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特許拒絶査定不服審判

2015-013418

放射加熱された基板のクールダウンを向上させるための装置および方法

審判番号
2015-013418
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-540045外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年07月15日
審決日
2017年08月21日
公報発行日
2017年10月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L) / P18 .537-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-540045「放射加熱された基板のクールダウンを向上させるための装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月26日国際公開、WO2011/063091、平成25年 4月 4日国内公表、特表2013-511848、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成22年(2010年)11月18日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2009年11月20日,米国)とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成25年11月 6日 審査請求 平成26年10月20日 拒絶理由通知 平成27年 2月19日 意見書・手続補正 平成27年 3月10日 拒絶査定(以下,「原査定」という。) 平成27年 7月15日 審判請求 平成28年 7月15日 拒絶理由通知 平成28年12年 7日 意見書・手続補正 平成29年 1月 6日 拒絶理由通知 平成29年 7月13日 意見書・手続補正 第2 本願発明 本願の請求項1-13に係る発明は,平成29年7月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。 以下,請求項1-13に係る発明をまとめて「本願発明」といい,本願発明のうち,請求項1に係る発明を「本願装置発明」といい,請求項9に係る発明を「本願方法発明」という。 「【請求項1】 表側および裏側を有する基板を処理するための装置であって, プロセス領域の外部に位置決めされる放射熱源に隣接する窓によって一方の側が画定される,チャンバ内のプロセス領域と, プロセス領域内に配置され,放射熱源からの光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンクと, 基板の表側および裏側のうちの少なくとも一方が放射熱源に面していることによりダイナミックヒートシンクが基板に結合して基板からの熱を吸収するような場所に,熱処理の期間,ダイナミックヒートシンクに隣接する基板を保持するためのプロセス領域内の基板支持体と 放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレートであって,基板支持体がリフレクタプレートと放射熱源との間になるように位置付けられたリフレクタプレートと,を備え, ダイナミックヒートシンクが放射熱源と基板支持体との間に位置付けられ独立したヒートシンク支持体により支持され,独立したヒートシンク支持体が基板平面に対して垂直方向に移動可能である装置。 【請求項2】 独立したヒートシンク支持体が独立したヒートシンク支持体に磁気的に連結された磁石により基板平面に対して垂直方向に移動可能である,請求項1に記載の装置。 【請求項3】 ダイナミックヒートシンクが,基板材料の熱吸収よりも小さな熱吸収を有する材料から作られ,放射熱源からの放射に対して実質的に透明であり,熱を吸収するために基板に伝導的に結合し,事前選択された熱吸収を有する半透明プレートであって,半透明プレートが,熱処理の期間,基板から間隙距離に配置されていることにより半透明プレートが,基板の加熱の期間,基板よりも低温のままとなる,請求項1に記載の装置。 【請求項4】 ダイナミックヒートシンクと基板の間で変動できる間隙が存在するようにダイナミックヒートシンクを動かすように,独立したヒートシンク支持体が基板の熱処理の期間に動作可能である,請求項1に記載の装置。 【請求項5】 間隙と流体連通する伝導性流体源をさらに備え,したがって伝導性流体が間隙を満たし,または間隙に既存の流体を置換し/間隙に既存の流体と混合し,間隙が実質的に静的に保持され得る,請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。 【請求項6】 伝導性流体が,窒素ガス,酸素ガス,ヘリウムガス,アルゴンガス,水素ガスおよびそれらの組合せからなる群から選択される,請求項5に記載の装置。 【請求項7】 ダイナミックヒートシンクが,石英,サファイアおよび透明YAGからなる群から選択される,請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。 【請求項8】 放射熱源を活動停止にするときに,基板とダイナミックシンクの伝導的な結合の程度を変更するように,間隙距離が調整可能である,請求項3または4に記載の装置。 【請求項9】 表側および裏側を有する基板を,放射熱源を備えるチャンバ内で処理する方法であって, チャンバのプロセス領域であって,プロセス領域の一方の側が,放射熱源をプロセス領域から分離する窓によって画定されるプロセス領域の内で基板を支持するステップと, 放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレートを,放射熱源の反対側で基板に隣接して配置するステップと, 放射熱源により放出される光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンクを,放射熱源と同じ側で基板に隣接する場所で,熱処理の期間,プロセス領域内に支持するステップと, 基板を第1の温度に加熱するように放射熱源を動作するステップと, 放射熱源を活動停止にし,ダイナミックヒートシンクが基板からの熱を吸収するように,ダイナミックヒートシンクを基板平面に対して垂直方向に移動して配置するステップと を含む方法。 【請求項10】 ダイナミックヒートシンクを基板平面に対して垂直方向に移動して配置するステップは,磁力により行われる,請求項9に記載の方法。 【請求項11】 ダイナミックヒートシンクと基板との間に間隙がある,請求項9または10に記載の方法。 【請求項12】 放射熱源を活動停止にするとき,ダイナミックヒートシンクを,基板により近い位置に動かす,請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。 【請求項13】 ダイナミックヒートシンクと基板との間の間隙に流体を加えるステップをさらに含む, 請求項11に記載の方法。」 第3 原査定の概要 本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引 用 文 献 等 一 覧 引用文献1 特表2008-546203号公報 引用文献2 特表2002-525848号公報 ・本願装置発明について ・引用文献等 1-2 ・備考: 引用文献1には,ランプ12aおよび12b(請求項1に係る発明の「放射熱源」に相当。以下「 」は同義。)に隣接(図1)する光学窓14aおよび14b(「窓」)によって一方の側が画定(図1)されるウェーハ16を含む急速熱処理チャンバー(「チェンバ」)内のプロセス領域(【0041】,図1)と,加熱に使用される放射線の一部に対して少なくとも部分的に透明であって(【0070】)ウェーハで加熱される動的ヒートシンク(【0038】,「ダイナミックヒートシンク」)と,ウェーハの支持体又は支持部材(【0038】,【0064】-【0065】,「基板支持体」)とを備える装置の発明が記載されている。 