特許異議申立
2026-700321
再生可能なモノマーとそのポリマー
- 審判番号
- 2026-700321
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-522056
- 登録番号
- 7755860
- 請求日
- 2026年04月15日
- 審決日
- 2026年07月28日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】エコール ポリテクニーク フェデラル ドゥ ローザンヌ(エーペーエフエル)
- 【権利者代理人】青木 篤
- 【権利者代理人】三橋 真二
- 【権利者代理人】渡辺 陽一
- 【異議申立人】伊藤 英子
- 審判長/審判官
- 審判長 新留 豊
- 審判官 野田 定文
- 審判官 宮田 透
- 分類
- P1651.113-Y (C07H) / P1651.121-Y (C07H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7755860号発明「再生可能なモノマーとそのポリマー」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7755860号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7755860号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)10月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年10月14日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、令和7年10月8日にその特許権の設定登録がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~5に係る特許に対し、令和8年4月15日に、特許異議申立人 伊藤 英子(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである(以下、請求項の番号順に、「本件発明1」などという。)。
「【請求項1】
構造(I)を有する化合物:
【化1】
[図:0001438318000001.jpg]
[ここで、
R1は、-H、-CH2OH、又は-CH(OH)CH2OHであり;
R2は、-H、-OH、又は-CH2OHであり;
nは、0又は1であり;
Rは、-Z-Fであり、ここで、Zは0~10個の炭素原子を有する炭化水素部分であり、任意選択的に1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されており、及びFは、-COOH、-CH(COOH)2、-COOR4、-CHO、-CH(CHO)2、-C2H3、-C2H、-N3、-NH2、-NHR7、-OH、-CH(CH2OH)2であり、ここで、R4は、C1~C4-アルキル基であり;
R7は、C1~C4-アルキル基である]。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、Rは、
-(CH2)mCOOH;-C6H4COOH[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10COOH[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];-(CH2)mCH(COOH)2;
-(CH2)mCOOR4;-C6H4COOR4[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];
-C6H10COOR4[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];-(CH2)mCH(COOR4)2;
-(CH2)mCHO;-C6H4CHO[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10CHO[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];-(CH2)mCH(CHO)2;
-(CH2)mC2H3;-C6H4C2H3[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10C2H3[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];-(CH2)mCH(C2H3)2;
-(CH2)mC2H;-C6H4C2H[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10C2H[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];
-(CH2)mN3;-C6H4N3[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10N3[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];
-(CH2)mNH2;-C6H4NH2[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10NH2[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];-(CH2)mCH(NH2)2;
-(CH2)mNHR7;-C6H4NHR7[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10NHR7[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];-(CH2)mCH(NHR7)2;
