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特許拒絶査定不服審判

2015-016665

反射性を有する太陽電池用裏面保護シート

審判番号
2015-016665
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-154756外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年09月10日
審決日
2017年12月25日
公報発行日
2018年02月23日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L) / P18 .537-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-154756「反射性を有する太陽電池用裏面保護シート」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月31日出願公開、特開2013- 21214、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成23年7月13日の出願であって、平成27年2月4日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月13日付けで手続補正がされ、同年7月1日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年9月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年4月13日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由1」という。)がされ、同年6月12日付けで手続補正がされ、同年8月24日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由2」という。)がされ、同年10月20日付けで手続補正がされ、同年11月27日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由3」という。)がされ、同年11月28日付けで手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成27年7月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献A、Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献A 特開2011-103428号公報 引用文献B 特開2008-211034号公報 第3 当審拒絶理由の概要 1 当審拒絶理由1の概要は次のとおりである。 (進歩性)本願請求項1-9に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1 特開2000-114565号公報 (当審において新たに引用した文献) 引用文献2 国際公開第2010/100943号 (当審において新たに引用した文献) 引用文献3 特開2011-103428号公報 (拒絶査定時の引用文献A) 引用文献4 特開2008-211034号公報 (拒絶査定時の引用文献B) 2 当審拒絶理由2の概要は次のとおりである。 (進歩性)本願請求項1-8に係る発明は、上記の引用文献1、3、4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 当審拒絶理由3の概要は次のとおりである。 「(サポート要件)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 本願明細書の発明の詳細な説明の段落0022に「透過層(1)の破断強度は、透過層(1)の封止材との接着力よりも弱い強度が必要である。」との記載がある。 一方、本願の特許請求の範囲の請求項1には、「前記透過層(1)が、10N/cm以上の破断強度を有するものであり、前記封止材と前記太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、20N/cm以上である」との記載がある。 請求項1に記載された破断強度と接着力の関係においては、破断強度が接着力よりも「強い」場合も含むことから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の「弱い強度が必要である。」との記載に反する発明を含むものである。 よって、請求項1に係る発明、請求項1を引用する請求項3ないし8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。」 第4 本願発明 本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成29年11月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-7は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートであって、 少なくとも、封止材に接する透過層(1)、反射層(2)及び保護層(3)の順に積層されて構成され、 前記透過層(1)が、ポリエチレンから構成されるフィルム層であり、400nm~1400nmの波長の光線を平均で70%以上透過し、その厚さは10~100μmであり、 前記反射層(2)が、樹脂成分としてポリエチレンテレフタレートを含む層であり、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び酸化バリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種である白色フィラーを含み、400nm~1400nmの波長の光を反射し、 前記保護層(3)が、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル又はエチレンテトラフルオロエチレンから構成されるフッ素系フィルムであり、 前記透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、前記封止材と前記太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである、 ことを特徴とする太陽電池用裏面保護シート。 