引用文献2に記載された発明は,冷却プレートを移動支持する可動アーム36及びアクチュエータ38(【0011】,【0025】,【0031】,図2A,図2B)「ダイナミックヒートシンクを支持する独立したヒートシンク支持体であって,基板支持体に対して移動可能なヒートシンク支持体」)を有しており,引用文献2の【0031】には,「他の配置では,プレート30を,ウェハと対向する関係になるまで水平及び垂直の両方向に移動して,伝導性のある伝熱が容易となる距離をウェハから離して配置」とあることからみて,引用文献2に記載された発明の上記可動アーム36及びアクチュエータ38は,ダイナミックヒートシンクを基板支持体に対して垂直方向に移動している。 ・本願方法発明について ・引用文献等 1-2 ・備考 引用文献2には,高温処理ステップが完了すると(「放射熱源を活動停止にするとき」),プレート30を垂直に移動して(「ダイナミックヒートシンクを動かして」)して,放射性のある伝熱により急速に冷却する(【0031】-【0032】)ことが記載されている。 そして,ダイナミックヒートシンクの位置として基板により近い位置を選択することは,上記放射性伝熱の好適化である。 第4 当審拒絶理由の概要 1 この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。(以下,「当審拒絶理由1」という。) 2 この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。(以下,「当審拒絶理由2」という。) 記 ・請求項1について ・当審拒絶理由1,2 請求項1に記載された「基板支持体に対して垂直方向」とはどの方向なのか文言自体が不明確である。「垂直」とは,平面又は直線に対して直角であることを言うが,「基板支持体」のどの平面又は直線なのかが不明確である。 また,発明の詳細な説明には「基板支持体に対して垂直方向」については記載されていない。発明の詳細な説明(段落0050)には,「ヒートシンク330が,基板321に対して移動可能であることができる。任意の好適な手段,例えば,独立したヒートシンク支持体を上下に動くようバイアスする磁石に,独立したヒートシンク支持体326を磁気的に連結することにより,ダイナミックヒートシンク330を動かすことができる。他の実施形態において,空気圧または液圧で駆動することができるリフトピンがダイナミックヒートシンク330を持ち上げ,かつ下ろすように配置され,処理の期間,ダイナミックヒートシンク330と基板321の間の距離を変化させることができる。」と記載されており,「基板平面に対して垂直方向」は読み取ることができる。 ・請求項2について ・当審拒絶理由1,2 請求項2に記載された「半透明プレート」の「半透明」について「放射熱源からの放射に対して実質的に透明」との異同が不明確である。 発明の詳細な説明(段落0016,0060)には,「半透明プレートは,基板材料の熱吸収よりも小さな熱吸収を有する」と記載されており,「半透明」だけでは発明の詳細な説明と対応していない。 ・請求項3について ・当審拒絶理由1,2 請求項3は,請求項1又は2を引用して記載しているので,前記と同様である。 ・請求項4について ・当審拒絶理由1,2 請求項4に記載された「基板の熱処理の期間」がその後に記載された「存在するように」にかかるのかそれとも「動作可能である」にかかるのか,不明確である。 発明の詳細な説明(段落0050)には「間隙335のサイズを変更できるように,処理の期間,間隙335のサイズを調節することができる。・・・処理の期間,ダイナミックヒートシンク330と基板321の間の距離を変化させることができる。」と記載されており,発明の詳細な説明と対応していない。 ・請求項5について ・当審拒絶理由2 請求項5に記載された「既存の流体で置換され」は,文言自体矛盾しており,意味が不明確である。「既存」とは文字どおり既に存するという意味であるから,「既存の流体で置換され」とは「既存の流体」が新たに配置されることであり,前記「既存」の意味と矛盾する。 ・請求項6について ・当審拒絶理由2 請求項6に記載された「流体」は,請求項5に記載された「伝導性流体」と「既存の流体」のうち,いずれを指すのか,又は両方を指すのか,不明確である。 ・請求項7について ・当審拒絶理由2 請求項7に記載された「表側および裏側」は何の「表側および裏側」なのか不明確である。 ・請求項8について ・当審拒絶理由1,2 請求項8は,請求項1ないし7を引用して記載しているので,前記と同様である。 ・請求項9について ・当審拒絶理由1,2 請求項9に記載された「間隙距離が,熱吸収が動的であるように調整可能」は,「動的」という文言の意味が不明確である。 発明の詳細な説明(段落0046)には,「用語『ダイナミック,動的な(dynamic)』は,ヒートシンクが,処理の期間,基板と異なる温度および/または異なる速度で加熱できることを言う。」と記載されているが,「熱吸収」が動的であることは記載されていないし,また「間隙距離」との関係で動的であるように調整することも記載されていない。段落0061には前記請求項9の記載と同様の記載があるが,この「動的」が段落0046に記載された前記「動的」と同じものなのか不明である。 ・請求項10について ・当審拒絶理由1,2 ア 請求項10に記載された「放射熱源をプロセス領域から分離するランプ」は,発明の詳細な説明と対応していない。発明の詳細な説明(段落0045)には「チャンバ300は,窓320によりプロセス領域318から分離される放射熱源310を含み」と記載されているから「分離」しているのは「ランプ」でなくて「窓」である。 イ 請求項10に記載された「チャンバのプロセス領域内で基板を支持するステップであって,プロセス領域の一方の側が,放射熱源をプロセス領域から分離するランプによって画定されるステップ」及び「ダイナミックヒートシンクをプロセス領域内に支持するステップであって,ダイナミックヒートシンクが,放射熱源により放出される光に対して実質的に透明であるステップ」は,それぞれ「であって」で区切られた前半のステップと後半のステップとの関係が不明確である。「ステップ」とは通常時系列に並んだ一段階のことをいうから,「・・・ステップであって・・・ステップ」というと,前半のステップと後半のステップを同時に行うことを意味すると解される。しかし,前記後半のステップはいずれも装置の継続的な状態を記述するものであって,これを前半のステップと同時に行うことはできない。したがって,その関係を理解することができない。 また,発明の詳細な説明のどの記載と対応するのかも不明である。 ウ 請求項10に記載された「ダイナミックヒートシンクが基板に対して垂直方向に移動可能である」は,請求項10に記載されたどのステップに関する記述なのか不明確である。 ・請求項11ないし14について ・当審拒絶理由1,2 請求項11ないし14はいずれも請求項10を引用して記載しているので,前記と同様である。 3 本願発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (以下,「当審拒絶理由3」という。) 記  (引用文献等については引用文献等一覧参照) 引 用 文 献 等 一 覧 引用文献1 特表2008-546203号公報 引用文献2 特表2002-525848号公報 ・本願方法発明について ・引用文献等 1,2 ・備考 本願方法発明と引用文献1(段落0009,0010,0038,0064,0041,0042,0051-0053,0070,図1)に記載された発明(以下,「引用発明1」という。)とを対比すると,以下の点で相違するが,その余の点で一致すると認められる。 (相違点)本願発明は「ダイナミックヒートシンクが基板に対して垂直方向に移動可能である」のに対し,引用発明1では「ダイナミックヒートシンクが基板に対して垂直方向に移動可能である」ことの開示がない点。 そこで,前記相違点について検討すると,引用文献1(段落0009)には「該物体は,約1秒未満の時間で少なくとも1つのエネルギーパルスを物体に向けることによって加熱される。