特許拒絶査定不服審判
2016-004345
画像生成方法、画像生成装置および放射線断層撮影装置並びにプログラム
- 審判番号
- 2016-004345
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-057071外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年03月23日
- 審決日
- 2017年02月22日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
- 【請求人代理人】荒川 聡志
- 分類
- P18 .121-WY (A61B) / P18 .537-WY (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 57071「画像生成方法、画像生成装置および放射線断層撮影装置並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月26日出願公開、特開2013-188355、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月14日を出願日とする出願であって、平成26年5月1日付けで拒絶理由が通知され、同年9月10日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年2月23日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年6月1日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月27日付けで同年6月1日付けの手続補正について却下の決定がなされ、同日付で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。
これに対して、平成28年3月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出され、当審において同年11月9日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年1月19日に意見書及び手続補正書が提出された。
第2 本願発明
本願請求項1-11に係る発明は、平成29年1月19日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「 【請求項1】
放射線源と複数の検出素子がチャネル方向に配列された検出器とを対象の周りに回転させるスキャンにより収集された複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理および補間処理を行うことにより、チャネル方向の間隔が等しい等間隔パラレルビーム投影データを複数のビュー方向について得るデータ変換工程と、
前記得られた等間隔パラレルビーム投影データに対して逆投影処理を行うことにより、画像を再構成する画像再構成工程とを有しており、
前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向の間隔は、前記検出素子のチャネル方向の配列間隔を、前記放射線源および検出器の回転中心を基準にしたときの前記検出器の検出面における投影拡大率で除して成る基準間隔より小さく設定され、
前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向における前記回転中心の近傍の放射線パスの位置は、前記複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理を行って得られる1枚の画像に対応する不等間隔パラレルビーム投影データであって、前記等間隔パラレルビーム投影データと同一のビュー方向についての不等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向における前記回転中心の近傍の放射線パスの位置と重なるように設定され、
前記検出器に投影される前記対象の大きさに関わらず、前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向の間隔は、前記基準間隔のN分の1であり、
前記Nは、2から4の整数のいずれかである画像生成方法。」
第3 原査定の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
引用文献1に記載の「n」は、「1:nの拡大補間演算を行」うものであるから、「n」としてどのような値を設定するかは、当業者が適宜設計的になし得たものである。そして「n」が大きくなればなるほど、「平行ビーム」の間隔は密なものとなっていくことから、そのようにして得られたものと請求項1に記載の「前記回転中心の近傍において実質的に重なる」なる事項との間の構成上の差異は明確でない。
ファンビーム/平行ビーム並べ換え処理において、等間隔のパラレルビーム投影データを計算することは、例えば引用文献2の【0037】に記載されているように慣用技術である。
よって、本願発明は、引用文献1,2の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
<引用文献等一覧>
1.特開昭61-185256号公報
