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特許無効審判

2015-800104

ペット用ガムの製造方法

審判番号
2015-800104
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2013-248323
登録番号
特許第5486728号(P5486728)
請求日
2015年04月02日
審決日
2016年12月13日
公報発行日
2017年04月28日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】ドギーマンハヤシ 株式会社
  • 【請求人代理人】仲 晃一
  • 【請求人代理人】森貞 好昭
  • 【請求人代理人】秦 周平
  • 【被請求人】株式会社 ヤマヒサ
  • 【被請求人代理人】倉内 義朗
  • 【被請求人代理人】宇治 美知子
審判長/審判官
  • 審判長 中田 誠
  • 審判官 住田 秀弘
  • 審判官 赤木 啓二
分類
P1113.121-ZDA(A23K) / P1113.537-ZDA(A23K) / P1113.851-ZDA(A23K) / P1113.853-ZDA(A23K) / P1113.841-ZDA(A23K) / P1113.854-ZDA(A23K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第1項、特許法第134条の2第9項、特許法第135条、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第123条第1項第2号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第5486728号発明「ペット用ガムの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第5486728号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-3について」)訂正することを認める。 特許第5486728号の請求項3に係る発明についての特許を無効とする。 特許第5486728号の請求項1,2についての本件審判の請求を却下する。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件無効審判の請求に係る特許第5486728号(以下「本件特許」という。)の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 平成25年11月29日 本件出願(特願2013-248323) 平成26年 2月28日 設定登録(特許第5486728号) 平成27年 4月 2日 本件無効審判請求 平成27年 5月22日 審判請求書の手続補正書提出 平成27年 8月 7日 審判事件答弁書、訂正請求書提出 平成27年 9月15日 審判事件弁駁書提出 平成27年10月27日 審理事項通知(10月29日発送) 平成27年11月20日 請求人より口頭審理陳述要領書提出 平成27年12月 2日 被請求人より口頭審理陳述要領書提出 平成27年12月18日 口頭審理 平成27年12月24日 請求人より上申書提出 平成28年 1月15日 請求人より上申書(2)提出 平成28年 3月 4日 請求人より上申書(3)提出 平成28年 3月 4日 被請求人より上申書提出 平成28年 6月15日 審決予告(6月20日発送) 平成28年 8月 5日 被請求人より訂正請求書提出 平成28年 9月27日 請求人より審判事件弁駁書(2)提出 平成28年10月 5日 審尋(請求人・10月7日発送) 平成28年11月 4日 請求人より回答書提出 平成28年11月15日 請求人より手続補正書(回答書)差出 平成28年11月25日 補正許否の決定(11月29日発送) 平成28年11月25日 審理終結通知(11月29日発送) 第2 訂正請求について 1 訂正請求の内容 本件無効審判事件の被請求人より平成28年8月5日に提出された訂正請求(以下「本件訂正」という。)は,本件特許の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3に訂正することを求めるものであって、次の事項を訂正内容とするものである。(下線は訂正箇所を示す。) なお、本件訂正が請求されたことにより、平成27年8月7日付け訂正請求は、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の【請求項1】を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の【請求項2】を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の【請求項3】を 「少なくとも澱粉と牛皮とを含み、前記澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され、前記牛皮の配合率が5%から50%である原料を攪拌混合する工程と、 前記攪拌混合された原料を二軸エクストルーダーを用いて加熱しながら攪拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程と、 前記混合物を成形する工程とを含み、 前記二軸エクストルーダーは、複数のバレルを有しており、各バレルにおいて異なる温度条件で原料を加熱し、この各バレルでの温度条件が、90℃から100℃、135℃から155℃、70℃から90℃、60℃から80℃であって、前記二軸エクストルーダーから押し出された時の混合物の温度が60℃であることを特徴とするペット用ガムの製造方法。」に訂正する。 (4)訂正事項4 明細書の【発明の名称】の記載を 「【発明の名称】ペット用ガムの製造方法」に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の【0001】の記載を 「【0001】 本発明は、ペットにおやつとして与えるペット用ガムの製造方法に関する。」 (6)訂正事項6 明細書の【0011】、【0012】、【0013】、【0014】,【0015】,【0016】を削除する。 (7)訂正事項7 明細書の【0017】の記載を 「【0017】 本発明のペット用ガムの製造方法は、少なくとも澱粉と牛皮とを含み、前記澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され、前記牛皮の配合率が5%から50%である原料を攪拌混合する工程と、前記攪拌混合された原料を二軸エクストルーダーを用いて加熱しながら攪拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程と、前記混合物を成形する工程とを含み、前記二軸エクストルーダーは、複数のバレルを有しており、各バレルにおいて異なる温度条件で原料を加熱し、この各バレルでの温度条件が、90℃から100℃、135℃から155℃、70℃から90℃、60℃から80℃であって、前記二軸エクストルーダーから押し出された時の混合物の温度が60℃であることを特徴としている。」に訂正する。 2 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項1は、本件特許の明細書に記載された事項の範囲内においてしたものであって、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、本件特許の明細書に記載された事項の範囲内においてしたものであって、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「澱粉」及び「牛皮」について、「コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され」ること、及び「配合率が5%から50%である」ことに、それぞれ限定し、同じく「原料を加熱しながら撹拌」することについて、「二軸エクストルーダ-を用い」ることに限定した上で、さらに、「前記二軸エクストルーダーは、複数のバレルを有しており、各バレルにおいて異なる温度条件で原料を加熱し、この各バレルでの温度条件が、90℃から100℃、135℃から155℃、70℃から90℃、60℃から80℃であって、前記二軸エクストルーダーから押し出された時の混合物の温度が60℃である」ことに限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項について 本件特許の明細書の発明の詳細な説明に、「【0024】本ガムにおいて、澱粉は主原料として用いられるものであり、配合率は10~85%とすることが好ましい。澱粉は、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉などが挙げられ、ペットの嗜好性の高い種類を用いることができる。」、「【0025】牛皮の配合率は5~85%の範囲で設定することが好ましく、牛皮の配合率を減らしながら、硬さや形状の安定した製品を作ることができる。また、本ガムにおいて、牛皮の配合率は原料全体に対して50%以下の低い配合率とすることができる。牛皮の配合率は、本ガムの成形性や硬さにも影響を与える。」、「【0030】ホッパー10で混合される原料は、エクストルーダー11に所定量ずつ搬送され、加熱・成形・押し出し等の加工を受ける(ステップS3)。エクストルーダー11は、一軸または二軸の攪拌混合手段と加熱手段とを有し、混合原料に対して加圧及び加熱することで、均一に加熱溶解することができる装置である。」、「【0036】エクストルーダー11から押し出し成形された混合物、またはさらに二次成形が加えられた混合物は、冷却装置12によって一次冷却される(ステップS5)。エクストルーダー11から押し出された時の混合物の温度は約60℃~80℃であるが、この一次冷却によって30℃~40℃まで冷却される。」