この熱移動板は,パルスが熱伝導によって停止された後に物体からの熱移動を増加させ,物体だけを放射冷却する場合に有効である熱移動よりも物体からの大きな熱移動を可能にする。」と記載されているから,熱移動板(本願発明の「ダイナミックヒートシンク」に相当。)は,加熱のためのパルスが停止された後に,物体を冷却するために用いられるものであり,パルス加熱中は不要であることが示唆されている。 すると,引用文献2(段落0025-0032)には,冷却部材であるプレートを,高温処理されている間はポケットに保管し,高温処理ステップが完了すると,ウェハと対向する関係になるまで水平及び垂直の両方向に移動して冷却することが記載されており,上記引用文献1の示唆により加熱中は熱移動板は不要であるから,熱移動板をポケットに保管し,加熱終了後に水平及び垂直の両方向に移動して冷却するという引用文献2に記載された発明を採用することは,当業者が容易になしうることである。 したがって,本願発明は,引用文献1及び2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。 ・請求項11について ・引用文献等 1,2 ・備考 「ダイナミックヒートシンクと基板との間に間隙がある」点は,引用文献1(段落0041)に記載されている。 ・請求項12について ・引用文献等 1,2 ・備考 「放射熱源を活動停止にするとき,ダイナミックヒートシンクを,基板により近い位置に動かす」点は,引用文献2(段落0031)に記載されている。 ・請求項13について ・引用文献等 1,2 ・備考 「ダイナミックヒートシンクと基板との間の間隙に流体を加える」点は,引用文献1(段落0019,0020)に記載されている。 4 本願発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。(以下,「当審拒絶理由4」という。) 記  (引用文献等については引用文献等一覧参照) 引 用 文 献 等 一 覧 引用文献A 特開2002-252180号公報 引用文献1 特表2008-546203号公報 ・本願装置発明について ・引用文献等 A,1 ・備考 本願装置発明と引用文献A(段落0001,0003,0016,0017,0023,0024,0029-0032,図1,2)記載の発明とを対比すると,以下の点で相違する。 (相違点)本願装置発明においては,「ダイナミックヒートシンク」が「プロセス領域内に配置され」,「基板支持体」は「プロセス領域内」であるのに対し,引用文献A記載発明の「可動冷却板52」及び「ウエハ支持リング26」は「反応室18」内にない点。 相違点について検討すると,引用文献1(段落0041-0043,0070,図1)には,ウェーハと熱移動板を光学窓で確定される領域内に配置することが記載されており,引用文献A記載発明において,引用文献1に記載された配置を採用することは,当業者が適宜設計できることである。 したがって,本願装置発明は,引用文献A及び1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。 ・本願方法発明について ・引用文献等 A,1 ・備考 本願方法発明と引用文献A(段落0001,0003,0016,0017,0023,0024,0029-0032,図1,2)記載の発明とを対比すると,以下の点で相違する。 (相違点)本願方法発明においては,「プロセス領域の内で基板を支持」し,「ダイナミックヒートシンクを」「プロセス領域内に支持する」のに対し,引用文献A記載発明においては「反応室18」の内で「ウェーハ」及び「ダイナミックヒートシンク」を支持するものではない点。 相違点について検討すると,引用文献1(段落0041-0043,0070,図1)には,ウェーハと熱移動板を光学窓で確定される領域内に配置することが記載されており,引用文献A記載発明において,引用文献1に記載された配置を採用することは,当業者が適宜設計できることである。 したがって,本願方法発明は,引用文献A及び1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。 第5 引用文献及び引用発明 1 引用文献Aの記載 (1)引用文献A 引用文献Aには,図面とともに,次の記載がある。(下線は当審で付加した。以下同じ。) ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は,熱処理炉内へ半導体ウエハ,液晶表示装置用ガラス基板,フォトマスク用ガラス基板,光ディスク用基板等(以下,「基板」と称す)の基板を1枚ずつ搬入し光照射により基板を加熱して熱処理する基板の熱処理装置に関する。 【0002】 【従来の技術】半導体デバイスの製造工程においては,ランプアニール装置やCVD装置などのように,熱処理炉内へ基板,例えば半導体ウエハを1枚ずつ搬入し基板に光を照射するなどしてウエハを加熱し熱処理する枚葉式の熱処理装置が,各種の工程で広く使用されている。 【0003】ところで,半導体デバイスの高集積化を図るためには,デバイスの微細化と共に高速動作化は重要な因子である。例えばダイオードの高速動作化には,PN接合の深さを浅くする必要があるので,ウエハに注入されたB,As,P等のイオンを,それが拡散しない状態で電気的に活性化させる必要がある。そのためには,ウエハをイオンの活性化温度まで高速で昇温(例えば150℃/秒)させ,昇温後に,イオンが拡散しない温度までウエハを急速に冷却させる装置が必要になる。」 イ 「【0016】図1は,この発明の実施形態の1例を示し,半導体ウエハ等の基板の熱処理装置の1つであるランプアニール装置の概略構成を切断端面で示す図である。 【0017】このランプアニール装置は,半導体ウエハWの搬入および搬出を行なうための開口12を有する熱処理炉10を備えている。熱処理炉10の開口12は,シャッタ14によって開閉自在に閉塞される。熱処理炉10の少なくとも上部の炉壁は,光入射窓16となっている。熱処理炉10の反応室18と加熱源であるランプハウス20(詳細は図示せず)との間の隔壁である光入射窓16は,赤外線透過性を有する材料,例えば石英ガラスによって形成され,ランプハウス20のランプから照射された輻射光を効率良く透過させる。この光入射窓16は,取り外すことができるように石英ガラス製の窓ホルダ22に組み込まれ,O-リング24によりシールされて反応室18の上部に配設される。 ・・・ 【0019】熱処理炉10の内部には,炭化珪素(SiC)などによって形成されたウエハ支持リング26が配設され,ウエハ支持リング26は,石英ガラスで形成されたウエハ支持円筒ホルダ28の上端部に水平姿勢で固着されている。ウエハ支持円筒ホルダ28は,ウエハWの水平状態を調節するためのアジャスタ30を介してウエハ回転機構32上に保持されている。そして,ウエハWは,ウエハ支持リング26上に支持され,ウエハ回転機構32によって回転させられるようになっている。また,ウエハWの下面に当接してウエハWを支持する複数本,例えば3本の支持ピン34を有しそれら支持ピン34を上下方向へ往復移動させるウエハ押し上げ機構36が設けられている。 ・・・ 【0021】また,熱処理炉10の内部には,ウエハ支持リング26上に支持されたウエハWの上面に対向して,赤外線透過性を有する材料,例えば石英ガラスによって形成され複数個のガス吹出し孔が穿設されたシャワープレート38が配設されている。このシャワープレート38と光入射窓16との間は,反応ガスが導入されるガス導入室40となっており,ガス導入室40は,ガス導入路42を通して反応ガス供給源に流路接続されている。そして,反応ガス供給源から供給されガス導入室40内に導入された反応ガスは,シャワープレート38の複数個のガス吹出し孔を通ってウエハ支持リング26上のウエハWの上面全体へ均等に吹き出すようになっている。 【0022】熱処理炉10の下部炉壁は,反射板44によって構成されている。反射板44は,ステンレス鋼で形成されており,ウエハWと対向する面は,高反射率を得るために鏡面に研磨されている。反射板44には,内部に冷却水の通路46が形設されており,反射板44は,通路46内に冷却水が流されることにより冷却されるようになっている。