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特許無効審判

2014-800182

逆流防止装置

審判番号
2014-800182
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2002-054751
登録番号
特許第3845031号(P3845031)
請求日
2014年11月11日
審決日
2015年11月25日
公報発行日
2017年12月28日
結論
訂正認容・請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 ノーリツ
  • 【請求人代理人】深見 久郎
  • 【請求人代理人】森田 俊雄
  • 【請求人代理人】吉田 昌司
  • 【請求人代理人】山田 裕文
  • 【請求人代理人】土谷 和之
  • 【請求人代理人】溝口 正信
  • 【被請求人】株式会社 テージーケー
  • 【被請求人代理人】森下 賢樹
  • 【被請求人代理人】三木 友由
  • 【被請求人代理人】松尾 卓哉
  • 【被請求人代理人】横井 康真
審判長/審判官
  • 審判長 紀本 孝
  • 審判官 鳥居 稔
  • 審判官 佐々木 正章
分類
P1123.113-YAA(F24H) / P1123.121-YAA(F24H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第3項、特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第169条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第3845031号発明「逆流防止装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本件特許第3845031号に係る出願は,平成14年2月28日に特許出願され,平成18年8月25日にその発明について特許の設定登録(請求項の数2)がなされたものである。 また、本件無効審判請求に係る経緯は、以下のとおりである。 平成26年11月11日  無効審判請求 平成27年 2月 2日  訂正請求 平成27年 2月 3日  答弁書提出 平成27年 6月25日  弁駁書提出 平成27年 9月 2日  口頭審理陳述要領書提出(請求人) 平成27年 9月 2日  口頭審理陳述要領書提出(被請求人) 平成27年 9月16日  口頭審理陳述要領書(2)提出(請求人) 平成27年 9月16日  口頭審理 平成27年10月 1日  上申書(被請求人) 平成27年10月 2日  上申書(請求人) 2.訂正請求 2-1.訂正の内容 被請求人の平成27年2月2日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、「特許第3845031号の明細書及び特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正する」ことを求めるものであり、その内容は、特許第3845031号に係る願書に添付した明細書(特許請求の範囲を含む。)を、次のように訂正するものである(下線は、訂正箇所を示す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲を 「【請求項1】 給湯管から浴槽への配管の途中に設けられて前記浴槽から上水道への汚水の逆流を防止する逆流防止装置であって、 前記給湯管から前記浴槽へ向かう水の流れを開放または遮断する電磁弁と、 開弁方向に付勢するためのスプリングを有し、前記上水道の圧力低下に応動して前記電磁弁より前記浴槽の側の前記配管内の水を大気に放出するよう開閉動作する一方、前記上水道の圧力低下がない状態においては閉じた状態を保つ大気開放弁と、 を備えた逆流防止装置において、 前記大気開放弁から前記浴槽へ向かう前記配管内に一つのみ配置されて前記浴槽から前記大気開放弁の方向への流れを阻止する第1の逆止弁と、 前記電磁弁と前記大気開放弁との間に一つのみ配置され、前記大気開放弁が前記上水道の圧力低下に応動して大気開放したときに、前記大気開放弁を介して大気に放出される水および吸い込まれた大気が前記上水道の圧力低下によって前記電磁弁の方向に流れてしまうのを阻止する第2の逆止弁と、 を備えていることを特徴とする逆流防止装置。 【請求項2】前記電磁弁と前記給湯管との間に配置され、前記給湯管の側の配管内の負圧を感知して前記配管内に大気を導入する負圧破壊装置を備えていることを特徴とする請求項1記載の逆流防止装置。」 と訂正する。 (2)訂正事項2 明細書中の段落番号【0013】および【0014】を、 「【0013】 【課題を解決するための手段】 本発明では上記問題を解決するために、給湯管から浴槽への配管の途中に設けられて前記浴槽から上水道への汚水の逆流を防止する逆流防止装置であって、前記給湯管から前記浴槽へ向かう水の流れを開放または遮断する電磁弁と、開弁方向に付勢するためのスプリングを有し、前記上水道の圧力低下に応動して前記電磁弁より前記浴槽の側の前記配管内の水を大気に放出するよう開閉動作する一方、前期上水道の圧力低下がない状態においては閉じた状態を保つ大気開放弁と、を備えた逆流防止装置において、前記大気開放弁から前記浴槽へ向かう前記配管内に一つのみ配置されて前記浴槽から前記大気開放弁の方向への流れを阻止する第1の逆止弁と、前記電磁弁と前記大気開放弁との間に一つのみ配置され、前記大気開放弁が前記上水道の圧力低下に応動して大気開放したときに、前記大気開放弁を介して大気に放出される水および吸い込まれた大気が前記上水道の圧力低下によって前記電磁弁の方向に流れてしまうのを阻止する第2の逆止弁と、を備えていることを特徴とする逆流防止装置が提供される。 【0014】 このような逆流防止装置によれば、第1の逆止弁および第2の逆止弁が異物の噛み込みなどで水密不良になっているときに、断水などで上水道が負圧になると、浴槽の汚水がその水頭圧により第1の逆止弁を介して大気開放弁まで逆流し、その汚水は上水道の負圧を受けて開弁した大気開放弁を介して大気に放出される。このとき、異物を噛み込んだ第2の逆止弁は、流れ絞り装置あるいはオリフィスとして働き、上水道の負圧によって大気開放弁まで逆流してきた汚水に対して給湯管側の方へ吸引するだけの吸引力は発生せず、実質的に、浴槽の汚水が上水道まで逆流することはない。このように、電磁弁と大気開放弁との間に第2の逆止弁を配置するだけで、給湯管側への汚水の逆流を実質的に完全に防止することができ、この逆流防止装置を適用した給湯システムの信頼性を大幅に向上させることができる。」 と訂正する。 2-2.訂正の適否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、「を備えた逆流防止装置において、」との記載を訂正前の「逆止弁と、」の直後から「大気開放弁と、」の直後へと移動させ、「大気開放弁」について「開弁方向に付勢するためのスプリングを有」するとともに「上水道の圧力低下がない状態においては閉じた状態を保つ」こととし、大気開放弁から浴槽へ向かう配管内に配置されて浴槽から大気開放弁の方向への流れを阻止する「少なくとも1つの逆止弁」について「一つのみ」配置される「第1の逆止弁」とし、また、電磁弁と大気開放弁の間に配置される「逆止装置」について「一つのみ」配置される「第2の逆止弁」としたものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1のうち「大気開放弁」についての訂正は、段落【0017】の「なお、大気開放弁12の構成および動作原理は、図4を参照して詳述した大気開放弁と同じである」なる記載、段落【0008】の「このとき大気開放弁111は、検圧管123を介して上水道の元圧(1次圧)が導入されている。この1次圧は、電磁弁108から逆止弁109へ通過する配管内の通水圧(2次圧)より大きいため、ピストン116は弁体117を着座させる方向に付勢しているため、オーバフロー口115への通路は閉じた状態にある。」なる記載、段落【0004】の「ピストン116は、スプリング125によって接続部113、114側の空間とオーバフロー口115との間の通路を開く方向に付勢するように構成されている。」なる記載に基づくものである。 また、訂正事項1のうち「逆止弁」を「第1の逆止弁」とする訂正は、「逆止装置」を「第2の逆止弁」に訂正したことに伴い、2つの逆止弁を区別するための便宜上の訂正であり、「逆止装置」を「第2の逆止弁」とする訂正は、段落【0017】の「水比例弁5の下流側は、また、流量センサ7、電磁弁8、2つの逆止弁9、10を介して風呂の浴槽11に配管されており、逆止弁9と逆止弁10との間の配管には、大気開放弁12が配置されている。」なる記載及び図1に基づくものであり、「第1の逆止弁」及び「第2の逆止弁」が「一つのみ」配置されるという訂正は、段落【0017】の「水比例弁5の下流側は、また、流量センサ7、電磁弁8、二つの逆止弁9、10を介して風呂の浴槽11に配管されており、逆止弁9と逆止弁10との間の配管には、大気開放弁12が配置されている。」及び「この逆止弁9は、従来、浴槽11側に安全のために2個直列に配置した1個を利用することができ、」なる記載、段落【0032】の「また、従来、浴槽側にて安全のために2個設けていた逆止弁の1個を電磁弁と大気開放弁との間に配置するようにすれば、コスト上昇を伴わずに、逆流防止装置を実現することができる。」なる記載、及び図1に基づくものである。 さらに、訂正事項1における「を備えた逆流防止装置において、」の記載は、位置が変更されているが、形式的なものであって、特許請求の範囲を実質的に変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書(特許請求の範囲を含む。)又は図面に記載した事項の範囲においてされたものであり、訂正事項1により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、上記訂正事項1に係る訂正後の請求項2は、当該訂正事項1を含む請求項1の記載を、引用しているものであるから、当該訂正後の請求項1及び2は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴うものであって、特許請求の範囲の記載との整合性を図り、課題を解決するための手段を明確化したものであるので、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書(特許請求の範囲を含む。)