2.特開平11-188030号公報
第3 当審拒絶理由の概要
1 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
引用文献1には、ファンビーム投影データに対して並び替え処理および補間処理を行うデータ変換工程(拡大補間を伴う並べ替え処理、第2頁左上欄第16行~第20行)と、逆投影処理を行うことにより、画像を再構成する画像再構成工程(第2頁右上欄第1行~第5行)とを有しており、前記並び替え処理および補間処理後の投影データのチャネル方向の間隔(平行ビームチャンネル22の間隔。第2図)は、基準間隔(検出器系21の各検出チャネル間の間隔。第2図)より小さく設定され(検出器系21を1:nで拡大補間した場合、平行ビームチャンネル22の間隔は、実質的に、検出器系21の各検出チャネル間の間隔を1/n倍したものといえる。)、前記並び替え処理および補間処理後の投影データのチャネル方向の間隔は、前記基準間隔のN分の1(1/n)であり、前記Nは、2から4のいずれかである(第3頁右上欄第2行~第6行)画像生成方法、が開示されている。
ファンパラ変換において、不等間隔のパラレルビーム投影データを等間隔のパラレルビーム投影データに変換することは、従来周知の技術であり(例えば引用文献2の段落【0037】や引用文献3の【0004】、【0010】を参照)、引用文献1に記載された発明においても、ファンパラ変換を行うにあたって、前記周知技術を採用し、「チャネル方向の間隔が等しい等間隔パラレルビーム投影データ」を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、ファンパラ変換において、等間隔パラレルビーム投影データを得る際に、アイソセンタ(回転中心)の近くでは元のファンビーム投影データを尊重するような演算をすることが従来周知であるから(例えば引用文献3の段落【0010】-【0012】)、引用文献1に記載された発明において、ファンパラ変換に関する上記周知技術を採用し、不等間隔パラレルビーム投影データと、対応する等間隔パラレルビーム投影データの放射線パスが回転中心近傍で重なるようにすること、すなわち、「前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向における前記回転中心の近傍の放射線パスの位置は、前記複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理を行って得られる不等間隔パラレルビーム投影データであって、前記等間隔パラレルビーム投影データと同一のビュー方向についての不等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向における前記回転中心の近傍の放射線パスの位置と重なるように設定」することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2-3に記載された周知技術より、当業者が容易に想到し得たものである。
<引用文献等一覧>
1.特開昭61-185256号公報
2.特開平11-188030号公報
3.特開2012-005757号公報
2 この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項1には、「前記複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理を行って得られる不等間隔パラレルビーム投影データ」と記載されているが、この記載では、「複数ビューのファンビーム投影データ」から1枚の「不等間隔パラレルビーム投影データ」を得ることを意図しているのか、1枚の「ファンビーム投影データ」から1枚の「不等間隔パラレルビーム投影データ」を得ることを「複数ビュー」について行うことを意図しているのかが、不明確である。
請求項4、7、11も同様である。
(2)請求項2には、「前記補間処理の次数」と記載されているが、「補間処理」の具体的な演算内容が特定されていないため、「次数」が何を意図しているのかが不明である。(請求項2において、発明の詳細な説明の段落【0066】の記載のとおり、「補間処理として多次補間を用いる場合」であることを特定すれば、明確となる。)
請求項5、8も同様である。
(3)上記(1)及び(2)で指摘した請求項に従属する請求項も、同様の記載不備を有している。
したがって、本願の請求項1-11に係る発明は、明確でない。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、参考のために当審が付与した。)。
(1) 「1. 被検体にファンビームX線を照射するX線源と、被検体を透過してくるX線を検出する多チャンネル放射線検出器と、多チャンネル放射線検出器の検出信号より得た投影像信号からのデータを逆投影して上記被検体の断面の像を再生する処理手段とより成ると共に、上記投影像信号から拡大補間演算によりファンビーム/平行ビーム並べ換え処理を施し、該データを前記逆投影用データとして使用してなるX線CT画像処理装置。」(第1頁第4行~第12行)
(2) 「〔発明の利用分野〕
本発明は、X線CT装置におけるCT画像処理装置に関する。」(第1頁左欄第14行~第16行)
(3) 「〔発明の目的〕
本発明は、移動のための機構を用いることなく、同様な効果をデータ処理の中で実現させたX線CT装置における画像処理装置を提供することを目的とする。