この反射板44には,2種類の放射温度計,すなわち,支持リング温度検出用放射温度計48とウエハ温度検出用放射温度計50とが取着されている。支持リング温度検出用放射温度計48は,ウエハ支持リング26上のウエハWの外周縁から5mm程度外方側の位置に焦点が当たるように設置されている。ウエハ温度検出用放射温度計50は,複数位置,例えばウエハWのほぼ中央に相当する位置,ウエハWの半径に相当する位置およびウエハWの外周に相当する位置にそれぞれ取り付けられている。 【0023】反射板44の,ウエハWに対向する面側には,可動冷却板52が配設されている。可動冷却板52は,例えば石英ガラスによって形成されている。この可動冷却板52は,冷却板上下機構54に保持されており,冷却板上下機構54のエアーシリンダ等の駆動装置によって上下方向に高速で移動させられ,ウエハ支持リング26上のウエハWと接触または近接する上部の冷却位置と反射板44と接触または近接する待機位置との間を往復移動する。また,反射板44の中央位置には,気体,例えば窒素ガスを反射板44と可動冷却板52との間に供給するためのガス導入路56が設けられており,ガス導入路56は,図示しない窒素ガス供給装置に接続されている。そして,冷却板上下機構54および窒素ガス供給装置を制御するコントローラ(図示せず)が設けられており,ウエハWの熱処理が終了してランプハウス20のランプが消灯させられると同時あるいはその少し前に,コントローラからの制御信号により冷却板上下機構54および窒素ガス供給装置が作動させられ,可動冷却板52が待機位置から冷却位置へ高速で移動させられるようになっている。 【0024】これらの反射板44ならびに可動冷却板52および冷却板上下機構54の他,ウエハ回転機構32,アジャスタ30,ウエハ支持円筒ホルダ28,ウエハ支持リング26などは,一体的に金属ベローズ58に連結されており,反射板等上下機構60によって駆動され,これにより,反応室18の容積が変化させられる構造となっている。この容積の変化は,ウエハWの位置によってウエハ上段位置A,ウエハ中段位置Bおよびウエハ下段位置Cの3段階がある。ウエハ上段位置Aは,ウエハWの熱処理時の位置であり,ウエハ中段位置Bは,ウエハWと可動冷却板52との間に溜まっているガスをパージする位置であり,ウエハ下段位置Cは,熱処理炉10内にウエハWを出し入れする位置である。」 ウ 「【0029】上記した構成を有するランプアニール装置において,ウエハWの熱処理は,ランプハウス20のランプからウエハWに光が照射されてウエハWが加熱され,通常通り行われる。この熱処理の以前から熱処理中を通して,図2に部分拡大断面図を示すように,可動冷却板52は,実線で示すように反射板44と接触または近接する待機位置に停止している。そして,可動冷却板52は,水冷された反射板44とほぼ同じ温度,例えば30℃~50℃の温度に冷却されている。 【0030】ウエハWの熱処理が終了してランプハウス20のランプが消灯させられると,それと同時またはそれより少し前に,コントローラにより冷却板上下機構54および窒素ガス供給装置がそれぞれ作動させられ,ガス導入路56を通して可動冷却板52と反射板44との間に窒素ガスが導入されるとともに,可動冷却板52が待機位置から上方に向かって移動させられる。そして,可動冷却板52と反射板44との間に窒素ガスが導入されることにより,可動冷却板52は反射板44から容易に離脱し,冷却板上下機構54のエアーシリンダによって素早く上昇させられ,二点鎖線で示すように冷却位置に迅速に移動して停止する。このようにしてウエハ支持リング26上のウエハWに低温の可動冷却板52が接触または近接することにより,可動冷却板52がウエハWの熱量を急激に奪って,ウエハWは高温側において急速に冷却させられる。 【0031】図3は,熱処理直後のウエハWに可動冷却板52を近接させてウエハWを急速に冷却させたときとウエハWを自然冷却させたときとで,それぞれのウエハWの温度降下の様子を比較した図である。実線aが,ウエハWを可動冷却板52によって冷却させたときのものであり,破線bが,ウエハWを自然冷却させたときのものである。実線aで示したように,ウエハWを可動冷却板52によって冷却させると,高温側(700℃~1000℃)において冷却速度が大きくなり,イオンの拡散が極力抑えられる温度である700℃程度の温度まで短時間で冷却される。 【0032】なお,約500℃以下の低温側では,ウエハWを可動冷却板52によって冷却させた方が自然冷却させた場合よりも冷却が遅くなる。これは,高温側において可動冷却板52がウエハWからの輻射熱によって温度上昇し,その後,低温側においては,ウエハWと可動冷却板52とが一緒に自然冷却されていくためである。この結果,ウエハWを炉内からの取出し温度まで冷却させるのに要する時間が長くなるが,この発明の装置の目的は,高温側における冷却速度を大きくすることであるので,差し支えない。また,ウエハWの温度を500℃~700℃程度まで降下させた時点で,可動冷却板52を下方へ移動させて元の待機位置に戻すようにしてもよい。」 エ 図1には,水平に支持されたウエハWがウエハ上段位置Aのときに,ウエハの上方に反応室18があること,が記載されている。 (2)引用発明A 前記(1)より,引用文献Aには,次の発明(以下,「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 「基板の熱処理装置であって,熱処理炉の上部の炉壁は光入射窓となっており,光入射窓は熱処理炉の反応室と加熱源であるランプハウスとの間の隔壁であり,ウエハはウエハ支持リングに水平に支持され,熱処理炉の下部炉壁は反射板によって構成され,反射板のウエハに対応する面側には可動冷却板が配設され,可動冷却板は石英ガラスによって形成され,可動冷却板は冷却板上下機構に保持されており上下方向に高速で移動させられ,ウエハと近接する上部の冷却位置と反射板と近接する待機位置との間を往復移動し,ランプハウスのランプが消灯させられると同時に可動冷却板が待機位置から冷却位置へ高速で移動させられるようになっていること。」 2 引用文献1の記載 (1)引用文献1 引用文献1には,図面とともに,次の記載がある。 ア 「【0009】 発明の要約 1つの物体を熱処理する方法は,1つの物体を熱処理チャンバー内に準備し,熱移動板が該物体の熱質量の約3倍以下である熱質量(即ち,熱容量)を有する程度に熱移動板を配置することを含む。熱移動板は,物体との隣接した熱伝達状態で位置し,予熱後に,該物体は,約1秒未満の時間で少なくとも1つのエネルギーパルスを物体に向けることによって加熱される。この熱移動板は,パルスが熱伝導によって停止された後に物体からの熱移動を増加させ,物体だけを放射冷却する場合に有効である熱移動よりも物体からの大きな熱移動を可能にする。1つの実施態様において,熱移動板は,物体の近似的な熱質量以下である熱質量を有する。 【0010】 本明細書中でヒートシンクとも呼称される熱移動板は,材料,例えば珪素,炭化珪素,窒化珪素,二酸化珪素,酸化アルミニウム,サファイア,石英,窒化アルミニウム,窒化硼素,オキシ窒化アルミニウム,黒鉛,炭素,ダイヤモンド,イットリウムアルミニウムガーネットまたはセラミックおよび金属を含む他の適当な材料を有することができる。」 イ 「【0038】 他の選択可能な方法は,ウェーハでも加熱される"動的"ヒートシンクとしてのよりいっそう小型の熱質量板状の物体を使用することである。ウェーハは,この板状の物体の上面上に置くことができ,板状の物体に近接していてよいかまたは,例えば距離を置くかまたはガスクッション等によって僅かに板状の物体の上方に保持することができる。この板状の物体がウェーハのための機械的支持体として作用することは不要であるが,このような構成は,可能である。」 ウ 「【0041】 図1は,反射壁10,ランプ12aおよび12b,光学窓14aおよび14b,およびウェーハ16を含む例示的な急速熱処理(RTF)チャンバーを示す側面図である。センサー30eおよび30aは,ウェーハおよび熱移動板の温度を監視し,例えば当業者に公知のように構成された光学高温計を有することができる。