-(CH2)mOH;-C6H4OH[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されている];-C6H10OH[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];又は
-(CH2)mCH(CH2OH)2であり;
ここでR4はC1~C4-アルキル基であり;
mは0~10の整数であり;及びR7はC1~C4-アルキル基である、化合物。
【請求項3】
nが0であり、R2が-Hである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の化合物であって、Rが-(CH2)mCOOR4;-C6H4COOR4[ここで、芳香族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];-C6H10COOR4[ここで、脂肪族環は任意選択的に、1~4個のC1~C4-アルキル基で置換されている];又は-(CH2)mCH(COOR4)2であり、ここで、mは0~4であり、R4はC1~C4-アルキル基である化合物。
【請求項5】
mが0である、請求項2~4のいずれか1項に記載の化合物。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠方法として、以下の甲第1号証~甲第3号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲3」ということがある。)を提出し、以下の申立理由(新規性欠如、進歩性欠如)により請求項1~5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
1 証拠方法
甲第1号証:国際公開第2011/021398号
甲第2号証:Harry B. Wood, Jr. et. al., 1957, 1,2:3,5-Di-O-benzylidene-α-D-glucose, Journal of the American Chemical Society, Vol.79, Issue 14, pp.3862-3864
甲第3号証:Monika Franzkowiak et. al., 1986, Synthese phosphat-verbruckter D-glucose-einheiten als teilstrukturen phosphorylierter starken, Carbohydrate Research, Vol.158, pp.13-35
2 申立理由
(1)申立理由1(新規性欠如)
本件発明1は、甲1に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(進歩性欠如)
本件発明1~5は、甲1に記載された発明に基いて、甲2及び甲3に記載された周知技術を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 当審合議体の判断
当審合議体は、本件請求項1~5についての特許は、上記第3に示した申立理由1~2によっては、取り消すことができないと判断する。その理由は以下のとおりである。
なお、以下における下線及び枠囲みは、当審合議体が付したものである。また、「・・・」は記載の省略を表す。
1 甲1~甲3の記載事項
(1)甲1には、以下の事項が記載されている。
(摘記1a)
[0001] 本発明は、感光性樹脂等に用いることのできる、重合性基を有するピラノース誘導体及びフラノース誘導体及びその製造方法等に関する。
背景技術
[0002] ArFエキシマレーザによるフォトリソグラフィー技術を応用した半導体製造において、感光性レジストには、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレートのような脂環式骨格を持った重合性化合物を共重合したポリマーが用いられている(特許文献1)。
しかしながら、半導体製造技術の進歩に伴い、回路の微細化が著しく進んだ結果、LER(line edge roughness)、LWR(line width roughness)と呼ばれるパターン表面の粗さやうねりといった平滑性の問題が顕在化してきた。
[0003] また、近年の液浸露光による方法では、液浸媒体として主に水が用いられており、この水にレジスト材料が溶け込み、これに起因するレジストパターンのディフェクト(欠陥)等の現像不良も散見されており、これらの早期解決が望まれている。液浸露光では、露光時にレジスト膜が液体に直接接触することを避けるため、保護膜(以下、「トップコート」という)をレジスト膜上に形成し、このトップコートの上から液浸露光する方法が検討されている(特許文献2)。また、これに対して、トップコートを形成する工程を減らす目的から、トップコートレス即ちレジスト膜表面を直接液浸露光する方法も検討されている。これらいずれの方法においても、露光を良好に行うため及び露光機の液浸ヘッドのスキャンスピードを上げるために、トップコート又はレジスト膜の表面は疎水性であることが望まれる。
・・・
[0005] 本発明の目的は、レジスト材料として用いることのできる糖誘導体及びその高分子化合物を提供することである。
[0006] 本発明者らは、単糖類に(環状)脂肪族炭化水素基を導入した基材が疎水性が高く、またガラス転移点が高く、レジスト材料として配合することによりレジスト材料の疎水性が向上し液浸媒体に溶け難くなることを見出し、さらに、ディフェクトを低減し、ラフネスを改善することを見出し、本発明に至った。
・・・
