打して演奏されるカクテルドラムであって、・・・・前記第1及び第2のドラムは、前記第1のドラムのドラムヘッドを上方に前記第2のドラムのドラムヘッドを下方に向けてそれぞれ設置され、」とあるが、第1のドラム及び第2のドラムは、それぞれドラムベッドが片側のみにあるものを前提とするものであるのか、あるいは両側にあってもよいものであるのかが不明瞭である。」 2.当審拒絶理由についての判断 これに対して、平成29年2月6日付け手続補正により特許請求の範囲が補正され、具体的には、 (1)上記「1.(a)(b)」の指摘に対して、請求項1において、複数の脚は「前記第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第2のドラムを縦向きに設置するため」のものであるとする補正がなされるとともに、「前記第1及び第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第1のドラムを前記第2のドラムの上方に支持するための複数のロッド」を備え、第1及び第2のドラムは「前記複数のロッドを介し」て上下に設置されるものであることを明確にする補正がなされた。 (2)上記「2.」の指摘に対して、請求項1において、第1のドラムは「ドラムヘッドがシェルの一方の開口端にのみ装着されている」ものであり、同様に、第2のドラムも「ドラムヘッドがシェルの一方の開口端にのみ装着されている」ものであるとする補正、すなわち、第1のドラム及び第2のドラムは、それぞれドラムベッドが片側のみにあるものであることを明確にする補正がなされた。 したがって上記(1)及び(2)によれば、当審の拒絶理由で指摘した不備な点はすべて解消され、本件出願は、特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしているものと認められる。 第4.原査定の理由について 1.原査定の理由の概要 (進歩性)この出願の請求項1ないし8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.Brad Schlueter,Portable Cool:The DRUM! Guide To Cocktail Kits,DRUM! Magazine,米国,Enter Music Publishing, Inc.,2011年4月29日,[online],[平成27年7月15日検索],URL,http://www.drummagazine.com/gear/post/the-drum-guide-to-cocktail-kits/ 2.特開平11-352957号公報(周知技術を示す文献) 3.米国特許出願公開第2012/0000343号明細書(周知技術を示す文献) 4.特開2008-217035号公報(周知技術を示す文献) 2.原査定の理由についての判断 2-1.本願の請求項1に係る発明について (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された「Brad Schlueter,Portable Cool:The DRUM! Guide To Cocktail Kits,DRUM! Magazine,米国,Enter Music Publishing, Inc.,2011年4月29日,[online],URL,http://www.drummagazine.com/gear/post/the-drum-guide-to-cocktail-kits/」(以下、引用例という。)には、「DRUM WORKSHOP」の「cocktail drum(カクテルドラム)」について、図面(写真)とともに以下の記載がある(なお、当審による仮翻訳文を付記する。下線は当審で付与した。)。 ア.「・・It's very customizable in terms of sizes and finishes and includes four 100 percent maple shells, including a larger-diameter 18" x 16" bass drum for extra bottom, a unique 18" x 8" "woofer tom" that mounts above it, and a 12" x 6" and 12" x 5" tom and snare. It also uses a novel "sidekick" bass drum pedal based on the DW5000 pedal that mounts to the side of the drum but uses a clamp and 90 degree arm to position the beater underneath.・・」 (それ(DWのコレクターシリーズ カクテルキット)は、サイズと仕上げの面で非常にカスタマイズ可能であり、4つの100%のメープルシェルを含み、エキストラボトム用の大口径18”×16”バスドラム、そのバスドラムの上に設置されるユニークな18”×8”「ウーファータム」、および12”×6”タムと12”×5”スネアを含んでいる。それはまた、ドラムの側に設置されるが、下にビーターを配置するためのクランプと90度アームを使用するDW5000ペダルをベースとした、珍しい「サイドキック」バスドラムペダルを使用する。) イ.図面(写真) ・上記引用例に記載の「カクテルドラム」は、上記「ア.」の記載事項、および「イ.」の図面(写真)によれば、縦向きに設置される大口径のバスドラムと、そのバスドラムの上方に離間して設置されるウーファータムを備え、そのバスドラムとウーファータムとは、同径(18インチ)であるが、シェルの中心軸に沿う方向の長さは異なっている(16インチと8インチ)。 ・上記「イ.」