特許拒絶査定不服審判
2015-005642
トロファ型光学アセンブリ
- 審判番号
- 2015-005642
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-543207外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年03月25日
- 審決日
- 2017年08月10日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】クリー インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
- 分類
- P18 .537-WY (F21S) / P18 .121-WY (F21S) / P18 .55 -WY (F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-543207号「トロファ型光学アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年6月14日国際公開、WO2012/078408、平成25年12月19日国内公表、特表2013-545254号、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)11月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年12月6日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成25年8月6日に補正書が提出され、平成26年5月13日付けで拒絶理由が通知され、同年8月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月17日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年3月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出された。
その後、当審において、平成28年1月29日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)が通知され、同年4月27日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月23日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)が通知され、同年11月24日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月17日付けで拒絶理由<最後>(以下、「当審拒絶理由3」という。)が通知され、同年5月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月20日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由4」という。)が通知され、同年7月5日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~12に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1~12」という。)は、平成29年7月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認めるところ、以下のとおりである。
なお、下線は補正箇所を示す。
「 【請求項1】
取付面を備える長尺状のヒートシンクと、
前記ヒートシンクの上に、かつ前記取付面を覆って取付けられた長尺状のレンズと、
前記ヒートシンクの両側から、前記長尺状のレンズから離れる方向に延出する反射板と、
前記ヒートシンクと前記反射板に近接して取付けられたレンズ板であって、前記ヒートシンク、前記反射板および前記レンズ板が、少なくとも部分的に内部空洞を画定している、レンズ板と、
を備え、
前記長尺状のレンズは、少なくとも部分的に前記内部空洞の中にあり、
前記長尺状のレンズは、光を前記レンズ板の全面に拡散させるように成形されており、
前記レンズ板は、中央領域と2つの側方領域とを備え、前記レンズ板は、前記中央領域が前記長尺状のヒートシンクと同じ方向に沿って延出するように、取付けられており、
前記中央領域は、前記延出する方向に垂直な断面において前記内部空洞の外側に向かって凸状である形状を有し、
前記側方領域は、凹型形状を有する
ことを特徴とするライトエンジンユニット。
【請求項2】
前記取付面に配置された少なくとも1つの発光体を更に備え、前記少なくとも1つの発光体は、少なくとも部分的に前記長尺状のレンズによって囲まれていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの発光体は、複数の発光ダイオード(LED)で構成される少なくとも1つのクラスタを備えることを特徴とする、請求項2に記載のライトエンジンユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1つの発光体は、2つの青色にシフトされた黄色LEDと1つの赤色LEDとを備える、複数のLEDを有する少なくとも1つのクラスタを備えていることを特徴とする、請求項2に記載のライトエンジンユニット。
【請求項5】
少なくとも1つのライトストリップを更に備え、前記少なくとも1つのライトストリップは、前記長尺状のレンズに対向するように前記取付面に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項6】
前記長尺状のレンズは、前記ヒートシンクに対向する側からの光を受取り、かつ前記光の少なくとも一部を方向転換させ、前記長尺状のレンズの両側から出光させるように成形されていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項7】
前記反射板は白色拡散反射体を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項8】
前記レンズ板は拡散性を有していることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項9】
前記レンズ板は光束成形機能を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項10】
前記レンズ板はマイクロレンズ構造を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項11】
前記内部空洞の端部に、透過性の端部キャップを更に備えていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。
【請求項12】
内部反射面を備える皿構造を更に備え、前記内部反射面は前記レンズ板の周囲に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のライトエンジンユニット。」
第3 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(1)当審拒絶理由1の[理由1](進歩性)
この出願の請求項1~8、10~14に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
登録実用新案第3151501号公報(以下、「刊行物1」という。)
特開2006-173624号公報(以下、「刊行物2」という。)
(2)当審拒絶理由1、2及び3の[理由2]並びに当審拒絶理由4(記載不備)
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に、「前記中央領域は、凸状である形状を有」すると記載されているが、当該記載では、どの方向に凸状であるのか、また、凸状自体がどのような形状であるのか特定することができないから、当該記載の「中央領域」は構成を特定することができず、明確でない。
(3)当審拒絶理由2及び3の[理由1](新規事項)