と記載され、また、【表2】の「項目」の項の「C2 バレル温度(℃)」、「C5 バレル温度(℃)」、「C6 バレル温度(℃)」及び「C7 バレル温度(℃)」に対し、「運転範囲」の項に、それぞれ「90~100」、「135~155」、「70~80」及び「60~80」と記載されていることからみて、訂正事項3は、本件特許の明細書に記載された事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更について 本件訂正事項3は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4~7について 訂正事項4~7は、上記訂正事項1~3に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との記載の整合を図るものである。 したがって、訂正事項4~7は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、訂正事項4~7は、本件特許の明細書に記載された事項の範囲内においてしたものであって、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (5)本件訂正に対する請求人の主張について ア 請求人は、本件訂正について、 「明細書の【0032】には、『C2~C8の7つのバレルを有し、各バレルでの温度条件が以下の表2に示されるもの全てを満たすエクストルーダー11』が一例として挙げられているだけであり、本件特許発明に係るペット用ガムの製造にとって、いずれのバレルが必須であるのか、また、いずれのバレルの温度条件が特に適しているのか等の基準については、明細書に開示も示唆もない。 そうであるにも関わらず、被請求人は、表2のうちのC2(90~100℃)、C5(135~155℃)、C6(70~90℃)及びC7(60~80℃)のバレルでの温度条件が、何らの根拠も無く本件特許発明に係るペット用ガムの製造に特に適しているとして、新たな構成としてそれぞれ請求項3及び明細書の【0017】に追加している(訂正事項3及び7)。 およそ、食品や化学材料等の組成物の製造方法の発明にあっては、その製造方法において連続する各工程や各工程における諸条件が最終的に得られる物(最終生成物)に大きく影響するところ、一例として挙げられている『C2~C8の7つのバレルを有し、各バレルでの温度条件が以下の表2で示されるもの全てを満たすエクストルーダー11』という一纏りの構成のうちの一部を、しかも、いずれのバレルが必須であるのか、また、いずれのバレルの温度条件が特に適しているのか等の基準について明細書に開示も示唆も無いにも関わらず、特に適しているとして任意に組み合わせて抽出して上位概念化することは、本件特許発明に係る製造方法に新たな技術的事項を導入していると言うべきであり、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正とは到底言えない。」(審判事件弁駁書5頁17行~6頁8行)、と主張する。 イ しかしながら、明細書の【表2】に記載されたC2~C8のバレルの温度条件について、明細書には、「一例として」と記載され、上記各バレルの温度条件とするべき理由が記載されていないことからみて、上記バレルそれぞれの温度条件は、特に優先性や必須かどうかの条件を備えるものではない。 そうすると、上記8つのバレルのうち4つのバレルの温度条件を選択したとしても、新たな作用効果を生み出すものではないから、当該4つのバレルの温度条件を発明特定事項としたことが、新規事項の追加に当たるとは認められない。 よって、請求人の主張は採用することができない。 (6)まとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号または第3号に掲げる事項を目的とし、同法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。 第3 本件特許発明 本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件特許の請求項3に係る発明(以下「本件発明」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。(なお、本件特許の請求項1及び請求項2は、本件訂正により削除された。) 「【請求項3】 少なくとも澱粉と牛皮とを含み、前記澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され、前記牛皮の配合率が5%から50%である原料を攪拌混合する工程と、 前記攪拌混合された原料を二軸エクストルーダーを用いて加熱しながら攪拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程と、 前記混合物を成形する工程とを含み、 前記二軸エクストルーダーは、複数のバレルを有しており、各バレルにおいて異なる温度条件で原料を加熱し、この各バレルでの温度条件が、90℃から100℃、135℃から155℃、70℃から90℃、60℃から80℃であって、前記二軸エクストルーダーから押し出された時の混合物の温度が60℃であることを特徴とするペット用ガムの製造方法。」 第4 当事者の主張 1 請求人の主張の概要、及び証拠方法 請求人は、特許第5486728号の特許を無効とする、審判費用は被請求人らの負担とする、との審決を求め、証拠方法として甲第1号証の1ないし3、甲第5号証ないし甲第13号証を提示し、以下の主張を行った。(甲第2号証の1ないし甲第4号証、及びこれらの証拠に基づく主張は取り下げられた。) [無効理由] (1)本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、甲第1号証の1に記載された発明、甲第1号証の1ないし3で示された公然実施された発明、甲第5号証に記載された発明、甲第6号証に記載された発明、及び甲第7号証で示された公然実施された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、その特許は、同法第123条第1項第2項に該当し、無効とすべきものである。 (2)本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。したがって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。 (第1回口頭審理調書参照。) [具体的理由] (1)進歩性の欠如 ア 仮に上記訂正が認められることを前提としても、上記訂正後の本件特許の請求項3によって特定される発明(以下、「本件発明」という。)は、当業者が容易に想到することができたものである。 (弁駁書(2)6頁下から4~2行) イ 対比 本件発明と上記訂正後の甲第1号証の1ないし3で示した公然実施された発明(以下、「公然実施発明」という。)とを対比する。 平成28年6月15日付け「審決の予告」の第35頁、下から第5行目~第36頁第3行目において認定されているように、公然実施発明は、「少なくとも澱粉と牛皮とを原料に含み、牛皮と牛皮以外の原料を混合して加熱することにより牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物の成形体である犬用ガム。」であるから、公然実施発明の犬用ガムを製造する際には、原料を撹拌混合する工程や、当該原料を加熱しながら撹拌する工程を備えることは明らかである。 本件発明と公然実施発明とは、以下の一致点及び相違点を有している。 (ア)一致点 少なくとも澱粉と牛皮とを含み、原料を撹拌混合する工程と、 上記撹拌された原料を加熱しながら撹拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程と、 上記混合物を成形する工程を含むペット用ガムの製造方法 (イ)相違点 ・相違点1 澱粉が、本件発明は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成されるのに対し、公然実施発明は、そのような特定が無い点。 ・相違点2 牛皮の配合率が、本件発明は、5~50%であるのに対し、公然実施発明は、そのような特定が無い点。 ・相違点3 加熱撹拌が、本件発明は、二軸エクストルーダーを用いるのに対し、公然実施発明は、そのような特定が無い点。 ・相違点4 二軸エクストルーダーが、本件発明は、複数のバレルを有しており、各バレルにおいて異なる温度条件で原料を加熱し、この各バレルでの温度条件が、90℃から100℃、135℃から155℃、70℃から90℃、60℃から80℃であって、前記二軸エクストルーダーから押し出された時の混合物の温度が約60℃であるのに対し、公然実施発明は、そのような特定が無い点。 (弁駁書(2)6頁末行~8頁5行) ウ 相違点の判断 (ア)相違点1及び2 「審決の予告」の第33頁、下から第10行目~第15行目において認定されているように、当業者が容易に想到し得るものである。 (イ)相違点3 エクストルーダーが用いられることは、被請求人が平成28年3月4日付け上申書の第3頁第1行目~第6行目において述べているように、本件発明の出願日前から周知の手段に過ぎない。 なお、ペット用スナック(ペットフード)の製造に押し出し成形法や二軸エクストルージョン法が用いられることは、例えば甲第5号証の第55頁、下から第5行目以降にも開示されている。 したがって、相違点3も当業者が容易に想到し得るものである。 (ウ)相違点4 a まず、複数のバレルを有する二軸エクストルーダーは本件発明の出願日前から周知の手段に過ぎない(例えば特開2008-136447号公報)。 また、各バレルの温度条件を、90℃から100℃、135℃から155℃、70℃から90℃、60℃から80℃とし、二軸エクストルーダーから押し出された特の混合物の温度を60℃とする点は、例えば甲第8号証の【0061】において加熱温度を次第に上昇させてから下降させる条件が開示されていることからも、本件発明の出願時における技術常識を有し、研究開発のための通常の技術的手段を用いることができる当業者にとっては、通常の創作能力の発揮に過ぎず容易に想到し得るものである。 