又は図面に記載した事項の範囲においてされたものであって、訂正事項2により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正後の請求項2の独立特許要件について 訂正後の請求項2は、訂正事項1を含む訂正後の請求項1を引用するものであって、特許無効審判の請求がされていない請求項であり、その訂正については、特許法第134条の2第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定が適用されるところ、請求項2についての請求人からの主張はなく、また、訂正後の請求項2に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるという理由はない。 (4)まとめ したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書に掲げる事項を目的とし、同法第134条の2第9項の規定によって準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するのであるので、一群の請求項として当該訂正を認める。 3.本件特許発明 本件訂正は上記のとおり認められるので、本件特許の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである(以下「本件訂正発明」という。)。 「給湯管から浴槽への配管の途中に設けられて前記浴槽から上水道への汚水の逆流を防止する逆流防止装置であって、 前記給湯管から前記浴槽へ向かう水の流れを開放または遮断する電磁弁と、 開弁方向に付勢するためのスプリングを有し、前記上水道の圧力低下に応動して前記電磁弁より前記浴槽の側の前記配管内の水を大気に放出するよう開閉動作する一方、前記上水道の圧力低下がない状態においては閉じた状態を保つ大気開放弁と、 を備えた逆流防止装置において、 前記大気開放弁から前記浴槽へ向かう前記配管内に一つのみ配置されて前記浴槽から前記大気開放弁の方向への流れを阻止する第1の逆止弁と、 前記電磁弁と前記大気開放弁との間に一つのみ配置され、前記大気開放弁が前記上水道の圧力低下に応動して大気開放したときに、前記大気開放弁を介して大気に放出される水および吸い込まれた大気が前記上水道の圧力低下によって前記電磁弁の方向に流れてしまうのを阻止する第2の逆止弁と、 を備えていることを特徴とする逆流防止装置。」 4.請求人の主張及び証拠方法 請求人は、「特許第3845031号の特許請求の範囲の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、無効理由の概要は、以下のとおりであると主張している。 (1)無効理由1 本件訂正発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。 (2)無効理由2 本件訂正発明は、甲第1号証もしくは甲第2号証、又は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 また、請求人は、証拠方法として、以下の甲第1ないし6号証を提出している。 [証拠方法] 甲第1号証:特開2000-304144号公報 甲第2号証:実願昭59-197302号(実開昭61-112166号)のマイクロフィルム 甲第3号証:特願2002-168513に係る平成14年12月26日付け意見書 甲第4号証:無効2003-35475における特許審決公報 甲第5号証:特許第3845031号公報 甲第6号証:無効2012-800115における平成25年12月25日付け訂正請求書に添付した訂正明細書 なお、当事者間に甲第1ないし6号証の成立に争いはない。 5.被請求人の主張及び証拠方法 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求め、上記請求人の主張に対し、請求人の主張には何れも理由がないものである旨の主張をしている。 また、被請求人は、証拠方法として、以下の乙第1ないし15号証を提出している。 乙第1号証:「自動湯張り型強制循環式風呂釜における逆流事故の発生」と題する書面 乙第2号証:無効2012-800115号事件の審決 乙第3号証:特公平7-88978号公報 乙第4号証:特許第2841160号公報 乙第5号証:特許第3835277号公報 乙第6号証:特公平6-20425号公報 乙第7号証:JGKAS ガス・石油温水機器及び洗濯注湯ユニットの負圧破壊性能及び逆流水排水性能基準(2002) 乙第8号証:JGKAS ガス・石油温水機器の耐逆サイフォン性能及び耐逆圧性能基準(2007) 乙第9号証:実願平2-79045号(実開平4-36551号)のマイクロフィルム 乙第10号証:実願昭59-197312号(実開昭61-116868号)のマイクロフィルム 乙第11号証:実願昭60-19453号(実開昭61-136250号)のマイクロフィルム 乙第12号証:実願昭60-2633号(実開昭61-119063号)のマイクロフィルム 乙第13号証:実願昭60-8823号(実開昭61-124771号)のマイクロフィルム 乙第14号証:特公平6-20425号公報 乙第15号証:給水装置に係わる器具等関係規定・規則および審査基準(昭和58年7月改正) なお、当事者間に乙第1ないし15号証の成立に争いはない。 