〔発明の概要〕
本発明は、小さな被検体の断層撮影の際、有効に利用されない内部演算チャンネルを、拡大補間演算によって利用し、良質な画像を再構成させることとした。
〔発明の実施例〕
従来、ファンビーム/平行ビーム並べ換え処理を行っているX線CT装置では、ファンビームから平行ビームへ一対一対応で補間演算を行う。これでは、被検体が、小さくなったとき、有効に利用されない内部演算系チャンネルが生ずる。
そこで、並べ換え処理の補間演算のときに、1:n(nは任意数で、整数である必要性はない)の拡大補間演算を行い、像再構成に寄与しないチャンネルを有効利用すると共に、必要ならば、メモリバッファを増加させ、像再構成を実現する。
拡大補間演算の後、補正フィルタによるコンボリューション演算,或いは周波数領域での補正フィルタ処理を行い、逆投影による像再構成の際に、n:1の縮小再構成演算を実施し、最終的なCT画像を得る。
第2図は、本発明での、X線検出器系から像再構成までのチャンネルの扱い方を示す。検出器系21では、ファンビームの検出を行う。斜線部が像再構成に関与しないチャンネル部を示す。この検出器系21のデータにファンビーム/平行ビーム並べ換え演算の際、拡大補間を行う。この拡大補間は、すべてのチャンネルを有効活用できるような拡大補間である。拡大補間の結果、得られた平行ビームチャンネルを数字22で指示した。この際、必要ならば、メモリバッファを増やし、チャンネル数を拡大率nに見合った量にする。
次に、その全体に対して補正フィルタH(ω)=|ω|によるコンボリューションを施し、補正チャンネル23のデータを得る。これから、拡大補間の際の拡大率に応じた縮小補間によって、逆投影チャンネル24のデータを作り、像再構成を行い、最終的にCT画像を得る。」(第2頁左上欄第10行~左下欄第2行)
(4) 「しかし、nを2,4,6・・・と増加させても、第5図から明らかなように、伝達されるエネルギー増加分は、漸次小さくなるので、実用的には、nは2あるいは4程度までで充分であると思われる。それ以上では、得られるエネルギー増加分の割には、必要とされるメモリ容量が急速に増加するとの面を持ち、実用的でなくなる。」(第3頁右上欄第2行~第8行)
(5) 「第8図はいくつかの角度のファンビーム投影データから、ファンビーム/平行ビーム並べ換え処理によって、平行ビーム投影データを計算する方法を図示したものである。」(第5頁左上欄第5行~第8行)
(6) 図2には、以下の図面が示されている。
(7) 図8には、以下の図面が示されている。
2 引用文献1の記載事項の整理
(1) 上記1(1)より、「X線CT画像処理装置」が行うX線CT画像処理方法は、「X線源」により「被検体にファンビームX線を照射する」工程と、「多チャンネル放射線検出器」により「被検体を透過してくるX線を検出する」工程と、「処理手段」により「多チャンネル放射線検出器の検出信号より得た投影像信号からのデータを逆投影して上記被検体の断面の像を再生する」工程と、「上記投影像信号から拡大補間演算によりファンビーム/平行ビーム並べ換え処理を施し、該データを前記逆投影用データとして使用」する工程とを有するものであることが理解できる。
3 引用発明の認定
上記1の記載事項及び上記2で整理した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「X線CT画像処理方法であって、
X線源により被検体にファンビームX線を照射する工程と、多チャンネル放射線検出器により被検体を透過してくるX線を検出する工程と、処理手段により多チャンネル放射線検出器の検出信号より得た投影像信号からのデータを逆投影して上記被検体の断面の像を再生する工程と、上記投影像信号から拡大補間演算によりファンビーム/平行ビーム並べ換え処理を施し、該データを前記逆投影用データとして使用する工程とを有し、
いくつかの角度のファンビーム投影データから、ファンビーム/平行ビーム並べ換え処理によって、平行ビーム投影データを計算するものであり、並べ換え処理の補間演算のときに、1:n(nは任意数で、整数である必要性はない)の拡大補間演算を行い、像再構成に寄与しないチャンネルを有効利用し、拡大補間演算の後、補正フィルタによるコンボリューション演算,或いは周波数領域での補正フィルタ処理を行い、逆投影による像再構成の際に、n:1の縮小再構成演算を実施し、最終的なCT画像を得るものであり、nは2あるいは4程度であり、
X線検出器系から像再構成までのチャンネルの扱いは、検出器系21では、ファンビームの検出を行い、拡大補間の結果、平行ビームチャンネル22が得られ、その全体に対して補正フィルタH(ω)=|ω|によるコンボリューションを施し、補正チャンネル23のデータを得て、拡大補間の際の拡大率に応じた縮小補間によって、逆投影チャンネル24のデータを作り、像再構成を行い、最終的にCT画像を得る、
X線CT画像処理方法。」
第5 原査定及び当審拒絶理由の1についての判断
原査定と当審拒絶理由の1は、当審拒絶理由の1では引用文献3を周知文献として追加した点で異なるが、主引例となる引用文献1は共通であり、周知文献としての引用文献2も共通であるため、まとめて判断する。
1 本願発明について