センサー30eは,ウェーハ上へのパルス照射の入射量を監視する。センサー30dは,ウェーハから反射されるかまたは散乱される放射線を監視し,センサー30bは,ウェーハによって透過される放射線を監視する。前記センサーは,光検出器または熱検出器であることができる。ウェーハ16は,前記図において間隙19によって熱移動板20から分離されており,少なくとも一部分が端縁環18によって取り囲まれている。当業者であれば,端縁環18は,熱移動板20との関連で明らかに開示された視点を含むことができると認識するであろう。例えば,環18は,冷却機構および/または加熱機構を含むことができる。 【0042】 システムの構成に応じて,間隙19は,寸法が変動しうるかまたは全く省略されてよい(即ち,ウェーハが直接に熱移動板20上に載置されている場合)。間隙19は,熱移動板の或る部分が他の部分より隣接していてよいように,熱移動板の心違い,突起部または他の機構によって部分的または全体的に橋架けされていてよい。従って,本明細書中で議論されたように,間隙19は,一般にウェーハと熱移動板の本体20との距離に帰因する。」 エ 「【0051】 更に,上記に議論されたように熱移動板を用いてのRTF系の操作は,図6~9に示された,シミュレートされた温度結果と関連して議論される。図6は,ヒートシンク板を有するかまたは有しない,パルス化された加熱処理中にウェーハが受ける温度-時間サイクルのシミュレーションからの結果を有する概念が示されている。曲線Aは,該板なしに処理した場合の平均ウェーハ温度の経過を示す。加熱サイクルの開始時に,ウェーハ温度は,800℃までランピングアップし,次にエネルギーパルスが適用され,この直後に熱源は失活される。示される温度プロフィールは,直接に表面加熱それ自体を示さないが,しかし,表示された点Pでの平均温度での増大は,パルス化された熱が搬送されかつウェーハの厚さを通して拡散した直後に生じる平均温度への比較的急速な上昇を示す。本明細書中で考慮されている実施例中で,内部温度での生じる上昇は,100℃であり,したがってパルス化された加熱処理からの熱がウェーハの厚さを通して拡散した直後に900℃である。パルス化された加熱処理後,ウェーハは,熱放射によって冷却されるものと推測される。 【0052】 曲線Bは,ヒートシンク板20が存在する場合のウェーハ温度の動向を示す。この場合には,ヒートシンク板は,ウェーハと同じ熱特性および同じ厚さ(775μm)を有し,ウェーハとヒートシンク板20との間隔19は,100μmであり,およびこの間隔は,0.5W-1mK-1の熱伝導率を有する媒体で充填されるものと推測された。この媒体は,例えば図2-5に示されたようにガス通路22を介して導入されるかなり高い熱伝導率を有するガスであることができるか,またはさもなければ,直接に間隔19内に導入されるかなり高い熱伝導率を有するガスであることができる。曲線Cは,ヒートシンク板それ自体のための温度-時間プロフィールを示し,このプロフィールは,ランピングアップ中のウェーハのプロフィールに適合する。曲線Bからは,ヒートシンク板が存在する場合に,900℃からのウェーハの最初の冷却は,ウェーハからヒートシンク板への熱の急速な伝導の結果として著しく促進されることが確認される。曲線Cは,ヒートシンク板がウェーハからの熱を吸収する場合にどのようにヒートシンク板の温度が上昇し,さらにウェーハとヒートシンク板が通常の温度に到達し,そのポイント後に同じ速度で冷却されるのかを示す。また,ウェーハの照射冷却速度は,ヒートシンク板によって減少されることも確認される。それというのも,ウェーハとヒートシンク板との組合せは,ウェーハ単独での熱質量の2倍の熱質量を有するからである。それ故に,熱への暴露は,例えば本実施例でウェーハが~800℃未満の温度に冷却されるように実際によりいっそう大きくなる。 【0053】 これにも拘わらず,ヒートシンク板の操作は,なお利点を有することができる。それというのも,この温度で起こる多くの望ましくない工程,例えばドーパント原子の拡散は,速度が温度への指数依存性を有する熱活性化された工程であるからである。その結果,よりいっそう高い温度での急速冷却は,しばしばよりいっそう低い温度での冷却速度よりも著しく重要である。 【0054】 ウェーハの急速冷却のために,ウェーハからヒートシンク板への効率的な熱移動が存在することは,重要である。或る程度の熱が熱放射によって移動されるけれども,最も効率的な方法は,ウェーハとヒートシンク板との間の媒体を通しての熱伝導に依存する。熱伝導は,ウェーハとヒートシンク板との間で媒体の熱伝導率を増加させかつこれら2つの間の間隙(19)の寸法を減少させることによって増大される。図7には,間隙19の寸法を変動させることによる効果が図示されている。この場合,この媒体は,図6の場合と同様に0.5Wm-1K-1の熱伝導率を有するものと推測される。曲線Aは,ヒートシンク板なしのウェーハのための温度-時間プロフィールであり,曲線Bは,ヒートシンク板がウェーハから0.1mm離れた場合であり,および曲線Cは,ヒートシンク板がウェーハから0.2mm離れた場合である。曲線DおよびEは,これらの曲線がウェーハからそれぞれ0.1mmまたは0.2mm離れた場合のヒートシンク板のための温度サイクルである。図7は,該板がウェーハから0.2mm離れた場合に最初の冷却速度はなお増大するけれども,大きな間隙を横切っての減少された熱伝導率の結果として冷却効率が減少されることを示す。」 オ 「【0064】 ヒートシンク板を使用することの1つの困難は,ウェーハをヒートシンク板上に装荷する必要性があることから発生する。物理的近接は,該板とウェーハとのアクセスを必要とするウェーハ装荷機構の使用を阻止する。ウェーハは,ヒートシンク板20中のホールを通過する一組のピンを使用することによって該板上に装荷されることができる。ウェーハは,ウェーハを該板上に位置させることができ,次に該板上に降下させるような機構を有する端部でウェーハが保持される場合には,直接に該板上に装荷されてもよい。ヒートシンク板は,図3および5bに示された機構,例えば装荷凹所またはスロット25を簡易化するために適合されてもよい。ウェーハは,上方から保持する方法,例えばベルヌーイのピックアップ法(Bernoulli pick-up)によって支持されてもよい。別の方法は,ウェーハを端縁付近に保持する支持部材上にウェーハを装荷し,次にヒートシンク板をウェーハと近接するようにもたらすことを含むことができる。ウェーハが載置される構成成分は,極めて薄手であり,したがってヒートシンク板とウェーハとの間に適合する。 【0065】 また,ヒートシンク板は,カットアウト区分を有することができ,したがって該ヒートシンク板は,ウェーハ支持体に妨害を与えない。」 カ 「【0070】 コーティングおよび表面変性は,該板の熱的性質または光学的性質を最適化するのにも役立ちうる。例えば,高温計が該板の温度を測定するために使用される場合には,コーティングを使用し,検出温度のための手段としての高温計が検出する放射線の波長に対して抗反射層を形成させることは,有用である。この方法は,該板の放射率を増大させ,高温計システム中への逆光放射の反射から生じる,温度測定時の誤差を減少させるのに役立つことができ,ならびに高温計によって検出される信号を増加しかつ精度を改善する,放射率の高い値を定義するのに役立つ。ヒートシンク板の光学的性質の最適化は,他の方法で有用であることもできる。例えば,材料およびコーティングの選択は,加熱サイクルの性質の定義に役立ちうる。例えば,加熱に使用される放射線の一部に対して少なくとも部分的に透明である材料の選択は,ウェーハの温度を比較して加熱サイクル中に到達される温度を減少させる傾向にあり,それ故に冷却効率を改善する。別の例は,該板が熱放射線を放出する,波長範囲を横切って放射率を増加させる材料またはコーティングを選択することである。これは,放射冷却の効率を増加させ,冷却速度を加速することができる。」 