【請求項2】 前記反射層(2)が、400nm~1400nmの波長の光線を平均で80%以上反射するものである、請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。 【請求項3】 前記反射層(2)が、気泡を含む、請求項1又は2に記載の太陽電池用裏面保護シート。 【請求項4】 前記白色フィラーが、前記反射層(2)中に、5重量%以上含まれる、請求項1~3のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護シート。 【請求項5】 前記反射層(2)の厚さが、30~350μmである、請求項1~4のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護シート。 【請求項6】 前記保護層(3)が、厚みが20~150μmのフッ素系フィルムである、請求項1~5のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護シート。 【請求項7】 請求項1~6のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュール。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)当審拒絶理由1、2で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与したものである。 「【0006】・・・(途中省略)・・・ バックカバーフィルムに光反射性を有する基材フィルム、または光反射性を有する樹脂塗膜層が積層されているので、太陽電池モジュールの前面側から入射した光は、その一部が太陽電池素子を透過した場合にも、その光が反射されて太陽電池素子に再入射するため、光が有効に利用され光起電力が向上する。」 「【0027】図1は、本発明の太陽電池モジュールの概略の構成を示す模式部分断面図である。図1において、太陽電池モジュール100は、前面、即ち、光が入射する側から、フロントカバーフィルム1、充填材層2、太陽電池素子3、充填材層2′、バックカバーフィルム4が順に積層された構成である。このような太陽電池モジュール100は、最下段にバックカバーフィルム4を配置し、その上に充填材層2′、太陽電池素子3、充填材層2、フロントカバーフィルム1を順に重ねて配置し、例えば、真空ラミネート法などで排気、加熱、加圧することにより、容易に製造することができる。 【0028】フロントカバーフィルム1は、光透過性に優れると同時に、耐候性、水蒸気その他のガスバリヤー性などに優れることが好ましく、例えば、フッ素樹脂フィルム、またはその他の耐候性フィルムに、光透過性と水蒸気その他のガスバリヤー性に優れた無機酸化物の蒸着層などを設けた積層フィルムを好適に使用することができる。 【0029】充填材層2、2′は、アモルファスシリコンや結晶性シリコンなどからなる太陽電池素子3を埋め込んで安定化させるために用いるものであり、熱流動性および熱接着性に優れた各種の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を使用することができる。具体例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α-オレフィン共重合体、ポリビニルブチラールなどの熱可塑性樹脂に、架橋剤、紫外線吸収剤、カップリング剤などを適宜混合した樹脂組成物を製膜して使用することができる。このような充填材層2、2′は、それぞれ単独のシートとして使用してもよいが、予め、フロントカバーフィルム1やバックカバーフィルム4の内面(積層面)に積層して使用することもできる。 【0030】次に、図2は、本発明の太陽電池モジュールに用いるバックカバーフィルムの第1の実施例の構成を示す模式部分断面図である。図2において、バックカバーフィルム20は、前記図1に示した太陽電池モジュール100の充填材層2′に積層される側から、光反射性を有する基材フィルム5、接着層11、無機酸化物の蒸着層9、耐候性樹脂フィルム8が順に積層された構成である。 【0031】上記の構成において、最背面層の耐候性樹脂フィルム8としては,ポリビニルフルオライドフィルム(以下、PVFフィルム)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合樹脂フィルム(以下、ETFE樹脂フィルム)などのフッ素樹脂フィルム、または高耐候性2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、高耐候性PETフィルム)などを好適に使用することができる。耐候性樹脂フィルム8の上に積層する無機酸化物の蒸着層9としては、水蒸気その他のガスバリヤー性に優れると同時に、非導電性であることが好ましく、Al2 O3 などのアルミニウム酸化物、またはSiOX で表される珪素酸化物が特に適している。 【0032】また、光反射性を有する基材フィルム5としては、例えば、二酸化チタンなどの白色顔料を練り込んだ2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)や、微細な気泡を含有するPETフィルムなどを使用することができる。只、このような光反射性を有する基材フィルム5も、耐候性に優れていることが更に好ましく、この点から、前記のように光反射性を付与したフッ素樹脂フィルムや高耐候性PETフィルムなどの耐候性フィルムを用いることもできる。 