(1) 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「X線源」は、本願発明の「放射線源」に相当し、引用発明の「多チャンネル放射線検出器」は、上記第4の1(6)及び(7)も参酌すると、本願発明の「複数の検出素子がチャネル方向に配列された検出器」に相当することが明らかである。
また、引用発明の「いくつかの角度のファンビーム投影データ」、「ファンビーム/平行ビーム並べ換え処理」及び「拡大補間演算」は、本願発明の「複数ビューのファンビーム投影データ」、「並び替え処理」及び「補間処理」に相当し、引用発明の「拡大補間演算」を用いて「ファンビーム/平行ビーム並べ換え処理を施」すことで「逆投影用データ」を得ることとと、本願発明の「並び替え処理および補間処理を行うことにより、チャネル方向の間隔が等しい等間隔パラレルビーム投影データ」を得ることとは、「並び替え処理および補間処理を行うことによりパラレルビーム投影データ」を得るという点で共通する。
そして、引用発明は、「逆投影用データ」から「被検体の断面の像を再生する」ものであるから、当該「逆投影用データ」が複数ビューで得られるものであることが明らかである。
したがって、引用発明の「X線源」と「多チャンネル放射線検出器」により「X線を検出」し、「いくつかの角度のファンビーム投影データ」に対して「拡大補間演算」を用いて「ファンビーム/平行ビーム並べ換え処理を施」すことで、「平行ビーム投影データを計算」し、「逆投影用データ」を得ることと、本願発明の「放射線源と複数の検出素子がチャネル方向に配列された検出器とを対象の周りに回転させるスキャンにより収集された複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理および補間処理を行うことにより、チャネル方向の間隔が等しい等間隔パラレルビーム投影データを複数のビュー方向について得るデータ変換工程」とは、「放射線源と複数の検出素子がチャネル方向に配列された検出器とにより収集された複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理および補間処理を行うことにより、パラレルビーム投影データを複数のビュー方向について得るデータ変換工程」という点で共通する。
イ 引用発明の「投影像信号からのデータを逆投影して上記被検体の断面の像を再生する工程」と、本願発明の「前記得られた等間隔パラレルビーム投影データに対して逆投影処理を行うことにより、画像を再構成する画像再構成工程」とは、「前記パラレルビーム投影データに対して逆投影処理を行うことにより、画像を再構成する画像再構成工程」という点で共通する。
ウ 引用発明の「多チャンネル放射線検出器」である「検出器系21」の「チャンネル」の物理間隔が、本願発明の「基準間隔」に相当する。
そして、引用発明の「並べ換え処理」は、「1:n」の「拡大補間演算」を行うものであって、「nは2あるいは4程度」であるから、当該「拡大補間演算」を行って得られた演算チャンネルである「平行ビームチャンネル22」の間隔は、「検出器系21」が有する各「チャンネル」の物理間隔に対して、1/nに小さく設定されるものといえる。
したがって、引用発明の「ファンビーム投影データ」に対して「拡大補間演算」を行って得られた「平行ビームチャンネル22」の間隔が、「多チャンネル放射線検出器」が有する各「チャンネル」の物理間隔に対して、1/nに小さく設定されることと、本願発明の「前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向の間隔は、前記検出素子のチャネル方向の配列間隔を、前記放射線源および検出器の回転中心を基準にしたときの前記検出器の検出面における投影拡大率で除して成る基準間隔より小さく設定され」ることとは、「前記投影データのチャネル方向の間隔は、基準間隔より小さく設定され」る点で共通する。
エ 引用発明の「拡大補間演算」を行って得られた「平行ビームチャンネル22」の間隔が、「多チャンネル放射線検出器」が有する各「チャンネル」の物理間隔に対して、1/nに小さく設定され、「nは2あるいは4程度」であることと、本願発明の「前記検出器に投影される前記対象の大きさに関わらず、前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向の間隔は、前記基準間隔のN分の1であり、前記Nは、2から4の整数のいずれかである」こととは、「前記投影データのチャネル方向の間隔は、前記基準間隔のN分の1であり、前記Nは、2から4のいずれかである」という点で共通する。
オ 引用発明の「被検体の断面の像を再生する」「X線CT画像処理方法」は、本願発明の「画像生成方法」に相当する。
カ したがって、本願発明と引用発明とは、
(一致点)
「放射線源と複数の検出素子がチャネル方向に配列された検出器とにより収集された複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理および補間処理を行うことにより、パラレルビーム投影データを複数のビュー方向について得るデータ変換工程と、
前記パラレルビーム投影データに対して逆投影処理を行うことにより、画像を再構成する画像再構成工程とを有しており、
前記投影データのチャネル方向の間隔は、基準間隔より小さく設定され、
前記投影データのチャネル方向の間隔は、前記基準間隔のN分の1であり、
前記Nは、2から4のいずれかである画像生成方法。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