[0009] 本発明のグルコース、マンノース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロースのピラノース誘導体及びフラノース誘導体は下記式(I)~(V)で表される。
[化14]
[図:0001438318000002.jpg]
[0010] 式中、R1~R4は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R1とR2及び/又はR3とR4が連結し環を形成してもよい。ただし、式(II),(V)において、R1~R4が全てメチル基の場合はない。
好ましくは、R1とR2及びR3とR4が連結して、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよいアダマンタンを形成し、さらに好ましくはそれぞれアダマンタノール又はアダマンタンを形成し、特に好ましくはそれぞれアダマンタンを形成する。
[0011] M1は下記式で表される基を示す。
[化15]
[図:0001438318000003.jpg]
式中、R6,R7は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R6とR7が一緒になってカルボニル基を形成してもよい。
m、nは独立して0以上4以下の整数を示す。
n及び/又はmが2以上の場合、複数のR6,R7はそれぞれ同一でも異なってもよい。
sは0又は1を示す。
Xは下記式(1)~(3)のいずれかで表される重合性基を示す。
[化16]
[図:0001438318000004.jpg]
式中、R8は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はハロゲン化メチル基を示し、R9は炭素数1~5の炭化水素基を示す。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、ハロゲン化メチル基としてはトリフルオロメチル基等が挙げられる。
・・・
[0016] 式(I)~(VIII)で表わされる誘導体としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
・・・
[0031]
[化32]
[図:0001438318000005.jpg]
・・・
[0033] また、本発明のグルコース、マンノース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロースのピラノース誘導体及びフラノース誘導体は下記式(IX)、(X)、(XI)、(XXX)又は(XXXI)で表わされる。
[化34]
[図:0001438318000006.jpg]
式中、R1~R4、R11~R14は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R1とR2、R3とR4、R11とR12及び/又はR13とR14が連結し環を形成してもよい。ただし、アロース、アルトロース、グルコース、マンノースのピラノース誘導体及びフラノース誘導体においてR11~R14が全てメチル基の場合はない。また、式(XXXI)において、R1~R4が全てメチル基の場合、R1とR2が連結してシクロヘキサン環を形成する場合、及びR3とR4が連結してシクロヘキサン環を形成する場合はない。
好ましくはR1とR2及びR3とR4、又はR11とR12及びR13とR14が連結して、アダマンタンを形成する。
[0034] M3は下記式で表される基を示す。
[化35]
[図:0001438318000007.jpg]
式中、R6,R7は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R6とR7が一緒になってカルボニル基を形成してもよい。
m、nは独立して0以上4以下の整数を示す。mは好ましくは0である。
n及び/又はmが2以上の場合、複数のR6,R7はそれぞれ同一でも異なってもよい。
sは0又は1を示す。
Lは水酸基、ハロゲン原子を示し、好ましくは水酸基である。ハロゲン原子としてはクロロ基、ブロモ基等が挙げられる。
ただし式(XXX)において、s及びmが0でLが水酸基である場合、R1~R4が全てメチル基の場合はない。
・・・
[0037] 次に、本発明の誘導体の製造方法について説明する。
式(I)~(VIII)の誘導体は、それぞれ対応する中間体と、上記式(1)~(3)のいずれかで表わされる重合性基を有する化合物と反応させて得られる。上記(IX)~(XIII)、(XXX)、(XXXI)の誘導体は、中間体として使用できる。」
(摘記1b)
「[0089]実施例4
1,2:5,6-ジ-O-(2,2-アダマンチリデン)-3-O-メタクリロイル-D-グルコフラノース
1,2:3,4-ジ-O-(2,2-アダマンチリデン)-D-ガラクトピラノースの代わりに1,2:5,6-ジ-O-(2,2-アダマンチリデン)-D-グルコフラノースを用いた他は実施例2と同様にして目的物を得た(1.7g、収率74%)。
[0090][化45]
[図:0001438318000008.jpg]
・・・
[0107]実施例10
[(メタ)アクリル系単独重合体の合成]
メチルエチルケトン84mLを室温で1時間窒素バブリングを行なった。その後、実施例4で得られた1,2:5,6-ジ-O-(2,2-アダマンチリデン)-3-O-メタクリロイル-D-グルコフラノース10.8g(21.1mmol)とV-601(Dimethyl2,2’-Azobis(isobutyrate)485.8mg(2.1mmol)を加え、80℃に加熱し、窒素を10mL/minでバブリングしながら6時間攪拌を行なった。反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール840mL中に攪拌しながら滴下した。生成した白色固体をろ別し、得られた白色固体を減圧下乾燥を行なったところ下記構造式の1,2:5,6-ジ-O-(2,2-アダマンチリデン)-3-O-メタクリロイル-D-グルコフラノースのポリマー体を10g得た(重量平均分子量(Mw)18,600、分散度(Mw/Mn)=1.4)。結果を表1に示す。