b 甲第10号証には、「甲第8号証で開示された温度より高温部分」が開示され(第41頁、表5)、他方、甲第8号証で開示された温度より低温部分については、エクストルーダーの最後段のバレルから押し出された原料が、周囲環境において必然的に採り得る温度に過ぎないため、甲第10号証に実質的に記載されているのと同じである。 c 甲第11号証には、「甲第8号証で開示された温度より高温部分と低温部分が開示されている。 d 甲第12号証には、各バレルの温度条件として、「甲第8号証で開示された温度より高温部分」が開示され、「甲第8号証で開示された温度より低温部分」については、甲第10号証について述べたのと同様であるから、甲第12号証に記載されているのと同じである。 e 甲第13号証に記載のあるように、澱粉を用いた食品について、エクストルーダーを用いて製造する際に各バレルの温度を調節することは、澱粉の糊化に及ぼす温度等に関する論文等で古くから論じられており、例を挙げると枚挙に暇がない。 f 以上のことからも出願時における技術常識からみて、二軸エクストルーダーを用いるペットフードの製造方法において一旦高温にしてから低温にすること、即ち本件発明の各バレルの温度条件及び押し出されたときの温度を選択することは、当業者にとって通常の創作能力に過ぎず容易に想到し得ることがわかる。 (エ)よって、本件発明は、公然実施発明及び周知技術に基づいて、本件発明に係る特許出願前に、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (弁駁書(2)8頁7行~9頁1行、手続補正書(回答書)3頁下から4行~7頁10行) (2)サポート要件の不充足について ア 「牛皮の配合率」を「5%から50%」に限定した事項について、明細書の段落【0023】の表1及び段落【0025】には、牛皮の配合率として、「5~85%」及び「50%以下」という数値範囲が記載されているだけであって、出願時の技術常識に照らしても、当該数値範囲内であれば課題を解決することができると当業者が認識できる程度に具体例や説明が記載されておらず、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 (弁駁書10頁末行~11頁12行) イ 特許明細書の段落【0023】の表1には、「でんぷん」との記載があるだけであり、また、特許明細書の段落【0024】には、澱粉として、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉が列挙して記載されているだけである。 したがって、これらの記載は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉の特定の組合せの採用を意味していたとは到底言えず、したがって当該特定の組合せは特許明細書に記載されていたとは認められない (弁駁書5頁13~18行) ウ 審判事件弁駁書10頁13行~11頁16行では、「前記牛皮の配合率が5%から50%である」についてのみ、サポート要件の不充足を指摘している。 しかしながら、審判事件弁駁書5頁3行~6頁7行で請求人が主張したとおり、「前記澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され」についても、本件特許明細書に一切の開示も示唆もないことは明らかである。 (上申書2頁10~18行) (3)甲第1号証の3で示された製品の分析結果について ア 上申の内容 公設試験研究機関と協議した結果、甲第1号証の3で示された製品(以下、「本製品」という。)について、下記のような分析を行った。なお、分析結果については、別紙1として示す地方独立行政法人大阪市立工業研究所の報告書(大工研報第2419号:以下、「報告書」という。)として発行されている。この報告書を甲第9号証として提出する。 (上申書(3)2頁8~12行) イ 試料の準備 (i)本製品のうちの芯材部分を「試料」とした。なお、報告書では「試料」は「牛皮とデンプン」と表記されている。 (ii)本製品の原料となる牛皮を原材料とする製品(株式会社ケーヨー製「愛犬ガムツイスト」)を「対照試料1」とした。なお、報告書では「対照試料1」は「牛皮のみ」と表記されている。 (上申書(3)2頁14~18行) ウ 結果 上記報告書の第5頁及び第6頁に掲載の「断面の走査電顕観察像」に着目する。 上記報告書の第5頁の上方右側の「牛皮のみ(対照試料1)」の「断面の走査電顕観察像」(下記図1)においては、ほぼ単相で均質な牛皮領域が存在していることが分かる。 図1 これに対し、上記報告書の第5頁の下方右側の「牛皮とデンプン(試料)」の「断面の走査電顕観察像」(下記図2)においては、複数の領域が見受けられるが、デンプン領域と牛皮領域を必ずしも明確には判別できない。 図2 そこで、上記報告書の第6頁の上方右側及び下方右側のエッチング後(酵素によりデンプンを消化させた後)の「牛皮とデンプン(試料)」の「断面の走査電顕観察像」(下記図3及び図4)を見ると、デンプン領域はポーラス状乃至はスポンジ状にエッチングされており、エッチングの影響を受けない牛皮領域とエッチングされたデンプン領域とを明確に識別することができる。当該結果により、牛皮は直径が概ね10μm~150μmの微細な球状体となっていることが確認できる。 図3 図4 即ち、上記図3及び図4によれば、「牛皮とデンプン(試料)」の牛皮領域は、「牛皮のみ(対照試料1)」の牛皮領域と異なり、単相で均質な状態から、丸みを帯びた微細な球状体に変形していることが分かる。 このような、「牛皮のみ(対照試料1)」及び「牛皮とデンプン(試料)」の「断面の走査電顕観察像」の比較により、「牛皮とデンプン(試料)」の製造工程において、牛皮はデンプンと加熱・混合する際に溶解して原型を留めることなく混ぜ込まれた状態になったものと結論付けられる。 (上申書(3)4頁1行~6頁5行) 「証拠方法] 甲第1号証の1:「NEWS RELEASE Petio(R) 2013 AUTUMN 秋新商品食品」、株式会社ヤマヒサ(R)ペットケア事業部 甲第1号証の2:株式会社プラネットの商品データベース(ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム 12本入)画面のスクリーンコピー、(http://www:planet-van.co.jp/) 甲第1号証の3:「ペティオ ササミ巻き やわらか食べきりサイズのmidiガム」の商品の写真 甲第5号証:ペットフード・ペットビジネスの動向《普及版》、株式会社シーエムシー出版、2012年12月7日、55~60頁 甲第6号証:特開2007-325520号公報 甲第7号証:アマゾンにおける商品名「ファースト(FIRST)ミルク&ライスジャーキー」の販売画面のスクリーンコピー(Amazon.co.jp) 甲第8号証:特表2003-517824号公報 甲第9号証:「報告書 ペットフードの分析」、大工研報第2419号、地方独立行政法人大阪市立工業研究所、平成28年2月24日 甲第10号証:「ペットフード安全管理者養成講習会テキスト 第1版」、一般社団法人ペットフード協会 ペットフード安全管理者認定委員会、2010年5月 甲第11号証:特開2008-29339号公報 甲第12号証:特開平9-313113号公報 甲第13号証:「澱粉の糊化におよぼす温度、圧力及び剪断断作用について」、日本食品工業学会誌、Vol.33,No1、1986年1月、8~13頁 2 被請求人の主張の概要、及び証拠方法 本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、乙第1号証を提示し、請求人の主張する無効理由は理由がない旨の以下の反論を行った。 (1)甲第1号証の1ないし3に記載の商品(製品)について ア 甲第1号証の1に記載された「ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム」という名称の商品と、甲第1号証の2で示された同名称の商品と、甲第1号証の3に写された同名称の商品は、その成分並びに製法は同じ商品です。 (陳述要領書2頁17~19行) イ 澱粉に関しては、甲第1号証の1ないし3に記載の製品では、馬鈴薯澱粉を使用しており、本件特許発明の実施品では、コーンスターチ及びタピオカ澱粉を使用している。 これは、馬鈴薯澱粉を単独で使用した場合、乙第1号証の図1に記載されているように硬さのみが確保されてしまい、ペット用ガムを所望のテクスチャーに調整することが困難である。しかし、本件特許発明の実施品では、コーンスターチを用いることで硬さを確保し、一方でタピオカ澱粉を用いることで弾力を確保して、これらの成分を混合することにより、ペット用ガムとして好適な硬さと弾力を有するものに成形することができるという有利な効果を奏するため、望ましいからである。 (答弁書11頁2~11行) ウ 牛皮の配合率に関しては、甲第1号証の1ないし3に記載の製品では、約30%であり、本件特許発明の実施品では、約17%と低い配合率となっている。 これは、少ない牛皮の配合量であっても好適なペット用ガムを提供することが可能であって、牛皮の原料調達が困難になってきている昨今において、ペット用ガムの安定供給がより一層可能となっている。しかも、牛皮の配合量は少なくても、牛皮のような硬さの食感にすることができるという有利な効果を奏するため、望ましいからである。 (答弁書11頁12行~11頁2行) (2)澱粉及び牛皮について ア トウモロコシ澱粉やタピオカ澱粉等の種々の澱粉が既に存在しており、ペット用フードに使用された事実があったとしても、本件特許発明は、発明者の創作能力と努力により、これら種々の澱粉の中から、コーンスターチとタピオカ澱粉とを選択し、ペット用ガムに適用するに当たって、その硬さやテクスチャー等に鑑みて配合したものであって、数ある澱粉の中から単に組み合わせたものではなく、当業者といえども容易に想到し得るものではありません。 (陳述要領書4頁23~28行) イ 「前記澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され、前記牛皮の配合率が5%から50%である」要件は、「澱粉がコーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成される」要件、及び「前記牛皮の配合率が5%から50%である」要件がそれぞれリンクし合い、相乗的な効果、つまり「本発明のペット用ガムは、ペット用ガムの硬さを調節することができ、小型犬や老犬にとっても食べやすいペット用ガムを製造することができる」(本件特許の明細書の段落【0018】)また、「品質(硬さや太さ等)が安定したペット用ガムを製造することができると共に、牛皮のみを原料とする従来のペット用ガムに比べて安定供給が可能となる」(本件特許の明細書の段落【0019】)といった効果を奏する点に本件特許の技術的思想の創作としての特徴があります。 したがいまして、請求人のように、要件を分割して主張することに意義はありません。 (陳述要領書6頁末行~7頁12行) (3)サポート要件について 請求人は、サポート要件を満たしていないとして綾々述べているが、本件特許の請求項に記載された事項は、明細書において開示及び説明されているのであり、請求人の当該主張は失当であります。 (陳述要領書4頁31~33行) (4)「牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた」ことについて ア その状態について 外観的に牛皮が溶解し、その他の材料と混合されて、他の材料と区別がつかなくなった状態をいいます。 ただし、どの程度溶解している状態であるかという点については、製造過程で加える温度や圧力に応じて異なってきます。 (上申書2頁13~17行) イ その意義について 牛皮を他の材料中に均一に散らして混ぜ込むことにより、全体的にペット用ガムとしての強度を確保するところにあります。 このように、全体的にペット用ガムとしての強度を確保することができれば、咀嚼によっても崩れにくく、丈夫で長持ちし、歯や歯茎の汚れを落とす機能が高いといったメリットがあります(本件特許の明細書段落[0012]ご参照)。 また、たとえ原材料の牛皮の含有量が少ない場合であっても、所望の強度が確保できるので、牛皮の安定供給が困難であるという問題にも対処することが可能になります。 (上申書2頁18~25行) (5)甲1の3製品について 甲1の3製品は、牛皮の真皮のうち、コラーゲンが主たる構成である網状層の部分を使用しています。 また、甲1の3製品は、エクストルーダーを使用し、100℃から150℃で加熱し、エクストルーダーの出口温度は、80℃から90℃という条件で製造しております。 原材料の混ぜ方に関しましては、ある程度均一に混ぜた原材料をエクストルーダーに搬送し、撹拌混合しながら加圧・加熱することにより、均一に加熱溶解するという方法を採用しております。 なお、甲1の3製品につきましては、広い意味で、「牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた」ものであると言えますが、甲1の3製品と本件特許発明の実施品とでは、澱粉の材料が全く異なるものであり、また、加熱条件も異なっております。したがいまして、甲1の2製品(審決注:「甲1の3製品」の誤記と認める。)と本件特許発明の実施品とではその物性が異なることは明確であって、同じ状態のものではありません。 (上申書2頁下から2行~3頁11行) (6)本件特許発明に係る実施品の断面写真について ア 添付致しましたものは、厚みが異なる2枚の断面写真です。これらのうち(a)は、厚みを約5mmにスライスした断面を撮影したものであり、(b)は厚みを約0.5mmにスライスした断面を撮影したものとなっております。 (上申書3頁13~15行) イ 断面写真 (a) (b) [証拠方法] 乙第1号証:横山公一、“でん粉の麺用途における最近の動向”、[online]、2010年4月30日最終更新、独立行政法人農畜産業振興機構、インターネット<URL:http://www.alic.go.jp/joho-d/joho07_000031.html> 第5 無効理由に対する当審の判断 1 各甲号証の記載事項について (1)甲第1号証の1 甲第1号証の1には、以下の事項が記載されている。 ア 「NEWS RELEASE Petio ・・・ 2013 AUTUMN 秋新商品食品」(表紙) イ 「ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム コーティング ・・・ こだわりポイント3 独自製法のやわらかガム 独自製法のガムは牛皮ガムよりやわらかいので小型犬・シニア犬にも食べやすい」(5頁) ウ 「ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム 12本入コーティング」(15頁右欄3段目) エ 「株式会社ヤマヒサ(R)ペットケア事業部」 ・・・ No.13082101」(裏表紙最下段) (2)甲第1号証の2 甲第1号証の2には、以下の事項が記載されている。 ア 「JANコード4903588123474」(1枚目「商品コード(旧コード)」の欄) イ 「ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム 12本入」(1枚目「メーカー正式商品名」の欄) ウ 「4903588 / ヤマヒサ」(1枚目「取引先コード/メーカー名」の欄) エ 「2013/08/21」(1枚目「発売開始日」の欄) オ 「JANコード4903588123474」(2枚目「商品コード(旧コード)」の欄) カ 「ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム 12本入」(2枚目「メーカー正式商品名」の欄) キ 「4903588 / ヤマヒサ」(2枚目「取引先コード/メーカー名」の欄) ク 「JANコード4903588123474」(3枚目「商品コード(旧コード)」の欄) ケ 「ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム 12本入」(3枚目「メーカー正式商品名」の欄) コ 「鶏ササミ、でんぷん類、牛皮、グリセリン・・・」(3枚目「原材料表示(2000)」の欄) (3)甲第1号証の3 甲第1号証の3には、以下の事項が記載されている。 ア 「Petio ・・・ ペティオ ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム 小さなワンちゃんにも食べやすい」(パッケージ表面写真) イ 「ササミ巻き やわらかミディガム ・・・小型犬・シニア犬にも食べたやすいやわらか仕上げ」(パッケージ裏面写真の上段) ウ 「本製品は犬用で、間食用です。主食として与えないで下さい。」(パッケージ裏面写真の「注意」欄) エ 「本品は加熱処理をしておりますので、牛皮の一部に変形があります。また、牛皮に見られる小さな茶色や黒色の斑点は牛皮成分で、品質には問題ありません。」(パッケージ裏面写真の左列「案内」欄) オ 「販売者 株式会社ヤマヒサ ペットケア事業部」(パッケージ裏面写真の左最下段) カ 「鶏ササミ、でんぷん類、牛皮、グリセリン・・・」(パッケージ裏面写真の右中段「原材料名」欄) (4)甲第5号証 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には、以下の事項が記載されている。 「4 スナック 谷口順一 4.1 はじめに ここでは犬用及び猫用のスナックをペット用スナックとしてその概要をまとめる。・・・ 4.4ビーフジャーキー ・・・製造方法は大きく2種類に分類される。押し出し成形法と二軸エクストルージョン法である。・・・ 二軸エクストルージョン法は,二軸エクストルーダーによるクッキングと成形(ノズル径5~9mm程度)後すぐ目的長さに切断され,強制冷却後計量,包装される。乾燥工程が無いために全工程20~30分間の短時間に連続工程で生産出来る効率の高いジャーキーの製造方法である。・・・この製造方法に用いられる原料は,押し出し成形法とほぼ同じである。」(55頁1行~57頁9行) (5)甲第6号証 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、ペット用ガム及びその製造方法に関する。」 イ 「【0005】 本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、澱粉、穀粉、水を含む生地を成形後、湿式加熱し、その後更に乾式加熱により乾燥することにより、優れた物性強度のペット用ガムを得られること、また、生地に澱粉加水分解物を加えることによりさらに優れた物性強度のペット用ガムを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 従って、本発明は、 (1)澱粉、穀粉、水を含む生地を成形後、湿式加熱し、その後更に乾式加熱により乾燥することを特長とするペット用ガムの製造方法である。 (2)乾式加熱が温度120~200℃、加熱時間50~120分であることを特徴とする前記ペット用ガムの製造方法である。 (3)乾式加熱によりペット用ガムの水分を10~18質量%に調整することを特長とする前記ペット用ガムの製造方法である。 (4)前記方法により製造したペット用ガムである。 (5)さらにDE値が5~40の澱粉加水分解物を粉体原料中3~25質量%含む前記ペット用ガムである。」 ウ 「【0007】 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の生地は、澱粉、穀粉に加水し混捏して調製する。 本発明において使用できる澱粉は従来からペットフードや食用に使用されている澱粉でであれば特に限定されない。 例えば、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、さつまいも澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、さご澱粉、くず澱粉等を挙げることができる。 