「放射線源と複数の検出素子がチャネル方向に配列された検出器」を用いて「複数ビューのファンビーム投影データ」を「収集」することについて、本願発明は、放射線源と複数の検出素子がチャネル方向に配列された検出器を「対象の周りに回転させるスキャン」を行うものであるのに対して、引用発明はそのような構成を有するか不明である点。
(相違点2)
「データ変換工程」で得られる「パラレルビーム投影データ」について、本願発明は、「チャネル方向の間隔が等しい等間隔」パラレルビーム投影データであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。
(相違点3)
「並び替え処理および補間処理」後の投影データのチャネル方向の間隔について、本願発明は、「前記検出素子のチャネル方向の配列間隔を、前記放射線源および検出器の回転中心を基準にしたときの前記検出器の検出面における投影拡大率で除して成る基準間隔より小さく設定され」ており、「前記検出器に投影される前記対象の大きさに関わらず、前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向の間隔は、前記基準間隔のN分の1であり、前記Nは、2から4の整数のいずれかである」のに対して、引用発明は、そのような構成を有しない点。
(相違点4)
本願発明は、「前記等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向における前記回転中心の近傍の放射線パスの位置は、前記複数ビューのファンビーム投影データに対して並び替え処理を行って得られる1枚の画像に対応する不等間隔パラレルビーム投影データであって、前記等間隔パラレルビーム投影データと同一のビュー方向についての不等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向における前記回転中心の近傍の放射線パスの位置と重なるように設定され」ているのに対して、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。
(2) 判断
上記(相違点3)を検討する。
引用発明は、検出器において有効に利用されない内部演算系チャンネルを利用するためにn倍の拡大補間を行うものであって、検出器に投影される対象の大きさに依存して投影データの大きさが変化すると、それに応じて拡大補間の倍率nも変化するものであるから、上記(相違点3)のように、「検出器に投影される対象の大きさに関わらず」等間隔パラレルビーム投影データのチャネル方向の間隔が基準間隔のN分の1となるデータ変換を行うものではない。
また、引用文献2の段落【0037】や引用文献3の段落【0004】、【0010】には、ファンパラ変換において、不等間隔のパラレルビーム投影データを等間隔のパラレルビーム投影データに変換することは記載されているが、上記(相違点3)に関する構成は記載されておらず、引用発明において、引用文献2-3に記載された技術を採用しても、上記(相違点3)に関する構成とはならない。
(3) 小括
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
2 本願請求項2-11に係る発明について
本願請求項2-3に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるから、本願発明と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願請求項4に係る発明は、本願発明のカテゴリーを装置に変更したものであって、上記1(2)の判断と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえず、本願請求項5-6に係る発明は、本願請求項4に係る発明をさらに限定したものであるから、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願請求項7に係る発明は、本願請求項4に係る発明を「放射線断層撮影装置」として表現したものであって、本願請求項4に係る発明と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえず、本願請求項8-10に係る発明は、本願請求項7に係る発明をさらに限定したものであるから、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、本願請求項11に係る発明は、本願発明のカテゴリーをプログラムに変更したものであって、上記1(2)の判断と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定及び当審拒絶理由の1によっては、本願を拒絶することはできない。
第6 当審拒絶理由の2について
平成29年1月19日付けの手続補正書によって、請求項1、4、7、11において、「1枚の画像に対応する不等間隔パラレルビーム投影データ」であることが特定され、請求項2、5、8において、「前記補間処理として多次補間を用い」ることが特定された。
したがって、当審拒絶理由の2は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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