キ 図1には,表側及び裏側を有するウェーハ16と,反射壁10とランプ12a及び12bに隣接する光学窓14a及び14bによって両方の側が画定される,ウェーハ16及び熱移動板20が配置された領域があり,ウェーハの表側及び裏側がランプ12a及び12bに面していること,及び,反射壁10はウェーハから見てランプ12a及び12bの裏側に配置されること,が記載されていると認められる。 (2)引用発明1 前記(1)より,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「ウェーハの急速熱処理チャンバーであって, 表側及び裏側を有するウェーハと,反射壁とランプに隣接する光学窓によって両方の側が画定される,ウェーハ及び動的ヒートシンクが配置された領域と,を備え, 反射壁はウェーハから見てランプの裏側に配置され,動的ヒートシンクは加熱に使用される放射線の一部に対して少なくとも部分的に透明であり,ウェーハを保持する支持部材上にウェーハを装荷し,次に動的ヒートシンクをウェーハと近接するようにもたらし,動的ヒートシンクは,ウェーハとの隣接した熱伝達状態で位置し,この動的ヒートシンクは,パルスが熱伝導によって停止された後に物体からの熱移動を増加させること。」 3 引用文献2の記載 (1)引用文献2 引用文献2には,図面とともに,次の記載がある。 ア 「【0011】 本発明のさらに他の態様によれば,高温処理チャンバと,チャンバ内に配置された基板ホルダと,冷却部材と,冷却シェルタとを備える基板加工システムが,提供される。このシェルタは,高温処理中に,冷却部材を熱から保護するように構成されている。冷却部材を支持する可動アームが,可動アーム及び冷却部材を第1の位置から第2の位置へ延ばすことができる駆動機構に接続されている。冷却部材は,第1の位置において冷却シェルタの直近に位置しており,第2の位置において基板ホルダの直近に位置している。」 イ 「【0025】 図2A,図2B,及び図2Cは,本発明の第2の実施形態により構成された処理チャンバ28を図示している。便宜上,図1と同様の構成要素は,同様の参照番号で記載していく。図示したように,チャンバ28は,冷却部材又はプレート30を備えており,プロセスエリアの外側のポケット32内に保管されるのが好ましく,この結果,プレート30はウェハ処理の妨げになることはない。図示した実施形態において,ポケット32は,プロセスガス入口及びウェハロードポートに対向するチャンバ28の下流端に配置されている。図2Aに図示したように,プレート30は,可動アーム36により,ポケット32内に装着されており,ポケット32の表面から距離または間隔34を置いて配置されている。アーム36は,ポケット32を延びており,駆動機構またはアクチュエータ38により駆動される。 【0026】 図示したプレート30は,ウェハ14の表面領域より大きいかまたは等しい平らな下側表面を有しており,ウェハ14またはサセプタ12の材料より高い所定の熱容量の材料を含んでいるのが好ましい。有利に総熱容量を高くしつつ材料のコストと利用可能な空間との釣り合いを取って,当業者は可動プレート30の厚さを選択することができる。プレート30は処理されるウェハ14より熱量が大きいのが望ましい。固体の熱的質量すなわち熱容量は以下の式で求められる。 ・・・ 【0029】 ポケット32は,プロセスエリアの外側に配置されているので,ウェハ及びサセプタの組み合わせに向けられた放射熱から保護されており,放射熱を吸収せず,従ってウェハ14より相対的に低温のままである。ポケット32を画定する面は,循環冷却流体(空気または水)によるように,対流により能動的に冷却される。 【0030】 操作において,プレート30は,ウェハ14が高温処理(例えば,約1000℃から1200℃でエピタキシャル成長)されている間,ポケット32に保管されている。冷却されたポケット32は,プレート30を,好ましくは操作温度(例えば,好ましいベルヌーイワンドについては約900℃)未満に冷却した状態に保つ。プレート30とポケット32の間の間隔34は約5mm未満であり,この結果,伝導性のある熱伝達が,冷却されたポケット32内でプレート30を低温に保つ熱交換に寄与するのが望ましい。チャンバ10内の周囲のガス圧及び伝導性により異なるが,間隔は,約0.2mmと3mmとの間であるのが好ましく,約0.5mmと1.5mmとの間であるのがさらに好ましい。ウェハ14は冷却工程中に回転し続ける。 【0031】 高温処理ステップが完了すると,アクチュエータ38は,プレート30をウェハ14上方に移動するようにアーム36を駆動し,この結果プレート30はウェハ14の直近に位置する。図示した実施形態において,プレート30は,ウェハ14に平行に,かつウェハに対して適宜の垂直位置に(すなわち,好ましくは約3mm未満の間隔を垂直にあけて,さらに好ましくは約0.5mmと1.5mmとの間の間隔を垂直にあけて)装着される。従って,好ましいアクチュエータ38は,アーム36,そしてプレート30を外側水平方向に移動する。他の配置では,プレート30を,ウェハと対向する関係になるまで水平及び垂直の両方向に移動して,伝導性のある伝熱が容易となる距離をウェハから離して配置できることが,理解されよう。 【0032】 ウェハ14とプレート30の対向面の間の垂直方向のギャップ24は,図1の実施形態について説明した通りであるのが好ましい。従って,ウェハ及びサセプタの組み合わせは,伝導性のある伝熱と,放射性のある伝熱の両方により急速に冷却される。」 ウ 図2Aには,プレート30を支えるアーム36が記載されていると認められる。 (2)引用発明2 前記(1)より,引用文献2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「高温処理チャンバにおいて,プレートは,ウェハが高温処理されている間,プロセスエリアの外側のポケットに保管されており,高温処理ステップが完了すると,プレートを支えるアームを駆動して,プレートをウェハと対向する関係になるまで水平及び垂直の両方向に移動すること。」 第6 判断 1 本願装置発明について (1)本願装置発明と引用発明Aとの対比 ア 引用発明Aにおける「基板(ウエハ)」は平板状のものなので表側及び裏側を有することは自明であって,してみると,引用発明Aの「基板の熱処理装置」は本願装置発明の「表側および裏側を有する基板を処理するための装置」に相当する。 イ 引用発明Aにおける「光入射窓」及び「加熱源であるランプハウス」は,それぞれ本願装置発明の「窓」及び「放射熱源」に相当し,引用発明においては「熱処理炉の上部の炉壁は光入射窓となっており,光入射窓は熱処理炉の反応室と加熱源であるランプハウスとの間の隔壁であ」るから,その「熱処理炉の反応室」は,本願装置発明における「プロセス領域の外部に位置決めされる放射熱源に隣接する窓によって一方の側が画定される,チャンバ内のプロセス領域」に相当する。 ウ 引用発明Aにおける「可動冷却板」は「石英ガラスによって形成され」るから,下記相違点1を除いて,本願装置発明の「放射熱源からの光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンク」を満たすものである。 エ 引用発明Aにおける「ウエハ支持リング」は「ウエハ」を「水平に支持」するもので,これにより,ウエハは「熱処理炉の上部の炉壁」である「光入射窓」を通して「加熱源であるランプハウス」と対向し,また,「ウエハと近接する上部の冷却位置」に位置する「可動冷却板」と近接することになるから,下記相違点1を除いて,本願装置発明における「基板の表側および裏側のうちの少なくとも一方が放射熱源に面していることによりダイナミックヒートシンクが基板に結合して基板からの熱を吸収するような場所に,熱処理の期間,ダイナミックヒートシンクに隣接する基板を保持するための基板支持体」を満たすものである。 オ 引用発明Aにおける「反射板」は「熱処理炉の下部炉壁」を構成し「熱処理炉の上部の炉壁」である「光入射窓」を通して「加熱源であるランプハウス」と対向するから,本願装置発明における「放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレートであって,基板支持体がリフレクタプレートと放射熱源との間になるように位置付けられたリフレクタプレート」を満たすものである。 