[化51]
[図:0001438318000009.jpg]
式中nは繰り返し数である。」
(摘記1c)
「[請求項1] 下記式(I)~(V)で表されるグルコース、マンノース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロースのピラノース誘導体及びフラノース誘導体。
[化54]
[図:0001438318000010.jpg]
[式中、R1~R4は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R1とR2及び/又はR3とR4が連結し環を形成してもよい。ただし、式(II)、(V)においてR1~R4が全てメチル基の場合はない。
M1は下記式で表される基を示す。
[化55]
[図:0001438318000011.jpg]
(式中、R6,R7は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R6とR7が一緒になってカルボニル基を形成してもよい。
m、nは独立して0以上4以下の整数を示す。
n及び/又はmが2以上の場合、複数のR6,R7はそれぞれ同一でも異なってもよい。
sは0又は1を示す。
Xは下記式(1)~(3)のいずれかで表される重合性基を示す。
[化56]
[図:0001438318000012.jpg]
(式中、R8は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はハロゲン化メチル基を示し、R9は炭素数1~5の炭化水素基を示す。))]
・・・
[請求項7] 下記式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XXX)及び式(XXXI)で表されるグルコース、マンノース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロースのピラノース誘導体及びフラノース誘導体。
[化60]
[図:0001438318000013.jpg]
[式中、R1~R4、R11~R14は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R1とR2、R3とR4、R11とR12及び/又はR13とR14が連結し環を形成してもよい。ただし、アロース、アルトロース、グルコース、マンノースのピラノース誘導体及びフラノース誘導体においてR11~R14が全てメチル基の場合はない。また、式(XXXI)において、R1~R4が全てメチル基の場合、R1とR2が連結してシクロヘキサン環を形成する場合、及びR3とR4が連結してシクロヘキサン環を形成する場合はない。
M3は下記式で表される基を示す。
[化61]
[図:0001438318000014.jpg]
(式中、R6,R7は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R6とR7が一緒になってカルボニル基を形成してもよい。
m、nは独立して0以上4以下の整数を示す。
n及び/又はmが2以上の場合、複数のR6,R7はそれぞれ同一でも異なってもよい。
sは0又は1を示す。
Lは水酸基、ハロゲン原子を示す。
ただし式(XXX)において、s及びmが0でLが水酸基である場合、R1~R4が全てメチル基の場合はない。)]」
(2)甲2には、以下の事項が記載されている(翻訳文で示す。なお、翻訳文は、申立人が作成した翻訳を基に、合議体が作成した。)。
(摘記2a)
「塩化亜鉛-酢酸存在下でD-グルコースとベンズアルデヒドを縮合させると、著者らが以前・・・得たものと同一のジ-O-ベンジリデン-D-グルコースが得られる。」(3862頁冒頭(要約欄))
(摘記2b)
「このジ-O-ベンジリデン-D-グルコースの構造は、現在、次のような簡単な方法で解明されている。メチル化により結晶性のメチルエーテル(IV)が得られ、後者の水素化分解によって6-O-メチル-D-グルコース(V)が生成し、これはさらにそのテトラベンゾエート(VI)として特徴付けられた。したがって、原料中の6位の炭素は置換されていない。モノ-O-ベンジリデンヘキソースがわずかにしか溶けない溶媒の使用によって促進された部分的水素化分解により7、既知の91,2-O-ベンジリデン-α-D-グルコフラノース(VII)の単離に至った。したがって、そのジアセタールは1,2:3,5-ジ-O-ベンジリデン-α-D-グルコース(I)であり、先に報告された異性体であるジ-O-ベンジリデン-D-グルコピラノースとは対照的に、フラノース誘導体であることは明らかである7。」(3863頁左欄21-35行)
(摘記2c)
「
[図:0001438318000015.jpg]
」(3863頁左欄の挿入図)
(3)甲3には、以下の事項が記載されている(翻訳文で示す。なお、翻訳文は、申立人が作成した翻訳を基に、合議体が作成した。)。
(摘記3a)
「選択的に保護された誘導体を用い、修正されたリン酸トリエステル法を適用することにより、6→6、6→3及び6→2のリン酸架橋型D-グルコース誘導体が調製された。トリエステルの特異的脱保護により、(ジ-D-グルコース-6)-ヒドロゲンリン酸、(ジ-D-グルコース-3)-ヒドロゲンリン酸及び(ジ-D-グルコース-2)-ヒドロゲンリン酸が得られた。・・・」(13頁ABSTRACT)
(摘記3b)
「デンプンマクロ分子がリン酸ジエステル結合によって部分的に架橋されているビス-デンプン-リン酸に対しても同様に行うと、6→6-(1)、6→3-(2)、6→2-(3) 及び 3→2-リン酸架橋されたD-グルコース単位が得られる。」(14頁9-12行)