【0033】そして、接着層11は、前記光反射性を有する基材フィルム5と、無機酸化物の蒸着層9を蒸着した耐候性樹脂フィルム8とを貼り合わせるために用いるものであり、両者をドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、例えば、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などを使用でき、また、押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合には、熱接着性樹脂を適宜選択して使用することができる。尚、前記光反射性を有する基材フィルム5や、耐候性樹脂フィルム8の各積層面には、必要に応じてコロナ放電処理などの易接着性処理を施すことができる。 【0034】図3は、本発明の太陽電池モジュールに用いるバックカバーフィルムの第2の実施例の構成を示す模式部分断面図である。図3において、バックカバーフィルム30は、前記図1に示した太陽電池モジュール100の充填材層2′に積層される側から、接着層11′、光反射性を有する基材フィルム5、接着層11、保護層10、無機酸化物の蒸着層9、耐候性樹脂フィルム8が順に積層された構成である。この構成は、前記図2に示したバックカバーフィルム20の構成に対して、光反射性を有する基材フィルム5の充填材層に積層する側の面に接着層11′を追加して設け、また、無機酸化物の蒸着層9の上、即ち、無機酸化物の蒸着層9と接着層11との間に、保護層10を追加して設けた構成である。 【0035】上記接着層11′は、バックカバーフィルム30を用いて太陽電池モジュールを作製する際、太陽電池素子が埋設されている充填材層とバックカバーフィルム30との接着性を向上させるために設けるものであり、光反射性を有する基材フィルム5の上に、例えば、EVA共重合体樹脂組成物などの塗布液をグラビアコート法または各種ロールコート法などで塗布、乾燥することにより容易に設けることができる。 【0036】また、保護層10は、耐候性樹脂フィルム8の上に無機酸化物の蒸着層9を設けた後、その上に無機有機のハイブリッド材料、または高分子化合物からなる塗布液をグラビアコート法または各種ロールコート法などで塗布、乾燥することにより設けることができる。上記以外の各層、および積層方法は、前記図2に示したバックカバーフィルム20と同様であるため説明を省略する。」 「【図3】 」 段落【0034】の記載によると、図3(第2の実施例)の構成は、図2(第1の実施例)に示したバックカバーフィルム20の構成に対して、接着層11’及び保護層10を追加して設けた構成である。よって、図3(第2の実施例)に示された他の層は、図2(第1の実施例)の構成と同様である。 してみると、引用文献1には、図3(第2実施例)に示されたバックカバーフィルムとして、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 (2)引用発明1 「太陽電池モジュールに用いるバックカバーフィルムであって、 太陽電池モジュール100の充填材層2′(エチレン-酢酸ビニル共重合体)に積層される側から、接着層11′、光反射性を有する基材フィルム5、接着層11、保護層10、無機酸化物の蒸着層9、耐候性樹脂フィルム8が順に積層された構成であり、 前記光反射性を有する基材フィルム5としては、二酸化チタンなどの白色顔料を練り込んだ2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)であり、 前記耐候性樹脂フィルム8としては,ポリビニルフルオライドフィルム(以下、PVFフィルム)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合樹脂フィルム(以下、ETFE樹脂フィルム)などのフッ素樹脂フィルムであり、 前記接着層11′は、EVA共重合体樹脂組成物である バックカバーフィルム。」 2 引用文献2の記載事項 (1)当審拒絶理由1で引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与したものである。 「[0046](3)第三の実施形態 図3は、本発明の太陽電池モジュール用保護シートの第三の実施形態を示す概略断面図である。 図3において、図1に示した太陽電池モジュール用保護シート10、および、図2に示した太陽電池モジュール用保護シート20と同じ構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。 この実施形態の太陽電池モジュール用保護シート30は、第一の実施形態および第二の実施形態と同様に、太陽電池モジュールのバックシートに適用することができる。 以下、太陽電池モジュール用保護シート30を、バックシート30と言うこともある。 [0047] バックシート30においては、第二の実施形態のバックシート20の構造に加えて、熱接着性層16がさらに設けられている。 この実施形態では、基材フィルム12、蒸着層13および接着層14の構成は、第一の実施形態におけるそれらの構成と同様であり、フッ素樹脂層15の構成は、第二の実施形態における構成と同様である。 [0048] 熱接着性層16は、接着層17を介して、2つのガスバリア性フィルム11のうち、フッ素樹脂層15が設けられていないガスバリア性フィルム11における蒸着層13の外面(ガスバリア性フィルム11の外面11a)に設けられている。 ・・・(途中省略)・・・ [0054] バックシート30によれば、第二の実施形態のバックシート20に加えて、熱接着性層16が設けられているので、バックシート20の効果に加えて、より防湿性が高い。それゆえ太陽電池モジュールに適用すれば、太陽電池セルの安定した長期使用が可能となる。また、バックシート30は、熱接着性層16が設けられているので、太陽電池モジュールの封止材に対して、バックシート30を容易に熱融着することができる。 ・・・(途中省略)・・・ [0060] 第一~第三の実施形態では、太陽電池モジュール用保護シートを、太陽電池モジュールのバックシートに適用した場合、前記太陽電池モジュール用保護シートを構成する層の少なくとも1層が、発電に寄与する波長の光線を反射する層からなることが好ましい。