特許拒絶査定不服審判
2016-001548
測定プログラムおよび測定装置
- 審判番号
- 2016-001548
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-101036外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月03日
- 審決日
- 2017年10月12日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G01N) / P18 .113-WY (G01N) / P18 .537-WY (G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-101036「測定プログラムおよび測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月 7日出願公開、特開2013-228305、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年4月26日の出願であって、平成27年3月30日付けで拒絶理由が通知され、同年6月8日付けで意見書が提出されたが、同年10月23日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、平成28年2月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後当審において平成29年5月18日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年7月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1:国際公開第2011/117952号
引用文献2:特開2007-107932号公報
引用文献3:国際公開第2009/006696号
引用文献4:特開2003-262588号公報
引用文献5:特開2008-165198号公報(周知例)
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1 本願の請求項2に係る発明及び請求項2を直接又は間接的に引用して特定される請求項3ないし8に係る発明は明確でないから、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2 本願の請求項8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるか、当該発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、あるいは、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 本願の請求項2に係る発明及び請求項2を直接又は間接的に引用して特定される請求項3ないし8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献A:国際公開第2011/117952号(原査定の引用文献1)
引用文献B:特表2001-508171号公報(周知例)
引用文献C:特開平1-126779号公報(周知例)
第4 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれの発明を「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成29年7月20日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。
「 【請求項1】
測定対象の液体中に含まれている発光あるいは蛍光物質から発生した光あるいは測定対象の液体中に含まれている放射線を測定する一連の処理をコンピュータに実行させるための測定プログラムであって、
前記測定対象の液体を収容するために設けられた容器の流路に関する画像の輪郭を強調して輪郭強調画像を出力する輪郭強調工程と、
その輪郭強調工程で輪郭が強調された前記輪郭強調画像、および前記容器の設計情報に基づいて、画像の歪みに関する歪み補正物理量を算出する歪み算出工程と、
その歪み算出工程で算出された前記歪み補正物理量に基づいて、画像の歪みを補正する画像歪み補正工程と、
その画像歪み補正工程で歪みが補正された画像に基づいて、前記光あるいは放射線の情報を算出する情報算出工程と
を備えることを特徴とする測定プログラム。」
なお、本願発明2ないし6は、本願発明1を減縮した測定プログラムに係る発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定で引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。)。
(引1-ア) [請求項1]
「 測定対象の液体中に含まれている発光あるいは蛍光物質から発生した光あるいは測定対象の液体中に含まれている放射線を測定する測定システムであって、前記測定対象の液体を分離する分離手段と、その分離手段で分離された液体を撮像する撮像手段と、その撮像手段で撮像された前記分離された液体の境界を求める境界算出手段とを備え、その境界算出手段で区分された液体の領域での前記光あるいは前記放射線をそれぞれ測定することを特徴とする測定システム。」
(引1-イ) [請求項6]
「 請求項1から請求項5のいずれかに記載の測定システムにおいて、前記撮像手段によって撮像された前記分離手段での分離された液体における画像の濃淡差に基づいて、前記境界算出手段は前記境界を求めることを特徴とする測定システム。」
(引1-ウ) [請求項7]
「 請求項6に記載の測定システムにおいて、前記撮像手段によって撮像された前記分離手段での分離された液体における画像の濃淡差を輪郭として強調する輪郭強調手段を備え、前記境界算出手段は、前記輪郭強調手段で強調された前記輪郭の画像に基づいて前記境界を求めることを特徴とする測定システム。」
(引1-エ) [請求項15]
「 請求項1から請求項14のいずれかに記載の測定システムにおいて、前記測定対象の液体に含まれている前記光あるいは放射線を2次元的に同時検出して光あるいは放射線の2次元画像情報を求める検出手段と、前記撮像手段によって撮像された前記分離手段での分離された液体における画像と、前記検出手段で得られた2次元画像情報の分布像とを重ね合わせて重畳処理を行う重畳処理手段を備え、前記境界算出手段で区分された液体の領域とそれに重畳された前記分布像における領域とに基づいて当該領域での光あるいは放射線の情報を求めることを特徴とする測定システム。」