また、乙第9~13号証は、平成27年9月2日付け口頭審理陳述要領書の「6.添付書類の目録」には、それぞれ公開公報で表記されているが、添付された書類はそれぞれマイクロフィルムの写しであるので、乙第9~13号証は、それぞれ上記のとおり認定した。 6.甲各号証の記載事項 甲第1号証及び甲第2号証には、以下の各事項が記載されている。 [甲第1号証] (1a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 給水源の水圧と縁切りしたい水である逆流水の水圧との圧力バランスにより前記逆流水を排水し縁切りする縁切り装置において、前記逆流水を開放する弁をピストンの片端に配置し、他の片端に給水圧を受け力に変換させる受圧部を固定し、前記受圧部により変換された給水圧の力ベクトルと前記逆流水を開放する弁にかかるふろ側逆圧の力ベクトルを同軸上に設け、かつ、給水源配管の接続部と逆流水配管の接続部を同軸上に設けたことを特徴とする縁切り装置。」 (1b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は給湯機に使用する縁切り装置に関するものである」 (1c)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の形状では、部品点数が増え、又、形状が大きくなっていた。さらには、取付形状を特定していたためにふろの配管接続方法が単一化し、相手接続部の形状が複雑化していてしまい、コストも割高となり、また、給湯機に搭載したとき給湯機自体が大きくなったりするという問題があった。従って、本発明の目的は、部品点数を少なくし,形状も小さく、低コストな縁切り装置を提供することにある。」 (1d)「【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る縁切り装置の第1の実施例を示す構成図であり、開弁状態を図示している。上記縁切り装置は、図示のように、縁切り装置逆流水側のボディ1と給水源側のボディ3を固定し、縁切りしたい水の配管位置を給水源配管に対し同軸上に配置し、又、排水口を給水源配管に対し直行する様に配置し、内部にピストン5を配置構成している。そのピストン5のボディ1側にパッキン8をボディ3側に受圧部6をリテーナー4とネジ9とで固定配置し、パッキン8側に受ける力ベクトルと受圧部6側に受ける力ベクトルが、対向するように配置され、かつ開弁付勢処置であるバネ7が受圧部側に受ける力ベクトルに対向するように配置されている。図では開弁不勢処置をバネ7にしているが受圧部の復元力やゴム製品のように復元力を持つものを使用しても良い。ピストン5に取り付けられているパッキン8の外周には壁を設けている。又、ピストン5のボディ1側先端及びボディ1側には縁切り装置が水平方向に使われた場合でも大きな傾きを持たないようにガイドを設けている。」 (1e)「【0033】図14は、本発明の一実施例としての縁切り装置を給湯機に取り付けたときの構成図である。給湯21側からお湯はり経路を分岐し、電磁弁22後に本発明の縁切り装置23を取り付けその後に逆止弁24が取り付く。尚、縁切り装置23は逆止弁の後でも良い。又本図はお湯はり機能付きのみの給湯機を図示しているが、お湯はり機能付きの遠隔追焚給湯機でも対応できる。」 (1f)図1 (1g)図14 図14には、給湯部21側から分岐されているお湯はり経路がふろへの経路であること及び逆止弁24は2個であることが記載されている。 以上の記載から、甲第1号証には、下記の発明(以下「甲1発明」ともいう。)が記載されている。 「給水源の水圧と縁切りしたい水である逆流水の水圧との圧力バランスにより前記逆流水を排水し縁切りする縁切り装置を給湯機に取り付け、 上記縁切り装置には、開弁付勢処置であるバネ7が配置され、 給湯部21側からふろへのお湯はり経路を分岐し、電磁弁22後に上記縁切り装置23を取り付けその後に2個の逆止弁24を取り付けたものであるが、縁切り装置23は逆止弁の後でも良い逆流防止装置。」 [甲第2号証] (2a)「水路に装着され該水路を上流側水路と下流側水路とに分離する遮断装置内の逆止弁と、前記下流側水路から分岐し弁が装着されたドレン路と、前記上流側水路に連通するパイロツト室と、該パイロツト室に張られ前記弁に連結されたダイヤフラムと、該ダイヤフラムにパイロツト室側への力を作用するばねとからなる水路の逆流防止装置。」(2. 実用新案登録請求の範囲) (2b)「(産業上の利用分野) 本考案は高位置に設置された浴槽等から上水道等への逆流を防止する水路の逆流防止装置に関するものであり、特に高所あるいは遠隔地にある浴槽に給湯する場合に有用な装置に関する。」