このようにすることで、太陽電池セルを透過した光線を、発電に寄与する波長の光線を反射する層で反射させて再利用することができるため、太陽電池モジュールの発電効率を向上させることができる。 発電に寄与する波長の光線を反射する層は、例えば基材フィルム12、接着層14、フッ素樹脂層15、熱接着性層16および後述する外面層18等の太陽電池モジュール用保護シートを構成する層の少なくとも1層を形成する材料に光反射材料を混合することで得ることができる。また、アルミ等の金属蒸着層を例えば基材フィルム12上に形成することで得ることができる。 上記光反射材料としては、特に限定されないが、通常、白色顔料が用いられる。白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウム等が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。 バックシートとして用いられる太陽電池モジュール用保護シートの太陽電池セルに対向する面の光線反射率としては、波長400~1100nmの範囲における反射率の最大値が50%以上であることが好ましい。」 「[図3] 」 引用文献2には、太陽電池モジュールのバックシートに適用することができる図3に示された太陽電池モジュール用保護シートとして、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 (2)引用発明2 「太陽電池モジュールのバックシートに適用することができる太陽電池モジュール用保護シートであって、 太陽電池モジュールの封止材に熱融着される熱接着性層16、 接着層17、 基材フィルム12と蒸着層13とから構成されたガスバリア性フィルム11、 接着層14、 基材フィルム12と蒸着層13とから構成されたガスバリア性フィルム11、 フッ素樹脂層15 が順に積層された 太陽電池モジュール用保護シート。」 3 引用文献3の記載事項 原査定及び当審拒絶理由1,2で引用された引用文献3(引用文献A)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与したものである。 「【0112】 本発明の太陽電池用バックシートにおいて、光反射性のポリエステルフィルムに易接着処理層を設けてもよい。易接着処理層を設けることにより、バックシートと封止樹脂(通常、エチレン-酢酸ビニル共重合体)との間の接着力が著しく向上し、その結果、太陽電池モジュールの信頼性が向上する。図10は易接着処理層を設けた太陽電池用バックシートの断面図であり、易接着処理層6は、光反射性のポリエステルフィルム2の片側に設けられる。」 「【0116】 易接着処理層としては、低密度ポリエチレンを用いることもできる。低密度ポリエチレンは引っ張り、引裂き、衝撃、耐折等の機械的強度に優れ、封止樹脂との溶着性にも優れているので、バックシートと封止樹脂との間の接着力が著しく向上する。低密度ポリエチレンとは密度が0.91以上、0.93未満のポリエチレンである。 【0117】 低密度ポリエチレンは、厚みが10~100μmのフィルム状態で、光反射性のポリエステルフィルム上に、例えば、ウレタン系接着剤で貼り合わされるか、直接、溶着される。」 4 引用文献4の記載事項 原査定及び当審拒絶理由1,2で引用された引用文献4(引用文献B)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与したものである。 「【0014】 図1に示すように、太陽電池モジュール100には、多数個の太陽電池素子1が配列されている。これらの太陽電池素子1は電極2を介して相互に接続配線3によって電気的に接続され、太陽電池モジュール100全体としてはリード線4によって裏面側に端子5が取り出され、端子5は端子箱6に収納されている。エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂からなる充填材7が多数個の太陽電池素子1を封止するために配置されている。太陽電池モジュールの受光面側に位置する充填材7の外表面には、透明ガラス層8が固着されている。太陽電池モジュールの設置面側に位置する充填材7の外表面には、本発明の太陽電池用裏面保護シート10が固着されている。なお、太陽電池モジュール100の側面にはアルミニウム製枠部材9がシール材を介して取り付けられている。 【0015】 図2は、本発明の太陽電池用裏面保護シートの一つの実施の形態を示す断面図である。 【0016】 図2に示すように、太陽電池用裏面保護シート10は、太陽電池モジュールに相対的に近い側(内側)に配置される内層から、密度が0.91g/cm3以上0.93g/cm3以下の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を含有する第1のフィルム11、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリメチルメタクリレート(PMMA)を含有する混合樹脂フィルムからなる第2のフィルム12の順に積層されている。第1のフィルム11と第2のフィルム12との間には、接着剤層13が配置されている。第1のフィルム11は、充填材7の表面に接するように固着される。この固着は、加熱プレスを用いて行われる。第2のフィルム12は、太陽電池用裏面保護シート10の最外層に配置される。接着剤層13は、ドライラミネート用接着剤からなる。第1のフィルム11の厚みは30~100μm程度であり、第2のフィルム12の厚みは5~30μm程度である。第2のフィルム12としての混合樹脂フィルムを構成するポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリメチルメタクリレート(PMMA)の混合比率は、PVDF/PMMA=1/9~9/1であるのが好ましい。」 5 引用文献3,4に記載された周知技術 上記引用文献3,4の記載事項から、以下の技術事項が周知技術であると認められる。「太陽電池素子の封止樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合体)と接着する太陽電池用バックシートにおいて、封止樹脂と接する層に、厚さ10~100μmまたは30~100μm程度の(直鎖)低密度ポリエチレンフィルムを用いること。