これらの澱粉は未加工の生澱粉でも、リン酸架橋、アセチル化などのエステル化やヒドロキシプロピル化などのエーテル化、湿熱処理、温水処理、油脂加工、α化等の加工した澱粉でも使用できる。 また、これらの澱粉を適宜組み合わせて使用することもできる。」 エ 「【0009】 本発明の生地には、必要に応じて、従来ペットフードに使用している添加物を使用することができる。 例えば、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、食塩、増粘多糖類、動植物蛋白、エキス類、調味料類、色素、香料、ビタミン類、ミネラル類、繊維類、酸化防止剤等を挙げることができる。」 (6)甲第7号証 甲第7号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「ファースト(FIRST)ミルク&ライスジャーキー200g」(1頁中段) イ 「商品の情報 詳細情報 ペットの種類 犬 ・・・ Amazon.co.jpでの取り扱い 2011/10/28」(1頁下段~2頁上段) ウ 「商品紹介 美味しい鶏肉とお米とミルクを使用した国産ジャーキーです。好きなサイズにちぎってお与え下さい。 原材料・成分 鶏肉、小麦粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ・・・」(2頁中段) (7)甲第8号証 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第8号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 発明の分野 本発明は、食用熱可塑性物質に関する。より詳細には、食用のタンパク質性滋養性熱可塑性物質からなるペット用ガム(pet chew)及びその使用方法に関する。」 イ 「【0013】 発明の簡単な概要 本発明は、動物用ガム、及びペットフードに用いる食用熱可塑性物質に関する。熱可塑性物質は、植物性及び動物性タンパク質の組み合わせから製造される。他の成分を加えて、動物に十分な補充量のカロリーと栄養物を確実に提供する。このため、食用熱可塑性物質は、デンプン、繊維及び金属塩水和物を含有する。本発明の好適な実施形態において、熱可塑性物質は、約30~50重量%の植物タンパク質と動物タンパク質の混合物と、約20~50重量%のデンプンと、約10~20重量%の水と、約1~10重量%の食用繊維と、約0.5~3重量%の金属塩水和物とから製造される。熱可塑性物質を成形するとき、比重は、約1.2~1.5g/cm3であることが好ましい。」 ウ 「【0017】 熱可塑性物質に用いるデンプンは、天然の非修飾デンプン、化学的に修飾されたデンプン、プレゼラチン化デンプン、及びこれらの組み合わせ並びに他のデンプンであり得る。天然のデンプンを用いる場合、天然デンプンには好適に、トウモロコシデンプン、高アミローストウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン、ソルガム(sorghum)デンプン、及びこれらの組み合わせ並びに他の天然の非修飾型デンプンが含まれ得る。」 エ 「【0021】 特定の実施形態において、本発明の食用熱可塑性物質は、ペットにとってさらに風味を良好にするように風味剤を含有し得る。風味剤は好適には、約0.5~15重量%の範囲の量で存在する。これらの風味剤は、鶏肉粉末、七面鳥肉粉末、玉葱粉末、ニンニク粉末、植物油、肉、動物製品、鶏肉、鶏肉脂肪、牛皮、牛肉、牛脂、豚皮、豚肉、豚脂、乾燥肉フロス、及びこれらの組み合わせなどの天然風味剤及び他の風味剤を含み得る。」 オ 「【0036】 発明の詳細な説明 本発明は、ペット用ガムに用いる食用熱可塑性物質に関する。食用熱可塑性物質を処方化し、ペットの口腔衛生をケアすると同時に、ペットにバランスのとれた栄養物を提供する。食用熱可塑性物質は好適には、植物性及び動物性タンパク質、デンプン、炭水化物、種々の栄養素、食物繊維、衛生添加物、保存剤、水、加工補助剤、風味剤、着色剤及び改質剤を組み合わせることにより製造される。 【0037】 本発明の食用熱可塑性物質は、ペット用ガム及び他の形状に成形するのに役立つ良好な加工流動性及び優れた機械的性質をもつ。 本発明の好適な一実施形態において、食用熱可塑性物質は、約30~50重量%の植物性及び動物性タンパク質の組み合わせと、20~50重量%のデンプンとを含有する。」 カ 「【0043】 上記に記載の天然タンパク質に加えて、化学修飾タンパク質を用いて、組成物の加工流動性及び物理学的性質を改善し得る。 デンプンは、本発明の食用熱可塑性物質の別の成分である。デンプンは、天然の非修飾デンプン、化学修飾デンプン、プレゼラチン化デンプン、及びこれらの組み合わせ、並びに他のデンプンとし得る。本発明の特定の実施形態においては天然デンプン、例えば、メイズ、ワクシーメイズ及び高アミローストウモロコシデンプンなどを含むトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン、並びにこれらの組み合わせを使用し得る。デンプン及び他の炭水化物は、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉及びこれらの組み合わせ及び他の粉のような穀物粉の形態で提供し得る。」 キ 「【0055】 食用熱可塑性物質は、ペットの関心を引き付けるように製造するため、食用熱可塑性物質に風味剤を含有させ得る。このような風味剤は、ペットを引き付け、誘う風味と香りを提供する。特定の実施形態において、風味剤は、魅力的な香り又は風味が成形熱可塑性物質の寿命を通じて残存するように、組成物の成形物全体に亙り配分することが好ましい。本発明により使用し得る風味剤としては、ニンニク粉末、塩、タマネギ粉末、植物油、トウモロコシ油、落花生油、動物肉、動物製品、牛皮、豚皮、鶏肉、鶏脂、牛肉、牛脂、豚肉、豚脂及び乾燥肉フロスなどの植物性及び動物性風味剤が包まれる。」 ク 「【0057】 本発明の食用熱可塑性物質は、押し出し成形、射出成形、圧送成形及び圧縮成形により容易に成形し得る。成形生成物は、物理学的性質、引張り強さ、柔軟性、剛性率及び表面硬度に優れ、ペットにバランスのとれた栄養物を提供し得る。 【0058】 食用熱可塑性物質の調製において、成分を均等に混合すべきである。混合は、撹拌配合器を用いる室温での簡単な配合など、種々の方法で行い得る。また、成分を高速混合機でプレ混合し得る。 【0059】 さらに、食用熱可塑性物質は、ロッド(L/D>4:1)又は鋳型シートを設けたツインスクリュー押し出し成形機で混合し得る。ツインスクリュー押し出し成形機は、反回転又は相互回転スクリューを設けた多重モードのツインスクリューとし得る。成分を押し出し成形機に、個々のホッパーからツインスクリュー押し出し成形機の所定部分に供給することにより、全成分をツインスクリュー押し出し成形機内で直接混合し得る。 【0060】 加工条件は、効果的な混合を遂げ、均一な組成物の形成に必要であるように多様であり得る。例えば、押し出し成形機にそった温度分布、圧力、スクリュー速度、スクリュー形状、成分の供給速度及び処理速度が多様であり得る。熱可塑性物質の製造に用い得るツインスクリュー押し出し成形機の一例は、ライストリッツ(Leistritz)により販売されるツインスクリュー押し出し成形機、Micro-18である。 【0061】 ペット用ガムの水分含有量は、乾燥によって調整し得る。水含有量は、約8~12重量%が好ましい。 押し出し成形機は、六つのゾーンからなる。各ゾーンは、異なる温度範囲を有する。ゾーン1の温度は、約85℃とし得る。ゾーン2の温度は、約90~100℃の範囲で変動し得る。ゾーン3の温度は、約110~120℃の範囲で変動し得る。ゾーン4の温度は、約110~120℃の範囲で変動し得る。ゾーン5の温度は、約100℃とし得る。ゾーン6の温度は、80~95℃の範囲で変動し得る。鋳型温度が約80℃であれば、スクリュー速度は、約150rpmに設定し得る。好適な押し出し成形機の鋳型圧は、約1100~6100kPa(約160~880psi)の範囲で変動し得る。」 (8)甲第9号証 甲第9号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「          報告書 大工研報第2419 ・・・ 研究題目 ペットフードの分析 ・・・ 1.研究目的 ペットフード中のデンプンの分布を解析する。 2.研究方法 2-1 光学顕微鏡観察 2-1-1 2ミクロン切片の観察 試料をウルトラミクロトーム(Ultra Cut UCT,Leica)により、ダイヤモンドナイフを用いて2ミクロンの厚さの切片に調製した。 試料はヨウ素溶液によりデンプンの染色を行い、光学顕微鏡(BX-50,Olympus)により、明視野観察を行った。 2-1-2 50ミクロン切片の観察 試料を約40℃に暖めて柔らかくしてから、マイクロスライサー(DTK-1000,DOSAKA)により、カミソリ刃を用いて50ミクロン厚さの切片を調製した。 切片をデンプン分解酵素(1% Optidex L-400/50mM Acetate Buffer pH6)に約1時間浸して反応し、その後ヨウ素溶液で染色してから光学顕微鏡(BX-50,Olympus)により、明視野観察を行った。 平成28年2月24日 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 理事長 中許昌美」(1頁) イ 「2-2 走査電子顕微鏡観察 2-2-1 断面の走査電子顕微鏡観察 ウルトラミクロトームを用いて試料の平滑断面を調製し、イオンスパッター(JFC-1600,JEOL)を用いて白金蒸着を行った。白金蒸着した試料は、走査電子顕微鏡(JSM-6610,JEOL)を用いて観察、撮影した。 2-2-2 エッチング処理試料の走査電子顕微鏡観察 ウルトラミクロトームで調整した試料の平滑断面を、デンプン分解酵素(1% Optidex L-400/50mM Acetate Buffer pH6)に約5時間浸して反応し(エッチング処理)、白金蒸着して走査電子顕微鏡(JSM-6610,JEOL)観察をした。 