(明細書第1頁14~18行) (2c)「(実施例) 以下本考案の水路の逆流防止装置(以下本考案の装置という)を図面に示す実施例に従い説明する。 第1図は本考案の装置が用いられた水路の一例を示し、該水路(5)は市水道等の給水源(4)と高位置に設置された浴槽(1)とを接続するものである。 又水路(5)には給湯加熱器(6)及び該水路(5)を開閉する水電磁弁(7)が装着される。 更に水路(5)には遮断装置(16)及び該遮断装置(16)の下流側において逆止弁(15)が装着される。 遮断装置(16)内には第2図に詳細を示す様に、水路(5)に装着され該水路(5)を上流側水路(5a)と下流側水路(5b)とに分離する逆止弁(20)が装着される。 次に前記下流側水路(5b)から分岐し、弁(23)が装着されたドレン路(18)が設けられる。 一方前記上流側水路(5a)に連通してパイロット室(26)が形成される。 該パイロット室(26)にはダイヤフラム(21)が張られ、該ダイヤフラム(21)はばね(22)によりパイロット室(26)側への力を受けている。 一方ダイヤフラム(21)は軸(24)により、前記弁(23)に連結される。」(明細書第2頁9行~第3頁14行) (2d)「以上の実施例に示した本考案の装置の作用を次に説明する。 すなわち浴槽(1)に給湯する場合、開始スイッチ(図示せず)を閉じて水電磁弁(7)を開き、水路(5)に湯(給湯加熱器(6)により加熱される)を流す。 これにより湯の上流側圧力がパイロット室(26)に導かれ、ダイヤフラム(21)はばね(22)の力に抗して押込められる。 これにより弁(23)が閉じられ、ドレン路(18)は水路(5)(下流側水路(5b))から遮断される。 この結果、水路(5)を流れる湯は逆止弁(20)及び逆止弁(15)を通って浴槽(1)に流れ込むことになる。 以上は正常な運転状態であるが、例えば運転時(水電磁弁(7)が開いている時)において給水源(4)としての上水道が断水することがある。 この場合給水源(4)の水圧が低下して浴槽(1)の湯が水路(5)を逆流しようとする。 この逆流は逆止弁(15)が正常に作動する場合は該逆止弁(15)において防止される。 一方給水源(4)の水圧が低下することにより、パイロット室(26)に導かれている圧力も低下する。 これによりダイヤフラム(21)はばね(22)の力により押出され、弁(23)が開かれる。 この結果ドレン路(18)は水路(5)(下流側水路(5b))に接続される。 従って逆止弁(15)が故障した場合等において、該逆止弁(15)を通過してしまう逆流はドレン路(18)に排出されて上流側水路(5a)に到ることはない。 すなわち水路(5)における逆流は確実に防止されることになる。」(明細書第3頁15行~第5頁8行) (2e)第1図 (2f)第2図 以上の記載から、甲第2号証には、下記の発明(以下「甲2発明」ともいう。)が記載されている。 「水路(5)は市水道等の給水源(4)と高位置に設置された浴槽(1)とを接続するものであり、又水路(5)には給湯加熱器(6)及び該水路(5)を開閉する水電磁弁(7)が装着され、更に水路(5)には遮断装置(16)及び該遮断装置(16)の下流側において逆止弁(15)が装着され、 遮断装置(16)内には、水路(5)に装着され該水路(5)を上流側水路(5a)と下流側水路(5b)とに分離する逆止弁(20)が装着され、 次に前記下流側水路(5b)から分岐し、弁(23)が装着されたドレン路(18)が設けられ、 一方前記上流側水路(5a)に連通してパイロット室(26)が形成され、 該パイロット室(26)にはダイヤフラム(21)が張られ、該ダイヤフラム(21)はばね(22)によりパイロット室(26)側への力を受け、一方ダイヤフラム(21)は軸(24)により、前記弁(23)に連結される逆流防止装置であって、 正常な運転状態では、浴槽(1)に給湯する場合、開始スイッチを閉じて水電磁弁(7)を開き、水路(5)に湯を流し、これにより湯の上流側圧力がパイロット室(26)に導かれ、ダイヤフラム(21)はばね(22)の力に抗して押込められ、これにより弁(23)が閉じられ、ドレン路(18)は水路(5)(下流側水路(5b))から遮断され、この結果、水路(5)を流れる湯は逆止弁(20)及び逆止弁(15)を通って浴槽(1)に流れ込むことになり、 例えば運転時(水電磁弁(7)が開いている時)において給水源(4)としての上水道が断水する場合、給水源(4)の水圧が低下して浴槽(1)の湯が水路(5)を逆流しようとすると、この逆流は逆止弁(15)が正常に作動する場合は該逆止弁(15)において防止され、一方給水源(4)の水圧が低下することにより、パイロット室(26)に導かれている圧力も低下し、これによりダイヤフラム(21)はばね(22)の力により押出され、弁(23)が開かれ、この結果ドレン路(18)は水路(5)(下流側水路(5b))に接続され、従って逆止弁(15)が故障した場合等において、該逆止弁(15)を通過してしまう逆流はドレン路(18)に排出されて上流側水路(5a)に到ることはない逆流防止装置。」 7.当審の判断 以下、無効理由1及び無効理由2を、甲1発明を主引用発明とする場合と甲2発明を主引用発明とする場合とに分けて、それぞれについて検討する。 7-1.甲1発明を主引用発明とする場合 7-1-1.