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)引用発明1との対比、判断 ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明1における「太陽電池モジュールに用いるバックカバーフィルム」は、「太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池裏面保護シート」である点で、本願発明1の「太陽電池用裏面保護シート」と共通する。 引用発明1における「接着層11’」は、太陽電池モジュールの充填材(本願発明1における「封止材」に相当する。)に接する層である点で、本願発明1における「透過層(1)」と共通する。 引用発明1の「前記光反射性を有する基材フィルム5としては、二酸化チタンなどの白色顔料を練り込んだ2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)であ」ることと、本願発明1の「前記反射層(2)が、樹脂成分としてポリエチレンテレフタレートを含む層であり、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び酸化バリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種である白色フィラーを含み、400nm~1400nmの波長の光を反射」することとは、共に「前記反射層(2)が、樹脂成分としてポリエチレンテレフタレートを含む層であり、酸化チタンである白色フィラーを含」む点で共通する。 引用発明1の「前記耐候性樹脂フィルム8としては,ポリビニルフルオライドフィルム(以下、PVFフィルム)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合樹脂フィルム(以下、ETFE樹脂フィルム)などのフッ素樹脂フィルムであ」ることと、本願発明1の「前記保護層(3)が、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル又はエチレンテトラフルオロエチレンから構成されるフッ素系フィルムである」こととは、共に「前記保護層(3)が、ポリフッ化ビニル又はエチレンテトラフルオロエチレンから構成されるフッ素系フィルムである」点で共通する。 本願発明1は、「少なくとも、封止材に接する透過層(1)、反射層(2)及び保護層(3)の順に積層されて構成され」ているものであるから、これらの層に加えて他の層が積層されている構成であってもよいと解される。 したがって、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 「太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートであって、 少なくとも、封止材に接する層、反射層及び保護層の順に積層されて構成され、 前記反射層が、樹脂成分としてポリエチレンテレフタレートを含む層であり、酸化チタンである白色フィラーを含み、 前記保護層が、ポリフッ化ビニル又はエチレンテトラフルオロエチレンから構成されるフッ素系フィルムである 太陽電池用裏面保護シート。」 [相違点1] 封止材に接する層について、本願発明1においては、「ポリエチレンから構成されるフィルム層であり、400nm~1400nmの波長の光線を平均で70%以上透過し、その厚さは10~100μmであ」る「透過層」であるのに対し、引用発明1においては、「接着層11’」はEVA共重合体樹脂組成物であり、その透過特性や厚さについては不明な点。 [相違点2] 反射層について、本願発明1においては、「400nm~1400nmの波長の光を反射」すると特定されているのに対し、引用発明1においては、「光反射性を有する基材フィルム5」はそのような特定はされていない点。 [相違点3] 本願発明1は、「透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、封止材と太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」との構成を有しているのに対し、引用発明1は、そのような破断強度と接着力の関係になっているか不明である点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、相違点3に係る本願発明1の「透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、封止材と太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」という構成は、上記引用文献1-4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用文献2~4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (2)引用発明2との対比、判断 ア 本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明2における「太陽電池モジュールのバックシートに適用することができる太陽電池モジュール用保護シート」は、「太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池裏面保護シート」である点で、本願発明1の「太陽電池用裏面保護シート」と共通する。 引用発明2における「太陽電池モジュールの封止材に熱融着される熱接着性層16」は、太陽電池モジュールの封止材に接する層である点で、本願発明1における「透過層(1)」)と共通する。 引用発明2における「基材フィルム12」及び「接着層14」は、中間層である点で、本願発明1における「反射層(2)」と共通する。 引用発明2における「フッ素樹脂層15」は、フッ素樹脂からなる層である点で、本願発明1における「ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル又はエチレンテトラフルオロエチレンから構成されるフッ素系フィルム」である「保護層(3)」と共通する。 