(摘記3c)
「したがって、まずは(ジ・デンプン)リン酸の(ジ-D-グルコース)リン酸モデルとしての成分1~3の合成が、特別な注目を集めている。」(14頁14-16行)
(摘記3d)
「
[図:0001438318000016.jpg]
」(16頁)
(摘記3e)
「モノヒドロキシ-D-グルコース誘導体であるグリコシル1-OH(8,10,12,14,16,18,20,22及び24)と、リン酸-2,2,2-トリクロロエチル又は2-クロロフェニルエステルジクロリドから得られたトリアゾリドとの縮合により、一貫して無定形フォームとして得られるリン酸ジエステル5(9,11,13,15,17,19,21,23,25及び26)のトリエチルアンモニウム塩が、70~90%の収率で円滑に生成する。」(17頁10-14行)
2 申立理由1(新規性欠如)について
(1)甲1に記載された発明
甲1には、感光性樹脂等に用いることのできる、重合性基を有するピラノース誘導体及びフラノース誘導体に関し、疎水性が高く、またガラス転移点が高く、レジスト材料として配合することによりレジスト材料の疎水性が向上し液浸媒体に溶け難くなる化合物として、式(III)で表される単糖類誘導体が記載されており(摘記1aの[0001]~[0006],[0009]~[0011]、摘記1cの請求項1)、その具体例として、以下の化合物(摘記1aの[0031
]の上から3段目右側の2つの化合物)が挙げられている(摘記1aの[0016
]~[0032]、特に[0031]の枠囲み部分)。
[図:0001438318000017.jpg]
そして、上記2つの化合物のうち左側の化合物に着目すると、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。また、右側の化合物は、甲1発明1の化合物とメタクリルオキシメチル基及び環エーテルの立体配置が異なるだけであり、この化合物を引用発明とした場合でも、以下に示す甲1発明1に関する判断と同じである。
<甲1発明1>
「疎水性が高く、またガラス転移点が高く、レジスト材料として配合することによりレジスト材料の疎水性が向上し液浸媒体に溶け難くなる、以下の化合物。
[図:0001438318000018.jpg]
」
また、甲1には、式(1)~(3)のいずれかで表わされる重合性基(摘記1aの[0011],[化16])を有する化合物と反応させることで、式(III)等で表される誘導体(摘記1aの[0009],[化14])を得るための中間体として、式(XI)で表される化合物(摘記1aの[0033],[化34])が記載されている(摘記1aの[0033]~[0034],[0037]、摘記1cの請求項7)から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認める。
<甲1発明2>
「下記式(XI)で表される化合物。
[図:0001438318000019.jpg]
[式中、R11~R14は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R11とR12及び/又はR13とR14が連結し環を形成してもよい。ただし、アロース、アルトロース、グルコース、マンノースのピラノース誘導体及びフラノース誘導体においてR11~R14が全てメチル基の場合はない。
M3は下記式で表される基を示す。
[図:0001438318000020.jpg]
(式中、R6,R7は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R6とR7が一緒になってカルボニル基を形成してもよい。
m、nは独立して0以上4以下の整数を示す。
n及び/又はmが2以上の場合、複数のR6,R7はそれぞれ同一でも異なってもよい。
sは0又は1を示す。
Lは水酸基、ハロゲン原子を示す。)]」
(2)本件発明1と甲1発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
(ア)甲1発明1の縮合3環部分の化学構造は、本件発明1の構造(I)において、n=0の場合に相当する。
(イ)甲1発明1の6員環のエチレンの「水素」は、本件発明1において、R1が-Hの場合に相当する。
(ウ)甲1発明1の置換基-CH2-COOEtは、本件発明1の置換基Rにおいて、Zが-CH2-、Fが-COOR4で、R4がC2-アルキル基である場合に相当する。
イ 一致点・相違点
そうすると、本件発明1と甲1発明1は、以下の点で一致し、相違する。
<一致点1>
構造(I’)を有する化合物:
[図:0001438318000021.jpg]
[ここで、
R1は、-H、-CH2OH、又は-CH(OH)CH2OHであり;
nは、0又は1であり;
Rは、-Z-Fであり、ここで、Zは0~10個の炭素原子を有する炭化水素部分であり、任意選択的に1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されており、及びFは、-COOH、-CH(COOH)2、-COOR4、-CHO、-CH(CHO)2、-C2H3、-C2H、-N3、-NH2、-NHR7、-OH、
-CH(CH2OH)2であり、ここで、R4は、C1~C4-アルキル基であり;
R7は、C1~C4-アルキル基である]
である点。
(なお、構造(I’)は、本件請求項1の記載を基に、説明のために合議体が作成したものである。)
<相違点1-1>
置換基R2’について、本件発明1では「-H、-OH、又は-CH2OH」であるのに対し、甲1発明1ではメタクリルオキシメチル基である点。
<相違点1-2>
置換基R’について、本件発明1では水素原子であるのに対し、甲1発明1ではメチル基である点。
ウ 判断
(ア)新規性について