カ 引用発明Aにおける「可動冷却板」は「冷却板上下機構に保持されており上下方向に高速で移動させられ」るから,下記相違点2を除いて,本願装置発明における「ダイナミックヒートシンクが独立したヒートシンク支持体により支持され,独立したヒートシンク支持体が基板平面に対して垂直方向に移動可能である」を満たすものである。 キ すると,本願装置発明と引用発明Aとは,下記クの点で一致し,下記ケの点で相違すると認められる。 ク 一致点 「表側および裏側を有する基板を処理するための装置であって, プロセス領域の外部に位置決めされる放射熱源に隣接する窓によって一方の側が画定される,チャンバ内のプロセス領域と, 放射熱源からの光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンクと, 基板の表側および裏側のうちの少なくとも一方が放射熱源に面していることによりダイナミックヒートシンクが基板に結合して基板からの熱を吸収するような場所に,熱処理の期間,ダイナミックヒートシンクに隣接する基板を保持するための基板支持体と 放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレートであって,基板支持体がリフレクタプレートと放射熱源との間になるように位置付けられたリフレクタプレートと,を備え, ダイナミックヒートシンクが独立したヒートシンク支持体により支持され,独立したヒートシンク支持体が基板平面に対して垂直方向に移動可能である装置。」 ケ 相違点 (ア)相違点1 本願装置発明においては「ダイナミックヒートシンク」が「プロセス領域内に配置され」「基板支持体」が「プロセス領域内」にあるのに対し,引用発明Aにおいては「可動冷却板」及び「ウエハ支持リング」が「反応室内」にない点。 (イ)相違点2 本願装置発明においては「ダイナミックヒートシンクが放射熱源と基板支持体との間に位置付けられ」るのに対し,引用発明Aにおいては「反射板のウエハに対応する面側に可動冷却板が配設され」る点。 (2)相違点2についての判断 相違点2に係る構成を得るには,引用発明Aにおいて,反射板のウエハに対応する面側に配設されている可動冷却板を反射板から切り離してウエハを挟んで反対側に配設することで加熱源であるランプハウスとウエハ支持リングとの間に位置付ける必要がある。しかし,引用発明Aにおいて可動冷却板は反射板に近接する待機位置にある間に水冷された反射板により冷却されることで,冷却位置に移動してウエハを急速に冷却することが可能になる(前記第5の1(1)ウ【0029】及び【0030】)のであるから,可動冷却板を反射板から切り離してランプハウスとウエハとの間に位置付けることは,引用発明Aの反射板による急速な冷却が機能しなくなることを意味し,引用発明Aの目的に反することになり,阻害要因があるといえる。 してみると,引用発明Aに基づいて相違点2に係る構成を得ることは,当業者が容易になしうることではない。 (3)本願装置発明と引用発明1との対比 ア 引用発明1の「表側及び裏側を有するウェーハ」は本願装置発明の「表側および裏側を有する基板」に相当し,してみると引用発明1の「ウェーハの急速熱処理チャンバー」は本願装置発明の「表側および裏側を有する基板を処理するための装置」に相当すると認められる。 イ 引用発明1の「反射壁とランプに隣接する光学窓によって両方の側が画定される,ウェーハ及び動的ヒートシンクが配置された領域」は,ウェーハに「高速熱処理」をするためのものであるから,「プロセス領域」ということができ,引用発明1の「ランプ」は本願装置発明の「放射熱源」に相当することを当然の前提として,引用発明1における「反射壁とランプに隣接する光学窓によって両方の側が確定される,ウェーハ及び動的ヒートシンクが配置された領域」は,下記相違点3を除いて,本願装置発明における「プロセス領域の外部に位置決めされる放射熱源に隣接する窓によって画定される,チャンバ内のプロセス領域」を満たすものである。 ウ 引用発明1の「動的ヒートシンク」は「加熱に使用される放射線の一部に対して少なくとも部分的に透明であ」るから,本願装置発明の「プロセス領域内に配置され,放射熱源からの光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンク」に相当すると認められる。 エ 引用発明1においては「ウェーハを保持する支持部材上にウェーハを装荷し,次に動的ヒートシンクをウェーハと近接するようにもたらし,動的ヒートシンクは,ウェーハとの隣接した熱伝達状態で位置し,この動的ヒートシンクは,パルスが熱伝導によって停止された後に物体からの熱移動を増加させる」から,この「ウェーハを保持する支持部材」は,本願装置発明の「基板の表側および裏側のうちの少なくとも一方が放射熱源に面していることによりダイナミックヒートシンクが基板に結合して基板からの熱を吸収するような場所に,熱処理の期間,ダイナミックヒートシンクに隣接する基板を保持するためのプロセス領域内の基板支持体」を満たすものである。 オ 引用発明1の「反射壁」は,下記相違点4を除いて,本願装置発明の「放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレート」に相当する。 カ 引用発明1の「動的ヒートシンク」は,「反射壁とランプに隣接する光学窓によって両方の側が画定される,ウェーハ及び動的ヒートシンクが配置された領域」にあるから,本願装置発明の「ダイナミックヒートシンクが放射熱源と基板支持体との間に位置付けられる」を満たすものである。 キ してみると,本願装置発明と引用発明1とは,下記クの点で一致しているが,下記ケの点で相違すると認められる。 ク 一致点 「表側および裏側を有する基板を処理するための装置であって, プロセス領域の外部に位置決めされる放射熱源に隣接する窓によって画定される,チャンバ内のプロセス領域と, プロセス領域内に配置され,放射熱源からの光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンクと, 基板の表側および裏側のうちの少なくとも一方が放射熱源に面していることによりダイナミックヒートシンクが基板に結合して基板からの熱を吸収するような場所に,熱処理の期間,ダイナミックヒートシンクに隣接する基板を保持するためのプロセス領域内の基板支持体と 放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレートと,を備え, ダイナミックヒートシンクが放射熱源と基板支持体との間に位置付けられる装置。」 ケ 相違点 (ア)相違点3 本願装置発明においては「プロセス領域」は「窓によって一方の側が画定される」のに対し,引用発明1においては「ウェーハ及び動的ヒートシンクが配置された領域」は「光学窓によって両方の側が画定される」点。 (イ)相違点4 本願装置発明においては「基板支持体がリフレクタプレートと放射熱源との間になるように位置付けられた」のに対し,引用発明1においては「反射壁はウェーハから見てランプの裏側に配置され」る点。 (ウ)相違点5 本願装置発明においては「ダイナミックヒートシンクが独立したヒートシンク支持体により支持され,独立したヒートシンク支持体が基板平面に対して垂直方向に移動可能である」のに対し,引用発明1においては「動的ヒートシンクをウェーハと近接するようにもたら」すが,独立したヒートシンク支持体及び独立したヒートシンク支持体が基板平面に対して垂直方向に移動可能であることが開示されていない点。 (4)相違点3ないし5についての判断 ア 引用発明1において相違点3及び4に係る構成を得るには,光学窓によって両方の側が画定されているところ,どちらか一方の光学窓並びに反射壁及びランプを単一の反射壁に置き換えなくてはならないが,そうすべき動機付けがない。引用発明1は「急速熱処理」にかかるもので両側の加熱ランプのうち一方を反射壁に置き換えることは急速熱処理と相容れない。 