対照としては、酵素を含まない50mM Acetate Bufferに浸した物を用意し、同様に観察した。 3.研究結果 別紙参照」(2頁) ウ 別紙は以下のとおり。 (9)甲第10号証 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第10号証には、以下の事項が記載されている。なお、丸囲み数字は「○数字」と書き替えた。 ア 「2-2 エクストルージョンクッキング エクストルーダーは、19世紀中頃から食品の加工に用いられてきたが、現在のように幅広く利用されるようになったのは、ごく最近のことである。特にスクリュー組み換え式の一軸エクストルーダーや二軸式エクストルーダーが開発されてからは、用途が著しく拡大しつつある。 1)エクストルーダーの構造 ・・・ ○2スクリュー ・・・食品用エクストルーダーとしては、スクリューが1本の一軸エクストルーダーと2本の二軸エクストルーダーが主として用いられる。一軸か二軸であるかによって、スクリューの形状や種類も異なってくるし、機能も異なってくる。」 (36頁12行~37頁3行) イ 「○3 バレル ・・・また、温度上昇に伴い原料の粘度変化(ペットフードの場合、澱粉原料のα化に伴う糊の粘度変化)が起こり、流動性が変化する。従って一定の品質を得るためには、原料の温度制御が重要になってくる。通常バレルには外部加熱機構や冷却装置が備わっており、これらにより温度制御を行っている。通常の場合は運転の立ち上げから定常状態が得られるまでの間、加熱・冷却条件を変化させて一定の品質を保つ作業が行われている。 二軸エクストルーダーの場合、外部からの加熱がより重要である。二軸エクストルーダーでは2本のスクリューの回転により原料を前に進めるため、原料とバレル内壁面の摩擦は必要とせず、また摩擦による発熱も少ないため、必要な熱加工度を得るためには外部からの加熱が必要となってくる。」 (38頁8行~39頁4行) ウ 「2)一軸エクストルーダーと二軸エクストルーダー ペットフードの製造には前述のように一軸エクストルーダーと二軸エクストルーダーが使用されるが、製造する製品の要求仕様に応じて使い分ける必要がある。以下の表4にそれぞれの主な相違点を示した。」 (39頁下から4~末行) エ 「3)エクストルージョンクッキングにおける加工条件 エクストルージョンクッキングされる原料は、加水された後、ダイを通過して大気中に押し出されるまでの間、バレル内部で種々の履歴を受けて溶融し、再組織化される。従って、エクストルーダーの運転パラメーターには、スクリューの回転速度、種々の形状のスクリューの個数と位置、原料の供給量、加水量、設定温度など種々の可変要素があるため、それらのパラメーターと得られた製品の膨化特性、成分の変性度などいかなる関係があるかについて把握していなければならない。 ○1 加工条件の選択 エクストルーダー加工で得られる目的の製品の組織や物性を制御する方法として、次のような手段が経験的に明らかになっている。 ※原料の水分値の調整と加水量の決定と加水位置 ※エクストルーダーの各バレルの設定温度と圧力およびスクリューの 回転速度の制御による最適品温の選択 ※最終製品に目的とする品質を付与するための原材料の配合設計 ※高温・高圧下の混練条件並びにバレル内部における滞留時間に影響 するスクリューエレメントの組み合わせとスクリュー回転速度 ※目的製品に適合するダイ構造の設計」 (40頁1~18行) オ 「○3配合原料による加工条件の変化 エクストルーダーで加工処理する場合、加工条件に大きく影響する因子として油脂含量、水分がある。それぞれについて加工条件に与える影響について述べる。 ※油脂含量 油脂分は滑材となり、原料の流動性を促進するため、二軸エクストルーダーの場合は滞留時間が短くなり、圧力が上昇せず加熱加工が不十分となってしまうため、製品の膨化度が低下する。一軸エクストルーダーの場合は原料の搬送に問題が生じ不安定な製造となってしまう。 このため、二軸エクストルーダーの場合は、主原料の穀物に対する油脂分の割合に応じて、滞留時間を長くするようなスクリューの組み合わせにする。同時に設定温度も高くするような対応も必要である。またこの時、スクリュー回転速度を速くし、原料の供給量を少なくするようなことも行われる。これは乳化・分散性を高める効果がある。 また、予め油脂含量に応じて、アルファ化澱粉を加えることもある。 ※水分 水分も同様に滑材であり、水分が高くなることにより、原料の粘度が低下し流動性が高まるため、滞留時間が短くなる。水分が多い原料を使用する場合はスクリューの組み合わせで逆にピッチスクリューなどを組み込み等で原料の流れを制御し、熱交換を十分行わせる工夫が必要である。 また、水分が低い場合などは、バレル内圧力が高くなったり、製品のα化度が低下するような現象も観られる。」 (41頁5~27行) カ 41頁の「表5 加水条件とα化度」は、以下のとおり。 (10)甲第11号証 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第11号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0013】 エクストルーダーとは、スクリュー加熱加圧押出成形機のことをいい、本発明のペットフードではこのうち2軸型エクストルーダーを用いるのが好ましい。」 イ 「【0014】 本発明のペットフードは、例えば以下に説明する製造方法によって得る事が出来る。原材料を縦型混合機等で均一に予備混合して調製された混合物を、エクストルーダーの原料フィーダーからシリンダーバレル内に供給する。シリンダーバレル内に供給された混合物は、シリンダーバレル内で加熱・加圧されながら、2軸スクリューによって混練され、押し出される。シリンダーバレル温度は余熱バレルで20℃~100℃、中間バレルで80~180℃、先端バレルで100~300℃、ダイプレートで100~200℃であることが好ましい。」 ウ 「【0047】 〔ペットフードの製造法〕 表1~表3に示した各原材料を縦型ミキサーへ投入し、十分攪拌混合して混合物を調製した。次いで得られた混合物を、スクリュー回転速度、シリンダーバレル温度(C1;C2;C3)ダイプレート温度は表1~表3のとおりの条件下で、供給量20kg/時間、ダイ径5mm(1穴)にて、エクストルーダー((株)スエヒロEPM製 EA-20)を用いて発泡成形し、冷却する事によりペットフードを得た。」 エ 【0052】の【表1】は、以下のとおり。 オ 【0053】の【表2】は、以下のとおり。 【表2】 (11)甲第12号証 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第12号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ペットフードの製造方法、特に製造時間及び製造コストを大幅に短縮することができるペットフードの製造方法に関する。」 イ 「【0013】次に、これらの混合された原料を、2軸エクストルーダーに投入して、混練しながら加熱し圧縮する(ステップS13)。この過程で、原料は約120°~130°Cまで加熱される。またこの過程で、原料は、圧縮されることにより、後の整形工程のために必要な粘り・粘性が出るようになる。この実施例1の混練、加熱、圧縮の工程は、約6~8分間で終了する。なお、この混練、加熱、圧縮などの工程のために使用されるエクストルーダーは従来公知のもので、モーター、減速機、2軸スクリューフィーダー、油圧シリンダー、2軸スクリュー、カートリッジヒーター、加熱冷却バレル、カッターなどから構成されている。」 ウ 「【0014】次に、この原料を、比較的短時間で100°~80°C以下まで急速冷却する(ステップS14)。この冷却もエクストルーダーにより行う。この冷却の工程は、全体で約20~40秒間(平均的には30秒)で終了する。この冷却の過程で、前記の原料の中の糖類が結晶化して、多数の小粒状に固まって、それらの小粒状の塊が、原料全体の中に散在するようになる。」 エ 「【0022】次に、これらの混合された原料を、従来公知の2軸エクストルーダーに投入して、混練しながら加熱し圧縮する(図1のステップS13)。この過程で、原料は約120°~130°Cまで加熱される。またこの過程で、原料は、圧縮されることにより、後の整形工程のために必要な粘り・粘性が出るようになる。この混練、加熱、圧縮の工程は、約6~8分間で終了する。またこの実施例2では、この加熱の過程で、原料内のタンパク質が凝固して多数の小粒状の塊となって、それらの塊が原料全体の中に散在するようになる。よって、この実施例2によっても、図2(a)に示すような、多数の小粒状の塊が散在し表面が多数の凹凸部22から成るデコボコ状・ゴツゴツ状のペットフードが製造できるようになる。この加熱及び圧縮工程の後は、原料を100°~80°C以下まで冷却し(図1のステップS14)、その後整形して(図1のステップS15)、ペットフードを形成する。」 (12)乙第1号証 乙第1号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「でん粉の麺用途における最近の動向 2010年5月 松谷化学工業株式会社研究所 第二部2Gグループリーダー 横山公一 1 はじめに 麺は小麦粉から作る・・・ほぼ一定の基準ができている。 麺へのでん粉使用の歴史を表1に示す。本格的な麺類へのでん粉使用は、1970年代の即席麺へのばいれいしょでん粉の使用に始まる。その後、のど越しの良さや新しい食感を求めてワキシーコーンスターチやタピオカでん粉の使用が始まった。」(1頁中段) イ 「2 各種でん粉の麺食感への影響 小麦粉に対して5%以上のでん粉を添付すると、麺は一様に滑らかでのど越しが良くなる。また、でん粉の種類ごとに異なる食感が付与される。麺に各種でん粉を添加した場合の食感変化を図1に示す。ワキシーコーンスターチやもち米でん粉は最も柔らかい食感となり、緑豆でん粉では最も硬い食感となる。ばれいしょでん粉は、硬さを伴った粘りが付与され、タピオカでん粉は、もちもちとした粘りの強い食感が得られる。・・・」(1頁下段) 2 無効理由(1) (1)公然実施発明 まず、請求人が主張する、甲第1号証の1ないし3で示された公然実施された発明(以下「公然実施発明」という。)