の図面(写真)によれば、バスドラムはシェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着され、同様に、ウーファータムもシェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着されていると見てとれ、バスドラムの一方(下側)のドラムヘッドをペダルにより叩打し、ウーファータムの一方(上側)のドラムヘッドをスティックにより叩打して演奏されるものと理解できる。 ・上記「イ.」の図面(写真)によれば、バスドラムのシェル外周面には、当該バスドラムを縦向きに設置するための複数の脚が設けられるとともに、バスドラム及びウーファータムのシェル外周面には、バスドラムの上方にウーファータムを離間して支持するための複数のロッドが設けられている。 したがって、上記記載事項及び図面(写真)を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「縦向きに設置され、シェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着されている大口径のバスドラムと、 前記バスドラムの上方に離間して設置され、シェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着されているウーファータムと、 前記バスドラム及び前記ウーファータムのシェル外周面に設けられ、前記バスドラムの上方に前記ウーファータムを離間して支持するための複数のロッドと、 前記バスドラムのシェル外周面に設けられ、前記バスドラムを縦向きに設置するための複数の脚とを備え、 前記バスドラムと前記ウーファータムとは、同径(18インチ)であるが、シェルの中心軸に沿う方向の長さは異なっており(16インチと8インチ)、 前記バスドラムの下側のドラムヘッドをペダルにより叩打し、前記ウーファータムの上側のドラムヘッドをスティックにより叩打して演奏されるカクテルドラム。」 (2)対比 そこで、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と引用発明とを対比すると、 ア.引用発明における「前記バスドラムの下側のドラムヘッドをペダルにより叩打し、前記ウーファータムの上側のドラムヘッドをスティックにより叩打して演奏されるカクテルドラム。」によれば、 引用発明における、バスドラムの「下側のドラムヘッド」、ウーファータムの「上側のドラムヘッド」、「カクテルドラム」は、それぞれ本願発明1でいう「下側のドラムヘッド」、「上側のドラムヘッド」、「カクテルドラム」に相当するといえ、 本願発明1と引用発明とは、「下側のドラムヘッドをペダルにより叩打し、上側のドラムヘッドをスティックにより叩打して演奏されるカクテルドラム」である点で一致する。 イ.引用発明における「縦向きに設置され、シェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着されている大口径のバスドラムと」によれば、 引用発明における「バスドラム」は、本願発明1でいう「第1のドラム」に相当するとみることができ、 本願発明1と引用発明とは、「ドラムヘッドがシェルの開口端に装着されている第1のドラムと」を備えるものである点で共通する。 ただし、ドラムベッドの装着が、本願発明1では、シェルの「一方の開口端にのみ」であるのに対し、引用発明では、シェルの両開口端である点で相違している。 ウ.引用発明における「前記バスドラムの上方に離間して設置され、シェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着されているウーファータムと」によれば、 引用発明における「ウーファータム」は、本願発明1でいう「第2のドラム」に相当するとみることができ、 引用発明の「ウーファータム」は、バスドラムとは離間して設置されるものであり、当該バスドラムとは別体であることは明らかであるから、 本願発明1と引用発明とは、「前記第1のドラムとは別体であり、ドラムヘッドがシェルの開口端に装着されている第2のドラムと」を備えるものである点で共通する。 ただし、ドラムベッドの装着が、本願発明1では、シェルの「一方の開口端にのみ」であるのに対し、引用発明では、シェルの両開口端である点で相違している。 エ.引用発明における「前記バスドラム及び前記ウーファータムのシェル外周面に設けられ、前記バスドラムの上方に前記ウーファータムを離間して支持するための複数のロッドと」によれば、 引用発明における「複数のロッド」にあっても、バスドラムの上方にウーファータムを離間して支持するためのものであることから、本願発明1でいう「複数のロッド」に相当し、 本願発明1と引用発明とは、「前記第1及び第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第1のドラムを前記第2のドラムの上方に支持するための複数のロッドと」を備えるものである点で一致する。 オ.引用発明における「前記バスドラムのシェル外周面に設けられ、前記バスドラムを縦向きに設置するための複数の脚とを備え」によれば、 引用発明における「複数の脚」にあっても、バスドラムを縦向きに設置するためのものであることから、本願発明1でいう「複数の脚」に相当し、 本願発明1と引用発明とは、「前記第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第2のドラムを縦向きに設置するための複数の脚と」を備えるものである点で一致する。 カ.引用発明における「前記バスドラムと前記ウーファータムとは、同径(18インチ)であるが、シェルの中心軸に沿う方向の長さは異なっており(16インチと8インチ)」によれば、 引用発明にあっても、バスドラムとウーファータムとは、同径であるものの、シェルの中心軸に沿う方向の長さは異なっていることから、当然、バスドラムの音色とウーファータムの音色とは異なるといえ、 本願発明1と引用発明とは、「前記第1のドラムの音色は、前記第2のドラムの音色とは異な」るものである点で一致するということができる。 キ.