対比 本件訂正発明と甲1発明とを対比すると、 甲1発明の「ふろ」、「電磁弁22」、「給水源の水圧」、「開弁付勢処置であるバネ7」及び「縁切り装置23」は、それぞれ本件訂正発明の「浴槽」、「電磁弁」、「上水道の圧力」、「開弁方向に付勢するためのスプリング」及び「大気開放弁」に相当し、 甲1発明の「お湯はり経路」は、本件訂正発明でいう「配管」で構成されることは明らかであり、 また、甲1発明の「逆流防止装置」は、本件訂正発明でいう「給湯管から浴槽への配管の途中に設けられて前記浴槽から上水道への汚水の逆流を防止する」ものであることも明らかであり、 そして、甲1発明の上記「縁切り装置23」は、給水源の水圧に対して、本件訂正発明の上記「大気開放弁」と同様に作動することは明らかである。 よって、両者は、 「給湯管から浴槽への配管の途中に設けられて前記浴槽から上水道への汚水の逆流を防止する逆流防止装置であって、 前記給湯管から前記浴槽へ向かう水の流れを開放または遮断する電磁弁と、 開弁方向に付勢するためのスプリングを有し、前記上水道の圧力低下に応動して前記電磁弁より前記浴槽の側の前記配管内の水を大気に放出するよう開閉動作する一方、前記上水道の圧力低下がない状態においては閉じた状態を保つ大気開放弁と、 を備えた逆流防止装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1:本件訂正発明では、大気開放弁から浴槽へ向かう配管内に一つのみ配置されて前記浴槽から前記大気開放弁の方向への流れを阻止する第1の逆止弁と、電磁弁と前記大気開放弁との間に一つのみ配置され、前記大気開放弁が上水道の圧力低下に応動して大気開放したときに、前記大気開放弁を介して大気に放出される水および吸い込まれた大気が前記上水道の圧力低下によって前記電磁弁の方向に流れてしまうのを阻止する第2の逆止弁とを備えているのに対し、 甲1発明では、給湯部21側からふろへのお湯はり経路において、電磁弁22後に縁切り装置23を取り付けその後に2個の逆止弁24が取り付けたものであるが、縁切り装置23は逆止弁の後でも良いとされている点。 7-1-2.判断 上記相違点1について検討すると、 甲1発明において、「縁切り装置23」を「2個の逆止弁24」の間に配置したものは、上記相違点1の本件訂正発明に係る構成に相当するものといえる。 しかし、甲1発明において、「縁切り装置23は逆止弁の後でも良い」とされているものの、上記のような特定はなく、また、甲第1号証には、上記のように特定し得る記載または示唆はない。 そして、上記相違点1の本件訂正発明に係る構成を備えることにより、本件特許明細書に記載の効果を奏することから、上記相違点1は、単なる設計事項ともいえない。 よって、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。 次に、上記相違点1を当業者が容易になし得たかを検討すると、逆止弁24が2個であることは、記載事項(1g)の図14に隣接して示されているに過ぎず、その隣接した「2個の逆止弁24」の間に何らかの装置を配置することを当業者が想到し得るものではないことから、上記「縁切り装置23は逆止弁の後でも良い」との事項からは、「縁切り装置23」の配置は、「2個の逆止弁24」の後と理解するのが普通である。 また、甲第1号証は、縁切り装置自体の構造に係るものであって、記載事項(1e)は、本発明の一実施例としての縁切り装置を給湯機に取り付けた例を構成図と共に示したものに過ぎず、甲第1号証に接した当業者が「縁切り装置23」の配置を工夫しようとする動機付けはない。 さらに、甲2発明は、甲1発明の「縁切り装置23」に相当する「遮断装置(16)」における「弁(23)」は、下流側の「弁(15)」と上流側の「弁(20)」との間に配置されているが、「弁(20)」は「遮断装置(16)」内に装着、すなわち「遮断装置(16)」と一体をなすものであり、また、下記の「7-2-2.判断」で述べるとおり、甲1発明と甲2発明とは弁の作動において違いがあるものと認められることから、弁の配置のみを甲1発明に適用する動機付けはない。 よって、甲1発明において、上記相違点1の本件訂正発明のようになすことが容易であるということはできない。 したがって、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明とはいえず、また、甲第1号証に記載された発明に基づいて、または甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものともいうことはできない。 7-1-3.請求人の主張について 請求人は、甲第1号証の「縁切り装置23」の配置について、甲第1号証の【0033】段落には、「縁切り装置23は逆止弁の後でも良い」と記載され、この記載は次の変形例1または変形例2の構成を意味し、上記【0033】には「逆止弁の後」としか記載されていないので、この記載からは2つの逆止弁のセットの後と解することはできなく、また、変形例2のようになると縁切り装置23のふろ側に逆止弁24が全くない状態となってしまい、逆止弁が正常であっても負圧(上水道の圧力低下)が発生すれば、階上浴槽のお湯は何ら阻止されることなく全て大気開放弁から排水されてしまうため、当業者であれば通常は変形例2のような配置を選択することはあり得ない旨を主張する(弁駁書第3~5頁)。 