本願発明1は、「少なくとも、封止材に接する透過層(1)、反射層(2)及び保護層(3)の順に積層されて構成され」ているものであるから、これらの層に加えて他の層が積層されている構成であってもよいと解される。 したがって、本願発明1と引用発明2との一致点及び相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートであって、 少なくとも、封止材に接する層、中間層及びフッ素樹脂からなる層の順に積層されて構成されている、 太陽電池用裏面保護シート。」 [相違点4] 封止材に接する層について、本願発明1においては、「ポリエチレンから構成されるフィルム層であり、400nm~1400nmの波長の光線を平均で70%以上透過し、その厚さは10~100μmであ」る「透過層」であるのに対し、引用発明2においては、「熱接着性層16」はそのような透過層であるか不明な点。 [相違点5] 中間層について、本願発明1においては、「樹脂成分としてポリエチレンテレフタレートを含む層であり、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び酸化バリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種である白色フィラーを含み、400nm~1400nmの波長の光を反射」する「反射層」と特定されているのに対し、引用発明2においては、「基材フィルム12」又は「接着層14」は、そのような反射層であると特定されていない点。 [相違点6] フッ素樹脂からなる層について、本願発明1においては、「ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル又はエチレンテトラフルオロエチレンから構成されるフッ素系フィルムである」と特定されているのに対し、引用発明2においては、「フッ素樹脂層15」は、フッ素系の材料からなるものの、「ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル又はエチレンテトラフルオロエチレンから構成される」「フィルム」であるとは特定されていない点。 [相違点7] 本願発明1は、「透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、封止材と太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」との構成を有しているのに対し、引用発明2は、そのような破断強度と接着力の関係になっているか不明である点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点7について先に検討すると、相違点7に係る本願発明1の「透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、封止材と太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」という構成は、上記引用文献1-4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明2、引用文献1、3、4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-7について 本願発明2-7も、本願発明1の「透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、封止材と太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」とする構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用発明2、引用文献3、4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 当審拒絶理由3についての判断 当審では、請求項1に記載された破断強度と接着力の関係においては、破断強度が接着力よりも「強い」場合も含むことから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の「弱い強度が必要である。」との記載に反する発明を含むものであり、請求項1に係る発明、請求項1を引用する請求項3ないし8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年11月28日付けの補正において、請求項1に記載された破断強度と接着力の関係が、「前記透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、前記封止材と前記太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 第8 原査定についての判断 平成29年11月28日付けの補正により、補正後の本願発明1-7は「前記透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、前記封止材と前記太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」という技術的事項を有するものとなった。当該「透過層(1)が、10N/cm~23N/cmの破断強度を有するものであり、封止材と太陽電池用裏面保護シートとの接着強度が、27N/cm~45N/cmである」との構成は、原査定における引用文献A、B(当審拒絶理由1,2における引用文献3、4)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-7は、当業者であっても、原査定における引用文献A、Bに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-016665

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