引用発明における「縦向きに設置され、シェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着されている大口径のバスドラムと、前記バスドラムの上方に離間して設置され、シェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが装着されているウーファータムと、前記バスドラム及び前記ウーファータムのシェル外周面に設けられ、前記バスドラムの上方に前記ウーファータムを離間して支持するための複数のロッドと」によれば、 引用発明の「バスドラム」及び「ウーファータム」にあっても、複数のロッドを介して、バスドラムの上方にウーファータムが設置され、また、バスドラム及びウーファータムはともにシェルの両開口端にそれぞれドラムヘッドが設けられていることから、ウーファータムの一方のドラムヘッドは上方に向いており、バスドラムの一方のドラムベッドは下方に向いているということができ、 本願発明1と引用発明とは、「前記第1及び第2のドラムは、前記複数のロッドを介し、前記第1のドラムのドラムヘッドを上方に前記第2のドラムのドラムヘッドを下方に向けてそれぞれ設置」されるものである点で一致するといえる。 よって、本願発明1と引用発明とは、 「下側のドラムヘッドをペダルにより叩打し、上側のドラムヘッドをスティックにより叩打して演奏されるカクテルドラムであって、 ドラムヘッドがシェルの開口端に装着されている第1のドラムと、 前記第1のドラムとは別体であり、ドラムヘッドがシェルの開口端に装着されている第2のドラムと、 前記第1及び第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第1のドラムを前記第2のドラムの上方に支持するための複数のロッドと、 前記第2のドラムのシェル外周面に設けられ、前記第2のドラムを縦向きに設置するための複数の脚とを備え、 前記第1のドラムの音色は、前記第2のドラムの音色とは異なり、 前記第1及び第2のドラムは、前記複数のロッドを介し、前記第1のドラムのドラムヘッドを上方に前記第2のドラムのドラムヘッドを下方に向けてそれぞれ設置され、 前記第1のドラムは、前記第2のドラムから上方に離間して設置されることを特徴とするカクテルドラム。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 第1のドラムのドラムヘッドと第2のドラムのドラムヘッドについて、本願発明1では、いずれもシェルの「一方の開口端にのみ」装着されている旨特定するのに対し、引用発明では、いずれもシェルの両開口端にそれぞれ装着されている点。 [相違点2] 第1のドラムの口径と第2のドラムの口径の関係について、本願発明1では、「異なる」旨特定するのに対し、引用発明では、同じ(同径)である点。 (3)判断 まず、上記[相違点1]について検討する。 引用例には、ドラムヘッドをシェルの「一方の開口端にのみ」装着することについては記載も示唆もなく、引用発明は、バスドラム及びウーファータムのいずれも、ドラムヘッドがシェルの両開口端にそれぞれ装着されてなるものを前提とするものであるといえ、本願発明1における、第1のドラムと第2のドラムについて、いずれもドラムヘッドがシェルの「一方の開口端にのみ」装着されてなるものであるとする発明特定事項を導き出すことはできない。 また、周知技術を示す文献として原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-352957号公報(特に【請求項1】、段落【0011】~【0012】、図1、図2を参照)や米国特許出願公開第2012/0000343号明細書(特に段落[0014]、[0018]、[0046]、Fig.1A、Fig1Bを参照)には、口径の大きいドラム内に、口径が小さいドラムを収納するという周知の技術事項が記載されているものの、これら口径の大きいドラムは、ドラムヘッドがシェルの両開口端にそれぞれ装着されてなるものを前提とするものであって、その内部に口径が小さいドラムを収納するために、シェルを上下に2分割するようにしたものであり、上記発明特定事項を導き出すことはできない。 なお、周知技術を示す文献として原査定の拒絶の理由に引用された特開2008-217035号公報(図1、図2を参照)についても、フットペダル装置の構成が記載されているにすぎず、上記発明特定事項を導き出すことはできない。 そして、本願発明は、上記発明特定事項を前提とするものであるからこそ、「前記第1のドラムは、前記第2のドラムから上方に離間して設置され、前記第1のドラムの口径は、前記第2のドラムの口径と異なる」という構成を採用し、第1のドラムの音と第2のドラムの音との干渉をより抑制して、「カクテルドラムの機能を損なうことなく、広い音域でのチューニングを可能」にするという格別の効果(明細書の段落【0008】~【0009】、【0024】を参照)を奏するものである。 よって、他の相違点(相違点2)について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2-2.本願の請求項2ないし8に係る発明について 請求項2ないし8に係る発明は、請求項1に従属する請求項であり、請求項2ないし8に係る発明は、本願発明1の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を追加して限定するものであるから、上記「2-1.(3)」と同じ理由により、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 3.原査定の理由についてのむすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1ないし8に係る発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第5.むすび 以上のとおり、当審で通知した拒絶理由、及び原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-005323

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