しかし、上述したように甲第1号証には、変形例1が記載されているものではなく、当業者は、普通はせいぜい変形例2を想起するに止まり、また、上記したように甲第1号証は、縁切り装置自体の構造に係るものであって、記載事項(1e)は、本発明の一実施例としての縁切り装置を給湯機に取り付けた例を構成図と共に示したものに過ぎず、甲第1号証に接した当業者が「縁切り装置23」の配置を工夫しようとする動機付けはないことより、上記請求人の主張は採用できない。 7-2.甲2発明を主引用発明とする場合 7-2-1.対比 本件訂正発明と甲2発明とを対比すると、 甲2発明の「浴槽(1)」、「水電磁弁(7)」、「ばね(22)」、「遮断装置(16)」(ただし、「逆止弁(20)」は除く。)、「逆止弁(15)」及び「逆止弁(20)」は、それぞれ本件訂正発明の「浴槽」、「電磁弁」、「スプリング」、「大気開放弁」、「第1の逆止弁」及び「第2の逆止弁」に相当し、 甲2発明の「水路(5)」は、本件訂正発明でいう「配管」で構成されることは明らかである。 よって、両者は、 「給湯管から浴槽への配管の途中に設けられて前記浴槽から上水道への汚水の逆流を防止する逆流防止装置であって、 前記給湯管から前記浴槽へ向かう水の流れを開放または遮断する電磁弁と、 開弁方向に付勢するためのスプリングを有する大気開放弁と、 を備えた逆流防止装置において、 前記大気開放弁から前記浴槽へ向かう前記配管内に一つのみ配置されて前記浴槽から前記大気開放弁の方向への流れを阻止する第1の逆止弁と、 前記電磁弁と前記大気開放弁との間に一つのみ配置された第2の逆止弁と、 を備えている逆流防止装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2:本件訂正発明では、大気開放弁は、上水道の圧力低下に応動して電磁弁より浴槽の側の前記配管内の水を大気に放出するよう開閉動作する一方、前記上水道の圧力低下がない状態においては閉じた状態を保ち、前記大気開放弁が前記上水道の圧力低下に応動して大気開放したときに、前記大気開放弁を介して大気に放出される水および吸い込まれた大気が前記上水道の圧力低下によって前記電磁弁の方向に流れてしまうのを阻止するとされているのに対し、 甲2発明では、遮断装置(16)は、正常な運転状態では、湯の上流側圧力がパイロット室(26)に導かれ、ダイヤフラム(21)はばね(22)の力に抗して押込められ、これにより弁(23)が閉じられ、ドレン路(18)は水路(5)(下流側水路(5b))から遮断され、例えば運転時(水電磁弁(7)が開いている時)において給水源(4)としての上水道が断水する場合、給水源(4)の水圧が低下することにより、パイロット室(26)に導かれている圧力も低下し、これによりダイヤフラム(21)はばね(22)の力により押出され、弁(23)が開かれ、この結果ドレン路(18)は水路(5)(下流側水路(5b))に接続され、従って逆止弁(15)が故障した場合等において、該逆止弁(15)を通過してしまう逆流はドレン路(18)に排出されて上流側水路(5a)に到ることはないとされている点。 7-2-2.判断 上記相違点2について検討すると、 本件特許明細書の段落【0008】の「このとき大気開放弁111は、検圧管123を介して上水道の元圧(1次圧)が導入されている。この1次圧は、電磁弁108から逆止弁109へ通過する配管内の通水圧(2次圧)より大きいため、ピストン116は弁体117を着座させる方向に付勢しているため、オーバフロー口115への通路は閉じた状態にある。」との記載を参酌すると、本件訂正発明において、大気開放弁は、「上水道の圧力低下」すなわち、上水道の元圧の低下がない状態においては閉じた状態を保つものである。 これに対して、甲2発明における「上流側水路(5a)に連通してパイロット室(26)が形成され」との事項において、「上流側水路(5a)」とは、甲2発明は「正常な運転状態では、浴槽(1)に給湯する場合、開始スイッチを閉じて水電磁弁(7)を開き、水路(5)に湯を流し、これにより湯の上流側圧力がパイロット室(26)に導かれ」とされ、「水電磁弁(7)」が開いた後に、上流側圧力がパイロット室(26)に導かれること、また、記載事項(2f)の第2図にはパイロット室(26)への流路は、「水電磁弁(7)」の下流側から分岐されていることが記載されていることからみて、「弁(23)」は「水電磁弁(7)」の下流側の圧力により開閉動作がなされるものといえ、本件訂正発明のように上水道の元圧により開閉動作するものではない。 そして、上記相違点2により、本件訂正発明の大気開放弁と甲2発明の遮断装置(16)とは、電磁弁の開閉による影響の有無により、弁の作動においても違いが生じるものと認められることより、上記相違点2は、単なる設計変更ともいえない。 よって、本件訂正発明は、甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。 