について検討する。 ア 甲第1号証の1に記載された、「ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム」という名称の製品、甲第1号証の2に記載された同名称の製品、甲第1号証の3に記載された同名称の製品(以下、それぞれ「甲1の1製品」、「甲1の2製品」、「甲1の3製品」という。)は、それらの製品名が同一であって、甲第1号証の1ないし3に記載された販売者名も同一であり、さらに甲第1号証の1の5頁上段のパッケージの写真、甲第1号証の2の2枚目のパッケージの写真、及び甲第1号証の3のパッケージの写真をみると、それぞれ同じデザインであることからすると、甲1の1製品ないし甲1の3製品は、同一の成分及び同一の製法により製造された同一の製品である蓋然性が高い。 なお、当該製品の販売者である被請求人も、「甲第1号証の1に記載された『ササミ巻き やわらか 食べきりサイズのmidiガム』という名称の商品と、甲第2号証の2で示された同名称の商品と、甲第1号証の3に写された同名称の商品は、その成分並びに製法は同じ商品です。」(上記「第4 2(1)ア」参照。)と説明していることからも、同様のことがいえる。 イ 甲第1号証の1は、表紙に「NEWS RELEASE Petio・・・2013 AUTUMN 秋新商品食品」(上記「1(1)ア」参照。)と記載され、裏表紙に「株式会社ヤマヒサ(R)ペットケア事業部」(上記「1(1)エ」参照。)と記載されていることから、株式会社ヤマヒサにより発行された2013年の秋に発売される製品が載せられた商品パンフレットであると認められるところ、その裏表紙には「No.13082101」(上記「1(1)エ」参照。)と記載されている。 また、甲第1号証の2をみると、「発売開始日」の欄に「2013/08/21」(上記「1(2)エ)」参照。)と記載されている。 以上のことから、同一の成分及び同一の製法により製造された製品である甲1の1製品ないし甲1の3製品は、本件特許の出願前の2013年8月21日に発売が開始されたものと推認できる。 ウ 原材料として、甲第1号証の2は、「鶏ササミ、でんぷん類、牛皮、グリセリン、・・・・」(上記「1(2)コ」参照。)と記載され、甲第1号証の3にも、「鶏ササミ、でんぷん類、牛皮、グリセリン・・・」(上記「1(3)カ」参照。)と記載され、また甲第1号証の1ないし3には、犬用のガムであることが明示されているので、甲1の1製品ないし甲1の3製品は、「少なくとも澱粉と牛皮とを原料に含んだ犬用のガム」であると認められる。 エ 続いて、甲1の3製品の分析結果を示した甲第9号証を参照する。 (ア)まず、「厚さ2μm切片 光学顕微鏡観察像」の「牛皮とデンプン」の4枚の写真からは、複数の領域が見られるが、デンプンの領域と牛皮の領域とが明確に判別できず、また当該写真の縮尺を考慮すると、当該領域は、ほとんど目視が不可能な大きさのものであるので、牛皮は溶解してほぼ原型を留めていない状態であることが確認できる。 (イ)同じく「断面の走査電顕観察像」の「牛皮とデンプン」の2枚の写真からも、同様に、複数の領域が見られるが、デンプンの領域と牛皮の領域とが明確に判別できず、また当該写真の縮尺を考慮すると、当該領域は、ほとんど目視不可能な大きさのものであるので、牛皮は溶解してほぼ原型を留めていない状態であることが確認できる。 (ウ)さらに、「断面の走査電顕観察像 デンプン消化(エッチング)」の右側の2枚の写真からは、デンプン領域はポーラス状あるいはスポンジ状にエッチングされており、エッチングの影響を受けない牛皮領域とエッチングされたデンプン領域とは明確に識別することができ、牛皮は、直径が概ね10μm~150μm程度の微細でほとんど目視が不可能な球状体となっているので、牛皮は溶解してほぼ原型を留めていない状態であることが確認できる。 (エ)上記(ア)ないし(ウ)の写真は、甲1の3製品のごく一部ではあるものの、甲1の3製品のどの部分であるか特定されておらず、また、食品を製造する際、複数の材料を用いる場合には、それら複数の材料を混合して均一に混ぜ込むこと、食品の材料を溶解させるには、加熱によって行われることが一般的であるから(例えば、甲第8号証に記載されている。上記「1(6)ク」参照。)、甲1の3製品の全体についても、牛皮は上記(ア)ないし(ウ)で述べたことと同様な状態であるといえる。 また、最終的に製品とするには、混合物を成形することは自明であるから、上記一般的な事項を勘案すると、甲1の3製品は、牛皮と澱粉等を含む原料を撹拌混合する工程、撹拌混合された原料を加熱しながら撹拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程、混合物を成形する工程とを含む方法により製造された蓋然性が高い。 (オ)なお、被請求人は、被請求人が製造・販売する甲1の3製品について、「甲1の3製品は、エクストルーダーを使用し、100℃から150℃で加熱し、エクストルーダーの出口温度は、80℃から90℃という条件で製造しております。 原材料の混ぜ方に関しましては、ある程度均一に混ぜた原材料をエクストルーダーに搬送し、撹拌混合しながら加圧・加熱することにより、均一に加熱溶解するという方法を採用しております。 なお、甲1の3製品につきましては、広い意味で、『牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた』ものであると言えます」(上記「第4 2(5)」参照。)と説明しているように、甲1の3製品は、牛皮と澱粉等を含む原料を撹拌混合する工程、撹拌混合された原料を加熱しながら撹拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程、混合物を成形する工程とを含む方法により製造されたものであるといえる。 オ 上記アないしエからみて、甲1の1製品ないし甲1の3製品であるペット用ガムを製造する方法として、公然実施発明を「少なくとも澱粉と牛皮を含む原料を撹拌混合する工程と、撹拌混合された原料を加熱しながら撹拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程と、混合物を成形する工程とを含むペット用ガムの製造方法。」と認定することができる。 (2)本件発明について ア 対比 本件発明と公然実施発明とを対比すると、以下の一致点及び相違点を有している。 一致点:少なくとも澱粉と牛皮とを含む原料を攪拌混合する工程と、 上記攪拌混合された原料を加熱しながら攪拌することで、牛皮が溶解してほぼ原型を留めることなく混ぜ込まれた混合物を生成する工程と、 上記混合物を成形する工程とを含むペット用ガムの製造方法。 相違点1:澱粉に関し、本件発明は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成されるのに対し、公然実施発明は、その特定がない点。 相違点2:牛皮の配合率に関し、本件発明は、5%から50%であるのに対し、公然実施発明は、その特定がない点。 相違点3:撹拌混合された原料を加熱しながら撹拌することに関し、本件発明は、二軸エクストルーダーを用い、該二軸エクストルーダーは、複数のバレルを有しており、各バレルにおいて異なる温度条件で原料を加熱し、この各バレルでの温度条件が、90℃から100℃、135℃から155℃、70℃から90℃、60℃から80℃であって、前記二軸エクストルーダーから押し出された時の混合物の温度が60℃であるのに対し、公然実施発明は、その特定がない点。 イ 相違点の判断 上記相違点1ないし3について検討する。 (ア)相違点1 甲第6号証に記載されているように、ペット用ガムに含有される澱粉として、トウモロコシ澱粉やタピオカ澱粉は、従来より周知な材料に過ぎないものである。(その他、甲第8号証にも記載されている。) したがって、公然実施発明の犬用ガムの澱粉として、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成されるものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 被請求人は、「その硬さやテクスチャー等に鑑みて配合したものである」(上記「第4 2(2)ア」参照。)旨主張しているが、本件発明では、コーンスターチ及びタピオカ澱粉の配合率が特定されていないことから、どのような硬さやテクスチャー等となるかは不明であるから、本件発明が被請求人が主張するような作用効果を奏するとは認められない。 また、被請求人が提出した乙第1号証には、「ワキシーコーンスターチや・・・は最も柔らかい食感となり、・・・タピオカ澱粉は、もちもちとした粘りの強い食感が得られる」(上記「1(12)イ」参照。)ことが記載されていることから、食品において、澱粉の種類を選択して、例えば、コーンスターチやタピオカ澱粉を用いることで求められる硬さとすることは、従来より周知の課題であるといえる。そうすると、被請求人の上記主張は、当業者が容易に予測できるものであると言わざるを得ない。 (イ)相違点2 牛皮の配合率は、必要に応じて当業者が適宜選択し得る事項であって、例えば、甲第8号証に、ペット用ガムにおいて、風味剤として牛皮が挙げられ、風味剤の配合率が約0.5~15重量%であることが示されている(上記「1(7)エ」参照。)ことからみて、公然実施発明のガムにおいて、牛皮の配合率を5~50%とすることに格別の困難性はない。 なお、被請求人が提出した答弁書の記載(上記「第4 2(1)ウ」参照。)によると、被請求人が製造・販売する甲1の3製品は、牛皮の配合率が約30%であるから、公然実施発明の牛皮の配合率は、5~50%に含まれる蓋然性が高く、したがって、相違点2は実質的な相違点ではないともいえる。 (ウ)相違点3 a 甲第5号証には、ペットフードのジャーキーの製造方法として、二軸エクストルーダーを用いた二軸エクストルージョン法があることが、また、甲第10号証,甲第11号証及び甲第12号証には、ペットフードの製造に二軸エクストルーダーが使用されること、及びエクストルーダーには複数のバレルを有することが、それぞれ記載されている。 