イ 相違点5に係る構成に関し引用発明2には「高温処理ステップが完了すると,プレートを支えるアームを駆動して,プレートをウェハと対向する関係になるまで水平及び垂直の両方向に移動すること」が開示されているが,引用発明2においては「プレートは,ウェハが高温処理されている間,プロセスエリアの外側のポケットに保管されて」いるから,プレートとウェハとが対向するように移動する必要があるのであって,引用発明1においては急速熱処理中に動的ヒートシンクとウェーハは領域中に配置されているから,動的ヒートシンクを移動させる必要はなく,引用発明1において引用発明2を採用するべき動機づけがない。 また,引用発明1はパルス状に急速熱処理を行うものであり,急速熱処理中に動的ヒートシンクを領域の外側から内側に動かすには時間がかかり,急速熱処理と両立しない。 (5)小括 以上のとおりであるから,本願装置発明は,引用文献A,1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2 本願方法発明について (1)本願方法発明と引用発明Aとの対比 引用文献Aには引用発明Aの装置で処理する方法の発明(以下,単に「引用発明A」という。)が記載されており,本願方法発明と引用発明Aとは,下記アの点で一致し,下記イの点で相違すると認められる。 ア 一致点 「表側および裏側を有する基板を,放射熱源を備えるチャンバ内で処理する方法であって, チャンバのプロセス領域であって,プロセス領域の一方の側が,放射熱源をプロセス領域から分離する窓によって画定されるプロセス領域で基板を支持するステップと, 放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレートを,放射熱源の反対側で基板に隣接して配置するステップと, 放射熱源により放出される光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンクを,基板に隣接する場所で,熱処理の期間,支持するステップと, 基板を第1の温度に加熱するように放射熱源を動作するステップと, 放射熱源を活動停止にし,ダイナミックヒートシンクが基板からの熱を吸収するように,ダイナミックヒートシンクを基板平面に対して垂直方向に移動して配置するステップと を含む方法。」 イ 相違点 (ア)相違点6 本願方法発明においては「プロセス領域の内で」基板を支持し,ダイナミックヒートシンクを「プロセス領域内に」支持するのに対し,引用発明Aにおいてはウエハ及び可動冷却板を「反応室内」で支持しない点。 (イ)相違点7 本願方法発明においては「ダイナミックヒートシンクを,放射熱源と同じ側で基板に隣接する場所で」支持するのに対し,引用発明Aにおいては「反射板のウエハに対応する面側に可動冷却板が配設され」る点。 (2)相違点7についての判断 相違点7に係る工程を得るには,引用発明Aにおいて,反射板のウエハに対応する面側に配設されている可動冷却板を反射板から切り離してウエハを挟んで反対側に配設することで加熱源であるランプハウスと同じ側で支持する必要がある。しかし,引用発明Aにおいて可動冷却板は反射板に近接する待機位置にある間に水冷された反射板により冷却されることで,冷却位置に移動してウエハを急速に冷却することが可能になる(前記第5の1(1)ウ【0029】及び【0030】)のであるから,可動冷却板を反射板から切り離してランプハウスと同じ側でウエハに隣接する場所で支持することは,引用発明Aの反射板による急速な冷却が機能しなくなることを意味し,引用発明Aの目的に反することになり,阻害要因があるといえる。 してみると,引用発明Aに基づいて相違点7に係る工程を得ることは,当業者が容易になしうることではない。 (3)本願方法発明と引用発明1との対比 引用文献1には引用発明1の装置で処理する方法の発明(以下,単に「引用発明1」という。)が記載されており,本願方法発明と引用発明1とは,下記アの点で一致し,下記イの点で相違する。 ア 一致点 「表側および裏側を有する基板を,放射熱源を備えるチャンバ内で処理する方法であって, チャンバのプロセス領域であって,放射熱源をプロセス領域から分離する窓によって画定されるプロセス領域の内で基板を支持するステップと, 放射熱源からの光を反射するためのリフレクタプレートを,基板に隣接して配置するステップと, 放射熱源により放出される光に対して実質的に透明であるダイナミックヒートシンクを,放射熱源と同じ側で基板に隣接する場所で,熱処理の期間,プロセス領域内に支持するステップと, 基板を第1の温度に加熱するように放射熱源を動作するステップと, を含む方法。」 イ 相違点 (ア)相違点8 本願方法発明においては「プロセス領域の一方の側が」窓によって画定されるのに対し,引用発明1においては「光学窓によって両方の側が画定される」点。 (イ)相違点9 本願方法発明においてはリフレクタプレートを「放射熱源の反対側で基板に隣接して配置する」のに対し,引用発明1においては「反射壁はウェーハから見てランプの裏側に配置され」る点。 (ウ)相違点10 本願方法発明は「放射熱源を活動停止にし,ダイナミックヒートシンクが基板からの熱を吸収するように,ダイナミックヒートシンクを基板平面に対して垂直方向に移動して配置するステップ」を含むのに対し,引用発明1は「ダイナミックヒートシンクを基板平面に対して垂直方向に移動して配置するステップ」を含まない点。 (4)相違点8ないし10についての判断 ア 引用発明1において相違点8及び9に係る工程を得るには,光学窓によって両方の側が画定されているところ,どちらか一方の光学窓並びに反射壁及びランプを単一の反射壁に置き換えなくてはならないが,そうすべき動機付けがない。引用発明1は「急速熱処理」にかかるもので両側の加熱ランプのうち一方を反射壁に置き換えることは急速熱処理と相容れない。 イ 相違点10に係る工程に関し引用発明2には「高温処理ステップが完了すると,プレートを支えるアームを駆動して,プレートをウェハと対向する関係になるまで水平及び垂直の両方向に移動すること」が開示されているが,引用発明2においては「プレートは,ウェハが高温処理されている間,プロセスエリアの外側のポケットに保管されて」いるから,プレートとウェハとが対向するように移動する必要があるのであって,引用方法発明においては熱処理中に動的ヒートシンクとウェーハはチャンバーの領域に配置されているから,動的ヒートシンクを移動させる必要はなく,引用方法発明において引用発明2を採用するべき動機づけがない。 また,引用方法発明はエネルギーパルスで加熱を急速に行うものであり,処理中に動的ヒートシンクを領域の外側から内側に動かすには時間がかかり,急速加熱と両立しない。 (5)小括 以上のとおりであるから,本願方法発明は,引用文献A,1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 3 請求項2-8,10-13に係る発明について 本願の請求項2ないし8に係る発明は本願装置発明をさらに限定したものであり,本願の請求項10ないし13に係る発明は本願方法発明をさらに限定したものであるから,それぞれ,本願装置発明及び本願方法発明と同様に,引用文献A,1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 4 当審拒絶理由1及び2について 平成29年7月13日付け手続補正で補正した請求項1ないし13には,当審拒絶理由1及び2にかかる記載不備は存在しない。 よって,当審拒絶理由1及び2は解消した。 第7 原査定についての判断 前記第6の1ないし3のとおり,本願発明は引用文献A,1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえないから,本願発明は引用文献1及び2に記載された発明に基づいても当業者が容易に発明することができたとはいえない。 よって,原査定の理由では本願を拒絶することはできない。 第8 むすび 以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2015-013418

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