相違点1-1及び1-2において、本件発明1と甲1発明1は明らかに相違する化合物であるから、これらの相違点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。
(イ)進歩性について
相違点1-1について検討する。
甲1の実施例(摘記1b)には、実施例4の化合物がレジスト材料として用いられる(メタ)アクリル単独重合体用のモノマーであることが記載されているから、付加重合反応に必要なR2’のメタクリル基を含むメタクリルオキシメチル基は、甲1発明1には必須の置換基といえる。
それゆえ、甲1発明1において、付加重合性の置換基であるメタクリルオキシメチル基を、付加重合性を有しない「-H、-OH、又は-CH2OH」に変更すると配合目的を達成することができず、動機付けがないから、当業者が容易に想到できたこととはいえない。
また、甲2~3に記載の技術をふまえても、この判断にかわりはない。
したがって、相違点1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1と甲2~3に記載の技術とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明1と甲1発明2について
ア 対比
本件発明1と甲1発明2とを対比する。
(ア)甲1発明2の縮合3環部分の化学構造は、本件発明1の構造(I)において、n=0の場合に相当する。
(イ)甲1発明2の6員環のエチレンの「水素」は、本件発明1において、R1が-Hの場合に相当する。
イ 一致点・相違点
そうすると、本件発明1と甲1発明2は、以下の点で一致し、相違する。
<一致点2>
構造(I’’)を有する化合物:
[図:0001438318000022.jpg]
[ここで、
R1は、-H、-CH2OH、又は-CH(OH)CH2OHであり;
nは、0又は1である]
である点。
(なお、構造(I’’)は、本件請求項1の記載を基に、説明のために合議体が作成したものである。)
<相違点2-1>
置換基R2’について、
本件発明1では「-H、-OH、又は-CH2OH」であるのに対し、
甲1発明2では、R2’に相当する置換基M3が下記式で表される基:
[図:0001438318000023.jpg]
(式中、R6,R7は独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R6とR7が一緒になってカルボニル基を形成してもよい。
m、nは独立して0以上4以下の整数を示す。
n及び/又はmが2以上の場合、複数のR6,R7はそれぞれ同一でも異なってもよい。
sは0又は1を示す。
Lは水酸基、ハロゲン原子を示す。)である点。
<相違点2-2>
置換基R及びR’について、
本件発明1では、R’が水素であり、Rが-Z-Fであり、ここで、Zは0~10個の炭素原子を有する炭化水素部分であり、任意選択的に1~4個のC1~C4-アルキル基又は1~4個のハロゲン原子で置換されており、及びFは、-COOH、-CH(COOH)2、-COOR4、-CHO、-CH(CHO)2、-C2H3、-C2H、-N3、-NH2、-NHR7、-OH、-CH(CH2OH)2であり、ここで、R4は、C1~C4-アルキル基であり;R7は、C1~C4-アルキル基であるのに対し、
甲1発明2では、R及びR’に相当する置換基R11~R14が、独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R11とR12及び/又はR13とR14が連結し環を形成してもよいとされている点。
ウ 判断
(ア)新規性について
相違点2-1及び2-2のうちのまず相違点2-2について検討する。
一般式の形式で表現された甲1発明2において、R11とR12の一方と、R13とR14の一方を水素とした化合物が具体的に抽出できるかを検討すると、R及びR’に相当する置換基R11~R14は、独立して水素、ヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子及び/又は置換基を含んでもよい脂肪族環状炭化水素基を示し、R11とR12及び/又はR13とR14が連結し環を形成してもよいとされ、上記一般式は膨大な数の選択肢を有する。
本件発明1は、甲1発明2において、R11とR12の一方と、R13とR14の一方を水素とした化合物であるところ、甲1には、R11とR12及び/又はR13とR14のいずれかが水素である組合せとすることは具体的に記載されておらず、甲1の[0017]~[0032]に多数例示される構造式においても、1,3-ジオキソラン環(5員環)及び1,3-ジオキサン環(6員環)の2位の置換基が2つとも脂肪族炭化水素基又は脂肪族環状炭化水素基であるか、2つの置換基が連結して脂肪族環を形成するスピロ環構造である化合物のみが示されており、上記2位に水素原子が結合している化合物は一つも記載されていない。
そして、甲1には「単糖類に(環状)脂肪族炭化水素基を導入した基材が疎水性が高く、またガラス転移点が高く、レジスト材料として配合することによりレジスト材料の疎水性が向上し液浸媒体に溶け難くなることが特徴である」と記載されているところ((摘記1a)の[0006])、環状脂肪族炭化水素基として、「好ましくはR1とR2及びR3とR4、又はR11とR12及びR13とR14が連結して、アダマンタンを形成する」ことも記載されている((摘記1a)の[0033])。これらのことから、甲1発明2において、R11~R14に疎水性やガラス転移点を上げる効果の低い水素を積極的あるいは優先的に選択すべき事情もないというべきである。
したがって、甲1発明2における上記一般式から、R11とR12の一方と、R13とR14の一方を水素とした具体的な化合物を抽出することはできない。
したがって、相違点2-2は実質的な相違点であり、相違点2-1を検討するまでもなく、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。