平成28年4月27付けでした手続補正及び平成28年11月24付けでした手続補正は、外国語書面の翻訳文(当該翻訳文と共に提出された図面を含む)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2 進歩性の判断
(1)刊行物1に記載された発明
ア
光拡散部16’は、各発光ダイオード31が発する光線を受け取ること(段落【0016】)及び図7~8から、アルミ基板30は長尺状であり、光拡散部16’は、中央領域と2つの側方領域とを備え、前記長尺状のアルミ基板30と同じ方向に沿って延出するように、取付けられていることが明らかである。
イ
図7~8から、アルミ基板30、光反射板20,21及び光拡散部16’が、少なくとも部分的に内部空洞を画定していることが、看取できる。
ウ
上記ア,イ、段落【0008】,【0011】~【0016】及び図1~4,7の記載内容を踏まえて、本願発明1の発明特定事項に則ると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「複数の発光ダイオード31を設置し、散熱性能を備える長尺状のアルミ基板30と、
前記アルミ基板30の各発光ダイオード31側面に、下縁側を外へと傾斜させて設置する光反射板20,21と、
前記アルミ基板30と前記光反射板20,21が内部に固定された殻体10の内壁の光拡散膜に光拡散部16’を設置し、前記アルミ基板30、前記光反射板20,21及び前記光拡散部16’が、少なくとも部分的に内部空洞を画定している、光拡散部16’と、
を備え、
前記光拡散部16’は、中央領域と2つの側方領域とを備え、前記長尺状のアルミ基板30と同じ方向に沿って延出するように、取付けられている、
発光ダイオード灯管の構造。」
(2)対比・判断
(2-1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)
引用発明の「複数の発光ダイオード31を設置し、散熱性能を備える長尺状のアルミ基板30」は、複数の発光ダイオードを設置する取付面を備えているといえること、及び、散熱性能を備える長尺状であるから、本願発明1の「取付面を備える長尺状のヒートシンク」に相当する。
(イ)
引用発明の「前記アルミ基板30の各発光ダイオード31側面に、下縁側を外へと傾斜させて設置する光反射板20,21」と、本願発明1の「前記ヒートシンクの両側から、前記長尺状のレンズから離れる方向に延出する反射板」とは、「前記ヒートシンクの両側から、前記取付面から離れる方向に延出する反射板」である限りにおいて共通する。
(ウ)
引用発明の「前記アルミ基板30と前記光反射板20,21が内部に固定された殻体10の内壁の光拡散膜に光拡散部16’を設置し、前記アルミ基板30、前記光反射板20,21及び前記光拡散部16’が、少なくとも部分的に内部空洞を画定している、光拡散部16’」は、「光拡散部16’」が、「アルミ基板30」と「光反射板20,21」に近接して取付けられているといえるから、本願発明1の「前記ヒートシンクと前記反射板に近接して取付けられたレンズ板であって、前記ヒートシンク、前記反射板および前記レンズ板が、少なくとも部分的に内部空洞を画定している、レンズ板」に相当する。
(エ)
引用発明の「前記光拡散部16’は、中央領域と2つの側方領域とを備え、前記長尺状のアルミ基板30と同じ方向に沿って延出する」ことは、中央領域も長尺状のアルミ基板30と同じ方向に沿って延出するといえるから、本願発明1の「前記レンズ板は、中央領域と2つの側方領域とを備え、前記レンズ板は、前記中央領域が前記長尺状のヒートシンクと同じ方向に沿って延出するように、取付けられて」いることに相当する。
(オ)
引用発明の「発光ダイオード灯管の構造」は、本願発明1の「ライトエンジンユニット」に相当する。
以上から、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「取付面を備える長尺状のヒートシンクと、
前記ヒートシンクの両側から、前記取付面から離れる方向に延出する反射板と、
前記ヒートシンクと前記反射板に近接して取付けられたレンズ板であって、前記ヒートシンク、前記反射板および前記レンズ板が、少なくとも部分的に内部空洞を画定している、レンズ板と、
を備え
前記レンズ板は、中央領域と2つの側方領域とを備え、前記レンズ板は、前記中央領域が前記長尺状のヒートシンクと同じ方向に沿って延出するように、取付けられている、
ライトエンジンユニット。」
<相違点1>
本願発明1は、「前記ヒートシンクの上に、かつ前記取付面を覆って取付けられた長尺状のレンズ」を備えるとともに、「反射板」が「前記長尺状のレンズから離れる方向に延出」し、「前記長尺状のレンズは、少なくとも部分的に前記内部空洞の中にあり、前記長尺状のレンズは、光を前記レンズ板の全面に拡散させるように成形されて」いるのに対し、引用発明は、そのような長尺状のレンズを備えるとはされておらず、「反射板」が「前記取付面から離れる方向に延出する」点。
<相違点2>
本願発明1は、「前記中央領域は、前記延出する方向に垂直な断面において前記内部空洞の外側に向かって凸状である形状を有し、前記側方領域は、凹型形状を有する」のに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。
イ 判断
以下、事案に鑑み、相違点2について検討する。
刊行物2(図2A等)に記載の拡散手段22には、凹型形状の領域は存在しておらず、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、刊行物2には記載されていないし、他に当該構成が公知ないし周知であるという証拠も無い。
したがって、当該構成を備える本願発明1は、引用発明及び刊行物2に記載された事項から当業者が容易になし得たとはいえない。
(2-2)本願発明2~12について
本願発明2~12は、本願発明1の発明特定事項を全て備えているから、上記(2-1)と同様に、引用発明及び刊行物2に記載された事項から当業者が容易になし得たとはいえない。
(3)小括
したがって、当審拒絶理由1の[理由1](進歩性)は、解消した。
3 記載不備の判断
請求項1の「中央領域」に関しては、「中央領域は、前記延出する方向に垂直な断面において前記内部空洞の外側に向かって凸状である形状を有」するものと補正されたから、かかる「中央領域」は構成を明確に特定することができるようになり、本願発明1は明確となった。
これにより、本願発明1の発明特定事項を全て備える本願発明2~12も明確となった。
したがって、当審拒絶理由1、2及び3の[理由2]並びに当審拒絶理由4(記載不備)は解消した。
4 新規事項の判断
外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内に補正された。
したがって、当審拒絶理由2及び3の[理由1](新規事項)は解消した。
5 当審拒絶理由の判断についてのまとめ
以上から、当審拒絶理由は全て解消した。
第4 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
この出願の請求項1~8、10~14に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
特開2009-295577号公報(以下、「刊行物A」という。)
特開2010-103687号公報(以下、「刊行物B」という。)
登録実用新案第3097327号公報(以下、「刊行物C」という。)
2 原査定の理由の判断
本願発明1は、原査定において、拒絶の対象となっていない平成26年8月20日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項9の発明特定事項を全て備えているものであるところ、刊行物A~Cには、上記相違点2に係る本願発明1の構成(第3 2(2)(2-1)ア参照)は、記載も示唆もされていないから、本願発明1~12は、刊行物A~Cに基づいて当業者が容易になし得たとはいえない。
したがって、原査定の理由は解消した。
第5 むすび
以上のとおり、本願については、原査定の理由及び当審の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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