これらの記載事項からみて、本件特許の出願前に、ペットフードの製造において、複数のバレルを有する二軸エクストルーダーが慣用的に使用されていたことが分かる。 なお、被請求人は、公然実施発明のペット用ガムである甲1の3製品は、エクストルーダーを使用して、100℃から150℃で加熱し、出口温度が80℃から90℃で製造したことを、上申書において説明している(上記「第4 2(5)」参照。)。 b また、ペットフードの製造途中の温度条件は、ペットフードの材料や目的とする製品の物性等に応じて、当業者が適宜選択し得る事項であるところ、甲第8号証には、押し出し成形機の各ゾーンの温度を、順番に約85℃→約110~120℃→80~95℃に設定することが(上記「1(7)ク」の段落【0061】参照。)、甲第10号証には、エクストルーダーの各バレルの温度を、順番に53~54℃→142~143℃→97~98℃と設定することが(上記「1(9)カ」の表5の内部温度の項参照。)、甲第11号証には、2軸エクストルーダーの各バレルの温度を、順番に40℃→180℃→120℃、又は125℃→200℃→60℃と設定することが(上記「1(10)エ」の【表1】の製造条件の項、及び「同 オ」の【表2】製造条件の項参照。)、甲第12号証には、2軸エクストルーダーの各バレルの温度を、120℃~130℃に加熱→100℃~80℃に冷却することが(上記「1(11)エ」参照。)、それぞれ記載されている。 c ここで、本件発明の各バレルの温度条件についてみると、本件明細書の段落【0033】の【表2】に記載されたC2~C8の各バレルの温度条件のうち、C2,C5,C6及びC8の温度条件についてのみ、本件発明の発明特定事項としたものであるが、それらC2~C8の各バレルの温度条件を採用する理由について、本件明細書全体をみても、段落【0032】に「一例として、エクストルーダー11がC2~C8のバレルを有し、各バレルの温度条件が以下の表2に示されるものとする。」と記載されているのみであるから、本件発明の温度条件には、適宜の温度条件を設定した以上の技術的意義はない。 d そして、ペットフードをエクストルーダーで製造する際、各バレルの温度条件だけではなく、各バレルの圧力やスクリューの回転速度等によっても製品の組成や物性が変化することは、甲第10号証に記載されているように(上記「1(9)エ」参照。)、当業者に知られていることであり、本件発明において、各種検討すべき加工条件のうち、各バレルの温度条件のみを限定したことで、本件発明の製造方法により製造されたペット用ガムが、顕著な作用効果をもたらすともいえない。 e 上記aないしdからみて、公然実施発明のペット用ガムを製造するに際して、二軸エクストルーダーを採用して、各バレルの温度条件を、本件発明の温度条件とすることは、当業者容易になし得た設計的事項に過ぎないと言うべきである。 (エ)澱粉と牛皮について 被請求人は、「『澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され』ることと、『牛皮の配合率が5%から50%である』ことがそれぞれリンクし合い、相乗的な効果、つまり『本発明のペット用ガムは、ペット用ガムの硬さを調節することができ、小型犬や老犬にとっても食べやすいペット用ガムを製造することができる』(本件特許の明細書の段落【0018】)また、『品質(硬さや太さ等)が安定したペット用ガムを製造することができると共に、牛皮のみを原料とする従来のペット用ガムに比べて安定供給が可能となる』(本件特許の明細書の段落【0019】)といった効果を奏する点に本件特許の技術的思想の創作としての特徴があります。」(上記「第4 2(2)イ」参照。)と主張しているが、澱粉の種類や配合率により、ガムの硬さ等を調整できることは、上記(ア)で検討したとおりであって、さらに牛皮によっても、同様にガムの硬さ等を調整できることは明らかであり、そして、「牛皮の原料調達が困難になってきている」(上記「第4 2(1)ウ」参照。)としても、品質が安定したペット用ガムを安定供給することは、当業者が当然考慮すべきことであるから、本件発明が奏する作用・効果は、当業者が容易に予測できる範囲のものである。 ウ 以上のとおり、本件発明は、公然実施発明、甲第5号証及び甲第6号証に記載された発明及び周知技術に基いて、本願特許出願前に、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件特許の請求項1及び2に係る発明について 前記「第2 1(1)及び(2)」のとおり、本件訂正により請求項1及び2は削除された。 その結果、請求項1及び2に係る発明についての無効理由は、その対象を欠くこととなったので、不適法な無効審判請求であり、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下すべきものである。 3 無効理由(2) (1)請求人は、構成要件「牛皮の配合率が5%から50%であること」について、「当該数値内であれば課題を解決することができると当業者が認識できる程度に具体例や説明が記載されていない」(上記「第4 1 [具体的理由](2)ア」参照。)、と主張している。 しかしながら、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、牛皮の配合率に関して、「牛皮の配合率は5~85%の範囲で設定することが好ましく、・・・本ガムにおいて、牛皮の配合率は原料全体に対して50%以下の低い配合率とすることができる。・・・」(【0025】)、と記載されているように、牛皮の配合率は、最小が5%であって、最大が85%であるところ、50%以下の低い配合率とする旨の記載もあることから、牛皮の配合率を5%から50%とすることは、発明の詳細な説明に記載されているというべきである。 また、当該数値内、特にその最大値をとることにより、「牛皮の配合率を減らしながら、硬さや形状の安定した製品を作ることができる。」(【0025】)、「牛皮の配合率を下げれば(例えば、50%)、より安定供給が可能となる。」(【0042】)との課題を解決できることは、当業者が十分認識できることも明らかである。 したがって、構成要件「牛皮の配合率が5%から50%であること」は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものではない。 (2)続いて、請求人は、構成要件「澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され」ることについて、「コーンスターチ及びタピオカ澱粉の特定の組合せは特許明細書に記載されていない」(上記「第4 1 [具体的理由](2)イ」参照。)、と主張している。 しかしながら、発明の詳細な説明に、「本ガムにおいて、澱粉は主原料として用いられるものであり、配合率は10~85%とすることが好ましい。澱粉は、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉などが挙げられ、ペットの嗜好性の高い種類を用いることができる。」(【0024】)と記載されているとおり、澱粉としてはコーンスターチとタピオカ澱粉が挙げられていることから、当該記載から、本件発明の澱粉に、コーンスターチとタピオカ澱粉を選択することは、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 また、本件発明の製造方法により、「澱粉と牛皮との配合比率を任意に変化させることで、ペット用ガムの硬さを調節することができ、小型犬や老犬にとっても食べやすいペット用ガムを製造することができる。」(【0042】)と記載されているように、ペット用ガムの硬さも調整することも本件発明の課題であり、また、澱粉の種類の選択により食品の硬さが変化することは、被請求人が提示した乙第1号証に記載されているように、本件出願前に技術常識であったことからすると、当該澱粉の選択により、発明の課題が解決できることを当業者が十分に認識できるものと認められる。 したがって、構成要件「澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され」は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものではない。 (3)以上のとおりであるから、上記(1)の構成要件及び上記(2)の構成要件を合わせた構成要件「前記澱粉は、コーンスターチ及びタピオカ澱粉から構成され、前記牛皮の配合率が5%から50%であること」は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものではない。したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものではない。 (4)前記「第2 1(1)及び(2)」のとおり、本件訂正により請求項1及び2は削除された。 その結果、請求項1及び2に係る発明についての無効理由は、その対象を欠くこととなったので、不適法な無効審判請求であり、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下すべきものである。 第6 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項3に係る発明は、甲第1号証の1ないし3で示された公然実施された発明、甲第5号証及び甲第6号証に記載された発明、並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 また、本件特許の請求項1及び2に係る発明についての無効審判請求は、特許法第135条の規定により却下すべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第62条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-800104

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