(イ)進歩性について
相違点2-1及び2-2のうちのまず相違点2-2について検討する。
(ア)で述べたとおり、甲1発明2について、R11とR12の一方と、R13とR14の一方を水素とした具体的な化合物を抽出することはできないし、摘記1aの記載より、甲1にR11~R14に疎水性やガラス転移点を上げる効果の低い水素を用いる積極的な動機付けは見いだせない。
また、上記(2)ウ(イ)で述べたとおり、甲1発明2は構造式(XI)の置換基M3(上記構造式(1’)のR2’に相当)に付加重合性の置換基を導入して付加重合によりポリマー化することが想定されているところ、本件発明1のように上記構造式(1’)のR及びR’側(甲1発明2のR11~R14側)でR’を水素として、Rに縮合重合性の置換基(-Z-F)を導入し、直鎖状の縮合ポリマーを得る技術的思想は記載されていない。
そのため、甲1発明2において、R11とR12の一方と、R13とR14の一方を水素に変更し、さらに他方に(-Z-F)という縮合重合性の置換基を選択する動機付けはない。また、甲2~3にも、上記置換基の組合せを選択することについては何ら記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明2において甲2~3に記載の技術をふまえても、R11とR12の一方と、R13とR14の一方を水素に変更し、さらに他方に(-Z-F)という縮合重合性の置換基を選択することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
またそれらのことにより、直鎖状の縮合ポリマーを得ることができるという効果についても、甲1~3には何ら記載されておらず、当業者が予測し得る範囲のものともいえない。
よって、相違点2-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明2と甲2~3に記載の技術とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 申立人の主張について
(ア)新規性について
申立人は、本件発明1の新規性に関し、甲1には、糖骨格に複数の置換基を有する化合物が一般式(XI)として広く開示されており、一般式(XI)のR11~R14及びM3を特定の組合せで選択することにより、本件発明1に係る構造と同一の構造を構成することが可能であるから、本件発明1は、甲1に記載された発明と同一であることを主張している(特許異議申立書11頁の(5))。
しかしながら、上記ウ(ア)で述べたとおり、甲1発明2の一般式(XI)から、R11とR12の一方と、R13とR14の一方を水素とした具体的な化合物を抽出することはできない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(イ)進歩性について
申立人は、本件発明1の進歩性に関し、甲1の一般式(XI)は極めて広範な置換基の組合せを包含し、本件発明1に係る構造もその中に含まれる具体例の一つにすぎず、新たな技術的思想を提供するものではないこと、並びに、甲1には多様な置換基を導入可能であることが示され、当業者にとって当該置換基を適宜選択して物性調整を行うことは通常の設計事項であるところ、甲2には、グルコースの特定位置をベンジリデン基により保護し、その後に官能基変換を行う技術が記載され、甲3には、選択的に保護されたグルコース誘導体を用いて特定位置に官能基を導入し、リン酸エステル構造を形成する技術が記載されているから、糖骨格上の所望の位置に対し、炭素鎖及びカルボニル基等の官能基を導入することは、当業者にとって通常の設計事項にすぎず、本件発明に特有の顕著な作用効果も認められないこと、を挙げて、本件発明1は、甲1に記載された発明に基づき、甲2及び甲3に記載された周知技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得たものであることを主張している(特許異議申立書9~11頁の(4)、(6))。
しかしながら、上記ウ(イ)で述べたとおり、甲1発明2において、R11~R14において特定の基を組合せて選択することは、甲1~3には記載されておらず、またその動機付けもないから、当業者が容易に想到できたこととはいえない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(4)本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2~5は、上記(2)~(3)と同様の理由により、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)甲1に基づく新規性欠如・進歩性欠如についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明と甲2~3に記載の技術とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
また、本件発明2~5は、甲1に記載された発明と甲2~3に記載の技術とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、請求項2~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
よって、申立理由1~2によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、申立人が申し立てた理由及び証拠方法によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに本件請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700321