次に、上記相違点2を当業者が容易になし得たかを検討すると、甲2発明において、遮断装置(16)は、記載事項(2e)の第1図にあるように、パイロット室(26)への流路を含めて一体の装置として形成されているものであり、これをあえて配管等を別途設けて、給水源(4)の元圧により作動されるように変更する動機付けはない。 また、甲1発明のように給水源の水圧により弁を作動させるものが公知であるとしても、本件訂正発明と同様に甲2発明とは弁の作動において違いがあるものと認められることから、パイロット室(26)への流路の構成のみを甲2発明に適用する動機付けはない。 よって、甲2発明において、上記相違点2の本件訂正発明のようになすことが容易であるということはできない。 したがって、本件訂正発明は、甲第2号証に記載された発明とはいえず、また、甲第2号証に記載された発明に基づいて、または甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものともいうことはできない。 7-2-3.請求人の主張について 請求人は、電磁弁より下流で1次圧を検知する場合でも、甲第2号証の弁23は、「上水道の圧力低下がない状態においては閉じた状態を保つ」ものである旨を主張をしている(弁駁書7~8頁)。 しかし、甲2発明は、「正常な運転状態では、浴槽(1)に給湯する場合、開始スイッチを閉じて水電磁弁(7)を開き、水路(5)に湯を流し、これにより湯の上流側圧力がパイロット室(26)に導かれ、ダイヤフラム(21)はばね(22)の力に抗して押込められ、これにより弁(23)が閉じられ」るもので、給水源(4)の元圧の圧力低下がない状態においても、水電磁弁(7)を開かれるまでは、弁(23)は、開いているものと解されことから、上記請求人の主張は採用できない。 また、請求人は、水路(5)は、甲第2号証の第1図から明らかなように水電磁弁(7)よりも上流の部分を含むものであり、また、水電磁弁(7)よりも上流側を除外する旨の記載もないため、水電磁弁(7)よりも上流の部分も上流側水路(5a)に含まれることは明らかであるから、甲第2号証の記載から、パイロット室(26)が電磁弁よりも上流に連結されることは明細書などに記載されているに等しい事項である旨を主張している(平成27年10月2日付け上申書第3~4頁)。 しかし、上記したように甲2発明において、「弁(23)」は「水電磁弁(7)」の下流側の圧力により開閉動作がなされるものといえ、また、甲第2号証には「水電磁弁(7)」の上流側の圧力により開閉動作がなされることを理解し得る記載または示唆はないことより、上記請求人の主張は採用できない。 さらに、請求人は、甲第2号証は、ダイアフラムに作用する1次圧と2次圧の差圧によって動作する差圧応動弁を大気開放弁として備えており、これは甲第1号証における縁切り装置と作動原理を同じくするものであり、ここで甲第2号証のパイロット室(26)の検圧位置を甲第1号証における検圧位置、すなわち熱交換器上流側の給水配管とする変更についての技術的阻害要因は存在せず、変更は可能であり、また、甲第1号証の検圧位置とした場合には、1次圧と2次圧との差圧を大きく確保することができることにより、甲第2号証の第2図におけるダイアフラム21を小型化することができ、大気開放弁自体を小型化(甲第1号証における効果として記載されている)できるとともに差圧が大きくなることによって大気開放弁の弁動作の安定性を向上できるというメリットが存在するため、組み合わせることの動機付けに十分なり得るため、当業者であれば、甲第2号証のパイロット室(26)を甲第1号証に記載のとおりに電磁弁や熱交換器よりも上流側の給水配管に連結することは容易に想到し得る事項である旨を主張している(平成27年10月2日付け上申書第4~5頁)。 しかし、甲2発明において、甲第1号証の検圧位置とした場合には、1次圧と2次圧との差圧を大きく確保することができることは、当業者が認識し得るとしても、遮断装置(16)は、上記したようにパイロット室(26)への流路を含めて一体の装置として形成されているものであって、これに配管等を別途設けることによって甲第1号証の構成を採用しても、装置全体として小型化ができるものとは必ずしもいえず、また、甲第1号証の検圧位置とした場合には、差圧が大きくなることは理解し得るとしても、上記したように、甲1発明と甲2発明とは、弁の作動において違いがあるものと認められることから、パイロット室(26)への流路の構成のみを甲2発明に適用する動機付けはないことより、上記請求人の主張は採用できない。 7-3.まとめ 以上のとおり、請求人の主張する無効理由1及び無効理由2によっては、本件訂正発明についての特許を無効とすることはできない。 8.むすび したがって、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件訂正発明についての特許を無効にすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担するものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2014-800182

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