(2)(引1-ア)ないし(引1-エ)の記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 測定対象の液体中に含まれている発光あるいは蛍光物質から発生した光あるいは測定対象の液体中に含まれている放射線を測定する測定システムであって、
前記測定対象の液体を分離する分離手段と、
その分離手段で分離された液体を撮像する撮像手段と、
画像の濃淡差を輪郭として強調する輪郭強調手段と、
強調された輪郭を前記分離された液体の境界として求める境界算出手段と、
前記測定対象の液体に含まれている前記光あるいは放射線を2次元的に同時検出して光あるいは放射線の2次元画像情報を求める検出手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記分離手段での分離された液体における画像と、前記検出手段で得られた2次元画像情報の分布像とを重ね合わせて重畳処理を行う重畳処理手段とを備え、
前記境界算出手段で区分された液体の領域とそれに重畳された前記分布像における領域とに基づいて当該領域での光あるいは放射線の情報を求める測定システム。 」
2 引用文献2ないし4について
(1)原査定で引用された引用文献2には、段落【0024】の記載からみて、「レンズに起因する光学画像データに包含される歪みを補正するために、事前に歪みの特性を調べて補正に必要なパラメータを求めて記録しておく」という技術的事項が記載されている。
(2)原査定で引用された引用文献3には、第6頁28行~第7頁4行の記載からみて、「異なる撮像システムで取得した画像間の位置、向き又は解像度に関する差を補償する」という技術的事項が記載されている。
(3)原査定で引用された引用文献4には、段落【0070】の記載からみて、「使用する撮像光学系に特有な収差に起因する画像の位置ずれをあらかじめ記憶しておき、それに基づいて撮像位置等を補正する」という技術的事項が記載されている。
3 引用文献5、B及びCについて
(1)原査定で周知例として引用された引用文献5には、【請求項1】、段落【0016】ないし【0018】の記載からみて、「レチクルのパターン検査において、設計データから作成した参照画像を用いて、検査対象の光学画像を補正する」という技術的事項が記載されている。
(2)当審拒理で周知例として引用された引用文献Bには、第11頁4~18行の記載からみて、「一定間隔で配置された孔を有するプレートの画像を取得し、画像における孔の位置と実際のプレートにおける孔の位置との比較から、撮像により生じる形状歪みの補正に使用する補正マップを決定する」という技術的事項が記載されている。
(3)当審拒理で周知例として引用された引用文献Cには、第3頁左下欄13行~右下欄5行の記載からみて、「規則的なパターンの撮像画像から撮像により生じる空間的歪みを把握し、後に得られる画像を補正する」という技術的事項が記載されている。
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、両者の間には、次の一致点及び相違点がある。
(一致点)
「 測定対象の液体中に含まれている発光あるいは蛍光物質から発生した光あるいは測定対象の液体中に含まれている放射線を測定する一連の処理を実行する技術であって、
前記測定対象の液体に関する画像の輪郭を強調して輪郭強調画像を出力する輪郭強調処理と、
前記輪郭強調画像に基づいて、前記光あるいは放射線の情報を算出する情報算出処理と
を備える技術。」
(相違点)
(相違点1)
本願発明1は、「コンピュータに実行させるための測定プログラム」であるのに対し、引用発明は、「測定システム」である点。
(相違点2)
輪郭強調処理において輪郭を強調する液体に関する画像が、本願発明1においては、「液体を収容するために設けられた容器の流路に関する画像」であるのに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。
(相違点3)
情報算出処理に用いる輪郭強調画像が、本願発明1においては、「輪郭強調処理で輪郭が強調された前記輪郭強調画像、および前記容器の設計情報に基づいて、画像の歪みに関する歪み補正物理量を算出」し、「算出された前記歪み補正物理量に基づいて、画像の歪みを補正」した「輪郭強調画像」であるのに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。
相違点3に係る本件発明1の構成のように、画像診断・分析において、検査に用いる容器の画像及び前記容器の設計情報に基づいて、画像の歪みに関する歪み補正物理量を算出し、算出された前記歪み補正物理量に基づいて、画像の歪みを補正することは、上記引用文献2ないし5、B及びCには記載されておらず、本願出願時において周知技術であるともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明並びに引用文献2ないし5、B及びCに記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6は、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項に対して、更に限定を加えた工程を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明並びに引用文献2ないし5、B及びCに記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定についての判断
上記第6で説示したとおり、本願発明1ないし6は、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
よって、原査定を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由について
平成29年7月20日になされた手続補正により、当審拒絶理由の対象とされた補正前の請求項2及び8は削除された。
よって、当審拒絶理由で通知した拒絶の理由は解消した。
第9 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審で通知した拒絶の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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